特許第6476385号(P6476385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476385
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】レゾルバロータ位置決め構造及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20190225BHJP
   G01D 5/12 20060101ALI20190225BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20190225BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20190225BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   G01D5/20 110X
   G01D5/12 Q
   G01D5/245 110K
   H02K24/00
   H02K1/28 Z
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-105102(P2015-105102)
(22)【出願日】2015年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-217957(P2016-217957A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】豊竹 克年
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−271648(JP,A)
【文献】 特開2016−163435(JP,A)
【文献】 特開2010−252418(JP,A)
【文献】 特開2007−120532(JP,A)
【文献】 特開平07−057588(JP,A)
【文献】 特開2013−153559(JP,A)
【文献】 特開2009−254065(JP,A)
【文献】 特開2010−252419(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0293038(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0181895(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/20
G01D 5/12
G01D 5/245
H02K 1/28
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(4)の外周(4a)に対し軸用孔(3)を介して取り付けられた積層型のロータヨーク(1)と、前記回転軸(4)の近傍位置に配設された位置決め用ピン(11)と、前記ロータヨーク(1)に設けられ前記回転軸(4)に対して、予め決められた取付け位置を示す穴(10)と、を備え、
前記ロータヨーク(1)は、前記位置決め用ピン(11)が前記穴(10)に挿入される位置で、前記回転軸(4)の外周(4a)に圧入されることにより、前記回転軸(4)に対する前記ロータヨーク(1)の位置決めがなされる構成としたことを特徴とするレゾルバロータ位置決め構造。
【請求項2】
前記位置決め用ピン(11)は、前記回転軸(4)を有する装置(20)に固定して設けられ、前記ロータヨーク(1)を前記回転軸(4)に取り付けた後は、前記位置決め用ピン(11)を切断するように構成したことを特徴とする請求項1記載のレゾルバロータ位置決め構造。
【請求項3】
前記位置決め用ピン(11)は、前記回転軸(4)の周面に突出・固定されており、前記ロータヨーク(1)を前記回転軸(4)に取り付けた後は、前記位置決め用ピン(11)は、前記回転軸(4)に固定した状態で用いるように構成したことを特徴とする請求項1記載のレゾルバロータ位置決め構造。
【請求項4】
回転軸(4)の外周(4a)に対し軸用孔(3)を介して取り付けられた積層型のロータヨーク(1)と、前記回転軸(4)の近傍位置に配設された位置決め用ピン(11)と、前記ロータヨーク(1)に設けられ前記回転軸(4)に対して、予め決められた取付け位置を示す穴(10)と、を用い、
前記ロータヨーク(1)は、前記位置決め用ピン(11)が前記穴(10)に導入される位置で、前記回転軸(4)の外周(4a)に圧入されることにより、前記回転軸(4)に対する前記ロータヨーク(1)の位置決めがなされることを特徴とするレゾルバロータ位置決め方法。
【請求項5】
前記位置決め用ピン(11)は、前記回転軸(4)を有する装置(20)に固定して設けられ、前記ロータヨーク(1)を前記回転軸(4)に取り付けた後は、前記位置決め用ピン(11)を切断するようにしたことを特徴とする請求項4記載のレゾルバロータ位置決め方法。
【請求項6】
前記位置決め用ピン(11)は、前記回転軸(4)の周面に突出・固定されており、前記ロータヨーク(1)を前記回転軸(4)に取り付けた後は、前記位置決め用ピン(11)は、前記回転軸(4)に固定した状態で用いることを特徴とする請求項4記載のレゾルバロータ位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバロータ位置決め構造及び方法に関し、特に、位置決めピンをロータヨークの穴に挿入して、ロータヨークを回転軸に固定することにより、回転軸の所定の角度位置にロータヨークを簡単に位置決め固定するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレゾルバロータ位置決め構造及び方法としては、例えば、特許文献1の検出ステータ、回転検出器及びその取付構造を挙げることができるが、前述の特許文献1の構成及び方法においても、実際には、図5で示されるように、複数のロータコア1aを転積によって積層し、所定の厚さを有する積層形のロータコア1は、カシメによるダボ2によって一体状に固定されている。
【0003】
前記ロータヨーク1は、その軸用孔3を介して回転軸4の外周4aに圧入され、前記ロータヨーク1の内周1b又は前記回転軸4の外周4aに形成された図示しないキー又はキー溝を介して、前記回転軸4に対する前記ロータヨーク1の位置決め(原点位置合わせ等)が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5406862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレゾルバロータ位置決め構造及び方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述のロータヨークの積層による厚さは、約2〜5mmであるため、ロータヨークの位置決め及び回り止めにキー溝形状を形成することは極めて困難であり、そのため、キー付き形状としていたが、ロータヨークの内周すなわち内径を回転軸に圧入しようとすると、ロータヨークの内径とそのキーの全体を圧入部分とすることはできず、回転軸に対してロータヨークを位置決めしながらの圧入は極めて困難であった。
【0006】
また、ロータヨークのダボの近傍における肉薄部分に、例えば、キー溝を追加しようとすると、ダボ周辺部の肉厚が確保できず、積層強度が低下してしまうため、キー溝の形成も不可能であった。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、位置決めピンをロータヨークの穴に挿入して、ロータヨークを回転軸に固定することにより、回転軸の所定の角度位置にロータヨークを簡単に位置決め固定するようにしたレゾルバロータ位置決め構造及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるレゾルバロータ位置決め構造は、回転軸の外周に対し軸用孔を介して取り付けられた積層型のロータヨークと、前記回転軸の近傍位置に配設された位置決め用ピンと、前記ロータヨークに設けられ前記回転軸に対して、予め決められた取付け位置を示す穴と、を備え、前記ロータヨークは、前記位置決め用ピンが前記穴に挿入される位置で、前記回転軸の外周に圧入されることにより、前記回転軸に対する前記ロータヨークの位置決めがなされる構成であり、また、前記位置決め用ピンは、前記回転軸を有する装置に固定して設けられ、前記ロータヨークを前記回転軸に取り付けた後は、前記位置決め用ピンを切断するようにした構成であり、また、前記位置決め用ピンは、前記回転軸の周面に突出・固定されており、前記ロータヨークを前記回転軸に取り付けた後は、前記位置決め用ピンは、前記回転軸に固定した状態で用いるようにした構成であり、また、本発明によるレゾルバロータ位置決め方法は、回転軸の外周に対し軸用孔を介して取り付けられた積層型のロータヨークと、前記回転軸の近傍位置に配設された位置決め用ピンと、前記ロータヨークに設けられ前記回転軸に対して、予め決められた取付け位置を示す穴と、を用い、前記ロータヨークは、前記位置決め用ピンが前記穴に挿入される位置で、前記回転軸の外周に圧入されることにより、前記回転軸に対する前記ロータヨークの位置決めがなされる方法であり、また、前記位置決め用ピンは、前記回転軸を有する装置に固定して設けられ、前記ロータヨークを前記回転軸に取り付けた後は、前記位置決め用ピンを切断するようにしたことであり、また、前記位置決め用ピンは、前記回転軸の周面に突出・固定されており、前記ロータヨークを前記回転軸に取り付けた後は、前記位置決め用ピンは、前記回転軸に固定した状態で用いる方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるレゾルバロータ位置決め構造及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、回転軸の外周に対し軸用孔を介して取り付けられた積層型のロータヨークと、前記回転軸の近傍位置に配設された位置決め用ピンと、前記ロータヨークに設けられ前記回転軸に対して、予め決められた取付け位置を示す穴と、を備え、前記ロータヨークは、前記位置決め用ピンが前記穴に挿入される位置で、前記回転軸の外周に圧入されることにより、前記回転軸に対する前記ロータヨークの位置決めがなされることにより、極薄形のロータヨークに対しても、ダボ等の有無に関係なく、かつ、ロータヨークに機械的負荷を与えることなく、簡単かつ確実に回転軸に対する所定角度位置(すなわち、原点位置等)でのロータヨークの接続及び固定を行うことができる。
また、前記位置決め用ピンは、前記回転軸を有する装置に固定して設けられ、前記ロータヨークを前記回転軸に取り付けた後は、前記位置決め用ピンを切断するように構成したことにより、回転軸に対する所定角度位置の固定をそのまま維持して回転させることができる。
また、前記位置決め用ピンは、前記回転軸の周面に突出・固定されており、前記ロータヨークを前記回転軸に取り付けた後は、前記位置決め用ピンは、前記回転軸に固定した状態で用いるように構成したことにより、位置決め用ピンは切断する必要がないため、ロータヨークは回転軸に取付けただけの状態で、簡単に位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明によるレゾルバロータ位置決め構造の要部を示す斜視図である。
図2図1の第1形態を示す斜視図である。
図3図2の他の形態を示す斜視図である。
図4図1のロータヨークの断面図である。
図5】従来のロータヨークを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるレゾルバロータ位置決め構造及び方法は、位置決めピンをロータヨークの穴に挿入して、ロータヨークを回転軸に固定することにより、回転軸の所定の角度位置にロータヨークを簡単に位置決め固定することである。
【実施例】
【0012】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバロータ位置決め構造及び方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは、複数のロータコアを転積しつつ積層して形成されたロータヨークであり、このロータヨーク1は、厚さが約2〜5mmで、かつ、例えば、4x(xは軸倍角)の構成である。
【0013】
前記ロータヨーク1は、積層後にかしめによるダボによって全体が一体状に構成され、前記ダボ2の近傍位置に、その厚さを貫通する穴10が形成されていると共に、その中心位置には軸用孔3が形成されている。
前記軸用孔3には、図2で示されるモータ等の装置20の回転軸4が圧入されており、この回転軸4と前記ロータヨーク1は共に一体回転するように構成されている。
【0014】
前記回転軸4の近傍位置には、後述の取付構成によって保持された位置決め用ピン11が配設されており、前記回転軸4の外周4aに対して前記ロータヨーク1を圧入する時、前記位置決め用ピン11と前記穴10の位置とが相互に一致するように予め設計されているため、前記回転軸4に対するロータヨーク1の取付角度は予め設定された原点位置に一致することになる。
【0015】
図2は、前述の回転軸4の近傍に配設された前記位置決め用ピン11の具体的取付構造を示しており、前記位置決め用ピン11は、前記装置20の前蓋21にその根元部11aが固定されると共に前記回転軸4と平行となるように構成されている。
【0016】
従って、前述の構成において、図1で示されるように前記ロータヨーク1の回転軸4への圧入、及び、前記穴10への位置決め用ピン11の挿入が完了した後は、図2で示されるように前記位置決め用ピン11の根元部11aの切断位置で切断した後、前記根元部11aを残して前記位置決め用ピン11を前記穴10から除去して廃棄することにより、前記位置決め用ピン11を有しない前記装置20を得ることができる。
【0017】
図3は、図2の他の形態を示すもので、図2と同一部分には同一符号を付し、図2とは異なる部分のみ説明する。
すなわち、前記回転軸4には、その位置は図2の位置決め用ピン11と同一の機能を有する位置決め用ピン11Aが設けられている。
前記位置決め用ピン11Aは、全体形状がL字型をなし、その先端部11Aaが前記穴10に挿入されて位置決めが行われるように構成されている。
尚、図4は、前記ロータヨーク1の軸用孔3と穴10の関係を断面図で示している。
【0018】
前述の本発明によるレゾルバロータ位置決め構造及び方法の要旨とするところは、以下の通りである。
すなわち、回転軸4の外周4aに対し軸用孔3を介して取り付けられた積層型のロータヨーク1と、前記回転軸4の近傍位置に配設された位置決め用ピン11と、前記ロータヨーク1に設けられ前記回転軸4に対して、予め決められた取付け位置を示す穴10と、を備え、前記ロータヨーク1は、前記位置決め用ピン11が前記穴10に挿入される位置で、前記回転軸4の外周4aに圧入されることにより、前記回転軸4に対する前記ロータヨーク1の位置決めがなされる構成と方法であり、また、前記位置決め用ピン11は、前記回転軸4を有する装置20に固定して設けられ、前記ロータヨーク1を前記回転軸4に取り付けた後は、前記位置決め用ピン11を切断するようにした構成と方法であり、また、前記位置決め用ピン11は、前記回転軸4の周面に突出・固定されており、前記ロータヨーク1を前記回転軸4に取り付けた後は、前記位置決め用ピン11は、前記回転軸4に固定した状態で用いるようにした構成と方法である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によるレゾルバロータ位置決め構造及び方法は、回転軸側に設けた位置決め用ピンを、ロータヨークに予め形成された穴に挿入するだけで、回転軸に対するロータヨークの位置決めを簡単に行うことができ、板厚の薄いロータヨークでも歩留まり良く位置決めができる。
【符号の説明】
【0020】
1 ロータヨーク
1a ロータコア
2 ダボ
3 軸用孔
4 回転軸
4a 外周
10 穴
11,11A 位置決め用ピン
11Aa 先端部
20 装置(モータ等)
21 前蓋
図1
図2
図3
図4
図5