特許第6476427号(P6476427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476427
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20190225BHJP
【FI】
   A63F5/04 603A
   A63F5/04 603C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-236722(P2012-236722)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-83371(P2014-83371A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月2日
【審判番号】不服2017-15430(P2017-15430/J1)
【審判請求日】2017年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純平
【合議体】
【審判長】 平城 俊雅
【審判官】 藤田 年彦
【審判官】 牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−148898(JP,A)
【文献】 特開2011−161037(JP,A)
【文献】 特開2005−398(JP,A)
【文献】 特開2003−70969(JP,A)
【文献】 特開2007−75133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部的な抽選処理において所定の当りに当選したことを機外に報知する当り報知演出を表示するスロットマシンであって、
遊技に用いる遊技価値を設定するために操作される第1操作手段と、
可変表示手段における識別情報の変動表示を開始させるために操作される第2操作手段と、
前記可変表示手段において変動表示する識別情報を停止表示させるために操作される第3操作手段と、
前記可変表示手段とは異なる表示手段であって、前記当り報知演出を表示する演出表示手段と、
を備え、
前記演出表示手段は前記第1操作手段、前記第2操作手段及び前記第3操作手段とは異なる操作手段への遊技者の操作から所定時間経過後に当り報知演出をさらに表示可能である
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記所定の当りに当選してからその当りに対応する遊技状態に移行するまでの状態を示す内部当選状態を記憶する内部当選記憶手段と、
前記内部当選記憶手段による記憶に基づいて前記内部当選状態を所定の発光態様で報知する状態報知手段と、を備え、
前記状態報知手段による報知は、当該スロットマシン前面を覆う前扉の開放に係る操作に基づいて、当該状態報知手段が消灯状態から発光状態に変化することで識別可能となり、
前記演出表示手段は、前記第1操作手段、前記第2操作手段及び前記第3操作手段とは異なる操作手段への遊技者の操作に基づいて前記当り報知演出を終了可能である
ことを特徴とする請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記演出表示手段は、前記第1操作手段、前記第2操作手段及び前記第3操作手段とは異なる操作手段への遊技者の操作に応じて所定時間を計時しながらカウントダウン表示を行い、当該カウントダウン表示が0となったときに、先に実行された当り報知演出再度表示可能である
ことを特徴とする請求項1又は2記載のスロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置されるスロットマシンに関し、特に、所定の当りの報知を行うスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、通常、遊技媒体となるメダルを投入してスタートレバーを操作することにより、外周面に絵柄や数字,文字等からなる複数の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが操作されると、スタートレバーの操作タイミングで行われる内部的な抽選処理の抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するように各リールが停止制御され、停止したリール上の図柄の組合せに応じた数の遊技媒体が払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンでは、内部的な抽選処理において所定の当りに当選したことを機外に報知する当り報知機能を有し、例えば、ビッグボーナス、レギュラーボーナスなどのボーナス遊技への移行が確定するボーナス役に内部的な抽選処理において当選すると、その当選を報知する当り報知演出を行う。
このような当り報知演出は、スロットマシンに備える、液晶表示器、LED、ランプなどの表示手段、及び、スピーカなどの音出力手段等の演出手段を介して行われ、例えば、ボーナスの当選を連想させる文字表示、ランプ点灯、音声出力などが組み合された多彩な表現で出力される。
【0004】
また、このような演出手段による当り報知演出は、所定の当りに当選してからその当りに対応する遊技状態に移行するまでの間、連続して又はその間の所定期間に亘って行われる。
例えば、ボーナス役は、通常、それに当選したとしてもボーナス図柄の組合せでリールが停止しない限り、その権利が次回ゲーム以降に持ち越し可能な当選役であることから、ボーナス役に当選した場合の当り報知演出は、ボーナス役に当選した当選ゲームからボーナス役に対応するボーナス図柄の組合せでリールが停止するまで、すなわちボーナス遊技に移行するまで連続して又はその間の一部で行われる。
【0005】
近年、このような当り報知演出を、携帯電話等に備えるカメラで撮影して、動画サイトに投稿して仲間と共有したり、撮影した画像を自ら観賞して楽しんだりする遊技者が増えている。
ところが、このような報知演出は遊技の進行に伴い消滅してしまう一回限りの演出であることから、見逃してしまったり、カメラでの撮影が間に合わなかったりする場合が多く、シャッターチャンスを逃してしまうことがあった。
特に、報知演出の開始タイミングにバリエーションを設けてあるスロットマシンでは、ボーナス当選を告知する告知ランプの点灯開始タイミングなどの出力開始タイミング自体が多くの投資資金を費やした見返りとして必見の価値を有するものであるから、告知ランプを注視しながら遊技を行っているものの、結局のところ見逃してしまうことがあった。
【0006】
そこで、このような報知演出を再現可能とするスロットマシンが提案されている(例えば、特許文献1)。
このスロットマシンでは、既に報知し終えた演出を遊技者の操作に基づいて再現可能としたもので、遊技者が見過ごしてしまった演出を報知後において再度確認できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−185780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、所定の当りの報知を行うスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、内部的な抽選処理において所定の当りに当選したことを機外に報知する当り報知演出を表示するスロットマシンであって、遊技に用いる遊技価値を設定するために操作される第1操作手段と、可変表示手段における識別情報の変動表示を開始させるために操作される第2操作手段と、前記可変表示手段において変動表示する識別情報を停止表示させるために操作される第3操作手段と、前記可変表示手段とは異なる表示手段であって、前記当り報知演出を表示する演出表示手段と、を備え、前記演出表示手段は前記第1操作手段、前記第2操作手段及び前記第3操作手段とは異なる操作手段への遊技者の操作から所定時間経過後に当り報知演出をさらに表示可能である構成としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスロットマシンによれば、内部当選状態を外見から識別できない識別不能状態となる可能性を有するものの、見間違い等により内部当選を主張する遊技者に対して内部当選状態か否かを正確に説明でき、また、当り報知演出に係る演出手段の故障を迅速に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンに備える7セグメント表示器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図1〜4を参照して説明する。
本実施形態のスロットマシン1は、図1図3に示すように、メダル投入口2から実際に投入されるメダルの数、又は内部的に記憶されたクレジットメダルからベットボタン2aの操作によって信号形式で投入されるメダルの数に応じてゲーム可能な状態となり、この状態でスタートレバー3が操作されると、複数のリール41a〜41cが回転を開始するとともに、それぞれのリール41a〜41cに対応する停止ボタン5a〜5cが押下操作されると、スタートレバー3の操作タイミングで行われる抽選処理の抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するように各リール41が停止制御され、停止した図柄の組合せに応じてメダル払出装置7からメダルが払出されるという、通常のスロットマシン遊技を実現可能な構成を備えている。
【0017】
このようなスロットマシン遊技は、CPUなどの中央演算処理装置、スロットマシン遊技に係るプログラム及びデータを記憶するROM、遊技の進行に係るデータ等を一時的に記憶するRAMなどを備えるコンピュータとして構成されたメイン制御部10によって実現可能に制御され、当り・ハズレの当否の決定を行う抽選処理もメイン制御部10において行われる。
【0018】
抽選処理は、何らかの遊技価値が付与される複数種類の当りと、何ら遊技価値の付与されないハズレとを含む複数の抽選対象の中からくじ引きによりゲームごとの抽選対象を選択する処理であって、それぞれの抽選対象ごとに設定された当選値と、スタートレバー3の操作タイミングで取得する乱数値との比較・照合を行い、乱数値と一致する当選値を有する抽選対象を今回ゲームの当選対象とする処理である。
複数の抽選対象には、付与される遊技価値としてビッグボーナス、レギュラーボーナスなどのボーナス遊技への移行することとなるボーナス役、所定数のメダルが払出される小役、メダルを投入することなく次回遊技可能となるリプレイ役、何ら遊技価値の付与されないハズレなどがある。
また、これらの抽選対象は、それぞれ各リール41が停止したときの図柄の組合せと対応しており、例えば、ボーナス役に当選するとボーナス図柄の組合せ(例えば、「7」の三つ揃い)、小役に当選すると小役図柄の組合せ(例えば、「ベル」の三つ揃い)、リプレイ役に当選するとリプレイ図柄の組合せ(例えば、「リプレイ」の三つ揃い)で、停止するように各リール41が停止制御される。
【0019】
なお、ボーナス役は、それに当選したとしてもボーナス図柄の組合せでリール41が停止しない限り、その権利が次回ゲーム以降に持ち越し可能な抽選対象であることから、そのような状態を記憶する必要がある。そこで、メイン制御部10は、このような状態が他の状態と識別可能となるように、ボーナス役に当選してからボーナス役に対応する図柄の組合せで停止するまで、すなわちボーナス役に当選してからボーナス遊技に移行するまでは、ボーナス遊技に移行する権利を保有した状態である内部当選状態と認識すべく、ボーナス役に当選すると、内部当選記憶手段として動作するRAM等の記憶手段にボーナスフラグを設定するようになっており、このボーナスフラグを参照することにより、スロットマシン1の状態が内部当選状態か否かを判定可能に構成されている。
以下、内部当選状態とは、ボーナスフラグがRAM等の記憶手段に設定されている状態をいい、また、内部当選状態で実行される動作、演出等は、メイン制御部10がボーナスフラグを参照することにより自ら実行又はサブ制御部20に実行させることで行われるものとする。
【0020】
また、メイン制御部10は、所定の報知演出の制御も行う。この報知演出は、メイン制御部10が所定の演出手段を直接制御することで行うこともできるし、サブ制御部20を介して間接的に制御することで行うこともできる。
演出手段としては、例えば、液晶表示器8a、電球・LED等の発光手段が内蔵された告知ランプ8b、7セグメント表示器8cなどの表示手段と、音を鳴動するスピーカ8dなどの音出力手段とがある。
例えば、図3に示すように、7セグメント表示器8cは、メイン制御部10によって直接制御され、液晶表示器8a、告知ランプ8b、スピーカ8dは、メイン制御部10からの指令を受けたサブ制御部20によって制御される。
サブ制御部20は、メイン制御部10と同様、CPU、ROM、RAMなどを備えるコンピュータとして構成されるとともに、例えば、VDP,VRAM,画像用ROM,液晶ドライバ回路などから構成され液晶表示器8aを制御する液晶表示制御回路、トランジスタなどから構成され告知ランプ8bを制御するLEDドライブ回路、音源IC,音声ROM,アンプなどから構成されスピーカ8dを制御する音声制御回路等を備えている。
【0021】
以上のように構成されたスロットマシン1は、抽選処理において所定の当りとしてボーナス役に当選したことを機外に報知する当り報知演出を行うとともに、ボーナス役に当選してからボーナス役に対応する遊技状態であるボーナス遊技に移行するまでの状態を示す内部当選状態において、当り報知演出を再現できるようになっている。また、内部当選状態では、内部当選状態を識別可能となる所定の出力態様での報知がスロットマシン1前面を覆う前扉1aの開放に係る操作に基づいて行なわれるようになっている。
【0022】
当り報知演出は、前述の抽選処理において、所定の当りとしてボーナス役に当選すると、その当選に基づいて行われる。
当り報知演出は、演出手段として動作する液晶表示部8a、告知ランプ8b、スピーカ8dを介して行われ、例えば、ボーナス当選に係る当り報知演出として、液晶表示部8aでは、「ボーナス確定」の文字表示、告知ランプ8bでは、LEDの点灯表示が行われ、スピーカ8dからは「ボーナス確定」などの音声が出力される。
【0023】
これらの当り報知演出は、ボーナスフラグがRAM等の記憶手段に設定されている状態、すなわち内部当選状態であって、例えば、当該当選に係る抽選処理を行ったゲーム中から、又はそのゲーム以後のゲームから、ボーナス役に対応する図柄の組合せでリールが停止するまで、すなわち、当該ボーナス役に対応する遊技状態であるボーナス遊技に移行するまでの間であって、その間のいずれのタイミングから所定期間、又はボーナス遊技に移行するまで連続して行うことができる。
また、当り報知演出は、例えば、スタートレバー3の操作タイミング、停止ボタン5a〜5cそれぞれの操作タイミング、ベットボタン2aの操作タイミング、メダル投入口2からメダルを投入したタイミングなど遊技者の操作を契機に開始することができる。
【0024】
また、当り報知演出は、報知中ならば、例えば、遊技者の操作に基づいて演出を強制的に終了させることもできる(報知演出終了手段)。また、上記の所定期間に亘って行われるときには、遊技者の操作の有無にかかわらず、ボーナス遊技に移行する前までに終了(自動的に終了)することもできる(報知演出終了手段)。
遊技者の操作に基づいて当り報知演出を強制的に終了させる場合には、スロットマシン1に演出のキャンセルに係る操作手段を設けることができる。この操作手段として、専用の操作部(例えば、キャンセルボタン)を設けることもできるし、ベットボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5等の常設された操作部で代用することもできる。
【0025】
また、このような当り報知演出は、内部当選状態において、再現することができる。
当り報知演出の再現は、どの演出手段(例えば、告知ランプ8b)を、どのような出力態様(例えば、点灯)で、どの開始タイミング(例えば、停止ボタン5cの操作タイミング)から動作させたのかを示す報知履歴データを、メイン制御部10,サブ制御部20がそれぞれのRAM等の記憶手段に記憶させるとともに、当選に基づく当り報知演出が終了した後に、メイン制御部10,サブ制御部20が、報知演出再現手段として動作することにより、記憶した報知履歴データを参照しながら演出手段を制御することで実現できる。
【0026】
例えば、当選に基づく当り報知演出として、告知ランプ8bを、当選したゲームに係るスタートレバー3の操作タイミングから点灯させる演出が行われた場合で説明する。
その後、そのゲームでボーナス図柄の組合せでリール41が停止することなく、ボーナス役の当選が次回ゲーム以降に持ち越されたときには、例えば、遊技者の操作に基づく強制的な終了、又はそのゲームで最後に操作された停止ボタン5の操作タイミング等で告知ランプ8bを消灯させる。
当選に基づく当り報知演出として動作させた演出手段は、告知ランプ8bであったこと、その出力態様は点灯であったこと、開始タイミングはスタートレバー3の操作タイミングであったことを示す報知履歴データを、例えば、サブ制御部20のRAMに記憶する。
次のゲームでスタートレバー3が操作され、メイン制御部10からスタートレバー3が操作されたこと示す操作信号を受信すると、サブ制御部20は、報知演出再現手段として動作し、そのRAMに記憶された報知履歴データを参照して、告知ランプ8bを、操作信号の受信タイミング、すなわち、スタートレバー3の操作タイミングから点灯させる。
これにより、当選に基づく当り報知演出と同じ演出手段が、同じ開始タイミングから、同じ出力態様で動作することになり、当選に基づく当り報知演出が忠実に再現されることになる。また、当選に基づく当り報知演出が再現されるので、そのタイミングを見逃すことなく、カメラで撮影することができる。
なお、当選に基づく当り報知演出で動作させた演出手段、出力態様及び開始タイミング等を示す報知履歴データは、当選に基づく当り報知演出が行われる度に、メイン制御部10又はサブ制御部20などの所定の記憶手段(RAM)に更新して記憶される。また、報知履歴データには、その出力態様の終了タイミング(例えば、消灯タイミング)を含めることもできる。
【0027】
また、当り報知演出の再現は、当選に基づく当り報知演出の開始タイミングにかかわらず(開始タイミングを忠実に再現することにこだわらず)、当選に基づく当り報知演出が終了した後から所定時間後に自動的に開始することもできるし、遊技者の再現を希望する所定の操作に基づいて開始することもできる。
例えば、自動的に行う当り報知演出の再現は、当選に基づく当り報知演出が終了した後から計時が開始され、所定時間経過後に再現を開始することもできる。
また、遊技者の再現を希望する所定の操作に基づいて行う当り報知演出の再現は、スロットマシン1に演出の再現に係る操作手段を設けるとともに、この操作手段が操作された直後、又は操作後から所定時間経過後に再現を開始することもできる。この再現に係る操作手段として、専用の操作部(例えば、再現開始ボタン)を設けることもできるし、常設されたベットボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5で代用することもできる。
例えば、告知ランプ8bを当選したゲームに係るスタートレバー3の操作タイミングから点灯させた当り報知演出を、当該ゲーム中に再現する場合で説明すると、当り報知演出中であって、すべての停止ボタン5に対する操作が終了する前に、演出のキャンセルに係る操作手段の操作により当該当り報知演出を強制的に終了させる。次いで、最後に操作される停止ボタン5を再現に係る操作手段として動作させ、その操作タイミングで、告知ランプ8bを点灯させることで、当り報知演出を再現することもできる。
この例の場合では、告知ランプ8bの点灯タイミングは忠実に再現されないものの、当選に基づく当り報知演出とその再現を、1ゲーム中に完結させることができるようになっている。
【0028】
また、再現の開始タイミングを、事前に報知することもできる。
具体的には、メイン制御部10、サブ制御部20が液晶表示器8a、スピーカ8dを事前報知手段として動作させることにより、再現の開始までの残り時間を識別可能な所定の報知として、例えば、再現の開始までの残り時間を液晶表示器8aにカウントダウン又はカウントアップ表示させたり、スピーカ8dから再現の開始までの残り時間を音声で出力させたりすることもできる。
具体的な当選に基づく当り報知演出として、告知ランプ8bが当選したゲームにおいて最後に操作された停止ボタン5の操作タイミングで点灯したときを例として説明すると、告知ランプ8bが所定期間に亘って点灯後に消灯、又は遊技者の演出キャンセルに係る操作手段の操作に基づいて消灯した後に、遊技者が再現に係る操作手段として、例えば、停止ボタン5を操作し、その後から0〜10秒までの時間を計時しながらカウントダウン表示(1秒経過ごとに10から1ずつ減算した数字を表示)を液晶表示器8aにおいて行い、0となった時に、告知ランプ8bを再び点灯させることもできる。このときには、液晶表示器8aのカウントダウン表示と同期して、スピーカ8dから音声でカウントダウン音(「ジュウ」〜「ゼロ」)を出力させることもできる。
このように再現の開始タイミングを事前に報知することで、再現される当り報知演出を見逃すことなくカメラで撮影することができる。
なお、再現の開始までの残り時間は、遊技者の操作(例えば、キャンセルボタンの操作)に基づいて省略可能とし、この操作に基づき即座に再現させることもできる。
【0029】
以上のような当り報知演出の再現は、内部当選状態で行われることが好ましいが、当選に基づく当り報知演出が行われた後で、再び当選に基づく当り報知演出が行われるまでならば、当該当りに対応する遊技状態、つまりボーナス遊技中においても再現可能とすることもできる。
また、再現可能な期間であれば、何度でも再現することもできるが、自動的に当り報知演出が再現される場合では、繰り返し自動的に再生されることを回避すべく、自動再生をキャンセル可能な操作手段(例えば、キャンセルボタン)を設けることもできる。
【0030】
このように、当り報知演出の再現にあたり、当選に基づく当り報知演出は一旦終了可能としてある。このような終了状態は、外見上、ボーナス遊技中などの特別な状態でもない通常の状態であることから、ボーナス役に内部当選している内部当選状態なのか、それとも、そのような内部当選状態ではない通常の状態なのかは、外見から識別できない。
本実施形態のスロットマシン1では、内部当選状態において、当り報知演出を再現可能であるものの、内部当選状態であっても再現可能とする期間を限定する場合(例えば、当選ゲームに限り再現可能とするなど)があり、また、再現に係る操作手段が故障する場合もある。そうすると、内部当選状態であっても、外見上、通常の状態となる可能性を有することになる。このように内部当選状態にもかかわらず、外見から識別できない識別不能状態を有するスロットマシンの場合、当り報知演出が既に行われたことを事後的に証明することは困難であることから、様々な問題を生じさせるおそれがある。例えば、遊技中の他の報知演出を当り報知演出と見間違える遊技者は、当り報知演出を行ったのだからスロットマシン1は内部当選状態にあるはずだと主張するが、このような主張に対して、見間違いであることを明確に説明することはできない。
そこで、本実施形態のスロットマシン1は、演出手段として動作する液晶表示部8a、告知ランプ8b、スピーカ8dとは別個独立して、内部当選状態を所定の出力態様で報知する状態報知手段を設けてある。
さらに、この状態報知手段による報知は、スロットマシン前面を覆う前扉1aの開放に係る操作に基づいて識別可能となるように構成されている。
【0031】
このような状態報知手段の一例として、例えば、メイン制御部10で直接制御される演出手段である、7セグメント表示器8cを採用することができる。
この7セグメント表示器8cは、図2に示すように、筐体1bの開口部を開閉可能に覆う、前扉1aの裏面側に設けられており、その出力態様として、例えば、内部当選状態で点灯(点滅でもよい)、それ以外の状態で消灯し、スロットマシン1の外部からは点灯・消灯の見分けがつかないようになっている。
これにより、前扉1aを開放可能な権限を有する店員などの遊技場の管理者のみが、7セグメント表示器8cの点灯・消灯の確認を行うことができる。すなわち、遊技場の管理者による前扉1aの開放に係る操作によりはじめて、内部当選状態か否かが識別可能となる。
また、7セグメント表示器8cは、消費電力の低減のため、内部当選状態であっても前扉1aの閉状態では消灯させ、前扉1aの開放により点灯させることもできる。
これは、前扉1aの開閉状態を検出可能な扉センサを設けるとともに、この扉センサからの検出信号をメイン制御部10に入力させることにより、メイン制御部10が検出信号の有無に基づいて7セグメント表示器8cの点灯・消灯を制御することで実現できる。
このように、7セグメント表示器8cを、液晶表示部8a、告知ランプ8b、スピーカ8dとは別個独立して設けるとともに、7セグメント表示器8cによる内部当選状態の報知が、前扉1aの開放に係る操作に基づいて識別可能とすることにより、遊技場の管理者のみが確認することができるので、以下のような奏効を有する。
【0032】
例えば、7セグメント表示器8cを、演出手段として動作する液晶表示部8a、告知ランプ8b、スピーカ8dとは別個独立して設けることにより、これらの演出手段が故障しても、内部当選状態か否かが識別可能となる。つまり、セグメント表示器8cの点灯が確認されているにもかかわらず、当り報知演出を再現させようとしても、演出手段が動作しないときには、これらの故障と判断できる。
さらに、7セグメント表示器8cをメイン制御部10により制御し、演出手段をサブ制御部20により制御するので、サブ制御部20が故障しても、内部当選状態か否かが識別可能となる。
【0033】
また、スロットマシン1の仕様を十分に理解している遊技場の管理者が7セグメント表示器8cの出力態様を確認することができるので、見間違い等により内部当選を主張する遊技者に対しても明確に説明することができる。
また、内部当選状態にもかかわらず、外見から識別できない識別不能状態は、実際にはボーナス役に内部当選している遊技者にとって有利な状態となっており、遊技場の管理者が知らないうちに、このような有利な状態にスロットマシン1を意図的に移行させて、特定の遊技者のみに利益を供与するなどに悪用されるおそれがあるものの、遊技場の管理者のみが確認可能とすることにより、そのような利益供与を事前に発見することができる。
【0034】
また、この7セグメント表示器8cは、既に他の用途として用いられているものを、状態報知手段として利用することもできる。
例えば、この7セグメント表示器8cは、図4に示すように、7つのセグメントa〜gと、1つのドットポイント(dp)からなる8つの発光セグメントを有する、一般的な7セグメントLEDからなり、数字等の発光表示可能な7つのセグメントa〜gを、例えば、ボーナスの当選確率を設定変更可能な設定変更機能に係る段階表示部(6段階の設定確率のうちのいずれかを数字で表示)として動作させ、ドットポイント(dp)を状態報知手段として動作させることもできる。
【0035】
7つのセグメントa〜gと1つのドットポイント(dp)の点灯(1)と消灯(0)の制御は、1又は0の組合せからなる8ビットデータにより点灯制御可能である。
メイン制御部10に備えるCPUは、一般的なスロットマシンに備えるCPUと同様、データを8ビット単位で処理可能な例えば80系のCPUにより構成されており、7セグメント表示器8cを点灯制御する場合には、普段、ドットポイント(dp)は使用しないので消灯(0)扱いで制御することから、8ビット制御データのうちのドットポイント(dp)に対応する、例えば上位又は下位ビットを0とし、この制御データをCPUの出力ポートを介して出力することにより、7セグメント表示器8cの点灯制御を行う。
ドットポイント(dp)を状態報知手段として動作させる場合には、通常、消灯(0)扱いで制御する上位又は下位ビットを1又は0として制御するだけのことであるから、データ容量を増加させることもなく、点灯制御可能となる。
このように、既に他の機能として使用している7セグメント表示器8cのドットポイント(dp)を、状態報知手段として動作させることにより、データ容量を増加させることなく、点灯制御することができる。
さらに、ドットポイント(dp)を状態報知手段として採用する意外性から、その機能の機密性が保持され、機能を教示する管理者を限定することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、内部当選状態において、当り報知演出を再現可能することにより、そのタイミングを見逃すことなく、カメラで撮影することができる。
一方では、当り報知演出を再現可能することにより、内部当選状態を外見から識別できない識別不能状態を有するものの、見間違い等により内部当選を主張する遊技者に対して内部当選状態か否かを正確に説明でき、また、当り報知演出に係る演出手段の故障を迅速に判別することができるようになっている。
例えば、上述した特許文献1に開示されているように、従来のスロットマシンにおいて、当り報知演出を再現させるためには、所定の当りに内部的に当選したことに基づいて行われた当り報知演出を一旦終了させる必要がある。
このような終了状態は、外見上、ボーナス遊技中などの特別な状態でもない通常の状態であることから、所定の当りに内部的に当選している内部当選状態なのか、それとも、そのような内部当選状態ではない通常の状態なのかは、外見から識別できない。
また、当り報知演出の再現機能を有しない場合でも、その当選に係る遊技状態(例えば、ボーナス遊技)に移行する前に当り報知演出を終了させる仕様(例えば、当選ゲームの一部の期間のみ報知)を有するスロットマシンの場合では、そのような終了状態は、上記の場合と同様に、所定の当りに内部的に当選している内部当選状態なのか、それとも、そのような内部当選状態ではない通常の状態なのかは、外見から識別できない。
このように所定の当りに内部的に当選している内部当選状態にもかかわらず、外見から識別できない識別不能状態を有するスロットマシンの場合、当り報知演出が既に行われたことを事後的に証明することは困難であることから、以下のような弊害が生じることになる。
例えば、遊技者が、遊技中の他の報知演出を、当り報知演出と見間違えてクレームをつけることもある。この場合、当り報知演出を行ったのだからスロットマシンは内部当選状態にあるはずだと主張する遊技者に対して、見間違いであることを明確に説明することは困難であった。
また、所定の当りに当選したときからその当選に係る遊技状態に移行するまで当り報知演出を連続して行う遊技機でも、何らかの機械的、電気的な不具合によって、当り報知演出が途中で終了(停止)してしまう場合もあり、このような状態は、所定の当りに内部的に当選している内部当選状態にもかかわらず演出手段の不具合等により当り報知演出が行われない故障なのか、それとも、そのような故障ではない通常の状態なのかは、外見から識別できなかった。
このように内部的な抽選処理において所定の当りに当選したことを機外に報知するスロットマシンでは、内部当選状態を外見から識別できない識別不能状態となる可能性を有していることから、内部当選状態を確実に識別できる手段が求められており、特に、当り報知演出を再現可能とするために、内部当選に基づく当り報知演出を一旦終了させる必要のあるスロットマシンの場合には、識別不能状態を作為的に作り出さざるを得ないことから、様々な問題が生じるおそれがあった。
れに対して本発明では、上記の従来のスロットマシンが有する問題を解決することができ、内部当選状態か否か、演出手段の故障中か否かを、扉体の開放権限を有する店員などの遊技場の管理者により識別可能とすることで、内部当選を主張する遊技者に対して遊技機の状態を正確に説明できるとともに、当り報知演出に係る演出手段の故障を迅速に判別可能なスロットマシンを実現することができる。
【0037】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0038】
例えば、本実施形態では、所定の当りとしてボーナスを当りとしたが、リプレイに高確率で当選する遊技状態であるリプレイタイム(RT)への移行役(ハズレも含む)、所定の小役やリプレイに当選したときに、この小役、リプレイに対応する図柄の組合せでリールが停止可能なように停止ボタンの操作順序を報知する遊技状態であるアシストタイム(AT)への移行役(ハズレも含む)、リプレイタイム(RT)とアシストタイム(AT)とが組合された遊技状態であるアシスト・リプレイタイム(ART)への移行役(ハズレも含む)を、所定の当りとすることもできる。これらの場合の内部当選状態とは、移行役に当選してからこの移行役に対応する遊技状態に移行するまでの状態である。
また、内部的な抽選処理には、メイン制御部10で行われる抽選処理のみならず、サブ制御部20で行われる抽選処理も含まれ、例えば、リプレイタイム移行役の抽選をメイン制御部10で行うとともに、さらにリプレイタイム移行役に当選後、アシストタイム移行の抽選をサブ制御部20で行い、アシストタイム移行の最終当選を、所定の当りの当選とすることもできる。
【0039】
また、状態報知手段を、7セグメント表示器8cとしたが、これに加えて、又はこれに代えて、液晶表示部8a、スピーカ8dなどの演出手段を状態報知手段として用いることもできる。この場合、演出手段は、前扉1aの開放に係る操作に基づいて識別可能な報知を行うので、例えば、内部当選状態(の識別不能状態)において、前扉1aが開放することにより、スピーカ8dが鳴動して、内部当選状態を報知する(例えば、「内部当選中です」などの音声)。また、前扉1aが開放することにより、液晶表示器8aに内部当選状態を示すメッセージを表示することもできる。
また、前扉1aの開放に係る操作として、前扉1aの施錠状態を開錠する操作に基づいてこれらが動作するように構成することもできる。
【0040】
また、本実施形態では、内部当選に基づく当り報知演出を一旦終了させる必要のあるスロットマシンを適用対象としたが、内部当選状態において当り報知演出を行うスロットマシン、すなわち、内部当選状態を外見から識別できない識別不能状態となる可能性を有するスロットマシンであればすべて適用対象とすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
3 スタートレバー
41 (41a,41b,41c) リール
5 (5a,5b,5c) 停止ボタン
8a 液晶表示器(演出手段、事前報知手段)
8b 告知ランプ(演出手段)
8c 7セグメント表示器(状態報知手段)
8d スピーカ(演出手段、事前報知手段)
10 メイン制御部(報知演出再現手段)
20 サブ制御部(報知演出再現手段)
図1
図2
図3
図4