特許第6476434号(P6476434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社北電子の特許一覧

<>
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000002
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000003
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000004
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000005
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000006
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000007
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000008
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000009
  • 特許6476434-遊技用装置及び遊技システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476434
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】遊技用装置及び遊技システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20190225BHJP
【FI】
   A63F7/02 352N
   A63F7/02 352F
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-43008(P2015-43008)
(22)【出願日】2015年3月4日
(65)【公開番号】特開2016-159054(P2016-159054A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三石 智道
(72)【発明者】
【氏名】小川 周二
(72)【発明者】
【氏名】米永 直明
【審査官】 柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−033797(JP,A)
【文献】 特開2009−279248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を出力可能な情報出力手段を備える遊技用装置において、
貸出要求操作に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出手段において受け付けられた識別情報を特定可能な識別情報特定手段と、
前記遊技媒体貸出手段において前記貸出要求操作が受け付けられたことを特定可能な貸出操作特定手段と、
前記遊技媒体貸出手段において受け付けられた前記識別情報に関連付けられる前記貸出要求操作の回数を計数可能な計数手段と、を備え、
前記情報出力手段は、
前記遊技媒体貸出手段において受け付けられた前記識別情報に関連付けられる前記貸出要求操作の回数が、所定期間において所定数に達することに基づいて、前記遊技媒体貸出手段が遊技場内のいずれの場所に設けられているかを特定可能な情報を含む所定の情報を出力するとともに、
前記識別情報が会員用記録媒体に対応するか非会員用記録媒体に対応するかに応じて前記所定の情報を出力するか否かを判断するための基準を異ならせる
ことを特徴とする遊技用装置。
【請求項2】
所定の情報を出力可能な情報出力手段を備える遊技用装置において、
貸出要求操作に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出手段において受け付けられた識別情報を特定可能な識別情報特定手段と、
前記遊技媒体貸出手段において前記貸出要求操作が受け付けられたことを特定可能な貸出操作特定手段と、
前記遊技媒体貸出手段において貸し出された遊技媒体のうち前記識別情報に関連付けられる遊技媒体の数量を計数可能な計数手段と、を備え、
前記情報出力手段は、
前記遊技媒体貸出手段において貸し出された遊技媒体のうち前記識別情報に関連付けられる遊技媒体の数量が、所定期間において所定数に達することに基づいて、前記遊技媒体貸出手段が遊技場内のいずれの場所に設けられているかを特定可能な情報を含む所定の情報を出力するとともに、
前記識別情報が会員用記録媒体に対応するか非会員用記録媒体に対応するかに応じて前記所定の情報を出力するか否かを判断するための基準を異ならせる
ことを特徴とする遊技用装置。
【請求項3】
前記計数手段は、
所定期間において前記識別情報特定手段によって前記識別情報が特定された回数を計数可能とし、
前記情報出力手段は、
前記所定期間において前記識別情報が特定された回数に関連して前記所定の情報を出力する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技用装置。
【請求項4】
前記情報出力手段は、
前記所定の情報として、前記識別情報に対応する正当な遊技者とは異なる遊技者が前記貸出要求操作を行っている可能性があることを特定可能な情報と、前記遊技媒体貸出手段の動作に異常がある可能性があることを特定可能な情報のうち、少なくともいずれか一方を出力する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技用装置。
【請求項5】
前記貸出要求操作には、
現金の投入によって取得した有価価値に基づく第一の貸出要求操作と、
遊技者が遊技によって獲得した有価価値に基づく第二の貸出要求操作のうち、少なくともいずれか一方が含まれる
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の遊技用装置。
【請求項6】
所定の情報を出力可能な情報出力手段を備える遊技システムにおいて、
貸出要求操作に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出手段において受け付けられた識別情報を特定可能な識別情報特定手段と、
前記遊技媒体貸出手段において前記貸出要求操作が受け付けられたことを特定可能な貸出操作特定手段と、
前記遊技媒体貸出手段において受け付けられた前記識別情報に関連付けられる前記貸出要求操作の回数を計数可能な計数手段と、を備え、
前記情報出力手段は、
前記遊技媒体貸出手段において受け付けられた前記識別情報に関連付けられる前記貸出要求操作の回数が、所定期間において所定数に達することに基づいて、前記遊技媒体貸出手段が遊技場内のいずれの場所に設けられているかを特定可能な情報を含む所定の情報を出力するとともに、
前記識別情報が会員用記録媒体に対応するか非会員用記録媒体に対応するかに応じて前記所定の情報を出力するか否かを判断するための基準を異ならせる
ことを特徴とする遊技システム。
【請求項7】
所定の情報を出力可能な情報出力手段を備える遊技システムにおいて、
貸出要求操作に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出手段において受け付けられた識別情報を特定可能な識別情報特定手段と、
前記遊技媒体貸出手段において前記貸出要求操作が受け付けられたことを特定可能な貸出操作特定手段と、
前記遊技媒体貸出手段において貸し出された遊技媒体のうち前記識別情報に関連付けられる遊技媒体の数量を計数可能な計数手段と、を備え、
前記情報出力手段は、
前記遊技媒体貸出手段において貸し出された遊技媒体のうち前記識別情報に関連付けられる遊技媒体の数量が、所定期間において所定数に達することに基づいて、前記遊技媒体貸出手段が遊技場内のいずれの場所に設けられているかを特定可能な情報を含む所定の情報を出力するとともに、
前記識別情報が会員用記録媒体に対応するか非会員用記録媒体に対応するかに応じて前記所定の情報を出力するか否かを判断するための基準を異ならせる
ことを特徴とする遊技システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用装置及び遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ機などの遊技機が設置された遊技場において、遊技者が遊技を行う場合には、一般に、遊技機に併設された遊技媒体貸出機に現金を投入するか、あるいは、会員カードなどの記録媒体を遊技媒体貸出機に挿入し、所定数の遊技媒体の貸し出しを受けてから遊技を行うようになっている。
遊技媒体貸出機では、記録媒体が挿入された場合、この記録媒体から現金の残高や遊技者が遊技によって獲得した遊技媒体数を読み取り(あるいは、記録媒体から読み取った情報にもとづいて他の装置から現金の残高や獲得した遊技媒体数を取得し)、遊技者からの貸出要求操作に応じて、現金の残高や遊技媒体数の範囲内で遊技媒体を貸し出すようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−279248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の記録媒体を用いた遊技媒体の貸し出しにおいては改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の遊技用装置は、所定の情報を出力可能な情報出力手段を備える遊技用装置において、貸出要求操作に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出手段において受け付けられた識別情報を特定可能な識別情報特定手段と、前記遊技媒体貸出手段において前記貸出要求操作が受け付けられたことを特定可能な貸出操作特定手段と、前記遊技媒体貸出手段において受け付けられた前記識別情報に関連付けられる前記貸出要求操作の回数を計数可能な計数手段と、を備え、前記情報出力手段は、前記遊技媒体貸出手段において受け付けられた前記識別情報に関連付けられる前記貸出要求操作の回数が、所定期間において所定数に達することに基づいて、前記遊技媒体貸出手段が遊技場内のいずれの場所に設けられているかを特定可能な情報を含む所定の情報を出力するとともに、前記識別情報が会員用記録媒体に対応するか非会員用記録媒体に対応するかに応じて前記所定の情報を出力するか否かを判断するための基準を異ならせる構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態における遊技システムの構成を示す図である。
図2】遊技機及び遊技媒体貸出機の構成を示す正面図である。
図3】遊技媒体貸出機の構成を示すブロック図である。
図4】ホール管理装置の構成を示すブロック図である。
図5】貸出履歴データベースの構成を示す図である。
図6】貸出履歴データベースの一例を示す図であり、(a)は貸出要求操作の回数が異常なデータを示しており、(b)は貸出要求操作における遊技媒体の貸し出し数が異常なデータを示している。
図7】貸出操作監視方法の処理手順を示す動作手順図である。
図8】遊技媒体貸出機(各台計数機)の構成を示すブロック図である。
図9】遊技媒体貸出機とホール管理装置の他の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る遊技用装置と、この遊技用装置を備える遊技システム及び貸出操作監視プログラムの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
[遊技システム及び遊技用装置]
本実施形態に係る遊技システム1は、図1に示すように、遊技機10、遊技媒体貸出機20(20aは玉貸機,20bはメダル貸機)、台管理装置30、島管理装置40、親島管理装置50、ホール管理装置60、計数装置70(70aは遊技球計数機,70bはメダル計数機)、精算機80、景品交換装置90、記録媒体管理装置110、会員管理装置120を備えている。
これらの装置は、所定の通信回線(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介して接続され、遊技機10や遊技媒体貸出機20から出力された遊技に関する信号が、台管理装置30を介してホール管理装置60などへ送信されるようになっている。
以下、遊技システム1を構成する各装置について詳述する。
【0009】
遊技機10は、所定の有価価値(例えば、遊技球やメダルなどの遊技媒体、あるいは、遊技機10が封入式遊技機の場合には遊技に使用可能な数量データ)を用いて所定の遊技を実行する機器である。
この遊技機10には、例えば、パチンコ機10a、スロットマシン10b、パロット、アレンジボール、雀球、封入式遊技機等の各種の遊技機が挙げられる。
【0010】
また、遊技機10は、稼動に伴って生成する遊技信号を出力可能に構成されている。
例えば、遊技機10がパチンコ機10aの場合には、このパチンコ機10aに投入された遊技球の数量を示す投入信号であるアウト信号、パチンコ機10aから払出された遊技球の数量を示す払出信号であるセーフ信号などを、遊技信号として出力する。
また、遊技機10がスロットマシン10bの場合には、メダルの投入数を示すメダル投入信号、メダルの払出数を示すメダル払出信号などを、遊技信号として出力する。
なお、前述したように、遊技機10には、封入式遊技機が含まれ、有価価値には、遊技球やメダルなどの遊技媒体の他に、遊技に使用可能な数量データが含まれるが、以下の説明においては、遊技に使用される有価価値が遊技球やメダルなどの遊技媒体であるものとする。
【0011】
また、本実施形態の遊技場では、例えば、多数のパチンコ機10aが設置された遊技場の複数階又は一フロアを二つの区画に分け、一の区画においては、遊技球1個の貸出レートを4円/玉とする4円コーナーとし、他の区画においては、遊技球1個の貸出レートを1円/玉とする1円コーナーとしている。
また、多数のスロットマシン10bが設置された遊技場の複数階又は一フロアを二つの区画に分け、一の区画においては、メダル1枚の貸出レートを20円/玉とする20円コーナーとし、他の区画においては、メダル1枚の貸出レートを5円/玉とする5円コーナーとしている。
このように、遊技場では、貸出レートの異なる遊技媒体を遊技者に貸し出すとともに、遊技場内を貸出レートごとに区分けして遊技機10を設置しており、遊技機10は、区分けされた遊技コーナーごとに予め設定された所属貸出レートの遊技媒体を用いて遊技を行うように定められている。
【0012】
また、本実施形態に係る遊技システム1は、貯玉再プレイシステムとして構築されている。
貯玉再プレイシステムとは、遊技者が獲得した遊技媒体を遊技場が預かるとともに再び遊技(再プレイ)可能に引き出すことができるシステムであり、例えば、本実施形態では、遊技者が遊技によって獲得した遊技媒体(獲得遊技媒体)を記録媒体管理装置110や会員管理装置120で管理するともに、その獲得遊技媒体を遊技媒体貸出機20から引き出し可能とし、遊技機10において再プレイできるようになっている。
なお、獲得遊技媒体は、遊技場の所定の箇所(各遊技コーナーの遊技機島の島端など)に設置されている再プレイ機(非図示)で引き出すこともできる。
【0013】
また、獲得遊技媒体は、貸出レートごとに設けられた口座別に管理されている。さらに、獲得遊技媒体は、それら口座のそれぞれにおいて、遊技者が当日獲得した遊技媒体(以下、当日持玉という)の数量である当日持玉数と、遊技者により前日以前に遊技場に預け入れられた遊技媒体(以下、貯玉という)の数量である貯玉数のデータにより管理される。
【0014】
遊技媒体貸出機20は、遊技機10ごとに設置された装置であって、本発明における遊技媒体貸出手段の一例として動作し、現金の投入や、会員カード(遊技場の会員が獲得した遊技媒体を遊技場に預け入れ、当日以降においても引き出し可能なカード)、ワンデイカード(遊技場の非会員が獲得した遊技媒体を遊技場に預け入れ、当日限り引き出し可能なカード)、プリペイドカード(遊技場に設置されたカード発行機(非図示)に現金を投入して発行されたカード)、ワンデイカードの代わりとなるICコイン等の挿入に基づいて所定量の遊技媒体を遊技者に貸し出す。
なお、以降の説明においては、会員カード、ワンデイカード、プリペイドカードを総称してカードと記載することもある。
【0015】
台管理装置30は、遊技機10ごとに設けられる情報処理装置であって、遊技機10や遊技媒体貸出機20から出力された信号を入力して島管理装置40に送る中継装置として機能する。
島管理装置40は、複数の台管理装置30と接続される上位の情報処理装置であって、台管理装置30から出力された信号を入力して親島管理装置50に送る中継装置として機能する。
【0016】
親島管理装置50は、複数の島管理装置40と接続される上位の情報処理装置であって、島管理装置40から出力された信号を入力してホール管理装置60などに送る中継装置として機能する。
ホール管理装置60は、複数の親島管理装置50と接続される上位の情報処理装置であって、親島管理装置50から出力された信号を入力し、この信号にもとづいて遊技に関する所定の情報を算出し、算出した所定の情報を遊技情報として集計管理する。
【0017】
計数装置70は、遊技者が遊技によって獲得した遊技媒体の数量を計数するための装置であり、遊技場内の所定の箇所、例えば、遊技機島の島端などに設置されている。具体的には、各計数装置70は、それぞれ遊技コーナー専用の計数機として設置され、例えば、遊技球計数機70aは、設定された一の貸出レートの遊技球のみ計数可能に設置され、メダル計数機70bは、設定された一の貸出レートのメダルのみ計数可能に設置されている。
【0018】
また、図示しないが、計数装置70には、会員カードやワンデイカードを挿入可能なカード挿入部と、挿入されている当該カードから所定の情報を読み取るカードリーダーが設けられており、計数時にカード挿入部に会員カードやワンデイカードが挿入されている場合は、カードリーダーが、当該カードを特定可能な媒体ID(識別情報)を読み取るとともに、この読み取った媒体IDと、計数結果である計数値とを関連付けて記録媒体管理装置110や会員管理装置120に送信することで、計数された遊技媒体を当日持玉や貯玉として遊技場に預け入れることができる。なお、計数結果である計数値を会員カードやワンデイカードに記録してもよい。
【0019】
精算機80は、会員カード、ワンデイカード、ICコイン等の記録媒体を受け付け、この記録媒体から現金の残高を読み取り(あるいは、記録媒体から読み取った媒体IDに基づいて他の装置から現金の残高を取得し)、遊技者からの操作に応じて現金を遊技者に戻す装置である。
また、精算機80は、精算操作信号をホール管理装置60、記録媒体管理装置110、会員管理装置120に送信する。この精算信号には、少なくとも、精算された記録媒体を特定するための媒体IDと、精算機80を特定する機体IDと、精算されて遊技者に戻された金額である精算金額とを含んでいる。
景品交換装置90は、遊技者が遊技によって獲得した獲得遊技媒体と所定の景品とを交換する景品交換をデータ的に処理する、いわゆるPOS端末である。
【0020】
記録媒体管理装置110は、記録媒体に関する情報を管理する管理機能と、他の装置との間で記録媒体に関する情報を送受信する通信機能等を備えた装置である。
記録媒体管理装置110は、遊技者の記録媒体の使用に関する情報を記録した記録媒体管理データベースを記憶する。この記録媒体管理データベースは、例えば、媒体ID、現金の残高、当日持玉数等によって構成されており、貸出レートごとに設けられた口座別に管理されている。
【0021】
記録媒体管理装置110は、遊技媒体貸出機20から送信されてくる媒体IDや各種操作信号に基づいて記録媒体管理データベースを更新する。
例えば、遊技機10の玉貸ボタン11が操作された際に送信されてくる操作信号(売上信号)を受信した場合には、媒体IDに対応する現金の残高から所定値を減算して得られた差を新たな現金の残高として記憶する。
また、遊技媒体貸出機20の払出しボタン25cが操作された際に送信されてくる操作信号(当日持玉再プレイ信号)を受信した場合には、媒体IDに対応する当日持玉数から所定値を減算して得られた差を新たな当日持玉数として記憶する。
【0022】
また、遊技媒体貸出機20の記録媒体返却ボタン24aが操作された際に送信されてくる操作信号(返却信号)を受信した場合には、その時点での現金の残高、当日持玉数等を受信し、媒体IDと紐付けてそれぞれを記憶する。
また、カード発行機(図示せず)にてプリペイドカードが発行されると、このプリペイドカードの媒体IDをカード発行機から取得し、遊技媒体貸出機20にてプリペイドカードが遊技者に返却されると、このプリペイドカードの媒体IDとその時点の現金の残高を遊技媒体貸出機20から取得し、記憶する。
【0023】
会員管理装置120は、遊技場に会員として登録された遊技者に関する情報を管理する管理機能と、他の装置との間で会員として登録された遊技者に関する情報を送受信する通信機能等を備えた装置である。
会員管理装置120は、遊技者(会員)に関する情報を記録した会員データベースを記憶する。この会員データベースは、例えば、会員カードの媒体ID、貯玉数、当日持玉数、現金の残高等によって構成されており、貸出レートごとに設けられた口座別に管理されている。
【0024】
会員管理装置120は、遊技媒体貸出機20から送信されてくる媒体IDや各種操作信号に基づいて会員データベースを更新する。
例えば、遊技機10の玉貸ボタン11が操作された際に送信されてくる操作信号(売上信号)を受信した場合には、媒体IDに対応する現金の残高から所定値を減算して得られた差を新たな現金の残高として記憶する。
また、遊技媒体貸出機20の払出しボタン25cが操作された際に送信されてくる操作信号(貯玉再プレイ信号)を受信した場合には、媒体IDに対応する貯玉数又は当日持玉数から所定値を減算して得られた差を新たな貯玉数又は新たな当日持玉数として記憶する。
また、遊技媒体貸出機20の記録媒体返却ボタン24aが操作された際に送信されてくる操作信号(返却信号)を受信した場合には、その時点での現金の残高、貯玉数、当日持玉数等を受信し、媒体IDと紐付けてそれぞれを記憶する。
【0025】
このような構成からなる遊技システム1において、図1に示す、遊技媒体貸出機20、台管理装置30、島管理装置40、親島管理装置50、ホール管理装置60、計数装置70、精算機80、景品交換装置90、記録媒体管理装置110、会員管理装置120、その他遊技システム1に接続可能な装置や機器を、総称して「遊技用装置」というものとする。
【0026】
ところで、本発明を創作するよりも前の従来の遊技システムや遊技用装置においては、次のような問題があった。
遊技場においては、遊技媒体貸出機に記録媒体を挿入した状態で遊技が行われることで、記録媒体の正当な所有者である遊技者が一時的な離席や退席の際に記録媒体を遊技媒体貸出機から抜き忘れることがある。このような場合、記録媒体が遊技媒体貸出機に残された状態となってしまうので、第三者(以下、不正者)に不正に使用されたり、盗まれてしまうことがあった。
例えば、ワンデイカードが盗まれた場合には、ワンデイカードに関連付けられた残金が精算機で不正に精算されてしまうことや、ワンデイカードに関連付けられた当日持玉が遊技媒体貸出機で不正に払い出されてしまうことで、ワンデイカードの正当な所有者が被害を受ける可能性があった。
【0027】
そのため、記録媒体を盗まれた遊技者の被害の拡大を防ぐために、盗まれた記録媒体を特定して、記録媒体の使用を停止することが行われていた。
例えば、記録媒体を盗まれた遊技者から申し出がされたときに、遊技場の従業員の操作に応じて盗難された記録媒体の使用を停止する技術があった。
具体的には、どの遊技媒体貸出機で記録媒体が盗まれたかを通知された従業員の操作(携帯するリモコンからの指示、遊技媒体貸出機の操作部からの入力等)に応じて、対象の遊技媒体貸出機で直近に返却された記録媒体の識別子を含む情報が遊技媒体貸出機からホール管理装置へ送信される。そして、ホール管理装置は、受信した識別子に対応する記録媒体の使用を停止するように、記録媒体を取り扱う遊技場内の全装置(台間装置、精算機、景品交換機等)に対して指示を出力する。これによって、盗まれた記録媒体が使用されることを防止することができるようになっている。
【0028】
ところが、このような従来の技術では、遊技者が盗難に気付いてから遊技場に申し出て、従業員の操作によって記録媒体の使用が停止される処理がとられるまでの間に、当該記録媒体が既に不正者に使用されてしまい、対応が遅れて被害が大きくなってしまう問題があった。
また、盗難にあった遊技媒体貸出機を指定する必要があるため、どの遊技媒体貸出機で記録媒体が盗まれたのかが不明な場合や、記録媒体を紛失した場合には、記録媒体の使用を停止することができないといった問題があった。
【0029】
さらには、記録媒体を盗んだ不正者の行動心理として、盗んだ記録媒体に関連付けされている当日持玉分を景品交換する際に景品交換カウンターで従業員と顔を会わせるのを避けたいといったことや、会員カードのように残金を精算する際に暗証番号の入力が必要な場合があるといったことから、不正者は遊技媒体貸出機で貸玉として遊技媒体を貸し出し、この貸し出した遊技媒体を遊技に用いたり、あるいは、別の記録媒体に移すといった行動をとる場合がある。
【0030】
そこで、これら種々の問題を解決するために、本発明では、遊技媒体貸出機に記録媒体が挿入された状態で、遊技者からの貸出要求操作を特定し、貸出要求操作の回数又は貸出要求操作によって貸し出された遊技媒体の数量のうち、少なくともいずれか一方を記録媒体の識別情報(媒体ID)ごとに計数し、この計数の結果に関連して所定の情報を出力する構成とした。
これにより、例えば、貸出要求操作の回数や貸し出された遊技媒体の数量が所定期間内に所定数に達したときに、貸出異常と判断し、所定の報知手段に対して警告を表示する命令を出力するので、盗まれた記録媒体の不正な使用による被害を低減させることができる。
また、記録媒体の正当な所持者が紛失や盗難に気付かなくても、記録媒体の不正な使用を早期に発見することができるので、被害の拡大を防ぐことができる。
また、遊技媒体貸出機の遊技媒体の払い出しを計数する計数センサが故障している場合に、遊技媒体が余計に払い出されているような不測の事態においても、貸出異常と判断することができるので、被害の拡大を防ぐことができる。
【0031】
ここに説明した課題及び効果は一例であり、本発明は、遊技場における様々な問題を解決するために適用可能である。このような本発明を適用した場合には、遊技場の運営を円滑に行うことができる。
このような効果を奏することができる本発明を実現可能な遊技用装置は、遊技システム1を構成する装置として、遊技場に設置可能であるが、本発明の実施形態の具体例として、ここでは、遊技媒体貸出機20とホール管理装置60とを挙げて、これらの構成及び機能を以下に詳述する。
【0032】
[遊技媒体貸出機]
本実施形態の遊技媒体貸出機20は、図1に示すように、パチンコ機10aやスロットマシン10bなどの遊技機10毎に設置され、会員カード、ワンデイカード、プリペイドカード、ICコインなどの有価価値を有する記録媒体を受け付け、あるいは、現金の投入を受け付けて、遊技媒体を遊技者に貸し出す貸出処理を実行する装置として構成されている。
この遊技媒体貸出機20は、図2図3に示すように、紙幣投入口21a、紙幣識別部21b、カード挿入口22a、カードR/W(カードリーダー/ライター)22b、ICコイン投入口23a、ICコインR/W(ICコインリーダー/ライター)23b、ICコイン返却口23c、記録媒体返却ボタン24、投入額表示部25a、入力部25b、払出しボタン25c、ノズル(払出通路)26、通信部27、記憶部28、制御部29を備えている。
【0033】
玉貸ボタン11は、遊技機10に設けられ、遊技媒体貸出機20に現金が投入されている場合や挿入されているカードに現金の残高が関連付けされている場合に、遊技者が遊技媒体の貸し出しを行う際に操作を受け付ける操作受付手段である。
この玉貸ボタン11が操作されると、遊技機10の制御部(図示せず)がその操作を受け付けて、操作信号を遊技媒体貸出機20へ送信し、遊技媒体貸出機20の制御部29によって、予め設定された貸出レートに対応する遊技媒体が所定数単位(例えば、4円/玉の貸出レートで500円分に相当する125個)で貸し出される(売上玉)。また、制御部29によって、売上玉の数量を含む売上信号(操作信号)がホール管理装置60、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120へ送信される。
なお、玉貸ボタン11は、遊技機10に設けた構成に限らず、遊技媒体貸出機20に設けてもよい。
【0034】
紙幣投入口21aは、遊技媒体貸出機20の前面に設けられた開口であって、紙幣が投入される投入口である。投入された紙幣は、紙幣投入口21aの内部に設けられた紙幣識別部21bにおいて金種が識別されるとともに、識別した金種を示す信号を金種信号として制御部29へ送る。
また、例えば、会員カードやワンデイカードが、カード挿入口22aに挿入されている場合、紙幣投入口21aに紙幣が投入されると、投入された金額が加算され、当該カードに関連付けられて記憶される。一方、会員カードやワンデイカードが、カード挿入口22aに挿入されていない場合、紙幣投入口21aに紙幣が投入されると、カードストッカ(非図示)に貯留されたワンデイカードがセットされ、投入された金額が当該ワンデイカードに関連付けられて記憶される。
【0035】
カード挿入口22aは、遊技媒体貸出機20の前面に設けられた開口であって、カード、例えば、会員カード、ワンデイカード、プリペイドカードなどの各種カードが挿入される挿入口である。
カード挿入口22aの内部には、挿入されたカードから所定の情報を読み取るカードR/W22bが設けられている。
カードR/W22bは、カード挿入口22aに挿入されたカードを受け付ける受付手段の一例として動作し、このカードから所定の情報(カードを一意に特定する媒体IDなど)を読み取り、制御部29へ送る。
【0036】
ICコイン投入口23aは、遊技媒体貸出機20の前面に設けられた開口であって、所定の有価価値を有する記録媒体であるICコインが投入される投入口である。
ICコイン投入口23aの内部には、投入されたICコインから所定の情報を読み取るICコインR/W23bが設けられている。
ICコインR/W23bは、ICコイン投入口23aに投入されたICコインを受け付ける受付手段の一例として動作し、このICコインから所定の情報(ICコインを一意に特定する媒体IDなど)を読み取り、制御部29へ送る。
【0037】
記録媒体返却ボタン24aは、遊技者が遊技を終了する際などに操作を受け付ける操作受付手段であり、記録媒体返却ボタン24aが操作されると、その時点での現金の残高、当日持玉数、貯玉数が関連付けされた記録媒体が、カード挿入口22a又はICコイン返却口23cからから排出される。
例えば、会員カードが挿入された状態で、記録媒体返却ボタン24aが操作された場合には、その時点での現金の残高、当日持玉数又は貯玉数を含む返却信号が会員管理装置120に送信されるとともに、会員カードが返却される。一方、会員カードが挿入されていない状態で、記録媒体返却ボタン24aが操作された場合には、現金の残高、当日持玉数を含む返却信号が記録媒体管理装置110に送信されるとともに、ワンデイカード又はICコインが返却(発行)される。
【0038】
入力部25bは、複数のボタンや所定の文字情報等を入力可能なテンキー等で構成された入力手段であって、暗証番号などを入力することができる。例えば、会員カードを挿入した遊技者に対して貯玉を貸し出す際に必要な暗証番号を入力することができる。
【0039】
払出しボタン25cは、カード挿入口22aにカードが挿入されている場合に、貯玉から遊技媒体を払い出すとき、又は、当日持玉から遊技媒体を払い出すときに操作を受け付ける操作受付手段である。
この払出しボタン25cが操作されると、制御部29によって、予め設定された貸出レートに対応する遊技媒体が所定数単位で貯玉の範囲内(貯玉再プレイ玉)、又は、当日持玉の範囲内(持玉再プレイ玉)で払い出される。また、制御部29によって、貯玉再プレイ玉の数量を含む貯玉再プレイ信号(操作信号)や持玉再プレイ玉の数量を含む持玉再プレイ信号(操作信号)がホール管理装置60、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120へ送信される。
【0040】
本実施形態の遊技媒体貸出機20は、払出しボタン25cが、貯玉再プレイ玉及び持玉再プレイ玉の双方を払い出す機能を備えているが、遊技者が貯玉と当日持玉の両方を保有している場合には、払出しボタン25cが操作されたときに、貯玉又は当日持玉のどちらから払い出すかについては、遊技場の管理者により設定可能とすることができる。
なお、払出しボタン25cとは別にボタンを設けることで、一方のボタンが操作された場合に貯玉再プレイ玉又は持玉再プレイ玉が払い出される構成としてもよい。
また、このような貯玉再プレイ玉や持玉再プレイ玉の払い出しは、遊技機島の島端などに設置される再プレイ機(非図示)でも同様に行われるようになっている。
【0041】
また、遊技媒体貸出機20は、玉貸ボタン11や払出しボタン25cの操作に応じて遊技媒体貸出機20から遊技媒体が払い出された数を計数する計数センサ(非図示)を備えており、この計数した遊技媒体の数量(以下、貸出遊技媒体数という)をホール管理装置60、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120に送信する。
【0042】
通信部27は、台管理装置30に通信可能に接続されており、制御部29の指示により各種信号を台管理装置30へ送信する。
【0043】
制御部29は、中央演算処理装置(CPU)、ROM、RAMや入出力インターフェイスなどで構成されたコンピュータからなり、記憶部28であるROMやRAM、HDDなどの記録媒体に記憶された制御プログラムを実行することで、遊技媒体貸出機20の有する各種機能を実行する。
【0044】
制御部29は、カードR/W22bやICコインR/W23bが読み取った媒体IDを受け取ると、この媒体IDをホール管理装置60、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120へ送信するとともに、媒体IDに関連付けられた現金の残高、当日持玉数、貯玉数を記録媒体管理装置110又は会員管理装置120から受信し、記憶部28に記憶させる。
【0045】
また、制御部29は、貸出要求操作を検出すると、遊技媒体の貸し出しを行う。
本実施形態における貸出要求操作には、玉貸ボタン11の押下操作により現金の投入によって取得した遊技媒体を貸し出す現金貸出操作(第一の貸出要求操作)や、払出しボタン25cの押下操作により遊技者が遊技によって獲得した貯玉を払い出す貯玉再プレイ操作又は遊技者が遊技によって獲得した当日持玉を払い出す持玉再プレイ操作(第二の貸出要求操作)等がある。
【0046】
具体的には、制御部29は、玉貸ボタン11の操作を検出すると、現金の残高の範囲内で所定数の遊技媒体を払い出させ、ホール管理装置60、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120に媒体IDとともに売上信号、自身の機体IDを送信させる。
また、制御部29は、払出しボタン25cの操作を検出すると、当日持玉数又は貯玉数の範囲内で所定数の遊技媒体を払い出させ、ホール管理装置60、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120に媒体IDとともに持玉再プレイ信号又は貯玉再プレイ信号、自身の機体IDを送信させる。
【0047】
次に、本発明の遊技用装置の具体例として、ホール管理装置60の構成について説明する。
[ホール管理装置]
本実施形態のホール管理装置60は、図4に示すように、通信部61と、入力操作部62と、出力表示部63と、記憶部64と、制御部65とを備えている。
【0048】
通信部61は、親島管理装置50から出力された信号を所定の通信回線を介して受信する受信手段である。この通信部61は、少なくとも、遊技機10から出力された遊技信号を受信するとともに、遊技媒体貸出機20から出力された操作信号などを受信する。
入力操作部62は、所定の情報や命令などを入力するために遊技場の店員等によって操作されるキーボードやマウスなどの入力操作手段である。
出力表示部63は、所定の情報を画面表示する液晶ディスプレイなどの表示手段と、所定の情報を所定の用紙に印字出力するプリンターなどの印刷手段とを含む出力手段である。
【0049】
記憶部64は、ホール管理装置60の有する機能に関するプログラムやデータを記憶可能な記憶手段(例えば、不揮発性ROM、ハードディスク等)である。
この記憶部64は、遊技者への遊技媒体の貸し出しに関する情報を履歴として記録した貸出履歴データベースを記憶する。この貸出履歴データベースは、図5に示すように、媒体IDごとに「イベント」、「時刻」、「貸出遊技媒体数」、「機体ID」等を項目として構成されている。
【0050】
「イベント」には、通信部61で受信した各種信号の発生理由が記録される。
例えば、売上信号を受信した場合は「現金貸出操作」、貯玉再プレイ信号を受信した場合は「貯玉再プレイ操作」、持玉再プレイ信号を受信した場合は「持玉再プレイ操作」、返却信号を受信した場合は「排出」、記録媒体の受付を示す信号を受信した場合は「受付」、精算操作信号を受信した場合は「精算」が記録される。
「貸出遊技媒体数」には、通信部61で受信した操作信号に含まれる遊技者に貸し出された遊技媒体の数量が貸出遊技媒体数として記録される。
「機体ID」には、通信部61で受信した遊技場内の各装置を一意に特定する機体IDが記録される。
【0051】
このように、記録媒体の媒体IDごとに各操作の履歴を記憶することで、この貸出履歴データベースを参照して、媒体IDごとの貸出要求操作の回数や貸出要求操作において貸し出された遊技媒体の数量を計数することができ、後述する「貸出異常判定処理」において不正な遊技媒体の貸出の可能性や遊技媒体貸出機20の故障の可能性を知ることができる。
【0052】
また、記憶部64は、貸出異常フラグを記憶する。
貸出異常フラグとは、遊技媒体の不正な貸し出しがされていると推測されること、又は、遊技媒体貸出機20の計数センサ等が故障していると推測されることを示すフラグをいう。
この貸出異常フラグは、後述する「貸出異常判定処理」において判定条件を満たした場合にセット(設定)される。
また、記憶部64は、貸出異常フラグがセットされたときの機体IDを複数日に亘って記憶する。これにより、例えば、遊技場の従業員が遊技媒体貸出機20を点検する際に、遊技場内の全ての装置を見て回る必要がなく、点検対象の遊技媒体貸出機20を容易に特定することができる。
【0053】
制御部65は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータとして動作する制御手段である。
この制御部65は、ROMに記憶された制御プログラムやデータに基づいてホール管理装置60の構成各部からの入力を監視しながらこれら構成各部を制御することにより、通信部61で受信された遊技信号にもとづいて所定の遊技情報を算出、集計し、記憶部64に記憶させる。
例えば、遊技機10から出力されて通信部61で受信された遊技信号(例えばアウト信号やセーフ信号、あるいは、メダル投入信号やメダル払出信号)等にもとづいて、遊技機10ごと又は機種ごとの遊技情報(例えばアウト数やセーフ数、投入数や払出数)を算出して集計し、記憶部64に記憶させる。
【0054】
制御部65は、本発明における識別情報特定手段の一例として動作し、通信部61で受信した媒体IDと、この媒体IDと対応する記録媒体の種類を特定する。
また、制御部65は、本発明における貸出操作特定手段の一例として動作し、通信部61で受信した操作信号に基づいて貸出要求操作を特定する。
【0055】
また、制御部65は、本発明における計数手段の一例として動作し、記憶部64に記憶されている貸出履歴データベースを参照して、媒体IDごとの貸出要求操作の回数と、媒体IDごとの貸出遊技媒体数のうち、少なくともいずれか一方を計数する。
さらに、制御部65は、貸出異常判定手段の一例として動作し、この計数結果に基づいて、以下に説明する特徴的な動作である「貸出異常判定処理」を行う。
【0056】
[貸出異常判定処理]
本実施形態の貸出異常判定処理では、不正者の行動心理や行動パターン等の背景に基づいて、記録媒体の貸し出しが適正に行われたか否かの判定を行うようになっている。
(1)貸出要求操作の回数を用いる処理
制御部65は、媒体IDごとの貸出要求操作の回数が、所定期間において所定数に達したか否かを判定する。
具体的には、図6(a)に示すように、貸出履歴データベースの「イベント」に記録されている貸出要求操作(現金貸出操作、貯玉再プレイ操作、持玉再プレイ操作)の回数を計数した結果が、例えば、3分間に7回を超えるときには、貸出異常と判断する。
これは、通常、正当な遊技者は、遊技の進行に応じて新たに遊技媒体を貸し出す期間が、3分間に1〜2回程度であるのに対して、不正者は、不正な行為が見つからないように一刻も早く、盗んだ記録媒体から多くの遊技媒体の貸し出しを行いたいという行動心理に基づき、短時間の間に、同一の記録媒体から複数回に亘って連続して遊技媒体を貸し出すような不自然な行為には不正行為が介在している可能性が高いと判断して異常と判定するようになっている。
また、遊技媒体貸出機20の計数センサ等の故障によって、貸出要求操作がされた際に通常よりも余計に遊技媒体が貸し出されているような不測の事態が生じている場合に、不正者により短時間の間に連続して繰り返し貸出要求操作がされて遊技媒体が不正に貸し出されているような場合にも、異常と判定することができる。
【0057】
(2)貸出遊技媒体数を用いる処理
また、制御部65は、媒体IDごとの貸出遊技媒体数の合計値が、所定期間において所定数に達したか否かを判定する。
具体的には、図6(b)に示すように、貸出要求操作における貸出遊技媒体数の合計を計数した結果が、例えば、3分間に875玉(4円コーナーのパチンコ機の場合)を超えるときには、貸出異常と判断する。
これは、上記の「(1)貸出要求操作の回数を用いる処理」と同様に、不正者の行動心理に基づき、短時間の間に、同一の記録媒体から大量の遊技媒体を貸し出すような不自然な行為には不正行為が介在している可能性が高いと判断して異常と判断するようになっている。
【0058】
なお、「(1)貸出要求操作の回数を用いる処理」と「(2)貸出遊技媒体数を用いる処理」は、いずれか一方の判定処理を行ってもよく、あるいは、双方の判定処理を行ってもよい。
また、判定処理に用いる所定期間と所定数(3分間に7回,3分間に3回,3分間に875玉等)は、遊技場の管理者によって予め設定され、記憶部64に記憶されており、任意に数値を変更することができる。
【0059】
さらに、制御部65は、上記の判定の結果、貸出異常と判断したときには、貸出異常フラグをセット(設定)するとともに、本発明における貸出手段特定手段の一例として動作し、貸出異常フラグがセットされた遊技媒体貸出機20を機体IDから特定する。そして、この貸出異常フラグがセットされた遊技媒体貸出機20に関連する情報を複数日に亘って記憶部64に記憶する。
【0060】
また、制御部65は、上記の判定の結果、貸出異常と判断したときには、本発明における情報出力手段の一例として動作し、所定の情報を報知手段へ出力する。
例えば、報知手段がホール管理装置60の出力表示部63である場合、制御部65は、この出力表示部63に表示させるべき情報を含む警告命令信号を出力する。出力表示部63は、受けた信号にもとづいて、報知画面を表示する。例えば、「○○番台 カード不正使用」や「○○番台 計数センサ故障」などの文章や図柄などで構成された画面を表示する。
【0061】
また、報知手段がホール管理装置60に接続されたスピーカやランプである場合、制御部65は、このスピーカやランプに対して音声の出力や点灯させることを示す信号を送ることにより、スピーカが所定の警報音を発生し、ランプが所定の色で点灯する。
さらに、報知手段が店員の所持するインカムである場合、制御部65は、このインカムに所定の音声を出力させることを示す信号を送ることにより、インカムが所定の音声を出力する。
【0062】
これにより、遊技場の従業員は、報知手段が行う報知動作を確認することで、遊技場に設置された遊技媒体貸出機20の中に、不正に遊技媒体が貸し出しされている可能性のある遊技媒体貸出機20の所在や、計数センサの故障などによって動作に異常が生じている可能性のある遊技媒体貸出機20の所在を知ることができる。
その結果、盗まれた記録媒体が使用されることによる被害を低減することができ、また、遊技媒体貸出機20の故障によって異常な払い出しがされているような不測の事態において、この事態を知りながら連続して遊技媒体を貸し出すといった不正な行為による被害も低減することができる。
【0063】
また、本実施形態における「貸出異常判定処理」では、上記の判定処理に加えて、以下のような判定を行う。
(I)記録媒体の種類に応じた処理
制御部65は、媒体IDに対応する記録媒体の種類がワンデイカードやICコインの場合には、上記の判定の基準を厳しく規定して判定処理を行う。
具体的には、記録媒体の種類が会員カードの場合は、貸出要求操作の回数が3分間に7回を超えるときには貸出異常と判断するのに対して、ワンデイカードやICコインの場合は、例えば、3分間に3回を超えるときに貸出異常と判断する。
これにより、遊技媒体を貸し出す際に暗証番号の入力が不要な点などの理由から被害にあう可能性が高いワンデイカードやICコインに対する不正の監視を強化することができる。
【0064】
(II)貸出要求操作の種類に応じた処理
制御部65は、貸出要求操作が現金貸出操作の場合には、上記の判定の基準を厳しく規定して判定処理を行う。
具体的には、貸出要求操作が貯玉再プレイ操作や持玉再プレイ操作の場合には、貸出要求操作の回数が3分間に7回を超えるときには貸出異常と判断するのに対して、貸出要求操作が現金貸出操作の場合には、例えば、貸出要求操作の回数が3分間に3回を超えるときに貸出異常と判断する。
これにより、現金分から遊技媒体が不正に貸し出されることの監視を強化することができる。
また、反対に、貸出要求操作が貯玉再プレイ操作や持玉再プレイ操作の場合に、判定の基準を厳しく規定してもよい。これにより、大量の遊技媒体を記憶可能な貯玉や当日持玉から遊技媒体が不正に貸し出された場合に、被害が大きくなることを防ぐことができる。
【0065】
(III)記録媒体の受付回数に応じた処理
制御部65は、記録媒体が遊技媒体貸出機20に受け付けられた回数を計数し、この計数した受付回数が、所定期間において所定数に達したか否かを判定する。
具体的には、貸出履歴データベースの「イベント」に記録されている「受付」の回数が、例えば、3分間に7回を超えるときに貸出異常と判断する。
これにより、複数の遊技媒体貸出機20で記録媒体の受付と排出(抜き差し)を繰り返し行いながら、遊技媒体を不正に貸し出すタイミングを計っているような不審な行動を監視することができる。
また、遊技媒体が不正に貸し出される前に、このような不審な行動を把握することができるため、被害の拡大を防ぐことができる。
なお、これに限らず、判定条件のうち所定期間(3分間)の条件を除いて、受付回数が所定数(7回など)に達したときに、貸出異常と判定してもよい。あるいは、受付回数が、所定期間において所定数に達したときに、上記の「(1)貸出要求操作の回数を用いる処理」や「(2)貸出遊技媒体数を用いる処理」を適用し、判定の基準を厳しく規定して判定処理を行うようにしてもよい。
【0066】
(IV)精算操作後に貸出要求操作がされたことに応じた処理
制御部65は、記録媒体が精算機80に受け付けられた後に、同じ記録媒体が遊技媒体貸出機20で受け付けられて貸出要求操作がされた場合には、上記の判定の基準を厳しく規定して判定処理を行う。
具体的には、貸出履歴データベースの「イベント」に「精算」が記録された後に、同じ媒体IDで貸出要求操作(現金貸出操作)がされた場合には、上記の「(1)貸出要求操作の回数を用いる処理」や「(2)貸出遊技媒体数を用いる処理」を適用し、判定の基準を厳しく規定して判定処理を行う。例えば、貸出要求操作(現金貸出操作)の回数が、3分間に3回を超えるときに貸出異常と判断する。
これにより、不正者が盗んだ記録媒体を精算機80で精算しようとして受け付けをしたところ、暗証番号の入力が必要であったために精算ができず、遊技媒体貸出機20で現金の残高分を貸玉として連続して貸し出すような不審な行動を監視することができる。
【0067】
(V)貸出要求操作がされた遊技媒体貸出機の設置場所に応じた処理
制御部65は、設置場所が離れた位置にある遊技媒体貸出機20間を移動して貸し出しを行っているような場合には、上記の判定の基準を厳しく規定して判定処理を行う。
具体的には、遊技場の1階に設置されている遊技媒体貸出機20で貸出要求操作がされた後に、2階に設置されている遊技媒体貸出機20へ移動して貸出要求操作がされているような場合や、パチンコ機が設置されている遊技コーナーで貸出要求操作がされた後に、スロットマシンが設置されている遊技コーナーへ移動して貸出要求操作がされているような場合には、例えば、貸出要求操作の操作回数が、3分間に3回を超えるときに貸出異常と判断する。
この場合、貸出要求操作がされた遊技媒体貸出機20の設置場所の特定は、例えば、貸出履歴データベースに記録されている「機体ID」に基づいて遊技場内の遊技媒体貸出機20の設置場所を特定する。
これにより、不正者が盗難の発覚を逃れようとするために、記録媒体を盗んだ又は拾った場所から離れた場所で遊技媒体の貸し出しを行うような行動を監視することができる。
さらに、遊技コーナーごと(貸出レートごと)に、上記の判定の基準を変えて判定処理を行ってもよい。例えば、4円コーナーに設置されている遊技媒体貸出機20で貸出要求操作がされた場合には、1円コーナーに設置されている遊技媒体貸出機20で貸出要求操作がされた場合よりも判定の基準を厳しく規定して判定処理を行うようにしてもよい。
【0068】
(VI)特殊景品との交換率に応じた処理
制御部65は、遊技者が獲得した遊技媒体と特殊景品との交換率を等価(等価交換)とする営業形態の遊技場においては、上記の判定の基準を緩く規定して判定処理を行う。
具体的には、等価交換の営業形態ではない遊技場の場合は、貸出要求操作の回数が、3分間に7回を超えるときには貸出異常と判断するのに対して、等価交換の営業形態の遊技場の場合は、例えば、3分間に10回を超えるときに貸出異常と判断する。
これにより、等価交換の場合、遊技者が、中途半端に残っている現金の残高分を、遊技によって獲得した遊技媒体とまとめて景品交換を行いたい場合に、この現金の残高分を遊技媒体として連続して貸し出すようなときでも異常な貸し出しと判定されないようにすることができる。
【0069】
(VII)遊技機の稼働状態に応じた処理
制御部65は、貸出要求操作を受け付けた遊技媒体貸出機20に隣接する遊技機10が稼働していない場合には、上記の判定の基準を厳しく規定して判定処理を行う。
具体的には、貸出要求操作を受け付けた遊技媒体貸出機20を、貸出履歴データベースに記録されている「機体ID」から特定し、この遊技媒体貸出機20に対応する遊技機10が稼働していない場合には、貸出要求操作の回数が、例えば、3分間に3回を超えるときには貸出異常と判断する。
遊技機10が稼働中であるか否かを判断する方法としては、例えば、遊技機10から出力されたアウト信号が、所定期間内に通信部61にて受信されているか否かで判断する。なお、遊技機10が稼働中であるか否かを判断する方法はこれに限らず、例えば、着席した遊技者を撮影する撮像手段の撮像画像にもとづいて判断する方法などでもよい。
これにより、遊技機10で遊技を行なわずに、隣接する遊技媒体貸出機20で貸出要求操作を連続して行っているような不審な行動を監視することができる。
【0070】
ここまで、貸出異常判定処理が行う各判定処理について、詳細に説明した。
なお、これらの判定処理は、いずれか一つのみを採用してもよく、あるいは、二つ以上を採用してもよい。また、判定処理に用いられる基準値は、任意に数値を変更することができる(1分間に2回を超えたときに貸出異常とするなど)。
次に、本実施形態における貸出要求操作に含まれる「乗り入れによる再プレイ操作」について説明する。
【0071】
[乗り入れによる再プレイ操作]
本実施形態では、貸出要求操作のうち貯玉再プレイ操作や当日持玉再プレイ操作には、「乗り入れによる再プレイ操作」も含むことができる。
この「乗り入れによる再プレイ操作」とは、一の貸出レートが設定された遊技コーナーにおいて、この一の貸出レートと異なる他の貸出レートの口座の遊技媒体を引き出して再プレイを行うことである。
例えば、1円コーナーに設置されている遊技機10aで1円口座の貯玉又は当日持玉を引き出して再プレイを行うのではなく、4円口座の貯玉又は当日持玉を貸し出して再プレイを行うような場合である(乗り入れ貯玉再プレイ操作、乗り入れ持玉再プレイ操作)。
【0072】
このような、乗り入れ貯玉再プレイ操作や乗り入れ持玉再プレイ操作が操作された場合でも、ホール管理装置60の制御部65は、上記に説明した貸出異常判定処理を、他の貸出要求操作と同様に行う。つまり、媒体IDごとの乗り入れ貯玉再プレイ操作や乗り入れ持玉再プレイ操作の回数や貸出遊技媒体数を計数し、この計数結果に基づいて、貸出異常判定処理を行うようになっている。
【0073】
また、乗り入れによる再プレイ操作がされた場合には、通常の再プレイ操作がされた場合と判定条件を変えてもよい。
例えば、通常の再プレイ操作の場合は、貸出要求操作の回数が3分間に7回を超えるときには貸出異常と判断するのに対して、乗り入れよる再プレイ操作がされた場合は、3分間に3回を超えるときに貸出異常と判断するようにしてもよい。
これにより、不正者が盗難の発覚を逃れようとするために、記録媒体を盗んだ又は拾った場所の遊技コーナー(1円コーナー)と異なる遊技コーナー(4円コーナー)に移動して遊技媒体の貸し出しを行うような行動を監視することができる。
また、不正者は、できるだけ少ない操作回数で貸し出しを済ませたいといった行動心理から、貸出レートの高い遊技コーナーに移動して、他の貸出レートの口座の遊技媒体を引き出すことが考えられる。そのため、乗り入れによる再プレイ操作が、連続して行われるような不自然な行動を監視することができる。
【0074】
ここまで、本実施形態の遊技システム1の構成について、詳細に説明した。
次に、この遊技システム1が実行する動作の手順を、「貸出操作監視方法」として、図7に示す動作手順図を参照しながら説明する。
【0075】
[貸出操作監視方法]
貸出操作監視方法は、貸出要求操作に応じて遊技媒体が貸し出される際に、適正な遊技媒体の貸し出しが行われているか否かを監視するための処理を行う。
まず、遊技媒体貸出機20において、投入された現金や挿入された記録媒体を受け付ける受付処理が行われる(S10)。
具体的には、カード挿入口22aやICコイン投入口23aに記録媒体が挿入されると、カードR/W22bやICコインR/W23bが、その挿入されたカードやICコインから媒体ID等を読み取る。
また、紙幣投入口21aに現金が投入されると、紙幣識別部21bが、その投入された紙幣の金種を識別し、金額を特定する。
一方、カード挿入口22aやICコイン投入口23aに記録媒体が挿入されていない状態で、紙幣投入口21aに現金が投入された場合には、投入された金額を特定するとともに、カードストッカ(非図示)から新規に発行されるワンデイカードの媒体IDを取得する。
【0076】
そして、遊技媒体貸出機20は、読み取った媒体IDとともに自身の機体IDや投入金額等を、通信部27を介してホール管理装置60、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120に送信する(S11)。
ホール管理装置60は、遊技媒体貸出機20から送信されてきた媒体ID等を、通信部61を介して受信し(S12)、受信した媒体IDごとに「イベント」、「時刻」、「機体ID」等を、記憶部64に記憶されている貸出履歴データベースに記憶する(S14)。このとき、「イベント」には「受付」が記録される。
また、遊技媒体貸出機20は、送信した媒体IDに対応する現金の残高、当日持玉数、貯玉数等を、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120から受信し、記憶部28に記憶する(S13)。
【0077】
遊技媒体貸出機20は、貸出要求操作がされたか否かを判定する(S15)。
遊技媒体貸出機20は、玉貸ボタン11又は払出しボタン25cが操作されるまで待機し(S15:NO)、操作がされたと判定したときは(S15:YES)、記憶部28に記憶されている最新の現金の残高、当日持玉数又は貯玉数を読み出し、この現金の残高、当日持玉数又は貯玉数の範囲内で遊技媒体が貸し出し可能か否かを判定する(S16)。
遊技媒体の貸し出しが可能であると判定した場合は(S16:YES)、所定数(例えば、4円コーナーで500円分に相当する125個)の遊技媒体を貸し出す(S17)。
【0078】
そして、遊技媒体貸出機20は、媒体IDとともに自身の機体IDや操作信号等を、通信部27を介してホール管理装置60、記録媒体管理装置110又は会員管理装置120に送信する(S18)。
ホール管理装置60は、遊技媒体貸出機20から送信されてきた媒体ID等を、通信部61を介して受信する(S19)。
そして、ホール管理装置60は、受信した媒体IDを特定するとともに、この媒体IDに基づいて記録媒体の種類を特定し(S20)、受信した操作信号に基づいて貸出要求操作を特定する(S21)。さらに、受信した媒体IDごとに「イベント」、「時刻」、「機体ID」等を、貸出履歴データベースに記憶する(S22)。例えば、受信した操作信号が売上信号である場合には、「イベント」に「現金貸出操作」を記録し、受信した売上玉の数量を「貸出遊技媒体数」に記録する。
【0079】
ホール管理装置60は、貸出履歴データベースを参照して、媒体IDごとの貸出要求操作の回数と、媒体IDごとの貸出遊技媒体数のうち、少なくともいずれか一方を計数し(S23)、この計数結果を用いて貸出異常判定処理を行う(S24)。
次いで、この貸出異常判定処理によって貸出異常フラグがセットされているか否かを判定する(S25)。
貸出異常フラグがセットされていない場合には(S25:NO)処理を終了する。
一方、貸出異常フラグがセットされている場合には(S25:YES)、報知手段(出力表示部63やインカム等)に対して、不正に貸出要求操作がされている可能性がある旨を示す警告命令信号と、遊技媒体貸出機20の動作に異常がある可能性がある旨を示す警告命令信号のうち、少なくともいずれか一方を出力し(S24)、処理を終了する。
そして、この信号を受信した報知手段は、警告画面の表示や所定の警報音や音声を出力する。
【0080】
また、S24における貸出異常判定処理の結果、貸出異常と判定された時点で、媒体IDに関連付けられている機体ID(遊技媒体貸出機20や島端の再プレイ機)の貸出機能を停止させてもよい(例えば、貸出要求操作機能の停止や記録媒体の返却機能の停止)。
これにより、不正者が遊技媒体を不正に貸し出す行為や、盗難した記録媒体を返却しようとする行為を抑制することができる。
【0081】
[貸出操作監視プログラム]
次に、貸出操作監視プログラムについて説明する。
上記の実施形態におけるコンピュータ(遊技媒体貸出機20、ホール管理装置60)の貸出操作監視機能(貸出操作監視方法を実行するための機能)は、それらコンピュータの記憶部に記憶された貸出操作監視プログラムにより実現される。
【0082】
貸出操作監視プログラムは、コンピュータの制御部(CPUなど)に読み込まれることにより、コンピュータの各構成要素に指令を送り、所定の処理、例えば、遊技媒体貸出機20における受付処理、ホール管理装置60における貸出異常判定処理、ホール管理装置60における警告信号出力処理等を行わせる。
これによって、貸出操作監視機能は、ソフトウエアである貸出操作監視プログラムとハードウエア資源であるコンピュータ(遊技媒体貸出機20、ホール管理装置60)の各構成手段とが協働することにより実現される。
【0083】
なお、貸出操作監視機能を実現するための貸出操作監視プログラムは、コンピュータの記憶部であるROMやハードディスク等に記憶される他、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、たとえば、外部記憶装置及び可搬記録媒体等に格納することができる。
外部記憶装置とは、CD−ROM等の記憶媒体を内蔵し、各装置に外部接続されるメモリ増設装置をいう。一方、可搬記録媒体とは、記録媒体駆動装置(ドライブ装置)に装着でき、かつ、持ち運び可能な記録媒体であって、たとえば、フレキシブルディスク,メモリカード,光磁気ディスク等をいう。
そして、記録媒体に記録されたプログラムは、コンピュータの記憶部であるRAM等にロードされて、CPU(制御部)により実行される。この実行により、上述した実施形態の各装置の機能が実現される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態の遊技用装置、遊技システム及び貸出操作監視プログラムによれば、記録媒体の媒体IDごとに貸出要求操作を特定し、貸出要求操作の回数又は貸出要求操作によって貸し出された貸出遊技媒体数のうち、少なくともいずれか一方を媒体IDごとに計数し、この計数結果が、所定期間内に所定数に達したときに、貸出異常と判断して、所定の報知手段に警告表示などの報知を行わせるので、記録媒体の不正な使用による被害を低減させることができる。
また、記録媒体の正当な所持者が紛失や盗難に気付かなくても、記録媒体の不正な使用を早期に発見することができるので、被害の拡大を防ぐことができる。
さらに、遊技媒体貸出機20の計数センサの故障等により、遊技媒体が貸し出される際に余計に遊技媒体が払い出されているような不測の事態においても、貸出異常と判断することができ、このような事態において遊技媒体が連続して貸し出される被害も防ぐことができる。
【0085】
[他の実施形態]
次に、本発明の遊技用装置(遊技媒体貸出機20)の他の実施形態について説明する。
本実施形態における遊技媒体貸出機20は、次のような構成を備えることができる。
【0086】
遊技媒体貸出装置20は、貸出要求操作に基づいて遊技媒体を貸し出す貸出制御を行い、識別情報を受け付ける受付手段と、受付手段によって所定の識別情報が受け付けられている状態で貸出要求操作が受け付けられたことを特定する貸出操作特定手段と、操作特定手段によって特定される貸出要求操作に基づいて貸出制御を実行する貸出制御実行手段と、貸出制御実行手段が貸出要求操作に基づいて貸出制御を実行すると、次の貸出要求操作に基づく貸出制御の実行を所定期間制限する制限手段と、遊技者が獲得した遊技媒体を計数する計数手段と、を備える。
【0087】
具体的には、カードR/W22b又はICコインR/W23bが、受け付けた記録媒体から識別情報(媒体ID)を読み取る(受付手段)。また、制御部29が貸出要求操作を特定し、この特定した貸出要求操作に基づいて貸出制御を実行する(貸出操作特定手段、貸出制御実行手段)。
さらに、制御部29は、制限手段として動作する。
制限手段は、先の貸出要求操作がされてから、次の貸出要求操作がされるまでの所定期間(例えば、1分間)の間は、遊技者から貸出要求操作がされても、この操作を無効とし、遊技媒体の払い出しを行わないように動作する。
このように貸出要求操作が無効な期間が設けられることで、連続して遊技媒体が貸し出されることがないため、不正者が遊技媒体を不正に貸し出す行為を抑制することができる。
【0088】
また、図8に示す、各台計数機130が、計数手段として動作する。
各台計数機130は、少なくとも、遊技者が遊技機10で獲得した遊技媒体を計数する計数機能と、計数により得た計数値を記録媒体管理装置110又は会員管理装置120に送信して当日持玉又は貯玉として貯留させる機能と、当日持玉数又は貯玉数の範囲内において遊技者に遊技媒体を払い出す払出機能(再プレイ機能)と、各装置との間で所定の情報を送受信する通信機能などを備えた装置である。
【0089】
具体的には、各台計数機130は、受皿131、レバー132、計数センサ(非図示)等を備え、遊技機10の下皿12から投下される遊技媒体を受皿131で貯留し、レバー132を操作すると、受皿131の底面を開閉するシャッター(非図示)が動作することで、受皿131に貯留されている遊技媒体の貯留又は投下を選択することができる。そして、機内へ投下された遊技媒体は、計数センサによって検出される。
そして、各台計数機130は、計数センサにおける検出によって出力される計数信号を集計することで、遊技媒体の計数値を算出し、この計数結果を会員カードやワンデイカード等に関連付けて記録媒体管理装置110又は会員管理装置120に記録させる。
【0090】
このような構成からなる遊技媒体貸出機20を備えた場合でも、上記に説明した遊技用装置、遊技システム及び貸出操作監視プログラムとほぼ同様の効果を奏する。
【0091】
以上、本発明の遊技用装置、遊技システム及び貸出操作監視プログラムの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る本発明の遊技用装置、遊技システム及び貸出操作監視プログラムは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、図4に示すように、識別情報特定手段、貸出操作特定手段、計数手段、貸出異常判定手段、情報出力手段をホール管理装置60に備える構成としたが、図9(a)に示すように、これらの手段を遊技媒体貸出機20に備える構成としてもよい。
この場合、遊技媒体貸出機20の制御部29が各手段として動作し、受け付けた記録媒体から媒体IDを特定するとともに、貸出履歴データベースを参照して貸出異常判定処理を行い、貸出異常と判定した場合は、警告命令信号をホール管理装置60に出力する。そして、遊技媒体貸出機20から受信した信号に基づいてホール管理装置60の出力表示部63が警告表示を行う。
【0092】
また、図9(b)に示すように、識別情報特定手段、貸出操作特定手段、計数手段を遊技媒体貸出機20に備え、貸出異常判定手段、情報出力手段をホール管理装置60に備える構成としてもよい。
この場合、制御部29が各手段として動作し、取得した情報(媒体ID、計数結果等)をホール管理装置60に送信する。そして、遊技媒体貸出機20から受信した情報に基づいてホール管理装置60の制御部65が貸出異常判定処理及び警告命令信号の出力を行う。
なお、図4図9の構成に限らず、各手段を遊技媒体貸出機20又はホール管理装置60のいずれかに備えてもよく、あるいは、他の遊技用装置に備えてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、遊技場の会員が獲得した遊技媒体の管理を会員管理装置120に行なわせ、遊技場の非会員が獲得した遊技媒体の管理を記録媒体管理装置110に行なわせたが、これに限らず、これらの管理をいずれか一つの管理装置で行なわせることもできる。
【符号の説明】
【0094】
1 遊技システム
10 遊技機
20 遊技媒体貸出機(遊技用装置)
29 制御部(識別情報特定手段、貸出操作特定手段、計数手段、貸出異常判定手段、情報出力手段、貸出制御実行手段、制限手段)
60 ホール管理装置(遊技用装置)
65 制御部(識別情報特定手段、貸出操作特定手段、計数手段、貸出異常判定手段、情報出力手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9