特許第6476447号(P6476447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6476447-電源装置 図000002
  • 特許6476447-電源装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476447
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20190225BHJP
【FI】
   H02M3/28 C
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-230334(P2014-230334)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-96622(P2016-96622A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北川 厚
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−060891(JP,A)
【文献】 特開2006−166561(JP,A)
【文献】 特開2013−135551(JP,A)
【文献】 特開2004−312954(JP,A)
【文献】 特開2007−300743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電源から供給される交流電力を整流し、さらに第1の電解コンデンサで平滑化して直流電力を生成し、その直流電力を、電源制御ICによって所定の周波数でオンオフするスイッチング素子によって断続的に変圧トランスに流す1次側回路と、この1次側回路に対して変圧トランスを介して連結する2次側回路に異常が生じた場合に、上記電源制御ICのフィードバック端子に発振停止信号を入力させて電源制御ICによるスイッチング素子のオンオフを停止させるフィードバック手段と、このフィードバック手段による発振停止信号を保持するラッチ回路とを備え、このラッチ回路の作動用電力を生成するために平滑用の第2の電解コンデンサを有する電源装置において、上記第2の平滑コンデンサの電圧を監視し、この第2の平滑コンデンサの電圧がラッチ状態を保持できる所定の電圧まで低下した場合に、上記第1の電解コンデンサに残留している電荷を開放させる放電回路を設けたことを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源と呼ばれる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電源装置として、外部の電源から供給される交流電力を整流し、さらに第1の電解コンデンサで平滑化して直流電力を生成し、その直流電力を、電源制御ICによって所定の周波数でオンオフするスイッチング素子によって断続的に変圧トランスに流す1次側回路と、この1次側回路に対して変圧トランスを介して連結する2次側回路に異常が生じた場合に、上記電源制御ICのフィードバック端子に発振停止信号を入力させて電源制御ICによるスイッチング素子のオンオフを停止させるフィードバック手段と、このフィードバック手段による発振停止信号を保持するラッチ回路とを備え、このラッチ回路の作動用電力を生成するために平滑用の第2の電解コンデンサを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−125084号公報(段落0019,0022、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記発振停止信号が電源制御ICのフィードバック端子に入力されると、発振停止信号はラッチされ、外部からの電力の供給が遮断されるまでラッチ状態が保持される。すなわち、外部からの電力供給が停止すると第2の電解コンデンサの電圧が降下していき、その電圧がラッチ状態を保持するための最低電圧を下回ると、ラッチ状態が解除される。
【0005】
ところが、上記第1の電解コンデンサの容量はこの第2の電解コンデンサの容量より遙かに大きいため、第2の電解コンデンサの電圧が低下してラッチ状態か解除された時点で、まだ第1の電解コンデンサには多くの電荷が充電されている。上述のように、外部からの電力の供給が停止してラッチ状態が解除されると、第1の電解コンデンサに残存している電荷によって電源制御ICが再スタートしてスイッチング素子のオンオフが再開されることによって、短時間ではあるものの2次側回路に電力が発生するという不具合が生じる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、発振停止信号がラッチされている状態で外部からの電力の供給が停止しても、2次側回路に電力が発生しない電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明による電源装置は、外部の電源から供給される交流電力を整流し、さらに第1の電解コンデンサで平滑化して直流電力を生成し、その直流電力を、電源制御ICによって所定の周波数でオンオフするスイッチング素子によって断続的に変圧トランスに流す1次側回路と、この1次側回路に対して変圧トランスを介して連結する2次側回路に異常が生じた場合に、上記電源制御ICのフィードバック端子に発振停止信号を入力させて電源制御ICによるスイッチング素子のオンオフを停止させるフィードバック手段と、このフィードバック手段による発振停止信号を保持するラッチ回路とを備え、このラッチ回路の作動用電力を生成するために平滑用の第2の電解コンデンサを有する電源装置において、上記第2の平滑コンデンサの電圧を監視し、この第2の平滑コンデンサの電圧がラッチ状態を保持できる所定の電圧まで低下した場合に、上記第1の電解コンデンサに残留している電荷を開放させる放電回路を設けたことを特徴とする。
【0008】
一般に第1の電解コンデンサの容量は第2の電解コンデンサの容量より遙かに大きい。そのため、第2の電解コンデンサがラッチ状態を保持している状態で第2の電解コンデンサよりも先に第1の電解コンデンサに残留している電荷を開放させることによって、第1の電解コンデンサに残留している電荷で2次側回路に出力が発生しないようにした。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明は、第2の電解コンデンサのよりも先に第1の電解コンデンサの電荷を開放するので、発振停止信号がラッチされている状態で外部からの電力の供給が停止しても2次側回路に電力が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明が適用される電源装置の構成を示す回路図
図2】本発明の要部である放電回路の構成を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、1は本発明による電源装置の基幹部分であって、外部の商用電源2から100ボルトの交流電力の供給を受けて、外部に所定の電圧の直流電力を出力するものである。商用電源2からの交流電力は最初にブリッジ11で全波整流された後、第1の電解コンデンサ12で平滑化された直流電力に変換される。
【0012】
この直流電力は所定の周波数でオンオフするスイッチング素子13によって変圧トランス3の1次側コイル31に断続的に流される。すると、変圧トランス3を介して連結されている2次側回路5に所定の電圧の交流電力が誘導され、さらに2次側回路5内で直流電力に整流された後、外部へと出力される。
【0013】
この2次側回路5内には、ショート故障時に大電流が流れると発光するフォトカプラの発光部51が設けられている。この発光部51が発光すると、対をなす受光部61がその光を受光して、受光部61が導通状態になる。すると、デジタルトランジスタ62,63のベースに電流が流れ、その結果、各デジタルトランジスタ62,63にコレクタ電流が流れる。デジタルトランジスタ62のコレクタ電流が流れるとトランジスタ64がオンになりコレクター電流が流れるので、受光部61への受光が停止して受光部61の導通状態が解除されても、トランジスタ64がオンになっているのでデジタルトランジスタ62,63の導通状態がラッチされる。
【0014】
一方、デジタルトランジスタ63のコレクタ電流が流れると電源制御IC4のフィードバック端子41から電流が流れ出す。そして、これが発振停止信号に相当する。この電源制御IC4は上記スイッチング素子13を所定の周波数でオンオフさせるものであるが、フィードバック端子41から電流が流れ、すなわち発振停止信号が発生している状態ではスイッチング素子13に対するオンオフ制御を停止し、その結果、スイッチング素子はオフ状態となり、変圧トランス3の1次側コイル31に電流が流れない。
【0015】
この状態になると、2次側回路から直流電力は出力されないが、半波整流用のダイオード7で整流され、分圧抵抗71で分圧された直流電力は第2の電解コンデンサ72で平滑されてラッチ回路に供給され続けることになる。従って、発振停止信号がラッチされた状態が継続する。
【0016】
このラッチ状態をリセットするためには、外部の商用電源2からの電力供給を遮断すればよいが、第1の電解コンデンサ12の容量は第2の電解コンデンサ72の容量より遙かに大きいので、ラッチ回路用の第2の電解コンデンサ72内の電荷が開放され、ラッチ状態が解除されても、第1の電解コンデンサ12に多くの電荷が残存しており、短時間ではあるもののスイッチング素子13がオンオフを再開して2次側回路から直流電力が出力されてしまうおそれがある。
【0017】
そこで、図2に示す放電回路を設けることとした。この放電回路は、第2の電解コンデンサ72の電圧を監視している。具体的には分圧抵抗73で分圧された電圧が所定の電圧より低下すると、FET8のゲート電圧が低下してドレイン−ソース間の導通が遮断されるようにした。この導通状態が遮断されると、中間点81の電位が上がり、その結果トランジスタ82がオン状態になるので、第1の電解コンデンサ12の両端子が導通して充電されている電荷が開放されることになる。
【0018】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0019】
1 電源装置の基幹部分
2 商用電源
3 変圧トランス
4 電源制御IC
5 2次側回路
7 ダイオード
11 ブリッジ
12 第1の電解コンデンサ
13 スイッチング素子
31 1次側コイル
41 フィードバック端子
51 発光部
61 受光部
62 デジタルトランジスタ
63 デジタルトランジスタ
72 第2の電解コンデンサ
図1
図2