特許第6476465号(P6476465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476465
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】巻線装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20190225BHJP
   H01F 41/061 20160101ALI20190225BHJP
【FI】
   H01F41/04 F
   H01F41/061
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-197715(P2014-197715)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-72314(P2016-72314A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】314000280
【氏名又は名称】株式会社アンド
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 満男
【審査官】 堀 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−353058(JP,A)
【文献】 特開2005−294775(JP,A)
【文献】 特開2012−038871(JP,A)
【文献】 特開昭53−106458(JP,A)
【文献】 特開昭55−016436(JP,A)
【文献】 特開2008−126261(JP,A)
【文献】 特開2013−258306(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0333432(US,A1)
【文献】 特開2007−242672(JP,A)
【文献】 特表2014−519200(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0237807(US,A1)
【文献】 特開2007−074881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/00−41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ部と非曲げ部とを有する非円形コイルの製造装置において、コイル線材を送出および把持する線材供給手段と、前記線材供給手段側に設けられた曲げガイドと、前記曲げガイドに前記コイル線材を当接させて曲折しコイルを形成する曲げ手段と、前記曲げガイドの線材を曲げ始める部分の近傍に設けられたコイルガイドと、前記曲げ手段を回転駆動する回転機構とを備え、前記曲げ手段は前記コイル線材の曲折後の位置におけるコイルの外周より外側に回転中心を有し一方向に回転を繰り返すとともに、巻回された前記非円形コイルの側面を前記コイルガイドに接触させることを特徴とする巻線装置。
【請求項2】
前記コイルガイドは、前記曲げガイドの円周の接線上に配置することを特徴とする請求項1記載の巻線装置。
【請求項3】
前記コイルガイドは、線材供給手段によって供給されるコイル線材とほぼ平行な位置に配置された請求項1又は2に記載の巻線装置。
【請求項4】
前記コイルガイドは、前記非円形コイルの重力を支える位置に配置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の巻線装置。
【請求項5】
前記非円形コイルを重力の方向に積層し、前記非円形コイルの重力を支えるコイル支持体を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の巻線装置。
【請求項6】
前記コイルガイドは、前記非円形コイルの曲折部をガイドするガイド曲線部を備えたことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の巻線装置。
【請求項7】
前記コイル線材の端部を前記積層コイルの積層方に折り曲げる端部曲げ手段を備えたこ
とを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の巻線装置。
【請求項8】
前記コイルガイドは、前記非円形コイルの内側に設けられたことを特徴とする請求項1記載の巻線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル巻線装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、回転機の小型で高性能化のため、コイルの断面を平角にして、長方形に近い非円形の形状に巻回することが行われている。
【0003】
図13は特許文献1の構成を示し、平角線を矩形状コイルにする製造方法を示したもので、線材102を送り巻線103全体を回動させつつ線材102をクランプ104と曲げ治具105によりエッジワイズ曲げ加工することで曲げ部を形成し、曲げ部と短辺101aと長辺101bとを含む非円形エッジワイズ巻線を形成する。巻線103の長辺101bの側面を長辺用支持具106、短辺用支持具107等の側面支持具により支持し、線材の高速エッジワイズ曲げ加工に伴って発生する慣性力によって生じる巻線の型くずれを抑えようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−158714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の巻線装置においては、長辺用支持具106を巻線に伴って移動させるため次の折り曲げ時にはこの長辺用支持具106を所定の位置に復帰させなければならない。また長辺用支持具106と短辺用支持具107の2つの支持具を必要とし、それぞれを前述のように移動させたり対比させたりしなければならず、装置が複雑な構成となり高価なものとなっていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するもので、簡単な構成で矩形コイルを高速で巻回する装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る巻線装置は、コイル線材を送出および把持する線材供給手段と、線材供給手段側に設けられた曲げガイドと、曲げガイドにコイル線材を当接させて曲折し非円形コイルを形成する曲げ手段と、曲げガイドの線材を曲げ始める部分の近傍に設けられたコイルガイドと、曲げ手段を回転駆動する回転機構とを備え、曲げ手段は前記コイル線材の曲折後の位置におけるコイルの外周より外側に回転中心を有し一方向に回転を繰り返すとともに、巻回された非円形コイルの側面をコイルガイド接触させ、コイル線材を曲折する際に発生する非円形コイルの揺動をコイルガイドに当接させて、制動させるものである。
【0008】
上記構成としてより具体的には、コイルガイドを曲げガイドの円周の接線上に配置して、非円形コイルの側面部に当接させるものである。
また、コイルガイドは線材供給手段によって供給されるコイル線材とほぼ平行な位置に配置され、非円形コイルの側面と当接させるものである。
また本発明の巻線装置は、非円形コイルの重力を支える位置に配置され、非円形コイルの重量を支持するものである。
【0009】
また、本発明の巻線装置は、コイルガイドとは別に、重力の方向に積層した前記非円形コイルの重力を支えるコイル支持体を設けたものである。
また、本発明の巻線装置は、コイルガイドは前記非円形コイルの曲折部をと当接するガイド曲線部を備え、コイル線材を送出する際に発生する揺動を、ガイド曲線部と非円形コイルの曲折部を当接させて制動させるものである。
【0010】
また、本発明の巻線装置は、コイル線材の端部を積層コイルの積層方法に折り曲げるコイル端部曲げ手段を備え、コイルの制動を行うコイルの構成で外部への端子の取り出しを行うものであり、コイル端部の曲折部を非円形コイル曲折部に設けて、コイル端部の曲折部においてもコイルを制動するものである。
【0011】
また本発明の巻線装置は、コイルガイドを曲げガイドと同軸に設け前記非円形コイルの曲折部内周をガイドするものである。
また本発明の巻線装置は、曲げ手段としてコイル線材が巻回して形成するコイルの外側に回転中心を有する回転機構を備え、連続回転により非円形コイルを製造するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る巻線装置によれば、線材供給手段側に設けられた曲げガイドにコイル線材を当接させて曲折し非円形コイルを形成する曲げ手段と、曲げガイドの線材を曲げ始める部分の近傍に設けられたコイルガイドとを備え、巻回された非円形コイルの側面を前記コイルガイドに接触させ制動させたので、可動部のない簡単な構成で非円形コイルの揺動をすばやく除去でき、高速でコイルを巻回することができる。
また、曲げ手段をコイル線材が巻回して形成するコイルの外側に回転中心を有する回転機構で構成したので、連続回転で高速に非円形コイルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係る巻線装置を示す斜視図。
図2】本発明の実施例1に係る巻線装置のコイル製造状態を示す斜視図。
図3】本発明の実施例1に係る巻線装置の動作を示す説明図。
図4】本発明の実施例1に係る巻線装置の動作を示す説明図。
図5】本発明の実施例1に係る巻線装置のコイルガイドの動作を示す説明図。
図6】本発明の実施例2に係る巻線装置を示す斜視図。
図7】本発明の実施例3に係る巻線装置を示す斜視図。
図8】本発明の実施例3に係る巻線装置のコイルガイドの動作を示す説明図。
図9】本発明の実施例4に係る巻線装置を示す斜視図。
図10】本発明の実施例5に係る巻線装置を示す斜視図。
図11】本発明の実施例5に係る巻線装置を示す斜視図。
図12】本発明の実施例6に係る巻線装置を示す斜視図およびコイルガイドの構成図。
図13】従来の巻線装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、実施例1から実施例6の各々を例に挙げ、図面を参照しながら以下に説明する。なお、本発明の内容はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。図1は、実施例1に係る巻線装置Aの斜視図である。なお、コイルガイドは曲げ手段の説明の都合上図には示していない。線材供給手段Bは断面形状が平角であるコイル線材2を送出又は停止させて把持するものであり、ボビン(図示せず)に巻かれたコイル線材2を図の矢印Jの方向に送出するものである。線材供給手段Bは、モータと駆動ローラの組み合わせた駆動機構を2セット配している。すなわち第1モータ3と第1モータ3の回転を伝達する第1駆動ローラ4と、第1駆動ローラ4と受動的に回転する第1受動ローラ5とでコイル線材2を挟み込む第1の駆動機構と、第2モータ6と第2駆動ローラ7と、受動的に回転する第2受動ローラ8とによってもコイル線材2を挟み込む第2の駆動機構とがあり、駆動ローラと受動ローラをそれぞれ矢印K1、矢印K2、矢印K3、矢印K4の方向に回転させることによりコイル線材2を送出する。コイル線材2はまず第1駆動ローラ4と第1受動ローラ5とにより送られ、線材ガイド9aで案内され、第2駆動ローラ7と第2受動ローラ8でさらに駆動されて線材ガイド9bに達する。線材ガイド9bの端部には後述するように曲げガイド9baが設けられている(図3参照)。また各モータの回転を停止することでコイル線材2を把持する。
それぞれのモータは、回転数を適正にするために減速器を備えることができ、またモータの回転を発停する制御装置(図示せず)を有する。
なお、第1モータ3と第1駆動ローラ4と第1受動ローラ5との組み合わせ、あるいは第2モータ6と第2駆動ローラ7と第2受動ローラ8との組み合わせによる線材供給手段の代わりに、モータとねじによる直線運動変換機構を用いても良い。
【0016】
曲げ手段Cは回転機構である曲げモータ10の回転軸11にレバー12を介して回転自由な曲げローラ13を備え、矢印L方向に回転し、図1においてはコイル線材2に当接して後述する曲げガイド9baを支点としてコイル線材2を図の上方向に折り曲げる。積層ガイド21は線材ガイド9b側に固定されており、コイル線材2がコイル状になって曲折した際にこの積層ガイド21に案内されて順次積層される。
【0017】
曲げ手段Cが幾度か回転してコイル線材2を折り曲げることによって図2に示すように積層されたコイル14を形成する。曲げ手段Cの曲げローラ13がコイル線材2を折り曲げる位置でのコイルの中心線をZ1とし、このとき曲げ手段Cの回転軸11の中心線をZ2とすると、中心線Z2は、コイル14の外周面よりも外側に位置している。
【0018】
巻回されたコイル14は、コイルガイド15の接触部15a上に置かれ、コイル14の重量を支えられている。コイルガイド15の動作については後述する。
【0019】
本発明の巻線装置の巻回の過程を矩形コイルの製作を例にして、図3図4に模式図にて示す。なお、図3から図4の図面は図1に示すX−X方向からの図である。図3(a)はステップ1を示したもので、コイル線材2が巻回を始める前の状態を示しており、回転軸11と曲げローラ13は停止しており、コイル線材2は矢印Jの方向に送られ、線材ガイド9Bから突出する。なお円形の2点鎖線は曲げローラ13の回転軌跡を示す。さらにコイル線材2が送られて、図3(b)のステップ2に示すように矩形コイルの一辺の長さに到達すると、線材供給手段Bは回転を停止し、コイル線材2を把持する。このコイル線材2の送出長さの制御は線材供給手段Bのモータの回転数で行われる。コイル線材2が所定長さ送られたことに同期して曲げローラ13が矢印L方向に回転を開始し、コイル線材2に曲げローラ13が当接しコイル線材2を線材ガイド9bの端部にある曲面形状の曲げガイド9baを中心に折り曲げを開始する。
【0020】
図3(c)はステップ3を示し、コイル線材2が曲線部2aを経てほぼ90度に折り曲げられた状態を示している。この状態で曲げローラ13は時計方向に回転しほぼ左端の位置に移動した状態にあり、コイル線材2を反時計方向に約90度、場合によってはスプリングバックの影響を考慮して90度以上の鋭角に曲げる。さらに曲げローラ13が時計方向に回転を継続するとコイル線材2より離れていくことになる。図3(d)のステップ4では曲げローラ13がさらに回転し、コイル線材2を折り曲げた後、コイル線材2よりしだいに離れていく。図3(b)から(c)までの間コイル線材2は移動せずにその位置を保っているが、この後線材供給手段Bによってコイル線材2の供給が開始される。このとき曲げローラ13も回転を継続しており、曲げローラ13の移動の方が速く行われるので、図3(d)に示すようにコイル線材2の直線部2bが曲げローラ13に接触することはない。なお、コイル線材2を送出するタイミングは安全を期すなら、曲げローラ13が相当の距離離れてから行わせてもよい。
矩形コイルの他の辺の長さ分だけコイル線材2が送出されると図4(a)のステップ5に示すように線材供給手段Bはコイル線材2の送出を停止し把持する。曲げローラ13は継続して回転を行っておりコイル線材2に近づいていく。このとき曲げローラ13にかかる駆動負荷は小さいので速度を上げて時間を節約することが可能である。特に矩形形状の一辺が短いときに無駄な時間をなくすことができる。
【0021】
図4(b)はステップ6を示しており、曲げローラ13がコイル線材2に当接し曲げガイド9bの端部9baを中心として曲げ加工が開始され、図4(c)のステップ7で2回目の曲げ加工が完了する。このときは曲げローラ13には比較的大きな負荷がかかるので回転速度を下げてモータトルクを上げて曲げ加工を行う。さらに同様の動作により図4(d)のステップ8で3回目の曲げ加工が行われる。以上の動作を繰り返すことにより図2に示すように積層された矩形のコイル14が製造される。
図4(d)に示すようにかげ手段Cの曲げローラ13によってコイル線材2の曲げ加工が行われ、積層ガイド21に乗り上げるようにして案内されてコイル状に積層される。コイル14が形成されたときのコイルの中心Z1と回転軸11の中心Z2とは位置が異なっており、Z2はコイル14の外周よりもさらに外側に位置している。
【0022】
曲げローラ13とコイル線材2とは図3図4に示したように曲げ加工のとき以外は接触することがなく、曲げローラ13を逆回転させたり、コイルの積層方向に移動させる必要がないことがわかる。また曲げローラ13は加工が開始されると中心軸を軸方向に移動させることなく連続回転を行えばよいので曲げモータ10の制御は容易であり、高速に回転することが可能である。曲げモータ10は一般にサーボモータと称される誘導モータ、同期モータ、ステッピングモータなどが使用され、モータの回転位置を検出する位置検出器を備えていても良い。
【0023】
なお本実施例では、4つの曲げ部とその間を接続する直線の非曲げ部とからなる正方形に近い矩形の積層コイルを示したが、長辺と短辺との寸法差がある場合にも線材供給手段Bの送り量を調節することで適用できる。また4つの曲げ部とその間を連絡する直線部とからなる4角形状の積層コイルばかりでなく他の多角形のコイルも適用可能である。
【0024】
上述のステップを繰り返して図2に示すようにコイル14が生成される。製造時間を短縮するためにコイルを高速で送り、高速で曲げることが必要であるが、速度を高めるとコイル14は慣性によって揺動を起こす。この揺動の大きさはコイル積層の高さやコイル線材2の強度やコイル14の重量によっても変わり、揺動が大きくまた揺動時間が長くなると曲げ加工が適切に行われなくなりコイル14の寸法に生じたり、あるいは揺動が停止して安定するまでの時間が必要となってコイルの製作時間がかかることになる。この揺動を未然に防止するためコイルガイド15を曲げガイド9baの近傍に配置している。図5(a)(b)(c)にコイルガイドの動作について示す。図5(a)はコイル線材2が供給されて、曲げ加工が行われる前の状態を示し、図5(b)は曲げローラ13がコイル線材2を曲げガイド9baに沿って曲げ加工を行っている状態を示し、図5(c)は前期の曲げ加工が終了した状態を示す。コイルガイド15は図5(a)または(b)に示すように、接触部15aがコイル14の一辺と曲げ加工の開始前あるいは曲げ加工の終了時において接触するように配置している。図5(a)ではコイル線材2が線材供給手段Bによって図の右方向に供給された状態にあり、コイル14の一辺14aがコイルガイド15の接触部15aと接触しながら移動し、このときコイル線材2の移動によるコイル14の揺動は抑制される。図5(b)では曲げローラ13が曲げローラ9baと接触し、コイル線材2を曲折している状態である。そして図5(c)において曲げ加工が終了しコイル14の一辺14bが接触部15aに接触し、曲げ加工時に発生する揺動を抑制する。
【0025】
図2に示すように、コイル14は曲げ手段Cの方向と反対方向に積層され、コイル14はコイルガイド15上に設置されている。コイルガイド15の接触部15aは曲げガイド9baの接線方向と同じ方向になり、コイル線材2と平行して配置されている。本実施例ではコイル14の曲げ終了時にはコイル14の一辺は供給されるコイル線材2と平行になるように設計されている。その結果、コイル線材2の供給時あるいは矩形のコイル14の曲げ加工の終了時にコイル14の一辺が曲げガイド15に接触し、コイルコイル14の揺動を抑制する。本発明の構成によれば矩形のコイル14の長辺と短辺の比率が異なっても揺動を抑制することが可能であり、さらに四角形状に限らず他の多角形コイルでも同様の効果を有する。
【実施例2】
【0026】
図6に本発明の実施例2の構成をあらわす斜視図を示し、図6(a)はコイルの巻き始めの状態を示し、図6(b)はコイルを所定回数巻いた状態を示したものである。実施例1との相違点は巻線装置A全体の向きを変えたことである。このことによりコイル14が重力に対して水平に回転して曲げられ、コイル14が重力の方向に積層され、水平に設置されたコイル支持体20によりコイル14の重力を支える。コイル14を水平に設置することによりコイル14が多層に渡って積層された場合にコイル14の重力による振れが小さくなり、コイルガイド15との相乗効果により揺動がよりいっそう少なくなるという効果を有する。
【実施例3】
【0027】
図7に本発明の実施例3の構成をあらわす斜視図を示す。実施例1との相違点はコイルガイド15にガイド曲線部15bを設けた点にある。このガイド曲線部15bはコイル14の曲折部14cの形状とほぼ同程度または大きいコーナー部寸法を有する。
【0028】
図8は実施例3の動作を説明した図であり、図8(a)は折り曲げが完了したコイル14の状態を示し、図8(b)は線材供給手段Bによりコイル線材2を図の右方向に移動させ、コイル14の次の曲折部を曲げガイド9baの位置まで送った状態を示す。このときコイル線材2が高速で送られる際に発生するコイル14の揺動をコイル14の曲折部14cとコイルガイド15のガイド曲線部15bとを接触させることで揺動を吸収させる。辺の長さが異なる矩形コイルの場合には、コイルガイド15を駆動装置(図示せず)でコイル線材2の必要な移動量に応じて調節することも可能である。
【実施例4】
【0029】
図9に本発明の実施例4の構成の斜視図を示す。実施例1との相違点はコイル14の先端をあらかじめ積層する軸方向に曲折した点にある。図9(a)はコイル線材2の先端を曲折する動作を示すもので、図9(b)はコイル線材2をコイルとして巻始めるときの動作を示し、図9(c)はコイル14を形成するときの動作を示したものである。図9(a)において、コイル線材2の先端2aを端部曲げ手段16を用いてコイルの積層方向(図の上方向)に曲折するものである。線材供給手段Bにより線材が供給され、所定長さコイル線材2が送られると、端部曲げ手段16を矢印M方向に移動させる駆動手段(図示せず)により先端を曲折する。先端2aは巻回されるコイル14の内側に向けて曲折され、この曲げ長さは、コイルを電気的に接続するための端子を設けるに必要な長さに設定する。しかる後コイル線材2が供給され、図9(b)に示すように曲げ手段Cによって図9(c)に示すように非円形のコイル14を形成する。コイル線材2の先端部2aはコイル端部曲折部14dとなってリード線(図示せず)を配線することができる。端部曲げ手段16の駆動手段として、ねじ機構を有するモータや電磁ソレノイドや空圧駆動のプランジャなどの直線機構が用いられる。
コイル端部曲折部14dをコイル14上に直角に曲げることにより、コイルガイド15に部分的に接触させることができ、特定の曲げ動作のときに制動の効果を高めることができる。
【実施例5】
【0030】
図10に本発明の実施例5の構成の斜視図を示す。実施例1との相違点はコイルガイド15とは別に内案内コイルガイド17をコイル14の内部に設けた点にある。図10(a)はコイルの巻始めの動作を示したもので、図10(b)はコイル14を形成したときの動作を示すものである。図10(a)において、線材ガイド9bの先端部に円筒状の内案内コイルガイド17をコイル14の積層方向に設けている。コイル線材2は曲げガイド9baで曲折されてコイルを形成するので、内案内コイルガイド17は図10(b)に示すようにコイル14の内側でコイル14と接触し、コイル曲折時に発生する揺動を抑制する。内案内コイルガイド17の円筒形状はコイル14の曲折部の形状に近似させ、長さはコイル14の積層長さより長くする。なお、内案内コイルガイド17はコイル線材2の幅寸法ほど移動させるための線材ガイド9bにコイル線材2の方向と平行して長孔18を有する。
図11は、図10の構成からコイルガイド15を取り除いたもので、コイル14の揺動の影響が小さいときに簡略的に用いることができる。
【実施例6】
【0031】
図12に本発明の実施例6の構成の斜視図を示す。実施例2との相違点はコイルガイドを斜めに構成した点にある。図12(a)に示したコイルガイド20はコイルの当接部20aが上に向かって直線的に傾斜している。図12(b)はコイル19を製造しているときP矢視の図である。コイル19は台形状にすることで、より巻回時の揺動は小さくなるが、さらに揺動を小さくするためにコイル19の形状に適合するようにコイルガイド18の接触部18aに傾斜をもたせたものである。台形状のコイル19は線材供給手段をBの供給量を変化させることで製造が可能である。この台形の傾斜と接触部18aの傾斜とをほぼ一致させることで巻回ごとに適切な制動を行うことができる。なお接触部18aは図に示すものは直線的な傾斜であるが、階段状に構成しても良い。
【0032】
なおコイルガイド15は、コイル14と接触する際にコイル14を傷つけないように表面をなめらかに加工し、かつ滑りの良い材料を使用することが好ましく、ローラーのような回転体を用いて摩擦を低減することも可能である。また当接時の衝撃を吸収するために弾性体や柔らかな材料を使用しても良い。
また実施例ではコイルガイド15を直方体の形状で構成したが、板状のものを折り曲げてL字型に構成しても良い。
コイルガイド15の接触部15aの位置はコイル線材2と平行に設置されているので、コイル形状が変化しても位置を変更する必要はないが、制動の程度を調節するためにその位置を微調節する目的で、コイルガイド15の位置を変更するための調節手段を設けることができる。
【符号の説明】
【0033】
A 巻線装置
B 線材供給手段
C 曲げ手段
2 コイル線材
9ba 曲げガイド
14 コイル
15 コイルガイド
15b ガイド曲線部
16 端部曲げ手段
20 コイル支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13