【実施例】
【0018】
図1は、実施例に係るスマートフォンの正面図である。本実施例に係るスマートフォン1は、ディスプレイ11、地上デジタル放送用アンテナ(地デジアンテナ)12、虹彩用カメラ13、イヤホンコネクタ14、レシーバ15、インカメラ16、虹彩用LED17、センサ18及び表示LED19を有する。
図1において、点線で表示されている部分は、実際には正面からは見えない部分を示している。
【0019】
ディスプレイ11は、入力された電話番号や着信通知のメッセージなどを表示する表示装置である。また、ディスプレイ11は、虹彩認証において、利用者の虹彩の撮像状態を表示する。
【0020】
地デジアンテナ12は、地上デジタル放送を受信するためのアンテナである。イヤホンコネクタ14は、スマートフォン1から出力される音声を聞くためのイヤホンを挿入するコネクタである。
【0021】
レシーバ15は、スマートフォン1を用いて音声通信を行う際に、通話の相手の音声を出力する。インカメラ16は、スマートフォン1を用いて通常撮影を行う場合の撮像用のカメラである。
【0022】
センサ18は、例えば、利用者の頭部のスマートフォン1への近接を感知するための近接センサやスマートフォン1の周囲の明るさを感知する照度センサである。表示LED19は、充電中といったスマートフォン1の状態を通知するためのLEDである。
【0023】
虹彩用カメラ13は、虹彩認証において、虹彩を撮像して認証用の画像を取得するための撮像装置である。この虹彩用カメラ13が、「画像取得部」の一例にあたる。虹彩用LED17は、虹彩認証において、虹彩の撮像時に利用者の目を照らすための光源である。この虹彩用LED17が、「虹彩用光源」の一例にあたる。
【0024】
すなわち、虹彩用カメラ13は、虹彩用LED17によって照らされた利用者の虹彩を撮像する。そして、虹彩用カメラ13により取得された画像を用いて虹彩認証が行われる。
【0025】
また、スマートフォン1は、図示していないが、虹彩用カメラ13により撮像された画像を、予め登録されている画像と比較して画像認証を行う画像認証部を有する。
【0026】
次に、
図2及び3を参照して、虹彩用LED17、センサ18及び表示LED19が搭載されたフレキシブル基板について説明する。以下では、虹彩用LED17、センサ18及び表示LED19が搭載されたフレキシブル基板を、「虹彩用LED搭載フレキシブル基板」という。
図2は、虹彩用LED搭載フレキシブル基板の表側平面図である。また、
図3は、虹彩用LED搭載フレキシブル基板の裏側平面図である。ここでは、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100のセンサ18及び表示LED19が搭載された面を表面と言い、虹彩用LED17が搭載された面を裏面という。
【0027】
虹彩用LED搭載フレキシブル基板100は、
図2及び3に示すように、コの字型の形状を有する。そして、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100は、コの字型の開口部に沿って延びる板の一方が他方より長く形成される。すなわち、
図2及び3では、図の下側の板が上側の板に比べて長い。以下では、短い方の板を上部フレキシブル基板201、長い方の板を下部フレキシブル基板202という。
図2及び3では、縦方向の範囲で、各部位を表している。そして、上部フレキシブル基板201と下部フレキシブル基板202とを接続する部位を接続部203という。この下部フレキシブル基板202及び接続部203が、「板状部材」の一例にあたる。また、接続部203が、「第1端部」の一例にあたる。
【0028】
図2に示すように、上部フレキシブル基板201の表面には、センサ18及び表示LED19が設置される。また、下部フレキシブル基板202の表面には、放熱用銅箔層301が設けられている。上部フレキシブル基板201が、「回路実装部」の一例にあたる。
【0029】
さらに、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100は、スマートフォン1への搭載時には、接続部203は、曲げ位置101で屈曲させられる。曲げ位置101で屈曲させられることで、上部フレキシブル基板201は、その裏面が、下部フレキシブル基板202の裏面と対向する状態となる。すなわち、曲げ位置101は、
図2において山折りとなる。上部フレキシブル基板201の裏面と下位フレキシブル基板202の裏面とが対向している状態で、スマートフォン1への搭載時には、さらに、下部フレキシブル基板202は、曲げ位置102で上部フレキシブル基板201から離れる方向に屈曲させられる。すなわち、曲げ位置102は、
図2において山折りとなる。また、上部フレキシブル基板201の裏面と下位フレキシブル基板202の裏面とが対向している状態で、下位フレキシブル基板202の重ならない領域、すなわち下部フレキシブル基板202における屈曲部102より先の端部付近に、ビア302が設けられる。
【0030】
また、
図3に示すように、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100の裏面の、ビア302が配置された面の裏側の場所には、虹彩用LED17が配置される。虹彩用LED17が配置される領域204が、「回路実装領域」の一例にあたる。
【0031】
そして、曲げ位置101及び曲げ位置102で曲げられた虹彩用LED搭載フレキシブル基板100の状態は、
図4に示すような状態となる。
図4は、スマートフォンに搭載された虹彩用LED搭載フレキシブル基板の状態を表す概略図である。
【0032】
虹彩用LED搭載フレキシブル基板100が曲げ位置101で屈曲することにより、虹彩用LED17は、センサ18及び表示LED19と同じ向きに向く。すなわち、虹彩用LED17、センサ18及び表示LED19は、スマートフォン1に搭載されると、いずれもスマートフォン1の表面部材20に向かう状態となる。
【0033】
そして、曲げ位置102で下部フレキシブル基板202が屈曲することで、上部フレキシブル基板201から表面部材20へ向かう虹彩用LED17の高さが、低くなり、虹彩用LED17は、表面部材20内に収納される。
【0034】
ここで、下部フレキシブル基板202の表面部材20と平行な領域から表面部材20までの高さは、上部フレキシブル基板201から表面部材20までの高さに、曲げ位置101での屈曲により作られた高さが加わる。すなわち、表示LED19及びセンサ18に比べて、曲げ位置101での屈曲により作られた高さ分だけ、下部フレキシブル基板202は低くなっている。そのため、角度を与えて表面部材20内に虹彩用LED17を収容するために設けられる、曲げ位置102の屈曲は小さい曲げ角でよい。ここで、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100を曲げた場合、曲げた方向とは逆向きに反発力が発生する。この点、曲げ位置102が小さい曲げ角となる、すなわち大きな鈍角となるため、虹彩用LED17に加わる反発力が小さく抑えることができる。
【0035】
次に、
図5及び6を参照して、さらに具体的に虹彩用LED搭載フレキシブル基板100について説明する。
図5は、基板への接続ケーブルを有する虹彩用LED搭載フレキシブル基板の表側平面図である。また、
図6は、基板への接続ケーブルを有する虹彩用LED搭載フレキシブル基板の裏側平面図である。
【0036】
実際にスマートフォン1に搭載する場合、例えば、
図5及び6に示すように、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100には上部フレキシブル基板201から延びる接続ケーブル110が設けられる。具体的には、スマートフォン1の基板に接続ケーブル110が接続されることで、例えば、スマートフォン1のCPU(Central Processing Unit)からの命令に従い、虹彩用LED17の点灯・消灯が制御される。
【0037】
また、
図5及び6では、センサ18として、近接センサ181及び照度センサ182が搭載される。さらに、センサ18は、近接センサ181及び照度センサ182を覆うセンサキャップ183が設けられる。近接センサ181、照度センサ182及びセンサキャップ183を合わせたものが、センサ18にあたる。
【0038】
そして、
図5及び6の虹彩用LED搭載フレキシブル基板100を屈曲させて、スマートフォン1に組み込む形にしたものが、
図7A及び7Bの虹彩用LED搭載フレキシブル基板100にあたる。
図7Aは、組込形状の虹彩用LED搭載フレキシブル基板を虹彩用LED搭載側から見た斜視図である。また、
図7Bは、組込形状の虹彩用LED搭載フレキシブル基板を反対側から見た斜視図である。ここで、反対側とは、虹彩用LED17が搭載されていない側を指す。
【0039】
図7A及び7Bに示すように、組み込む形にすることで、虹彩用LED17、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19が同じ方向を向く。さらに、接続ケーブル110は、虹彩用LED17、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19の搭載面の裏面に屈曲される。
【0040】
次に、
図8〜12を参照して、組み込む形にされた虹彩用LED搭載フレキシブル基板100をスマートフォン1の筐体400に組み込む方法について説明する。
図8は、虹彩用LED搭載フレキシブル基板を組み込む前の筐体の組込部分を拡大した斜視図である。
図9は、組み込む前の筐体及び虹彩用LED搭載フレキシブル基板の関係を表す斜視図である。
図10は、筐体に虹彩用LED搭載フレキシブル基板を組み込んだ状態の組込部分を拡大した平面図である。
図11は、虹彩用LED搭載フレキシブル基板を組み込んだ状態の筐体及び金属ホルダの関係を表す斜視図である。
図12は、筐体に金属ホルダを組み込んだ状態の組込部分を拡大した平面図である。
【0041】
図8に示すように、筐体400は、虹彩用LED17、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19を嵌め込むための開口部401を有する。開口部401の奥は表面部材20により塞がれている。さらに、筐体400は、虹彩用LED17を角度を付けて取り付けるための斜面402及び403を有する。斜面402及び403は、虹彩用LED17の取り付け角度に応じた傾斜を有する。さらに、斜面402及び403の表面には、虹彩用LED17を固着するための両面テープが貼られている。
【0042】
そして、
図9に示すように、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100は、虹彩用LED17、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19が筐体400と対向する位置に配置される。そして、
図9の状態で、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100は、虹彩用LED17、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19が開口部401に嵌めこまれるように、筐体400へ押し込まれる。この時、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19は、開口部401の表面部材20と平行な面に押し付けられ、表面部材20と平行な状態で固定される。また、虹彩用LED17は、斜面402(
図9では不図示)及び403に取り付けられ、傾斜に合わせて表面部材20との間で角度を有する状態となり、両面テープで固着される。
【0043】
虹彩用LED搭載フレキシブル基板100が筐体400に組み込まれると、
図10に示す状態となる。この状態では、図示されていないが、表面部材20に向かって、虹彩用LED17、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19が配置されている。すなわち、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100の虹彩用LED17、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19が配置されていない面が筐体400の内側に向く。
【0044】
さらに、
図11に示すように、本実施例では、金属ホルダ21が、虹彩用LEDフレキシブル基板100が組み込まれた筐体400と対向する位置に配置される。金属ホルダ21は、各部材の固定用及び放熱用の部材である。そして、
図11の状態で、金属ホルダ21は、虹彩用LED17、近接センサ181、照度センサ182及び表示LED19を、開口部401の角度に合わせて後ろから抑えるように筐体400に嵌め込まれる。
【0045】
虹彩用LED搭載フレキシブル基板100の後ろから金属ホルダ21が組み込まれると
図12に示す状態となる。金属ホルダ21は、ツメが筐体に嵌合することで固定される。これにより、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100の筐体400への組み込みが完了する。この金属ホルダ21が、「金属部材」の一例にあたる。
【0046】
図13は、筐体に組み込まれた状態の虹彩用LED搭載フレキシブル基板の側面図である。
図13では、分かり易いように筐体400を省略している。
図13に示すように、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100は、金属ホルダ21により表面部材20に向けて押圧されている。これにより、虹彩用LED17、センサ18及び表示LED19は、筐体400の開口部401の縁に押し付けられる。そのため、センサ18及び表示LED19は、開口部401の縁と金属ホルダ21とにより挟持され、表面部材20と並行の状態で固定される。また、虹彩用LED17は、斜面402及び403と金属ホルダ21とにより挟持され、表面部材20に対して所望の角度を有する状態で固定される。さらに、金属ホルダ21が、虹彩用LED搭載フレキシブル基板100を覆うことで、熱が虹彩用LED搭載フレキシブル基板100から金属ホルダ21へも熱が拡散され、放熱効果が向上する。
【0047】
さらに、
図14を参照して、虹彩用LED17の角度について説明する。
図14は、虹彩用LEDの角度について説明するための図である。虹彩用カメラ13は、目Pの正面から虹彩の撮像を行う。この時、虹彩用カメラ13の画角131は、
図14の虹彩用カメラ13から延びる直線で挟まれた空間となる。また、画角131の中心軸132は、目Pの虹彩の中心と虹彩用カメラ13のレンズの中心とを結ぶ線になる。
【0048】
次に、虹彩用LED17の発光により赤目が発生しない距離Lが決定される。この距離Lが、「所定距離」の一例にあたる。距離Lは、スマートフォン1のサイズや他の部材の配置などを考慮して決定されることが好ましい。そして、距離Lの位置に配置された虹彩用LED17の中心から延びる中心軸172が目Pの虹彩の中心に到達するように虹彩用LED17の角度θが決定される。この状態で、虹彩用LED17の照射角171は、
図14の虹彩用LED17から延びる直線で挟まれた空間となる。そして、この場合、虹彩認証の空間Sは、スマートフォン1を用いて虹彩認証を行うにあたり十分大きな領域を確保できる。
【0049】
さらに、本実施例における虹彩用カメラ13は、画角の長手方向が認証対象者の顔の横方向に位置した状態で両目の虹彩の認証を行うように配置される。ここで、
図15A及び15Bを用いて本実施例に係る虹彩用カメラの配置での虹彩認証について説明する。
図15Aは、虹彩用カメラが画角の長手方向が顔の縦方向に位置した状態で両目の虹彩認証を行うように配置された場合の撮像状態を表す図である。
図15Bは、虹彩用カメラが画角の長手方向が顔の横方向に位置した状態で両目の虹彩認証を行うように配置された場合の撮像状態を表す図である。
【0050】
スマートフォン1において、虹彩用カメラ13の画角の長手方向が認証者の顔の縦方向に位置した状態で両目の虹彩の認証を行うように配置された場合、
図15Aのように、より正確な虹彩認証を行うために目を近づけると、虹彩用カメラ13の画角の外へ片方の目が外れてしまう。そのため、高精彩な両目の虹彩画像を用いて認証を行うことが困難となる。
【0051】
これに対して、本実施例の虹彩用カメラ13の配置であれば、
図15Bのように、目を近づけて大きな虹彩画像を撮像できる状態でも両目が画角の中に納まる。そのため、本実施例に係るスマートフォン1では、高精彩な両目の虹彩画像を用いて虹彩認証を行うことができ、より精度の高い虹彩認証を行うことができる。
【0052】
以上に説明したように、本実施例に係る虹彩認証装置は、虹彩用LEDに角度を持たせるためのフレキシブル基板の屈曲が緩やかとなる。このため、フレキシブル基板から虹彩用LEDへの反発力を小さく抑えることができ、虹彩認証の空間の大きさを確保しつつ小型電子機器内部に収容され安定的に固定される。
【0053】
また、本実施例に係る虹彩用LED搭載フレキシブル基板は、虹彩用LEDの搭載位置に放熱用ビアが設けられ、さらに、虹彩用LEDの搭載位置から放熱用銅箔層が延びているため、高い放熱効率を確保することができる。加えて、放熱用の金属ホルダで虹彩用LED搭載フレキシブル基板を覆うことで、放熱効率をより高めることができる。この点、虹彩用LEDは、光の照射に数100mAの電流を流すため、虹彩用LED単体では、部品のジャンクション温度を超える発熱となる可能性があり、故障の原因となる。これに対して、本実施例に係る虹彩用LED搭載フレキシブル基板は、狭小エリアにおいて高い放熱効率を実現でき、小型電子機器などの狭い空間へ組み込んだ場合にも、虹彩用LEDの発熱を抑え故障を回避させることができる。
【0054】
また、以上では、上部フレキシブル基板の一辺の一部に下部フレキシブル基板が接続されている場合で説明したが、これは曲げやすさを考慮したためであり、上部フレキシブル基板の一辺全てが接続してもよい。また、虹彩用LEDとセンサ及び表示LEDとの配置は、本実施例のように直行方向に位置しなくてもよく、上部フレキシブル基板を屈曲させた状態で、虹彩用LEDと表示LEDとが同じ方向を向けばよい。例えば、方形の下部フレキシブル基板の一辺に上部フレキシブル基板を接続し、その一辺に向かい合う辺の近傍を屈曲させて虹彩用LEDを配置してもよい。すなわち、下部フレキシブル基板上の虹彩用LEDの位置と、下部フレキシブル基板に対する上部フレキシブル基板の位置は、組み込む筐体の形状及びカメラの位置などから決定されることが好ましい。
【0055】
また、本実施例では、下部フレキシブル基板の虹彩用LEDが搭載されている面を山折りにして屈曲させたが、虹彩用カメラの位置が逆の場合、谷折りにして屈曲させてもよい。