(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願が開示する無線通信装置及びインピーダンス補正方法の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、一実施の形態に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示す無線通信装置100は、ディスプレイ101、タッチパネル102、スピーカー103、マイク104及びアプリケーションプロセッサ(以下「APプロセッサ」と略記する)105を有する。また、無線通信装置100は、ベースバンドプロセッサ(以下「BBプロセッサ」と略記する)106、電源回路109、メモリ115及び無線回路を有する。そして、無線回路は、変調部107、パワーアンプ108、インピーダンス補正部110、デュープレクサ111、インピーダンス補正部112、ローノイズアンプ113及び復調部114を有する。
【0013】
ディスプレイ101は、例えば液晶モジュールなどを備え、APプロセッサ105による制御に従って種々の情報を表示する。
【0014】
タッチパネル102は、例えばディスプレイ101と重ねて配置された静電容量式のタッチパネルであり、静電容量の変化を検知することにより、ユーザによる接触を検知する。そして、タッチパネル102は、検知したタッチの位置座標をAPプロセッサ105へ通知する。
【0015】
スピーカー103は、APプロセッサ105による制御に従って種々の音声情報を出力する。
【0016】
マイク104は、例えばユーザが発する音声などの音声情報を取得し、取得した音声情報をAPプロセッサ105へ出力する。
【0017】
APプロセッサ105は、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備え、アプリケーションを実行する。そして、APプロセッサ105は、アプリケーションの処理に応じてディスプレイ101、タッチパネル102、スピーカー103及びマイク104などを制御する。また、APプロセッサ105は、受信データをBBプロセッサ106から取得して受信データを用いた処理を実行したり、処理の結果生成された送信データをBBプロセッサ106へ出力したりする。
【0018】
BBプロセッサ106は、例えばCPU、DSP又はFPGAなどを備え、APプロセッサ105から出力される送信データに対して符号化及びデジタル変調などの所定のベースバンド処理を施し、変調部107へ出力する。また、BBプロセッサ106は、復調部114から出力される受信データに対してデジタル復調及び復号などの所定のベースバンド処理を施し、APプロセッサ105へ出力する。
【0019】
さらに、BBプロセッサ106は、受信時のインピーダンス整合が最適な状態になるようにインピーダンスの第1補正量を決定し、送信時のインピーダンス整合が最適な状態になるようにインピーダンスの第2補正量を決定する。すなわち、BBプロセッサ106は、インピーダンス補正部112に設定する第1補正量を決定した後、インピーダンス補正部110に設定する第2補正量を決定する。このとき、BBプロセッサ106は、第1補正量を決定した後にメモリ115を参照して、決定した第1補正量に対応する第2補正量の初期値を取得し、第2補正量の調整を実行する。BBプロセッサ106による第1補正量及び第2補正量の決定処理については、後に詳述する。
【0020】
変調部107は、BBプロセッサ106から出力される送信データをD/A(Digital/Analogue)変換した後に、無線周波数にアップコンバートする。
【0021】
パワーアンプ108は、電源回路109から供給される電流を用いて送信データを増幅する。パワーアンプ108が消費する電流は、パワーアンプ108の出力段におけるインピーダンスに応じて変化する。
【0022】
電源回路109は、パワーアンプ108へ電流を供給し、パワーアンプ108が消費する電流を測定して測定結果をBBプロセッサ106へ通知する。
【0023】
インピーダンス補正部110は、BBプロセッサ106からの指示に従って、パワーアンプ108の出力段におけるインピーダンスを補正する。すなわち、インピーダンス補正部110は、BBプロセッサ106から指示される第2補正量を設定し、送信に係るインピーダンスを補正する。
【0024】
デュープレクサ111は、送信データをインピーダンス補正部112及びアンテナを介して送信するとともに、アンテナによって受信された受信データをローノイズアンプ113へ出力する。
【0025】
インピーダンス補正部112は、BBプロセッサ106からの指示に従って、アンテナ直近におけるインピーダンスを補正する。すなわち、インピーダンス補正部112は、BBプロセッサ106から指示される第1補正量を設定し、受信に係るインピーダンスを補正する。
【0026】
ローノイズアンプ113は、受信データを低雑音で増幅する。そして、ローノイズアンプ113は、増幅後の受信データを復調部114へ出力する。
【0027】
復調部114は、ローノイズアンプ113から出力される受信データをベースバンド周波数又は中間周波数にダウンコンバートした後に、A/D(Analogue/Digital)変換する。
【0028】
メモリ115は、BBプロセッサ106によって実行される処理に用いられる種々の情報を記憶する。具体的には、メモリ115は、例えばインピーダンス補正部112に設定される第1補正量とインピーダンス補正部110に設定される第2補正量との対応関係を示す補正量テーブルをあらかじめ記憶する。
【0029】
図2は、補正量テーブルの具体例を示す図である。
図2に示すように、補正量テーブルには第1補正量A
m〜A
n(mは負の整数、nは正の整数)と対応する第2補正量B
m〜B
nとが記憶されている。第1補正量は、インピーダンス補正部112に設定される受信に係るインピーダンスの補正量であり、補正量テーブルでは、例えば値が小さい順に並んでいる。そして、補正量テーブルには、それぞれの第1補正量がインピーダンス補正部112に設定された場合に、パワーアンプ108の消費電流を最小にするための第2補正量が記憶されている。補正量テーブルでは、第1補正量が値が小さい順に並んでいたとしても、第2補正量が値が小さい順に並ぶとは限らない。
【0030】
このような第1補正量及び第2補正量の対応関係は、例えば無線通信装置の試作機において、それぞれの第1補正量A
m〜A
nを設定した場合の最適な第2補正量B
m〜B
nを実測により求めることで得られる。したがって、
図2に示す補正量テーブルによれば、例えばインピーダンス補正部112に第1補正量A
0が設定された場合、無線通信装置の試作機ではインピーダンス補正部110に第2補正量B
0を設定することにより、パワーアンプ108の消費電流が最小になったことが示されている。
【0031】
次に、
図3を参照して、一実施の形態に係るBBプロセッサ106の機能について説明する。
図3は、一実施の形態に係るBBプロセッサ106の機能を示すブロック図である。
図3においては、通常のBBプロセッサに備えられる例えば符号化、デジタル変調及び歪み補償などの機能に関するブロックを省略している。
図3に示すように、BBプロセッサ106は、第1補正量設定部201、受信レベル判定部202、第2補正量設定部203及び消費電流判定部204を有する。
【0032】
第1補正量設定部201は、補正量テーブルに記憶されたいずれかの第1補正量を初期値としてインピーダンス補正部112に設定する。そして、第1補正量設定部201は、受信レベル判定部202からの指示に従って、インピーダンス補正部112に設定する第1補正量を順次変更する。第1補正量設定部201は、最終的に、受信レベル判定部202の判定結果に応じて、受信レベルを最大にする第1補正量をインピーダンス補正部112に設定する。
【0033】
受信レベル判定部202は、復調部114によってダウンコンバート及びA/D変換された受信データの受信レベルを用いて、インピーダンス補正部112に設定された第1補正量の適否を判定する。具体的には、受信レベル判定部202は、第1補正量の初期値がインピーダンス補正部112に設定された際の受信レベルを取得すると、第1補正量設定部201に対して、第1補正量を一段階異なる第1補正量に変更するように指示する。すなわち、例えば
図2に示した補正量テーブルの第1補正量A
0が初期値として設定されていた場合、受信レベルを取得後に、第1補正量A
1を設定するように指示する。
【0034】
そして、受信レベル判定部202は、第1補正量A
0が設定された際の受信レベルと第1補正量A
1が設定された際の受信レベルとを比較し、第1補正量A
1が設定された際の受信レベルが大きい場合には、第1補正量設定部201に対して、第1補正量A
2を設定するように指示する。一方、受信レベル判定部202は、第1補正量A
0が設定された際の受信レベルが大きい場合には、第1補正量設定部201に対して、第1補正量A
-1を設定するように指示する。
【0035】
このように、受信レベル判定部202は、初期値と一段階異なる第1補正量とをそれぞれ設定した場合の受信レベルを比較し、受信レベルを大きくする方向へ第1補正量を変更させる。そして、受信レベル判定部202は、第1補正量の変更と受信レベルの比較とを繰り返すことにより、受信レベルを最大にする第1補正量を決定する。
【0036】
第2補正量設定部203は、第1補正量設定部201によって受信レベルを最大にする第1補正量がインピーダンス補正部112に設定されると、この第1補正量に対応する第2補正量をメモリ115に記憶された補正量テーブルから取得する。そして、第2補正量設定部203は、取得した第2補正量を初期値としてインピーダンス補正部110に設定する。また、第2補正量設定部203は、消費電流判定部204からの指示に従って、インピーダンス補正部110に設定する第2補正量を順次変更する。第2補正量設定部203は、最終的に、消費電流判定部204の判定結果に応じて、消費電流を最小にする第2補正量をインピーダンス補正部110に設定する。
【0037】
消費電流判定部204は、電源回路109によって測定されるパワーアンプ108の消費電流を用いて、インピーダンス補正部110に設定された第2補正量の適否を判定する。具体的には、消費電流判定部204は、第2補正量の初期値がインピーダンス補正部110に設定された際のパワーアンプ108の消費電流を取得すると、第2補正量設定部203に対して、第2補正量を一段階異なる第2補正量に変更するように指示する。すなわち、例えば
図2に示した補正量テーブルの第2補正量B
0が初期値として設定されていた場合、消費電流を取得後に、第2補正量B
1を設定するように指示する。
【0038】
そして、消費電流判定部204は、第2補正量B
0が設定された際の消費電流と第2補正量B
1が設定された際の消費電流とを比較し、第2補正量B
1が設定された際の消費電流が小さい場合には、第2補正量設定部203に対して、第2補正量B
2を設定するように指示する。一方、消費電流判定部204は、第2補正量B
0が設定された際の消費電流が小さい場合には、第2補正量設定部203に対して、第2補正量B
-1を設定するように指示する。
【0039】
このように、消費電流判定部204は、初期値と一段階異なる第2補正量とをそれぞれ設定した場合の消費電流を比較し、消費電流を小さくする方向へ第2補正量を変更させる。そして、消費電流判定部204は、第2補正量の変更と消費電流の比較とを繰り返すことにより、消費電流を最小にする第2補正量を決定する。
【0040】
次いで、上記のように構成された無線通信装置100における補正設定処理について、
図4〜6に示すフロー図を参照しながら説明する。
図4は、一実施の形態に係る補正設定処理を示すフロー図であり、
図5、6は、それぞれ第1補正量及び第2補正量を決定する処理の詳細なフロー図である。
【0041】
補正設定処理は、主にBBプロセッサ106によって実行される。補正設定処理は、例えば所定の周期で周期的に実行されても良いし、人体や金属などの接近に伴うインピーダンス変動が検出された場合に実行されても良い。補正設定処理が開始されると、第1補正量設定部201によって、補正量テーブルにおいて一段階ずつ異なる第1補正量がインピーダンス補正部112に順次設定される(ステップS101)。そして、受信レベル判定部202によって、受信レベルが最大となったか否かが判定され(ステップS102)、受信レベルが最大となっていない間は(ステップS102No)、インピーダンス補正部112に設定される第1補正量が順次変更される。
【0042】
一方、受信レベルを最大にする第1補正量が決定すると(ステップS102Yes)、第1補正量設定部201によって、該当する第1補正量がインピーダンス補正部112に設定される。これにより、受信に係るインピーダンスの第1補正量が最適な状態に設定される。また、第2補正量設定部203によって、補正量テーブルが参照され、受信レベルを最大にする第1補正量に対応する第2補正量が取得される(ステップS103)。ここで取得される第2補正量は、無線通信装置の試作機において、パワーアンプ108の消費電流を最小にした補正量である。このため、取得された第2補正量に近い補正量によって、無線通信装置100のパワーアンプ108の消費電流も最小になる可能性が高い。
【0043】
そこで、第2補正量設定部203によって、取得された第2補正量を初期値として一段階ずつ異なる第2補正量がインピーダンス補正部110に順次設定される(ステップS104)。そして、消費電流判定部204によって、パワーアンプ108の消費電流が最小となったか否かが判定され(ステップS105)、消費電流が最小となっていない間は(ステップS105No)、インピーダンス補正部110に設定される第2補正量が順次変更される。そして、消費電流を最小にする第2補正量が決定すると(ステップS105Yes)、第2補正量設定部203によって、該当する第2補正量がインピーダンス補正部110に設定される。これにより、送信に係るインピーダンスの第2補正量が最適な状態に設定される。
【0044】
次に、受信に係るインピーダンスの第1補正量の決定処理について、より詳細に
図5を参照しながら説明する。第1補正量の決定処理は、主に第1補正量設定部201及び受信レベル判定部202によって実行される。
【0045】
まず、補正量テーブルにおける第1補正量を指定するパラメータkが0に初期化される(ステップS201)。
図2に示したように、補正量テーブルにおいては、第1補正量A
0は、値が小さい順に並ぶ第1補正量A
m〜A
nのうちの中央付近の値である。したがって、パラメータkが0に初期化されることにより、第1補正量設定部201によって、第1補正量の初期値として第1補正量A
0がインピーダンス補正部112に設定される(ステップS202)。そして、第1補正量A
0が設定された状態での受信レベルRSSI
0が測定され(ステップS203)、受信レベル判定部202によって取得される。
【0046】
受信レベル判定部202によって受信レベルRSSI
0が取得されると、第1補正量設定部201によって、第1補正量A
k+1がインピーダンス補正部112に設定される(ステップS204)。すなわち、ここでは、第1補正量A
1がインピーダンス補正部112に設定される。そして、第1補正量A
1が設定された状態での受信レベルRSSI
1が測定され(ステップS205)、受信レベル判定部202によって取得される。
【0047】
受信レベルRSSI
0と受信レベルRSSI
1とは、受信レベル判定部202によって大小比較される(ステップS206)。この比較の結果、受信レベルRSSI
1の方が大きい場合には(ステップS206Yes)、第1補正量を大きくすることによって受信レベルが大きくなっていることから、さらに第1補正量を大きくする。すなわち、パラメータkが1インクリメントされ(ステップS207)、第1補正量設定部201によって、第1補正量A
k+1がインピーダンス補正部112に設定される(ステップS204)。すなわち、ここでは、第1補正量A
2がインピーダンス補正部112に設定される。そして、第1補正量A
2が設定された状態での受信レベルRSSI
2が測定され(ステップS205)、受信レベル判定部202によって取得される。
【0048】
そして、受信レベルRSSI
kよりも受信レベルRSSI
k+1が大きい間は、パラメータkが1ずつインクリメントされ、受信レベルRSSI
kが最大となるタイミングで受信レベルRSSI
k+1が受信レベルRSSI
k以下になる(ステップS206No)。そこで、受信レベル判定部202によって、パラメータkが初期値の0のままであるか否かが判定され(ステップS208)、パラメータkが0でなければ(ステップS208No)、第1補正量A
kが受信レベルを最大にすると決定される(ステップS213)。
【0049】
一方、パラメータkが初期値の0の状態で、受信レベルRSSI
kの方が大きい場合には(ステップS206No)、受信レベル判定部202によって、パラメータkが初期値の0のままであると判定される(ステップS208Yes)。この場合には、第1補正量を大きくすることによって受信レベルが小さくなっていることから、第1補正量を初期値よりも小さくする。すなわち、第1補正量設定部201によって、第1補正量A
k-1がインピーダンス補正部112に設定される(ステップS209)。すなわち、ここでは、第1補正量A
-1がインピーダンス補正部112に設定される。そして、第1補正量A
-1が設定された状態での受信レベルRSSI
-1が測定され(ステップS210)、受信レベル判定部202によって取得される。
【0050】
受信レベルRSSI
0と受信レベルRSSI
-1とは、受信レベル判定部202によって大小比較される(ステップS211)。この比較の結果、受信レベルRSSI
-1の方が大きい場合には(ステップS211Yes)、第1補正量を小さくすることによって受信レベルが大きくなっていることから、さらに第1補正量を小さくする。すなわち、パラメータkが1デクリメントされ(ステップS212)、第1補正量設定部201によって、第1補正量A
k-1がインピーダンス補正部112に設定される(ステップS209)。すなわち、ここでは、第1補正量A
-2がインピーダンス補正部112に設定される。そして、第1補正量A
-2が設定された状態での受信レベルRSSI
-2が測定され(ステップS210)、受信レベル判定部202によって取得される。
【0051】
そして、受信レベルRSSI
kよりも受信レベルRSSI
k-1が大きい間は、パラメータkが1ずつデクリメントされ、受信レベルRSSI
kが最大となるタイミングで受信レベルRSSI
k-1が受信レベルRSSI
k以下になる(ステップS211No)。そこで、受信レベル判定部202によって、第1補正量A
kが受信レベルを最大にすると決定される(ステップS213)。
【0052】
なお、パラメータkが初期値の0の状態で、受信レベルRSSI
k+1が受信レベルRSSI
k以下であり(ステップS206No)、かつ受信レベルRSSI
k-1も受信レベルRSSI
k以下である場合には(ステップS211No)、第1補正量A
0が受信レベルを最大にする補正量となる。
【0053】
このように、補正量テーブルにおいて値が小さい順に並ぶ第1補正量A
m〜A
nのうちの中央付近の第1補正量A
0を初期値として、一段階ずつ第1補正量を変更しながら受信レベルを最大にする第1補正量が決定される。このため、受信に係るインピーダンスを最適にする第1補正量を短時間で決定することができる。
【0054】
次に、送信に係るインピーダンスの第2補正量の決定処理について、より詳細に
図6を参照しながら説明する。第2補正量の決定処理は、主に第2補正量設定部203及び消費電流判定部204によって実行される。
【0055】
第1補正量設定部201によって受信レベルを最大にする第1補正量A
kが決定されると、第2補正量設定部203によってメモリ115に記憶された補正量テーブルが参照される。そして、第2補正量設定部203によって、補正量テーブルから、第1補正量A
kに対応する第2補正量B
jが取得され、インピーダンス補正部110に設定される(ステップS301)。補正量テーブルにおいて第1補正量A
kに対応する第2補正量B
jは、パワーアンプ108の消費電流を最小にする第2補正量に近い値である。このため、第2補正量B
jが初期値としてインピーダンス補正部110に設定される。
【0056】
第2補正量B
jが設定されると、電源回路109によって、第2補正量B
jが設定された状態でのパワーアンプ108の消費電流I
jが測定され(ステップS302)、消費電流判定部204へ通知される。
【0057】
消費電流判定部204によって消費電流I
jが取得されると、第2補正量設定部203によって、第2補正量B
j+1がインピーダンス補正部110に設定される(ステップS303)。そして、第2補正量B
j+1が設定された状態での消費電流I
j+1が測定され(ステップS304)、消費電流判定部204によって取得される。
【0058】
消費電流I
jと消費電流I
j+1とは、消費電流判定部204によって大小比較される(ステップS305)。この比較の結果、消費電流I
j+1の方が小さい場合には(ステップS305Yes)、
図2に示す補正量テーブルにおいて下方向に第2補正量を変更することによって消費電流が小さくなっていることから、さらに下方向の第2補正量に変更する。すなわち、パラメータjが1インクリメントされ(ステップS306)、第2補正量設定部203によって、新たな第2補正量B
j+1がインピーダンス補正部110に設定される(ステップS303)。そして、新たな第2補正量B
j+1が設定された状態での消費電流I
j+1が測定され(ステップS304)、受信レベル判定部202によって取得される。
【0059】
そして、消費電流I
jよりも消費電流I
j+1が小さい間は、パラメータjが1ずつインクリメントされ、消費電流I
jが最小となるタイミングで消費電流I
j+1が消費電流I
j以上になる(ステップS305No)。そこで、消費電流判定部204によって、パラメータjが初期値のままであるか否かが判定され(ステップS307)、パラメータjが初期値から変わっていれば(ステップS307No)、第2補正量B
jが消費電流を最小にすると決定される(ステップS312)。
【0060】
一方、パラメータjが初期値の状態で、消費電流I
jの方が大きい場合には(ステップS305No)、消費電流判定部204によって、パラメータjが初期値のままであると判定される(ステップS307Yes)。この場合には、
図2に示す補正量テーブルにおいて下方向に第2補正量を変更することによって消費電流が大きくなっていることから、
図2に示す補正量テーブルにおいて上方向に第2補正量を変更する。すなわち、第2補正量設定部203によって、第2補正量B
j-1がインピーダンス補正部110に設定される(ステップS308)。そして、第2補正量B
j-1が設定された状態での消費電流I
j-1が測定され(ステップS309)、消費電流判定部204によって取得される。
【0061】
消費電流I
jと消費電流I
j-1とは、消費電流判定部204によって大小比較される(ステップS310)。この比較の結果、消費電流I
j-1の方が小さい場合には(ステップS310Yes)、
図2に示す補正量テーブルにおいて上方向に第2補正量を変更することによって消費電流が小さくなっていることから、さらに上方向の第2補正量に変更する。すなわち、パラメータjが1デクリメントされ(ステップS311)、第2補正量設定部203によって、新たな第2補正量B
j-1がインピーダンス補正部110に設定される(ステップS308)。そして、新たな第2補正量B
j-1が設定された状態での消費電流I
j-1が測定され(ステップS309)、消費電流判定部204によって取得される。
【0062】
そして、消費電流I
jよりも消費電流I
j-1が小さい間は、パラメータjが1ずつデクリメントされ、消費電流I
jが最小となるタイミングで消費電流I
j-1が消費電流I
j以上になる(ステップS310No)。そこで、消費電流判定部204によって、第2補正量B
jがパワーアンプ108の消費電流を最小にすると決定される(ステップS312)。
【0063】
なお、パラメータjが初期値の状態で、消費電流I
j+1が消費電流I
j以上であり(ステップS305No)、かつ消費電流I
j-1も消費電流I
j以上である場合には(ステップS310No)、初期値の第2補正量B
jが消費電流を最小にする補正量となる。
【0064】
このように、補正量テーブルにおいて最適な第1補正量A
kに対応する第2補正量B
jを初期値として、一段階ずつ第2補正量を変更しながら消費電流を最小にする第2補正量が決定される。このため、最適に近い第2補正量を初期値として、消費電流を最小にする第2補正量を決定することができ、送信に係るインピーダンスを最適にする第2補正量を短時間で決定することができる。結果として、パワーアンプ108における消費電流が増加する第2補正量の調整時間を短縮することができ、消費電力の増大を抑制することができる。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、受信に係るインピーダンスの第1補正量を最適に調整した後、この第1補正量に対応する第2補正量を補正量テーブルから取得して、送信に係るインピーダンスの第2補正量調整時の初期値とする。このため、最適に近い第2補正量を初期値として第2補正量の調整をすることができ、インピーダンスの調整時間を短縮するとともに消費電力の増大を抑制することができる。
【0066】
なお、上記一実施の形態においては、パワーアンプ108の消費電流が最小になるまで第2補正量を変更するものとしたが、必ずしも消費電流を最小するように第2補正量を調整しなくても良い。すなわち、例えばパワーアンプ108の消費電流が所定の閾値以下になった場合、その時点でインピーダンス補正部110に設定された第2補正量を最終的な第2補正量としても良い。
【0067】
また、上記一実施の形態においては、
図2に示す補正量テーブルの下方向又は上方向に第2補正量を変更するものとしたが、第2補正量の変更はこれに限定されない。具体的には、例えば第2補正量を所定値ずつ増加又は減少させながら、パワーアンプ108の消費電流を最小にする第2補正量を決定することも可能である。
【0068】
さらに、上記一実施の形態における補正設定処理をコンピュータが実行可能なプログラムとして記述することも可能である。この場合、このプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納し、コンピュータに導入することも可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、例えばCD−ROM、DVDディスク、USBメモリなどの可搬型記録媒体や、例えばフラッシュメモリなどの半導体メモリが挙げられる。