特許第6476484号(P6476484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気硝子株式会社の特許一覧 ▶ ニューマンパワーサービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6476484-ストランド切断装置 図000002
  • 特許6476484-ストランド切断装置 図000003
  • 特許6476484-ストランド切断装置 図000004
  • 特許6476484-ストランド切断装置 図000005
  • 特許6476484-ストランド切断装置 図000006
  • 特許6476484-ストランド切断装置 図000007
  • 特許6476484-ストランド切断装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476484
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】ストランド切断装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/16 20060101AFI20190225BHJP
   B26D 1/40 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   C03B37/16
   B26D1/40 502H
   B26D1/40 502M
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-144234(P2014-144234)
(22)【出願日】2014年7月14日
(65)【公開番号】特開2015-51911(P2015-51911A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2017年5月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-163470(P2013-163470)
(32)【優先日】2013年8月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513066915
【氏名又は名称】ニューマンパワーサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162020
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 正典
(72)【発明者】
【氏名】北村 裕
(72)【発明者】
【氏名】福地 新次
【審査官】 和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−272829(JP,A)
【文献】 特開昭62−299519(JP,A)
【文献】 特開平06−108319(JP,A)
【文献】 特開昭61−130009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00 − 37/16
B26D 1/25 − 1/62
D01G 1/00 − 99/00
D01F 9/08 − 9/32
B28D 1/00 − 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のストランドを切断するためのストランド切断装置であって、
上下方向に所定の間隔を隔てて配置される二枚のカッターホルダと、放射状に配置され、前記二枚のカッターホルダにより挟持され、刃先を外側に向けた複数のカッター刃と、前記二枚のカッターホルダを通る回動軸とを備え、前記回動軸を中心に回転駆動して、前記カッター刃を覆うように、周囲に前記ストランドを巻き取るドラムカッターと、
前記カッター刃から所定の間隔を空けて配置され、前記カッター刃との間に供給された前記ストランドを前記カッター刃に押圧して切断するローラと、
複数本の前記ストランドを前記ドラムカッターに案内するガイド部とを備え、
前記ガイド部は、
前記ストランドを二枚のカッターホルダの間の位置に規制する規制部材と、
前記規制部材よりも前記ストランドの下流側に配置され、且つ前記ローラと前記ストランドの接点と前記規制部材とを結ぶ仮想直線よりも前記ドラムカッター側に配置される軸状部材と、
を有する、
ことを特徴とするストランド切断装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、
さらに、前記規制部材よりも前記ストランドの上流側に配置され、前記ストランドを前記規制部材に案内する第一ガイド部材を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載のストランド切断装置。
【請求項3】
複数本のストランドを切断するためのストランド切断装置であって、
上下方向に所定の間隔を隔てて配置される二枚のカッターホルダと、放射状に配置され、前記二枚のカッターホルダにより挟持され、刃先を外側に向けた複数のカッター刃と、前記二枚のカッターホルダを通る回動軸とを備え、前記回動軸を中心に回転駆動して、前記カッター刃を覆うように、周囲に前記ストランドを巻き取るドラムカッターと、
前記カッター刃から所定の間隔を空けて配置され、前記カッター刃との間に供給された前記ストランドを前記カッター刃に押圧して切断するローラと、
複数本の前記ストランドを前記ドラムカッターに案内するガイド部とを備え、
前記ガイド部は、
前記ストランドを二枚のカッターホルダの間の位置に規制する規制部材を有し、
前記ガイド部は、さらに、前記規制部材よりも前記ストランドの上流側に配置され、前記ストランドを前記規制部材に案内する第一ガイド部材を備え、
前記規制部材は、前記ローラと前記ストランドとの接点と前記第一ガイド部材とを結ぶ仮想直線よりも前記ドラムカッター側に配置されてなる、
ことを特徴とするストランド切断装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記規制部材と軸状部材との最短距離が、前記軸状部材と前記第一ガイド部材のドラムカッターに近い側の先端部との最短距離の40%よりも短くなる位置に配設される、
ことを特徴とする、請求項3に記載のストランド切断装置。
【請求項5】
前記規制部材は、前記第一ガイド部材から前記規制部材よりも前記ストランドの下流側に配置された軸状部材の近傍まで延出する複数の筒体からなる、
ことを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のストランド切断装置。
【請求項6】
前記複数の筒体は、上下方向に平行に配置されてなる、
ことを特徴とする、請求項5に記載のストランド切断装置。
【請求項7】
前記複数の筒体は、それぞれ軸線方向にスリットを有する、
ことを特徴とする、請求項5または請求項6に記載のストランド切断装置。
【請求項8】
前記規制部材は、前記ストランドが通過する複数の通過部を有し、前記複数の通過部が上下方向に並んで形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項の何れかに記載のストランド切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストランド切断装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス繊維の束(ストランド)を所定の長さに切断(チョップ)した、チョップドストランドを製造するためのストランド切断装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。ストランド切断装置の一例として、ドラムカッター式のものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0003】
前記ドラムカッター式のストランド切断装置においては、カッターホルダにカッター刃を放射状に配置したドラムカッターの周囲に、所定間隔を空けてローラを配置する。さらに、ドラムカッターにストランドの先端を固定した状態で、ドラムカッターを回転駆動させる。そして、ドラムカッターに何重にも巻き取られることによって厚みの増したストランドが、ローラで押圧されることにより、カッター刃で切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−338291号公報
【特許文献2】特開昭62−299519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術においては、ドラムカッターに巻き取られる直前にストランドが垂れてしまい、ストランドが適切にドラムカッターに巻き取られない場合がある。これにより、チョップドストランドの長さが所定の長さよりも長くなるミスカットが発生し、製品品質が低下する虞があった。
【0006】
本発明は上記の如き状況に鑑みてなされたものであり、ドラムカッターに巻き取られる直前にストランドが垂れることを防いでストランドを適切にドラムカッターに巻き取らせることにより、ミスカットの発生を抑制して製品品質を向上させることのできる、ストランド切断装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は上記の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、複数本のストランドを切断するためのストランド切断装置であって、上下方向に所定の間隔を隔てて配置される二枚のカッターホルダと、放射状に配置され、前記二枚のカッターホルダにより挟持され、刃先を外側に向けた複数のカッター刃と、前記二枚のカッターホルダを通る回動軸とを備え、前記回動軸を中心に回転駆動して、前記カッター刃を覆うように、周囲に前記ストランドを巻き取るドラムカッターと、前記カッター刃から所定の間隔を空けて配置され、前記カッター刃との間に供給された前記ストランドを前記カッター刃に押圧して切断するローラと、複数本の前記ストランドを前記ドラムカッターに案内するガイド部とを備え、前記ガイド部は、前記ストランドを二枚のカッターホルダの間の位置に規制する規制部材を有するものである。
【0009】
請求項2においては、前記規制部材は、前記ストランドが通過する複数の通過部を有し、前記複数の通過部が上下方向に並んで形成されているものである。
【0010】
請求項3においては、前記ガイド部は、さらに、前記規制部材よりも前記ストランドの上流側に配置され、前記ストランドを前記規制部材に案内する第一ガイド部材を備えるものである。
【0011】
請求項4においては、前記ガイド部は、さらに、前記規制部材よりも前記ストランドの下流側に配置された軸状部材を備え、前記軸状部材は、前記ローラと前記ストランドの接点と前記規制部材とを結ぶ仮想直線よりも前記ドラムカッター側に配置されてなるものである。
【0012】
請求項5においては、前記規制部材は、前記ローラと前記ストランドとの接点と前記第一ガイド部材とを結ぶ仮想直線よりも前記ドラムカッター側に配置されてなるものである。
【0013】
請求項6においては、前記規制部材は、前記軸状部材からの最短距離が、前記軸状部材と前記第一ガイド部材との最短距離の40%よりも短くなる位置に配設されるものである。
【0014】
請求項7においては、前記規制部材は、前記第一ガイド部材から前記軸状部材の近傍まで延出する複数の筒体からなるものである。
【0015】
請求項8においては、前記複数の筒体は、上下方向に平行に配置されてなるものである。
【0016】
請求項9においては、前記複数の筒体は、それぞれ軸線方向にスリットを有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
請求項1に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、規制部材により、ストランドがカッターホルダの間から外れることを抑制できる。これにより、チョップドストランドの長さが所定の長さよりも長くなるミスカットの発生を抑制して、製品品質を向上させることが可能となる。
【0018】
請求項2に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、ストランドを、ドラムカッターの回転軸方向に対して所定の上下方向位置に供給することが可能となり、よりミスカットの発生を抑制して製品品質を向上させることができる。
【0019】
請求項3に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、ストランドを規制部材の所定の上下方向位置に案内することが可能となるため、ストランドがカッターホルダの間から外れることを抑制できる。
【0020】
請求項4に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、軸状部材によりストランドに張力が付与され、ストランドが垂れることを抑制できるため、チョップドストランドの長さが所定の長さよりも長くなるミスカットの発生を抑制して、製品品質を向上させることが可能となる。
【0021】
請求項5に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、軸状部材が無くても規制部材がストランドに張力を与え、ストランドが垂れることを抑制できるため、チョップドストランドの長さが所定の長さよりも長くなるミスカットの発生を抑制して、製品品質を向上させることが可能となる。
【0022】
請求項6に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、ストランドを、ドラムカッターの回転軸方向に対して所定の上下位置に確実に案内することが可能となり、よりミスカットの発生を抑制して製品品質を向上させることができる。
【0023】
請求項7に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、軸状部材の直前だけでなく、規制部材から軸状部材までの間においてストランドが垂れることを抑制できるため、よりミスカットの発生を抑制して製品品質を向上させることができる。
【0024】
請求項8に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、ストランドを、ドラムカッターの回転軸方向に対して所定の上下方向位置に確実に供給することが可能となり、よりミスカットの発生を抑制して製品品質を向上させることができる。
【0025】
請求項9に記載された発明に係るストランド切断装置によれば、作業者がストランドを筒体に容易に挿通することができる。即ち、ストランド切断装置を稼働させるための準備作業を簡易化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第一実施形態に係るストランド切断装置を示した斜視図。
図2】第一実施形態に係るストランド切断装置を示した平面図。
図3】第一実施形態に係るストランド切断装置を示した概略正面図。
図4図2におけるガイドパイプのX−X線断面図。
図5】第二実施形態に係るストランド切断装置を示した斜視図。
図6】第三実施形態に係るストランド切断装置を示した斜視図。
図7】第四実施形態に係るストランド切断装置を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、本発明の一実施形態に係るストランド切断装置10について、図1から図3を用いて説明する。ストランド切断装置10は、ガラス繊維の束であるストランドを所定の長さに切断(チョップ)した、チョップドストランドCSを製造するための装置である。詳細には、直径数μmのガラス繊維を数十〜数百本に束ねて一本のストランドとし、複数本のストランドの束を数mmから数十mmの長さに切断する装置である。以下、本実施形態においては、束ねられた複数本のストランドを「ストランドS」として表記する。
図1から図3に示すように、本実施形態に係るストランド切断装置10は、ドラムカッター20と、ローラ配置部30と、ガイド部40と、を備える。
【0028】
図2に示すように、ドラムカッター20は、略円板状に形成され、上下方向に所定の間隔で配置される二枚の円板状カッターホルダ21・22(上側カッターホルダ21及び下側カッターホルダ22(以下、単に「カッターホルダ」と記載する。))と、カッターホルダ21・22の間に配置された複数のカッター刃23・23・・・とを備える。下側カッターホルダ22は半径方向の内側がくり抜かれた円環状に形成されている。下側カッターホルダ22の内周部のくり抜かれた部分は、後述するチョップドストランドCSが排出される排出口24として構成されている。
【0029】
複数のカッター刃23・23・・・は、上側カッターホルダ21と下側カッターホルダ22により挟持され、刃先を外側に向けて配置されている。これらのカッター刃23・23・・・は、上側カッターホルダ21および下側カッターホルダ22の周縁部に沿って放射状に配置されている。また、図3に示すように、カッター刃23・23・・・はストランドSを切断する際に加わる力を分散するために、刃先の方向を上下方向から傾けて(側面から見た場合において、刃先が斜めになるように)等間隔で平行に並んで配設されている。
【0030】
上側カッターホルダ21および下側カッターホルダ22における中央部には、ドラムカッター20の回動軸20aが、軸線を上下方向に向けて形成されており、この回動軸20aは、図示しない駆動装置に接続されている。そして、この駆動装置を駆動させることにより、図1及び図2中の矢印R1に示す如くドラムカッター20が回動軸20aを中心として回転駆動する。換言すれば、カッターホルダ21・22及びカッター刃23・23・・・が一体的に回転駆動するように構成されている。
【0031】
そして、上記の如く構成されたドラムカッター20を回転駆動することにより、ストランドSがドラムカッター20の周囲に、カッター刃23・23・・・を覆うように巻き取られる。ここで、カッター刃23・23・・・は互いの刃先の間隔が所定幅となるように配設されており、このカッター刃23・23・・・の間隔がチョップドストランドCSの所定長さとなる。例えば、チョップドストランドCSを25mmの長さで製造する場合には、カッター刃23・23・・・の刃先の間隔を25mmに調節すればよい。
【0032】
カッター刃23・23・・・でストランドSが切断されることにより製造されたチョップドストランドCSは、図2中の矢印Eに示す如く、カッター刃23・23・・・の間を通り、下側カッターホルダ22の内周部である排出口24から排出され、ドラムカッター20の下方に配設される図示しない貯留部に貯留される。
【0033】
ローラ配置部30は、固定されたローラ台31と、ローラ台31の上に配設されるローラ32と、を備える。ローラ32はドラムカッター20の近傍に、カッター刃23・23・・・から所定間隔を空けて配置されている。そして、ローラ32の中央部には回動軸32aが軸線を上下方向に向けて形成されており、図1及び図2中の矢印R2に示す如く、ローラ32は回動軸32aを中心として回動可能に構成されている。ローラ32は図示しない位置調節機構を備えており、ドラムカッター20に対して近接離間可能に構成されている。即ち、位置調節機構でローラ32のドラムカッター20に対する位置を調節することにより、ローラ32とカッター刃23・23・・・との間隔を所定長に調整することができる。そして、ローラ台31の上に固定されたローラ32は、ドラムカッター20に巻き取られて、厚みがローラ32とカッター刃23・23・・・との間隔よりも大きくなったストランドSをドラムカッター20の半径内側方向(ドラムカッター20の回動軸20aの方向)に押圧し、ローラ32とストランドSとの接点においてストランドSを切断する。カッター刃23・23・・・によって切断されたチョップドストランドCSは、カッター刃23・23・・・の間を通過し、図2中の矢印Eに示す如く、下側カッターホルダ22の内周部である排出口24から排出され、排出されたチョップドストランドCSは、貯留部に投入される。ローラ32とドラムカッター20との距離は、例えば100〜400mmとなるように調整される。
【0034】
ガイド部40は、固定されたガイド台41と、軸状部材であるシュー42と、第一ガイド部材51と、規制部材であるガイドパイプ52と、を備える。
シュー42は、金属製の部材でガイド台41の上面でドラムカッター20の近傍に、上下方向に軸線を向けて配置される。シュー42は、ガイドパイプ52よりもストランドSの進行方向下流側に配置され、ローラ32とストランドSとの接点と、ガイドパイプ52の下流側端部とを結ぶ仮想直線IL1よりもドラムカッター20側に配置されている。そのため、シュー42はその外周面にストランドSを摺接させることにより、供給されたストランドSの流れる方向を、ドラムカッター20の接線方向に変更させるとともに、ストランドSに張力を付与することができる。シュー42は、シュー42とドラムカッター20との距離が、例えば、ドラムカッター20とローラ32との距離よりも100〜300mm長い位置に配置させることができる。また、ストランドSは、シュー42と摺接することにより、扁平形状となり、ストランドSがドラムカッター20に対してより厚みが均等になるように案内されやすくなる。
【0035】
第一ガイド部材51は、ガイド台41の上面においてシュー42よりもストランドSの上流側に立設された金属製の板状部材であり、四つの挿通孔51a・51b・51c・51dが設けられている。挿通孔51a・51b・51c・51dは、上下方向に並設している。そして、これらの挿通孔51a〜51dにストランドSが挿通されることにより、第一ガイド部材51より上流側(図1及び図2における図面右下側)に配置される図示しないストランド供給部から供給されるストランドSを、後述するガイドパイプ52を介してシュー42に案内する。第一ガイド部材51は、ストランド供給部とシュー42とを結ぶ仮想直線よりも、ドラムカッター20から外れた位置に配置されている。そのため、ストランドSが第一ガイド部材51に摺接し、ストランドSの進行方向が変更され、ストランドSに張力が付与される。このことにより、ストランドSが垂れることが抑制される。
【0036】
シュー42と第一ガイド部材51との間には、規制部材である金属製のガイドパイプ52が配置される。ガイドパイプ52は、第一ガイド部材51からシュー42の近傍まで延出する複数の円筒体からなる。詳細には図3に示す如く、第一ガイド部材51における四つの挿通孔51a〜51dに対応して、四本のガイドパイプ52a〜52dが上下方向に並び、軸線方向に平行になるよう第一ガイド部材51に配設されている。換言すれば、挿通孔51a〜51dは、それぞれガイドパイプ52a〜52dの中空部(ストランドSの通過部)と連通している。それぞれのガイドパイプ52a〜52dには、軸線方向にスリット53a〜53dが形成されている。そして、ガイドパイプ52a〜52dは、シュー42の直前におけるストランドSの上下方向位置が、二枚のカッターホルダ21・22の間の位置となるように規制している。具体的には、複数のガイドパイプ52a〜52dの先端部(ストランドSの下流側端部)の上下位置が、カッターホルダ21・22の間に位置するように略平行に配置されているため、ストランドSはシュー42の直前においてカッターホルダ21・22の間にあたる上下位置を通る。
【0037】
本実施形態に係るストランド切断装置10でストランドSを切断する際は、まず、図1及び図2中の矢印F1に示す如く、作業者などがストランド供給部よりストランドSを第一ガイド部材51に案内する。そして、各ストランドSを図1及び図2中の矢印F2に示す如く、挿通孔51a〜51d、ガイドパイプ52a〜52dの通過部に挿通する。さらに、図1及び図2中の矢印F3に示す如くストランドSをシュー42に摺接させながらローラ32とドラムカッター20との間に案内し、ストランドSの先端をドラムカッター20に固定する。なお、それぞれの挿通孔51a〜51dに挿通されるストランドSの本数は、1本でも良く、必要に応じて、それぞれの挿通孔51a〜51dに、2本以上のストランドSを挿通しても良い。
【0038】
この状態で、ドラムカッター20を駆動装置で図1及び図2中の矢印R1に示す如く回転駆動させることにより、ストランドSがドラムカッター20に巻き取られる。これにより、ストランドSは、連続的に第一ガイド部材51からガイドパイプ52a〜52dを経由してシュー42に案内される。さらに、シュー42によってストランドSの流れる方向がドラムカッター20の接線方向に変更され、ストランドSはドラムカッター20とローラ32との間に案内される。
【0039】
本実施形態に係るストランド切断装置10においては、上記の如く構成することにより、ドラムカッター20に巻き取られる直前にストランドSが垂れることを防いで、ストランドSを適切にドラムカッター20に巻き取らせることができる。
【0040】
具体的には、ガイドパイプ52a〜52dが、シュー42の直前におけるストランドSが流れる上下方向位置を、二枚のカッターホルダ21・22の間の上下位置に規制するため、ストランドSがドラムカッター20に巻き取られる際に垂れて、カッターホルダ21・22の間から外れることを防止できる。これにより、チョップドストランドCSのミスカットの発生を抑制して、製品品質を向上させることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態に係るストランド切断装置10によれば、ガイドパイプ52により、ドラムカッター20に巻き取られる直前にストランドSが垂れることを防いで、ストランドSを適切にドラムカッター20に巻き取らせることができるため、装置構成の設定が容易となる。具体的には、カッターホルダ21・22とローラ32との間隔が広くなると、ミスカットの発生原因となるが、本実施形態によれば、ストランドSが垂れることを抑制できるため、カッターホルダ21・22とローラ32との間隔における厳密な管理を行わなくても、ミスカットの発生を抑制して、製品品質を向上させることが可能となる。
【0042】
本実施形態に係るストランド切断装置10においては、ガイドパイプ52a〜52dのドラムカッター20に近い側の先端部がシュー42の近傍に配設される。具体的には、規制部材(本実施形態においてはガイドパイプ52a〜52dのドラムカッター20に近い側の先端部)からシュー42までの最短距離aを、第一ガイド部材51とシュー42の最短距離rの40%よりも小さい距離とすることで、ストランドSをドラムカッター20の回転軸方向に対して、所定上下位置に確実に案内できる。具体的には、ガイドパイプ52a〜52dのドラムカッター20に近い側の先端部からシュー42までの最短距離が、0mm以上120mm以下であることが好ましい。より好ましくは、0mm以上70mm以下である。
【0043】
また、本実施形態に係るストランド切断装置10においては、規制部材であるガイドパイプ52a〜52dは、第一ガイド部材51からシュー42の近傍まで延出する複数の筒状体からなる。これにより、シュー42の直前だけでなく、第一ガイド部材51における挿通孔51a〜51dからシュー42までの間においてストランドSが垂れることを抑制できるため、よりミスカットの発生を抑制して製品品質を向上させることができる。
【0044】
本実施形態の如く規制部材をガイドパイプ52(52a〜52d)で構成した場合は、ガイドパイプ52の長さを数cm〜1m程度の範囲内で構成することが可能である。ただし、第一ガイド部材51からシュー42までの間において、ストランドSが垂れることを防止するという観点、及び、部品の材料コストの低減という観点からは、その長さを20cm〜50cm程度とすることが好ましい。換言すれば、シュー42と第一ガイド部材51との距離を20cm〜50cm程度とし、その距離に対応した長さのガイドパイプ52を設ける構成とすることにより、第一ガイド部材51からシュー42までの間においてストランドSが垂れることを充分に防止することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態に係るストランド切断装置10においては、図3、及び、図4図2におけるガイドパイプ52のX−X線断面図)に示す如く、規制部材であるガイドパイプ52(52a〜52d)には、軸線方向にスリット53(53a〜53d)が形成されている。これにより、図4中の矢印αに示す如く、作業者がストランドSをガイドパイプ52に容易に挿通することができる。即ち、ストランド切断装置10を稼働させるための準備作業を簡易化することが可能となる。
【0046】
次に、本実施形態に係るストランド切断装置10の効果について、説明する。
従来技術に係るストランド切断装置(ガイドパイプなし)と、本実施形態に係るストランド切断装置10(ガイドパイプあり)とを比較すると、ガイドパイプありの場合は、ガイドパイプなしの場合と比べて、ストランドSを所定量切断した際における、ミスカットにより発生したチョップドストランドCSを、重量換算で約33%減らすことができた。つまり、本実施形態に係るストランド切断装置10は、ドラムカッター20に巻き取られる直前にストランドSが垂れることを防ぎ、チョップドストランドCSにおけるミスカットの発生を抑制できた。
【0047】
さらに、本発明の第二実施形態に係るストランド切断装置110について、図5を用いて説明する。本実施形態以降に係るストランド切断装置においては、前記第一実施形態に係るストランド切断装置10と構成が異なる部分を中心に説明し、構成が共通である部分は同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
本実施形態に係るストランド切断装置110において、ガイド部40は、ガイド台41と、軸状部材であるシュー42と、第一ガイド部材51と、規制部材152と、を備える。
【0049】
シュー42と第一ガイド部材51との間には、規制部材152が配置される。規制部材152はガイド台41においてシュー42よりもストランドSの上流側でシュー42の近傍に立設された板状部材であり、四つの挿通孔(ストランドSの通過部)152a・152b・152c・152dが開口されている。挿通孔152a・152b・152c・152dは上下方向に並設されている。そして、これらの挿通孔152a〜152dにストランドSが挿通されることにより、シュー42の直前におけるストランドSが流れる上下方向位置が二枚のカッターホルダ21・22の間の高さに規制される。具体的には、挿通孔152a〜152dの上下位置が、カッターホルダ21・22の間に位置するように配置されている。そのため、ストランドSはシュー42の直前においてカッターホルダ21・22の間にあたる上下位置に配される。
【0050】
本実施形態に係るストランド切断装置110でストランドSを切断する際は、まず、図5中の矢印F11に示す如く、作業者がストランド貯留部よりストランドSを第一ガイド部材51に案内する。そして、四つのストランドSを図5中の矢印F12に示す如く、挿通孔51a〜51d、及び、規制部材152の挿通孔152a〜152dに挿通する。さらに、図5中の矢印F13に示す如くストランドSをシュー42に摺接させてローラ32とドラムカッター20との間に案内し、ストランドSの先端をドラムカッター20に固定する。
【0051】
この状態でドラムカッター20を駆動装置で図5中の矢印R11に示す如く回転駆動させることにより、ストランドSがドラムカッター20に巻き取られる。これにより、ストランドSは連続的に第一ガイド部材51から規制部材152を経由してシュー42に案内される。さらに、シュー42によってストランドSの流れる方向がドラムカッター20の接線方向に変更され、ストランドSはドラムカッター20とローラ32との間に案内される。
【0052】
本実施形態に係るストランド切断装置110においては、規制部材152の挿通孔152a〜152dによって、シュー42の直前におけるストランドSが流れる上下方向位置を二枚のカッターホルダ21・22の間の高さに規制している。このため、ストランドSがドラムカッター20に巻き取られる際に垂れてカッターホルダ21・22の間から外れることを抑制できる。これにより、チョップドストランドCSの長さが所定の長さよりも長くなるミスカットの発生を抑制して、製品品質を向上させることが可能となる。
【0053】
さらに、本発明の第三実施形態に係るストランド切断装置210について、図6を用いて説明する。
本実施形態に係るストランド切断装置210において、ガイド部40は、ガイド台41と、規制部材であるシュー242と、第一ガイド部材51と、を備える。本実施形態においては、軸状部材が無い。
【0054】
シュー242は、金属製の部材でガイド台41の上面でドラムカッター20の近傍に、上下方向に軸線を向けて配置される。シュー242は、ローラ32とストランドSとの接点と、第一ガイド部材51とを結ぶ仮想直線IL2よりもドラムカッター20側に配置される。そのため、シュー242は、軸状部材が無くても、その外周面にストランドSを摺接させることにより、供給されたストランドSの流れる方向を、ドラムカッター20の接線方向に変更させるとともに、ストランドSに張力を付与することができる。シュー242は、シュー242とドラムカッター20との距離が、例えば、ドラムカッター20とローラ32との距離よりも30〜400mm長い位置に配置させることができる。シュー242はストランドSを二枚のカッターホルダ21・22の間の位置に規制する規制部材として作用する。具体的には、シュー242には、ストランドSが通過するための四個の挿通孔(ストランドSの通過部)242a・242b・242c・242dが開口される。そして、これらの挿通孔242a〜242dにストランドSが挿通されることにより、ストランドSが流れる上下方向位置が二枚のカッターホルダ21・22の間の高さに規制される。具体的には、挿通孔242a〜242dの上下位置が、カッターホルダ21・22の間に位置するように配置されている。そのため、ストランドSはカッターホルダ21・22の間にあたる上下位置(高さ)に配される。
【0055】
第一ガイド部材51は、ガイド台41の上面においてシュー242よりもストランドSの上流側に立設された金属製の板状部材であり、四つの挿通孔51a・51b・51c・51dが設けられている。挿通孔51a・51b・51c・51dは、上下方向に並設している。そして、これらの挿通孔51a〜51dにストランドSが挿通されることにより、第一ガイド部材51より上流側(図6における図面右下側)に配置される図示しないストランド供給部から供給されるストランドSを、シュー242に案内する。
【0056】
本実施形態に係るストランド切断装置210でストランドSを切断する際は、まず、図6中の矢印F21に示す如く、作業者がストランド貯留部よりストランドSを第一ガイド部材51に案内する。そして、四つのストランドSを図6中の矢印F22に示す如く、挿通孔51a〜51dに挿通する。さらに、図6中の矢印F23に示す如くストランドSをシュー242の穴242a〜242dに挿通させてローラ32とドラムカッター20との間に案内し、ストランドSの先端をドラムカッター20に固定する。
【0057】
この状態でドラムカッター20を駆動装置で図6中の矢印R21に示す如く回転駆動させることにより、ストランドSがドラムカッター20に巻き取られる。これにより、ストランドSは連続的に第一ガイド部材51からシュー242の挿通孔242a〜242dに案内される。さらに、シュー242の挿通孔242a〜242dによってストランドSの流れる方向がドラムカッター20の接線方向に変更され、ストランドSはドラムカッター20とローラ32との間に案内される。
【0058】
本実施形態に係るストランド切断装置210においては、シュー242の挿通孔242a〜242dによって、ストランドSが流れる上下方向位置を二枚のカッターホルダ21・22の間の高さに規制している。このため、ストランドSがドラムカッター20に巻き取られる際に垂れてカッターホルダ21・22の間から外れることを抑制できる。これにより、チョップドストランドCSの長さが所定の長さよりも長くなるミスカットの発生を抑制して、製品品質を向上させることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態に係るストランド切断装置210においては、シュー242の挿通孔242a〜242dの間隔が均一となるように開口し、これらの挿通孔242a〜242dにストランドSを挿通させている。このため、ストランドSを、ドラムカッター20の回転軸方向に対して均等に供給することが可能となり、よりミスカットの発生を抑制して製品品質を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態に係るストランド切断装置210においては、シュー242に開口する挿通孔242a〜242dを縦長の長穴として形成し、挿通孔242a〜242dを相互に仕切る部分の幅が小さくなるようにしている。これにより、挿通孔242a〜242dに挿通されて通過するストランドSの通路を縦に長く形成することができるため、ドラムカッター20の回転軸方向に全体的にストランドSを当てることが可能となる。
【0061】
さらに、本発明の第四実施形態に係るストランド切断装置310について、図7を用いて説明する。
本実施形態に係るストランド切断装置310において、ガイド部40は、ガイド台41と、規制部材であるシュー342と、第一ガイド部材51と、を備える。
【0062】
シュー342は、金属製の部材でガイド台41の上面でドラムカッター20の近傍に、上下方向に軸線を向けて配置される。シュー342は、ローラ32とストランドSとの接点と、第一ガイド部材51とを結ぶ仮想直線IL3よりもドラムカッター20側に配置されている。そのため、シュー342は、軸状部材が無くても、その外周面にストランドSを摺接させることにより、供給されたストランドSの流れる方向を、ドラムカッター20の接線方向に変更させるとともに、ストランドSに張力を付与することができる。シュー342は、シュー342とドラムカッター20との距離が、例えば、ドラムカッター20とローラ32との距離よりも30〜400mm長い位置に配置させることができる。シュー342はストランドSを二枚のカッターホルダ21・22の間の位置に規制する規制部材として作用する。具体的には、シュー342には、ストランドSの通路を仕切る仕切り部である五枚の仕切り板342a〜342eが一定間隔で延出される。そして、シュー342はその外周面において仕切り板342a〜342eの間でストランドSを摺接させることにより、ストランドSが流れる上下方向位置を二枚のカッターホルダ21・22の間(ストランドSの通過部)の高さに規制する。具体的には、仕切り板342a〜342eの上下位置が、カッターホルダ21・22の間に位置するように配置されている。そのため、ストランドSはカッターホルダ21・22の間にあたる上下位置(高さ)に配される。
【0063】
第一ガイド部材51は、ガイド台41の上面においてシュー342よりもストランドSの上流側に立設された金属製の板状部材であり、四つの挿通孔51a・51b・51c・51dが設けられている。挿通孔51a・51b・51c・51dは、上下方向に並設している。そして、これらの挿通孔51a〜51dにストランドSが挿通されることにより、第一ガイド部材51より上流側(図7における図面右下側)に配置される図示しないストランド供給部から供給されるストランドSを、シュー342に案内する。
【0064】
本実施形態に係るストランド切断装置310でストランドSを切断する際は、まず、図7中の矢印F31に示す如く、作業者がストランド貯留部よりストランドSを第一ガイド部材51に案内する。そして、四つのストランドSを図7中の矢印F32に示す如く、挿通孔51a〜51dに挿通する。さらに、図7中の矢印F33に示す如くストランドSをシュー342の仕切り板342a〜342eの間を通過させてローラ32とドラムカッター20との間に案内し、ストランドSの先端をドラムカッター20に固定する。
【0065】
この状態でドラムカッター20を駆動装置で図7中の矢印R31に示す如く回転駆動させることにより、ストランドSがドラムカッター20に巻き取られる。これにより、ストランドSは連続的に第一ガイド部材51からシュー342の仕切り板342a〜342eの間に案内される。さらに、シュー342の仕切り板342a〜342eによってストランドSの流れる方向がドラムカッター20の接線方向に変更され、ストランドSはドラムカッター20とローラ32との間に案内される。
【0066】
本実施形態に係るストランド切断装置310においては、シュー342の仕切り板342a〜342eによって、ストランドSが流れる上下方向位置を二枚のカッターホルダ21・22の間の高さに規制している。このため、ストランドSがドラムカッター20に巻き取られる際に垂れてカッターホルダ21・22の間から外れることを防止できる。これにより、チョップドストランドCSの長さが所定の長さよりも長くなるミスカットの発生を抑制して、製品品質を向上させることが可能となる。
【0067】
また、本実施形態に係るストランド切断装置310においては、シュー342から仕切り板342a〜342eを一定間隔で延出させ、シュー342の外周面における仕切り板342a〜342eの間でストランドSを摺接させる構成としている。このため、ストランドSを、ドラムカッター20の回転軸方向に対して均等に供給することが可能となり、よりミスカットの発生を抑制して製品品質を向上させることができる。加えて、作業者がストランドSをシュー342に対して容易にセットすることができるため、ストランド切断装置310を稼働させるための準備作業を簡易化することが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
10 ストランド切断装置
20 ドラムカッター
20a 回動軸
21 上側カッターホルダ
22 下側カッターホルダ
23 カッター刃
30 ローラ配置部
32 ローラ
40 ガイド部
42 シュー(軸状部材)
51 第一ガイド部材
52 ガイドパイプ(規制部材)
152、242、342 規制部材
S ストランド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7