特許第6476500号(P6476500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476500
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】画像処理システム、遊技機
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20190225BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20190225BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20190225BHJP
   G06F 12/06 20060101ALI20190225BHJP
   G06F 12/00 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   G09G5/00 510V
   A63F7/02 320
   G09G5/00 550M
   G09G5/00 555D
   G09G5/00 510A
   G06F3/14 350A
   G06F12/06 515J
   G06F12/00 580
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-141500(P2016-141500)
(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公開番号】特開2018-13540(P2018-13540A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2017年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】吉村 龍洋
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−296153(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/093043(WO,A1)
【文献】 特開2011−095566(JP,A)
【文献】 特開2003−298938(JP,A)
【文献】 特開2004−024393(JP,A)
【文献】 特開2002−248241(JP,A)
【文献】 特開2009−198952(JP,A)
【文献】 特開2006−333267(JP,A)
【文献】 特開2007−014430(JP,A)
【文献】 特開2003−265748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00−5/42
A63F 7/02
G06F 3/14
G06F 12/00
G06F 12/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示手段に画像を表示させるための画像処理システムであって、
前記表示手段に表示させる画像を形成する画像形成手段と、
該画像形成手段によって、前記複数の表示手段のうちの少なくとも何れかにおいて表示される画像を描画して画像データを生成するための描画領域として用いられる第一の記憶手段と、
前記画像形成手段によって、前記表示手段の数量に対応した数量形成される、前記第一の記憶手段において生成された前記画像データを格納する複数の第二の記憶手段と、
該第二の記憶手段から前記画像データを取得してそれぞれの前記表示手段に表示させる、それぞれの前記表示手段に対応して設けられた複数の画像表示回路と、
前記第一の記憶手段と前記第二の記憶手段との間での前記画像データの送受信、及び、前記第二の記憶手段と前記画像表示回路との間での前記画像データの送受信を行うための送受信手段とを備え、
前記第一の記憶手段及び前記複数の画像表示回路は、それぞれ前記画像データを生成し表示を行わせる画像処理装置本体部に設けられ、前記第二の記憶手段は前記画像処理装置本体部に対して接離可能に構成され、
前記第一の記憶手段は、前記第二の記憶手段よりも記録されたデータへのアクセス速度が高速であり、
前記第二の記憶手段は、前記第一の記憶手段よりも前記データの記憶容量が大きく構成され
前記画像形成手段は、前記第一の記憶手段において生成された前記画像データを前記画像処理装置本体部から前記第二の記憶手段に移動させて前記第二の記憶手段に記憶させると共に、前記第二の記憶手段に記憶された前記画像データを前記画像処理装置本体部に移動させて該移動させた前記画像データを前記画像表示回路に供給し、前記画像データに基づく画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記第一の記憶手段の前記描画領域は、前記表示手段のうちで総画素数が最大のものに表示される一フレームのデータ量以上で全ての前記表示手段で表示される一フレームのデータ量の合計以下の容量に形成され、
前記第二の記憶手段は、全ての前記表示手段で表示される一フレームのデータ量の合計以上の容量に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記第二の記憶手段は、全ての前記表示手段で表示される一フレームのデータ量の合計の2倍以上の容量に形成されると共に、
2以上の複数バッファ構成によって、生成された前記画像の格納による一時的な保管と格納された前記画像の前記画像表示回路への送信とを行うように構成されていること特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記画像形成手段と前記第一の記憶手段との間のデータ伝送の第一の帯域幅は、前記画像表示回路と前記第二の記憶手段との間のデータ伝送の第二の帯域幅に対し、下記式(1)
の関係を有するよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の画像処理システム。
レイヤ数+1.5≦第一の帯域幅/第二の帯域幅≦レイヤ数×2+2.5・・・(1)
【請求項5】
前記第一の記憶手段と、前記第二の記憶手段とは、それぞれRAMによって形成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の画像処理システム。
【請求項6】
複数の表示手段を備え、請求項1乃至5の何れか一つに記載の画像処理システムを用いたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを用いて描画した画像を複数の表示手段に表示させる画像処理システム、及び、そのような画像処理システムを用いた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示技術の発達に伴い、多様な分野や多様な機器に、ディスプレイ等の画像表示装置と共に、この画像表示装置に表示させる画像を形成する画像処理システムが用いられている。従来、MPEGなどの圧縮アルゴリズムにより得られた動画の圧縮符号化データを記憶し、それを復号化して液晶等の画像表示装置に表示する画像処理システムが多数提案されている。近年、例えば、ゲーム機やパチンコ機などの遊技機等においては、一の機器に複数のディスプレイ(表示手段)が用いられ、個々のディスプレイに動画や静止画などを表示することで演出効果を高めることも多くなっている。
【0003】
また、近年は画像の解像度の高まりに伴って画像情報の大容量化が進み、画像処理や画像形成時に、大量の圧縮符号化データを処理する必要性が高まっている。このような必要性に対応する手段として、従来、画像処理用の集積回路の外部にNAND型フラッシュメモリ等、安価かつ大容量のメモリを用いて画像処理を行うと共に、形成された画像を表示装置に画像を表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、従来、外部メモリとオンチップメモリを備えた画像処理プロセッサにおいて、判定手段が、データ処理手段により外部記憶装置の所定のアドレス範囲から読み出された一連のデータを内部記憶手段に書き込むべきか否か判定して、書き込むべきと判定したデータを内部記憶手段に書き込み、データ処理手段が、外部記憶装置の同じアドレス範囲のデータを再び読み出すとき、その代わりに内部記憶手段からデータを読出すことで画像処理を行う発明が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−147815号公報
【特許文献2】特開2005−18428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、大量の圧縮符号化データを処理するためには、メモリの容量を大きくし、メモリの読み出しや書き込みの速度を高速化する必要がある。しかしその一方、メモリの大容量化や高速化を図れば画像処理システムの製造コストが高騰する。この問題は、一の機器に複数のディスプレイが設けられてより多くの画像情報を処理すべき環境において一層顕著になる。
【0006】
しかし、上記特許文献1においては、画像処理における並列処理や並行処理の数の増大に伴い外部メモリの数や外部メモリに接続される配線の数も増やさなければならないので、ディスプレイの数が多くなって並列処理や並行処理されるべきデータが多くなると画像処理システムの製造コストが増大し、データの大量処理や高速処理に事実上の限度が生ずるという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2においては、データの読み出し元のアドレスを基準に特定のデータを内部記憶手段に記憶させることはできても、画像処理における処理手順自体は従来と同様のメモリの使用に基づいて行われるため、複数のディスプレイで用いられるデータの大量処理や高速処理を行うには至らないという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システム、及びそのような画像処理システムを用いた遊技機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の表示手段に画像を表示させるための画像処理システムであって、前記表示手段に表示させる画像を形成する画像形成手段と、該画像形成手段によって、前記複数の表示手段のうちの少なくとも何れかにおいて表示される画像を描画して画像データを生成するための描画領域として用いられる第一の記憶手段と、前記画像形成手段によって、前記表示手段の数量に対応した数量形成される、前記第一の記憶手段において生成された前記画像データを格納する複数の第二の記憶手段と、該第二の記憶手段から前記画像データを取得してそれぞれの前記表示手段に表示させる、それぞれの前記表示手段に対応して設けられた複数の画像表示回路と、前記第一の記憶手段と前記第二の記憶手段との間での前記画像データの送受信、及び、前記第二の記憶手段と前記画像表示回路との間での前記画像データの送受信を行うための送受信手段とを備え、前記第一の記憶手段及び前記複数の画像表示回路は、それぞれ前記画像データを生成し表示を行わせる画像処理装置本体部に設けられ、前記第二の記憶手段は前記画像処理装置本体部に対して接離可能に構成され、前記第一の記憶手段は、前記第二の記憶手段よりも記録されたデータへのアクセス速度が高速であり、前記第二の記憶手段は、前記第一の記憶手段よりも前記データの記憶容量が大きく構成され、前記画像形成手段は、前記第一の記憶手段において生成された前記画像データを前記画像処理装置本体部から前記第二の記憶手段に移動させて前記第二の記憶手段に記憶させると共に、前記第二の記憶手段に記憶された前記画像データを前記画像処理装置本体部に移動させて該移動させた前記画像データを前記画像表示回路に供給し、前記画像データに基づく画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記第一の記憶手段の前記描画領域は、前記表示手段のうちで総画素数が最大のものに表示される一フレームのデータ量以上で全ての前記表示手段で表示される一フレームのデータ量の合計以下の容量に形成され、前記第二の記憶手段は、全ての前記表示手段で表示される一フレームのデータ量の合計以上の容量に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記第二の記憶手段は、全ての前記表示手段で表示される一フレームのデータ量の合計の2倍以上の容量に形成されると共に、2以上の複数バッファ構成によって、生成された前記画像の格納による一時的な保管と格納された前記画像の前記画像表示回路への送信とを行うように構成されていること特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記画像形成手段と前記第一の記憶手段との間のデータ伝送の第一の帯域幅は、前記画像表示回路と前記第二の記憶手段との間のデータ伝送の第二の帯域幅に対し、下記式(1)の関係を有するよう構成されたことを特徴とする。
レイヤ数+1.5≦第一の帯域幅/第二の帯域幅≦レイヤ数×2+2.5・・・(1)
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記第一の記憶手段と、前記第二の記憶手段とは、それぞれRAMによって形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、遊技機であって、複数の表示手段を備え、請求項1乃至5の何れか一つに記載の画像処理システムを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、第一の記憶手段を、描画手段が、複数の表示手段のうちの少なくとも何れかにおいて表示される画像を描画して画像データを生成するための描画領域として用いるように構成し、第二の記憶手段を、描画手段が、第一の記憶手段において生成された画像データを格納するように構成したことにより、描画手段は、画像データの生成処理と、生成された画像データの一時的な保管とを、第一の記憶手段と第二の記憶手段とにおいて同時並行して行うことができる。また、第一の記憶手段は、第二の記憶手段よりも記録されたデータへのアクセス速度が高速であり、第二の記憶手段は、第一の記憶手段よりもデータの記憶容量が大きく構成されていることにより、第一の記憶手段で全ての表示手段で表示する画像の画像データを高速に生成して第二の記憶手段に送ると共に、第二の記憶手段において、それぞれの表示手段に表示させるための画像データを格納して一時的に保管することができる。しかも、第一の記憶手段で行われる処理を、画像データの生成において、処理の高速性が求められる最低限の処理のみとして、第一の記憶手段の容量が過大になることを抑止できる。また、第一の記憶手段よりも容量の大きい第二の記憶手段で表示手段に表示させる画像データを一時的に保管することで、視覚的に違和感のない静止画や動画をそれぞれの表示手段で表示させることができる。これにより、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システムを提供できる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、第一の記憶手段の描画領域は、表示手段のうちで総画素数が最大のものに表示される一フレームのデータ量以上で全ての表示手段で表示される一フレームのデータ量の合計以下の容量に形成されていることにより、第一の記憶手段を、全ての表示手段で表示する画像データを高速に生成して第二の記憶手段に送るために必要な容量として構成できる。また、第二の記憶手段は、全ての表示手段で表示される一フレームのデータ量の合計以上の容量に形成されていることにより、第二の記憶手段を、それぞれの表示手段に表示させるための画像データを、表示手段ごとに一時的に保管するために必要な容量として構成できる。これにより、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システムを提供できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、第二の記憶手段において、2以上の複数バッファ構成による画像の一時的な保管と形成された画像の画像表示回路への送信とを連続的かつ高速に行うことが可能になる。これにより、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システムを提供できる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、第一の帯域幅と第二の帯域幅とで所定の演算を行った結果得られる値を、レイヤ数を基準とした所定の値との関係によって規定することにより、第一の記憶手段を用いた画像データの構成と第二の記憶手段を用いた画像データの一時的な保管及び画像表示回路への送信とを行う際に、第一の記憶手段から第二の記憶手段へのデータ送信、第二の記憶手段から画像表示回路へのデータ送信を連続して、かつ同時並行に行うことが可能となる。これにより、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システムを提供できる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、データの読み出し及び書き込み並びに記録されたデータへのランダムアクセスが可能なRAMを第一の記憶手段と第二の記憶手段とにそれぞれ用いて、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システムを構成できる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、本発明の画像処理システムを用いた、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施の形態に係る画像処理システム及び遊技機の全体構成を示す図である。
図2】同上画像処理システムの内部メモリと外部メモリとにおける処理内容を模式的に示す図である。
図3】同上画像処理システムの、処理を適正に行うための外部メモリと内部メモリの読み出し/書き込み速度の関係を画像データのレイヤ毎に示した図である。
図4】同上画像処理システムの処理手順を示すフローチャートである。
図5】同上画像処理システムの処理手順を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1乃至図5に、この発明の実施の形態を示す。
【0022】
[基本構成]
図1は、この実施の形態に係る画像処理システム及び遊技機の全体構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示す画像処理システム1Aは、パチンコ機、パチスロ等の遊技機100に組み込まれ、遊技機100の複数の表示部6,6,・・・6に表示される画像を形成するために用いられる。画像処理システム1Aは遊技機100の筐体内に配設される。
【0024】
図1に示す、この実施の形態の画像処理システム1Aは、画像処理装置1と、第一の補助記憶装置2と、第二の補助記憶装置3と、「第二の記憶手段」としての外部メモリ4と、複数の表示部6,6,・・・6とを備えている。第一の補助記憶装置2と、第二の補助記憶装置3と、外部メモリ4は、「送受信手段」としての外部データバス5にバス接続されると共に、この外部データバス5を介して画像処理装置1に接続されている。
【0025】
画像処理システム1Aの画像処理装置1は、例えばGPU(Graphics Processing Unit)であって、コンピュータ装置やコンピュータユニットにおいて画像処理や画像描画を行うための各種の構成を備えたユニットである。この実施の形態においては、画像処理装置1は、各種のプログラムやデータに基づいて複数の画像(静止画、動画のいずれも含む)を形成し、形成したそれぞれの画像を表示部6,6,・・・6に表示させる。
【0026】
画像処理装置1は、制御部7、描画部8、転送部9、「第一の記憶手段」としての内部メモリ10、表示回路部11、通信インターフェース(I/F)部12を備え、これらの構成が「送受信手段」としての内部データバス13にバス接続されている。そして、表示回路部11には、表示部6,6,・・・6と同数の複数の画像表示回路14,14,・・・14が設けられている。
【0027】
制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、画像処理装置1全体の信号やデータの送受信、及び信号処理やデータ処理を統括的に制御する。具体的には、例えば、第一の補助記憶装置2から制御情報のプログラムを読み込み、このプログラムに基づいて画像処理システム1Aの描画部8、転送部9等の各構成要素を制御すると共に、遊技機100の上位制御部から要求される画像データを画像処理システム1Aで形成するためのコマンド生成を行う。
【0028】
描画部8は、画像処理や画像描画に必要な各種の処理を行う。この実施の形態においては、描画部8は、制御部7から供給される(制御部7が遊技機100の上位制御部から要求された画像を形成するためのディスプレイリスト(図示せず)に基づいて、グラフィック描画等を行うことで、それぞれの表示部6,6,・・・6に表示される画像を構成する所定の単位(例えば動画の1フレームを構成する各レイヤ(階層))ごとの画像のデータを構成する描画データ(以下単に「レイヤデータ」と称する。本明細書において同じ。)を生成する処理や、レイヤデータに基づいて、それぞれの表示部6,6,・・・6に表示される画像としての画像データ(以下単に「画像データ」と称する。本明細書において同じ。)を生成する処理等を行う。
【0029】
具体的には、例えば、描画部8は、内部メモリ10を作業領域として、第二の補助記憶装置3から読み込んだ画像形成に必要な画像コンテンツのデータ(例えばMPEG等の圧縮CODECで圧縮されたデータ)を用いて所定の描画処理を行い、描画処理の結果として、個々のレイヤデータや画像データを生成する(図2参照。詳しくは後述する。)。
【0030】
転送部9は、制御部7の制御により、内部メモリ10のフレームバッファ110に記録された画像データを外部メモリ4に転送して一時的に保管する。具体的には、例えば、転送部9は、制御部7の制御により、内部メモリ10のフレームバッファ110に格納された画像データを読み出して取りこみ、取りこんだ画像データを外部メモリ4の何れかの格納領域(例えば格納領域16の第一領域161)に書き込んで格納する。これにより、画像データを外部メモリ4に一時的に保管する(詳しくは後述する。)。
【0031】
内部メモリ10は、例えばeDRAM(embedded DRAM)やSRAM(Static Random Access Memory)等、記録されたデータに対する高速なアクセスが可能な記憶手段である。内部メモリ10は、描画部8における描画処理の作業領域として用いられ(図2参照。詳しくは後述する。)、画像データを格納する「描画領域」としてのフレームバッファ110と、レイヤデータを格納するレイヤデータ格納部120とを有している。
【0032】
内部メモリ10のフレームバッファ110の容量は、外部メモリ4の容量や、複数の表示部6,6,・・・6に一度に表示させる画像のデータ量等に基づいて設定される(図3参照。詳しくは後述する。)。
【0033】
表示回路部11、及び画像表示回路14,14,・・・14は、外部メモリ4に格納された画像データを取得して、表示部6,6,・・・6に表示可能なデータ形式に変換し、各種画像を表示部6,6,・・・6に送信して表示させるための各種の処理を行う。具体的には、表示回路部11は、外部メモリ4に記録された画像データを読み込み、画像表示回路14,14,・・・14に送る。それぞれの画像表示回路14,14,・・・14は、取得した画像データを表示部6,6,・・・6に表示可能なデータに変換し、データ伝送部15,15,・・・15を介して表示部6,6,・・・6に送信し、表示部6,6,・・・6に画像表示させる。
【0034】
通信インターフェース部12は、画像処理装置1の内部と外部でのデータの送受信を行うために必要な各種の処理(例えばデータ自体の変換や、送受信のためのアドレス情報の変換等)を行う。
【0035】
内部データバス13は、画像処理装置1の内部での各構成間でのデータや信号の送受信経路を構成する。内部データバス13は、複数のデータや信号を同時に並行して送受信できるように構成することが望ましい。
【0036】
第一の補助記憶装置2は、例えば各種のROMであり、外部データバス5及び内部データバス13によって画像処理装置1に接続されている。第一の補助記憶装置2には、画像処理システム1Aの描画部8、転送部9等の各構成要素を制御するプログラム等が記録されている。
【0037】
第二の補助記憶装置3も、例えば各種の記憶装置であり、外部データバス5及び内部データバス13によって画像処理装置1に接続されている。第二の補助記憶装置3には、表示部6,6,・・・6に画像を描画処理し、画像形成するために用いられる各種コンテンツデータが記録されている。具体的には、第二の補助記憶装置3はSSD(Solid State Device)で、例えばMPEG等の圧縮CODECによって圧縮された、描画部8の処理により画像データを生成するための圧縮データが記録されている。
【0038】
外部メモリ4は、各種のRAMであって、内部メモリ10のフレームバッファ110において描画処理された画像データが転送されて記録される。外部メモリ4は、内部メモリ10よりも記録されたデータに対するアクセス速度は低速だが、内部メモリ10よりも記憶容量が大きく形成可能なSDRAM(Synchronous DRAM)やGDDR(Graphics DDR)などが利用できる。
【0039】
前述の通り、外部メモリ4においては、表示部6,6,・・・6にそれぞれ表示される1フレームごとの画像データが格納される。具体的には、外部メモリ4は、複数、例えば表示部6,6,・・・6の数と同数(つまりn+1個)の格納領域16,16,・・・16が形成されている。さらに、それぞれの格納領域が2つに分割されて第一領域161,161,・・・161と第二領域162,162,・・・162が形成され、ダブルバッファリング(2つの格納領域において、一方の格納領域例えば第一領域161に内部メモリ10にて生成された画像データが格納されて一時的に保管され、他方の格納領域例えば第二領域162から格納された画像データの転送が行われる状態を交互に繰り返し行う処理のこと。)が行われるように構成されている。なお、この実施の形態においては、格納領域を第一及び第二領域の二つを利用したダブルバッファリングとしたが、これに限るものではなく、二以上の複数の領域を構成した複数バッファ構成であれば良い。
【0040】
外部メモリ4の記憶容量は、複数の表示部6,6,・・・6に一度に表示させる画像のデータ量等に基づいて設定される(図3参照。詳しくは後述する。)。
【0041】
外部データバス5は、画像処理装置1の外部の各構成を、相互にデータや信号の送受信を可能な状態に接続してデータや信号の送受信経路を形成する。複数のデータや信号を同時に並行して送受信できるように構成することが望ましい。
【0042】
なお、内部データバスのバス幅が数千ビットに設定することが可能であるのに対し、PCI等、外部機器の接続インターフェースとして利用されるバス幅は64ビットであり、同一周波数で駆動すると、数百分の1〜数十分の1程度の伝送速度になることが一般的である。内部データバス13及び外部データバス5の帯域幅(通信速度)は、内部メモリ10のフレームバッファ110の容量や、外部メモリ4の容量、すなわち、複数の表示部6,6,・・・6に一度に表示させる画像のデータ量等に基づいて設定される(詳しくは後述する。)。
【0043】
[描画部による、内部メモリにおける処理と外部メモリへの転送]
図2に、この実施の形態の画像処理システム1Aの、描画部8による内部メモリ10における処理と外部メモリ4への転送処理を模式的に示す。
【0044】
図2に示すように、この実施の形態において、描画部8は、内部メモリ10のレイヤデータ格納部120、フレームバッファ110を作業領域に用いて、個々の表示部6,6,・・・6で表示させる1フレームごとの画像データを生成する。
【0045】
具体的には、描画部8は、第二の補助記憶装置3(図1参照)から読み込んだ画像形成に必要な画像コンテンツのデータ(例えばMPEG等の圧縮CODECで圧縮されたデータ)を用いて所定の描画処理を行う。
【0046】
例えば、図2に示すように、背景、人物、煙のエフェクトが存在する画像の場合、まず、背景レイヤに関するデータを第二の補助記憶装置3から読み取り、描画部8でデコードし、その結果である背景レイヤデータを内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に記憶する。その後、描画部8は内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に記憶された背景レイヤデータと、フレームバッファ110に格納されている画像データ(背景レイヤ作成時にはフレームバッファ内のデータは空の状態か、或いは単色)とを読み取り、フレームバッファ110内の画像データ上に背景レイヤの画像を重ね合わせて描画し、描画結果である画像データ(A)は内部メモリ10のフレームバッファ110に格納される。
【0047】
次に、図柄レイヤに関するデータを第二の補助記憶装置3から読み取り、描画部8でデコードし、その結果である図柄レイヤデータを内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に記憶する。その後、レイヤデータ格納部120に記憶した図柄レイヤデータと、フレームバッファ110に格納されている画像データ(A)とを読み込み、画像データ(A)と図柄レイヤデータとを重ね合わせて描画し、描画結果である画像(B)は内部メモリ10のフレームバッファ110に格納される。
【0048】
更に、エフェクトレイヤに関するデータを第二の補助記憶装置3から読み取り、描画部8でデコードし、その結果であるエフェクトレイヤデータを内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に記憶する。その後、レイヤデータ格納部120に記憶したエフェクトレイヤデータと、フレームバッファ110に格納されている画像データ(B)とを読み込み、画像データ(B)とエフェクトレイヤデータとを重ね合わせて描画し、描画結果である画像(C)は内部メモリ10のフレームバッファ110に格納される。
【0049】
すべてのレイヤの画像がフレームバッファ110の画像データと合成されると、画像データはフレームバッファ110から通信インターフェース部12を介して外部メモリ4の格納領域例えば格納領域16の第一領域例えば第一領域161、もしくは第二領域例えば第二領域162、のいずれか一方(例えば第一領域161)に転送され、記憶される(図2参照)。その際、外部メモリ4の他方の領域(例えば第二領域162)には前フレームで描画された画像データが格納されている(図2参照)。表示回路部11は、その他方の領域から画像データを読み出し、対応する特定の表示部例えば表示部6に表示する。
【0050】
なお、図2には、外部メモリ4の一の格納領域16の第一領域161と第二領域162との処理のみを記載しているが、他の格納領域16,・・・16の第一領域161,・・・161と第二領域162,・・・162とにおいても同様の処理が行われる。そして、処理の結果、画像データが対応する表示部6,・・・6に表示される。
【0051】
読み出しの高速な内部メモリ10において描画処理を行い個々の画像データを生成し、表示部6,6,・・・6に対応する数の格納領域16,16,・・・16を持つ外部メモリ4に1フレームごとの画像データを格納することにより、個々の画像データの生成を高速に行いつつ、その画像データを用いて個々の表示部6,6,・・・6で表示させることができる。即ち、描画処理による個々の画像データの生成と、その画像データを用いた1フレームごとの画像データの生成とを、連続した処理として行い、画像データを生成する処理の高速化を図り、動きの滑らかな動画再生を実現できる。
【0052】
[メモリ容量及び転送速度の設定の前提]
例えば、遊技機100に5つの表示部6,6,・・・6が設けられており、それぞれの表示部6,6,・・・6が下記<表1>に示すスペックである場合を考える。
【0053】
<表1>
この場合、従来技術においては、全ての表示部6,6,・・・6における処理を高速化するためには、内部メモリ10のフレームバッファ110の容量は、表示部6,6,・・・6の必要メモリ容量の合計以上の大きさ、例えば550Mbが必要とされる。すなわち、描画部が描画する全ての画像データをフレームバッファ110に記憶しておき、それを表示回路で表示するためである。
【0054】
しかし、上述の通り、内部メモリ10は高価であり、内部メモリ10のメモリ容量の増大はコストの高騰につながる。
【0055】
一方、複数の表示部6,6,・・・6で画像を表示することに鑑みれば、アクセス速度が低速な外部メモリ4を利用して、最小限の内部メモリで画像を描画することが望まれるが、複数の表示部6,6,・・・6への表示を前提として、どの程度の外部メモリ容量を確保し、またどの程度の内部メモリ容量で描画処理を行えば良いかという点については従来考慮されていなかった。
【0056】
そこで、この実施の形態においては、上述の通り、外部メモリ4よりデータの読み出し速度が高速な内部メモリ10と、内部メモリ10より容量の大きな外部メモリ4とを用いて画像データを生成するにあたり、複数の表示部6,6,・・・6の解像度から内部メモリ容量と外部メモリ容量との関係及び内部メモリの転送速度と外部メモリの転送速度との関係を見出し、最小限の内部メモリ容量とすることでコストを抑えた複数表示部対応の画像処理装置を提供するものである。
【0057】
以下、メモリ容量を過大にすることなくそれぞれの表示部6,6,・・・6に動きの滑らかな動画を表示できる、内部メモリ10及び外部メモリ4のメモリ容量、内部データバス13及び外部データバス5(のうちの帯域幅の小さい方)の帯域幅、及び、内部メモリ10に記録されたデータへのアクセス速度、の設定態様の一例を挙げる。
【0058】
[内部メモリの容量の設定]
この実施の形態の画像処理システム1Aにおいては、内部メモリ10のメモリ容量、具体的には、処理を行う際に内部メモリ10に形成されるフレームバッファ110の容量は、全ての表示部6,6,・・・6の中で最大解像度ものに表示される1フレーム分の画像データを格納できる容量よりも大きく、かつ、全ての表示部6,6,・・・6において最大解像度の画像を1フレーム分格納できる容量よりも小さく設定されている。
【0059】
例えば、画像処理システム1Aの表示部6,6,・・・6が上記<表1>に記載のスペックになっている場合、フレームバッファ110の容量は、下記式(1)に示すように設定する。

約283Mb(表示部6(即ち、全ての表示部6,6,・・・6の中で最大解像度もの)の1フレーム分の画像データを格納できるメモリ容量に略同一)<内部メモリ10のフレームバッファ110の容量<約548Mb(全ての表示部6,6,・・・6の1フレーム分の画像データを全て格納できるメモリ容量に略同一)・・・(1)

[外部メモリの容量の設定]
この実施の形態の画像処理システム1Aにおいては、前述の通り、外部メモリ4にそれぞれの表示部6,6,・・・6と同数の格納領域16,16,・・・16が設けられ、それぞれの格納領域において描画部8がダブルバッファリングによる処理を行う。即ち、それぞれの格納領域を2つに分割し、分割された一方の領域(例えば格納領域16の第一領域161)を内部メモリ10において生成された画像データを格納して一時的に保管する領域、他方の領域(例えば格納領域16の第二領域162)を、格納された画像データを表示回路部11に送るための領域として用いる。
【0060】
このような処理を実現するため、この実施の形態において、外部メモリ4のそれぞれの格納領域16,16,・・・16は、全ての表示部6,6,・・・6の中で最大解像度のもの(表1においては表示部6)の1フレーム分の画像データを格納できるメモリ容量の2倍以上のメモリ容量となるように設定する。
【0061】
例えば、画像処理システム1Aの表示部6,6,・・・6が上記<表1>に記載のスペックになっている場合、外部メモリ4の容量は、下記式(2)に示すように設定する。

外部メモリ4の容量≧1096Mb(約548Mb×2)・・・(2)

[外部メモリと内部メモリとの転送速度の関係]
例えば、5台の表示部6,6,・・・6のスペックが<表1>に示す通りであり(4K2K:1台、Full HD:4台)、それぞれの表示部6,6,・・・6で表示される画像(動画)が30fpsであった場合、全ての表示部6,6,・・・6に伝送すべきデータ量は、下記値(3)(4)に基づく、下記式(5)の通りとなる。

表示部6,6,・・・6全画面分の容量:548Mb・・・(3)
1秒間の表示フレーム数:30fps・・・(4)
1秒間に表示部6,6,・・・6に伝送すべきデータ量=(3)×(4)=548(Mb)×30(fps)=16.461Gb・・・(5)

この転送速度が画像表示回路14,14,・・・14が外部メモリ4からデータを読み出すために必要な速度であり、また転送部9による内部メモリ10のフレームバッファ110からの描画データの書き込みも同時に行われるので、最低でも外部メモリ4の転送速度は、上記(5)の16.461Gbpsの2倍である、下記式(6)に示す値となる。

外部メモリ4の転送速度≧32.922Gbps・・・(6)

なお、この転送速度の値は表示部6,6,・・・6のスペックによって変化する。例えば、5台の表示部6,6,・・・6の全てが表示部6と同じく4K2Kの解像度を有する場合、外部メモリ4の容量は下記式(7)に示す通りとなり、外部メモリ4の動作周波数は、下記式(8)に示す通りとなる。

外部メモリ4の容量=283.1(Mb)×5(台)×2(倍)=約2.8Gb・・・(7)
外部メモリ4の転送速度=1415.5(Mbit)×30(fps)×2(倍)=84.930Gbps・・・(8)

上記式(3)〜式(8)等を総合すると、外部メモリ4の転送速度は、下記式(9)に示す通りとなる。

外部メモリ4の転送速度≧表示部6,6,・・・6の解像度に対応した必要メモリ容量の合計×1秒間の表示フレーム数×2・・・(9)

[内部メモリ10の転送速度]
内部メモリ10においては、描画部8における圧縮符号化データのデコード結果の書き込み/読み出し、描画部8における描画データの書き込み/読み出し、転送部9への読み出し等が同時に行われる。そのため、それらの処理が遅滞なく行われる必要がある。
【0062】
ここで、内部メモリ10の書き込み、読み出しに必要な速度を、画像データのレイヤを基準として検討する。
【0063】
<画像のレイヤ数が1の場合>
この例においては、下記の処理が行われる。
[手順A]
(手順01)第二の補助記憶装置3に格納された符号化データを描画部8でデコードし、そのデコード結果であるレイヤデータを内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に書き込み
(手順02)内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に格納されたレイヤデータを描画部8が読み込み
(手順03)フレームバッファ110に格納されている画像データを描画部8が読み込み
(手順04)レイヤデータと画像データとを合成し、合成した画像データをフレームバッファ110に書き込み
(手順05)フレームバッファ110に格納されている画像データを読み出し、転送部9を介して外部メモリ4へ転送
そして、外部メモリ4への書き込みと読み出しである2つの処理の合計処理速度を「1」とすると、[手順A]の処理を行うためには、内部メモリ10へのアクセスが上記手順01〜手順05に記載したように合計で5回生じるので、書き込み、読み出しの速度は、外部メモリ4の2.5倍(=5アクセス/2アクセス)必要となる(図3の矢印200参照)。
【0064】
<画像のレイヤ数が2の場合>
この場合、符号化データのデコードはレイヤ毎に行われるので、デコード結果の書き込み及びデコード結果の読み込みは2回ずつ行われ、また描画が完了した1フレームの画像データを、転送部9を介して外部メモリ4に格納するための読み出しも1回である。一方、内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に格納されたレイヤデータとフレームバッファ内の画像データとの合成は、レイヤ毎に行われる場合もあれば、レイヤ毎に行わず、各レイヤデータをレイヤデータ格納部120に格納し、全てのレイヤデータが格納された後にフレームバッファ110内の画像データに合成する場合もある。
【0065】
そこで、描画部8が全てのレイヤを一度に合成する場合の手順を[手順B]、レイヤ毎に合成を行う場合の手順を[手順C]として記載する。
[手順B]
(手順11)第二の補助記憶装置3に格納された符号化データを描画部8でデコードし、そのデコード結果である第1レイヤデータを内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に書き込み
(手順12)第二の補助記憶装置3に格納された符号化データを描画部8でデコードし、そのデコード結果である第2レイヤデータを内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に書き込み(なお、この場合、レイヤデータ格納部120には、第1レイヤデータと第2レイヤデータとを格納しておくための容量が必要である。)
(手順13)描画部8がフレームバッファ110に格納されている画像データを読み込み
(手順14)内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に格納された第1レイヤデータを読み込み
(手順15)内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に格納された第2レイヤデータを読み込み
(手順16)手順23〜手順24で読み込んだ画像データ、第1、第2レイヤデータを合成し、合成した画像データをフレームバッファ110に書き込み
(手順17)フレームバッファ110に格納されている画像データを読み出し、転送部9を介して外部メモリ4へ転送
そして、この場合、外部メモリ4への書き込み、読み出しである2つの処理の合計処理速度を「1」とすると、[手順B]の処理を行うためには、内部メモリ10へのアクセスが上記手順11〜手順17に記載したように合計で7回生じるので、書き込み、読み出しの速度は、外部メモリ4の3.5倍(=7アクセス/2アクセス)必要となる(図3の矢印300参照)。
[手順C]
(手順21)第二の補助記憶装置3に格納された符号化データを描画部8でデコードし、そのデコード結果である第1レイヤデータを内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に書き込み
(手順22)内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に格納された第1レイヤデータを描画部8が読み込み
(手順23)描画部8がフレームバッファ110に格納されている画像データを読み込み
(手順24)第1レイヤデータと画像データとを合成し、合成した第1画像データをフレームバッファ110に書き込み
(手順25)第二の補助記憶装置3に格納された符号化データを描画部8でデコードし、そのデコード結果である第2レイヤデータを内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に書き込み(第1レイヤデータに上書き可能)
(手順26)描画部8が内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に格納された第2レイヤデータを読み込み
(手順27)描画部8がフレームバッファ110に格納されている第1画像データを読み込み
(手順28)第1レイヤデータと第1画像データとを合成し、合成した第2画像データをフレームバッファ110に書き込み
(手順29)フレームバッファ110に格納されている第2画像データを読み出し、転送部9を介して外部メモリ4へ転送
そして、外部メモリ4の書き込み、読み出しである2つの処理の合計処理速度を「1」とすると、[手順C]の処理を行うためには、内部メモリ10へのアクセスが上記手順21〜手順29に記載したように合計で9回生じるので、書き込み、読み出しの速度は、外部メモリ4の4.5倍(=9アクセス/2アクセス)必要となる(図3の矢印400参照)。
【0066】
図3は、上記手順A〜手順Cのような演算に基づいて算出した、処理を適正に行うための外部メモリ4と内部メモリ10の読み出し/書き込み速度の関係を画像データのレイヤ毎に示した図である。これらを総合すると、外部メモリ4の書き込み、読み出しの速度(第二の帯域幅)に対する内部メモリ10の書き込み、読み出しの速度(第一の帯域幅)の倍率は、下記式(10)のように算出される。

レイヤ数+1.5≦速度の倍率(第一の帯域幅/第二の帯域幅)≦レイヤ数×2+2.5・・・(10)

なお、上記のように各レイヤの合成をレイヤ毎に行う場合にはレイヤデータ格納部の容量は最大解像度の画像のレイヤデータを格納できる分だけ確保し、複数のレイヤデータを取り扱う場合であっても、レイヤデータを順次上書きすれば良いが、各レイヤの合成を一度に行う場合には合成処理を行うまで各レイヤデータをレイヤデータ格納部に格納し続けておく必要があるので、合成するレイヤのレイヤデータを全て格納できる容量が必要となる。
【0067】
また、上記実施の形態におけるレイヤ数とは、画像処理システムが複数の表示装置に表示するコンテンツのうち、描画画素数が最大となるフレームにおいてフレームバッファの容量と同じサイズのデータ量となるレイヤの描画枚数を前提としている。したがって、一つのレイヤを複数の小さなレイヤに分割した場合には上記式(10)を満たさなくなるが、そのような場合にはフレームバッファの容量と同じサイズとなる分割された複数の小さなレイヤを1レイヤと見做すことで上記条件を満たすこととなる。
【0068】
[処理手順]
図4は、この実施の形態の画像処理システム1Aの処理手順を示すフローチャートである。図5は、同手順を機能ブロック図上に模式的に示したものである。以下、同図にもとづいてこの実施の形態の画像処理システム1Aの処理手順について説明する。なお、説明の簡単のため、画像データの作成順序は表示部6、6、・・・6の順とし、また、それぞれの表示部6,6,・・・6に表示される画像が1レイヤである場合について以下説明する。
【0069】
まず、制御部7は、第一の補助記憶装置2から、画像処理システム1Aを制御するためのプログラムを読み出す。このプログラムに基づいて、制御部7は、描画部8や転送部9に、以下に示す、画像データの生成や、生成された画像データに基づいて表示部6,6,・・・6に画像を表示させるための制御を行う(ステップS1)。
【0070】
遊技機100の上位制御部から画像データが要求されると、制御部7は画像データを描画するためのディスプレイリストを描画部8に出力すると共に、描画部8は、内部メモリ10の内部に、表示部6に出力するための画像データ処理に必要な容量をフレームバッファ110として確保する(ステップS1)。例えば、表示部6に表示される4K2Kの画像の場合、283.1Mb以上の容量をフレームバッファ110として確保する。
【0071】
次に、描画部8は、第二の補助記憶装置3から符号化された画像コンテンツのデータを読み込み、デコードしてレイヤデータとして内部メモリ10のレイヤデータ格納部120に格納し、更にレイヤデータ格納部120のレイヤデータとフレームバッファ110の画像データを読み出し、合成して、画像データをフレームバッファ110に書き込む(ステップS2)
次に、転送部9により、内部メモリ10のフレームバッファ110に格納された1フレーム分の画像データを外部メモリ4の格納領域、例えば格納領域16の第一領域161、へ転送する(ステップS3)。
【0072】
次に、描画部8は、フレームバッファ110として使用していた内部メモリ10の領域を解放する(ステップS4)。
【0073】
次に、描画部8は表示部6に出力するための画像データ処理に必要な容量をフレームバッファ110として確保し、上記と同様ステップS1からステップS4を生成する画像の数、すなわち、表示部の数だけステップS1〜S4を繰り返し(ステップS5の“No”)、表示部6,・・・6にそれぞれ表示される画像を構成するための画像データを生成する。
【0074】
このとき、ステップS1に対応する処理においては、上記<表1>に示す場合、描画部8は、表示部6,・・・6に表示されるFull HDの画像を構成する画像データを生成するため、内部メモリ10内にフレームバッファ110として約70Mbの容量を確保し、描画データを生成する。そして、ステップS2〜S4に対応する処理も繰り返す。
【0075】
ステップS1〜S4の処理を更に4回繰り返すことにより、全ての表示部6,・・・6に表示される描画データが外部メモリ4の一方の格納領域、例えば第一領域161,161,・・・161に格納されて、画像データが生成された状態となり、全ての表示部6,・・・6の画像データ生成が完了する(ステップS5の“Yes”)。
【0076】
ステップS5が“Yes”であって、外部メモリ4に全ての表示部6,・・・6に表示すべき画像データが格納された後、表示部6,6,・・・6の表示タイミングで画像表示回路14,14,14は外部メモリ4から画像データを読み出し、画像表示回路14,14,・・・14は、取得した画像データをデータ伝送部15,15,・・・15を介して表示部6,6,・・・6に送信し、表示部6,6,・・・6に画像表示させる(ステップS6)。各表示部6,6,・・・6が30fpsで1フレームを表示する場合、33.3msec毎に各画像表示回路は外部メモリ4から必要な画像データを読み出す。
【0077】
上述のように、内部メモリ10の容量、外部メモリ4の容量、内部データバス13や外部データバス5の転送速度、描画部8の制御、表示回路部11や画像表示回路14,14,・・・14の制御等を行うことで、高価な内部メモリ10のフレームバッファ110の容量をいずれか一つの表示部例えば表示部6の1画面分に抑えつつ、複数の表示部6,6,・・・6に表示される複数画面の描画及び表示処理を高速に実行することが可能となる。
【0078】
以上、この実施の形態においては、内部メモリ10を、描画部8が、複数の表示部6,6,・・・6のうちの少なくとも何れかにおいて表示される画像を描画して画像データを生成するための描画領域として用いるように構成し、外部メモリ4を、表示部6,6,・・・6に表示される画像の画像データの格納領域として用いるように構成したことにより、内部メモリ10の高速なアクセス速度を利用して表示に必要な複数の画像データを生成すると共に、生成された複数の画像データを外部メモリ4に格納し、外部メモリ4から複数の表示部6,6,・・・6に画像データを供給するので、内部メモリ10の容量が過大になることを抑止できる。
【0079】
この実施の形態においては、内部メモリ10のフレームバッファ110は、表示部6,6,・・・6のうちで総画素数が最大のものに表示される一フレームのデータ量以上で全ての表示部(例えば表示部6)で表示される一フレームのデータ量の合計以下の容量に形成されていることにより、内部メモリ10を、全ての表示部6,6,・・・6で表示する画像データを高速に生成して外部メモリ4に送るために必要な容量として構成できる。また、外部メモリ4は、全ての表示部6,6,・・・6で表示される一フレームのデータ量の合計以上の容量に形成されていることにより、外部メモリ4を、それぞれの表示部6,6,・・・6に表示させるための画像データを、表示部6,6,・・・6ごとに同時並行して形成するために必要な容量として構成できる。これにより、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システム1Aを提供できる。
【0080】
この実施の形態においては、外部メモリ4において、ダブルバッファリングによる画像データの一時的な保管と一時的に保管された画像データの送信とを行うことが可能となって、画像の形成と画像の送信を連続的かつ高速に行うことが可能になる。これにより、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システム1Aを提供できる。
【0081】
この実施の形態においては、内部データバス13、及び/又は、外部データバス5の帯域幅を、画像データの生成と表示部6,6,・・・6における画像の表示を連続して行えるように構成したことにより、内部メモリ10を用いた描画データの構成と外部メモリ4を用いた画像データの生成を行う際に、内部メモリ10から外部メモリ4へのデータ送信、外部メモリ4から表示回路部11の14,14,・・・14へのデータ送信を連続して、かつ同時並行に行うことが可能となる。これにより、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システム1Aを提供できる。
【0082】
この実施の形態においては、データの読み出し及び書き込み並びに記録されたデータへのランダムアクセスが可能なRAMを内部メモリ10と外部メモリ4とにそれぞれ用いて、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる画像処理システム1Aを構成できる。
【0083】
この実施の形態においては、この発明の画像処理システム1Aを用いた、複数の画面に同時に画像を表示させる際に、画像形成と画像表示とを高速に行うことができると共に製造コストの高騰を抑止できる遊技機100を提供することができる。
【0084】
なお、この実施の形態においては、本発明の画像処理システム1Aを遊技機100に用いるものとしたが、遊技機100以外に用いられる画像処理システム1Aにも適用できる。
【0085】
また、この実施の形態においては、内部メモリ10の「描画領域」をフレームバッファ110としたが、これに限定されず、内部メモリ10中のフレームバッファ110と他の構成とを総合した領域を「描画領域」としてもよい。具体的には、例えばフレームバッファ110とレイヤデータ格納部120とを総合した領域を「描画領域」としてもよい。あるいは、内部メモリ10中のフレームバッファ110以外の領域、例えばレイヤデータ格納部120や、レイヤデータ格納部120以外の領域(図示せず)を「描画領域」としてもよい。
【0086】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0087】
1A・・・画像処理システム
4・・・外部メモリ
5・・・外部データバス(送受信手段)
,6,・・・,6,6・・・表示部(表示手段)
8・・・描画部(画像形成手段)
10・・・内部メモリ(第一の記憶手段)
13・・・内部データバス(送受信手段)
14,14,・・・14・・・画像表示回路
100・・・遊技機
110・・・フレームバッファ(描画領域)
図1
図2
図3
図4
図5