【実施例1】
【0027】
本発明に係る車両用灯具の一例としての実施例1の車両用灯具10を、
図1から
図7を用いて説明する。この車両用灯具10は、
図1に示すように、前方を照射するために自動車等の車両50に搭載される。車両用灯具10は、車両50の前端部で対を為して左右両側(10L、10R)に設けられ、左右対称で互いに略等しい構成とされている。以下では、左右の両車両用灯具10が左右対称で互いに略等しい構成であることから、左側に設けられた車両用灯具10Lについて説明し、右側の車両用灯具10Rについては省略するものとし、単に車両用灯具10と記載してその構成について説明する。以下の説明では、取り付けられる車両50において運転手から見た前後方向、左右方向および上下方向(各図の矢印参照)を用いるものとする。
【0028】
車両用灯具10は、
図2および
図3に示すように、ヒートシンク部材11に、半導体型発光部12(
図3等参照)と遮蔽板部材13と投影レンズ14とを取り付けて構成される。そのヒートシンク部材11は、半導体型発光部12で発生した熱を放熱するものであり、樹脂や金属製ダイカスト等の熱伝導率が高い材料で形成し、実施例1では金属製ダイカストのうちのアルミダイカストにより形成している。ヒートシンク部材11では、半導体型発光部12を設置するための発光部設置箇所21(
図3参照)を設けるとともに、その半導体型発光部12で発生した熱を放熱するための複数の放熱フィン22を設けている。
【0029】
発光部設置箇所21は、
図3および
図4に示すように、ヒートシンク部材11における前側の端部に設けており、前後方向および左右方向を含む平坦な面としている。この発光部設置箇所21では、後述する発光基板31を介して半導体型発光部12を設置させる。各放熱フィン22は、発光部設置箇所21の後方において、前後方向および上下方向に沿う板状を呈し、左右方向に並列して設けている。
【0030】
このヒートシンク部材11では、前側の端部において、発光部設置箇所21を挟んで左右方向で対を為して、外側から取付箇所23と熱伝達低減溝24とを設けている。この一対の取付箇所23は、後述するように遮蔽板部材13(その遮蔽板取付部34)を介して投影レンズ14(そのレンズ取付部38)を取り付ける箇所を構成する。その各取付箇所23は、実施例1では、前後方向および左右方向を含む平坦な取付面25と、その取付面25から前方へ向けて突出する位置決め突起26と、取付面25を穿って設けられたネジ穴27と、を有する。取付面25は、遮蔽板部材13を取り付けるために、その後述する遮蔽板取付部34を面で接触させることを可能とする。各位置決め突起26は、遮蔽板部材13の後述する遮蔽板取付部34に設けられた位置決め孔35、および投影レンズ14の後述するレンズ取付部38に設けられた位置決め孔39に、前後方向で通すことを可能とする。各ネジ穴27は、内周面にネジ溝が設けられており、後述するネジ部材42の軸部42bを受け入れることを可能とする。
【0031】
一対の熱伝達低減溝24は、発光部設置箇所21および両取付箇所23(その取付面25)に対して後方へと窪みつつ上下方向に伸びて形成されている。この各熱伝達低減溝24は、左右方向で見て互いに隣接する発光部設置箇所21から取付箇所23へと熱伝達する際の経路(熱伝達経路)の距離を長くするものであり、半導体型発光部12で発生した熱が取付箇所23へと伝わることを抑制する(
図6等参照)。
【0032】
このヒートシンク部材11では、取付箇所23に段差溝28を設けている。この段差溝28は、取付箇所23における取付面25の一部を切り欠いて形成している。段差溝28は、実施例1では、
図4を正面視して右側の取付箇所23の上方と下方との2箇所(個別に述べる際には281、282とする)に設けているとともに、左側の取付箇所23の上方(個別に述べる際には283とする)に設けている。その各段差溝28は、実施例1では、対応する取付面25における左右方向で見た外側の端部25aと内側の端部25bとを残しつつ、当該取付面25における左右方向で見た中央を部分的に切り欠いて設けている(
図6等参照)。すなわち、各段差溝28は、取付面25における中間位置を部分的に切り欠いて設けている。この各段差溝28は、取付面25の左右の端部25aおよび端部25bに対して後方へと窪んで形成しており、取付箇所23における前面を部分的に開放している。そのうちの段差溝281と段差溝283とは、対応する取付箇所23から上側に伸びて形成しており、ヒートシンク部材11における上面を開放する。また、そのうちの段差溝282は、対応する取付箇所23から下側に伸びて形成しており、ヒートシンク部材11における下面を開放する。そして、各段差溝28は、後述するように遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34)を取付箇所23に取り付けた状態を前方から見て、一部が当該遮蔽板部材13の位置と重複する位置関係としている(
図4に二点鎖線で示す遮蔽板部材13および
図5参照)。このため、段差溝28は、取付面25の遮蔽板部材13(その遮蔽板取付部34)への接触面積を低減させる。
【0033】
ヒートシンク部材11では、板状を呈する3つの取付片部29を設けている。各取付片部29は、左右方向に部分的に突出して設けており、それぞれに取付ネジ穴30を設けている。この各取付片部29は、図示は略すが、取付ネジ穴30を通したネジ部材により車両50(
図1参照)に調整可能に固定されることを可能とする。このため、車両用灯具10は、ヒートシンク部材11の各取付片部29を介して車両50の前端部に設けることが可能とされている。このヒートシンク部材11の発光部設置箇所21に半導体型発光部12を設置させる。
【0034】
その半導体型発光部12は、車両用灯具10における光源を形成するものであり、LEDや有機EL(OLED)等の自発光半導体型の発光部としている。半導体型発光部12は、実施例1では、LEDを用いている。この半導体型発光部12は、発光基板31に実装させて設けられる。その発光基板31では、図示は略すが半導体型発光部12を適宜駆動(点灯および消灯)させるための回路や半導体型発光部12へと電力を供給するためのコネクタ等が設けられている。この発光基板31は、実施例1では、熱伝導性の良い材料で構成しており、金属ベース基板を用いている。発光基板31は、半導体型発光部12を実装した状態でヒートシンク部材11の発光部設置箇所21に固定して設置される。そして、その発光基板31では、図示を略すコネクタが接続され、実装された半導体型発光部12を適宜点灯および消灯させて光源として機能させる。その半導体型発光部12を覆うように遮蔽板部材13を設ける(
図3参照)。
【0035】
その遮蔽板部材13は、
図3に示すように、ヒートシンク部材11の発光部設置箇所21に設けた半導体型発光部12の周辺を隠すために設ける。遮蔽板部材13は、ヒートシンク部材11の前側の端面のうち、一方の取付箇所23から発光部設置箇所21を経て他方の取付箇所23に渡って覆うことのできる板状を呈する。遮蔽板部材13は、ヒートシンク部材11よりも熱伝導率の低い部材で形成し、より好適には投影レンズ14よりも高い耐熱性を有する(耐熱温度が高い)部材で形成する。この遮蔽板部材13は、実施例1では、ポリカーボネート(PC)で形成している。
【0036】
遮蔽板部材13では、遮蔽部32と、開口部33と、その左右両端で対を為す遮蔽板取付部34と、を設けている。その遮蔽部32は、ヒートシンク部材11の発光部設置箇所21の前方を覆う板状を呈し、その遮蔽部32を前後方向に貫通して開口部33が設けられている。その開口部33は、発光部設置箇所21に設けた半導体型発光部12(その出射面)を取り囲む矩形状を呈する。遮蔽部32は、開口部33の周縁形状と協働して、半導体型発光部12から出射されて投影レンズ14から出射され得る光(光束)のうち、所定の配光パターンを形成するのに必要のない光(光束)が投影レンズ14に至ることを防止する。開口部33は、当該光(光束)を部分的に内方から通すことで、半導体型発光部12から出射されて投影レンズ14から出射され得る光(光束)のうち、所定の配光パターンを形成するのに必要な光(光束)を投影レンズ14に至らせる。
【0037】
両遮蔽板取付部34は、前後方向および左右方向を含む平坦な板状を呈し、位置決め孔35(
図3では手前側のみ図示)と取付ネジ穴36とを設けている。その位置決め孔35は、ヒートシンク部材11の取付箇所23に設けられた位置決め突起26を、前後方向に直交する方向で接触しつつ受け入れることを可能とする。取付ネジ穴36は、後述するネジ部材42の軸部42bを受け入れることを可能とする。この遮蔽板取付部34を覆うように投影レンズ14が設けられる。
【0038】
その投影レンズ14は、半導体型発光部12から出射されて遮蔽板部材13の開口部33を経た光(光束)を、所定の配光パターンに成形して前方を照射させる。このため、投影レンズ14は、遮蔽板部材13と協働して、半導体型発光部12から出射された光(光束)を所定の配光パターンで照射させる光学部材として機能する。投影レンズ14は、半導体型発光部12から出射される光が殆ど熱を有していないことから、自身の重量延いては車両用灯具10の重量の低減を図るために樹脂材料を用いて形成している。この投影レンズ14に用いる樹脂材料としては、ポリカーボネート(PC)、メタクリル樹脂(PMMA)、環状オレフィン重合体(PCO)等を用いることができ、実施例1ではアクリル樹脂を用いている。投影レンズ14は、レンズ部37と、その左右両端に設けられたレンズ取付部38と、を有する。
【0039】
レンズ部37は、自由曲面としたレンズにより構成し、遮蔽板部材13の開口部33を経た半導体型発光部12からの光(光束)を透過させることにより、当該光(光束)を所定の配光パターンとする。両レンズ取付部38は、前後方向および左右方向を含む平坦な板状を呈し、位置決め孔39と取付ネジ穴41とを設けている。その位置決め孔39は、ヒートシンク部材11の取付箇所23に設けた位置決め突起26を、前後方向に直交する方向で接触しつつ受け入れることを可能とする。取付ネジ穴41は、後述するネジ部材42の軸部42bを受け入れることを可能とする。
【0040】
この投影レンズ14および遮蔽板部材13は、ネジ部材42を用いてヒートシンク部材11に取り付ける。そのネジ部材42は、円盤状を呈する頭部42aと、そこよりも小さな外径寸法とした円柱状を呈する軸部42bと、を有する。頭部42aは、投影レンズ14のレンズ取付部38の取付ネジ穴41と、遮蔽板部材13の遮蔽板取付部34の取付ネジ穴36と、の内方へと通すことのできない外径寸法としている。軸部42bは、外周面にネジ溝を設け、取付ネジ穴41および取付ネジ穴36へと通すことのできる外径寸法としている。このネジ部材42は、ヒートシンク部材11の発光部設置箇所21に設けたネジ穴27に軸部42bを噛み合わせることにより、そのネジ穴27すなわち発光部設置箇所21に締め付け固定することを可能とする。
【0041】
この車両用灯具10では、先ず、
図3に示すように、発光基板31に半導体型発光部12を実装し、その発光基板31をヒートシンク部材11の発光部設置箇所21に固定して設置する。その後、前側からレンズ取付部38を遮蔽板取付部34に宛がいつつ投影レンズ14を遮蔽板部材13に重ね、それらをヒートシンク部材11の前面に宛がう。このとき、遮蔽板部材13の各遮蔽板取付部34の位置決め孔35および投影レンズ14の各レンズ取付部38の位置決め孔39に、ヒートシンク部材11の対応する取付箇所23の位置決め突起26を通しつつ、遮蔽板部材13の各遮蔽板取付部34を対応する取付箇所23の取付面25に面で接触させる。その後、各ネジ部材42の軸部42bを、前側から各レンズ取付部38の取付ネジ穴41と、各遮蔽板取付部34の取付ネジ穴36と、に通して、各取付箇所23のネジ穴27に締め付け固定する。これにより、半導体型発光部12(発光基板31)を設けたヒートシンク部材11に、遮蔽板部材13および投影レンズ14を取り付けて、車両用灯具10が組み付けられる(
図2および
図5参照)。
【0042】
この車両用灯具10では、組み付け状態において、光学部材としての遮蔽板部材13の各遮蔽板取付部34が、対応する取付箇所23の取付面25に面で接触している。その各取付箇所23では、設けた各段差溝28により、各取付面25の左右方向で見た中央(中間位置)が部分的に切り欠かれている。このため、各遮蔽板取付部34は、
図6に示すように、各段差溝28を設けた箇所では、左右方向で見た両端を端部25aと端部25bとに接触させつつ、当該段差溝28を左右方向で跨ぐように架け渡して設けられている。このことから、各取付箇所23では、各段差溝28により、遮蔽板部材13の各遮蔽板取付部34との間に空間43を形成し、各遮蔽板取付部34に対する各取付面25の接触面積を低減させている。
【0043】
また、車両用灯具10では、この組み付け状態において、
図5および
図7に示すように、各空間43(各段差溝28)がヒートシンク部材11の前方に開放している。加えて、車両用灯具10では、この組み付け状態において、段差溝281により形成された空間43および段差溝283により形成された空間43がヒートシンク部材11の上方に開放しているとともに、段差溝282により形成された空間43がヒートシンク部材11の下方に開放している。このため、各空間43(各段差溝28)は、ヒートシンク部材11の外方に開放されており、ヒートシンク部材11の外方から空気を取り入れたり空気を排出したりすることができる。
【0044】
このように組み付けられた車両用灯具10は、ヒートシンク部材11の各取付片部29を介して車両50(
図1参照)の前端部に設けられる。そして、車両用灯具10は、半導体型発光部12から出射されて遮蔽板部材13の開口部33を経た光(光束)を、投影レンズ14が所定の配光パターンの光(光束)に成形して出射させる。これにより、車両用灯具10は、車両50の前方を所定の配光パターンで照射することができる。
【0045】
この車両用灯具10では、光源となる半導体型発光部12(それが設けられた発光基板31)をヒートシンク部材11(その発光部設置箇所21)に設けている。このため、車両用灯具10では、半導体型発光部12(発光基板31)で発生した熱をヒートシンク部材11、主にその複数の放熱フィン22で放熱することができ、半導体型発光部12および発光基板31の温度が過度に上昇することを防止することができる。
【0046】
ここで、車両用灯具10では、半導体型発光部12が出射する光が殆ど熱を有していないことから、重量の低減を図るべく光学部材としての投影レンズ14をガラス材料に換えて樹脂材料で形成している。この車両用灯具10では、光学部材としての投影レンズ14(そのレンズ取付部38)および遮蔽板部材13(その遮蔽板取付部34)をヒートシンク部材11の取付箇所23に取り付けていることから、その発光部設置箇所21に設けた半導体型発光部12で発生した熱が取付箇所23を経て遮蔽板部材13や投影レンズ14(光学部材)に伝わる。その樹脂材料で形成した投影レンズ14では、ガラス材料で形成した投影レンズと比べて耐熱温度が低いことから、ヒートシンク部材11に伝達された熱が取付箇所23から伝わると変形してしまう虞がある。このため、車両用灯具10では、例えば、取付箇所23に取り付けた投影レンズ14のレンズ取付部38が当該取付箇所23を経て伝わった熱により変形してしまうと、投影レンズ14のヒートシンク部材11への取り付け精度が低下してしまう虞があり、配光不良が生じてしまう虞がある。ここで、ガラス材料で形成した投影レンズにおいては、耐熱温度が高いことから、ヒートシンク部材11の熱が取付箇所23を経て伝達されても問題となることはない。
【0047】
これに対して、本発明に係る車両用灯具の実施例1の車両用灯具10では、ヒートシンク部材11の取付箇所23に設けた段差溝28により、光学部材としての遮蔽板部材13(その遮蔽板取付部34)と取付箇所23との間に空間43を形成している。このため、車両用灯具10では、ヒートシンク部材11の取付箇所23と、そこに取り付ける光学部材(遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))と、の接触面積を、段差溝28(そこが形成する空間43)により低減することができる。これにより、車両用灯具10では、取付箇所23から光学部材(遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))に至る熱伝達経路を小さくすることができるので、ヒートシンク部材11の発光部設置箇所21に設けた半導体型発光部12の熱が、取付箇所23に取り付ける光学部材、すなわち遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34)およびそれを介して取り付ける投影レンズ14(そのレンズ取付部38)に伝達することを抑制することができる。このことから、車両用灯具10では、取付箇所23から伝わった熱により投影レンズ14が変形してしまうことを防止することができるので、投影レンズ14のヒートシンク部材11(取付箇所23)への取り付け精度の低下を防止することができ、配光不良が生じることを防止することができる。
【0048】
また、車両用灯具10では、ヒートシンク部材11の取付箇所23に設けた段差溝28により、光学部材(遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))と取付箇所23との間に空間43を形成している。このため、車両用灯具10では、取付箇所23に設けた段差溝28(空間43)により、取付箇所23における放熱面(その面積)を広げることができるので、取付箇所23を効果的に冷却することができる。これにより、車両用灯具10では、取付箇所23から光学部材としての投影レンズ14(レンズ取付部38)に伝達する熱を抑制することができ、当該熱により投影レンズ14が変形してしまうことをより効果的に防止することができる。
【0049】
さらに、車両用灯具10では、取付箇所23における取付面25を部分的に切り欠いて段差溝28を設けている。このため、車両用灯具10では、取付面25における段差溝28により切り欠かれていない箇所を光学部材(遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))に接触させることができるので、空間43を形成しつつ光学部材すなわち遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))および投影レンズ14(レンズ取付部38)を安定して取付箇所23に取り付けることができる。
【0050】
車両用灯具10では、取付箇所23の取付面25における左右方向で見た中央(中間位置)を部分的に切り欠いて段差溝28を設けている。このため、車両用灯具10では、取付面25における左右の端部(端部25aおよび端部25b)を光学部材(遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))に接触させることができるので、空間43を形成しつつ光学部材すなわち遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))および投影レンズ14(レンズ取付部38)をより安定して取付箇所23に取り付けることができる。
【0051】
車両用灯具10では、組み付け状態において、各空間43(各段差溝28)をヒートシンク部材11の外方に開放している。このため、車両用灯具10では、ヒートシンク部材11の外方から各空間43(各段差溝28)に空気を取り入れたり、当該外方へと各空間43(各段差溝28)から空気を排出したりすることができる。これにより、車両用灯具10では、より効果的に取付箇所23を冷却することができる。
【0052】
車両用灯具10では、組み付け状態において、各空間43(各段差溝28)を、照射側となる前方すなわち光学部材(遮蔽板部材13および投影レンズ14)を取り付ける側に開放している。このため、車両用灯具10では、ヒートシンク部材11が放出する熱の影響の少ない空気を各空間43(各段差溝28)に取り入れることができ、より効果的に取付箇所23を冷却することができる。これは、ヒートシンク部材11が、基本的に投影レンズ14が取り付けられる前方とは異なる方向(各放熱フィン22が設けられた側)に熱を放出するものであることによる。
【0053】
車両用灯具10では、組み付け状態において、段差溝281により形成した空間43および段差溝283により形成した空間43をヒートシンク部材11の上方に開放している。このため、車両用灯具10では、各取付箇所23から対応する段差溝281(その空間43)または段差溝283(その空間43)に放熱された熱を、より効果的に逃がすことができるので、より効果的に各取付箇所23を冷却することができる。
【0054】
車両用灯具10では、組み付け状態において、正面視して右側の取付箇所23に、上下方向で対を為して段差溝28(段差溝281、段差溝283)を設けている。このため、車両用灯具10では、当該取付箇所23を上下の両方向から冷却することができるので、この取付箇所23をより効果的に冷却することができる。
【0055】
車両用灯具10では、ヒートシンク部材11の取付箇所23に取り付ける光学部材を遮蔽板部材13と投影レンズ14とを有するものとし、その投影レンズ14(レンズ取付部38)を遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34)を介して取付箇所23に取り付ける。そして、車両用灯具10では、遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34)と取付箇所23との間に空間43を形成している。このため、車両用灯具10では、取付箇所23から遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34)に伝達される熱を低減することができ、その遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34)に接する投影レンズ14(レンズ取付部38)へと伝達される熱を低減することができる。これにより、車両用灯具10では、取付箇所23から伝わった熱により投影レンズ14が変形してしまうことをより効果的に防止することができ、遮蔽板部材13を介する投影レンズ14のヒートシンク部材11(取付箇所23)への取り付け精度の低下をより効果的に防止することができる。
【0056】
車両用灯具10では、遮蔽板部材13を、ヒートシンク部材11よりも熱伝導率の低い部材で形成し、より好適には投影レンズ14よりも高い耐熱性を有する部材で形成することができる。このため、車両用灯具10では、遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34)に接する投影レンズ14(レンズ取付部38)へと伝達される熱をより効果的に低減することができ、当該熱により投影レンズ14が変形してしまうことをより効果的に防止することができる。
【0057】
したがって、本発明に係る実施例1の車両用灯具10では、樹脂材料で形成した光学部材としての投影レンズ14をヒートシンク部材11に取り付けた場合であっても、熱に起因する光学部材(投影レンズ14)の取り付け精度の低下を防止することができる。
【0058】
なお、上記した実施例では、本発明に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具10について説明したが、半導体型発光部と、前記半導体型発光部が取り付けられるヒートシンク部材と、前記半導体型発光部から出射された光を所定の配光パターンで照射させる光学部材と、を備え、前記ヒートシンク部材には、前記光学部材を取り付けるための取付箇所が設けられ、前記取付箇所には、取り付けられた前記光学部材との間に空間を形成する段差溝が設けられている車両用灯具であればよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【0059】
また、上記した実施例では、ヒートシンク部材11の取付箇所23に取り付ける光学部材を遮蔽板部材13と投影レンズ14とを有するものとし、その投影レンズ14(レンズ取付部38)を遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34)を介して取付箇所23に取り付けている。しかしながら、ヒートシンク部材11の取付箇所23に光学部材としての投影レンズ14(レンズ取付部38)を直接取り付ける構成であってもよく、他の部材を介して投影レンズ14(レンズ取付部38)を取付箇所23に取り付ける構成であってもよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【0060】
さらに、上記した実施例では、各段差溝28を、取付箇所23の取付面25を部分的に切り欠くものとしている。しかしながら、各段差溝28は、取付箇所23に取り付けた光学部材(遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))および投影レンズ14(レンズ取付部38))と当該取付箇所23との間に空間43を形成するものであればよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【0061】
上記した実施例では、各段差溝28を、取付箇所23の取付面25における左右方向で見た中央(中間位置)を部分的に切り欠くものとしている。しかしながら、各段差溝28は、取付箇所23の取付面25を部分的に切り欠くものであればよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【0062】
上記した実施例では、各空間43(各段差溝28)を、照射側となる前方すなわち光学部材(遮蔽板部材13および投影レンズ14)を取り付ける側に開放させている。しかしながら、各空間43(各段差溝28)は、ヒートシンク部材11の外方に開放されているものであればよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【0063】
上記した実施例では、段差溝281により形成した空間43および段差溝283により形成した空間43を、ヒートシンク部材11の上方に開放している。しかしながら、各空間43(各段差溝28)は、ヒートシンク部材11の外方に開放されているものであればよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【0064】
上記した実施例では、正面視して右側の取付箇所23に、上下方向で対を為して段差溝28(段差溝281、段差溝283)を設けている。しかしながら、各段差溝28は、取付箇所23に取り付けられた光学部材(遮蔽板部材13(遮蔽板取付部34))および投影レンズ14(レンズ取付部38))と当該取付箇所23との間に空間43を形成するものであれば、正面視して左側の取付箇所23のようにいずれか一方(左側の取付箇所23では上方)のみに設けてもよく、左右方向に設けてもよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【0065】
上記した実施例では、車両(車両50)の前照灯(ヘッドランプ)として用いられる車両用灯具10を示している。しかしながら、本発明に係る車両用灯具は、例えば、前照灯において補助的に配光パターンを形成するための補助灯として設けるものであってもよく、フォグランプとして設けるものであってもよく、車両に用いる他の灯具であってもよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【0066】
以上、本発明の車両用灯具を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。