(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6476674
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】加硫ゴムシール部品用表面処理剤
(51)【国際特許分類】
C08J 7/04 20060101AFI20190225BHJP
C08L 15/00 20060101ALI20190225BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20190225BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20190225BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20190225BHJP
C09D 109/00 20060101ALI20190225BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20190225BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20190225BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
C08J7/04 ACEQ
C08L15/00
C08L83/04
C08L91/06
C08L27/12
C09D109/00
C09D175/04
C09D7/65
C09K3/10 M
C09K3/10 Z
C09K3/10 P
C09K3/10 G
C09K3/10 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-188676(P2014-188676)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-60791(P2016-60791A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066005
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114351
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 和子
(72)【発明者】
【氏名】木村 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】阿部 克己
【審査官】
飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−213122(JP,A)
【文献】
特開2003−166547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/04−7/06
C08L 15/00
C08L 27/12
C08L 83/04
C08L 91/06
C09D 7/65
C09D 109/00
C09D 175/04
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基含有1,2-ポリブタジエン100重量部に対し、粘度10000cs以上のシリコーンオイル5〜60重量部、軟化点40〜160℃のワックスおよびフッ素樹脂粒子をそれぞれ25〜120重量部の割合で含有させた有機溶剤溶液よりなる加硫ゴムシール部品用表面処理剤。
【請求項2】
オイルシールのシールリップ部のコーティングに用いられる請求項1記載の加硫ゴムシール部品用表面処理剤。
【請求項3】
請求項2記載の加硫ゴムシール部品用表面処理剤を用いてコーティング被膜を形成させたシールリップ部を有するオイルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加硫ゴム
シール部品用表面処理剤に関する。更に詳しくは、コーティング被膜全体のさらなる低摩擦化および耐摩耗性を向上させた加硫ゴム
シール部品用表面処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴム被覆金属製ガスケットやベアリングシール、オイルシール等のゴム弾性体の表面には、固着防止、ブロッキング防止および耐摩耗性向上という目的で、グラファイトのコーティング膜
、脂肪酸の金属塩またはアミド、パラフィン等のワックス、シリコーンオイルなどのコーティング膜あるいはバインダーとしてエチルセルロース、フェノール樹脂などを含むコーティング膜を形成させることが行われているが、エンジンガスケットなどの高面圧、高温度使用条件下で更にエンジンの振動が加わると、ガスケット表面のゴム被覆層が摩耗し、ガス洩れを発生させることがある。また、ベアリングシールやオイルシール等のゴム弾性体摺動部のゴム被覆層が、くり返し摺動により摩耗し、オイル洩れを発生させることがある。
【0003】
そこで、本出願人は先に、エンジンヘッドガスケットの使用環境である高面圧、高温度に更に振動が加わるような苛酷な条件下においても、ガスケット表面のゴム被覆層に摩耗や破壊を生ずる現象が殆んどみられず、ガスシールに有効なガスケットなどを形成させ得る加硫ゴム用表面処理剤として、液状1,2-ポリブタジエンの水酸基含有物およびその硬化剤としての1,2-ポリブタジエンイソシアネート基含有物に、ポリオレフィン樹脂の水性分散液を添加した加硫ゴム用表面処理剤を提案している(特許文献1)。
【0004】
ここで、提案された加硫ゴム用表面処理剤は、ゴム被覆層の耐摩耗性の向上という所期の目的は達成させるものの、水性分散液が用いられているため、水が1,2-ポリブタジエンの水酸基とイソシアネート基との間の反応を促進し、また水がイソシアネート基自身とも反応するため、表面処理分散液の粘度上昇およびゲル化が起こり、塗布加工時の作業性が悪いという問題がみられた。また、水とイソシアネート基との反応の結果、1,2-ポリブタジエンの高分子量化が妨げられ、表面処理層の耐摩耗性、耐剥離性および滑り性が劣るという欠点もみられた。
【0005】
かかる問題を解決すべく、本出願人はさらにポリオレフィン樹脂の水性分散液をポリオレフィン樹脂の有機溶媒分散液に変更した加硫ゴム用表面処理剤を提案している(特許文献2)。しかし、この方法ではポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂を含まないため、高温圧縮時の粘着や高面圧での摩擦摩耗により、塗膜の剥がれを生じるといった問題があった。
【0006】
本出願人はさらに、従来の固着防止、ブロッキング防止および耐摩耗性向上といった加硫ゴム用表面処理剤に要求される性能を損なうことなく、高温圧縮時の粘着や高面圧での摩擦摩耗により、塗膜の剥がれを生じない加硫ゴム用表面処理剤として、イソシアネート基含有1,2-ポリブタジエンまたはこれに水酸基含有1,2-ポリブタジエンがブレンドされた1,2-ポリブタジエン混合物100重量部に対し軟化点40〜160℃のワックスおよびフッ素樹脂をそれぞれ10〜160重量部の割合で含有させた有機溶媒溶液よりなる加硫ゴム用表面処理剤を提案している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−252442号公報
【特許文献2】特開平7−165953号公報
【特許文献3】特開2003−213122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、イソシアネート基含有1,2-ポリブタジエン、軟化点40〜160℃のワックスおよびフッ素樹脂粒子を必須成分とする加硫ゴム
シール部品用表面処理剤であって、それから形成されたコーティング被膜全体のさらなる低摩擦化および耐摩耗化を向上せしめたものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる本発明の目的は、イソシアネート基含有1,2-ポリブタジエン100重量部に対し、粘度10000cs以上のシリコーンオイル5〜60重量部、軟化点40〜160℃のワックスおよびフッ素樹脂粒子をそれぞれ
25〜120重量部の割合で含有させた有機溶剤溶液よりなる加硫ゴム
シール部品用表面処理剤によって達成される。
【発明の効果】
【0010】
従来の技術では、コーティング剤のフィラー成分としてフッ素樹脂粒子を配合することで、低摩擦化および耐摩耗性を向上させているが、バインダー成分であるイソシアネート基含有1,2-ポリブタジエン樹脂には低摩擦化成分が含まれていないため、さらなる低摩擦化を図ることが難しい。
【0011】
本発明においては、上記先行例のバインダー成分に低摩擦化効果のある特定の粘度を有するシリコーンオイルを加えることで、フィラー成分だけではなく、バインダー成分の低摩擦化を図ることができ、コーティング被膜全体のさらなる低摩擦化およびこれに伴う摺動面の耐摩耗性の向上が達成される。
【0012】
本発明に係る加硫ゴム用表面処理剤は、オイルシールのシールリップ部等のシール部品に有効に適用され
、ゴム部品の粘着防止、低摩擦化、耐摩耗性の向上にとっても有効である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
イソシアネート基含有1,2-ポリブタジエンとしては、末端基としてイソシアネート基が付加された分子量1,000〜3,000程度のものが用いられ、これは市販品、例えば日本曹達製品日曹TP-1001(酢酸ブチル50重量%含有溶液)などをそのまま用いることが出来る。このポリブタジエン樹脂は、イソシアネート基が加硫ゴム表面の官能基や水酸基含有成分と反応し、接着
・硬化することができ、同様のイソシアネート基で反応高分子化するポリウレタン樹脂よりも、ゴムとの相性、相溶性が良いため、ゴムとの密着性が良く、特に耐摩擦摩耗特性が良いのが特徴である。
【0014】
また、このイソシアネート基含有1,2-ポリブタジエンは、末端基にイソシアネート基が付加されているため、加硫ゴム表面の官能基や任意成分たる水酸基含有1,2-ポリブタジエンと反応させることで高分子化し、水酸基含有1,2-ポリブタジエンの硬化剤としても使用することもできる。この際用いられる末端基として水酸基が付加された水酸基含有1,2-ポリブタジエンとしては、分子量l000〜3000程度ものが用いられ、市販品、例えば日本曹達製品日曹G-1000、C-1000、GQ-1000、GQ-2000などをそのまま用いることが出来る。
【0015】
イソシアネート基含有1,2-ポリブタジエンと水酸基含有1,2-ポリブタジエンが混合して用いられる場合には、イソシアネート基含有1,2-ポリブタジエンが25重量%以上、好ましくは40〜100重量%、水酸基含有1,2-ポリブタジエンが75重量%以下、好ましくは0〜60重量%の割合で用いられる。イソシアネート基含有1,2−ポリブタジエンがこれより少ない場合には、ゴムとの密着性が低下することになり、ひいては滑り性、非粘着性能が低下し、耐摩擦摩耗特性が低下するようになる。
【0016】
本発明で用いられるシリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル等の無変性タイプでも、あるいはエポキシ基、アミノ基、メルカプト基等の官能基を有する変性タイプでもよく、ただしその粘度が10000cs(10Pa・s)以上でなければならない。シリコーンオイルの粘度が10000csよりも小さいと、ゴム基材との十分な密着性に欠けるようになる。実際には、市販品、例えば信越シリコーン製品KF-96H-100万cs、KF-96H-10,000cs等の無変性シリコーンや同社製品KF-1001等のエポキシ変性シリコーンオイルが用いられる。
【0017】
これらのシリコーンオイルは、イソシアネート基含有1,2-ポリブタジエン100重量部に
対し約5〜60重量部、好ましくは約10〜40重量部の割合で用いられる。これらは、好ましくは有機溶剤溶液として用いられるが、この範囲より少なく用いられると、低摩擦化の効果が少なく、一方これ以上の割合で用いられると、コーティング被膜の耐摩耗性が悪化し、被膜表面のベトツキを引き起こすようになる。
【0018】
ワックスとしては、軟化点40〜160℃、好ましくは60〜120℃の植物系ワックス、石油系ワックス、合成ワックスなどが用いられる。植物系ワックスとしてはカルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックスなどが、石油系ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが、また合成ワックスとしてはポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、脂肪酸アミド、各種変性ワックスなどが挙げられ、通常は市販されているワックスをそのまま用いることが出来る。軟化点がこれより高いものを用いると、滑り性、非粘着性能が低下するようになる。一方、これよりも軟化点の低いものを用いると、ゴムと処理剤との密着性や耐摩擦摩耗性が低下するようになる。
【0019】
フッ素樹脂粒子としては、粒子状のポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。
【0020】
これらのフッ素樹脂粒子としては、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合などで得られたフッ素樹脂を粒子径0.1〜5μm程度に分級したものや、懸濁重合、溶液重合、乳化重合などで得られた分散液をせん断攪拌などにより、0.1〜5μm程度に微粒子分散させたもの、上記重合で得られたものを凝析・乾操後、乾式粉砕や冷却粉砕により、10μm以下に微粒子化したものが用いられる。0.1〜10μmに設定される粒子径において、粒子径がより小さい場合には、塗布厚みを小さく出来るメリットがあるが、塗布表面の凹凸が小さくなることにより接触面積が大きくなり、低面圧では摩擦係数が大きくなる傾向があり、一方粒子径がより大きい場合には、塗布厚みが大きくなり、塗布の際のコストがかかるが、凹凸が大きくなり、低面圧では相手材との接触面積が小さくなり、摩擦係数が下がるようになる。したがって、粒子径は使用要求によって適宜調整され、例えばシール部品などではこれら長所、短所を考慮して決定され、好ましくは0.5〜2μm程度のものが用いられる。
【0021】
ワックスおよびフッ素樹脂粒子は、イソシアネート基含有1,2−ポリブタジエン100重量部に対して、植物系ワックス、石油系ワックス、合成ワックスのいずれか1種以上が10〜160重量部の割合で、またフッ素樹脂粒子が10〜160重量部の割合で用いられる。ワックスの割合がこれより多いと、ゴムとの密着性、耐摩擦摩耗特性が悪くなり、一方この範囲より少ないと、皮膜の柔軟性、滑り性、非粘着性が悪くなるようになる。また、フッ素樹脂粒子の割合がこれより多いと、ゴムとの密着性、耐摩擦摩耗特性が悪くなり、皮膜の柔軟性が損なわれ、硬化塗膜にヒビ割れが発生し、一方この範囲より少ないと、滑り性、非粘着性が悪くなるようになる。これらの各成分は、有機溶剤の溶液または分散液として用いられる。なお、本発明に係る加硫ゴム表面処理剤を、シール部品などに用いる場合には、ワックス、フッ素樹脂粒子はそれぞれ、25〜120重量部が好ましい。
【0022】
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが用いられ、これは一般的に市販されている溶剤をそのまま用いることが出来る。有機溶剤による希釈量は、塗布厚み(膜厚)、塗布方法に応じて、適宜選択される。なお、膜厚は、通常1〜10μm、好ましくは2〜5μmであり、膜厚がこれより小さい場合には、ゴム表面をすべて被覆することが出来ず、滑り性、非粘着性を損なうことがある。一方、膜厚がこれより大きいと、塗布表面の剛性が高くなり、シール性、柔軟性を損なうことがある。シール部品などの使用用途では、1〜5μm程度が好ましい。
【0023】
かかる表面処理剤により処理が可能なゴムとしては、フッ素ゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、
スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロ
プレンゴム、ブチルゴム、天然ゴムなどの一般的なゴム材料が挙げられ、この内好ましくは、ゴムに配合している老化防止剤、オイルなどのゴム表面層へのブルームミングが少ないゴム材料が用いられる。なお、ゴム材質、目的に応じて、上記各成分の配合比率および有機溶剤の種類、有機溶剤量、有機溶剤混合比率は適宜選択される。
【0024】
加硫ゴム表面処理剤のゴム表面への塗布方法としては、浸せき、スプレー、ロールコータ、フローコータなどの塗布方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。この際、あらかじめ表面処理剤塗布前にゴム表面の汚れ等を洗浄などにより除去することが好ましい。特に、ゴムからブルーム物、ブリード物が表面に析出している場合には、水、洗剤、溶剤などによる洗浄および乾燥が行われる。
【0025】
加硫ゴム表面処理剤をゴム表面へ塗布した後、約150〜250℃で約10分〜24時間程度熱処理して焼成される。加熱温度がこれより低く、加熱時間がこれより短い場合には、皮膜の硬化およびゴムとの密着性が不十分で、非粘着性、滑り性が悪くなる。一方、加熱温度がこれより高く、加熱時間がこれより長い場合には、ゴムの熱老化が起こるようになる。従って、各種ゴムの耐熱性に応じて、加熱温度、加熱時間を適宜設定する必要がある。
【0026】
また、アウトガス量の低減が要求される品目の場合には、熱処理、減圧処理、抽出処理などを単独または組み合わせて行うことができるが、経済的には熱処理が最も良く、アウトガス量を減らすには、約150〜250℃で1〜24時間程度熱処理して焼成することが好ましく、ゴム中の低分子成分および皮膜中のワックス、ポリブタジエンに含まれる低分子成分をガス化させるために、温度は高いほど、また時間は長い程有効である。
【実施例】
【0027】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0028】
実施例1
PTFE樹脂粒子溶液(酢酸ブチル溶液、固形分濃度5重量%) 470重量部
PEワックス溶液(酢酸ブチル溶液、固形分濃度5重量%) 470 〃
NCO含有1,2-ポリブタジエン溶液(日本曹達製品日曹TP-1001) 52 〃
(酢酸ブチル溶液、固形分濃度50重量%)
無変性シリコーンオイル 8 〃
(信越シリコーン製品KF-96H、粘度100万cs)
以上の各成分を用いて加硫ゴム
シール部品用表面処理剤を調製し、次の各項目の測定、評価を行った。
密着性:加硫圧縮成形したフッ素ゴム表面に表面処理剤を膜厚10μmとなるようにコーティングし、200℃で10時間焼成したものを180°折り曲げ、屈曲したままコーティング被膜表面をガムテープで剥離し、コーティング被膜の剥がれの有無を確認
(評価) ○:コーティング被膜の剥がれなし
×:コーティング被膜の剥がれあり
摩擦係数:厚さ2mmの加硫圧縮成形したフッ素ゴム表面にコーティング剤を膜厚10μmとなるように塗布し、200℃で10時間焼成したサンプルを作製し、新東科学製HEIDON TYPE 14DRを用い、コーティング被膜表面に荷重50gを載せた直径10mmの鋼球を押し当て、往復動距離50mm、速度50mm/分の速さで移動させ、動摩擦係数を測定
(評価) ○:0.13未満
△:0.13以上0.17未満
×:0.17以上
耐摩耗性試験:厚さ2mmの加硫圧縮成形したフッ素ゴム表面にコーティング剤を膜厚10μmとなるように塗布し、200℃で10時間焼成したサンプルを作製し、レスカ製フリクションプレーヤーFPR-2000を用い、コーティング被膜表面に荷重2kgを載せた直径3mmの圧子球を押し当て、平均面圧3.9MPa、線速度20.9cm/秒の速さで回転させ、コーティング被膜が剥がれ、ゴムが露出する迄の回転数を測定
(評価) ◎:15万回以上
○:5万回以上15万回未満
△:1万回以上5万回未満
×:1万回未満
【0029】
実施例2
実施例1において、無変性シリコーンオイルとして、信越シリコーン製品KF-96H(粘度12500cs)が同量用いられた。
【0030】
実施例3
実施例1において、無変性シリコーンオイルの代わりに、エポキシ変性シリコーンオイル(信越シリコーン製品KF-1001、粘度17,000cs)が同量用いられた。
【0031】
比較例1
実施例1において、無変性シリコーンオイルとして、信越シリコーン製品KF-96、粘度5000cs)が同量用いられた。
【0032】
比較例2
実施例1において、無変性シリコーンオイルとして、信越シリコーン製品KF-96、粘度100cs)が同量用いられた。
【0033】
比較例3
実施例1において、無変性シリコーンオイルの代わりに、カルビノール変性シリコーンオイル(信越シリコーン製品X22-170BX、粘度40cs)が同量用いられた。
【0034】
比較例4
実施例1において、無変性シリコーンオイルの代わりに、カルビノール変性シリコーンオイル(信越シリコーン製品KF-6003、粘度110cs)が同量用いられた。
【0035】
比較例5
実施例1において、NCO含有1,2-ポリブタジエン溶液量が60重量部に変更され、無変性シリコーンオイルは用いられなかった。
【0036】
以上の各実施例および比較例で得られた結果は、次の表に示される。
表
摩擦係数 耐摩耗性
例 密着性 測定値 評価 測定値(×104回) 評価
実施例1 ○ 0.08 ○ 21 ◎
〃 2 ○ 0.05 ○ 10 ○
〃 3 ○ 0.04 ○ 10 ○
比較例1 × 0.08 ○ 1 △
〃 2 × 0.10 ○ 0.5 ×
〃 3 × 0.04 ○ 0.3 ×
〃 4 × 0.05 ○ 0.5 ×
〃 5 ○ 0.15 △ 3 △