【実施例1】
【0013】
図1(A)に示すように、第1実施例における空気調和装置1は、屋外に設置される室外機2と、室外機2に液管4およびガス管5で接続された室内機3とを備えている。詳細には、液管4は、一端が室外機2の閉鎖弁25に、他端が室内機3の液管接続部34に接続されている。また、ガス管5は、一端が室外機2の閉鎖弁26に、他端が室内機3のガス管接続部35に接続されている。以上により、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。
【0014】
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機20と、四方弁22と、室外熱交換器23と、液管4の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管5の一端が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ21と、室外ファン24とを備えている。そして、室外ファン24を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路10aを構成している。
【0015】
圧縮機20は、図示しないインバータにより回転数が制御されるモータ201によって駆動されることで、運転能力を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機20の冷媒吐出側は、四方弁22のポートaに吐出管61で接続されており、また、圧縮機20の冷媒吸入側は、アキュムレータ21の冷媒流出側に吸入管66で接続されている。
【0016】
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機20の冷媒吐出側に吐出管61で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管62で接続されている。ポートcは、アキュムレータ21の冷媒流入側と冷媒配管65で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管64で接続されている。
【0017】
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気とを熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbに冷媒配管62で接続され、他方の冷媒出入口は室外機液管63で閉鎖弁25に接続されている。
【0018】
膨張弁27は、室外機液管63に設けられている。膨張弁27は電子膨張弁である。膨張弁27の開度制御の詳細な説明は、後述する。
【0019】
室外ファン24は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン24は、図示しないファンモータによって回転することで図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
【0020】
アキュムレータ21は、上述したように、冷媒流入側が四方弁22のポートcと冷媒配管65で接続され、冷媒流出側が圧縮機20の冷媒吸入側と吸入管66で接続されている。アキュムレータ21は、冷媒配管65からアキュムレータ21内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離してガス冷媒のみを圧縮機20に吸入させる。
【0021】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。
図1(A)に示すように、吐出管61には、圧縮機20から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ73が設けられている。
【0022】
室外熱交換器23には、室外熱交換器23から流出、または、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度を検知するための室外熱交換器温度センサ75が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ76が備えられている。
【0023】
また、室外機2には、室外機制御手段100が備えられている。室外機制御手段100は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。
図1(B)に示すように、室外機制御手段100は、CPU110と、記憶部120と、通信部130と、検出値入力部140と、圧縮機制御部150とを備えている。
【0024】
記憶部120は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機20や室外ファン24の制御状態等を記憶している。通信部130は、室内機3との通信を行うためのインターフェイスである。検出値入力部140は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU110に出力する。圧縮機制御部150は、圧縮機20に対してユーザに要求された能力を発揮するために必要な回転数で運転するように制御を行う。
【0025】
CPU110は、前述した室外機2の各種センサでの検出結果を検出値入力部140を介して取り込む。また、CPU110は、室内機3から送信される制御信号を通信部130を介して取り込む。また、CPU110は、取り込んだ制御信号に基づいて、圧縮機20や室外ファン24の駆動制御を行う。さらには、CPU110は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁22の切り換え制御を行う。
【0026】
次に、
図1(A)を用いて、室内機3について説明する。室内機3は、室内熱交換器31と、液管4の他端が接続された液管接続部34と、ガス管5の他端が接続されたガス管接続部35と、室内ファン33とを備えている。そして、室内ファン33を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路10bを構成している。
【0027】
室内熱交換器31は、冷媒と後述する室内ファン33により図示しない吸込口から室内機3の内部に取り込まれた室内空気とを熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部34に室内機液管68で接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部35に室内機ガス管69で接続されている。室内熱交換器31は、室内機3が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機3が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部34やガス管接続部35では、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
【0028】
室内ファン33は樹脂材で形成されており、室内熱交換器31の近傍に配置されている。室内ファン33は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機3の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器31において冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ吹き出す。
【0029】
以上説明した構成の他に、室内機3には各種のセンサが設けられている。室内熱交換器31には、室内熱交換器31を通過する冷媒の温度を検出する室内熱交換器温度センサ78が設けられている。そして、室内機3には室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室内温度センサ79が備えられている。室内温度センサ79の取付位置は、室内機3内部に備える室内熱交換器31や制御基板(室内機制御手段200)等の発熱部品から離して配置することが好ましい。また、室内機3に取付ける替わりに図示しないリモコンに取付けてもよい。
【0030】
また、室内機3には、室内機制御手段200が備えられている。室内機制御手段200は、室内機3の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。
図1(B)に示すように、室内機制御手段200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、検出値入力部240と、室内ファン制御部250とを備えている。
【0031】
記憶部220は、ROMやRAMで構成されており、室内機3の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室内ファン33の制御状態等を記憶している。通信部230は、室外機2との通信を行うためのインターフェイスである。検出値入力部240は、室内機3の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。室内ファン制御部250は、室内ファン33に対してユーザに要求された能力を発揮するために必要な回転数で運転するように制御を行う他、後述する冷風防止制御を行う。
【0032】
CPU210は、前述した室内機3の各種センサでの検出結果を検出値入力部240を介して取り込む。また、CPU210は、室外機2から送信される制御信号を通信部230を介して取り込む。また、CPU210は、取り込んだ制御信号に基づいて、室内ファン33の駆動制御を行う。また、CPU210は図示しない計時手段(タイマ)を備えており、後述する冷風防止制御等で用いられる。
【0033】
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、
図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、室内機3が暖房運転を行う場合について説明し、冷房運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、
図1(A)における矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示している。
【0034】
図1(A)に示すように、室内機3が暖房運転を行う場合、室外機制御手段100は、四方弁22を実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdとが連通するよう、また、ポートbとポートcとが連通するよう、切り換える。これにより、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに、室内熱交換器31が凝縮器として機能する。
【0035】
圧縮機20から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管64を流れて閉鎖弁26を介してガス管5に流入する。ガス管5を流れた冷媒はガス管接続部35を介して室内機3の室内機ガス管69に流入する。室内機ガス管69を流れる冷媒は、室内熱交換器31に流入し、室内ファン33の回転により室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器31が凝縮器として機能し、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行い加熱された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器31から流出した冷媒は室内機液管68を流れ、液管接続部34を介して液管4に流入する。
【0036】
液管4を流れて閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機液管63に設けられた膨張弁27に流入する。膨張弁27を通過した冷媒は、減圧されて低圧の冷媒となる。膨張弁27を通過した冷媒はその後、室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から流出した冷媒は、順に冷媒配管62、四方弁22、冷媒配管65、アキュムレータ21、吸入管66を流れ、圧縮機20に吸入されて再び圧縮される。以上説明したように冷媒回路10を冷媒が循環することで、空気調和装置1の暖房運転が行われる。
【0037】
なお、室内機3が冷房運転を行う場合、室外機制御手段100は、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するよう、また、ポートcとポートdとが連通するよう、切り換える。これにより、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに、室内熱交換器31が蒸発器として機能する。
【0038】
次に、空気調和装置1の暖房運転開始時における従来の制御方法について
図2を用いて詳細に説明する。
【0039】
空気調和装置1は、使用者のリモコン操作等によって暖房運転開始指令を受けると、冷媒回路10内に冷媒を循環させるために圧縮機20を起動させる。
【0040】
圧縮機20を起動させた後、室内熱交換器31の温度Tcが所定の温度Tcsとなるまで、室内ファン33の回転数Nを極低回転N1で運転させる冷風防止制御を行っている。圧縮機20を起動させた直後から室内ファン33を運転させている理由は、室内の空気を循環させて室内温度を正確に検出するためであるが、まだ室内熱交換器31が温まっていないのにも関わらず室内ファン33を高回転で運転させると、室内機3の吹出口(図示しない)から室内温度に近い冷風が吹出され、ユーザが肌寒く感じてしまう。したがって、極低回転N1は、室内ファン33を運転させても室内機3の図示しない吹出口から吹出される風がユーザに届かない程度の低回転としている。
図2(b)に示すように、圧縮機20の起動後、室内熱交換器温度Tcは増加していき、室内熱交換器温度Tcが所定値Tcsとなったら、室内ファン33の回転数を極低回転N1からユーザに要求された能力に応じた回転数(ここではN2)に増加する(冷風防止制御の解除)。
【0041】
この時、圧縮機20は起動後に低い回転数から室内機制御部200から要求された能力を発揮するために必要な回転数(暖房運転起動時はおおよそ最大回転数)へ徐々に増加していくように制御される。これは、圧縮機20の回転数は起動直後から最大回転数で駆動させると圧縮機20内に溜められた冷凍機油が多く吐出されてしまい圧縮機20の信頼性が低下してしまうからである。
【0042】
また、上記の冷風防止制御の解除条件である「室内熱交換器温度Tcが所定値Tcs以上」の条件を長時間が経っても満たさない場合の対策として、圧縮機20の運転開始から所定時間が経過したら室内ファン33の回転数を上昇させるようにしている。これは、例えば一つの室外機2に室内機3を複数台接続したマルチタイプの空気調和装置において、特に室内機2と室外機3を結ぶ配管が長い場合、冷媒の循環に時間が掛かるため室内熱交換器31の温度の上昇が遅く中々所定値以上とならず、その結果、室内機3から温風を吹出せるようになるまでに時間が掛かってしまうという問題に対してなされたものである。圧縮機20の運転開始から所定時間が経過したら室内ファン33の回転数を上昇させるようにすることで、室内熱交換器温度が所定値以上にならないことから温風吹出しが開始されず暖房の立ち上がりが遅延するという問題を防いでいる。
【0043】
しかし、上記の制御だと圧縮機20の運転開始から所定時間が経過したら室内熱交換器温度が所定値以上とならなくても室内ファン33の回転数を上昇させているため、ユーザに温まっていない風が当たってしまい快適性が低下してしまう。もし、この時の圧縮機20の回転数が最大回転数でなければ、圧縮機20の回転数を増加させることで室内熱交換器温度を所定値まで上昇させられる可能性があるので、圧縮機20の回転数が増加するのを待ってから室内ファン33の回転数を上昇させればユーザに温まっていない風が当たることなく、快適性を向上させることができる。
【0044】
したがって、空気調和装置1の暖房運転開始時において、圧縮機20起動後の室内ファン33の回転数Nを上昇させるタイミングを適切に制御する必要がある。以下に本発明の特徴となる冷風防止制御について詳細に説明する。
【0045】
図3は、起動時の空気調和装置1の冷風防止制御を示すフローチャートである。STの後の数字はステップの番号を、YはYes、NはNoをそれぞれ表す。
【0046】
この制御は、使用者のリモコン操作等によって暖房運転開始の指令を受けることによって開始される。まず、ステップST101で暖房運転を開始し、圧縮機20を起動させる。なお、圧縮機20は起動後低回転数から徐々に回転数を増加させる制御を行っている。続いて、ステップST102で室内ファン33の回転数Nが第1の回転数である極低回転数N1となるように制御する。極低回転数N1は、
図2に示す従来の制御方法と同様に室内ファン33を運転させても室内機3の図示しない吹出口から吹出される風がユーザに届かない程度の低回転であって、通常の暖房(及び冷房)運転中は使用しない回転数である。ステップST103では、室内熱交換器温度センサ78の検出値Tcが室内機制御手段200に入力される。室内機制御手段200において、検出値Tcは検出値入力部240によってデジタルデータに変換されて室内熱交換器温度センサ78の検出信号に対応する検出値としてCPU210に入力される。CPU210は、記憶部220に格納された制御プログラムに従い、検出値Tcが所定の温度である所定値Tcs以上か否かを判定する(ステップST104)。
【0047】
ここで所定値Tcsは、室内ファン33の回転数Nを高回転で運転させても温風を吹出せる程度に室内熱交換器31が十分に温まったことを判断するために実験等に基づいて予め定められた値である。
【0048】
CPU210は、検出値Tcが所定値Tcs以上だった場合には(ST104−Y)、冷風防止制御を解除し、室内ファン33の回転数Nを極低回転N1よりも大きい回転数であってユーザに要求された能力に応じた回転数に上昇させる通常運転に移行する。検出値Tcが所定値Tcs未満の場合は(ST104−N)、ステップST105に移行して圧縮機20の回転数Fが最大回転数Fmaxであるか否かを判定する(ステップST105)。
【0049】
ステップST105で圧縮機20の回転数Fが最大回転数Fmaxだった場合には(ST105−Y)、CPU210が備えるタイマtをスタートさせて(ステップST106)ステップST107へ移行する。圧縮機20の回転数Fが最大回転数Fmaxではなかった場合には(ST105−N)、ステップST103に戻る。
【0050】
ステップST107ではタイマtが第1所定時間ts1を計時したか否かを判定する。タイマtが第1所定時間ts1を超えた場合(ST107−Y)、冷風防止制御を解除し、室内ファン33の回転数Nを極低回転N1よりも大きい回転数であってユーザに要求された能力に応じた回転数に上昇させる通常運転に移行する。これは、圧縮機20の回転数Fが最大回転数となってから第1所定時間ts1を経過しても室内熱交換器温度Tcが所定値Tcsまで上昇しないことを意味し、室内ファン33の回転数Nを上昇させて室内熱交換器31の熱交換量を増加させないと室内温度 が上昇しないと判断したためである。タイマtが第1所定時間ts1以下だった場合は(ST107−N)、ST108へ移行する。
【0051】
ステップST108では、室内熱交換器温度センサ78の検出値Tcが室内機制御手段200に入力される。室内機制御手段200において、検出値Tcは検出値入力部240によってデジタルデータに変換されて室内熱交換器温度センサ78の検出信号に対応する検出値としてCPU210に入力される。CPU210は、記憶部220に格納された制御プログラムに従い、検出値Tcが所定値Tcs以上か否かを判定する(ステップST109)。
【0052】
CPU210は、検出値Tcが所定値Tcs以上だった場合には(ST109−Y)、冷風防止制御を解除し、室内ファン33の回転数Nを極低回転N1よりも大きい回転数であってユーザに要求された能力に応じた回転数に上昇させる通常運転に移行する。検出値Tcが所定値Tcs未満の場合は(ST109−N)、ステップST107に戻りタイマtが第1所定時間ts1を計時したか否かを判定する。
【0053】
以上のように、本実施形態の空気調和装置1は、暖房運転開始時において、圧縮機20を起動と同時に室内ファン33の回転数Nを第1の回転数である極低回転N1で運転させ、室内熱交換器温度センサ78の検出値Tcが予め定められた所定値Tcs以上である場合、室内ファン33の回転数Nを第1の回転数である極低回転N1よりも大きい回転数であってユーザに要求された能力に応じた回転数に上昇させ、室内熱交換器温度センサ78の検出値Tcが予め定められた所定値Tcs未満の場合、圧縮機20の回転数Fが最大回転数で運転してから第1所定時間ts1を経過していたら室内ファン33を第1の回転数である極低回転N1よりも大きい回転数であってユーザに要求された能力に応じた回転数に上昇させている。これにより、暖房運転開始時の快適性を向上させ、且つ、立ち上がり時間を短縮させることができる。
【実施例2】
【0054】
続いて、第2の実施形態について
図4及び
図5を用いて詳細に説明する。
【0055】
図4は、本実施形態の起動時の空気調和装置1の冷風防止制御を示すフローチャートである。なお、ステップST101からステップST106までは第1の実施例(
図3参照)と同じ制御を行っているため、詳細な説明は省略する。
【0056】
ステップST106でタイマtをスタートさせた後、
図5のステップST201へ移行し、室内熱交換器温度センサ78の検出値Tcが室内機制御手段200に入力される。室内機制御手段200において、検出値Tcは検出値入力部240によってデジタルデータに変換されて室内熱交換器温度センサ78の検出信号に対応する検出値としてCPU210に入力される。CPU210は、検出値TcをTc0として記憶部220に記憶させる(ステップST202)。
【0057】
続いて、ステップST203でt0分(例えば、1分)が経過したか否かを判定し、t0分が経過したらステップST204において室内熱交換器温度センサ78の検出値Tcが室内機制御手段200に入力される。室内機制御手段200において、検出値Tcは検出値入力部240によってデジタルデータに変換されて室内熱交換器温度センサ78の検出信号に対応する検出値としてCPU210に入力される。CPU210は、検出値TcをTc1として記憶部220に記憶させる(ステップST205)。
【0058】
CPU210は、記憶部220に格納された制御プログラムに従い、t0分の間の室内熱交換器温度Tcの増加量(Tc1−Tc0/t0)が所定値α未満か否かを判定する(ステップST206)。ここで、所定値αとは室内熱交換器温度Tcの増加量がα未満のまま圧縮機20の回転数Fが最大回転数Fmaxとなってから第1所定時間ts1が経過した場合、室内熱交換器温度Tcが所定値Tcsを超えないと予測できる値が設定される。
【0059】
t0分の間の室内熱交換器温度Tcの増加量(Tc1−Tc0/t0)が所定値α未満の場合(ST206−Y)、ステップST207でタイマtが第2所定時間ts2を計時したか否かを判定する。t0分の間の室内熱交換器温度Tcの増加量(Tc1−Tc0/t0)が所定値α以上の場合は(ST206−N)、ステップST208へ移行する。タイマtが第2所定時間ts2を超えた場合(ST207−Y)、
図4に戻り冷風防止制御を解除し、室内ファン33の回転数Nを極低回転N1よりも大きい回転数であってユーザに要求された能力に応じた回転数に上昇させる通常運転に移行する。この時の第2所定時間ts2は実施例1の第1所定時間ts1よりも短く設定される。これによって、室内熱交換器温度Tcが所定値Tcs以上にならないことから温風吹出しが開始されず暖房の立ち上がりが遅延するという問題を防いでいる。タイマtが第2所定時間ts2以下だった場合は(ST207−N)、ST208へ移行する。
【0060】
ステップST208では、室内熱交換器温度センサ78の検出値Tcが室内機制御手段200に入力される。室内機制御手段200において、検出値Tcは検出値入力部240によってデジタルデータに変換されて室内熱交換器温度センサ78の検出信号に対応する検出値としてCPU210に入力される。CPU210は、記憶部220に格納された制御プログラムに従い、検出値Tcが所定値Tcs以上か否かを判定する(ステップST209)。
【0061】
CPU210は、検出値Tcが所定値Tcs以上だった場合には(ST209−Y)、冷風防止制御を解除し、室内ファン33の回転数Nを極低回転N1よりも大きい回転数であってユーザに要求された能力に応じた回転数に上昇させる通常運転に移行する。検出値Tcが所定値Tcs未満の場合は(ST209−N)、ステップST210へ移行しタイマtが第1所定時間ts1を計時したか否かを判定する。この時の第1所定時間ts1は実施例1の第1所定時間ts1と同じである。タイマtが第1所定時間ts1を超えた場合(ST210−Y)、冷風防止制御を解除し、室内ファン33の回転数Nを極低回転N1よりも大きい回転数であってユーザに要求された能力に応じた回転数に上昇させる通常運転に移行する。タイマtが第1所定時間ts1以下だった場合は(ST210−N)、ST201へ戻る。
【0062】
以上のように、本実施形態では圧縮機20の回転数が最大となってから、室内熱交換器温度Tcの増加量(Tc1−Tc0/t0)が所定値α未満か否かを判定し、判定結果に応じて冷風防止制御を強制的に解除するまでの時間を変更させている。実施例1では室内熱交換器温度Tcが所定値Tcs以上にならない場合は、圧縮機20の回転数Fが最大回転数Fmaxとなってから第1所定時間ts1が経過しなければ温風吹出しが開始されなかったが、本実施形態の空気調和装置1によれば、室内熱交換器温度Tcの増加量(Tc1−Tc0/t0)が所定値α未満であれば第1所定時間ts1よりも短い第2所定時間ts2が経過したら冷風防止制御を強制的に解除するようにしており、室内熱交換器温度が所定値以上にならないことから温風吹出しが開始されず暖房の立ち上がりが遅延するという問題をより改善している。