【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る蓄電素子は、
金属製の第一部材と、
前記第一部材と重なった状態で配置される金属製の第二部材と、を備え、
前記第一部材と前記第二部材とが重なっている部位に、線状に連なる溶接痕によって構成される溶接部であって該第一部材と該第二部材とを接続する溶接部が形成され、
前記溶接部は、出力波形がパルス状のレーザによるキーホール溶接の溶接痕によって形成された第一部位と、前記第一部位と連なり且つレーザによる熱伝導溶接の溶接痕によって形成された第二部位とを有し、該溶接部の第二部位側の端部であって該溶接部において最後に形成された溶接痕を含む端部が前記第一部位と重なることによって所定の領域を囲み、
前記第二部位は、少なくとも前記最後に形成された溶接痕を含む。
【0008】
かかる構成によれば、溶接部において、少なくとも最後の溶接痕が形成されるときに該最後の溶接痕が形成される部位(キーホール溶接よる溶接痕によって形成された第一部位)に気泡が混入していても、少なくとも前記最後の溶接痕が溶接時にキーホール(くぼみ)の生じない熱伝導溶接によって形成されるため、該熱伝導溶接のためのレーザが前記気泡を貫通してブローホールを形成することが防がれる。これにより、溶接欠陥が抑えられ、蓄電素子の品質が高くなる。
【0009】
前記蓄電素子では、
前記第二部位は、少なくとも前記溶接部における前記第一部位と重なっている前記第二部位側の端部を含むことが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、溶接部において、少なくとも第二部位側の端部(第一部位と重なっている部位)が熱伝導溶接によって形成されるため、溶接時にブローホールの生じ易い部位(キーホール溶接により形成された溶接痕(第一部位)と重なる部位)におけるブローホールが抑えられ、これにより、溶接欠陥がより抑えられ、蓄電素子の品質がより高くなる。
【0011】
また、本発明に係る蓄電素子は、
金属製の第一部材と、
前記第一部材と重なった状態で配置される金属製の第二部材と、を備え、
前記第一部材と前記第二部材とが重なっている部位に、線状に連なる溶接痕によって構成される溶接部であって該第一部材と該第二部材とを接続する溶接部が形成され、
前記溶接部は、
出力波形がパルス状のレーザによるキーホール溶接の溶接痕によって形成された第一部位であって、該溶接部における最初に形成された溶接痕を含む第一部位と、
前記第一部位と連なり且つレーザによる熱伝導溶接の溶接痕によって形成された第二部位であって、該溶接部における最後に形成された溶接痕を含む第二部位と、を有し、
前記第二部位の一部が前記第一部位と重なることによって所定の領域を囲み、
前記線状の溶接部において、前記第一部位と前記第二部位との境界は、該第一部位と該第二部位とが重なっている位置より前記最初に形成された溶接痕に近い位置にある。
【0012】
かかる構成によれば、溶接部において、第二部位の少なくとも一部が第一部位と重なっているため、第一部位における第二部位と重なる領域に気泡が混入していても、第二部位が溶接時にキーホール(くぼみ)の生じない熱伝導溶接によって形成されるため、第一部位における第二部位と重なる領域において第二部位を形成するためのレーザが前記気泡を貫通してブローホールを形成することが防がれる。これにより、溶接欠陥が抑えられ、蓄電素子の品質が高くなる。
【0013】
例えば、前記蓄電素子は、
電極体及び電解液を収容する内部空間が形成されるケースであって、前記電解液を前記内部空間に注入可能な注液孔と該注液孔を塞ぐ注液栓とを有するケースを備え、
前記注液栓は、前記注液孔を覆うように前記ケースの注液孔周縁部と重なる頭部を有し、
前記第二部材は、前記注液栓であり、
前記第一部材は、前記注液栓を除いた前記ケースであり、
前記所定の領域は、前記頭部であってもよい。
【0014】
かかる構成によれば、注液栓の頭部とケースの注液孔周縁部との溶接部における溶接欠陥が抑えられ、蓄電素子の品質が高くなる。
【0015】
また、前記蓄電素子は、
開口を有するケース本体と該ケース本体の開口周縁部に重ねられて前記開口を塞ぐ蓋板とを有するケースを、備え、
前記第一部材は、前記ケース本体であり、
前記第二部材は、前記蓋板であり、
前記所定の領域は、前記ケース本体の開口であってもよい。
【0016】
かかる構成によれば、ケース本体と蓋板との溶接部における溶接欠陥が抑えられ、蓄電素子の品質が高くなる。
【0017】
また、本発明に係る前記蓄電装置は、
金属製の第一部材と、
前記第一部材と重なった状態で配置される金属製の第二部材と、を備え、
前記第一部材と前記第二部材とが重なっている部位に、線状に連なる溶接痕によって構成される溶接部であって該第一部材と該第二部材とを接続する溶接部が形成され、
前記溶接部は、出力波形がパルス状のレーザによるキーホール溶接の溶接痕によって形成された第一部位と、前記第一部位と連なり且つレーザによる熱伝導溶接の溶接痕によって形成された第二部位とを有し、該溶接部の第二部位側の端部であって該溶接部において最後に形成された溶接痕を含む端部が前記第一部位と重なることによって所定の領域を囲み、
前記第二部位は、少なくとも前記最後に形成された溶接痕を含む。
【0018】
かかる構成によれば、溶接部において、少なくとも最後の溶接痕が形成されるときに該最後の溶接痕が形成される部位(キーホール溶接よる溶接痕によって形成された第一部位)に気泡が混入していても、少なくとも前記最後の溶接痕が溶接時にキーホール(くぼみ)の生じない熱伝導溶接によって形成されるため、該熱伝導溶接のためのレーザが前記気泡を貫通してブローホールを形成することが防がれる。これにより、溶接欠陥が抑えられ、蓄電装置の品質が高くなる。
【0019】
前記蓄電装置では、
外部端子を有する少なくとも一つの蓄電素子と、
前記外部端子に接続されるバスバと、を備え、
前記外部端子は、前記バスバが面接触した状態で配置される接続面を有し、
前記第一部材は、前記外部端子であり、
前記第二部材は、前記バスバであり、
前記所定の領域は、前記接続面に沿って設定されてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、外部端子と該外部端子の接続面に配置されたバスバとの溶接部における溶接欠陥が抑えられ、蓄電装置の品質が高くなる。
【0021】
また、本発明に係る蓄電素子の製造方法は、
蓄電素子を構成するための金属製の第一部材及び第二部材が重なっている部位に対し、所定の領域の周縁に沿って溶接痕が線状に連なるように、出力波形がパルス状のレーザによってキーホール溶接を行うことと、
前記キーホール溶接に続いて、前記所定の領域の周縁に沿って溶接痕が線状になるようにレーザによって熱伝導溶接を行うことと、を備え、
前記キーホール溶接の溶接痕と前記熱伝導溶接の溶接痕とが前記所定の領域を囲むように連なることで形成される溶接部であって、前記第一部材と前記第二部材とを接続する溶接部が形成され、
前記溶接部は、前記キーホール溶接の溶接痕によって形成された第一部位と、前記第一部位と連なり且つ前記熱伝導溶接による溶接痕によって形成された第二部位とを有し、該溶接部の第二部位側の端部であって該溶接部において最後に形成された溶接痕を含む端部が前記第一部位と重なることによって前記所定の領域を囲み、
前記第二部位は、少なくとも前記最後に形成された溶接痕を含む。
【0022】
かかる構成によれば、溶接部において、少なくとも最後の溶接痕が形成されるときに該最後の溶接痕が形成される部位(キーホール溶接よる溶接痕によって形成された第一部位)に気泡が混入していても、少なくとも前記最後の溶接痕が溶接時にキーホール(くぼみ)の生じない熱伝導溶接によって形成されるため、該熱伝導溶接のためのレーザが前記気泡を貫通してブローホールを形成することが防がれ、これにより、溶接欠陥が抑えられた品質の高い蓄電素子が得られる。
【0023】
また、本発明に係る蓄電装置の製造方法は、
蓄電装置を構成するための金属製の第一部材及び第二部材が重なっている部位に対し、所定の領域の周縁に沿って溶接痕が線状に連なるように、出力波形がパルス状のレーザによってキーホール溶接を行うことと、
前記キーホール溶接に続いて、前記所定の領域の周縁に沿って溶接痕が線状になるようにレーザによって熱伝導溶接を行うことと、を備え、
前記キーホール溶接の溶接痕と前記熱伝導溶接の溶接痕とが前記所定の領域を囲むように連なることで形成される溶接部であって、前記第一部材と前記第二部材とを接続する溶接部が形成され、
前記溶接部は、前記キーホール溶接の溶接痕によって形成された第一部位と、前記第一部位と連なり且つ前記熱伝導溶接による溶接痕によって形成された第二部位とを有し、該溶接部の第二部位側の端部であって該溶接部において最後に形成された溶接痕を含む端部が前記第一部位と重なることによって前記所定の領域を囲み、
前記第二部位は、少なくとも前記最後に形成された溶接痕を含む。
【0024】
かかる構成によれば、溶接部において、少なくとも最後の溶接痕が形成されるときに該最後の溶接痕が形成される部位(キーホール溶接よる溶接痕によって形成された第一部位)に気泡が混入していても、少なくとも前記最後の溶接痕が溶接時にキーホール(くぼみ)の生じない熱伝導溶接によって形成されるため、該熱伝導溶接のためのレーザが前記気泡を貫通してブローホールを形成することが防がれ、これにより、溶接欠陥が抑えられた品質の高い蓄電装置が得られる。
【0025】
また、本発明に係る蓄電素子は、
金属製の第一部材と、
前記第一部材と重なった状態で配置される金属製の第二部材と、を備え、
前記第一部材と前記第二部材とが重なっている部位に、線状に連なる溶接痕によって形成される溶接部であって該第一部材と該第二部材とを接続する溶接部が形成され、
前記溶接部は、
出力波がパルス状のレーザによるキーホール溶接の溶接痕によって形成された第一部位であって、該溶接部における最初に形成された溶接痕を含む第一部位と、
前記第一部位と連なり且つレーザによる熱伝導溶接の溶接痕によって形成された第二部位であって、該溶接部における最後に形成された溶接痕を含む第二部位と、を有し、
前記第二部位の一部が前記第一部位と重なることによって所定の領域を囲み、
前記最初に形成された溶接痕及び前記最後に形成された溶接痕の少なくとも一方は、前記所定の領域の周縁と異なる位置に形成され、
前記線状の溶接部において、前記第一部位と前記第二部位との境界は、該第一部位と該第二部位とが重なっている位置より前記最初に形成された溶接痕に近い位置にある。
【0026】
かかる構成によれば、溶接部において、第二部位の少なくとも一部が第一部位と重なるように形成されるときに第一部位における第二部位と重なる領域に気泡が混入していても、第二部位が溶接時にキーホール(くぼみ)の生じない熱伝導溶接によって形成されるため、第一部位における第二部位と重なる領域において第二部位を形成するためのレーザが前記気泡を貫通してブローホールを形成することが防がれる。これにより、溶接欠陥が抑えられ、蓄電素子の品質が高くなる。