(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取得部は、検出した一の枕木のうちの前記第2方向において異なる複数の監視点における前記第1方向の座標に基づいて、前記枕木の夫々が第2方向に沿って平行であることを判定する、
請求項2に記載の画像処理装置。
前記第2距離画像を前記軸を境に第1領域及び第2領域に分割し、前記第1領域のうちの任意の領域を第1監視領域と設定し、前記第2領域のうちの任意の領域を第2監視領域と設定する監視設定部と、
前記第2距離画像に存在する異物が、前記第1監視領域及び前記第2監視領域の何れに存在するか判定する探索部と、
を更に備える請求項1から3の何れか1項に記載の画像処理装置。
前記探索部は、前記第1距離画像において異物を検出すると、前記軸を中心に前記異物の3次元データを回転することで、当該異物の回転後の3次元データを算出するとともに、当該回転後の3次元データに基づいて、前記異物が、前記第1監視領域又は前記第2監視領域の何れに存在するか判定する、
請求項4に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[撮影システム10の全体構成]
図1は、本実施形態に係る撮影システム10の全体構成を示す図であり、
図2は、撮影装置101の駅のプラットホームPにおける設置例を示す図である。なお、
図2Aは、鉄道車両の進行方向から駅のプラットホームPを見た図であり、
図2Bは、鉄道車両の進行方向に対して直交する方向から駅のプラットホームPを見た図である。
【0016】
図1に示すように撮影システム10は、撮影装置群100、及び撮影装置群100と通信可能に接続されたデータ管理装置200を含んで構成される。
なお、撮影システム10は、データ管理装置200と撮影装置群100との間にハブ300を備えてもよく、また、ハブ300に接続される撮影装置群100を複数備えてもよい。この場合、例えば、夫々の撮影装置群100を、駅にある複数のプラットホームPの夫々に設置することとしてもよい。また、撮影システム10は、撮影装置群100で撮影された画像を表示するモニタ400を備えてもよい。
【0017】
撮影装置群100は、複数の撮影装置101(撮影装置101−1、撮影装置101−2・・・撮影装置101−n、ただしnは3以上の自然数)が所定方向に沿ってデイジーチェーン接続されて構成される。なお、
図2Bに示すように、本実施形態では、複数の撮影装置101は、駅のプラットホームPの長さ方向に沿ってデイジーチェーン接続される。
【0018】
撮影装置101は、複数の撮影部が駅のプラットホームPの長さ方向に沿って水平に配置されたステレオカメラである。
図2Aに示すように、撮影装置101は、鉄道車両の運行に影響を与えないように、駅のプラットホームPの上部(天井)のうちプラットホームPと線路Rとの境界(即ち、プラットホームPの線路R側の端部)の直上からプラットホームPの内側に所定量だけセットバックして設置される。また、
図2Bに示すように、撮影装置101は、夫々の撮影装置101の撮影範囲Sが隣接する撮影装置101の撮影範囲Sと重なり合うように設置される。
【0019】
撮影装置101は、プラットホームPの周辺、即ちプラットホームP及び線路Rを俯瞰的に撮影する。ここで、撮影装置101によって撮影される第1画像51及び第2画像52、並びに第1画像51と第2画像52とから生成される距離画像53の一例を
図3Aに示す。
【0020】
第1画像51は、撮影装置101の第1撮影部により撮影される撮影画像であり、第2画像52は、撮影装置101の第2撮影部により撮影される撮影画像である。
図3Aの第1画像51に示すように、撮影装置101は、プラットホームP及び線路Rを撮影する。本実施形態では、線路Rは、レールRaと複数の枕木Rtと砂利Rbとから構成されるバラスト軌道である。
【0021】
距離画像53は、第1画像51と第2画像52との視差に基づいて生成される画像である。
ここで、視差の算出方法は既に公知であり、基準画像(第1画像51)の基準点と対応する対応点を比較画像(第2画像52)の中から探索することで視差を算出する。具体的には、基準となる画素を中心に基準画像から画素ブロックを抽出し、比較画像の視差探索領域内の画素ブロックのうち基準画像から抽出した画素ブロックと輝度パターンが類似している画素ブロックをSAD(Sum of Absolute Differences)法等の公知の手法により特定する。そして、基準画像の画素ブロックの座標と比較画像の画素ブロックの座標との相違から、視差を算出する。
【0022】
視差は、テクスチャが明瞭である領域に対して算出されるため、プラットホームP、レールRa及び枕木Rtのようなテクスチャが少なく表面のパターンが一様な物体に対しては算出されない。そのため、撮影装置101でバラスト軌道を撮影する場合、
図3Aの距離画像53に示すように、プラットホームP、レールRa及び枕木Rtについては視差を算出できず、砂利Rbのようにパターンに特徴がありテクスチャが明瞭な領域では、視差を算出することができる。
【0023】
なお、夫々の画像において水平方向をX方向(第1方向)、垂直方向をY方向(第2方向)とする。撮影装置101の複数の撮影部が駅のプラットホームPの長さ方向に沿って水平に配置されるため、X方向はプラットホームPの長さ方向に相当する。また、Y方向は、プラットホームPや線路Rの幅方向に相当する。また、以下では、説明の便宜上、画像上部をY座標「小」とし、画面下部をY座標「大」とする。
【0024】
撮影装置101が撮影した第1画像51及び第2画像52と、これら第1画像51及び第2画像52から生成された距離画像53とは、所定の通信線を介してデータ管理装置200に送信され、データ管理装置200の記憶部202に記憶される。なお、距離画像53は、撮影装置101が生成することなく、データ管理装置200において生成することとしてもよい。
【0025】
[撮影システム10の概要]
続いて、本実施形態に係る撮影システム10の概要について説明する。撮影装置101は、プラットホームPの端からセットバックして設置されるため、撮影装置101は、プラットホームPの端部や線路Rを斜めに見下ろすことになる。ここで、
図2Aに示すように、乗客がプラットホームPの端に立っている場合、撮影装置101により撮影された距離画像53では、
図3Bに示すように、乗客の上半身が線路内に存在するかのように映ってしまい、線路落下を誤検知してしまうおそれがある。
【0026】
そこで、撮影システム10では、
図4Aに示すように、プラットホームPの長さ方向(X方向)に延びる任意の軸を中心に距離画像53を回転し、新たな距離画像54を生成する。なお、駅構内の監視では、危険がプラットホーム上で発生しているのか、線路内で発生しているのかを精度良く監視する必要がある。このような監視は、プラットホームPと線路Rとの境界を真上から監視することが好ましいため、本実施形態では特に、プラットホームPの長さ方向に延びるプラットホームPの端部を軸に距離画像53を回転する。
【0027】
この回転の結果、
図4Bに示すように、プラットホーム端からセットバックして設置した撮影装置101から、プラットホーム端を真上から撮影したかのような距離画像54を得ることができる。これにより、プラットホームPの端からセットバックして設置した場合であっても、プラットホーム及び線路内の危険を精度良く監視することができる。
【0028】
また、設置した後の回転処理により撮影装置101の監視精度の調整を行うことができるため、撮影装置101の設置時には、取り付ける角度や画角を精密に調整する必要がない。そのため、撮影システム10では、撮影装置101の設置に膨大な時間をかける必要がなく、撮影装置101の設置作業に要する時間を短縮することができる。
以下、このような制御を可能にするデータ管理装置200の詳細について説明する。
【0029】
[データ管理装置200の機能構成]
図5は、データ管理装置200の機能構成を示すブロック図である。データ管理装置200は、制御部201と、記憶部202と、を含んで構成される。
【0030】
記憶部202は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部202は、データ管理装置200を機能させるための各種プログラムを記憶する。また、記憶部202は、撮影装置101(ステレオカメラ)の第1撮影部が撮影した第1画像51及び第2撮影部が撮影した第2画像52の画像データと、第1画像51及び第2画像52から生成される距離画像53の画像データと、距離画像53を回転することで生成される距離画像54の画像データと、を記憶する。
【0031】
制御部201は、例えば、CPUにより構成され、記憶部202に記憶されている各種プログラムを実行することにより、第1生成部203、算出部204、回転制御部205、第2生成部206、監視設定部207及び探索部208として機能する。
【0032】
第1生成部203は、撮影装置101の第1撮影部が撮影した第1画像51と、第2撮影部が撮影した第2画像52とから距離画像53(第1距離画像)を生成する。具体的には、第1生成部203は、第1画像51と第2画像52との視差をSAD法等の公知の手法により特定し、特定した視差に基づいて距離画像53を生成する。
【0033】
算出部204は、第1画像51と第2画像52との視差に基づいて、距離画像53内の物体の3次元データを算出する。撮影装置101の撮影範囲内に物体が存在する場合、当該物体は他の領域と異なるパターンであるため、第1画像51と第2画像52との間で視差が生じ、距離画像53に当該物体があらわれる。視差が分かると、三角測量の原理で撮影装置101から当該物体までの距離を測定できるため、算出部204は、距離画像53内の物体のXY座標に加え、当該物体のZ座標を算出することができる。算出部204は、これらXYZ座標を、物体の3次元データとして算出する。
【0034】
第2生成部206は、算出部204が算出した3次元データ(XYZ座標)に対して所定の演算を行うことで、距離画像53(第1距離画像)を補正し、補正後の距離画像54(第2距離画像)を生成する。本実施形態では、一例として、第2生成部206は、回転制御部205が回転した3次元データを用いて、距離画像54を生成する。
以下、具体的に説明する。
【0035】
回転制御部205は、距離画像53のX方向に延びる任意の軸を中心に物体の3次元データを回転することで、当該物体の回転後の3次元データを算出する。このような回転制御は座標変換として既に公知であり、ローカル座標であらわされる物体がグローバル座標系においてどのように配置されるか算出することで行われる。
具体的には、距離画像53は、第1画像51と第2画像52との視差に基づいて生成されるため、距離画像53内の物体にはXYZ座標の3次元データ(ローカル座標)が与えられる。回転制御部205は、この3次元データ(ローカル座標)を、X方向に延びる回転軸を基準とするワールド座標系に配置し、当該回転軸を中心に回転することで、回転後の物体の3次元データを算出する。
【0036】
第2生成部206は、算出した回転後の3次元データに基づいて距離画像54を生成する。距離画像53において撮影装置101からの物体の距離(回転前の距離)が分かっているため、第2生成部206は、この回転前の距離を、回転前の物体の3次元データと回転後の物体の3次元データとの相違に基づいて補正することで、回転後の距離画像54を生成することができる。
【0037】
ここで、上述したように、X方向に延びる回転軸とはプラットホームPの端部であり、また、このような回転処理は、プラットホームPの端を真上から撮影したかのような距離画像54を得るために行う。
そこで、回転制御部205は、距離画像53の中から回転軸としてのプラットホームPの端部を特定するための特定部209、及びプラットホームPの端を真上から撮影するために必要な回転量を取得するための検出部210及び取得部211と、を含むこととしてもよい。
【0038】
特定部209は、第1画像51と第2画像52との視差に基づいて、距離画像53におけるプラットホームの端部の位置(Y座標)を特定する。
具体的には、
図6(A)に示すように、特定部209は、距離画像53をY方向に走査し、Y座標毎に視差ゼロである画素数を計数する。そして、特定部209は、視差ゼロである画素数に基づいて、プラットホームP及びレールRaの位置(Y座標)を検出する。
【0039】
図6(B)は、Y座標と視差ゼロの画素数との関係を示すヒストグラムである。本実施形態のようにバラスト軌道を撮影する場合、撮影画像のX方向に沿って延びるプラットホームP及びレールRaの位置(Y座標)では、視差ゼロの画素数が多くなる。一方、砂利Rbの位置(Y座標)では、視差が算出されるため、視差ゼロの画素数が少なくなる。
【0040】
特定部209は、視差ゼロの画素数が多いY座標のうち、Y座標が最も大きいものをプラットホームPとし、Y座標が次に大きいものを2本のレールRaの手前側のレールRa(以下、「下部レールRad」と呼ぶ)とし、Y座標が次に大きいものを2本のレールRaの奥側のレールRa(以下、「上部レールRau」と呼ぶ)とする。
そして、特定部209は、プラットホームPと砂利Rbとの境界部分のY座標「R3」を、プラットホームPの端部と特定する。また、特定部209は、上部レールRauの位置(Y座標)を座標R1とし、下部レールRadの位置(Y座標)を座標R2とする。
【0041】
検出部210は、距離画像53から、プラットホームPの側面にX方向沿って延びる線路Rの枕木Rtの位置を検出する。
具体的には、検出部210は、距離画像53のうち上部レールRau及び下部レールRadが存在する領域(Y座標)のうちの任意の位置をX方向に走査し、枕木Rtの位置(X座標)を検出する。
図7に示す例では、上部レールRau及び下部レールRad間を3分割し、上部レールRau及び下部レールRad間を3分割にする位置に、夫々、座標M1,座標M2をセットする。また、枕木Rtは、レールRaよりも手前側及び奥側に延びて設置されるため、検出部210は、下部レールRadよりも手前側の位置に座標M3をセットし、上部レールRauよりも奥側の位置に座標M4をセットする。
なお、検出部210は、「下部レールRadの座標R2+α1」を座標M3としてセットし、「上部レールRauの座標R1−α2」を、座標M4としてセットする。このとき、α1及びα2は、実験等により経験的に設定される値である。
【0042】
続いて、検出部210は、座標M1から座標M4の夫々について、距離画像53をX方向に走査し、X座標毎に視差ゼロの画素数を計数する。なお、
図7(B)は、例えば、座標M1の位置をX方向に走査した場合の、X座標と視差ゼロの画素数との関係を示すヒストグラムである。
枕木Rtでは視差が算出できないため、枕木Rtの位置(X座標)では、視差ゼロの画素数が多くなる。一方、砂利Rbでは、視差が算出されるため、砂利Rbの位置(X座標)では、視差ゼロの画素数が少なくなる。検出部210は、視差ゼロの画素数に基づいて、枕木Rtの位置(X座標)を検出する。
【0043】
取得部211は、プラットホームPの端を真上から撮影したかのような距離画像54を得るために必要な回転量を取得する。枕木Rtは、線路Rにおいて上部レールRau及び下部レールRadに対して垂直に設置されるため、夫々の枕木Rtは、Y方向において平行に設置されている。
この点、プラットホームPや線路Rを斜めに見下ろして撮影した場合、枕木RtのプラットホームP側と線路Rの奥側とで撮影装置101からの距離が異なるため、
図7(C)に示すように、夫々の枕木Rtは平行にならない。これに対して、プラットホームPの端を真上から撮影した場合、枕木RtのプラットホームP側と線路Rの奥側とで撮影装置101からの距離が等しくなる(より詳細には、斜めに見下ろした場合よりも近似する)。
【0044】
そこで、本実施形態では、
図7(D)に示すように、線路Rを構成する複数の枕木Rtの夫々がY方向に沿って平行となる状態を、プラットホームPの端を真上から撮影した状態とし、取得部211は、当該状態になるまでに必要な回転量を、プラットホームPの端を真上から撮影したかのような距離画像54を得るために必要な回転量として取得する。
【0045】
具体的には、取得部211は、検出した一の枕木RtのうちのY方向において異なる複数の監視点におけるX方向の座標に基づいて、枕木Rtの夫々がY方向に沿って平行であることを判定する。
図7に示す例の場合、座標M1から座標M4は、夫々Y座標が異なる位置である。取得部211は、座標M1から座標M4の夫々における枕木RtのX座標を比較し、当該X座標が略一致した場合に、枕木Rtの夫々がY方向に沿って平行であると判定する。
【0046】
なお、プラットホーム端を真上から撮影したとしても、撮影装置101から枕木RtのプラットホームP側までの距離と、撮影装置101から枕木Rtの線路Rの奥側までの距離とは、完全に一致するわけではない。また、回転は、距離画像53という一方向からの撮影結果のみに基づいて行われるため、回転後の形状と実際の形状との一致精度にも所定の限界がある。
そのため、枕木Rtの夫々がY方向に沿って平行となる状態とは、枕木Rtの夫々が完全に一致することまでを要求するものではなく、平行度が所定の閾値を満たせば足りる。なお、所定の閾値については、実験等により経験的に設定される。
【0047】
取得部211が取得した回転量は、対象の距離画像53を撮影した撮影装置101に対応付けられて記憶部202に記憶される。回転制御部205は、記憶部202から撮影装置101に対応してセットされた回転量を読み出し、当該回転量分だけ距離画像53を回転することで、回転後の3次元データを算出する。
【0048】
このように、プラットホーム端を真上から撮影した状態となる回転量を、撮影装置101毎に取得しセットしておくことで、撮影装置101の設置時に取り付ける角度や画角を精密に調整する必要がなくなる。その結果、撮影システム10では、撮影装置101の設置に膨大な時間をかける必要がなく、撮影装置101の設置作業に要する時間を短縮することができる。
【0049】
図5に戻り、監視設定部207は、回転後の距離画像54に対して、線路Rへの落下を監視する落下検知エリア、及びプラットホーム端への接近を監視する接近検知エリアを設定する。具体的には、監視設定部207は、距離画像54を回転軸(プラットホーム端)を境にして、線路側の領域とプラットホーム側の領域に分割し、線路側の領域のうちの任意の領域を落下検知エリアと設定し、プラットホーム側の領域のうちの任意の領域を接近検知エリアと設定する。
【0050】
一の線路と他の線路とが隣接する場合、路線によっては、線路間に資材を置くことがある。落下検知エリアは、この資材を線路内の異物として検出しないように、Y方向において適切な範囲を設定する必要がある。
この点、本実施形態では、監視設定部207は、
図8に示すように、落下検知エリアのY座標を、座標Y1から座標Y2の範囲に設定する。座標Y1は、上部レールRauの座標R1よりも奥側50cmの位置であり、座標Y2は、プラットホーム端の座標R2である。なお、奥側50cmについては、画像素子1画素の大きさと、撮影装置101からの距離との関係に基づいて算出することができ、撮影装置101を線路面から4.3m上方に設置している場合には、50cmは47画素になる。
【0051】
接近検知エリアとしては、プラットホーム端から内側所定領域までを設定する必要がある。多くの駅において、プラットホームPには点字ブロックが設置されているため、プラットホーム端から点字ブロックまでの領域を接近検知エリアとして設定することとしてもよいが、点字ブロックの設置パターンは全ての駅において統一されているわけではないため、本実施形態では、次のような範囲に接近検知エリアを設定する。
具体的には、監視設定部207は、
図8に示すように、接近検知エリアのY座標を、座標Y2から座標Y3の範囲に設定する。座標Y3は、座標Y2よりも手前側90cmの位置であり、撮影装置101をプラットホーム面から2.2m上方に設置している場合には、座標Y2+163(画素)が座標Y3となる。
【0052】
なお、落下検知エリア及び接近検知エリアのX方向の範囲は適宜任意に設定することができる。一例として、監視設定部207は、X方向の全範囲から両サイドのマージンと視差探索領域分を減算した範囲を、落下検知エリア及び接近検知エリアのX方向の範囲として設定する。
【0053】
図5に戻り、探索部208は、撮影装置101の監視エリア内で異物(例えば、線路内に存在する人や物、又はプラットホーム端の近傍に存在する人や物)を検出するとともに、検出した異物が落下検知エリア及び接近検知エリアの何れに存在するか判定する。
具体的には、探索部208は、撮影装置101が撮影した距離画像53において異物(異常視差)を検出すると、プラットホーム端を回転軸として当該異物の3次元データを、取得部211が取得した回転量だけ回転し、当該異物の回転後の3次元データを算出する。そして、探索部208は、算出した回転後の3次元データと、距離画像54に対して設定した落下検知エリア及び接近検知エリアとを比較して、異物が落下検知エリア及び接近検知エリアの何れに存在するか判定する。
【0054】
ここで、
図9を参照して、探索部208による異物の探索方法を具体的に説明する。なお、説明を容易にするため、本実施形態では、
図9(A)に示すように、プラットホーム端に直方体の異物がある場合を例にとり、探索部208による異物の探索方法について説明する。
プラットホーム端に異物が存在する場合、
図9(B)に示すように、距離画像53において当該異物は、異常視差としてあらわれる。撮影装置101は、プラットホーム端や線路を斜めに見下ろすように設置されているため、異物がプラットホーム内に存在する場合であっても、距離画像53では、線路内の領域に異常視差が存在し、異物が線路内に存在するかのように判定されてしまう。
【0055】
異物に対する第1撮影部と第2撮影部との視差から、当該異物の3次元データ(XYZ座標)を算出することができるため、探索部208は、プラットホーム端を回転軸として検出した異物を回転する。その結果、
図9(C)に示すように、プラットホーム端を真上から撮影したかのような距離画像54を得ることができる。探索部208は、距離画像54における異物の中心の所定領域に着目して、当該所定領域が落下検知エリア及び接近検知エリアの何れに存在するか判定することで、異物がプラットホーム内に存在するのか、線路内に存在するのかを判定する。
【0056】
なお、撮影装置101による撮影は一方向のみからであるため、回転後の異物の形状は、当該異物を真上から撮影した場合の実際の形状と一致せずに実際の形状に対して歪んでしまう。しかしながら、プラットホームPや線路Rの監視としては、線路落下やプラットホーム端への接近を検知できれば足り、異物の実際の形状を正確に判定する必要はない。そのため、回転後の異物の形状が歪んでしまったとしても、駅構内の監視を適切に行うことができる。
【0057】
[撮影システム10の処理]
続いて、
図10及び
図11を参照して、本発明の撮影システム10の処理の流れについて説明する。
図10は、プラットホームPに設置した撮影装置101に対して各種設定を行う設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0058】
図10に示すように、初めに、ステップS1において、撮影装置101は、線路Rを撮影し、第1画像51及び第2画像52を取得する。続いて、ステップS2において、データ管理装置200の第1生成部203は、撮影した第1画像51及び第2画像52の視差から距離画像53を生成する。
【0059】
続いて、ステップS3において、算出部204は、距離画像53に含まれる物体の3次元データ(XYZ座標)を、第1画像51及び第2画像52の視差に基づいて算出する。続いて、ステップS4において、特定部209は、距離画像53のプラットホーム端を特定する。例えば、特定部209は、距離画像53をY方向に走査して、Y座標と視差ゼロの画素数との関係を示すヒストグラムを生成し、視差ゼロである画素数に基づいて、プラットホーム端の位置(Y座標)を特定する。
【0060】
続いて、ステップS5において、回転制御部205は、ステップS3で算出した物体の3次元データを、ステップS4で特定したプラットホーム端を軸に回転する。この回転は、ステップS6において、夫々の枕木Rtが平行になったと判定されるまで行われる。なお、ステップS6の判定では、回転制御部205(取得部211)は、枕木RtのうちのY方向において異なる複数の監視点におけるX方向の座標が略一致した場合に、枕木Rtが平行になったと判定する。
【0061】
回転により枕木Rtが平行になると、続いて、ステップS7において、回転制御部205(取得部211)は、当該状態になるまでに要した回転量を、ステップS1で撮影した撮影装置101に対応付けて登録する。また、ステップS8において、監視設定部207は、回転後の距離画像54に対して落下検知エリア及び接近検知エリアを設定し、撮影装置101に対応付けて登録し、設定処理を終了する。
【0062】
続いて、
図11を参照して、撮影装置101の監視領域において異物を検知した場合の異物検知処理について説明する。
図11に示すように、初めに、ステップS11において、撮影装置101は、線路Rを撮影し、第1画像51及び第2画像52を取得する。続いて、ステップS12において、データ管理装置200の第1生成部203は、撮影した第1画像51及び第2画像52の視差から距離画像53を生成する。
【0063】
続いて、ステップS13において、探索部208は、距離画像53内に異物が存在するか否かを判定する。一例として、探索部208は、プラットホーム端や線路内に異常視差が存在する場合に、異物が存在すると判定する。
【0064】
距離画像53内に異物が存在する場合、続いて、ステップS14において、探索部208は、当該距離画像53のうちのプラットホーム端を回転軸として、
図10のステップS7で設定した回転量分だけ、当該距離画像53を回転する。続いて、ステップS14において、探索部208は、回転後の距離画像54における異物の存在する位置と、
図10のステップS8で設定した落下検知エリア及び接近検知エリアとを比較して、落下検知エリア及び接近検知エリアの何れに異物が存在するか判定する。続いて、ステップS15において、異物が存在するエリアに応じた所定の警告を行い、異物検知処理を終了する。
【0065】
[撮影システム10における効果]
以上、本発明の実施形態について説明した。続いて、撮影システム10における効果について説明する。
【0066】
撮影システム10では、第1の効果として、撮影装置101の設置作業に要する時間を短縮することができる。
プラットホーム端や線路を斜めに撮影する場合、線路落下の誤検知を防止するために、通常であれば、撮影装置101を取り付ける角度や画角を高精度に調整する必要がある。この点、撮影システム10では、撮影装置101が撮影した距離画像53から被写体の3次元データ(XYZ座標)を算出できることに着目して、プラットホーム端を真上から撮影したかのような画像を得るために必要な回転量を撮影装置101に対して設定する。
【0067】
これにより、設置した後の回転処理により撮影装置101の監視精度の調整を行うことができるため、撮影装置101の設置時には、取り付ける角度や画角を精密に調整する必要がない。そのため、撮影システム10では、撮影装置101の設置に膨大な時間をかける必要がなく、撮影装置101の設置作業に要する時間を短縮することができる。
この第1の効果は、プラットホーム全域に亘り監視を行う撮影システム10においてより顕著にあらわれる。即ち、撮影システム10では、多数の撮影装置101を用いてプラットホームを監視するものの、設置作業時間を撮影装置101の夫々において短縮することができるため、撮影システム10全体において設置時間を大幅に短縮することができる。
【0068】
また、プラットホームでは多くの点検作業が行われるため、撮影装置101を取り付けた後も、何らかの事象で撮影装置101がずれてしまう場合がある。従来の運用では、撮影装置101がずれてしまうと、撮影装置101の設置を再度手動で調整しなければならい。この再度の調整も、鉄道車両の運行に与えないように夜間に行う必要があり、作業員にとって大きな負担を与えるだけでなく、調整作業が済むまで適切な監視を行うことができない。
この点、撮影システム10では、定期的又は管理者の手動で、撮影装置101に対する設定処理を行うことで、撮影装置101がずれてしまったとしても、適切な回転量を再度設定することができる。これにより、調整作業の工数を短縮できるとともに、継続的な監視を行うことができ、好適である。
【0069】
また、撮影システム10では、第2の効果として、撮影装置101による監視精度の向上が期待できる。
プラットホーム端を斜めに撮影する場合、プラットホーム端に存在する乗客の上半身が線路上に写ってしまい、線路落下と誤検知してしまうおそれがある。この点、従来では、落下検知の高さ方向(Z方向)の探索範囲を狭くすることで誤検知を防止していたが、撮影システム10では、プラットホーム端を真上から撮影した状態でプラットホームPや線路Rを監視するため、高さ方向の探索範囲を調整することなく、線路落下の誤検知を防止することができる。
【0070】
ここで、
図12を参照して、撮影システム10における従来の監視運用方法について説明する。
図12(A)に示すように、乗客Uaは、線路内に存在し、乗客Ubは、プラットホーム端に存在している。乗客の平均身長を考慮すると、線路面から高さ190cmの範囲を探索範囲として設定すると、線路内に存在する乗客Uaの全身を探索することができる一方で、線路面から190cmの範囲では、プラットホーム上に存在する乗客Ubの上半身も探索範囲に含まれてしまい、好ましくない。そこで、従来の運用では、線路面から高さ130cmの範囲を探索範囲として設定している。
【0071】
図12(B)に示すように、高さ方向の探索範囲を線路R面から130cmまでとした場合、プラットホーム上の乗客Ubの足部分までが探索範囲となる。探索範囲が足部分までであれば検知サイズが小さく、乗客Ubを線路落下と誤検知してしまうことはない。
一方で、高さ方向の探索範囲を線路面から130cmまでとした場合、線路上の乗客Uaの胸部分までで距離探索が終わってしまう。胸部分で切ってしまうと、テクスチャが少なく乗客Uaをロストしてしまう場合があり、線路落下を見逃してしまう場合がある。
【0072】
これに対して、
図12(C)に示すように、高さ方向の探索範囲を線路面から190cmまでとした場合、乗客Uaの全身が探索範囲となるため、線路上の乗客Uaを安定して検出することができ、線路落下を見逃すことがない。
一方で、高さ方向の探索範囲を線路面から190cmまでとした場合、プラットホーム上の乗客Ubの胸部分まで距離探索が行われてしまう。プラットホーム上の乗客Ubの胸部分まで探索してしまうと、テクスチャが少なくロストする可能性があるものの、検知してしまう可能性もあり、検知してしまった場合に、線路落下の誤検知に繋がる。
【0073】
このように従来の監視方法では、線路落下の誤検知と検知漏れとを考慮して、高さ方向の探索範囲を調整していた。この点、撮影システム10では、プラットホーム端を真上から撮影した状態で監視することができるため、探索範囲の調整など必要なく、線路落下等の危険を精度よく検知することができる。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0075】
上記実施形態では、プラットホームPの長さ方向(X方向)に延びる軸を中心に、距離画像53や当該距離画像53に含まれる物体を回転することとしているが、回転方向はこれに限られるものではなく、プラットホームPの長さ方向に直交する方向(Y方向)に延びる軸を中心に回転することとしてもよく、高さ方向(Z方向)に延びる軸を中心に回転することとしてもよい。
撮影装置101の設置状態によっては、プラットホームPの長さ方向と距離画像53のX方向とが一致しない場合もあるが、この場合であっても、距離画像53を高さ方向(Z方向)に延びる軸を中心に回転することで、プラットホームPの長さ方向と距離画像53のX方向とを合わせることができる。そのため、設置作業に要する時間を短縮できるという効果を期待できる。