(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
柱体に設置される電気機器に接続され前記柱体の内部に配線される機器側導線と、前記電気機器を接地するための接地極に接続され前記柱体の内部に配線される接地側導線との間の、接続と非接続とを切り替える接地抵抗測定端子盤であって、
前記柱体の外周に配置される筐体と、
前記筐体に設けられ、前記柱体に向かって前記筐体を貫通して、前記柱体の内部で前記機器側導線と接続される第1の接続部材と、
前記筐体に設けられ、前記柱体に向かって前記筐体を貫通して、前記柱体の内部で前記接地側導線と接続される第2の接続部材と、
前記第1の接続部材と前記第2の接続部材との間の接続と非接続とを切り替える切り替え部と、
前記第2の接続部材と電気的に接続され、前記筐体の内部から前記筐体の外部に延出するとともに、前記柱体の外部に設けられる柱体外導線が接続される延出部とを有する接地抵抗測定端子盤。
前記筐体の外部に延出する部分の前記延出部、及び前記延出部に接続される前記柱体外導線は、保護管の内部に収納される請求項1または請求項2に記載の接地抵抗測定端子盤。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る接地抵抗測定端子盤の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施形態に記載された方法、装置及び変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0016】
図1は、実施形態に係る接地抵抗測定端子盤を電柱に設置した場合の模式図である。
図1に示すように、電柱100等の柱体に変圧器、避雷器、高圧機器等の電気機器101が設置されている。また、電柱100の内部には、所定の高さに柱体内接続端子部102が埋め込まれており、また、電柱100の内部を通って、機器側導線104と接地側導線105とが配線されている。電気機器101と柱体内接続端子部102とが機器側導線104によって接続され、また、地中に埋め込まれた接地極109aと柱体内接続端子部102とが接地側導線105によって接続されている。本実施形態において、電柱100は中空状のコンクリート柱であるが、これに限定されるものではなく、形状や材料が異なる周知の電柱100であってもよい。
【0017】
接地抵抗測定端子盤1は、柱体内接続端子部102と重なる位置において、電柱100の外周に固定される。柱体内接続端子部102に接続された機器側導線104と接地側導線105とは、接地抵抗測定端子盤1によって接続と非接続とが切り替え可能となっている。通常の使用状態において、機器側導線104と接地側導線105とが接地抵抗測定端子盤1を介して接続状態となり、電気機器101は接地極109aに接続されて接地される。また、接地抵抗を測定する際には、機器側導線104と接地側導線105との接続が解除され、電気機器101側と接地極109a側とを分離してそれぞれ抵抗値の測定が可能である。
【0018】
経年劣化等により、電気機器101の接地抵抗が基準値を超える場合や、基準値を超えていない場合であっても接地抵抗を確実に小さくしたい場合には、電柱100の外部に柱体外導線106が追加される。柱体外導線106は、接地抵抗測定端子盤1に接続され、既設の接地極109b、109cに接続される。これにより、接地抵抗測定端子盤1に複数の接地極109a、109b、109cが並列に接続され、電気機器101の接地抵抗が低減される。
【0019】
次に、接地抵抗測定端子盤1について説明する。
図2は、本実施形態に係る接地抵抗測定端子盤の正面図である。
図3は、
図2のA−A線で切断して矢印方向から見たときの接地抵抗測定端子盤の断面図である。
【0020】
図2及び
図3に示すように、本実施形態の接地抵抗測定端子盤1は、柱体の外周に設置される筐体10と、筐体10を貫通して設けられる第1の接続部材21及び第2の接続部材22と、第1の接続部材21と第2の接続部材22との接続と非接続とを切り替える切り替え部24とを有する。また、接地抵抗測定端子盤1は、第2の接続部材22と電気的に接続されるとともに、筐体10の内部から筐体10の外部に延出する延出部17を有する。
【0021】
筐体10は、基板10aと、基板10aの外周に設けられ、電柱100(
図2、
図3には図示しない)に向かって延びる側板10bとを有する。
図2に示すように基板10aは、正面視で長円状である。なお、これに限定されず、基板10aは例えば正面視で矩形状や多角形状等であってもよい。側板10bは、基板10aと直交する方向に延びており、第1の接続部材21及び第2の接続部材22の周囲を囲んでいる。基板10aには蓋部11が設けられており、蓋部11は、基板10aから筐体10の外部に突出する部分の第1の接続部材21及び第2の接続部材22を覆って保護している。
【0022】
第1の接続部材21は、第1の頭部21aと、第1の頭部21aから延出する第1のシャフト部21cとを有するねじ部材である。また、第2の接続部材22は、第1の接続部材21と同様のねじ部材であり、第2の頭部22aと、第2の頭部22aから延出する第2のシャフト部22cとを有する。
【0023】
第1の頭部21aと第2の頭部22aは円盤状の平板であり、第1の頭部21aの表面から垂直に突出する板状の第1の突出部21bと、第2の頭部22aの表面から垂直に突出する板状の第2の突出部22bが設けられている。なお、第1の突出部21b及び第2の突出部22bを把持して、第1の接続部材21及び第2の接続部材22を回転させることによりねじ締めすることが可能である。第1のシャフト部21c及び第2のシャフト部22cには所定のピッチでネジ溝が設けられており、第1のシャフト部21c及び第2のシャフト部22cの先端は、先細形状のねじ先部21d、22dを有している。第1の頭部21a及び第2の頭部22aは基板10aの正面側(電柱100と反対側の面)に配置され、第1のシャフト部21c及び第2のシャフト部22cは、基板10aに設けられた貫通孔(図示しない)を通って筐体10を貫通する。また、
図3に示すように、ねじ先部21d、22dは、側板10bの端面10fよりも外側に突出する。なお、本実施形態において、ねじ先部21d、22dは先細形状であるが、これに限定されず、例えば先端が平坦な形状等、適宜変更することが可能である。
【0024】
筐体10の内部には、第1の接続部材21と重なる位置に第1のねじ受け部15が固定されており、第1のねじ受け部15は、第1のシャフト部21cの延出方向に貫通するねじ孔15aを有する。第1のシャフト部21cが第1のねじ受け部15にねじ締めされることにより、第1の接続部材21が筐体10に固定される。また、筐体10の内部には、第2の接続部材22と重なる位置に第2のねじ受け部16が固定されており、第2のねじ受け部16は、第2のシャフト部22cの延出方向に貫通するねじ孔16aを有する。第2のシャフト部22cが、第2のねじ受け部16とねじ締めされることにより、第2の接続部材22が筐体10に固定される。
【0025】
図3に示すように、第1の接続部材21と第2の接続部材22とは、間隔を設けて隣り合って配置され、第1のシャフト部21cと第2のシャフト部22cとは平行方向に延びている。筐体10は、筐体10の内部の空間を分割する仕切り板10cを有しており、第1の接続部材21と第2の接続部材22とは仕切り板10cを挟んで配置される。第1の接続部材21及び第2の接続部材22は、ステンレス鋼、銅(Cu)、金(Au)等の導電性を有する金属材料を含む。第1の接続部材21は、
図1に示す電柱100内部の柱体内接続端子部102において、機器側導線104と電気的に接続される部材であり、第2の接続部材22は、電柱100内部の柱体内接続端子部102において、接地側導線105と電気的に接続される部材である。なお、接地抵抗測定端子盤1と柱体内接続端子部102との接続構造の詳細については、後述する。
【0026】
図2及び
図3に示すように、第1の接続部材21と第2の接続部材22との接続と非接続とを切り替える切り替え部24が設けられている。切り替え部24は、導電性を有する金属材料が用いられた板状の部材である。切り替え部24は、基板10aと第1の頭部21aとの間から、基板10aと第2の頭部22aとの間に亘って延びている。第1の接続部材21及び第2の接続部材22をねじ締めすることにより、第1の頭部21aと切り替え部24とが接触するとともに、第2の頭部22aと切り替え部24とが接触する。これにより、切り替え部24を介して第1の接続部材21と第2の接続部材22とが電気的に接続される。
【0027】
図4は、第1の接続部材と第2の接続部材との接続を解除した場合の接地抵抗測定端子盤の正面図である。
図2及び
図4に示すように、切り替え部24は、正面視において、第1の接続部材21と重なる位置に切り欠き部24bが設けられており、第2の接続部材22と重なる位置に切り欠き部24aが設けられている。これにより、第1の接続部材21及び第2の接続部材22のねじ締めをわずかに緩めることで、切り替え部24が移動可能となる。例えば、
図4に示すように、切り替え部24を第2の接続部材22側にずらすことにより、切り替え部24が第1の接続部材21と離間し、第1の接続部材21と第2の接続部材22との電気的接続が非接続の状態となる。
【0028】
また、
図3に示すように、切り替え部24は、第2の接続部材22側の端部において、基板10aから離れる方向に湾曲するストッパー部24cが設けられている。切り替え部24を移動させたときに、ストッパー部24cが第2の頭部22aに接触することで、切り替え部24の移動が規制される。
【0029】
本実施形態の接地抵抗測定端子盤1は、
図3に示すように、筐体10の内部から側板10bを通って筐体10の外部に延出する延出部17を有する。延出部17は、第2のねじ受け部16の外周に接続され、第1のシャフト部21cと反対側に延びて、側板10bを通って筐体10の外部に延出する。延出部17は、第2のシャフト部22cの軸方向と平行な面を有する平板状の部材であり、導電性を有する金属材料が用いられた導体板である。延出部17は、第2のねじ受け部16を介して第2の接続部材22と電気的に接続される。
【0030】
本実施形態において、延出部17は、第2のねじ受け部16と一体に設けられている。若しくは、第2のねじ受け部16と別体で設けられていてもよい。延出部17が第2のねじ受け部16と別体で設けられる場合には、延出部17は第2のねじ受け部16の側面に溶接やねじ止め等の方法で接続される。また、筐体10の側板10bに、延出部17を挿通するための孔部10eが設けられている。孔部10eは、第2のねじ受け部16及び延出部17を筐体10内部に組み込むことが可能なように、延出部17の幅寸法(第2の接続部材22の延出方向と平行方向の寸法)よりも大きい寸法を有している。若しくは、側板10bの端面10fから連続するスリット状の切り欠きを設けることもできる。
【0031】
筐体10の外側に延出する部分の延出部17には、第3の接続部材33及び第4の接続部材34が設けられている。柱体外導線106が、第3の接続部材33と延出部17との間、及び第4の接続部材34と延出部17との間に挟み込まれて、延出部17に固定される。なお、柱体外導線106は、上述のように、電柱100(
図1参照)の外部に追加される接地用導線である。
【0032】
図5は、延出部と柱体外導線との接続構造を示す模式断面図である。
図5は、
図3のB−B線で切断して矢印方向から見たときの断面図であり、第4の接続部材34の断面構造を示している。
図5に示すように、第4の接続部材34は、頭部34aと、頭部34aから延出部17に向かって延出する第4のシャフト部34cとを有する。延出部17には、ねじ孔17aが設けられており、第4のシャフト部34cがねじ孔17aにねじ止めされることで第4の接続部材34が延出部17に固定される。頭部34aと延出部17の間には押圧板36が配置され、押圧板36と延出部17との間に柱体外導線106が挟まれる。第4の接続部材34をねじ締めすることにより、頭部34aが、ワッシャー39を介して押圧板36を延出部17側に押圧して、押圧板36と延出部17との間の柱体外導線106が押圧される。これにより、延出部17と柱体外導線106とが接続される。なお、
図5では、第4の接続部材34について示しているが、
図3に示す第3の接続部材33及び押圧板35についても同様の断面構造を有し、柱体外導線106は第3の接続部材33及び第4の接続部材34によって、2箇所で固定される。
【0033】
図6は、接地抵抗測定端子盤と柱体内接続端子部との接続構造を示す模式断面図である。
図6に示すように、電柱100には、柱体内接続端子部102が埋め込まれている。柱体内接続端子部102は、筐体110と、筐体110の内部に固定された柱体内機器側ねじ受け部115及び柱体内接地側ねじ受け部116とを有する。柱体内機器側ねじ受け部115及び柱体内接地側ねじ受け部116は、筐体110の内部において、電柱100の外周側に配置される。柱体内機器側ねじ受け部115は、第1のシャフト部21cを通すためのねじ孔を有しており、柱体内接地側ねじ受け部116は、第2のシャフト部22cを通すためのねじ孔を有している。
【0034】
筐体110の内部には、柱体内機器側ねじ受け部115に対向して配置された機器側接続端子117と、柱体内接地側ねじ受け部116に対向して配置された接地側接続端子118とが設けられる。上述のように、電柱100の内部には、電気機器101(
図1参照)と接続された機器側導線104と、接地極109a(
図1参照)と接続された接地側導線105とが配線されている。
図6に示すように、機器側導線104はねじ119によって機器側接続端子117に接続され、接地側導線105はねじ120によって接地側接続端子118に接続されている。
【0035】
柱体内接続端子部102の筐体110は、
図2に示す接地抵抗測定端子盤1の筐体10と、正面視で同様の外径形状を有しており(
図6では省略して示す)、接地抵抗測定端子盤1の筐体10は、柱体内接続端子部102の筐体110に重ねて配置される。
図6に示すように、第1の接続部材21をねじ締めすることにより、筐体10の外側に突出する部分の第1の接続部材21は、柱体内機器側ねじ受け部115に固定されるとともに、柱体内機器側ねじ受け部115を貫通して、ねじ先部21dが機器側接続端子117に当接する。同様に、第2の接続部材22をねじ締めすることにより、筐体10の外側に突出する部分の第2の接続部材22は、柱体内接地側ねじ受け部116に固定されるとともに、柱体内機器側ねじ受け部115を貫通して、ねじ先部22dが接地側接続端子118に当接する。これにより、第1の接続部材21と機器側導線104とが電気的に接続され、第2の接続部材22と接地側導線105とが電気的に接続される。
【0036】
そして、切り替え部24を介して第1の接続部材21と第2の接続部材22とが電気的に接続される。以上のように、電柱100内部に設けられた機器側導線104と接地側導線105とが、第1の接続部材21、切り替え部24、及び第2の接続部材22を介して接続される。したがって、接続状態において、電気機器101(
図1参照)は、電柱100内部の機器側導線104、電柱100の外部に設置された接地抵抗測定端子盤1、及び接地側導線105を介して、接地極109aに接続されて接地される。
【0037】
図6に示すように、本実施形態において、第1の接続部材21は、電柱100に向かって筐体10よりも外側に突出する部分の長さが、電柱100の外表面から機器側接続端子117までの長さよりも長い。また、第2の接続部材22は、電柱100に向かって筐体10よりも外側に突出する部分の長さが、電柱100の外表面から接地側接続端子118までの長さよりも長い。これにより、第1の接続部材21は、電柱100内部の柱体内機器側ねじ受け部115に固定されるとともに、確実に電柱100内部の機器側導線104に接続され、また、第2の接続部材22は、柱体内接地側ねじ受け部116に固定されるとともに、確実に電柱100内部の接地側導線105と接続される。ここで、電柱100に向かって筐体10よりも外側に突出する部分の第1の接続部材21及び第2の接続部材22の長さとは、
図3に示す、第1のシャフト部21c、第2のシャフト部22cの延出方向における、側板10bの端面10fからねじ先部21d、22dの先端までの距離である。
【0038】
なお、本実施形態において、第1の接続部材21が柱体内機器側ねじ受け部115に固定され、また、第2の接続部材22が柱体内接地側ねじ受け部116に固定されることにより、筐体10が電柱100の外周に固定される。このため、筐体10を固定するためのベルト等の部材や、ベルト等の部材を筐体10に固定するための固定構造が不要であり、接地抵抗測定端子盤1の構造が簡略化される。
【0039】
電気機器101の接地抵抗を測定する際には、
図4に示すように、第1の接続部材21及び第2の接続部材22のねじ締めをわずかに緩めて、切り替え部24をスライド移動させることにより、第1の接続部材21と第2の接続部材22との接続が解除される。これにより、機器側導線104と接地側導線105とが非接続の状態となり、電気機器101側と接地極109a側とを分離して接地抵抗が測定可能となる。
【0040】
以上のように、本実施形態の接地抵抗測定端子盤1は、筐体10を貫通する第1の接続部材21と第2の接続部材22とを有する。これにより、電柱100の内部において、筐体10の外部に延出する部分の第1の接続部材21と機器側導線104とが接続可能となり、筐体10の外部に延出する部分の第2の接続部材22と接地側導線105とが接続可能となる。そして、切り替え部24が、第1の接続部材21と第2の接続部材22との接続と非接続とを切り替えることにより、機器側導線104と接地側導線105との接続と非接続とが切り替えられる。したがって、機器側導線104と接地側導線105とを柱体内部に配置した状態で、接続と非接続とが切り替え可能である。これにより、機器側導線104と接地側導線105とを外部に引き出すことなく接地抵抗の測定が可能であり、機器側導線104及び接地側導線105の損傷が抑制される。
【0041】
接地抵抗の測定結果から、電気機器101の接地抵抗が、経年劣化等により基準値を超える場合や、接地抵抗を確実に小さくする場合には、電柱100の外部に柱体外導線106が追加される。
図6に示すように、柱体外導線106は、筐体10の外部に延出する部分の延出部17に接続される。延出部17は、第2のねじ受け部16を介して第2の接続部材22と電気的に接続されている。したがって、第2の接続部材22は、電柱100内部に設けられた接地側導線105を介して接地極109a(
図1参照)が接続されるとともに、電柱100の外部に設けられた柱体外導線106を介して接地極109b、109c(
図1参照)が接続される。
【0042】
本実施形態において、
図6に示すように、延出部17は、側板10bを通って筐体10の内部から筐体10の外部に延出する。このため、柱体外導線106と延出部17との接続を容易に行うことができる。また、延出部17は、電柱100の近傍において電柱100の長手方向に沿って延出するため、電柱100の外周に沿って設けられた柱体外導線106と延出部17との接続が容易である。
図6に示すように、柱体外導線106及び、筐体10の外側に延出する部分の延出部17は、樹脂製の保護管107の内部に収納される。これにより、筐体10の外部の延出部17及び柱体外導線106が外部の環境から保護される。
【0043】
接地抵抗測定端子盤1は電柱100の所定の高さに設けられており、接地抵抗測定端子盤1に柱体外導線106を接続することで電気機器101の接地抵抗が低減される。したがって、新たに追加する柱体外導線106を電気機器101に直接接続する高所作業を行う必要がなく、作業の安全性が確保され、かつ、作業時に要する時間、コストが低減される。また、延出部17は、電柱100の長手方向に延出しているため、作業者が電柱100の昇降等をする際の障害にならず、作業の安全性が確保される。
【0044】
図7は、本実施形態の接地抵抗測定端子盤を使用して柱体外導線を接続する方法及び接地抵抗を測定する方法を説明する回路構成図である。
図7上図に示すように、電気機器101には、電柱100(
図7には図示しない)の内部の機器側導線104と接地側導線105を介して接地極109aが接続される。機器側導線104と接地側導線105とは、接地抵抗測定端子盤1の第1の接続部材21、切り替え部24及び第2の接続部材22によって接続される。また、第2の接続部材22には、接地側導線105と並列に柱体外導線106が接続されている。第2の接続部材22と柱体外導線106とは延出部17、第3の接続部材33及び第4の接続部材34を介して接続される。これにより、電気機器101に、柱体外導線106を介して接地極109b、109cが接続され、電気機器101の接地抵抗値が確実に低減される。
【0045】
また、機器側と接地側とを分離して接地抵抗を測定する場合には、切り替え部24により、第1の接続部材21と第2の接続部材22との接続が解除される。
図7下図に示すように、機器側導線104と接地側導線105との間が非接続状態となり、また、機器側導線104と柱体外導線106との間が非接続状態となる。これにより、第1の接続部材21から電気機器101側の抵抗値と、第2の接続部材22から接地極109a、109b、109c側の接地抵抗値とを分離して測定することが可能となる。
【0046】
なお、
図7下図では、接地側導線105と柱体外導線106とが並列に接続された合成抵抗値が測定される。本実施形態において、延出部17は筐体10の外部に設けられるため、第3の接続部材33及び第4の接続部材34を緩めて、接地側導線105と柱体外導線106との間を非接続状態にすることができる。これにより、接地側導線105と柱体外導線106とを分離して抵抗値を測定することが容易である。
【0047】
本実施形態において、各構成要素は適宜変更することができる。例えば、第1の接続部材21及び第2の接続部材22は、ねじ部材に限定されず、筐体を貫通して電柱100の内部で導線と接続可能な導電体であってもよい。延出部17は平板状に限定されず、円柱や角柱等の棒状であってもよい。また、延出部17と柱体外導線106との接続構造は、
図5に示すものに限定されず、周知の接続構造を適用することが可能である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態の筐体10は、側板10bが基板10aから垂直に延びており、断面視で矩形状であるが、これに限定されない。
図8は、本実施形態の変形例を示す接地抵抗測定端子盤の断面図である。
図8に示すように、本変形例の接地抵抗測定端子盤2は、筐体10の側板10bが、基板10aの外周から電柱100(
図8には図示しない)に向かって湾曲している。側板10bが外側に凸となる曲面を有しており、基板10aと側板10bとが滑らかに接続されている。接地抵抗測定端子盤2を電柱100に取り付けた場合に、電柱100の外周面から突出する筐体10は曲面を有するため、筐体10が作業者の昇降や作業において障害となることが抑制される。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る接地抵抗測定端子盤1は、電柱(柱体)100に設置される電気機器101に接続され電柱(柱体)100の内部に配線される機器側導線104と、電気機器101を接地するための接地極109aに接続され電柱(柱体)100の内部に配線される接地側導線105との間の、接続と非接続とを切り替える接地抵抗測定端子盤1であって、電柱(柱体)100の外周に配置される筐体10と、筐体10に設けられ、電柱(柱体)100に向かって筐体10を貫通して、電柱(柱体)100の内部で機器側導線104と接続される第1の接続部材21と、筐体10に設けられ、電柱(柱体)100に向かって筐体10を貫通して、電柱(柱体)100の内部で接地側導線105と接続される第2の接続部材22と、第1の接続部材21と第2の接続部材22との間の接続と非接続とを切り替える切り替え部24と、第2の接続部材22と電気的に接続され、筐体10の内部から筐体10の外部に延出するとともに、電柱(柱体)100の外部に設けられる柱体外導線106が接続される延出部17とを有する。
【0050】
この構成によれば、筐体10を貫通する第1の接続部材21と第2の接続部材22とを有するため、電柱(柱体)100の内部において、第1の接続部材21と機器側導線104との接続が可能となり、また、第2の接続部材22と接地側導線105との接続が可能となる。そして、切り替え部24が、第1の接続部材21と第2の接続部材22との接続と非接続とを切り替えることにより、機器側導線104と接地側導線105との接続と非接続とが切り替えられる。したがって、電柱(柱体)100内部に配線された機器側導線104と接地側導線105とについて、接続と非接続とが切り替え可能である。また、筐体10の外部に延出する延出部17を有するため、延出部17と柱体外導線106とを容易に接続することが可能であり、柱体外導線106は、延出部17を介して第2の接続部材22に接続される。したがって、本実施形態の接地抵抗測定端子盤1によれば、電柱(柱体)100内部の機器側導線104と接地側導線105との、接続と非接続とを切り替え可能にするとともに、電柱(柱体)100外部の導線と容易に接続することが可能である。
【0051】
本実施形態に係る接地抵抗測定端子盤1において、筐体10は、電柱(柱体)100の外周面に対向するとともに第1の接続部材21及び第2の接続部材22が貫通する基板10aと、基板10aの外周に設けられた側板10bとを有し、延出部17は、筐体10内部から側板10bを通って筐体10の外部に延出する。これによれば、筐体10の外部に延出する部分の延出部17が、電柱(柱体)100の近傍に配置され、電柱(柱体)100の長手方向に沿って延出するため、電柱(柱体)100に沿って設けられる柱体外導線106と延出部17との接続が容易である。
【0052】
また、本実施形態において、筐体10の外部に延出する部分の延出部17、及び延出部17に接続される柱体外導線106は、保護管107の内部に収納される。この構成によれば、筐体10の外部の延出部17及び柱体外導線106が保護管107によって保護される。
【0053】
本実施形態において、第1の接続部材21は、第1の頭部21aと、第1の頭部21aから延出する第1のシャフト部21cとを有するねじ部材であり、第2の接続部材22は、第2の頭部22aと、第2の頭部22aから延出する第2のシャフト部22cとを有するねじ部材であり、第1のシャフト部21cは、電柱(柱体)100の内部に設けられた柱体内機器側ねじ受け部115に固定されるとともに機器側導線104に接続され、第2のシャフト部22cは、電柱(柱体)100の内部に設けられた柱体内接地側ねじ受け部116に固定されるとともに接地側導線105に接続される。この構成によれば、第1の接続部材21と機器側導線104とが確実に接続され、第2の接続部材22と接地側導線105とが確実に接続される。さらに、第1のシャフト部21cが柱体内接地側ねじ受け部116に固定され、第2のシャフト部22cが柱体内接地側ねじ受け部116に固定されることによって、筐体10が電柱(柱体)100に固定される。したがって、筐体10を固定するための固定ベルト等の部材が不要であり、筐体10を電柱(柱体)100に固定する固定構造が簡略化される。
【0054】
本実施形態に係る接地抵抗測定端子盤1、2において、第1の接続部材21は、電柱(柱体)100に向かって筐体10よりも外部に突出する部分の長さが、電柱(柱体)100の外表面から機器側導線104の端子までの長さよりも長く、第2の接続部材22は、電柱(柱体)100に向かって筐体10よりも外部に突出する部分の長さが、電柱(柱体)100の外表面から接地側導線105の端子までの長さよりも長い。この構成によれば、電柱(柱体)100内部に配線される機器側導線104と第1の接続部材21とが確実に接続され、かつ、電柱(柱体)100内部に配線される接地側導線105と第2の接続部材22とが確実に接続される。
【0055】
本実施形態に係る接地抵抗測定端子盤1、2において、側板10bは、基板10aの外周から電柱(柱体)100に向かって湾曲する。この構成によれば、筐体10を柱体に取り付けた場合に、電柱(柱体)100の外周面から突出する筐体10は曲面を有するため、作業者の昇降時や作業時に、筐体10が障害となることが抑制される。