(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベースブーム、当該ベースブーム内に挿入された中間ブーム及び当該中間ブーム内に挿入されたトップブームがテレスコピック構造を成し、互いに隣り合うブーム同士が全伸長状態又は全縮小状態のときに両者を連結するブーム固定部材が設けられており、内蔵された単一の伸縮シリンダが伸縮動作をする際に当該伸縮シリンダがシリンダ固定部材を介してトップブームから中間ブームに順に選択的に連結することによってトップブームから順に中間ブームが伸ばされる伸縮ブームに適用される伸縮ブームの伸縮装置であって、
上記ブーム固定部材及びシリンダ固定部材をそれぞれ駆動する第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータに所定圧力の作動油を供給するアキュムレータ及び当該アキュムレータに蓄圧するエアオーバーハイドロリックブースタ(AOH)を有し、上記伸縮シリンダの近傍に配置された油圧供給部と、
空気圧を供給する空圧供給部を有し、当該空気圧に基づいて上記油圧供給部に所定圧力の作動油を発生させる駆動源発生部とを備えている伸縮ブームの伸縮装置。
ベースブーム、当該ベースブーム内に挿入された中間ブーム及び当該中間ブーム内に挿入されたトップブームがテレスコピック構造を成し、互いに隣り合うブーム同士が全伸長状態又は全縮小状態のときに両者を連結するブーム固定部材が設けられており、内蔵された単一の伸縮シリンダが伸縮動作をする際に当該伸縮シリンダがシリンダ固定部材を介してトップブームから中間ブームに順に選択的に連結することによってトップブームから順に中間ブームが伸ばされる伸縮ブームに適用される伸縮ブームの伸縮装置であって、
上記ブーム固定部材及びシリンダ固定部材をそれぞれ駆動する第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータに所定圧力の作動油を供給するエアオーバーハイドロリックブースタ(AOH)及び当該AOHに圧縮空気を供給するエアタンクユニットを有し、上記伸縮シリンダの近傍に配置された油圧供給部と、
空気圧を供給する空圧供給部を有し、当該空気圧に基づいて上記エアタンクユニットに圧縮空気を充填する駆動源発生部とを備えている伸縮ブームの伸縮装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の伸縮装置では、上記アキュムレータはトップブームの内部に配置され、アキュムレータに蓄圧するための蓄圧装置は、上記シリンダチューブに取り付けられている。この蓄圧装置は、上記油圧シリンダが縮小動作をするときの縮側ポートの圧力を利用してアキュムレータに蓄圧するようになっており、コンパクトに設計され得る。
【0011】
しかしながら、作動中の油圧シリンダに発生する圧力を利用してアキュムレータを蓄圧する回路がシリンダチューブの周辺の限られた空間内に形成されているので、メンテナンスが容易ではない。しかも、回路が複雑になるので、製造コストが増大するし、故障時の復旧にも時間がかかるという問題がある。
【0012】
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、Bピン及びCピンの円滑な駆動を実現し得るコスト安価でメンテナンスが容易な伸縮ブームの伸縮装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 本発明に係る伸縮ブームの伸縮装置は、ベースブーム、当該ベースブーム内に挿入された中間ブーム及び当該中間ブーム内に挿入されたトップブームがテレスコピック構造を成し、互いに隣り合うブーム同士が全伸長状態又は全縮小状態のときに両者を連結するブーム固定部材が設けられており、内蔵された単一の伸縮シリンダが伸縮動作をする際に当該伸縮シリンダがシリンダ固定部材を介してトップブームから中間ブームに順に選択的に連結することによってトップブームから順に中間ブームが伸ばされる伸縮ブームに適用される。この伸縮ブームの伸縮装置は、上記ブーム固定部材及びシリンダ固定部材をそれぞれ駆動する第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータに所定圧力の作動油を供給するアキュムレータ及び当該アキュムレータに蓄圧するエアオーバーハイドロリックブースタ(AOH)を有し、上記伸縮シリンダの近傍に配置された油圧供給部を備える。また、この伸縮ブームの伸縮装置は、空気圧を供給する空圧供給部を有し、当該空気圧に基づいて上記油圧供給部に所定圧力の作動油を発生させる駆動源発生部を備えている。
【0014】
この構成によれば、伸縮ブームが伸長される際にブーム固定部材及びシリンダ固定部材がそれぞれ第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータにより駆動される。これら油圧アクチュエータはアキュムレータを駆動源とするので、油圧供給部の構造が簡単且つコンパクトになる。しかも、このアキュムレータは、空気圧に基づいて作動する駆動源発生部及びAOHにより蓄圧される。つまり、アキュムレータは、空圧機構及び油圧機構が複合的に機能して蓄圧される。したがって、従来のように伸縮シリンダの作動圧によりアキュムレータが蓄圧される構造に比べてきわめて簡単である。
【0015】
加えて、油圧供給部は、伸縮シリンダの近傍に配置されているため、当該油圧供給部の回路長はきわめて短くなり、作動油の粘性変化に伴う第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータの作動レスポンスの低下はきわめて小さくなる。また、駆動源発生部は、油圧供給部に空気圧を供給するので、仮に油圧供給部との距離が長い場合であっても、環境温度の変化にともなう空気の圧力損失は小さく、第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータの作動レスポンスに影響を与えない。したがって、駆動源発生部は、空気の圧力損失を考慮して大型化される必要はなく、軽量小型化が実現される。
【0016】
(2) 上記アキュムレータの内圧を検知する圧力センサと、当該圧力センサの出力信号に基づいて上記内圧が一定以下であれば上記駆動源発生部を稼働させて上記AOHを作動させる制御装置がさらに備えられているのが好ましい。
【0017】
この構成では、アキュムレータの圧力が一定以下になったときに直ちに自動的に蓄圧される。したがって、第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータは、所要時に必ず作動することができる。
【0018】
(3) 上記AOHは、エアピストン及びエアチューブを有するエアシリンダを備えており、上記エアピストンは、エアチューブに対していずれの方向にも付勢されることなくスライド自在な状態であるのが好ましい。
【0019】
AOHは、油圧回路としては閉じた回路を構成する。たとえば、環境温度が変化して上記回路内の作動油の圧力が上昇した場合、上記エアシリンダがフリーの状態であるから、このエアシリンダと対をなす油圧シリンダのピストンは容易に変位する。すなわち、上記エアシリンダがフリーの状態となることにより、上記油圧シリンダにリザーバータンクが設けられたと同様の機能が発揮される。したがって、AOHに別途リザーバータンクを設ける必要がなく、AOHの構造ひいては油圧供給部が小型軽量化される。
【0020】
(4) また、本発明に係る伸縮ブームの伸縮装置は、ベースブーム、当該ベースブーム内に挿入された中間ブーム及び当該中間ブーム内に挿入されたトップブームがテレスコピック構造を成し、互いに隣り合うブーム同士が全伸長状態又は全縮小状態のときに両者を連結するブーム固定部材が設けられており、内蔵された単一の伸縮シリンダが伸縮動作をする際に当該伸縮シリンダがシリンダ固定部材を介してトップブームから中間ブームに順に選択的に連結することによってトップブームから順に中間ブームが伸ばされる伸縮ブームに適用される。この伸縮ブームの伸縮装置は、上記ブーム固定部材及びシリンダ固定部材をそれぞれ駆動する第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータに所定圧力の作動油を供給するエアオーバーハイドロリックブースタ(AOH)及び当該AOHに圧縮空気を供給するエアタンクユニットを有し、上記伸縮シリンダの近傍に配置された油圧供給部を備える。さらに、この伸縮ブームの伸縮装置は、空気圧を供給する空圧供給部を有し、当該空気圧に基づいて上記エアタンクユニットに圧縮空気を充填する駆動源発生部とを備えている。
【0021】
この構成によれば、伸縮ブームが伸長される際にブーム固定部材及びシリンダ固定部材がそれぞれ第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータにより駆動される。これら油圧アクチュエータは、AOH及びエアタンクユニットを駆動源とするので、油圧供給部の構造が簡単且つコンパクトになる。しかも、エアタンクユニットは、空気圧に基づいて作動する駆動源発生部により圧縮空気が充填される。つまり、従来のように伸縮シリンダの作動圧によりアキュムレータが蓄圧される構造に比べてきわめて簡単である。
【0022】
加えて、油圧供給部は、伸縮シリンダの近傍に配置されているため、当該油圧供給部の回路長はきわめて短くなり、作動油の粘性変化に伴う第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータの作動レスポンスの低下はきわめて小さくなる。また、駆動源発生部は、エアタンクユニットに圧縮空気を供給するので、仮にエアタンクユニットとの距離が長い場合であっても、環境温度の変化にともなう空気の圧力損失は小さく、第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータの作動レスポンスに影響を与えない。したがって、駆動源発生部は、空気の圧力損失を考慮して大型化される必要はなく、軽量小型化が実現される。
【0023】
(5) 上記エアタンクユニットの充填圧を検知する圧力センサと、当該圧力センサの出力信号に基づいて上記充填圧が一定以下であれば上記駆動源発生部を稼働させて上記エアタンクユニットに圧縮空気を充填する制御装置をさらに備えているのが好ましい。
【0024】
この構成では、エアタンクユニットの充填圧が一定以下になったときに直ちに自動的に圧縮空気が充填される。したがって、第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータは、所要時に必ず作動することができる。
【0025】
(6) 上記AOHは、エアピストン及びエアチューブを有するエアシリンダを備えており、上記エアピストンは、エアチューブに対していずれの方向にも付勢されることなくスライド自在な状態であるのが好ましい。
【0026】
AOHは、油圧回路としては閉じた回路を構成する。たとえば、環境温度が変化して上記回路内の作動油の圧力が上昇した場合、上記エアシリンダがフリーの状態であるから、このエアシリンダと対をなす油圧シリンダのピストンは容易に変位する。すなわち、上記エアシリンダがフリーの状態となることにより、上記油圧シリンダにリザーバータンクが設けられたと同様の機能が発揮される。したがって、AOHに別途リザーバータンクを設ける必要がなく、AOHの構造ひいては油圧供給部が小型軽量化される。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、ブーム固定部材及びシリンダ固定部材の円滑な駆動を実現し得るコスト安価でメンテナンスが容易な伸縮ブームの伸縮装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施の形態は、本発明に係る伸縮ブームの伸縮装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る伸縮ブームの伸縮装置10が採用された移動式クレーン(典型的にはラフテレーンクレーン)の要部拡大図である。
【0032】
同図が示すように、この移動式クレーンでは、旋回台11が設けられており、この旋回台11に起伏中心軸12を介して伸縮ブーム13が支持されている。後に詳述されるように、伸縮ブーム13は複数の筒状のブームを備えており、これらはテレスコピック構造を構成している。伸縮ブーム13は、起伏中心軸12を中心にして回動可能となっており、図示されていない起伏シリンダが伸縮することによって起伏動作をする。また、単一の伸縮シリンダ14が伸縮ブーム13に搭載されており、伸縮シリンダ14が伸縮することによって、伸縮ブーム13は、後述される要領で長手方向に伸縮するようになっている。
【0033】
図2は、伸縮ブーム13の構造を示す模式図である。
【0034】
図1及び
図2が示すように、伸縮ブームの伸縮装置(以下、単に「伸縮装置」と称される。)10は、上記伸縮ブーム13及びこれを伸縮させる伸縮シリンダ14と、この伸縮シリンダ14を伸縮ブーム13の所定部に連結させるシリンダ・ブーム連結機構15と、伸縮ブーム13を構成する複数のブームのうち隣り合うブーム同士を連結させるブーム間固定機構16と、シリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16を駆動する駆動機構17(
図1参照)と、当該駆動機構17の動作を制御するコントローラ72(
図6参照:特許請求の範囲に記載された「制御装置」に相当)を備えている。
【0035】
図3は、駆動機構17の構造を示す模式図である。
【0036】
本実施形態に係る伸縮装置10の特徴とするところは、駆動機構17の構造である。
図1及び
図3が示すように、駆動機構17は、後に詳述される油圧供給部18及び駆動源発生部19を備えており、駆動源発生部19は、空気圧に基づいて油圧供給部18に所定の油圧を発生させるようになっている。油圧供給部18は、アキュムレータ75(
図6参照)及びエアオーバーハイドロリックブースタ(AOH)51(
図6参照)を有し、後述の要領にてブーム連結機構15及びブーム間固定機構16(
図2参照)に油圧を供給し、これらを作動させる。また、上記駆動源発生部19は、後述の空圧供給部41を採用しており、圧縮空気を油圧供給部18に送給するようになっている。
【0037】
つまり、駆動機構17は、空気圧を油圧に変換してアキュムレータ75に蓄圧し、アキュムレータ75を油圧源としてブーム連結機構15及びブーム間固定機構16を駆動するようになっている。これにより、駆動機構17のメンテナンス性が向上すると共に軽量・小型化且つ低廉化が実現される。
【0039】
図2が示すように、伸縮ブーム13は、ベースブーム20及びトップブーム21を備え、両者の間に4本の中間ブーム22〜25が配置されている。これら中間ブーム22〜25は、トップブーム21に隣り合うものから順に第1中間ブーム22、第2中間ブーム23、第3中間ブーム24及び第4中間ブーム25と称される。つまり、本実施形態では、伸縮ブーム13は6段編成である。ベースブーム20に対してその余の各ブーム21〜25が長手方向38にスライドするように組み立てられており、前述のように、伸縮ブーム13は、テレスコピック構造を構成している。もっとも、伸縮ブーム13が6段編成である必要はなく、中間ブームの数は特に限定されない。
【0040】
本実施形態では、単一の伸縮シリンダ14が伸縮ブーム13に内蔵されている。伸縮シリンダ14は、油圧式複動シリンダであり、シリンダロッド39の先端部がベースブーム20の基端に連結されている。伸縮シリンダ14は、伸縮ブーム13の長手方向38に沿って配置されており、シリンダチューブ36は、
図2の状態ではトップブーム21の内側に配置されている。伸縮シリンダ14が伸縮動作をすることにより、後述のように伸縮シリンダ14が伸縮する。
【0041】
図2は、伸縮ブーム13が全縮小状態であることを示している。この状態では、互いに隣り合うブーム同士は、ブーム間固定機構16により常時連結されている。
【0042】
図4及び
図5は、それぞれ伸縮ブーム13の縦断面図及び横断面図であり、
図5は、
図4においてV−V面における断面図である。これらの図は、シリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16の構造を模式的に示している。
【0043】
図2、
図4及び
図5が示すように、ブーム間固定機構16は、5本のブーム固定ピン(特許請求の範囲に記載された「ブーム固定部材」に相当:以下、「Bピン」と称される。)26〜30並びにこれを駆動する油圧シリンダ31(特許請求の範囲に記載された「第1油圧アクチュエータ」に相当)とを備えている。ブーム間固定機構16の構造は既知である。Bピン26は、隣り合うトップブーム21及び第1中間ブーム22に貫通することにより、両者の相対的スライドを規制する。
図2及び
図5が示すように、Bピン26は、トップブーム21側に設けられており、第1中間ブーム22に対して進退することにより第1中間ブーム22を貫通し、あるいは第1中間ブーム22から離反する。常時において、Bピン26は図示されていないバネにより第1中間ブーム22側へ付勢されている。第1中間ブーム22においてBピン26が貫通する部位は、基端部及び先端部であり、当該部位にBピン26が挿通されるボス32、33が設けられている(
図2参照)。このボス32、33が設けられた部位は、第1中間ブーム22に対してトップブーム21がそれぞれ全縮小状態及び全伸長状態となったときに、Bピン26が対向する位置である。すなわち、トップブーム21は、第1中間ブーム22に対して全縮小あるいは全伸長した状態で、Bピン26によって両者が連結固定される。
図5が示すように、油圧シリンダ31が作動することにより、Bピン26が第1中間ブーム22から引き抜かれる。これにより、第1中間ブーム22に対してトップブーム21が相対的にスライド可能となる。なお、Bピン27〜30の挙動についてもBピン26と同様である。
【0044】
図2、
図4及び
図5が示すように、シリンダ・ブーム連結機構15は、シリンダ連結ピン(特許請求の範囲に記載された「シリンダ固定部材」に相当:以下、「Cピン」と称される。)34並びにこれを駆動する油圧シリンダ35(特許請求の範囲に記載された「第2油圧アクチュエータ」に相当)を備えている。シリンダ・ブーム連結機構15の構造は既知である。Cピン34は、伸縮シリンダ14のシリンダチューブ36側に設けられており、
図2が示す状態では、常にトップブーム21と嵌合している。
図5が示すように、油圧シリンダ35は、リンク機構40を備えている。このリンク機構40は、油圧シリンダ35が作動することによってCピン34を同図において左右方向にスライドさせる。常時において、Cピン34は、図示されていないバネによりトップブーム21側へ付勢されている。トップブーム21の基端部にはボス37が設けられており、Cピン34は、このボス37と嵌合する。油圧シリンダ35が作動することにより、上記リンク機構40を介してCピン34が伸縮シリンダ14側へ引っ張られる。Cピン34がボス37から引き抜かれると、伸縮シリンダ14は、トップブーム21から力学的に分離される。つまり、常時において伸縮シリンダ14は、トップブーム21と連結するように構成されており、油圧シリンダ35が作動したときは、伸縮シリンダ14が伸縮ブーム13に対してスライドすることができる。各中間ブーム22〜25の基端部にもボス37が設けられており、Cピン34は、後述の要領にて各中間ブーム22〜25と選択的に連結することができる。
【0045】
図5(a)は、Bピン26が第1中間ブーム22から引き抜かれ且つCピン34がトップブーム21に連結された状態を示しており、同図(b)は、Bピン26が第1中間ブーム22に連結され且つCピン34がトップブーム21から引き抜かれた状態を示している。
【0046】
図5(a)の状態から伸縮シリンダ14が伸長すると、
図2が示すように、伸縮シリンダ14のシリンダチューブ36と共にトップブーム21が第1中間ブーム22に対して矢印38の方向左向きにスライドする。Bピン26がボス33と対向する位置まで伸縮シリンダ14が伸びると、油圧シリンダ31の作動が停止され、上記バネによってBピン26が第1中間ブーム22側に復帰し、ボス33と嵌合する。これにより、第1中間ブーム22に対してトップブーム21が全伸長した状態で両者が固定される。次に、
図5(b)が示すように、油圧シリンダ35が作動し、リンク機構40を介してCピン34とトップブーム21との連結が解除される。すなわち、Cピン34がトップブーム21のボス37から引き抜かれる。この状態で伸縮シリンダ14が縮小すると、シリンダチューブ36のみがベースブーム20の基端側(
図2において右側)に移動する。
【0047】
この間、油圧シリンダ35は作動したままであり、Cピン34は、
図5(b)の状態が保たれる。伸縮シリンダ14が縮小してCピン34が第1中間ブーム22に設けられたボス37の位置まで移動すると、伸縮シリンダ14の縮小動作が停止されると共に油圧シリンダ35の作動が停止され、
図5(a)が示すようにCピン34が第1中間ブーム22のボス37と連結される。続いて第2中間ブーム22が伸長される場合は、トップブーム21が伸長される場合と同様の動作がなされ、順次第2中間ブーム23、第3中間ブーム24、第4中間ブーム25が伸長される。なお、伸縮ブーム13が縮小される場合は、前述と逆の動作がなされる。
【0048】
<伸縮装置の駆動回路・コントローラ>
【0049】
図6は、駆動機構17の回路系統図である。
【0050】
駆動機構17は、前述のようにシリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16を駆動する。同図が示すように、本実施形態に係る駆動機構17は、油圧供給部18及び駆動源発生部19とを備えており、駆動源発生部19は、圧縮空気を作動流体として作動する。つまり、駆動機構17は、油圧・空圧複合形式である。
【0051】
油圧供給部18は、電磁切換弁47、48及びチェック弁49、50と、電磁切換弁76、77、チェック弁78及びアキュムレータ75と、一対のエアーオーバーハイドロリックブースタ(AOH)51とを備えている。これらは、油圧シリンダ31及び油圧シリンダ35と接続されている。ブーム固定ピン26〜30及びシリンダ連結ピン35は、油圧シリンダ31及び油圧シリンダ35によって前述のように駆動される。油圧供給部18は、油圧シリンダ31及び油圧シリンダ35と共にいわゆる閉じた回路を構成し、伸縮シリンダ14のシリンダチューブ36に設けられている。AOH51は、空圧入力ポート52及び油圧出力ポート53を有し、空圧入力ポート52に入力された空気圧に対応する所定圧力の油圧を油圧出力ポート53から出力する。この油圧出力ポート53にアキュムレータ75がチェック弁78を介して接続されている。アキュムレータ75の使用圧力は種々設定され得るが、本実施形態では10MPaに設定されている。
【0052】
本実施形態では、AOH51は、入力シリンダ66(特許請求の範囲に記載された「エアチューブ」に相当)及びエアピストン67と、出力シリンダ68及び油圧ピストン69とを備えている。入力シリンダ66に上記空圧入力ポート52が設けられ、出力シリンダ68に上記油圧出力ポート53が設けられている。エアピストン67と油圧ピストン69は、主軸70によって連結されており、両者は、一体となってスライドする。本実施形態では、エアピストン67は、入力シリンダ66内でフリーの状態で保持されている。つまり、エアピストン67は、入力シリンダ66内で両者間に発生する摩擦力のみで保持されている。すなわち、エアピストン67は、入力シリンダ66内でフリーであり、入力シリンダ66内でいずれの方向にも付勢されていない。エアピストン67がフリーであることによる作用効果については後述される。
【0053】
駆動源発生部19は、空圧供給ユニット54を含む空圧供給部41と、制御バルブユニット55とを備えている。
【0054】
空圧供給ユニット54は、クイックリリース弁56と、エアホース57及びホースリール58とを備えている。クイックリリース弁56は、入力ポート59及び出力ポート60を有し、出力ポート60がAOH51の空圧入力ポート52と接続されている。エアホース57は、所定の長さに裁断されており、ホースリール58に引き出し自在に巻き取られている。本実施形態では、ホースリール58は、
図1及び
図3が示すように旋回台11の後方に取り付けられている。エアホース57の長さは適宜設定されるが、本実施形態では、伸縮シリンダ14のストロークに対応している。空圧供給部41は、図示されていない空圧源を備えている。この空圧源としては、たとえば移動式クレーンに備えられたブレーキ用エアタンクが採用され得る。空圧源の圧力は、たとえば1MPaである。本実施形態では、空圧供給ユニット54に供給される圧縮空気の圧力は1MPaに設定されるが、これに限定されるものではなく、AOH51の出力として10MPaが実現されるのであれば、空圧源の圧力は適宜設定され得る。
【0055】
制御バルブユニット55は、圧力制御弁(減圧弁61及びリリーフ弁62)と、電磁切換弁63とを備えている。上記空圧源が減圧弁61の入力ポート64に接続されており、出力ポート65に電磁切換弁63が接続されている。減圧弁61と電磁切換弁63との間にリリーフ弁62が設けられている。
【0056】
コントローラ72は、駆動源発生部10及び油圧供給部18の動作、具体的には、制御バルブユニット55及び油圧供給部18に配置されている各電磁切換弁の操作を制御する。
【0057】
図7は、コントローラ72の構成を示すブロック図である。
【0058】
コントローラ72は、同図が示すように、CPU(Central Processing Unit)85、ROM(Read Only Memory)86、RAM(Random Access Memory)87、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)88を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。コントローラ72は、バス89を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)90に接続されている。
【0059】
駆動源発生部19及び油圧供給部18の各種動作を制御するためのプログラム等がROM86に格納されている。RAM87は、CPU85が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。また、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等がEEPROM88に格納される。
【0060】
ASIC90は、CPU85からの指令に従い、電磁切換弁47、48、76、77、63のそれぞれのソレノイドに通電する励磁信号を生成する。この信号は、各電磁切換弁47等に対応する駆動回路91〜95に付与される。駆動回路91〜95は、ASIC90からの出力信号を受けて、ソレノイドに通電するための電気信号を形成する。この電気信号に基づいてソレノイドが励磁され、各電磁切換弁47等の駆動制御が行われる。
【0061】
アキュムレータ75に圧力センサ96が設けられている。この圧力センサ96は、アキュムレータ75の蓄圧を検知し、これに対応する圧力信号を出力する。この圧力信号は、ASIC90を介してCPU85に送信される。コントローラ72は、この圧力信号によって、アキュムレータ75が使用可能かどうか(十分に蓄圧されているかどうか)を判断する。本実施形態では、蓄圧が10MPa以上であれば、アキュムレータ75が使用可能である。もっとも、アキュムレータ75が使用可能かどうかを判断する基準圧力は、適宜設定され得る。
【0062】
<アキュムレータの蓄圧と伸縮ブームの動作>
【0063】
本実施形態では、アキュムレータ75への蓄圧は、伸縮ブーム13の動作とは別個独立して行われる。
【0064】
伸縮ブーム13の伸縮動作の有無に拘わらず、圧力センサ96によって検出された蓄圧(アキュムレータ75の内圧)が一定圧力(たとえば10MPa)に満たない場合は、アキュムレータ75の蓄圧動作が開始され、また、アキュムレータ75の内圧が一定圧力(たとえば12MPa)に到達すれば、アキュムレータ75の蓄圧動作は停止される。具体的には、
図7が示すように、CPU85は、圧力センサ96の出力信号に基づいてアキュムレータ75の内圧が一定圧力に満たないことを検知すると、バス89、ASIC90、駆動回路95を経て電磁切換弁63を切り替える(
図6においてシンボルが入れ替わる。)これにより、圧縮空気がエアホース57に送られる。
図6が示すように、エアホース57はホースリール58に巻回されている。圧縮空気は、エアホース57によってクイックリリース弁56に送られ、クイックリリース弁56を作動させる。クイックリリース弁56を通過した圧縮空気は、AOH51に到達する。
【0065】
AOH51は、圧縮空気の供給を受けて所定圧力(たとえば、10MPa)の油圧を発生する。つまり、油圧出力ポート53から高圧の作動油を送り出す。作動油は、チェック弁78を経て、アキュムレータ75に送られる。これにより、アキュムレータ75は蓄圧される。前述のように、アキュムレータ75の内圧が一定圧力に到達すると、圧力センサ96から出力される信号がCPU85に送られ、CPU85は、バス89、ASIC90、駆動回路95を経て電磁切換弁63を切り替える(
図6に記載されたシンボルが復帰する。)なお、本実施形態では、制御バルブユニット55が圧力制御弁(減圧弁61及びリリーフ弁62)を備えているから、負荷に応じて適切な圧力の圧縮空気が空圧源から駆動源発生部19に送給される。
【0066】
アキュムレータ75の内圧が一定以上である場合に、伸縮ブーム13が伸長されるときは、Bピン26〜30及びCピン34が操作される。この操作は、次の要領で行われる(
図6及び
図7参照)。
【0067】
図2が示す状態からトップブーム21が伸長するときは、アキュムレータ75から高圧の作動油が油圧シリンダ31又は油圧シリンダ35に送られる。具体的には、電磁切換弁77が切り替わると共に(
図6においてシンボルが入れ替わる。)、電磁切換弁47、48も切り替わる(
図6においてシンボルが入れ替わる。)。アキュムレータ75から放出された作動油は、チェック弁49及び電磁切換弁48を経て、油圧シリンダ31に供給される。油圧シリンダ31が作動してBピン26がトップブーム21から離脱する。この時点で、電磁切換弁77の励磁が解除されて(シンボルが
図6に示された状態に復帰する。)、作動油の供給が遮断される。作動油の供給が遮断されても、油圧シリンダ31の圧力は維持される。この状態で伸縮シリンダ14が伸長することにより、トップブーム21は伸長する。
【0068】
トップブーム21が全伸長状態となれば伸縮シリンダ14が停止する。トップブーム21が全伸長状態であるかどうかは、図示されていない位置センサにより検出され得る。これに伴って電磁切換弁76が切り替わる(
図6においてシンボルが入れ替わる。)。また、電磁切換弁47の励磁が解除される。これにより、油圧シリンダ31へ供給された作動油は、チェック弁50及び電磁切換弁48、47、76を経てAOH51の出力シリンダ68に戻る。Bピン26はボス33と嵌合し、再びトップブーム21と第1中間ブーム22とが連結される。その後、電磁切換弁48、76の励磁が解除される(シンボルが
図6に示された状態に復帰する。)。
【0069】
前述のように、AOH51のエアピストン67は、入力シリンダ66内でフリーの状態で保持されているから、出力シリンダ68に作動油が戻されると、油圧ピストン69と共にエアピストン67がスライドする。エアピストン67内の空気は、クイックリリース弁56側に送られるが、この空気は、そのままクイックリリース弁56から排気(大気開放)される。
【0070】
続いて、アキュムレータ75の内圧が一定以上であるならば、電磁切換弁77が切り替わると共に(
図6においてシンボルが入れ替わる。)、電磁切換弁47も切り替わる(
図6においてシンボルが入れ替わる。)。作動油は、チェック弁49及び電磁切換弁48を経て、油圧シリンダ35に供給される。油圧シリンダ35が作動してCピン34がトップブーム21から離脱する。この時点で、電磁切換弁77の励磁が解除される(シンボルが
図6に示された状態に復帰する。)が、電磁切換弁47及びチェック弁49により、油圧シリンダ35の圧力は維持される。この状態で伸縮シリンダ14が縮小することにより(
図2参照)、トップブーム21が第1中間ブーム22に全伸長状態で保持されたまま、シリンダチューブ36のみが第1中間ブーム22の基端部側へスライドする。
【0071】
伸縮シリンダ14が縮小し、Cピン34が第1中間ブーム22のボス37の位置まで移動すれば伸縮シリンダ14が停止する。Cピン34が第1中間ブーム22のボス37の位置まで移動したかどうかは、図示されていない位置センサにより検出され得る。これに伴って電磁切換弁76が切り替わる(
図6においてシンボルが入れ替わる。)。また、電磁切換弁47の励磁が解除される。これにより、油圧シリンダ35へ供給された作動油は、電磁切換弁76、48、47を経てAOH51の出力シリンダ68に戻る。その結果、Cピン34は上記ボス37と嵌合し、伸縮シリンダ14は第1中間ブーム22と連結される。その後、電磁切換弁76の励磁が解除される(シンボルが
図6に示された状態に復帰する。)。出力シリンダ68に作動油が戻されると、AOH51のエアピストン67が入力シリンダ66内でフリーの状態で保持されているから、油圧ピストン69と共にエアピストン67がスライドする。エアピストン67内の空気は、クイックリリース弁56側に送られるが、この空気は、そのままクイックリリース弁56から排気(大気開放)される。
【0072】
同様にして第2〜第4中間ブーム23〜25が伸長される。また、伸縮ブーム13が縮小されるときも上記油圧供給部18及び駆動源発生部19は、同様に作動する。
【0073】
図8は、トップブーム21の断面図である。
【0074】
本実施形態では油圧供給部18は、2つのAOH51を備えている。これらAOH51は、
図8が示すように、伸縮シリンダ14のシリンダチューブ36の近傍に配置されている。これらは、伸縮シリンダ14の中心を含む仮想面71を基準に径方向に対称(同図では、左右対称)に配置されている。このように一対のAOH51が設けられているから、必要な油圧を発生させるために単一のAOH51が負担する割合が小さくなり、各AOH51がコンパクト化され、本実施形態のようにシリンダチューブ36とトップブーム21の内壁との間にレイアウトされ得る。しかも、各AOH51がシリンダチューブ36を基準として対称に配置されることにより、伸縮ブーム13内の重量配分が均一になるという利点もある。
【0075】
<本実施形態に係る伸縮装置の作用効果>
【0076】
本実施形態に係る伸縮装置10によれば、アキュムレータ75を駆動源としてBピン26〜30及びCピン34が駆動されるので、油圧供給部18の構造が簡単且つコンパクトになる。しかも、このアキュムレータ75は、駆動源発生部19及びAOH51によって空圧機構及び油圧機構が複合的に機能して蓄圧される。したがって、従来のように伸縮シリンダ14の作動圧によりアキュムレータ75が蓄圧される構造に比べてきわめて簡単である。
【0077】
加えて、油圧供給部18が伸縮シリンダ14の近傍に設けられているため、油圧供給部18の回路長はきわめて短くなり、作動油の粘性変化に伴う油圧シリンダ31、35の作動レスポンスの低下はきわめて小さくなる。つまり、駆動機構17の油圧系統において回路長がきわめて短いので、作動油の粘性変化に伴うシリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16の作動レスポンスが大きく低下することはない。また、駆動源発生部19は、油圧供給部18に圧縮空気を供給するので、仮に油圧供給部18との距離が長い場合であっても、環境温度の変化にともなう空気の圧力損失は小さく、油圧シリンダ31、35の作動レスポンスに影響を与えない。
【0078】
したがって、本実施形態において空圧供給部41は、空気の圧力損失を考慮して大型化される必要はなく、軽量且つ小型にデザインされ得る。すなわち、エアホース57が細径化されると共にホースリール58がコンパクトに設計され、従来に比べてこれらが大幅に軽量化され得る。その結果、旋回台11の周辺における補機類の配置スペースが広くなり、ホースリール58のレイアウトの自由度が向上する。特に、
図1が示すようにホースリール58が旋回台11の上方、たとえば伸縮ブーム13に含まれる起伏中心軸12の近傍に配置され得る。
【0079】
また、本実施形態では、アキュムレータ75への蓄圧動作は、伸縮ブーム13の動作と別個独立して行われる。すなわち、アキュムレータ75の内圧が一定以下になったときには、直ちに自動的に蓄圧される。したがって、油圧シリンダ31、35は、所要時に必ず作動することができる。
【0080】
特に本実施形態では、AOH51は、油圧回路として閉じた回路を構成しつつ、AOH51のエアピストン67がフリーの状態で入力シリンダ66内に配置されている。たとえば、環境温度が変化して油圧供給部18内の作動油の圧力が上昇した場合、エアピストン67がフリーの状態であるから、このエアピストン67と対をなす油圧ピストンは容易に変位する。すなわち、エアピストン67がフリーの状態となることにより、出力シリンダ68にリザーバータンクが設けられたと同様の機能が発揮される。したがって、AOH51に別途リザーバータンクを設ける必要がない。その結果、AOH51の構造の簡素化、油圧供給部18の小型軽量化が実現される。
【0081】
本実施形態では、AOH51が設けられることにより、空圧源の圧力が小さく抑えられる一方で、アキュムレータ75の蓄圧は大きくなる。つまり、油圧シリンダ31、35が作動するために必要な油圧が簡単に得られる。さらに、本実施形態では、一対のAOH51が設けられている。これにより、必要な油圧を発生させるために単一のAOH51が負担する割合が小さくなり、各AOH51がコンパクト化され、本実施形態のようにシリンダチューブ36とトップブーム21の内壁との間にレイアウトされ得る。しかも、各AOH51がシリンダチューブ36を基準として対称に配置されることにより、伸縮ブーム13内の重量配分が均一になるという利点もある。もっとも、単一のAOHが採用されてもよい。
【0083】
図9は、本実施形態の変形例に係る駆動機構77の回路系統図である。
【0084】
この駆動機構77は、上記駆動機構17と同様にシリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16を駆動する。同図が示すように、本変形例に係る駆動機構77が上記実施形態に係る駆動機構17と異なるところは、アキュムレータ75によるシリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16の駆動に代えて(
図6参照)、
図9が示すように、シリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16は、AOH51が出力する油圧により駆動される点、並びにAOH51に空気圧を供給するためにエアタンクユニット78が設けられている点である。
【0085】
すなわち、上記実施形態では、AOH51によって蓄圧されたアキュムレータ75がシリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16の駆動源となっていたのに対し、本変形例では、AOH51がシリンダ・ブーム連結機構15及びブーム間固定機構16の駆動源となり、このAOH51に所定圧力の圧油を吐出させるために、エアタンクユニット78が油圧供給部18に設けられている。エアタンクユニット78は、圧縮空気を蓄えるエアタンク79と、チェック弁80と、電磁切換弁81と、圧力センサ82とを備えている。なお、その他の構成については、上記実施形態に係る駆動機構17と同様である。
【0086】
この変形例によれば、エアタンク79への圧縮空気の充填は、伸縮ブーム13の動作とは別個独立して行われる。なお、
図10は、本変形例に係るコントローラ83(特許請求の範囲に記載された「制御装置」に相当)の構成を示すブロック図である。
【0087】
伸縮ブーム13の伸縮動作の有無に拘わらず、圧力センサ82によって検出されたエアタンク79の内圧が一定圧力(たとえば1MPa)に満たない場合は、エアタンク79への充填作業が開始され、また、エアタンク79の内圧が一定圧力(たとえば1.2MPa)に到達すれば、エアタンク79への充填動作は停止される。具体的には、
図10が示すように、CPU85は、圧力センサ82の出力信号に基づいてエアタンク79の内圧が一定圧力に満たないことを検知すると、バス89、ASIC90、駆動回路95を経て電磁切換弁63を切り替える(
図9においてシンボルが入れ替わる。)これにより、圧縮空気がエアホース57に送られる。
図9が示すように、エアホース57はホースリール58に巻回されている。圧縮空気は、エアホース57、チェック弁80を経てエアタンク79に充填される。この圧縮空気の供給源は、上記実施形態と同様にたとえばブレーキ用エアタンクが採用され得る。前述のように、エアタンク79の内圧が一定圧力に到達すると、圧力センサ82から出力される信号がCPU85に送られ、CPU85は、バス89、ASIC90、駆動回路95を経て電磁切換弁63を切り替える(
図9に記載されたシンボルが復帰する。)
【0088】
エアタンク79の内圧が一定以上である場合に、伸縮ブーム13が伸長されるときは、Bピン26〜30及びCピン34が操作される。この操作は、次の要領で行われる(
図9及び
図10参照)。
【0089】
図2が示す状態からトップブーム21が伸長するときは、エアタンク79から圧縮空気がAOH51に送られる。具体的には、電磁切換弁81が切り替わり(
図9においてシンボルが入れ替わる。)圧縮空気がクイックリリース弁56に送られる。この圧縮空気はクイックリリース弁56を作動させてAOH51に到達する。
【0090】
電磁切換弁81と共に電磁切換弁47、48も切り替わる(
図9においてシンボルが入れ替わる。)。AOH51は、圧縮空気の供給を受けて所定圧力(たとえば、10MPa)の油圧を発生する。つまり、油圧出力ポート53から高圧の作動油を送り出す。作動油は、チェック弁49及び電磁切換弁48を経て、油圧シリンダ31に供給される。油圧シリンダ31が作動してBピン26がトップブーム21から離脱する。この時点で、電磁切換弁81の励磁が解除されて(シンボルが
図9に示された状態に復帰する。)、圧縮空気の供給が遮断される。このように圧縮空気の供給が遮断されたとしても、電磁切換弁47及びチェック弁49により、油圧シリンダ31の圧力は維持される。この状態で伸縮シリンダ14が伸長することにより、トップブーム21は伸長する。
【0091】
トップブーム21が全伸長状態となれば伸縮シリンダ14が停止する。これに伴って電磁切換弁47の励磁も解除される(シンボルが
図9に示された状態に復帰する。)。これにより、油圧シリンダ31へ供給された作動油は、チェック弁50及び電磁切換弁48、47を経てAOH51の出力シリンダ68に戻る。Bピン26はボス33と嵌合し、再びトップブーム21と第1中間ブーム22とが連結される。その後、電磁切換弁48の励磁が解除される。
【0092】
前述のように、AOH51のエアピストン67は、入力シリンダ66内でフリーの状態で保持されているから、出力シリンダ68に作動油が戻されると、油圧ピストン69と共にエアピストン67がスライドする。エアピストン67内の空気は、クイックリリース弁56側に送られるが、この空気は、そのままクイックリリース弁56から排気(大気開放)される。
【0093】
続いて、電磁切換弁81が切り替わり(
図9においてシンボルが入れ替わる。)、圧縮空気がクイックリリース弁56を介してAOH51に到達する。AOH51は、所定圧力の作動油を油圧出力ポート53から送り出す。
【0094】
電磁切換弁81と共に電磁切換弁47が切り替わる(図においてシンボルが入れ替わる。)。作動油は、チェック弁49及び電磁切換弁48を経て、油圧シリンダ35に供給される。油圧シリンダ35が作動してCピン34がトップブーム21から離脱する。この時点で、電磁切換弁81の励磁が解除されて圧縮空気の供給が遮断される。このように圧縮空気の供給が遮断されたとしても、電磁切換弁47及びチェック弁49により、油圧シリンダ35の圧力は維持される。この状態で伸縮シリンダ14が縮小することにより(
図2参照)、トップブーム21が第1中間ブーム22に全伸長状態で保持されたまま、シリンダチューブ36のみが第1中間ブーム22の基端部側へスライドする。
【0095】
伸縮シリンダ14が縮小し、Cピン34が第1中間ブーム22のボス37の位置まで移動すれば伸縮シリンダ14が停止する。これに伴って電磁切換弁47の励磁も解除される。これにより、油圧シリンダ35へ供給された作動油は、電磁切換弁48、47を経てAOH51の出力シリンダ68に戻る。その結果、Cピン34は上記ボス37と嵌合し、伸縮シリンダ14は第1中間ブーム22と連結される。出力シリンダ68に作動油が戻されると、AOH51のエアピストン67が入力シリンダ66内でフリーの状態で保持されているから、油圧ピストン69と共にエアピストン67がスライドする。エアピストン67内の空気は、クイックリリース弁56側に送られるが、この空気は、そのままクイックリリース弁56から排気(大気開放)される。
【0096】
同様にして第2〜第4中間ブーム23〜25が伸長される。また、伸縮ブーム13が縮小されるときも上記油圧供給部18及び駆動源発生部19は、同様に作動する。
【0097】
本変形例では、エアタンク79を駆動源としてAOH51によりBピン26〜30及びCピン34が駆動される。つまり、空圧機構及び油圧機構が複合的に機能してBピン26〜30及びCピン34が駆動される。しかも、エアタンク79が油圧供給部18に設けられるので、従来のように伸縮シリンダ14の作動圧によりアキュムレータが蓄圧される構造に比べてきわめて簡単である。