特許第6477056号(P6477056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6477056
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】点灯装置、照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20190225BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20190225BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
   H01L33/00 J
   H02M3/155 N
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-48375(P2015-48375)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2016-170894(P2016-170894A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】西川 弘明
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−175887(JP,A)
【文献】 特開2013−16855(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/070789(WO,A1)
【文献】 特開2001−143890(JP,A)
【文献】 米国特許第9325236(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H02M 3/155
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源回路と、
前記直流電源回路の出力端に並列に接続された、スイッチング素子とダイオードを有する第1直列回路と、前記ダイオードに並列に接続された、インダクタとコンデンサを有する第2直列回路と、を有するバックコンバータ回路と、
前記バックコンバータ回路への入力電圧を検出する入力電圧検出回路と、
前記バックコンバータ回路の出力電流を検出する出力電流検出回路と、
前記バックコンバータ回路の出力電圧を検出する出力電圧検出回路と、
前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御装置と、
前記インダクタのインダクタンス値と、前記ダイオードの順方向電圧値と、前記バックコンバータ回路の回路効率を記憶した記憶部と、を備え、
前記制御装置は、前記入力電圧、前記出力電流、前記出力電圧、前記記憶部に記憶された前記インダクタンス値、前記順方向電圧値、及び前記回路効率に基づき、略臨界モードで前記インダクタに電流が流れるように、前記スイッチング素子の周波数を演算し、演算結果のとおり前記スイッチング素子をオンオフする点灯装置。
【請求項2】
前記記憶部には、前記入力電圧、前記出力電流、及び前記出力電圧の値に対応した複数の回路効率が記憶され、
前記制御装置は、前記スイッチング素子の周波数を演算する際に、検出された前記入力電圧、前記出力電流、及び前記出力電圧の値に対応した回路効率を前記記憶部から抽出し、利用することを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記記憶部には、前記スイッチング素子の周波数の上限値である上限周波数と、前記スイッチング素子の周波数の下限値である下限周波数と、が記憶され、
前記制御装置は、
前記演算結果が前記上限周波数を超える周波数であるときは、前記上限周波数以下の周波数で前記スイッチング素子をオンオフし、
前記演算結果が前記下限周波数を下回る周波数であるときは、前記下限周波数以上の周波数で前記スイッチング素子をオンオフすることを特徴とする請求項1又は2に記載の点灯装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の点灯装置を備えた照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置、及び点灯装置を備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には以下の点灯装置が開示されている。第1の制御モードでは、制御回路は、インダクタに臨界モードまたは不連続モードで電流が流れるように、所定の発振周波数およびオン時間で降圧チョッパ回路のスイッチング素子をオンオフ動作させる。第2の制御モードでは、制御回路は、スイッチング素子の発振周波数を略固定とし、オン時間を変化させる。第3の制御モードでは、制御回路は、スイッチング素子のオン時間を略固定とし、発振周波数を変化させる。第2の制御モードと第3の制御モードとは、調光比を複数に分けてなる区間ごとに割り当てられている。そして、制御回路は、第1の制御モードを選択することによって光源負荷を全点灯させ、調光比が指定されると当該調光比が該当する区間に応じて第2の制御モードと第3の制御モードとの一方を選択して光源負荷を調光点灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−118133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献には、第1の制御モードの際にインダクタに臨界モードまたは不連続モードで電流が流れるようにスイッチング素子の発振周波数を決定する具体的な方法が開示されていない。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、バックコンバータ回路のインダクタに略臨界モードで電流を流すことができる点灯装置及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明に係る点灯装置は、直流電源回路と、該直流電源回路の出力端に並列に接続された、スイッチング素子とダイオードを有する第1直列回路と、該ダイオードに並列に接続された、インダクタとコンデンサを有する第2直列回路と、を有するバックコンバータ回路と、該バックコンバータ回路への入力電圧を検出する入力電圧検出回路と、該バックコンバータ回路の出力電流を検出する出力電流検出回路と、該バックコンバータ回路の出力電圧を検出する出力電圧検出回路と、該スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御装置と、該インダクタのインダクタンス値と、該ダイオードの順方向電圧値と、該バックコンバータ回路の回路効率を記憶した記憶部と、を備え、該制御装置は、該入力電圧、該出力電流、該出力電圧、該記憶部に記憶された該インダクタンス値、該順方向電圧値、及び該回路効率に基づき、略臨界モードで該インダクタに電流が流れるように、該スイッチング素子の周波数を演算し、演算結果のとおり該スイッチング素子をオンオフする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検出回路で検出した値と、記憶部に予め書き込んだ情報に基づいてスイッチング素子の周波数を変調して、インダクタに略臨界モードで電流を流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る照明器具の回路図である。
図2】バックコンバータ回路の電流動作モードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る点灯装置と照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明器具100の回路図である。照明器具100は複数のLED26を備えるLEDモジュール27を備えている。このLEDモジュール27を制御するために、点灯装置1と調光器28が設けられている。点灯装置1は、直流電源回路2、バックコンバータ回路3及び制御装置40を備えている。
【0011】
直流電源回路2は、例えば昇圧チョッパ回路で構成されている。具体的には、直流電源回路2は、整流回路8、コンデンサ9、抵抗10、11が直列接続した分圧回路、インダクタ12、スイッチング素子Q1、ダイオード14、抵抗15、16が直列接続した分圧回路、及びコンデンサ17を備えている。
【0012】
整流回路8は交流電源7の電圧を全波整流する。コンデンサ9は整流回路8の出力端子に並列に接続されている。抵抗10、11が直列接続した分圧回路は、このコンデンサ9に並列に接続されている。コンデンサ9の両端電圧が抵抗10、11を用いて分圧され、分圧電圧が制御装置40に入力される。
【0013】
インダクタ12は、一端が整流回路8の高電位側に接続される。スイッチング素子Q1は例えばMOSFETであり、第1端子(ドレイン)、第2端子(ソース)及び第1、2端子間をスイッチングするための制御端子(ゲート)を備えている。スイッチング素子Q1の第1端子がインダクタ12の他端に接続されている。
【0014】
ダイオード14のアノードが、スイッチング素子Q1の第1端子とインダクタ12の他端との接続点に接続される。コンデンサ17の正極は、ダイオード14のカソードに接続され、負極は整流回路8の低電位側に接続される。コンデンサ17は電解コンデンサである。抵抗15、16が直列接続した分圧回路は、コンデンサ17に並列に接続される。コンデンサ17の両端電圧が抵抗15、16を用いて分圧され制御装置40に入力される。
【0015】
直流電源回路2の出力端に設けられた抵抗15、16は、直流電源回路2の出力電圧検出に用いられる。制御装置40は、抵抗16による検出電圧に基づいて、直流電源回路2の出力電圧が一定になるようにスイッチング素子Q1をオンオフする。なお、抵抗15、16は、バックコンバータ回路3への入力電圧を検出する入力電圧検出回路としての役割も有している。
【0016】
次に、バックコンバータ回路3について説明する。バックコンバータ回路3は、スイッチング素子Q2、ダイオード20、インダクタ(チョークコイル)22、コンデンサ23、検出抵抗24、及び抵抗29、30が直列接続した分圧回路を備えている。スイッチング素子Q2とダイオード20を有する回路(第1直列回路という)が、直流電源回路2の出力端(コンデンサ17)に並列に接続されている。
【0017】
スイッチング素子Q2は、例えばMOSFETであり、第1端子(ドレイン)、第2端子(ソース)及び第1、第2端子間をスイッチングする制御端子(ゲート)を備えている。スイッチング素子Q2の第1端子はコンデンサ17の正極と接続され、第2端子はダイオード20のカソードに接続されている。
【0018】
インダクタ22、コンデンサ23及び検出抵抗24がこの順に接続して第2直列回路を構成している。第2直列回路はダイオード20に並列に接続されている。検出抵抗24はLEDモジュール27に流れるLED電流の検出に用いられる。具体的には、検出抵抗24はLEDモジュール27から流れてくる電流により発生する電圧を検出している。すなわち、検出抵抗24はバックコンバータ回路3の出力電流を検出する出力電流検出回路として機能する。
【0019】
検出抵抗24で検出された検出電圧は制御装置40に入力される。制御装置40は、この検出電圧に基づいて、LEDモジュール27に流れる電流が一定になるようにバックコンバータ回路3のスイッチング素子Q2をオンオフする。
【0020】
抵抗29、30は、バックコンバータ回路3の出力端に設けられており、LEDモジュール27の電圧検出に用いられる。すなわち、抵抗29、30は、バックコンバータ回路3の出力電圧を検出する出力電圧検出回路として機能する。抵抗29、30が直列接続した分圧回路はコンデンサ23に並列に接続され、このコンデンサ23の両端電圧が抵抗29、30を用いて分圧され制御装置40に入力される。抵抗30での検出電圧が制御装置40に入力され、制御装置40はこの検出電圧に基づいて、LEDモジュール27の異常を検出する。
【0021】
次に、制御装置40について説明する。制御装置40は、例えばデジタル電源用制御装置として提供されるマイコンで構成する。DSP(Digital Signal Processor)等の演算装置で構成してもよい。制御装置40は、内部バスを介して互いに接続された制御回路41、42、記憶部43、A/D変換回路44、及び処理装置45を備えている。
【0022】
制御回路41はスイッチング素子Q1をスイッチングするPWM信号を出力し、制御回路42はスイッチング素子Q2をスイッチングするPWM信号を出力する。記憶部43は例えば不揮発性メモリである。記憶部43は、処理装置45で実行すべき演算プログラム及び演算に用いられる各種データを記憶している。記憶部43には更に、インダクタ22のインダクタンス値と、ダイオード20の順方向電圧値と、バックコンバータ回路3の回路効率などが記憶されている。記憶部43に対して外部からデータの書き込みおよび読み出しが行われる。
【0023】
処理装置45は記憶部43に記憶されたプログラムに従い演算を行うプロセッサである。処理装置45は、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング制御におけるオン時間などを算出する。制御装置40には、抵抗10、11で分圧された交流電源7を整流した電圧に応じた電圧、抵抗15、16(入力電圧検出回路)で分圧された直流電源回路2の出力電圧に応じた電圧、抵抗29、30(出力電圧検出回路)で分圧されたLEDモジュール27の出力電圧に応じた電圧、及び検出抵抗24で検出したLED電流に応じた電圧が入力される。A/D変換回路44でこれらの電圧値がデジタル値に変換され、そのデジタル値を用いて処理装置45で演算処理が行われる。
【0024】
処理装置45は、抵抗15、16(入力電圧検出回路)で分圧された電圧が、予め記憶部43に設定された目標電圧に一致するように、スイッチング素子Q1のオン時間を調整する。このような制御は定電圧制御と呼ばれる。
【0025】
また、制御装置40には、調光器28から調光信号I/F回路4を介して調光指令値が入力される。処理装置45は、この調光指令値に基づいて決定される目標電流と、検出抵抗24で検知した検出電圧に応じたLED電流が一致するように、スイッチング素子Q2のオン時間を調整する。更に、以下で詳述するように、制御装置40は、記憶部43に予め書き込まれたバックコンバータ回路3の回路効率、インダクタ22のインダクタンス値、ダイオード20の順方向電圧値と、検出回路で検出したバックコンバータ回路3の出力電流、出力電圧、入力電圧に基づいてスイッチング素子Q2の周波数を変調することで、略臨界モードでの定電流制御を行っている。
【0026】
図2は、バックコンバータ回路3のスイッチング素子Q2を固定周波数で制御した場合の、電流動作モードを示す図である。縦軸にバックコンバータ回路3の出力電流を示し、横軸にバックコンバータ回路3の出力電圧を示す。なお、図2では、バックコンバータ回路3の回路効率、インダクタ22のインダクタンス値、ダイオード20の順方向電圧値、及びバックコンバータ回路3の入力電圧は一定としてグラフを描いている。
【0027】
図2に示すとおり、バックコンバータ回路3のスイッチング素子Q2を固定周波数で制御する場合、バックコンバータ回路3の出力電流またはバックコンバータ回路3の出力電圧の変動により、バックコンバータ回路3は3つの動作モードになる。3つの動作モードとは、インダクタ22に流れる電流がゼロとなる期間が所定期間継続する電流不連続モードと、インダクタ22に流れる電流がゼロとなる期間のない電流連続モードと、インダクタ22に流れる電流が一瞬だけゼロとなる電流臨界モードである。
【0028】
本発明の実施の形態1に係る制御装置40は、バックコンバータ回路3が電流臨界モード又は臨界モードに近い制御で動作するように、スイッチング素子Q2をオンオフする。具体的には、制御装置40は、入力電圧検出回路(抵抗15、16)により検出されたバックコンバータ回路3への入力電圧(以後単に入力電圧という場合がある)、出力電流検出回路(検出抵抗24)によって検出された検出電圧に応じたバックコンバータ回路3の出力電流(以後単に出力電流という場合がある)、及び出力電圧検出回路(抵抗29、30)により検出されたバックコンバータ回路3の出力電圧(以後単に出力電圧という場合がある)を取得する。
【0029】
そして、処理装置45は、インダクタ22のインダクタンス値と、ダイオード20の順方向電圧値と、バックコンバータ回路3の回路効率を記憶部43から読み込む。そして、制御装置(処理装置45)は、上記の入力電圧、出力電流、及び出力電圧、並びに、記憶部43に記憶されたインダクタンス値、順方向電圧値、及び回路効率に基づき、略臨界モードでインダクタ22に電流が流れるように、スイッチング素子Q2の周波数を演算する。そして、制御回路42が、その演算結果のとおりスイッチング素子Q2をオンオフする。
【0030】
インダクタ22に略臨界モードで電流を流すためのスイッチング素子Q2の駆動周期Tは、スイッチング素子Q2のオン時間TONとオフ時間TOffより求める。つまり、スイッチング素子Q2の駆動周期Tは以下の式1により求める。
【0031】
【数1】
【0032】
TonとToffは以下の式2、3のとおりである。
【0033】
【数2】
【0034】
Vbusとは入力電圧検出回路(抵抗15、16)により検出されたバックコンバータ回路3への入力電圧である。Ioとは出力電流検出回路(検出抵抗24)によって検出されたバックコンバータ回路3の出力電流である。Voは出力電圧検出回路(抵抗29、30)により検出されたバックコンバータ回路3の出力電圧である。また、ηはバックコンバータ回路3の回路効率であり、Lはインダクタ22のインダクタンス値であり、Vはダイオード20の順方向電圧値である。式1〜式3により、駆動周期Tは以下の式4で表される。
【0035】
【数3】
【0036】
駆動周波数fは以下の式5で表される。
【0037】
【数4】
【0038】
処理装置45は、上記のとおり、各検出回路で検出した値及び記憶部43に予め書き込まれた値を用いて、スイッチング素子Q2の駆動周波数fを算出する。そして、算出された駆動周波数fに基づいて制御回路42がスイッチング素子Q2を制御することで、インダクタ22に略臨界モードで電流を流すことができるため、回路効率を向上することができる。
【0039】
本発明の実施の形態1に係る点灯装置と照明器具は様々な変形が可能である。例えば、入力電圧検出回路(抵抗15、16)、出力電流検出回路(検出抵抗24)、及び出力電圧検出回路(抵抗29、30)はその目的を達成できるものであれば、別の構成をとってもよい。また、実施の形態1で述べた略臨界モードは、厳密な意味ではなく実質的に臨界モードとみなすことができる場合が含まれる。LEDモジュール27は別の発光装置に置き換えても良い。これらの変形は以下の実施の形態に係る点灯装置及び照明器具にも応用できる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置と照明器具については、実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0040】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る照明器具の構成は実施の形態1の照明器具と同様である。実施の形態1では、記憶部43に予め書き込んだバックコンバータ回路3の回路効率ηは固定値であるが、本実施の形態2では複数の回路効率ηを記憶した点灯装置について説明を行う。実施の形態2に係る記憶部43には複数の回路効率ηが記憶されている。
【0041】
バックコンバータ回路3の回路効率ηは、バックコンバータ回路3の出力電流Io、出力電圧Vo、入力電圧Vbusにより変動するため、検出回路で検出するそれぞれの値に応じた適切な回路効率ηを記憶部43に予め書き込んでおく。つまり、記憶部43には、出力電流Io、出力電圧Vo、及び入力電圧Vbusの値に対応した複数の回路効率が記憶されている。このように、Io、Vo、Vbusの値に応じた回路効率ηを記憶部43に書き込んでおく。例えば、回路効率ηは、出力電圧Voの変化に対して極大値を有する。
【0042】
制御装置40は、バックコンバータ回路3で検出された出力電流Io、出力電圧Vo、及び入力電圧Vbusに基づき、記憶部43に予め書き込まれた回路効率ηを選択するとともに、インダクタ22のインダクタンス値Lとダイオード21の順方向電圧値Vを用いて、前記の式3よりスイッチング素子Q2の駆動周波数fを算出する。したがって、適切な回路効率ηを用いて駆動周波数fを算出できる。
【0043】
以上説明した本実施の形態によれば、制御装置40は、検出回路で検出した値に応じて記憶部43に予め書き込まれたバックコンバータ回路3の適切な回路効率ηを用いて、前記式1−5よりスイッチング素子Q2の駆動周波数fを算出し、算出した周波数でスイッチング素子Q2を制御することで、実施の形態1と比べてインダクタに略臨界モードで電流を流すことができるため、回路効率を向上することができる。
【0044】
実施の形態3.
本発明の実施の形態2に係る照明器具の構成は実施の形態1の照明器具と同様である。実施の形態1との相違点は、処理装置45で算出する駆動周波数fの上限と下限を設ける点である。記憶部43には、スイッチング素子Q2の周波数fの上限値である上限周波数と、スイッチング素子Q2の周波数fの下限値である下限周波数が記憶されている。上限周波数は例えばスイッチング素子Q2の定格最大スイッチング周波数よりも低い周波数である。下限周波数は例えば可聴領域の周波数(20KHz以下)よりも高い周波数である。
【0045】
制御装置40(処理装置45)は、演算結果(スイッチング素子の駆動周波数f)が記憶部43に記憶された上限周波数を超える周波数であるときは、上限周波数より小さい周波数でスイッチング素子Q2をオンオフできるように演算結果を修正する。他方、演算結果(スイッチング素子の駆動周波数f)が記憶部43に記憶された下限周波数を下回る周波数であるときは、下限周波数より大きい周波数でスイッチング素子Q2をオンオフできるように演算結果を修正する。下限周波数より大きい周波数とは例えば20KHzを超える周波数である。
【0046】
このように、スイッチング素子Q2のスイッチング周波数に上限と下限を設けることで、点灯装置1の動作を安定させることができる。なお、ここまでで説明した各実施の形態で説明した特徴は適宜組み合わせて用いてもよい。なお、制御装置40は、演算したスイッチング素子Q2の駆動周波数fが上限周波数を超えたときは、演算結果を上限周波数に修正し、この上限周波数にてスイッチング素子Q2を制御するよう構成してもよい。同様に、演算したスイッチング素子Q2の駆動周波数が下限周波数を下回ったときは、演算結果を下限周波数に修正し、この下限周波数にてスイッチング素子Q2を制御するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 点灯装置、 2 直流電源回路、 3 バックコンバータ回路、 40 制御装置、 41,42 制御回路、 43 記憶部、 45 処理装置、 100 照明器具、 Q1,Q2 スイッチング素子
図1
図2