特許第6477066号(P6477066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6477066
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法およびレチクル
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20190225BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
【請求項の数】9
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-49750(P2015-49750)
(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公開番号】特開2016-170267(P2016-170267A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2017年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】三重富士通セミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】二谷 広貴
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−242340(JP,A)
【文献】 特開2012−237933(JP,A)
【文献】 特開2001−189254(JP,A)
【文献】 特開2008−191277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 1/00
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路に対応する回路パターンと前記回路パターンの少なくとも四方に配置された複数の周辺パターンとを有する1枚のレチクルを用い、前記複数の周辺パターンのうち少なくとも一つのパターンを遮光して、前記複数の周辺パターンのうち遮光しないパターンと前記回路パターンとに対応する結像パターンをフォトレジスト膜に結像する工程を有し、前記結像する工程を複数回行いつつ前記遮光するパターンを変更することで、前記フォトレジスト膜のうち夫々が前記回路パターンに対応する複数の第1感光領域と前記複数の周辺パターンに対応し前記複数の第1感光領域を隙間なく囲う第2感光領域とを感光させる工程と、
前記感光させる工程の後、前記フォトレジスト膜を現像して、現像された前記フォトレジスト膜を有するマスクを形成する工程とを有し、
前記複数の周辺パターンは、第1周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第1周辺パターンに対向する第2周辺パターンとを有し、少なくとも前記第1周辺パターンが前記第2周辺パターンと前記回路パターンとの間に第1平行移動し更に前記第2周辺パターンが前記第1平行移動前の前記第1周辺パターンと前記回路パターンの間に第2平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うパターン群であり、
更に、前記感光させる工程は、少なくとも前記第1周辺パターンと前記第2周辺パターンが対向するいずれかの方向に並んだ複数の前記第2感光領域を感光させる工程を含む
導体装置の製造方法。
【請求項2】
集積回路に対応する回路パターンと前記回路パターンの少なくとも四方に配置された複数の周辺パターンとを有する1枚のレチクルを用い、前記複数の周辺パターンのうち少なくとも一つのパターンを遮光して、前記複数の周辺パターンのうち遮光しないパターンと前記回路パターンとに対応する結像パターンをフォトレジスト膜に結像する工程を有し、前記結像する工程を複数回行いつつ前記遮光するパターンを変更することで、前記フォトレジスト膜のうち夫々が前記回路パターンに対応する複数の第1感光領域と前記複数の周辺パターンに対応し前記複数の第1感光領域を隙間なく囲う第2感光領域とを感光させる工程と、
前記感光させる工程の後、前記フォトレジスト膜を現像して、現像された前記フォトレジスト膜を有するマスクを形成する工程とを有し、
記複数の周辺パターンは、第1周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第1周辺パターンに対向する第2周辺パターンとを有し、
前記複数の周辺パターンは、少なくとも前記第1周辺パターンが前記第2周辺パターンと前記回路パターンとの間に第1平行移動し更に前記第2周辺パターンが前記第1平行移動前の前記第1周辺パターンと前記回路パターンの間に第2平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うパターン群であり、
前記感光させる工程は、前記第1周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記第2感光領域のうち第1部分を感光させる工程と、前記第1周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記複数の第1感光領域に含まれ、前記第2感光領域のうち前記複数の第1感光領域を挟んで前記第1部分に対向する第2部分に隣接する第2領域を感光させる工程と、前記第2周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記複数の第1感光領域のうち前記第1部分に隣接する第1領域を感光させる工程と、前記第2周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記第2感光領域のうち前記第2部分を感光させる工程とを有す
導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記複数の周辺パターンは更に、前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンと異なる第3周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第3周辺パターンに対向する第4周辺パターンとを有し、
前記複数の周辺パターンは、少なくとも、前記第1平行移動および前記第2平行移動が行われ更に前記第3周辺パターンが前記第4周辺パターンと前記回路パターンとの間に第3平行移動し更に前記第4周辺パターンが前記第3平行移動前の前記第3周辺パターンと前記回路パターンの間に第4平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うパターン群であり、
前記感光させる工程は、前記第3周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記第2感光領域のうち前記第1部分および前記第2部分とは異なる第3部分を感光させる工程と、
前記第3周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記複数の第1感光領域に含まれ、前記第2感光領域のうち前記複数の第1感光領域を挟んで前記第3部分に対向する第4部分に隣接する第4領域を感光させる工程と、 前記第4周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記複数の第1感光領域のうち前記第3部分に隣接する第3領域を感光させる工程と、
前記第4周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記第2感光領域のうち前記第4部分を感光させる工程とを
有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記感光させる工程は、前記結像する工程を複数回行いつつ前記遮光するパターンを変更し更に前記結像パターンのうち前記回路パターンに対応する部分の間隔を変化させることで、前記第1部分を感光させる前記結像パターンのうち前記第2周辺パターン以外の部分に対応する領域が前記第2感光領域から離隔し更に前記第2部分を感光させる前記結像パターンのうち前記第1周辺パターン以外の部分に対応する領域が前記第2感光領域から離隔するように、前記複数の第1感光領域と前記第2感光領域とを感光させる工程であることを
特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数の周辺パターンは更に、前記回路パターンの中心から見て隣接する周辺パターン同士の間に位置する第5周辺パターンを有し、少なくとも前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンがそれぞれ前記第1平行移動及び前記第2平行移動し更に、前記第5周辺パターンが前記回路パターンを乗り越えて第5平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うパターン群であり、
前記感光させる工程は更に、前記第2感光領域のうち前記第5周辺パターン以外の前記複数の周辺パターンに対応する領域間の隙間を、前記第5周辺パターンに対応する結像パターンで感光する工程を有することを
特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
集積回路に対応する回路パターンと、
前記回路パターンに沿って配置された直線状の第1周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第1周辺パターンに対向する直線状の第2周辺パターンとを有し、少なくとも前記第1周辺パターンが前記第2周辺パターンと前記回路パターンとの間に第1平行移動し更に前記第2周辺パターンが前記第1平行移動前の前記第1周辺パターンと前記回路パターンの間に第2平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲う複数の周辺パターンとを有する
レチクル。
【請求項7】
集積回路に対応する回路パターンと、
前記回路パターンに沿って配置された第1周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第1周辺パターンに対向する第2周辺パターンと、前記回路パターンに沿って配置され、前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンとは異なる第3周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第3周辺パターンに対向する第4周辺パターンとを有し、前記第3周辺パターンの両端を通る直線が前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンと離間し、前記第4周辺パターンの両端を通る直線が前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンと離間しており、少なくとも前記第1周辺パターンが前記第2周辺パターンと前記回路パターンとの間に第1平行移動し、前記第2周辺パターンが前記第1平行移動前の前記第1周辺パターンと前記回路パターンの間に第2平行移動し、前記第3周辺パターンが前記第4周辺パターンと前記回路パターンとの間に第3平行移動し更に前記第4周辺パターンが前記第3平行移動前の前記第3周辺パターンと前記回路パターンの間に第4平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲う複数の周辺パターンとを有する
レチクル。
【請求項8】
集積回路に対応する回路パターンと、
前記回路パターンに沿って配置された少なくとも直線部を有する2本の第1周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第1周辺パターンに対向する少なくとも直線部を有する2本の第2周辺パターンとを有し、前記第1周辺パターンの両端が前記回路パターンから離れる方向に前記第1周辺パターンの直線部とのなす角が鈍角となるように屈曲し、前記第2周辺パターンの両端が前記回路パターンから離れる方向に前記第2周辺パターンの直線部とのなす角が鈍角となるように屈曲し、少なくとも前記第1周辺パターンが前記第2周辺パターンと前記回路パターンとの間に第1平行移動し更に前記第2周辺パターンが前記第1平行移動前の前記第1周辺パターンと前記回路パターンの間に第2平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく2重に囲う複数の周辺パターンとを有する
レチクル。
【請求項9】
集積回路に対応する回路パターンと、
前記回路パターンに沿って間を開けて四方に各々配置された第1周辺パターン、第2周辺パターン、第3周辺パターンおよび第4周辺パターンと、前記第1〜4周辺パターンのうち前記回路パターンの中心から見て隣接する周辺パターン同士の間の外側に位置し、前記回路パターンを挟んで対向する複数の第5周辺パターンとを有し、前記第1周辺パターンと前記第2周辺パターンとは前記回路パターンを挟んで対向し、前記第3周辺パターンと前記第4周辺パターンとは前記回路パターンを挟んで対向しており、少なくとも前記第1周辺パターンが前記第2周辺パターンと前記回路パターンとの間に第1平行移動し、前記第2周辺パターンが前記第1平行移動前の前記第1周辺パターンと前記回路パターンの間に第2平行移動し更に、前記第5周辺パターンの各々が前記回路パターンを挟んで対向する移動前の他の前記第5周辺パターンと前記回路パターンとの間に第5平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲う複数の周辺パターンとを有する
レチクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法およびレチクルに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、回路パターンをフォトレジスト膜に転写したパターン(以下、レジスト・パターンと呼ぶ)を用いて製造される。1回の露光で転写可能な回路パターンのサイズは限られている。従って大規模な半導体装置は、複数回の露光により回路パターンをフォトレジスト膜に複数回投影することで形成される。
【0003】
更に、大規模な半導体装置が同じ回路の繰り返しである場合には、一枚のレチクルに設けられた回路パターンを繰り返しフォトレジスト膜に投影することで、大規模な半導体装置(例えば、放射線画像撮影装置)を形成する。
【0004】
ところで半導体装置には、集積回路を囲むリング部(例えば、ガードリング)が形成されることがある。この場合、同じ回路パターンを複数回投影しただけでは、フォトレジスト膜に複数の同じ回路パターンを囲むリング・パターンは形成されない。そこで、リング・パターンの一部と回路パターンとを含む一枚のフォトマスクを用いて、複数の同じ回路を囲むリング部を備えた大規模半導体装置を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
具体的には、上下にストライプ状パターンが配置された回路パターンと、上下方向に延在し両端部が左方向に曲折した第1側方パターンと、上下方向に延在し両端部が右方向に曲折した第2側方パターンとが設けられたフォトマスクが用いられる。ストライプ状パターンは、リング部の上辺または下辺の一部に対応する。第1〜第2側方パターンはそれぞれ、リング部の右辺および左辺に対応する。
【0006】
露光工程では、第1及び第2側方パターンを遮光した状態で、露光位置を横方向に移動しつつ、回路パターンとストライプ状パターンとをフォトレジスト膜に複数回投影する。更に回路パターンとストライプ状パターンとを遮光した状態で、複数の回路パターンが投影された領域の右端に第1側方パターンを投影し更に、当該領域の左端に第2側方パターンを投影する。すると、回路パターンに対応する複数の領域がリング部で囲われた大規模な半導体装置が形成される。
【0007】
従って提案されている方法によれば、リング部で集積回路が囲われた大規模半導体装置を一枚のフォトマスクにより形成することができる。
【0008】
ところで上記提案(例えば、特許文献1参照)以外にも、遮光するパターンを変更しつつ一枚のレチクルのパターンを、フォトレジスト膜に複数回投影する技術が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。しかし、これらの技術は、リング部により集積回路が囲まれた大規模半導体装置を形成するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−237933号公報
【特許文献2】特開平2-108052号公報
【特許文献3】特許第2624570号
【特許文献4】特開平2012-54302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし従来の製造方法には、リング・パターンの一部を回路パターンとは別にフォトレジスト膜に投影するので、露光回数が多くなるという問題がある。そこで本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題を解決するために、本方法の一観点によれば、集積回路に対応する回路パターンと前記回路パターンの少なくとも四方に配置された複数の周辺パターンとを有する1枚のレチクルを用い、前記複数の周辺パターンのうち少なくとも一つのパターンを遮光して、前記複数の周辺パターンのうち遮光しないパターンと前記回路パターンとに対応する結像パターンをフォトレジスト膜に結像する工程を有し、前記結像する工程を複数回行いつつ前記遮光するパターンを変更することで、前記フォトレジスト膜のうち夫々が前記回路パターンに対応する複数の第1感光領域と前記複数の周辺パターンに対応し前記複数の第1感光領域を隙間なく囲う第2感光領域とを感光させる工程と、前記感光させる工程の後、前記フォトレジスト膜を現像して、現像された前記フォトレジスト膜を有するマスクを形成する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
開示の方法によれば、複数の回路がリング部で囲われた大規模な半導体装置を、露光回数の増加を抑制しつつ形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施の形態1の半導体装置の製造方法を説明する工程断面図である。
図2図2は、実施の形態1の半導体装置の製造方法を説明する工程断面図である。
図3図3は、実施の形態1の半導体装置の製造方法を説明する工程断面図である。
図4図4は、ビア層と配線層が2層ずつ形成された製造途中の半導体装置を説明する図である。
図5図5は、実施の形態1の感光工程に用いる露光装置の一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態1の感光工程で用いるレチクルを説明する図である。
図7図7は、実施の形態1の感光工程を説明する図である。
図8図8は、実施の形態1の感光工程を説明する図である。
図9図9は、実施の形態1の感光工程を説明する図である。
図10図10は、実施の形態1の感光工程を説明する図である。
図11図11は、実施の形態1の変形例を説明する図である。
図12図12は複数のレチクルを用いて、複数の回路領域を囲むリング部を形成する方法の一例を説明する図である。
図13図13は、実施の形態2のレチクルを説明する図である。
図14図14は、実施の形態2の感光工程の一例を説明する図である。
図15図15は、実施の形態2の感光工程の一例を説明する図である。
図16図16は、実施の形態2の感光工程の一例を説明する図である。
図17図17は、実施の形態2の感光工程の一例を説明する図である。
図18図18は、実施の形態2の感光工程の一例を説明する図である。
図19図19は、実施の形態2の感光工程の一例を説明する図である。
図20図20は、実施の形態3の感光工程の一例を説明する図である。
図21図21は、実施の形態3の感光工程の一例を説明する図である。
図22図22は、実施の形態3の変形例を説明する図である。
図23図23は、実施の形態4の感光工程の一例を説明する図である。
図24図24は、実施の形態4の感光工程の一例を説明する図である。
図25図25は、実施の形態4の感光工程の一例を説明する図である。
図26図26は、実施の形態4の感光工程の一例を説明する図である。
図27図27は、実施の形態5のレチクルを説明する図である。
図28図28は、実施の形態5の感光工程を説明する図である。
図29図29は、実施の形態5の感光工程を説明する図である。
図30図30は、実施の形態5の感光工程を説明する図である。
図31図31は、実施の形態5の感光工程を説明する図である。
図32図32は、実施の形態5の変形例1を説明する図である。
図33図33は、実施の形態5の変形例2を説明する図である。
図34図34は、実施の形態5の変形例3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0015】
図面が異なっても同じ構造を有する部分等には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、符号が異なっても同じ名称で呼ばれる部分等は、基本的には同じ構造を有する。
【0016】
(実施の形態1)
(1)製造方法
図1〜3は、実施の形態1の半導体装置の製造方法を説明する工程断面図である。
【0017】
(1−1)半導体素子の形成(図1(a)参照)
まず図1(a)に示すように、半導体基板2(例えば、Si基板)の素子形成領域4に、集積回路に含まれる半導体素子(例えば、トランジスタ)を形成する。
【0018】
(1―2)ビアの形成
(1―2−1)絶縁膜の形成(図1(b)参照)
半導体素子が形成された半導体基板2(図1(b)参照)の上に、絶縁膜(層間絶縁膜)6aを形成する。絶縁膜6aは例えば、SiN膜で表面が覆われたSiO膜である。
【0019】
(1―2−2)エッチング・マスクの形成(図1(c)〜(d)参照)
絶縁膜6a(図1(c)参照)の上に、例えばポジ型のフォトレジスト膜8a(フォトレジストの膜)を形成する。
【0020】
このフォトレジスト膜8aに、1枚のレチクルのパターン(以下、レチクル・パターンと呼ぶ)を複数回投影することで、フォトレジスト膜8aのうちそれぞれが回路パターンに対応する複数の第1感光領域を感光する。更にこの複数回の投影により、フォトレジスト膜8aのうち複数の第1感光領域を隙間なく囲む第2感光領域を感光する。
【0021】
ここでは、集積回路のビアに対応する回路パターンと、この回路パターンの四方に配置された複数の周辺パターンとを有するレチクルを使用する。第1感光領域は、回路パターンの投影像(結像パターン)により感光される。第2感光領域は、周辺パターンの投影像(結像パターン)により感光される。レチクル・パターンの投影は、複数の周辺パターンの一部を遮光した状態で行われる。
【0022】
第1及び第2感光領域を感光させる工程(以下、感光工程と呼ぶ)は、後述する「(2−3)感光工程」で詳しく説明する(後記「(1―3)配線の形成」の第1及び第2感光領域についても同じ)。
【0023】
その後、フォトレジスト膜8aを現像して絶縁膜6a上に、エッチング・マスク10a(図1(d)参照)を形成する。エッチング・マスク10aは、現像されたフォトレジスト膜8aを有するマスクである。
【0024】
(1―2−3)絶縁膜のエッチング(図2(e)参照)
エッチング・マスク10aを介して絶縁膜6aをエッチングし、第1感光領域に対応するビアホール12と、第2感光領域に対応する溝14aとを形成する。
【0025】
(1―2−4)金属膜の堆積および研磨(図2(f)参照)
ビアホール12と溝14aを形成した絶縁膜6aの上に、バリアメタル(例えば、Ti/TiN膜、図示せず)を堆積する。このバリアメタルの上に例えば、ビアホール12と溝14aを埋め込む金属膜(例えばタングステン膜、図示せず)を堆積する。その後、金属膜とバリアメタルをCMP(Chemical Mechanical Polishing)により研磨して、ビアホール12に埋め込まれたビア16aを形成する。更にこのCMPにより、溝14aに埋め込まれ平面視において複数の素子形成領域4を隙間なく囲むメタル部18aを形成する。
【0026】
(1―3)配線の形成
(1―3−1)絶縁膜の形成(図2(g)参照)
メタル部18aとビア16aとが形成された絶縁膜6a(図2(g)参照)の上に、絶縁膜(層間絶縁膜)6bを形成する。絶縁膜6bは例えば、SiN膜で表面が覆われたSiO膜である。
【0027】
(1―3−2)エッチング・マスクの形成(図2(h)〜図3(i)参照)
絶縁膜6b(図2(h)参照)の上に、例えばフォトレジスト膜8bを形成する。
【0028】
その後、フォトレジスト膜8bに1枚のレチクルのパターンを複数回投影することで、フォトレジスト膜8bのうちそれぞれが回路パターンに対応する複数の第1感光領域を感光する。更にこの複数回の投影により、フォトレジスト膜8bのうちメタル部18aの上に位置し、複数の第1感光領域を隙間なく囲む第2感光領域を感光する。ここで使用するレチクルは、集積回路の配線に対応する回路パターンと、この回路パターンの四方に配置された周辺パターンとを有する。レチクル・パターンの投影は、複数の周辺パターンの一部を遮光した状態で行われる。
【0029】
第1感光領域は、回路パターンの投影像(結像パターン)により感光する。第2感光領域は、周辺パターンの投影像(結像パターン)により感光する。
【0030】
その後、フォトレジスト膜8bを現像して絶縁膜6b上に、エッチング・マスク10b(図3(i)参照)を形成する。
【0031】
(1―3−3)絶縁膜のエッチング(図3(j)参照)
エッチング・マスク10bを介して絶縁膜6bをエッチングし、第1感光領域に対応する配線溝20と、第2感光領域に対応する溝14bとを形成する。
【0032】
(1―3−4)金属膜の堆積および研磨(図3(k)参照)
配線溝20を形成した絶縁膜6bの上に、バリアメタル(例えばTa/TaN膜、図示せず)を堆積する。このバリアメタル上に例えば、シード膜(例えば、Cu薄膜)を堆積する。このシード層を用い電解メッキにより、配線溝20および溝14bを埋め込む金属膜(例えばCu膜、図示せず)を形成する。その後、金属膜とシード膜とバリアメタルとをCMPにより研磨して、配線溝20に埋め込まれた配線22aを形成する。このCMPにより更に、溝14bに埋め込まれ平面視において複数の素子形成領域4を囲む閉じたメタル部24aを形成する。メタル部24aは、1層目のビア層(絶縁膜とビアを有する層)に設けられたメタル部18aの上に積層される。
【0033】
(1―4)2層目以降のビア層および配線層の形成
配線22aが形成された絶縁膜6bの上に、ビア層と配線層(絶縁膜と配線を有する層)とを交互に形成する。実施の形態1のビア層は、回路パターンに対応するビアを有する複数の領域と、当該複数の領域を囲む閉じたメタル部とを有する層である(例えば、図3(k)の絶縁膜6a)。実施の形態1の配線層は、回路パターンに対応する配線を有する複数の領域と、当該複数の領域を囲む閉じたメタル部を有する層である(例えば、図3(k)の絶縁膜6b)。
【0034】
2層目以降のビア層は、「(1―2)ビアの形成」と略同じ手順により形成することができる。具体的には例えば、バリアメタル(例えば、Ta/TaN膜)を形成する。このバリアメタル上に、シード層(例えば、Cu薄膜)を形成する。このシード層上に電解メッキにより、金属膜(例えば、Cu膜)を形成する。その後、CMPによりこの金属膜を研磨する。2層目以降の配線層は、「(1―3)配線の形成」と略同じ手順と同じ材料により形成することができる。
【0035】
図4は、ビア層26a,26bと配線層28a,28bが2層ずつ形成された製造途中の半導体装置30を説明する図である。図4(a)は、半導体装置30の平面図である。図4(b)は、図4(a)のIVB−IVB線に沿った断面図である。
【0036】
ビア層26a,26b(図4(b)参照)に形成されるメタル部18a,18bと配線層28a,28bに形成されるメタル部24a,24bとは、交互に積層される。この積層により平面視において、ビア16a,16bおよび配線22a,22bを含む複数の回路領域32を囲むリング部34(例えば、耐湿リング)が形成される。
【0037】
(1―5)保護膜の形成
次に、最上層の配線層の上に保護膜(図示せず)を形成する。その後、スクライブ・ライン33(図4(a)参照)に沿って半導体基板2を切断して、チップ状の半導体装置を形成する。
【0038】
半導体装置の外部端子は例えば、最上層の絶縁膜に設けることができる。この場合、保護膜には外部端子を露出させる開口を設ける。半導体装置の外部端子は、半導体基板2の裏面に設けてもよい。この場合、半導体基板2には例えばTSV(Through -Silicon Via)が設けられ、外部端子はこのTSVを介して集積回路に接続される。
【0039】
上述した製造方法は実施の形態1の一例であり、種々の変更が可能である。例えば上述した製造方法では、ビアと配線は別々に形成する。しかし、ダブルダマシンにより、ビアと配線を一緒に形成してもよい。更に上述した製造方法では、ビア層および配線層はSiO膜を有する。しかしビア層および配線層は、SiO膜の代わりに別の絶縁膜(例えば、SiNO膜や低誘電率絶縁膜)を有してもよい。
【0040】
(2)感光工程
(2−1)露光装置
図5は、実施の形態1の感光工程で用いる露光装置36の一例を示す図である。図5には露光装置36のほか、レチクル38(すなわち、フォトマスク)と半導体基板2と露光光56とが示されている。図5の半導体基板2上には、フォトレジスト膜8で表面が覆われた絶縁膜6a,6bが配置されている。
【0041】
露光装置36は図5に示すように、光源40と、照明光学系42と、投影光学系44とを有する。露光装置36は更に、ステージ46と、ステージ46を駆動するステージ駆動部48と、レチクル・ブラインド(遮光板)50と、レチクル・ブラインド50を駆動するブラインド駆動部52と、制御部54とを有する。
【0042】
光源40で生成された露光光56は、照明光学系42とレチクル・ブラインド50とレチクル38と投影光学系44とを介して、フォトレジスト膜8に照射される。投影光学系44はレチクル38を透過した露光光56を集光して、レチクル・パターン(レチクルのパターン)をフォトレジスト膜8に結像(投影)する。この時、レチクル・ブラインド50は露光光56の一部を遮って、複数の周辺パターンの一部または全部を遮光する。従って、フォトレジスト膜8には、回路パターンと複数の周辺パターンの一部とが投影される。或いは、回路パターンだけが投影される。
【0043】
制御部54はステージ駆動部48を制御して、半導体基板2が載置されたステージ46を移動させる。この移動により、レチクル・パターンの結像位置が移動する。制御部54は更にブラインド駆動部52を制御して、レチクル・ブラインド50を移動させる。この移動により、遮光される周辺パターンが変化する。
【0044】
(2−2)レチクル
図6は、実施の形態1の感光工程で用いるレチクル108Iを説明する図である。図6(a)は、レチクル108Iの平面図である。
【0045】
レチクル108Iは、図6(a)に示すように、集積回路に対応する回路パターン102と回路パターン102の少なくとも四方に配置された複数の周辺パターン104とを有する。回路パターン102は例えば、集積回路の層間絶縁膜に配置されるビア又は配線に対応する。
【0046】
複数の周辺パターン104は、回路パターン102に沿って配置された第1周辺パターン104aと、回路パターン102を挟んで第1周辺パターン104aに対向する第2周辺パターン104bとを含むパターン群である。複数の周辺パターン104には更に、回路パターン102に沿って配置された第3周辺パターン104cと、回路パターン102を挟んで第3周辺パターン104cに対向する第4周辺パターン104dとを含む。第3周辺パターン104cは、第1周辺パターン104aおよび第2周辺パターン104bとは異なるパターンである。
【0047】
複数の周辺パターン104は、少なくとも第1周辺パターン104aと第2周辺パターン104bとが平行移動すると、回路パターン102を隙間なく囲うパターン群である。
【0048】
今、第1周辺パターン104aが図6(b)に示すように、第2周辺パターン104bと回路パターン102との間に第1平行移動122a(以下、第1平行移動と呼ぶ)したと仮定する。更に第2周辺パターン104bが第1平行移動前の第1周辺パターン104aと回路パターン102の間に平行移動122b(以下、第2平行移動と呼ぶ)したと仮定する。複数の周辺パターン104は例えば、この様な平行移動により、回路パターン102を隙間なく囲うパターン群である。
【0049】
(2−3)感光工程
図7〜10は、実施の形態1の感光工程を説明する図である。図7のパターン29a,29bは、レチクル108I(図6参照)を透過した露光光56をフォトレジスト膜8に結像することで得られるパターンである。
【0050】
図7(a)のパターン29aは、第1周辺パターン104aを遮光した場合に得られる結像パターンである。図7(b)のパターン29bは、第2周辺パターン104bを遮光した場合に得られる結像パターンである。結像パターン29a,29bは、複数の周辺パターン104のうちの遮光されないパターンと回路パターン102とに対応するパターンである。
【0051】
実施の形態1の感光工程では、露光装置36(図5参照)により、複数の周辺パターン104のうち少なくとも一つのパターンを遮光して、結像パターン29a,29bをフォトレジスト膜8に結像する。更にこの結像工程を複数回行いつつ、遮光する周辺パターン104を変更することで、図9に示すように、フォトレジスト膜8のうち複数の第1感光領域110a(図9の参照)と第2感光領域110bとを感光させる。
【0052】
第1感光領域110aは、回路パターン102(図6(a)参照)の結像により感光する領域である。第2感光領域110bは、周辺パターン104の結像により感光し、複数の第1感光領域110aを隙間なく囲う領域である。
【0053】
複数の第1感光領域110aと第2感光領域110bとが感光したフォトレジスト膜8を現像すると、図1(d)および図3(i)を参照して説明したエッチング・マスク10a,10bが形成される。このエッチング・マスク10a,10bを用いることで、複数の回路領域32(図4参照)が一つのリング部34(例えば、耐湿リング)により囲われた大規模な半導体装置を形成することが可能になる。
【0054】
具体的には先ず、レチクル108I(図6(a)参照)の第1周辺パターン104aを遮光して、結像パターン106a(図8(a)参照)をフォトレジスト膜8(図9参照)に結像する。結像パターン106aは、図7(a)に示す結像パターン29aである。
【0055】
この結像により、第2感光領域110bのうち第1部分112a(図9参照)を感光させる。第1部分112aは、図8(b)にも示されている。図8のうち斜線で塗りつぶされた部分は、先に結像した結像パターンにより感光済みの領域である(後述する図15〜18等についても同様)。
【0056】
更に、第1周辺パターン104a(図6(a)参照)を遮光したまま、結像パターン106b(図8(b)参照)をフォトレジスト膜8に結像する。結像パターン106bは、図7(a)に示す結像パターン29aである。
【0057】
この結像により、複数の第1感光領域110a(図9参照)に含まれ、第2感光領域110bの第2部分112bに隣接する第2領域110aII(図9参照)を感光させる。第2部分112bは、第2感光領域110b(図9参照)のうち複数の第1感光領域110aを挟んで第1部分112aに対向する領域である。
【0058】
次に、第2周辺パターン104b(図6(a)参照)を遮光して結像パターン106c(図8(c)参照)をフォトレジスト膜8に結像する。結像パターン106cは、図7(b)に示す結像パターン29bである。この結像により複数の第1感光領域110a(図9参照)のうち第1部分112a(図8(c)および図9参照)に隣接する第1領域110aI(図9参照)を感光させる。
【0059】
更に、第2周辺パターン104b(図6(a)参照)を遮光したまま、結像パターン106d(図8(d)参照)をフォトレジスト膜8に結像する。結像パターン106dは、図7(b)に示す結像パターン29bである。この結像により、第2感光領域110b(図9参照)のうち第2部分112bを感光させる。
【0060】
以上により、回路パターン102に対応する複数の第1感光領域110a(図9参照)と、複数の第1感光領域110aを隙間なく囲う第2感光領域110bとを感光させる。
【0061】
図8から明らかなように、周辺パターン104は常に回路パターン102と一緒に結像され、単独で結像されることはない。従って実施の形態1によれば、リング部(例えば、耐湿リング)を有する大規模な装置を、露光回数(ショット数)の増加を抑制しつつ形成することができる。
【0062】
―結像パターンの走査経路―
図10(a)は、第1周辺パターン104a(図6(a)参照)を遮光した結像パターン29a(以下、第1結像パターンと呼ぶ)の走査経路23aの一例を示す図である。図10(a)には、走査経路23aと共に、簡略化した結像パターン29aが示されている。図8(a)及び(b)の結像パターン106a,106bは、図10(a)に示す複数の第1結像パターン29aから抽出されたものである。
【0063】
図10(b)は、第2周辺パターン104b(図6(a)参照)を遮光した結像パターン29b(以下、第2結像パターンと呼ぶ)の走査経路23bの一例を示す図である。図10(b)には、走査経路23bと共に、簡略化した結像パターン29bが示されている。図8(c)及び(d)の結像パターン106c,106dは、図10(b)に示す複数の第2結像パターン29bから抽出されたものである。
【0064】
露光装置36は、第1結像パターン29a(図10(a)参照)を一定の移動量Lyで上下に往復させると共に横方向に一定の移動量Lxで移動させながら、フォトレジスト膜8を感光させる。横方向の移動量Lxは、第1結像パターン29aの幅と第2結像パターン29bの幅の和に略等しい距離である。
【0065】
次に、第1結像パターン29aと同じ移動量Ly,Lxで、第2結像パターン29bを走査する(図10(b)参照)。この時、第1結像パターン29aのうち第3周囲パターン104cに対応する部分の端部と第2結像パターン29bのうち第3周囲パターン104cに対応する部分の端部が重なるように、第2結像パターン29bを走査する。同時に、第1結像パターン29aのうち第4周囲パターン104dに対応する部分の端部と第2結像パターン29bのうち第4周囲パターン104dに対応する部分の端部が重なるように、第2結像パターン29bを走査する。
【0066】
すると図8及び9を参照して説明したように、回路パターン102(図6(a)参照)に対応する複数の第1感光領域110aと、複数の第1感光領域110aを隙間なく囲う第2感光領域110bとが感光する。
【0067】
図10に示すように半導体基板2全面に亘って第1及び第2結像パターンを走査すると、横方向に連なる複数の第2感光領域が感光される。この時、横方向に連なった第2感光領域の両端は、集積回路の形成には直接役立たないダミー露光により感光される。
【0068】
(3)変形例
(3−1)変形例1
図11は、実施の形態1の変形例を説明する図である。図4の半導体装置30の配線22a,22bは、回路領域32内に閉じ込められている。しかし、半導体装置30には図11に示すように、回路領域32同士を接続する配線22cを設けてもよい。回路領域32同士を接続する配線22cは、特定の配線層(例えば、最上層の配線層)に設けられる。
【0069】
回路領域32同士を接続する配線22cは例えば、結像パターン106a〜106dが結像されたフォトレジスト膜8に、配線22cに対応するパターンを再度結像することで形成することができる。配線22cに対応する結像パターンは例えば、2枚のレチクルを用いることで容易に投影できる。1枚目のレチクルには、配線22cの左半分と重ねに対応するパターンと重ねしろ(2重露光部分)とが設けられる。2枚目のレチクルには、配線22cの右半分に対応するパターンと重ねしろとが設けられる。
【0070】
変形例1によれば、製造可能な半導体装置のバリエーションが多くなる。
【0071】
(3−2)変形例2
図4〜9に示す例では、第2感光領域110b(図9参照)に囲まれる第1感光領域110aは2つである。しかし、第2感光領域110bに囲まれる第1感光領域110aは3つ以上であってもよい。例えば図8において、結像パターン106bの結像位置を右側に移動し、結像パターン106aと結像パターン106bの間に、第1周辺パターン104aおよび第2周辺パターン104bを遮光した新たな結像パターンを結像してもよい。この結像により、第2感光領域110b(図9参照)で囲まれた3つの第1感光領域110aを形成することができる。
【0072】
この場合、新たな結像パターンのうち第3周辺パターン104c及び第4周辺パターン104dに対応する領域の左端部が、結像パターン106cの第3周辺パターン104c及び第4周辺パターン104dに対応する領域の右端部に重なるようにする。更に、新たな結像パターンのうち第3周辺パターン104c及び第4周辺パターン104dに対応する領域の右端部が、結像パターン106bの第3周辺パターン104c及び第4周辺パターン104dに対応する領域の左端部に重なるようにする。
【0073】
この方法によれば、回路パターン102に対応する3つ以上の回路領域を有する大規模な半導体装置を、露光回数の増加を抑制しつつ製造することができる。
【0074】
(4)複数レチクルによるリング部の形成
図4〜9に示す方法によらなくても、複数の回路領域32を囲むリング部を形成することは可能である。例えば複数のレチクルを用いれば、複数の回路領域32を囲むリング部を形成できる。しかし図4〜9に示す方法は、複数のレチクルを用いる方法にない複数の利点を有している。
【0075】
図12は複数のレチクルを用いて、複数の回路領域を囲むリング部を形成する方法の一例を説明する図である。図12には、この方法に用いる2枚のレチクルが示されている。
【0076】
上記方法に用いる一方のレチクル108a(以下、第1レチクルと呼ぶ)は、図12(a)に示すように回路パターン102と、回路パターン102の周囲に配置された逆コの字型のパターン60a(以下、逆コの字パターンと呼ぶ)とを有する。上記方法に用いる他方のレチクル108b(以下、第2レチクルと呼ぶ)は、図12(b)に示すように回路パターン102と、回路パターン102の周囲に配置されたコの字型のパターン60b(以下、コの字パターン呼ぶ)とを有する。第1レチクル108aの回路パターン102と第2レチクル108bの回路パターン102は、同じパターンである。
【0077】
複数の回路領域32を囲むリング部を形成するためには先ず、第1レチクル108aを露光装置に設定し、第1レチクル108aの第1結像パターンをフォトレジスト膜に結像する。次に露光装置に設定されている第1レチクル108aを第2レチクル108bに交換して、第2レチクル108bの第2結像パターンをフォトレジスト膜に結像する。この時、逆コの字パターン60aの右端に対応する感光領域とコの字パターン60bの左端に対応する感光領域とが重なるように、第2結像パターンを結像する。更に、フォトレジスト膜を現像してエッチング・マスクを形成する。その後、例えば図1(d)〜図2(f)および図3(i)〜図3(k)等を参照して説明した手順により、回路パターン102に対応する回路領域とリング部を形成する。
【0078】
図12を参照して説明した方法では、複数のレチクルを使用する。一方、図4〜9を参照して説明した方法(すなわち、実施の形態1)では、使用するレチクルは1枚である。従って、実施の形態1によれば、配線層(または、ビア層)の形成に用いるレチクル数を抑制できる(利点1)。更に実施の形態1によれば、レチクルの使用枚数を抑制できるので、レチクルの交換回数も抑制できる。その結果、スループットが向上する(利点2)。このように、実施の形態1は、複数のレチクルを用いる方法にない複数の利点を有する。
【0079】
上述したように実施の形態1では、周辺パターン104は回路パターン102と一緒に結像され、単独で結像されることはない。従って実施の形態1によれば、リング部(例えば、耐湿リング)を有する大規模な装置を、露光回数の増加を抑制しつつ形成することができる。
【0080】
更に、実施の形態1で配線層等の形成に使用するレチクルは1枚である。従って実施の形態1によれば、レチクルの使用枚数を抑制できる。更に実施の形態1によれば、レチクルの交換回数が抑制されるので、スループットが向上する。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1において更に、第3周辺パターン104cまたは第4周辺パターン104dを遮光しつつ、レチクル・パターンをフォトレジスト膜に結像する半導体装置の製造方法である。実施の形態2法は、この工程を除けば実施の形態1と略同じである。従って、実施の形態1と同じ部分については、説明を省略または簡単にする。
【0081】
(1)レチクル
図13は、実施の形態2のレチクル108IIを説明する図である。図13(a)は、レチクル108IIの平面図である。
【0082】
実施の形態2の周辺パターン104は、夫々が平行移動することで、回路パターン102を隙間なく囲うパターン群である。
【0083】
今、第1〜第2周辺パターン104a,104bが実施の形態1と同様、第1〜第2平行移動122a,122bしたと仮定する(図13(b)参照)。
【0084】
更に、第3周辺パターン104c(図13(b)参照)が、第4周辺パターン104dと回路パターン102(図13(b)参照)との間に第3平行移動122cしたと仮定する。更に、第4周辺パターン104dが第3平行移動前の第3周辺パターン104cと回路パターン102の間に第4平行移動122dしたと仮定する。実施の形態2の周辺パターン104は、これらの平行移動により、回路パターン102を隙間なく囲うパターン群である(図13(b)参照)。
【0085】
(2)感光工程
図14〜19は、実施の形態2の感光工程の一例を説明する図である。図14のパターン229a〜229dは、第1周辺パターン104a〜第4周辺パターン104dの一部を遮光した状態のレチクル108II(図13参照)の結像パターンである。
【0086】
図14(a)の結像パターン229aは、第1周辺パターン104aと第3周辺パターン104cを遮光した場合に得られる結像パターンである。図14(b)の結像パターン229bは、第1周辺パターン104aと第4周辺パターン104dを遮光した場合に得られる結像パターンである。図14(c)の結像パターン229cは、第2周辺パターン104bと第3周辺パターン104cを遮光した場合に得られる結像パターンである。図14(d)の結像パターン229dは、第2周辺パターン104bと第4周辺パターン104dを遮光した場合に得られる結像パターンである。
【0087】
図15(a)〜図18(p)には、レチクル108IIの結像パターン206a〜206pが結像順に示されている。図15(a)の結像パターン206aは最初に結像されるパターンであり、図18(p)の結像パターン206pは最後に結像されるパターンである。
【0088】
(2−1)第1走査(図15(a)〜(d)参照)
先ず、レチクル108II(図13(a)参照)の第1周辺パターン104aと第3周辺パターン104cを遮光して、結像位置を変化させつつレチクル・パターンをフォトレジスト膜8(図19参照)に複数回結像する。この走査により結像されるパターン206a〜206d(図15(a)〜(d)参照)は、図14(a)を参照して説明した結像パターン229aである。
【0089】
2番目の結像(図15(b)参照)により、第2感光領域210b(図19参照)のうち第1部分212aが感光する。2番目の結像により感光する第1部分212aは、第2感光領域210bの左辺下側の部分である。
【0090】
3番目の結像(図15(c)参照)により、複数の第1感光領域110a(図19参照)に含まる第4領域110aIV(図19参照)を感光させる。3番目の結像により感光する第4領域110aIVは、複数の第1感光領域110aのうち右下の部分である。
【0091】
第4領域110aIVは、第2感光領域210b(図19参照)の下辺右側に位置する第4部分212dに隣接する第1感光領域である。第4部分212dは、複数の第1感光領域110a(図19参照)を挟んで第3部分212c(図19参照)に対向する領域である。
【0092】
4番目の結像(図15(d)参照)により、第2感光領域210b(図19参照)のうち第3部分212c(図19参照)を感光させる。4番目の結像により感光する第3部分212cは、第2感光領域210bの上辺右側の部分である。
【0093】
(2−2)第2走査(図15(e)〜図16(h)参照)
次に、レチクル108II(図13(a)参照)の第1周辺パターン104aと第4周辺パターン104dを遮光して、結像位置を変化させつつレチクル・パターンをフォトレジスト膜8(図19参照)に複数回結像する。この走査により結像されるパターン206e〜206h(図15(e)〜図16(h)参照)は、図14(b)を参照して説明した結像パターン229bである。
【0094】
5番目の結像(図15(e)参照)により、第2感光領域210b(図19参照)のうち第1部分212aを感光させる。5番目の結像により感光する第1部分212aは、第2感光領域210bの左辺上側の部分である。
【0095】
7番目の結像(図16(g)参照)により、第2感光領域210b(図19参照)のうち第4部分212d(図19参照)を感光させる。7番目の結像により感光する第4部分212dは、第2感光領域210bの下辺右側の部分である。
【0096】
8番目の結像(図16(h)参照)により、複数の第1感光領域110a(図19参照)のうち第3部分212cに隣接する第3領域110aIIIを感光させる。8番目の結像により感光する第3領域110aIIIは、複数の第1感光領域110aの右上側の部分である。
【0097】
(2−3)第3走査(図16(i)〜図17(l)参照)
次に、レチクル108II(図13(a)参照)の第2周辺パターン104bと第3周辺パターン104cを遮光して、結像位置を変化させつつレチクル・パターンをフォトレジスト膜8(図19参照)に複数回結像する。この走査により結像されるパターン206i〜206l(図16(i)〜図17(l)参照)は、図14(c)を参照して説明した結像パターン229cである。
【0098】
9番目の結像(図16(i)参照)により、第2感光領域210b(図19参照)のうち第3部分212cを感光させる。9番目の結像により感光する第3部分212cは、第2感光領域210bの上辺左側の部分である。
【0099】
10番目の結像(図17(j)参照)により、複数の第1感光領域110a(図19参照)に含まれ、第4部分212dに隣接する第4領域110aIVを感光させる。10番目の結像により感光する第4領域110aIVは、複数の第1感光領域110aの左下側の部分である。
【0100】
11番目の結像(図17(k)参照)により、第2感光領域210b(図19参照)のうち複数の感光領域110aを挟んで第1部分212aに対向する第2部分212bを感光させる。11番目の結像により感光する第2部分212bは、第2感光領域210bの右辺下側の部分である。
【0101】
(2−4)第4走査(図17(m)〜図18(p)参照)
次に、レチクル108II(図13(a)参照)の第2周辺パターン104bと第4周辺パターン104dを遮光して、結像位置を変化させつつレチクル・パターンをフォトレジスト膜8(図19参照)に複数回結像する。この走査により結像されるパターン206m〜206p(図17(m)〜図18(p)参照)は、図14(d)を参照して説明した結像パターン229dである。
【0102】
13番目の結像(図17(m)参照)により、複数の第1感光領域110a(図19参照)のうち第3部分212cに隣接する第3領域110aIIIを感光させる。13番目の結像により感光する第3領域110aIIIは、複数の第1感光領域110aの左上側の部分である。
【0103】
14番目の結像(図18(n)参照)により、第2感光領域210b(図19参照)のうち第4部分212dを感光させる。14番目の結像により感光する第4部分212dは、第2感光領域210bの下辺左側の部分である。
【0104】
16番目の結像(図18(p)参照)により、第2感光領域210b(図19参照)のうち複数の第1感光領域110aを挟んで第1部分212aに対向する第2部分212bを感光させる。16番目の結像により感光する第2部分212bは、第2感光領域210bの右辺上側の部分である。
【0105】
以上により、回路パターン102に対応する複数の第1感光領域110a(図19参照)と、複数の第1感光領域110aを隙間なく囲う第2感光領域110bとが感光する。
【0106】
実施の形態1では、第2感光領域210bに囲われ横1列に配置された複数の第1感光領域110aを感光させる(図9参照)。一方、実施の形態2では、第2感光領域210bに囲われ複数列に配置された第1感光領域110aを感光させる(図19参照)。従って実施の形態2によれば、リング部を有し実施の形態1より大規模な半導体装置を形成することができる。
【0107】
(実施の形態3)
実施の形態3では、結像パターンの間隔を変化させることで、互いに離隔した第2感光領域を感光させる。実施の形態3は、この工程等を除けば実施の形態1と略同じである。従って、実施の形態1と同じ部分については、説明を省略または簡単にする。
【0108】
(1)レチクル
実施の形態3のレチクルは、図6を参照して説明したレチクル108Iと略同じである。ただし、実施の形態3の第3〜第4周辺パターン104c,104dは好ましくは、実施の形態1の第3〜第4周辺パターン104c,104dより短い。
【0109】
第3〜第4周辺パターン104c,104dを短くすることで、リング部の間隔を広くできる。その結果、スクライブ・ライン33の幅を十分に確保することができる。
【0110】
(2)感光工程
図20〜21は、実施の形態3の感光工程の一例を説明する図である。
【0111】
図20(a)〜(d)には、第1周辺パターン104aまたは第2周辺パターン104bを遮光した結像パターン106a〜106dが結像順に示されている。図20は、実施の形態1の図8に対応する。
【0112】
図21には、第1感光領域110aおよび第2感光領域310bが示されている。図21は、実施の形態1の図9に対応する。
【0113】
実施の形態3では、実施の形態1と同様、第1周辺パターン104aまたは第2周辺パターン104bを遮光して、結像パターン106a〜106dをフォトレジスト膜8に結像させる。この結像工程を繰り返しつつ、遮光する周辺パターン104a,104bを変更し、更に結像パターン106a〜106dのうち回路パターンに対応する部分307a〜307d(以下、回路部分と呼ぶ)の間隔を変化させる。この変化により、複数の第1感光領域110a(図21参照)と、互いに離隔した第2感光領域310bとを感光させる。図21には、一つの第2感光領域310bと、該第2感光領域310bの左側に位置する別の第2感光領域の右半分310bRと、該第2感光領域310bの右側に位置する別の第2感光領域の左半分310bLが示されている。
【0114】
今、1番目の結像で生じる回路部分307aと3番目の結像で生じる回路部分307cの間隔を第1間隔L1(図20(c)参照)と呼ぶとする。更に、2番目の結像で生じる回路部分307bと3番目の結像で生じる回路部分307cの間隔を、第2間隔L2(図20(c)参照)と呼ぶ。更に、3番目の結像で生じる回路部分307cと4番目の結像で生じる回路部分307dの間隔を第3間隔L3(図20(d)参照)と呼ぶ。
【0115】
実施の形態3では、第1間隔L1を、1番目の結像パターン106aのうち第2周辺パターン104b(図6(a)参照)以外の部分に対応する領域307a,308a,309a(図20(a)参照)が第2感光領域310b(図21参照)から離隔するように設定する。この設定により、第3〜第4周辺パターン104c,104dに対応する領域308a,309a(図20(a)参照)が、第2感光領域310bから離隔する。
【0116】
1番目の結像パターン106aは、第2感光領域310bの第1部分312a(図21参照)を感光させる結像パターンである。従って第1間隔L1は、第1部分312aを感光させる結像パターン106aのうち第2周辺パターン104b(図6(a)参照)以外の部分に対応する領域307a,308a,309a(図20(a)参照)が、第2感光領域から離隔するように設定される。
【0117】
更に第2間隔L2を、2番目の結像パターン106bの第3〜第4周辺パターンに対応する領域308b,309bと3番目の結像パターン106cの第3〜第4周辺パターンに対応する領域308c,309cとが接続するように設定する。第2間隔L2は、第1間隔L1より狭い間隔である。
【0118】
更に第3間隔L3(図20(d)参照)を、4番目の結像パターン106dのうち第1周辺パターン104a(図6(a)参照)以外の部分に対応する領域307d,308d,309d(図20(a)参照)が第2感光領域310bから離隔するように設定する。この設定により、第3〜第4周辺パターンに対応する領域308d,309dが、第2感光領域310bから離隔する。
【0119】
4番目の結像パターン106dは、第2感光領域の第2部分312b(図21参照)を感光させる結像パターンである。従って第3間隔L3は、第2部分312bを感光させる結像パターン106d(図20(d)参照)のうち第1周辺パターン104a(図6(a)参照)以外の部分に対応する領域307d,308d,309dが第2感光領域から離隔するように設定される。
【0120】
ここで第3間隔L3は、第2間隔L2より広い間隔である。第3間隔L3は好ましくは、第1間隔L1に等しい間隔である。
【0121】
このように実施の形態3では、第2感光領域の第1部分312aを感光させる結像パターン106aのうち第3〜第4周辺パターンに対応する領域が第2感光領域310bから離隔するように、回路部分307a,307bの間隔L1を設定する。更に、第2感光領域の第2部分312bを感光させる結像パターン106dのうち第3〜第4周辺パターンに対応する領域308d,309dが第2感光領域310bから離隔するように、回路部分307c,307dの間隔L3を設定する。従って、回路部分307a〜307dの間隔は、L1(=L3)とL2の間で変化する。
【0122】
その結果、第2感光領域310b同志が離隔するで、第2感光領域310bにより形成されるリング部が、スクライブ・ライン33で接続されることはない。
【0123】
従って実施の形態3によれば、リング部がスクライブにより切断されることはない。従って実施の形態3によれば、実施の形態1の半導体装置より高い耐湿性を有する半導体装置を形成することができる。
【0124】
(3)変形例
図22は、実施の形態3の変形例を説明する図である。図22(a)は、変形例で用いるレチクル108IIIの平面図である。図22(b)には、レチクル108IIIにより感光させるフォトレジス膜8の感光領域が示されている。
【0125】
図22(a)に示すように、レチクル108IIIの周辺パターン304は2重化されている。従って、第2感光領域310b1(図22(b)参照)も2重化される。その結果、複数の回路領域を囲むリング部が2重化され、半導体装置の耐湿性が向上する。
【0126】
更に変形例では、第1〜2周辺パターン304a,304bの両端が屈折している。従って、リング部の四隅がなだらかになり、リング部の四隅で発生する欠陥が減少する。その結果、半導体装置の信頼性が向上する。第1〜2周辺パターン304a,304bの屈折角は、好ましくは40°〜50°である。
【0127】
(実施の形態4)
実施の形態4では、結像パターンの間隔を変化させることで、複数列に配置された第1感光領域110aと、互いに離隔した第2感光領域とを感光させる。実施の形態4は、この工程等を除けば実施の形態2と略同じである。従って、実施の形態2と同じ工程等については、説明を省略または簡単にする。
【0128】
(1)レチクル
実施の形態4のレチクルは、図13を参照して説明した実施の形態2のレチクル108IIと略同じである。ただし、実施の形態4の周辺パターン104は、実施の形態2の周辺パターン104より短いことが好ましい。
【0129】
周辺パターン104を短くすると、リング部の間隔を広くできる。その結果、スクライブ・ライン33の幅を十分に確保することができる。
【0130】
(2)感光工程
図23〜26は、実施の形態4の感光工程の一例を説明する図である。
【0131】
図23(a)〜図26(p)には、実施の形態4で用いる結像パターン406a〜406pが結像順に示されている。図26(q)には、実施の形態4で感光する、第1感光領域110aおよび第2感光領域410bが示されている。
【0132】
実施の形態4では、実施の形態2と同様の手順により、複数列に配置された第1感光領域110aを感光する。具体的は、第1又は第2周辺パターン104a,104bを遮光しつつ第3又は第4周辺パターン104c,104dを遮光して、レチクル・パターン(結像パターン406a〜406p)をフォトレジスト膜8に結像する。
【0133】
実施の形態4では更に、実施の形態3と同様の方法により、互いに離隔した第2感光領域410bを感光させる。具体的には、回路パターン102に対応する回路部分307(図23(a)参照)の間隔を横方向だけでなく縦方向でも変化させる。
【0134】
以上の手順により、複数列に配置された第1感光領域110a(図26(q)参照)と、互いに離隔した第2感光領域410bとを感光させる。
【0135】
実施の形態4によれば、複数列に配置された第1感光領域110aが感光されるので、実施の形態1より大規模な半導体装置を形成することができる。更に実施の形態4によれば、互いに離隔した第2感光領域410bが感光されるので、スクライブによりリング部に切断面が生じことはない。従って、半導体装置の耐湿性が、実施の形態2の半導体装置より向上する。
【0136】
(実施の形態5)
実施の形態5では、第5周辺パターンを有するレチクルを用いて、複数の第1感光領域110aと、なだらかな四隅を有する第2感光領域とを感光させる。実施の形態5は、この工程およびレチクルを除けば実施の形態3と略同じである。従って、実施の形態3と同じ工程等については、説明を省略または簡単にする。
【0137】
(1)レチクル
図27は、実施の形態5のレチクル108Vを説明する図である。図27(a)は、レチクル108Vの平面図である。
【0138】
実施の形態5のレチクル108Vは、実施の形態3のレチクルにおいて更に、第5周辺パターン104e(図27(a)参照)を有するレチクルである。第5周辺パターン104eは、回路パターン102の中心から見て隣接する周辺パターン同士の間に位置するパターンである。実施の形態5の周辺パターン104は、それぞれが平行移動することで、回路パターン102を隙間なく囲うパターン群である。
【0139】
具体的には、第1〜第4周辺パターン104a〜104dが実施の形態2と同様に第1〜第4平行移動したと仮定する。図27(b)には、第1〜第4平行移動後の第1〜第4周辺パターン120a〜120dが示されている。
【0140】
更に第5周辺パターン104e(図27(b)参照)が、回路パターン102を乗り越えて第5平行移動122eしたと仮定する。すると第1〜第5平行移動後の周辺パターン104は、図27(b)に示すように、回路パターン102を隙間なく囲う。
【0141】
(2)感光工程
図28〜31は、実施の形態5の感光工程を説明する図である。図28のパターン529a,529bは、レチクル108V(図27参照)を透過した露光光56をフォトレジスト膜8に結像することで生じる結像パターンである。
【0142】
図28(a)のパターン529aは、第1周辺パターン104aと第1周辺パターン104aに隣接する第5周辺パターン104eとを遮光した場合に生じる結像パターンである。図28(b)のパターン529bは、第2周辺パターン104bと第2周辺パターン104bに隣接する第5周辺パターン104eとを遮光した場合に生じる結像パターン529bである。結像パターン529a,529bは、複数の周辺パターン104のうちの遮光されない周辺パターンと回路パターン102とに対応するパターンである。
【0143】
図29(a)〜図31(l)には、レチクル108Vの結像パターン506a〜506lが結像順に示されている。
【0144】
実施の形態5の感光工程では、第2感光領域510b(図31(m)参照)うち第1〜第4周辺パターン104a〜104dに対応する領域522a〜522dの間の隙間を、第5周辺パターン104eに対応する結像パターンで感光する。具体的には、図29(a)〜図31(l)に示す結像パターン524I〜524IVにより、該隙間を感光する。
【0145】
具体的には、1番目の結像(図29(a)参照)により、第2周辺パターン104bに対応する領域522b(図31(m)参照)と第4周辺パターン104dに対応する領域522dの隙間を感光する。1番目の結像パターン506aは、図28(a)に示す結像パターン529aである。
【0146】
更に3番目の結像(図29(c)参照)により、第2周辺パターン104bに対応する領域522b(図31(m)参照)と第3周辺パターン104cに対応する領域522cの隙間を感光する。3番目の結像パターン506cは、図28(a)に示す結像パターン529aである。
【0147】
更に10番目の結像(図31(j)参照)により、第1周辺パターン104aに対応する領域522a(図31(m)参照)と第3周辺パターン104cに対応する領域522cの隙間を感光する。10番目の結像パターン506jは、図28(b)に示す結像パターン529bである。
【0148】
更に12番目の結像(図31(l)参照)により、第1周辺パターン104aに対応する領域522a(図31(m)参照)と第4周辺パターン104dに対応する領域522dの隙間を感光する。12番目の結像パターン506lは、図28(b)に示す結像パターン529bである。
【0149】
以上の手順により、複数の第1感光領域110aと、なだらかな四隅を有する第2感光領域510bとを感光させる。
【0150】
実施の形態5によれば、第2感光領域510bの四隅がなだらかになするので、リング部の四隅で発生する欠陥が減少する。その結果、半導体装置の信頼性が向上する。第5周辺パターン104eの隣接する周辺パターンに対する傾斜角度は、好ましくは40°〜50°である。
【0151】
(3)変形例
(3−1)変形例1
図32は、実施の形態5の変形例1を説明する図である。図23〜31に示す例では、横一列に配置され第1感光領域110aと第2感光領域510bとを感光する(図31(m)参照)。一方、変形例1によれば、2行2列に配置された第1感光領域110aと第2感光領域510b1とを感光することができる(図32(e)参照)。
【0152】
変形例1で使用するレチクルは、図27(a)に示すレチクル108Vと同じものである。変形例1では、図32(a)〜(d)に示す4種類の結像パターンを用いて、2行2列に配置された第1感光領域110aと第2感光領域510b1とを感光させる。
【0153】
変形例1によれば、リング部の四隅で発生する欠陥が抑制され更に図23〜31に示す例より大規模な半導体装置を形成することができる。
【0154】
(3−2)変形例2
図33は、実施の形態5の変形例2を説明する図である。変形例1では、2行2列に配置された第1感光領域110aと第2感光領域510b2とを感光する(図32(e)参照)。一方、変形例2によれば、2行3列に配置された第1感光領域110aと第2感光領域510b2とを感光することができる(図32(g)参照)。
【0155】
変形例2で使用するレチクルは、図27(a)に示すレチクル108Vと同じものである。変形例2では、図33(a)〜(f)に示す6種類の結像パターンを用いて、2行3列に配置された第1感光領域110aと第2感光領域510b2とを感光させる。
【0156】
変形例2によれば、リング部の四隅で発生する欠陥が抑制され更に変形例1より大規模な半導体装置を形成することができる。
【0157】
(3−3)変形例3
図34は、実施の形態5の変形例3を説明する図である。図34(a)には、変形例3で使用するレチクルが示されている。図34(b)〜(c)には、変形例3で用いる2種類の結像パターンが示されている。
【0158】
変形例3の第3〜第4周辺パターン104c,104dは、図27(a)に示す第3〜第4周辺パターン104c,104dより回路パターン102の近くに配置されている。変形例3の周辺パターン104は、第1及び第2周辺パターン104a,104bが夫々第1及び第2平行移動し更に第5周辺パターン104eが第5平行移動122eするだけで、回路パターン102を隙間なく囲うパターンである。
【0159】
第1及び第2平行移動122a,122bは、図6(b)を参照して説明した平行移動である。第5平行移動122eは、図27(b)を参照して説明した平行移動である。
【0160】
変形例3では、図34(b)〜(c)に示す結像パターンを用いて、図31(m)の第1〜第2感光領域と略同じ領域を感光する。第2感光領域の四隅は、図29(a)〜図31(l)に示す例と同じ手順により感光する。図34(b)の結像パターンは、第1周辺パターン104aと第1周辺パターン104aの上下に位置する第5周辺パターン104eとを遮光した場合に生じる結像パターンである。図34(c)の結像パターンは、第2周辺パターン104bと第2周辺パターン104bの上下に位置する第5周辺パターン104eとを遮光した場合に生じる結像パターン529bである。
【0161】
変形例3では、図34(b)の結像パターンにより、第2感光領域の左上と左下の隅を感光する。更に図34(c)の結像パターンにより、第2感光領域の右上と右下の隅を感光する。
【0162】
変形例3によれば、図27とは異なるレチクルにより、図29図31の方法により得られる半導体装置と略同じ半導体装置を製造することができる。
【0163】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施の形態1〜5は、例示であって制限的なものではない。例えば、実施の形態1〜5のリング部は、耐湿リング(層間絶縁膜の端面から配線層(または、ビア層)に侵入する水分を抑制するリング)である。
【0164】
しかし実施の形態1〜5のリングは、耐湿リング以外のリング部であってもよい。例えば、実施の形態1〜5のリングは、半導体基板のダイシングの際に発生するクラックを抑制するクラック抑制リングであってもよい。
【0165】
或いは実施の形態1〜5のリングは、半導体基板の空乏層の拡大を抑制するガードリングであってもよい。この場合、回路パターン102は半導体デバイスに対応するパターンであり、レチクル108I等を用いて形成するレジスト・パターンは、例えばイオン注入用のマスクである。
【0166】
以上の実施の形態1〜5に関し、更に以下の付記を開示する。
【0167】
(付記1)
集積回路に対応する回路パターンと前記回路パターンの少なくとも四方に配置された複数の周辺パターンとを有する1枚のレチクルを用い、前記複数の周辺パターンのうち少なくとも一つのパターンを遮光して、前記複数の周辺パターンのうち遮光しないパターンと前記回路パターンとに対応する結像パターンをフォトレジスト膜に結像する工程を有し、前記結像する工程を複数回行いつつ前記遮光するパターンを変更することで、前記フォトレジスト膜のうち夫々が前記回路パターンに対応する複数の第1感光領域と前記複数の周辺パターンに対応し前記複数の第1感光領域を隙間なく囲う第2感光領域とを感光させる工程と、
前記感光させる工程の後、前記フォトレジスト膜を現像して、現像された前記フォトレジスト膜を有するマスクを形成する工程とを有する
半導体装置の製造方法。
【0168】
(付記2)
前記複数の周辺パターンは、第1周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第1周辺パターンに対向する第2周辺パターンとを有し、
前記複数の周辺パターンは、少なくとも前記第1周辺パターンが前記第2周辺パターンと前記回路パターンとの間に第1平行移動し更に前記第2周辺パターンが前記第1平行移動前の前記第1周辺パターンと前記回路パターンの間に第2平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うパターン群であり、
前記感光させる工程は、前記第1周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記第2感光領域のうち第1部分を感光させる工程と、前記第1周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記複数の第1感光領域に含まれ、前記第2感光領域のうち前記複数の第1感光領域を挟んで前記第1部分に対向する第2部分に隣接する第2領域を感光させる工程と、前記第2周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記複数の第1感光領域のうち前記第1部分に隣接する第1領域を感光させる工程と、前記第2周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記第2感光領域のうち前記第2部分を感光させる工程とを
有することを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0169】
(付記3)
前記複数の周辺パターンは更に、前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンと異なる第3周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第3周辺パターンに対向する第4周辺パターンとを有し、
前記複数の周辺パターンは、少なくとも、前記第1平行移動および前記第2平行移動が行われ更に前記第3周辺パターンが前記第4周辺パターンと前記回路パターンとの間に第3平行移動し更に前記第4周辺パターンが前記第3平行移動前の前記第3周辺パターンと前記回路パターンの間に第4平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うパターン群であり、
前記感光させる工程は、前記第3周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記第2感光領域のうち前記第1部分および前記第2部分とは異なる第3部分を感光させる工程と、
前記第3周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記複数の第1感光領域に含まれ、前記第2感光領域のうち前記複数の第1感光領域を挟んで前記第3部分に対向する第4部分に隣接する第4領域を感光させる工程と、
前記第4周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記複数の第1感光領域のうち前記第3部分に隣接する第3領域を感光させる工程と、
前記第4周辺パターンを遮光して前記結像パターンを前記フォトレジスト膜に結像することで、前記第2感光領域のうち前記第4部分を感光させる工程とを
有することを特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
【0170】
(付記4)
前記感光させる工程は、前記結像する工程を複数回行いつつ前記遮光するパターンを変更し更に前記結像パターンのうち前記回路パターンに対応する部分の間隔を変化させることで、前記第1部分を感光させる前記結像パターンのうち前記第2周辺パターン以外の部分に対応する領域が前記第2感光領域から離隔し更に前記第2部分を感光させる前記結像パターンのうち前記第1周辺パターン以外の部分に対応する領域が前記第2感光領域から離隔するように、前記複数の第1感光領域と前記第2感光領域とを感光させる工程であることを
特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
【0171】
(付記5)
前記複数の周辺パターンは更に、前記回路パターンの中心から見て隣接する周辺パターン同士の間に位置する第5周辺パターンを有し、少なくとも前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンがそれぞれ前記第1平行移動及び前記第2平行移動し更に、前記第5周辺パターンが前記回路パターンを乗り越えて第5平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うパターン群であり、
前記感光させる工程は更に、前記第2感光領域のうち前記第5周辺パターン以外の前記複数の周辺パターンに対応する領域間の隙間を、前記第5周辺パターンに対応する結像パターンで感光する工程を有することを
特徴とする付記4に記載の半導体装置の製造方法。
【0172】
(付記6)
集積回路に対応する回路パターンと、
前記回路パターンに沿って配置された第1周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第1周辺パターンに対向する第2周辺パターンとを有し、少なくとも前記第1周辺パターンが前記第2周辺パターンと前記回路パターンとの間に第1平行移動し更に前記第2周辺パターンが前記第1平行移動前の前記第1周辺パターンと前記回路パターンの間に第2平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲う複数の周辺パターンとを有する
レチクル。
【0173】
(付記7)
前記複数の周辺パターンは更に、前記回路パターンに沿って配置され前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンとは異なる第3周辺パターンと、前記回路パターンを挟んで前記第3周辺パターンに対向する第4周辺パターンとを有し、
前記複数の周辺パターンは、少なくとも、前記第1平行移動および前記第2平行移動が行われ更に前記第3周辺パターンが前記第4周辺パターンと前記回路パターンとの間に第3平行移動し更に前記第4周辺パターンが前記第3平行移動前の前記第3周辺パターンと前記回路パターンの間に第4平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うことを
特徴とする付記6に記載のレチクル。
【0174】
(付記8)
前記複数の周辺パターンは更に、前記回路パターンの中心から見て隣接する周辺パターン同士の間に位置する第5周辺パターンを有し、少なくとも前記第1周辺パターンおよび前記第2周辺パターンがそれぞれ前記第1平行移動及び前記第2平行移動し更に、前記第5周辺パターンが前記回路パターンを乗り越えて第5平行移動することで、前記回路パターンを隙間なく囲うことを
特徴とする付記6又は7に記載のレチクル。
【符号の説明】
【0175】
8,8a,8b・・・フォトレジスト膜
102・・・回路パターン
104,304・・・周辺パターン
104a,304a・・・第1周辺パターン
104b,304b・・・第2周辺パターン
104c・・・第3周辺パターン
104d・・・第4周辺パターン
104e・・・第5周辺パターン
106a・・・結像パターン
108I〜108V・・・レチクル
110a・・・第1感光領域
110b,210b,310b,410b,510b,510b1,510b2・・・第2感光領域
112a,212a,312a・・・第1部分
112b,212b,312b・・・第2部分
212c・・・第3部分
212d・・・第4部分
122a〜122e・・・第1平行移動〜第5平行移動
307a〜307d・・・回路部分
308a〜308d・・・第3周辺パターンに対応する領域
309a〜309d・・・第4周辺パターンに対応する領域
522a〜522d・・・第1〜第4周辺パターンに対応する領域
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