特許第6477068号(P6477068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6477068
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20190225BHJP
【FI】
   H02G7/00
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-50590(P2015-50590)
(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2016-171695(P2016-171695A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 茂宏
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−217234(JP,A)
【文献】 特開平11−098665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に装着された防護管が所定位置に固定されるように、前記防護管の端部における前記電線に着脱可能に取り付けられる保持具であって、
前記電線と対向する面に第1斜面を有し、前記電線を挟持する挟持部と、
前記挟持部に挟持された前記電線が軸方向のうち第1方向に移動しないように、前記第1斜面と前記電線との間の隙間に挿入されるくさび部材と、
前記挟持部から延在し、前記挟持部が前記電線を挟持した状態において、前記防護管の先端を前記電線に向かって押圧するアームと、
を備えたことを特徴とする保持具。
【請求項2】
前記挟持部は、前記電線の軸方向に沿って前記第1斜面とともに形成される第2斜面を更に有し、
前記くさび部材は、前記電線が前記第1方向とは反対の第2方向に移動しないように、前記第2斜面と前記電線との間の隙間に挿入される
ことを特徴とする請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記第1斜面と前記第2斜面とは、前記電線の軸方向に沿って互いに反対側を向くとともに離間して配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の保持具。
【請求項4】
前記第1斜面と前記第2斜面とは、前記挟持部における前記電線の軸方向の両端部にそれぞれ設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記第1斜面と前記第2斜面とは、前記電線の前記軸方向に沿って互いに向き合うように配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の保持具。
【請求項6】
前記第1斜面と前記第2斜面とは連続する
ことを特徴とする請求項5に記載の保持具。
【請求項7】
前記くさび部材は、前記電線の前記軸方向に沿って互いに向かい合う1対の斜面と、前記1対の斜面同士を繋ぐ平板状の接続部を有し、
前記第1及び第2斜面は前記くさび部材の前記1対の斜面に対向し、
前記挟持部は、前記接続部に対向する連結部を更に有する
ことを特徴とする請求項2に記載の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に装着される防護管等を所定の位置に固定する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
架空電線付近で作業が行われる場合、作業用設備の接触によって電線が損傷したり、作業者が電線に接触して感電したりすることを防止するため、電線に防護管が装着される。かかる防護管が電線に対して移動するのを防止するべく、防護管の端部を係止するとともに電線を挟持する電線防護管の係止具が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−217234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような係止具は、防護管の移動を防止するべく、電線を挟持具で挟み込んだうえで挟持具を締め付けている。つまり、締付け力を用いて防護管の移動防止を図っている。しかし、締付け力が不足すると、係止具が電線に対して移動する。また、緩み等に伴う締付け力の減少によって、係止具が移動することがある。このようにして係止具が移動すると、防護管が移動し、その結果、防護されるべき箇所が露出されたり、建築作業の安全性の低下や樹木接触箇所が発生したりするなど、不適切な状態が生ずる。また、防護管の落下の原因に繋がりかねない。
【0005】
そこで、本発明は、防護管等を電線における所定の箇所に確実に固定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、電線に装着された防護管が所定位置に固定されるように、前記防護管の端部における前記電線に着脱可能に取り付けられる保持具であって、前記電線と対向する面に第1斜面を有し、前記電線を挟持する挟持部と、前記挟持部に挟持された前記電線が軸方向のうち第1方向に移動しないように、前記第1斜面と前記電線との間の隙間に挿入されるくさび部材と、前記挟持部から延在し、前記挟持部が前記電線を挟持した状態において、前記防護管の先端を前記電線に向かって押圧するアームと、を備える
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、防護管等を電線における所定の箇所に確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態における保持具を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示される保持具の端面図である。
図3】本発明の第2実施形態における保持具を概略的に示す斜視図である。
図4図3に示される保持具の端面図である。
図5】本発明の第3実施形態における保持具の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
本発明に係る保持具が適用される典型例として、保持具が電線防護管の移動を規制するために使用される場面を説明する。もっとも、本発明に係る保持具は、電線に装着される防護管以外の物が移動しないように固定するために使用され得る。なお、以下の説明では、Z軸を鉛直方向、Y軸を電線の軸方向、X軸をY軸及びZ軸に直交する方向を示すものとする。
【0012】
===第1実施形態===
図1図2を参照して、第1実施形態に係る保持具を説明する。図1は、第1実施形態における保持具を概略的に示す斜視図である。図2は、電線500を通りYZ平面に平行な平面で図1の保持具を切断した端面図である。図2では、見やすさを考慮して、くさび部材140だけにハッチングを施している。
【0013】
<<保持具の構成>>
第1実施形態に係る保持具100は、電線500の所定位置に着脱可能に取り付けられる固定具であって、図1に示されるように、挟持部110、くさび部材141,142、アーム131,132を備えている。
【0014】
挟持部110は、電線を挟持する部材であって、第1挟持部材111、第2挟持部材112、締付け部120を有している。第1挟持部材111と第2挟持部材112とは、電線500を互いに反対側(たとえばZ軸の正及び負の側)から挟持する部材である。締付け部120は、第1挟持部材111に対して第2挟持部材112を接近させたり遠ざけたりするための部材であって、先端に形成された操作部と、操作部から伸びたネジ部と、から構成される。ネジ部は、操作部とは反対側の端部において第1挟持部材111に回動自在に取り付けられるとともに、第2挟持部材112に設けられた孔(図示せず)の内周面に形成された溝と係合する。したがって、操作部をある方向に回転させると、第2挟持部材112が第1挟持部材111に接近し、操作部を反対方向に回転させると、第2挟持部材112は第1挟持部材111から遠ざかる。かかる機構によって、保持具100による電線500の挟持が可能となる。なお、操作部の底面(Z軸の負側の面)には、間接活線作業を容易にするため、ヤットコの先端部の挿入口が設けられてもよい。
【0015】
くさび部材141,142は、一端から他端に向かって厚みを増す板状の部材であり、斜面141a,142aを有する。くさび部材141,142は、金属部材でもよいし、電線を傷つけないように樹脂部材でもよいが、電線500との間に大きな摩擦力を生じさせるような材料で作製されることが好ましい。また、本実施形態において、くさび部材は2個であるが、1個でもよいし、あるいは3個以上でもよい。くさび部材141,142は、後述するように、第1、第2斜面113,114と電線500との間に形成された隙間に挿入される。
【0016】
ここで、第1挟持部材111において電線500に対向する面は、挟持された電線500が外れずに安定的に保持されるように、半円筒状を呈している。そして、第1挟持部材111において電線500に対向する面には、くさび部材141,142の斜面141a,142aに対向する第1、第2斜面113,114が形成されている。第1、第2斜面113,114は、挟持部110が電線500を挟持した状態において、電線500との間に隙間を形成する。くさび部材141,142の斜面141a,142aが第1、第2斜面113,114とそれぞれ対向するように、上述した隙間にくさび部材141,142が挿入される。そして、くさび部材141,142が挟持部110と電線500との間に食い込むことによって、電線500の軸方向への移動が規制されることになる。具体的には、くさび部材141は、電線500がY軸の負の方向へ移動すること(あるいは、保持具100がY軸の正の方向へ移動すること)を規制し、くさび部材142は逆に、電線500がY軸の正の方向へ移動すること(あるいは、保持具100がY軸の負の方向へ移動すること)を規制する。
【0017】
本実施形態において、第1、第2斜面113,114は、図2に示されるように、電線500の軸方向に沿って互いに反対側を向くとともに、離間して配置されている。また、第1、第2斜面113,114は、第1挟持部材111におけるY軸方向の両端部にそれぞれ設けられる。それゆえ、上述したくさび部材141,142の挿入が可能となるとともに、挿入されたくさび部材141,142同士は干渉しない。
【0018】
もっとも、第1、第2斜面113,114は、第1挟持部材111におけるY軸方向の両側面の内側に設けられてもよい。この場合、くさび部材141,142は、挟持部110が電線500を挟持する前に、第1、第2斜面113,114によって形成されている窪みに挿入される必要がある。また、第1、第2斜面113,114は互いに離間して配置される必要はなく、第1、第2斜面113,114の先端部同士が重なってもよい。この場合、挟持部110が電線500を挟持する前に、第1、第2斜面113,114のいずれかによって形成された空間に1つのくさび部材を挿入することで、電線500の軸方向のうち一方向への移動を規制することができる。
【0019】
アーム131,132は、防護管600の電線500上の位置を保持するための部材である。具体的に、アーム131,132は、図1図2に示されるように、挟持部110の頂部からY軸方向に沿って互いに反対向きに延在し、挟持部110が電線500を挟持した状態において、電線500に装着された防護管600の先端を電線500に向かって押圧する。アームは2本である必要はなく、1本でもよい。さらには、保持具100は、アームを有していなくてもよい。この場合、防護管600は、防護管600の両端部が2台の保持具100で挟み込まれることで、電線500上の所定の位置に保持される。
【0020】
<<保持具の使用>>
保持具100は、次のようにして使用される。
まず、第1挟持部材111の先端と第2挟持部材112の先端との間の隙間から電線500を挟持部110の内側に挿入する。併せて、電線500に防護管600を装着する。次いで、防護管600を、防護すべき電線500の箇所に位置決めしたうえで、保持具100のアーム(ここでは132)の先端部が、防護管600の先端部の上(Z軸の正側)に配置されるように、保持具100を位置決めする。そして、締付け部120の操作部を所定の方向に回転させて第1挟持部材111と第2挟持部材112とを接近させ、第1挟持部材111と第2挟持部材112とで電線500を挟み込む。その後、くさび部材141,142を、斜面141a,142aと第1、第2斜面113,114とが対向する状態で、第1、第2斜面113,114と電線500とで形成された隙間に挿入する。
【0021】
かかる保持具100によって、電線500の軸方向(少なくとも1方向)への移動が規制される。特に、たとえば挟持部110が金属部材であって、電線500との間の摩擦力が比較的小さい場合にも、保持具100は有効である。また、挟持部110による電線500の締付け力が何らかの理由で減少しても、くさび部材141,142が電線500の移動を引き続き規制する。したがって、防護管600の移動や脱落による危険の発生を抑制することが可能である。
【0022】
その結果、作業者は、防護管600の移動や脱落を心配するあまり電線500を過度に締め付けることがない。よって、作業によって電線500を傷付けるおそれがないし、労力軽減に繋がる。このことは、作業効率及び作業品質の向上に資する。
【0023】
===第2実施形態===
図3図4を参照して、第2実施形態に係る保持具を説明する。図3は、第2実施形態における保持具を概略的に示す斜視図である。図4は、電線500を通りYZ平面に平行な平面で図1の保持具を切断した端面図である。図4では、見やすさを考慮して、くさび部材240だけにハッチングを施している。
【0024】
第2実施形態に係る保持具200は、図3に示されるように、挟持部210、くさび部材240、アーム231,232を備えている。挟持部210は、後述するくさび部材240に関連する部分を除き、第1実施形態における挟持部110と共通するので、かかる共通部分に関する説明は省略される。また、アーム231,232は、第1実施形態におけるアーム131,132と同様であるので、説明は省略される。
【0025】
くさび部材240について説明すると、くさび部材240は、図4に示されるように、電線500の軸方向(Y軸方向)に沿って互いに向かい合う1対の斜面240a,240bと、1対の斜面同士を繋ぐ平板状の接続部204cを有している。くさび部材240は、第1実施形態に係るくさび部材140と同様に、金属部材でもよいし、樹脂部材でもよいが、電線500との間に大きな摩擦力を生じさせるような材料で作製されることが好ましい。
【0026】
挟持部210の第1挟持部材211には、このようなくさび部材240を受け入れるべく、くさび部材240の1対の斜面240a,240bに対向する第1及び第2斜面213,214と、くさび部材240の接続部240cに対向する連結部215と、が形成されている。
【0027】
このような保持具200の使用方法は、第1実施形態とほぼ同様である。ただし、電線500が保持具200によって挟持されると、その後にくさび部材240を挿入することはできないので、保持具200を電線500に装着するとともに、くさび部材240を第1挟持部材211と電線500との間に配置したうえで、締め付け部220で電線500を締め付ける必要がある。
【0028】
かかる保持具200によって、電線500の軸方向(両方向)への移動が確実に規制される。特に、たとえば挟持部210が金属部材であって、電線500との間の摩擦力が比較的小さい場合にも、保持具200は有効である。また、挟持部210による電線500の締付け力が何らかの理由で減少しても、くさび部材240は電線500の移動を引き続き規制する。したがって、防護管600の移動や脱落による危険の発生を抑制することが可能である。
【0029】
===第3実施形態===
図5を参照して、第3実施形態に係る保持具300を説明する。図5は、電線500を通りYZ平面に平行な平面で保持具300を切断した端面図である。図5では、見やすさを考慮して、くさび部材340だけにハッチングを施している。
【0030】
第3実施形態に係る保持具300もまた、上述した第1,第2実施形態に係る保持具100,200と同様に、挟持部310、くさび部材340、アーム331,332を備えている。挟持部310は、後述するくさび部材340に関連する部分を除き、第1実施形態における挟持部110と同様であるので、同様な部分に関する説明は省略される。また、アーム331,332は、第1実施形態におけるアーム131,132と同様であるので、やはり説明は省略される。
【0031】
第3実施形態では、第1、第2斜面313,314は、電線500の軸方向に沿って互いに向き合うように配置されている。また、第1斜面313と第2斜面314とは連続している。かかる第1、第2斜面313,314に対応して、くさび部材340は斜面340a,340bを持ち、その端面の形状は、図5に示されるように2等辺三角形状である。このようなくさび部材340は、第1、第2斜面313,314によって形成される空間に挿入される。もっとも、第1実施形態で使用されるくさび部材の両方又は一方が、第1、第2斜面313,314によって形成される空間に挿入されてもよい。第1実施形態に係るくさび部材の一方が、第1、第2斜面313,314によって形成される空間に挿入されると、そのくさび部材の向きに応じて、電線500が軸方向の1方向に移動することが規制されることとなる。なお、くさび部材340が第1、第2斜面313,314によって形成される空間から離れないように、くさび部材340は第1,第2斜面131,314における所定の箇所に紐などで結ばれてもよい。
【0032】
第3実施形態に係る保持具300の使用方法もまた第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略される。ただし、電線500が保持具300によって挟持されると、その後にくさび部材340を挿入することはできないので、保持具300を電線500に装着するとともに、くさび部材340を第1挟持部材311と電線500との間に配置したうえで、締め付け部320で電線500を締め付ける必要がある。あるいは、上述したようにくさび部材340が第1,第2斜面131,314に紐などで結ばれている場合には、電線500が保持具300によって挟持されると、くさび部材340が電線500と挟持部310との間に挟まれることになる。つまり、くさび部材340を第1挟持部材311と電線500との間に配置する作業は不要である。
【0033】
かかる保持具300によって、電線500の軸方向(両方向)への移動が確実に規制される。特に、たとえば挟持部310が金属部材であって、電線500との間の摩擦力が比較的小さい場合にも、保持具300は有効である。また、挟持部310による電線500の締付け力が何らかの理由で減少しても、くさび部材340は電線500の移動を引き続き規制する。したがって、防護管600の移動や脱落による危険の発生を抑制することが可能である。
【0034】
以上説明したように、電線500の所定位置に着脱可能に取り付けられる保持具100であって、電線100を挟持する挟持部110と、斜面を有するくさび部材141と、を備える。挟持部110は、電線500が軸方向のうち第1方向に移動しないように、電線500に対向する面に、くさび部材141の斜面に対向する第1斜面113を有する。かかる実施形態によれば、電線500の軸方向(少なくとも1方向)への移動が規制される。また、挟持部110による電線500の締付け力が何らかの理由で減少しても、くさび部材141は電線500の移動を引き続き規制する。したがって、防護管600の移動や脱落による危険の発生を抑制することが可能である。その結果、作業者は、防護管600の移動や脱落を心配するあまり電線500を過度に締め付けることがない。よって、作業において電線500を傷付けるおそれがないし、労力軽減に繋がる。このことは、作業効率及び作業品質の向上に資する。
【0035】
また、挟持部110は、電線が第1方向とは反対の第2方向に移動しないように、電線500に対向する面に、さび部材142の斜面に対向する第2斜面114を更に有することが好ましい。かかる実施形態によれば、電線500の軸方向(両方向)への移動が規制される。このことは、作業効率及び作業品質の向上に繋がる。
【0036】
また、第1斜面113と第2斜面114とが、電線500の軸方向に沿って互いに反対側を向くとともに、離間して配置されることで、挿入されたくさび部材141,142同士が干渉し合うことがないため、電線500の軸方向(両方向)への移動が確実に規制される。
【0037】
また、第1斜面113と第2斜面114とが、挟持部110における電線500の軸方向の両端部にそれぞれ設けられることで、保持具110が電線500を挟持した後に、第1及び第2斜面113,114と電線500とによって形成された空間にくさび部材141,142を挿入することができるから、作業効率が向上する。
【0038】
また、第1斜面313と第2斜面314とは、電線500の軸方向に沿って互いに向き合うように配置されるとともに、連続することが好ましい。かかる実施形態によれば、くさび部材340は保持具300の外部から接触され得ないから、くさび部材340の意図しない脱落を防止することができる。このことは、電線500が移動することを確実に規制することに繋がる。
【0039】
また、くさび部材240は、電線50の軸方向に沿って互いに向かい合う1対の斜面と、1対の斜面同士を繋ぐ平板状の接続部を有し、第1及び第2斜面213,214はくさび部材240の1対の斜面に対向し、挟持部210は、接続部に対向する連結部215を更に有する。かかる実施形態によれば、1つのくさび部材240によって、電線500が軸方向における両方向に移動することを規制することができる。
【0040】
また、保持具100(200,300)は、挟持部110(210,310)から延在し、挟持部110(210,310)が電線500を挟持した状態において、電線500に装着された防護管600の先端を電線500に向かって押圧するアーム131,132(231,232,331,332)を更に有することが好ましい。かかる実施形態によれば、防護管600を電線500に向かって押圧する機能と、電線500を挟持する機能とを、アーム131,132(231,232,331,332)と挟持部110(210,310)とで分担することができるから、電線500の移動を防止して、防護管600を電線500上の所定位置で確実に固定することが可能となる。
【0041】
なお、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0042】
100,200,300 保持具
110,210,310 挟持部
111,211,311 第1挟持部材
112,212,312 第2挟持部材
113、213,313 第1斜面
114、214,314 第2斜面
120,220 締付け部
131、132,231,232,331,332 アーム
141、142,240,340 くさび部材
141a、142a,240a,240b,340a,340b 斜面
500 電線
600 防護管
図1
図2
図3
図4
図5