(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機(8)と、室外熱交換器(11)と、膨張機構(12)と、室内熱交換器(32)と、が接続され、冷媒を循環させることで少なくとも暖房運転を実行可能な冷媒回路(6)と、
所定前提状況になっていない場合には第1デフロスト開始条件を満たした場合に前記室外熱交換器(11)に付着した霜を融解させるデフロスト運転を開始させ、前記所定前提状況になっている場合には前記第1デフロスト開始条件よりも条件が厳しい第2デフロスト開始条件を満たした場合に前記デフロスト運転を開始させる制御部(9)と、
を備え、
前記所定前提状況は、
前記暖房運転の開始時において、最後の前記圧縮機(8)の停止時からの経過時間が所定経過時間以上である場合と、
前記暖房運転の開始時における時刻が所定時刻条件を満たす場合と、
前記暖房運転の開始時において、前記室外熱交換器(11)または前記室外熱交換器に接続された冷媒配管(19、20)の温度が所定温度以上である場合と、
前記暖房運転の開始時において、設定温度と室内温度の差が所定値以上である場合と、
前記暖房運転の開始から所定期間の経過後において、前記冷媒回路(6)における冷媒の状態が所定冷媒状態を満たす場合または設定温度と室内温度の差が所定値以上である場合と、
の少なくともいずれかの場合に満たす、
冷凍装置(1)。
前記第1デフロスト開始条件には、前記室外熱交換器(11)または前記室外熱交換器(11)と前記膨張機構(12)との間を繋ぐ冷媒配管(20)の温度が所定の第1温度以下になることが含まれており、
前記第2デフロスト開始条件には、前記室外熱交換器(11)または前記室外熱交換器(11)と前記膨張機構(12)との間を繋ぐ冷媒配管(20)の温度が前記第1温度よりも低い所定の第2温度以下になることが含まれている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の空気調和機では、外気温度と湿度が同じ条件であれば、デフロスト運転の開始条件における基準温度も同じ値となることになる。
【0005】
ところが、外気温度と湿度が同じ条件であったとしても、室外熱交換器の表面が乾いている状態では濡れている状態よりも霜の付着が進行しにくい場合がある。
【0006】
また、外気温度と湿度が同じ条件であったとしても、ユーザによっては、デフロスト運転を行うよりも暖房運転の継続を優先させて、室内の温度環境をより迅速に改善させたい場合もある。
【0007】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、暖房運転を継続して実行させやすい状況または継続して実行することが望まれると考えられる状況において、デフロスト運転を実行されにくくすることが可能な冷凍装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1観点に係る冷凍装置は、冷媒回路と、制御部と、を備えている。冷媒回路は、圧縮機と、室外熱交換器と、膨張機構と、室内熱交換器と、が接続されて構成されている。冷媒回路は、冷媒を循環させることで少なくとも暖房運転を実行可能である。制御部は、所定前提状況になっていない場合には第1デフロスト開始条件を満たした場合にデフロスト運転を開始させる。制御部は、所定前提状況になっている場合には第2デフロスト開始条件を満たした場合にデフロスト運転を開始させる。デフロスト運転は、室外熱交換器に付着した霜を融解させる運転である。第2デフロスト開始条件は、第1デフロスト開始条件よりも条件が厳しい。所定前提状況は、
暖房運転の開始時において、(1)最後の圧縮機の停止時からの経過時間が所定経過時間以上である場合と、(2)暖房運転の開始時における時刻が所定時刻条件を満たす場合と、(3)暖房運転の開始時において、室外熱交換器または室外熱交換器に接続された冷媒配管の温度が所定温度以上である場合と、(4)暖房運転の開始時において、設定温度と室内温度の差が所定値以上である場合と、(5)暖房運転の開始から所定期間の経過後において、冷媒回路における冷媒の状態が所定冷媒状態を満たす場合または設定温度と室内温度の差が所定値以上である場合と、の少なくともいずれかの場合に満たす。
【0009】
ここで、第2デフロスト開始条件が第1デフロスト開始条件よりも厳しいとは、第2デフロスト開始条件よりも第1デフロスト開始条件の方が成立しにくいことを意味する。なお、各デフロスト開始条件は複数種類の小条件の集合(いずれか1つでも満たした場合に成立する条件)であってもよく、その場合には、第1デフロスト開始条件と第2デフロスト開始条件は一部の同じ小条件を含んでいてもよい。当該条件の成立しにくさは、冷媒回路において暖房運転を行っている状態で判断することができる。
【0010】
なお、(4)の所定値と(5)の所定値とは、同じであっても異なっていてもよい。
【0011】
ここで、室外熱交換器の温度としては、特に限定されず、室外熱交換器における冷媒の出入口の間の部分の温度であってもよい。また、室外熱交換器に接続された冷媒配管の温度としては、室外熱交換器の冷媒流れにおける一方側に直接接続された冷媒配管の温度であってもよいし、他方側に直接接続された冷媒配管の温度であってもよい。
【0012】
圧縮機の停止状態が長時間続いた後である早朝等や設定温度と室内温度の乖離が大きい状況で暖房運転を開始させる場合には、圧縮機が停止してから長時間経過している可能性が高く、最後に圧縮機を運転させている際に室外熱交換器に霜が付着していたとしても、圧縮機が停止してしばらく時間が経過することで当該霜が溶け落ち、室外熱交換器の表面が乾いている可能性が高い。このように室外熱交換器の表面が乾いている状態から暖房運転を開始する場合には、暖房運転開始後にデフロスト運転を行って再度暖房運転に復帰させる際のような室外熱交換器の表面が濡れている場合と比べて、室外熱交換器に霜が付着しにくい。したがって、このような場合には暖房運転を継続して実行しやすい。
【0013】
ここで、暖房運転の開始時において、最後の圧縮機の停止時からの経過時間が所定経過時間以上である場合には、室外熱交換器の表面が乾いた状態になっていると推測されるため、デフロスト運転の開始条件をより厳しく設定して暖房運転を継続的に実行させたとしても、着霜による室外熱交換器の通過空気の圧力損失の上昇を抑え、室外熱交換器での蒸発能力を確保させやすくすることが可能になる。また、最後の圧縮機の停止時からの経過時間が所定経過時間以上である場合には、室内温度が低下し、設定温度からの乖離程度が大きくなりがちであるため、ユーザが寒く感じていると推測することができる。このようにユーザが暖房運転の継続を望むと考えられる状況で、デフロスト運転を抑制させつつ暖房運転を継続的に実行させて室内温度を高めることが可能になる。
【0014】
また、暖房運転の開始時における時刻が所定時刻条件を満たす場合、例えば、深夜は運転が停止されており早朝に暖房運転が開始されるような利用形態である場合に早朝の時間帯を所定時刻条件として設定しておいた場合には、室外熱交換器の表面が乾いた状態になっていると推測されるため、デフロスト運転の開始条件をより厳しく設定して暖房運転を継続的に実行させたとしても、着霜による室外熱交換器の通過空気の圧力損失の上昇を抑え、室外熱交換器での蒸発能力を確保させやすくすることが可能になる。また、所定時刻条件として、例えば早朝等の外気温が低下しがちである時間帯が設定されている場合には、室内温度が低下し、設定温度からの乖離程度が大きくなりがちであるため、ユーザが寒く感じていると推測することができる。このようにユーザが暖房運転の継続を望むと考えられる状況で、デフロスト運転を抑制させつつ暖房運転を継続的に実行させて室内温度を高めることが可能になる。
【0015】
また、暖房運転の開始時において、室外熱交換器または室外熱交換器に接続された冷媒配管の温度が所定温度以上である場合には、圧縮機が駆動して室外熱交換器が冷媒の蒸発器として機能することで室外熱交換器等の温度が低下していた状態から長い時間が経過し、例えば周囲温度程度まで温度が上昇しており、室外熱交換器の表面が乾いた状態になっていると推測することができる。このため、デフロスト運転の開始条件をより厳しく設定して暖房運転を継続的に実行させたとしても、着霜による室外熱交換器の通過空気の圧力損失の上昇を抑え、室外熱交換器での蒸発能力を確保させやすくすることが可能になる。また、室外熱交換器または室外熱交換器に接続された冷媒配管の温度が所定温度以上である場合には、最後に圧縮機が停止してから長い時間が経過することで、室内温度が低下し、設定温度からの乖離程度が大きくなりがちであるため、ユーザが寒く感じていると推測することができる。このようにユーザが暖房運転の継続を望むと考えられる状況で、デフロスト運転を抑制させつつ暖房運転を継続的に実行させて室内温度を高めることが可能になる。
【0016】
また、暖房運転の開始時において、設定温度と室内温度の差が所定値以上である場合には、ユーザが寒く感じていると推測することができる。このようにユーザが暖房運転の継続を望むと考えられる状況で、デフロスト運転を抑制させつつ暖房運転を継続的に実行させて室内温度を高めることが可能になる。
【0017】
また、暖房運転の開始から所定期間の経過後において冷媒回路における冷媒の状態が所定冷媒状態を満たす場合、例えば、暖房運転の開始から所定期間経過しても吐出冷媒の過熱度が所定値以上にならない場合には、冷媒が冷凍機油に溶け込んで寝込んだ状態になっていると推測することができるとともに、室外熱交換器の表面が乾いた状態になっていると推測することができる。このため、デフロスト運転の開始条件をより厳しく設定して暖房運転を継続的に実行させたとしても、着霜による室外熱交換器の通過空気の圧力損失の上昇を抑え、室外熱交換器での蒸発能力を確保させやすくすることが可能になる。また、暖房運転の開始から所定期間の経過後において冷媒回路における冷媒の状態が所定冷媒状態を満たす場合には、室内温度を上昇させることができず、ユーザが寒く感じていると推測することができる。ユーザが暖房運転の継続を望むと考えられる状況で、デフロスト運転を抑制させつつ暖房運転を継続的に実行させて室内温度を高めることが可能になる。
【0018】
また、暖房運転の開始から所定期間の経過後において設定温度と室内温度の差が所定値以上である場合には、暖房運転をしばらく行った後であっても室内温度が十分に上昇しておらず、ユーザが寒く感じていると推測することができる。このようにユーザが暖房運転の継続を望むと考えられる状況で、デフロスト運転を抑制させつつ暖房運転を継続的に実行させて室内温度を高めることが可能になる。
【0019】
以上のように、この冷凍装置では、暖房運転を継続して実行させやすい状況または継続して実行することが望まれると考えられる状況において、デフロスト運転が実行されにくくすることが可能になる。
【0020】
第
2観点に係る冷凍装置は、第1観点
に係る冷凍装置であって、制御部は、暖房運転中に、デフロスト運転を開始することなく、以下の(a)、(b)、(c)のいずれかの場合には、第2デフロスト開始条件を満たすか否かにかかわらず、強制的にデフロスト運転を開始させるか、第1デフロスト開始条件を満たした場合にデフロスト運転を開始させる。
(a)暖房能力が所定の能力低下条件を満たした場合
(b)圧縮機の信頼性に関する所定の信頼性条件を満たした場合
(c)暖房運転の負荷が所定の低負荷条件を満たした場合
【0021】
ここで、圧縮機の信頼性に関する所定の信頼性条件は、特に限定されないが、例えば、圧縮機が吸入する冷媒の過熱度または圧縮機から吐出される冷媒の過熱度が所定値以下になることで圧縮機において液冷媒が吸入されるおそれが生じている状況等で満たす条件である(なお、ここでの所定値についても、第
1観点に係る冷凍装置の(4)、(5)に記載の各所定値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。)。
【0022】
また、低負荷条件を満たす場合とは、特に限定されないが、室内温度と設定温度の差が所定値以下になった場合や室内温度が設定温度に達することで圧縮機を停止させた場合等が挙げられる(なお、ここでの所定値についても、第
1観点に係る冷凍装置の(4)、(5)に記載の各所定値や上記第
2観点に係る冷凍装置の所定の信頼性条件に関する所定値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。)。
【0023】
なお、この冷凍装置では、所定前提状況になっていない場合となっている場合のいずれであっても、上記(a)、(b)、(c)のいずれかの場合には、強制的にデフロスト運転を開始させるか、第1デフロスト開始条件を満たした場合にデフロスト運転を開始させる。すなわち、この冷凍装置では、所定前提状況になっていない場合となっている場合とでは、デフロスト運転を開始することに関する上記(a)、(b)、(c)のいずれかの条件については、条件の厳しさが同じであることになり、他の条件において厳しさが異なることになる。例えば、所定前提状況になっていない場合となっている場合のいずれであっても上記(a)暖房能力が所定の能力低下条件を満たした場合には室外熱交換器の温度が所定値以下になった場合にデフロスト運転を開始することとしている場合において、上記(a)暖房能力が所定の能力低下条件を満たさない場合には、「所定前提状況になっている場合のデフロスト開始条件における室外熱交換器の温度の閾値」を「所定前提状況になっていない場合の室外熱交換器の温度の閾値」よりも低くしている場合が挙げられる。
【0024】
この冷凍装置のうち(a)が適用される冷凍装置では、所定前提状況になっている場合であっても、継続的な暖房運転により室外熱交換器に霜が付着することで暖房能力が低下して、所定の能力低下条件を満たした場合には、強制的にデフロスト運転を開始させるか、より条件が満たされやすい第1デフロスト開始条件に条件変更してデフロスト運転を開始させやすくすることができる。これにより、所定前提状況になっている場合であっても、暖房能力が低下し過ぎることを抑制することが可能になる。
【0025】
また、この冷凍装置のうち(b)が適用される冷凍装置では、所定前提状況になっている場合であっても、圧縮機の吸入冷媒または吐出冷媒の過熱度が小さくなることで、圧縮機の信頼性に関する所定の信頼性条件を満たした場合には、強制的にデフロスト運転を開始させるか、より条件が満たされやすい第1デフロスト開始条件に条件変更してデフロスト運転を開始させやすくすることができる。これにより、所定前提状況になっている場合であっても、圧縮機の信頼性を確保しやすくすることが可能になる。
【0026】
また、この冷凍装置のうち(c)が適用される冷凍装置では、所定前提状況になっている場合であっても、暖房運転の負荷が小さく、暖房運転の負荷が所定の低負荷条件を満たした場合には、強制的にデフロスト運転を開始させるか、より条件が満たされやすい第1デフロスト開始条件に条件変更してデフロスト運転を開始させやすくすることができる。これにより、暖房運転の負荷が小さいようなユーザが寒いと感じにくい状況では、所定前提状況になっている場合であっても、デフロスト運転を行いやすくすることで、室外熱交換器の蒸発能力を改善させることが可能になる。
【0027】
以上のように、この冷凍装置では、デフロスト運転を行うことなく暖房運転を継続させ過ぎることにより生じうる不具合として、暖房能力の低下、圧縮機の信頼性の低下、室外熱交換器の蒸発能力の低下の少なくともいずれかを改善させることが可能になる。
【0028】
第
3観点に係る冷凍装置は、第
2観点に係る冷凍装置であって、暖房能力が所定の能力低下条件を満たした場合とは、以下の(a1)、(a2)、(a3)の少なくともいずれかである。
(a1)室内熱交換器における冷媒の凝縮温度が所定温度以下になった場合
(a2)室内熱交換器を通過した空気温度が所定温度以下になった場合
(a3)第1デフロスト開始条件に室外熱交換器または室外熱交換器と膨張機構との間を繋ぐ冷媒配管の温度が所定の基準温度以下であるという条件が含まれ、室外熱交換器または室外熱交換器と膨張機構との間を繋ぐ冷媒配管の温度が基準温度以下となったままで所定時間が経過した場合
【0029】
なお、室内熱交換器における冷媒の凝縮温度の特定の仕方は、特に限定されるものではなく、暖房運転時の圧縮機の吐出側の冷媒の圧力に相当する飽和温度を凝縮温度と推定して用いてもよいし、暖房運転時に室内熱交換器の中間部分を流れる冷媒の温度を凝縮温度と推定して用いてもよい。
【0030】
なお、ここでの(a1)、(a2)の所定温度は、互いに同じであっても異なっていてもよいし、第
1観点に係る冷凍装置の(3)に記載の所定温度と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0031】
この冷凍装置では、上記(a1)、(a2)、(a3)の場合には、デフロスト運転を行うことなく暖房運転を継続させ過ぎることにより室外熱交換器に霜が付着して、室外熱交換器の蒸発能力が低下することで、暖房能力が低下した状態になっていると推定することができる。したがって、この推定に基づいて、強制的にデフロスト運転を開始させるかデフロスト運転を行いやすいように条件を緩和させることで、暖房能力の低下を改善させることが可能になる。
【0032】
第
4観点に係る冷凍装置は、第1観点から第
3観点のいずれかに係る冷凍装置であって、第1デフロスト開始条件には、室外熱交換器または室外熱交換器と膨張機構との間を繋ぐ冷媒配管の温度が所定の第1温度以下になることが含まれている。第2デフロスト開始条件には、室外熱交換器または室外熱交換器と膨張機構との間を繋ぐ冷媒配管の温度が第1温度よりも低い所定の第2温度以下になることが含まれている。
【0033】
なお、ここでの第1温度は、第
3観点に係る冷凍装置に記載の基準温度と、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
この冷凍装置では、室外熱交換器または室外熱交換器と膨張機構との間を繋ぐ冷媒配管の温度という室外熱交換器の着霜量を直接的に把握可能な値を用いてデフロスト運転の開始を判断することが可能になる。
【発明の効果】
【0035】
第1観点に係る冷凍装置では、デフロスト運転を抑制できる状況ではデフロスト運転が実行されることを抑制しながら暖房運転を継続して実行させることが可能になるか、デフロスト運転が実行されることを抑制しながら暖房運転を実行させることにより大きな暖房負荷を処理することが可能になる。
また、暖房運転を継続して実行させやすい状況または継続して実行することが望まれると考えられる状況において、デフロスト運転が実行されにくくすることが可能になる。
【0036】
第
2観点に係る冷凍装置では、デフロスト運転を行うことなく暖房運転を継続させ過ぎることにより生じうる不具合として、暖房能力の低下、圧縮機の信頼性の低下、室外熱交換器の蒸発能力の低下の少なくともいずれかを改善させることが可能になる。
【0037】
第
3観点に係る冷凍装置では、暖房能力が低下した状態になっているという推定に基づいて、暖房能力の低下を改善させることが可能になる。
【0038】
第
4観点に係る冷凍装置では、室外熱交換器の着霜量を直接的に把握可能な値を用いてデフロスト運転の開始を判断することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る冷凍装置としての空気調和装置の実施形態およびその変形例について、図面に基づいて説明する。なお、本発明に係る冷凍装置としての空気調和装置の具体的な構成は、下記の実施形態およびその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0041】
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置としての空気調和装置1の概略構成図である。
図2は、空気調和装置1のブロック構成図である。
【0042】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房および暖房を行うことが可能な装置である。
【0043】
空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット3と、室外ユニット2と室内ユニット3とを接続する液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5と、室外ユニット2および室内ユニット3の構成機器を制御する制御部9と、を有している。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路6は、室外ユニット2と、室内ユニット3とが冷媒連絡管4、5を介して接続されることによって構成されている。特に限定されないが、本実施形態では、当該冷媒回路6に作動冷媒としてR32が充填されている。
【0044】
室外ユニット2は、室外(建物の屋上や建物の壁面近傍等)に設置されており、冷媒回路6の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、アキュムレータ7、圧縮機8と、四路切換弁10と、室外熱交換器11と、膨張機構としての室外膨張弁12と、液側閉鎖弁13と、ガス側閉鎖弁14と、室外ファン15と、を有している。
【0045】
室外熱交換器11は、熱交換器本体11aと、熱交換器本体11aの液側において、複数の分流管を備えた分流器11bと、を有している。
【0046】
各機器および弁間は、冷媒管16〜22によって接続されている。具体的には、アキュムレータ吸入側管16は、四路切換弁10の第1接続ポートとアキュムレータ7とを接続している。吸入管17は、アキュムレータ7と圧縮機8の吸入側とを接続している。吐出管18は、圧縮機8の吐出側と四路切換弁10の第2接続ポートとを接続している。室外熱交ガス側配管19は、四路切換弁10の第3接続ポートと室外熱交換器11のガス側とを接続している。室外熱交液側配管20は、室外熱交換器11の液側と室外膨張弁12とを接続している。室外液側連絡管21は、室外膨張弁12と液側閉鎖弁13とを接続している。室外ガス側連絡管22は、ガス側閉鎖弁14と四路切換弁10の第4接続ポートとを接続している。
【0047】
室外ユニット2には、各種センサ41〜46が設けられている。具体的には、外気温度センサ41は、室外熱交換器11を通過する前の屋外の空気の温度を検出する。室外熱交温度センサ42は、室外熱交換器11の分流器11bが備える複数の分流管の1つに取り付けられており、室外熱交換器11のうち熱交換器本体11aの液側を流れる冷媒の温度を検出する。室外熱交液側温度センサ43は、室外熱交液側配管20に取り付けられており、室外熱交換器11の分流器11bと室外膨張弁12との間を流れる冷媒の温度を検出する。吐出圧力センサ44は、吐出管18に取り付けられており、圧縮機8から吐出された冷媒の圧力(冷凍サイクルにおける高圧)を検出する。吐出温度センサ45は、吐出管18に取り付けられており、圧縮機8から吐出された冷媒の温度を検出する。吸入温度センサ46は、アキュムレータ吸入側管16に取り付けられており、圧縮機8に吸入される冷媒の温度(冷凍サイクルにおける低圧冷媒の温度)を検出する。
【0048】
室内ユニット3は、室内(居室や天井裏空間等)に設置されており、冷媒回路6の一部を構成している。室内ユニット3は、主として、室内熱交換器32と、室内ファン33と、を有している。
【0049】
室内ユニット3には、各種センサ51〜53が設けられている。具体的には、室内空気温度センサ51は、室内熱交換器32を通過する前の室内の空気の温度を検出する。室内熱交液側温度センサ52は、室内熱交換器32の液側を流れる冷媒の温度を検出する。室内熱交温度センサ53は、室内熱交換器32に取り付けられており、室内熱交換器32の冷媒流れにおける中間部分を流れる冷媒の温度を検出する。
【0050】
冷媒連絡管4、5は、空気調和装置1を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。液冷媒連絡管4の一端は、室外ユニット2の液側閉鎖弁13に接続され、液冷媒連絡管4の他端は、室内ユニット3の室内熱交換器32の液側に接続されている。ガス冷媒連絡管5の一端は、室外ユニット2のガス側閉鎖弁14に接続され、ガス冷媒連絡管5の他端は、室内ユニット3の室内熱交換器32のガス側に接続されている。
【0051】
制御部9は、室外ユニット2や室内ユニット3に設けられた制御基板等(図示せず)が通信接続されることによって構成されている。制御部9は、各センサ51〜53、41〜46と接続されており、これらのセンサにおける検出値や図示しないリモコンからの指示に応じて、空気調和装置1(ここでは、室外ユニット2や室内ユニット3)の構成機器8、10、12、15、33の制御、すなわち、空気調和装置1全体の運転制御を行う。この制御部9は、1つ又は複数のCPU、ROM、RAM等を有して構成されている。なお、制御部9は、ROMに格納された制御プログラムを各センサ51〜53、41〜46から得られる情報やリモコンからの指示に応じて実行することで、各種制御を行う。なお、制御部9は、時間の経過を把握するためのタイマー機能を有している。
【0052】
(2)空気調和装置の動作
次に、
図1を用いて、空気調和装置1の動作について説明する。空気調和装置1では、圧縮機8、室外熱交換器11、室外膨張弁12、室内熱交換器32の順に冷媒を流す冷房運転と、圧縮機8、室内熱交換器32、室外膨張弁12、室外熱交換器11の順に冷媒を流す暖房運転と、が行われる。なお、冷房運転および暖房運転は、制御部9によって行われる。
【0053】
(2−1)冷房運転
冷房運転時には、室外熱交換器11が冷媒の放熱器となるように、四路切換弁10の接続状態が切り換えられる(
図1の実線参照)。冷媒回路6において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機8に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機8から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁10を通じて、室外熱交換器11に送られる。室外熱交換器11に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器11において、室外ファン15によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。この高圧の液冷媒は、室外膨張弁12を通過する際に冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧され、気液二相状態の冷媒となって、液側閉鎖弁13および液冷媒連絡管4を通じて、室内ユニット3に送られる。
【0054】
低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器32において、室内ファン33によって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内熱交換器32を通過する空気は冷却され、室内の冷房が行われる。室内熱交換器32において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管5を通じて、室外ユニット2に送られる。
【0055】
室外ユニット2に送られた低圧のガス冷媒は、ガス側閉鎖弁14、四路切換弁10およびアキュムレータ7を通じて、再び、圧縮機8に吸入される。冷房運転では、以上のようにして、冷媒が冷媒回路6を循環する。
【0056】
(2−2)暖房運転
暖房運転時には、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器となるように、四路切換弁10の接続状態が切り換えられる(
図1の破線参照)。冷媒回路6において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機8に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機8から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁10、ガス側閉鎖弁14およびガス冷媒連絡管5を通じて、室内ユニット3に送られる。
【0057】
高圧のガス冷媒は、室内熱交換器32において、室内ファン33によって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内熱交換器32を通過する空気は加熱され、室内の暖房が行われる。室内熱交換器32で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管4を通じて、室外ユニット2に送られる。
【0058】
室外ユニット2に送られた高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁13を通じて、室外膨張弁12において冷凍サイクルの低圧まで減圧され、低圧の気液二相状態の冷媒になる。室外膨張弁12で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器11において、室外ファン15によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。この低圧のガス冷媒は、四路切換弁10およびアキュムレータ7を通じて、再び、圧縮機8に吸入される。暖房運転では、以上のようにして、冷媒が冷媒回路6を循環する。
【0059】
(2−3)デフロスト運転
空気調和装置1は、暖房運転を行っている際に室外熱交換器11に付着した霜を融解させるためにデフロスト運転を行う。
【0060】
デフロスト運転は、暖房運転を行っている際にデフロスト開始条件を満たした場合に行われる。空気調和装置1は、デフロスト開始条件を満たすと、圧縮機8の吐出側が室外熱交換器11のガス側に接続されるように四路切換弁10の接続状態を切り換えて圧縮機8を駆動させることで、室外熱交換器11を冷媒の放熱器として機能させることで、室外熱交換器11に付着した霜を融解させる。
【0061】
なお、デフロスト運転は、デフロスト終了条件を満たすことで終了し、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器となるように四路切換弁10の接続状態が切り換えられて、暖房運転が再開される。デフロスト終了条件は、室外熱交温度センサ42が検出する温度が所定のデフロスト終了温度以上になった場合か、デフロスト運転が開始されて所定のデフロスト継続時間が経過した場合に終了される。
【0062】
(3)デフロスト開始条件
本実施形態の空気調和装置1では、後述する所定前提状況に応じて、異なるデフロスト開始条件を適用させることが可能となっている。具体的には、空気調和装置1は、図示しないリモコン等における設定を変えることで、所定前提状況に応じたデフロスト開始条件を適用するモードと、所定前提状況に関わりなくデフロスト開始条件を適用するモードと、が切り換えられる。以下では、所定前提状況に応じて異なるデフロスト開始条件が適用されるモードに設定されている場合について説明する。
【0063】
デフロスト運転は、所定前提状況になっていない状況下では第1デフロスト開始条件が満たされた場合に開始され、所定前提状況になっている状況下では第2デフロスト開始条件が満たされた場合に開始される。ここで、第2デフロスト開始条件は、第1デフロスト開始条件よりも厳しい条件であり、暖房運転中において成立しづらい条件である。
【0064】
第1デフロスト開始条件は、外気温度センサ41によって検出される外気温度が所定外気温度(例えば、0℃)以下であって、かつ、室外熱交温度センサ42によって検出される室外熱交温度が第1デフロスト判定値(基準温度、第1温度)以下となった場合に満たすと判断される条件である。第1デフロスト判定値としては、特に限定されないが、例えば、−10℃とすることができる。
【0065】
第2デフロスト開始条件は、外気温度センサ41によって検出される外気温度が所定外気温度(例えば、0℃)以下であって、かつ、室外熱交温度センサ42によって検出される室外熱交温度が第2デフロスト判定値(第2温度)以下となった場合に満たすと判断される条件である。第2デフロスト判定値としては、特に限定されないが、例えば、−20℃とすることができる。ここで、第2デフロスト判定値は、第1デフロスト判定値よりも低い値であるため、この点で第2デフロスト開始条件は第2デフロスト開始条件よりも厳しい条件であるといえる。
【0066】
このように、デフロスト開始条件の判断において室外熱交換器11を流れる冷媒の温度を検出する室外熱交温度センサ42の検出値を用いているため、室外熱交換器11における霜の付着量をより直接的(例えば、暖房運転の開始からの運転時間等と比べてより直接的)に把握することが可能になっている。
【0067】
なお、デフロスト終了条件は、第1デフロスト開始条件を満たしてデフロスト運転が開始された場合も、第2デフロスト開始条件を満たしてデフロスト運転が開始された場合も同様である。
【0068】
(4)所定前提状況に応じた第1、第2デフロスト開始条件の適用
本実施形態の空気調和装置1では、所定前提状況になっていない場合には、デフロスト運転を開始させる条件として第1デフロスト開始条件が用いられ、所定前提状況になっている場合には、デフロスト運転を開始させる条件としてより厳しい条件である第2デフロスト開始条件が用いられる。
【0069】
ここで、本実施形態では、所定前提状況は、暖房運転を開始する際に圧縮機8が最後に停止してからの経過時間が所定経過時間以上になっている場合に満たすと判断される状況である。当該所定前提状況になっているか否かは、制御部9が判断を行う。所定経過時間の長さは特に限定されないが、例えば、3時間以上であることが好ましい。
【0070】
(5)デフロスト開始条件に応じたデフロスト運転の制御フロー
図3に、暖房運転およびデフロスト運転に関する制御フローチャートを示す。ここでは、空気調和装置1の設定が、所定前提状況に応じて異なるデフロスト開始条件が適用されるモードに設定されている場合のフローチャートを説明する。
【0071】
ステップS10では、制御部9は、所定前提状況になっているか否かを判断する。具体的には、制御部9は、圧縮機8が停止した状態で所定経過時間(例えば、5時間)以上経過している場合に所定前提状況になっていると判断し、所定経過時間以内に圧縮機8が運転されていた場合には所定前提状況にはなっていないと判断する。ここで、所定前提状況になっていると判断した場合にはステップS11に移行し、所定前提状況になっていないと判断した場合にはステップS14に移行する。
【0072】
ステップS11では、制御部9は、デフロスト開始条件として、第1デフロスト開始条件よりも厳しい条件である第2デフロスト開始条件を用いて暖房運転を行う。ここでは、空気調和装置1が停止している状態から暖房運転が開始されることになる。
【0073】
ステップS12では、制御部9は、所定の能力低下条件を満たしているか否かを判断する。具体的には、制御部9は、室内熱交換器32に設けられた室内熱交温度センサ53によって検出される冷媒の凝縮温度が所定能力確保温度以下になっている場合に所定の能力低下条件を満たしていると判断する。ここで、所定能力確保温度とは、特に限定されないが、例えば、冷媒の凝縮器として機能している室内熱交換器32における冷媒の凝縮温度として室内を暖めるために必要な予め定めた温度とすることができる。ここで、所定の能力低下条件を満たしていると判断した場合にはステップS17に移行し、所定の能力低下条件を満たしていないと判断した場合にはステップS13に移行する。
【0074】
ステップS13では、制御部9は、第2デフロスト開始条件を満たしているか否かを判断する。具体的には、制御部9は、外気温度センサ41によって検出される外気温度が所定外気温度(例えば、0℃)以下であって、かつ、室外熱交温度センサ42によって検出される室外熱交温度が第2デフロスト判定値(例えば、−20℃)以下となっている場合に第2デフロスト開始条件を満たしていると判断する。なお、第2デフロスト判定値は第1デフロスト判定値よりも低い値である。ここで、第2デフロスト開始条件を満たしていると判断した場合にはステップS17に移行し、第2デフロスト開始条件を満たしていないと判断した場合にはステップS12に戻る。
【0075】
ステップS14では、制御部9は、デフロスト開始条件として第2デフロスト開始条件よりも緩やかな条件である第1デフロスト開始条件を用いて暖房運転を行う。ここでは、空気調和装置1が停止している場合には暖房運転が開始されることになり、デフロスト運転から暖房運転に復帰する場合には暖房運転を継続させることになる。
【0076】
ステップS15では、制御部9は、所定の能力低下条件を満たしているか否かを判断する。具体的には、ステップS15における判断はステップS12における判断と同じであり、制御部9は、室内熱交換器32に設けられた室内熱交温度センサ53によって検出される温度が所定能力確保温度以下になっている場合に所定の能力低下条件を満たしていると判断する。ここで、所定の能力低下条件を満たしていると判断した場合にはステップS17に移行し、所定の能力低下条件を満たしていないと判断した場合にはステップS16に移行する。
【0077】
ステップS16では、制御部9は、第1デフロスト開始条件を満たしているか否かを判断する。具体的には、制御部9は、外気温度センサ41によって検出される外気温度が所定外気温度(例えば、0℃)以下であって、かつ、室外熱交温度センサ42によって検出される室外熱交温度が第1デフロスト判定値(例えば、−10℃)以下となっている場合に第1デフロスト開始条件を満たしていると判断する。なお、第1デフロスト判定値は第2デフロスト判定値よりも高い値である。ここで、第1デフロスト開始条件を満たしていると判断した場合にはステップS17に移行し、第1デフロスト開始条件を満たしていないと判断した場合にはステップS15に戻る。
【0078】
ステップS17では、制御部9は、暖房運転を中断させ、四路切換弁10の接続状態を変更させることで、室外熱交換器11を冷媒の放熱器として機能させてデフロスト運転を開始する。これにより、室外熱交換器11の表面に付着している霜を融解させることができる。
【0079】
ステップS18では、制御部9は、デフロスト終了条件を満たしているか否かを判断する。具体的には、制御部9は、室外熱交温度センサ42によって検出される温度が所定のデフロスト終了温度以上になっているか、もしくは、デフロスト運転が開始されて所定のデフロスト継続時間が経過している場合にデフロスト終了条件を満たすと判断する。なお、制御部9は、タイマー機能を用いて、ステップS17でデフロスト運転を開始した時点からデフロスト運転の継続時間を把握し、デフロスト終了条件の判断に用いている。ここで、デフロスト終了条件を満たしていると判断した場合にはステップS19に移行し、デフロスト終了条件を満たしていないと判断した場合にはステップS18を繰り返す。
【0080】
ステップS19では、制御部9は、デフロスト運転を終了させ、四路切換弁10の接続状態を変更させることで、室内熱交換器32を冷媒の放熱器として機能させる暖房運転を再開させる。
【0081】
なお、ステップS19の処理の後は、ステップS10に戻り、上述した処理を繰り返す。当然ながら、デフロスト運転が行われた直後のステップS10での所定前提状況の判断は、圧縮機8が長時間停止していた状況ではないため、満たすのと判断され、第1デフロスト開始条件を用いた暖房運転を行うことになる。
【0082】
(6)特徴
(6−1)
従来、空気調和装置では、暖房運転時に室外熱交換器に付着した霜を融解させるためのデフロスト運転を開始させるための条件として、例えば、外気温度や湿度に応じて定まる基準温度を室外熱交換器の温度が下回るという条件のみが定められていた。このため、室外熱交換器の表面における霜の付着しやすさについてはなんら検討されることなく、同じ条件を用いてデフロスト運転を開始させていた。
【0083】
ところが、室外熱交換器11の表面が濡れている状態で暖房運転を開始する場合と、室外熱交換器11の表面が乾いている状態で暖房運転を開始する場合とでは、暖房運転に関する他の条件が同じであっても、実際には、室外熱交換器11の表面が濡れている場合の方が着霜が進行しやすく、表面が濡れていない場合の方が着霜が進行しにくい。したがって、実際には室外熱交換器における霜の付着量が多くない場合であっても、デフロスト運転が開始されてしまうことで、室内の温度環境を迅速に改善させることができない場合があった。
【0084】
これに対して、本実施形態の空気調和装置1では、以上の事項を勘案し、所定前提状況になっている場合と所定前提状況になっていない場合とで、デフロスト開始条件の厳しさが異なるように設定している。具体的には、暖房運転の開始時において最後の圧縮機8の停止時からの経過時間が所定経過時間以上である場合には、そうでない場合と比較して、デフロスト運転が開始されにくくなるように、デフロスト開始条件が厳しく設定している。すなわち、暖房運転の開始時において最後の圧縮機8の停止時からの経過時間が所定経過時間以上である場合には、そうでない場合に適用される第1デフロスト開始条件よりも厳しい第2デフロスト開始条件が適用されるようにしている。
【0085】
このように、本実施形態の空気調和装置1では、圧縮機8が停止して所定経過時間以上の長い時間が経過した場合には、最後の暖房運転時に室外熱交換器11の表面に付着していた霜も溶け落ちて、もはや室外熱交換器11の表面が乾いた状況となり、室外熱交換器11の表面に霜が付着しにくい状況であると推測することで(室外熱交換器11の表面が濡れている状況から暖房運転を開始させる場合と比べて霜が付着しにくい状況であると推測することで)、室外熱交換器11の表面が濡れていると推測される状況で課されるデフロスト開始条件よりもデフロスト運転が開始されにくい厳しい条件を課している。
【0086】
したがって、室外熱交換器11に霜が付着しにくい状況では、より緩い条件である第1デフロスト開始条件を満たしたとしてもデフロスト運転を開始させず、より厳しい条件である第2デフロスト開始条件を満たした場合にデフロスト運転を開始させることとして、デフロスト運転が行われることを抑制しつつ、室内の温度環境の改善を図ることが可能になっている。
【0087】
なお、空気調和装置1が停止している状態から暖房運転を開始する場合であっても、最後に圧縮機8が駆動した時からの経過時間が短い場合(所定経過時間が経過していない場合)には、室外熱交換器11の表面が濡れていると推測することで、デフロスト運転が開始されやすい条件を用いて、適切なタイミングでデフロスト運転を行わせることが可能になっている。
【0088】
(6−2)
本実施形態の空気調和装置1では、最後の圧縮機8の停止時からの経過時間が所定経過時間以上である場合には、厳しい第2デフロスト開始条件を課すことで、デフロスト運転が開始されにくいようにしている。
【0089】
ここで、このような最後の圧縮機8の停止時から所定経過時間以上の長い時間が経過している場合には、最後に行われていた暖房運転によって室内が暖められていたとしても、もはや室内の温度が低下し、ユーザが寒く感じる状況に到っている可能性が高い。
【0090】
これに対して、本実施形態の空気調和装置1では、このような状況においてデフロスト運転が開始されにくいように第2デフロスト開始条件を課しているため、デフロスト運転が行われることを抑制し、暖房運転を継続的に行わせて、室内の温度環境を迅速に改善させることが可能になっている。
【0091】
(6−3)
本実施形態の空気調和装置1では、所定前提状況になっていると判断されることでより厳しい第2デフロスト開始条件が適用されている場合であっても、継続的な暖房運転により室外熱交換器11に霜が付着することで暖房能力が低下して、所定の能力低下条件を満たすに到った場合には、第2デフロスト開始条件を満たすか否かにかかわらず、強制的にデフロスト運転を開始させることが可能になっている(ステップS11、S12、S17の流れ参照)。このため、能力が過度に低下した場合には、室外熱交換器11に付着した霜を融解させるデフロスト運転を行って暖房運転に復帰させることで、過度に低下した暖房能力を回復させることが可能になっている。これにより、所定前提状況になっている場合であっても、暖房能力が低下し過ぎることを抑制することが可能になっている。
【0092】
(7)変形例
上記実施形態では、本発明の実施形態の一例を説明したが、上記実施形態はなんら本願発明を限定する趣旨ではなく、上記実施形態には限られない。本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更した態様についても当然に含まれる。
【0093】
また、上記実施形態と以下に記載の複数の変形例は、互いに矛盾しないように適宜組合せるようにしてもよい。
【0094】
(7−1)変形例A
上記実施形態では、デフロスト運転を開始するための条件がより厳しい条件である第2デフロスト開始条件に変更されるのが、最後に圧縮機8が停止してから所定経過時間(上記実施形態では5時間)を超える時間が経過した後に暖房運転が開始されるという所定前提状況である場合を挙げて説明した。
【0095】
しかし、デフロスト運転を開始するための条件としてより厳しい第2デフロスト開始条件を適用するための所定前提状況としては、これに限られるものではなく、以下に述べる状況としてもよい。
【0096】
(7−1−1)
例えば、暖房運転開始時の室外熱交換器11の温度(例えば、室外熱交温度センサ42の検知温度)が所定温度以上である場合(所定状況温度条件を満たす場合)に所定前提状況になっていると制御部9が判断するようにしてもよい。室外熱交換器11の温度が所定温度値以上(例えば、周囲温度以上または外気温度センサ41により検知される温度との差異が所定値未満等)である場合には、最後に室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として用いられて室外熱交換器11の温度が低い状態の時から十分な時間が経過しており、室外熱交換器11の温度が十分に高くなり、室外熱交換器11の表面が乾いた状態になっているものと推定することができる。したがって、暖房運転を開始して室外熱交換器11を冷媒の蒸発器として機能させ始めたとしても、室外熱交換器11の表面が濡れた状態で暖房運転を再開させるような場合とは異なり、室外熱交換器11に霜が付着しにくく、デフロスト開始条件を厳しくしたとしても、室外熱交換器11の蒸発能力をできるだけ確保しつつ暖房運転を継続させることが可能になる。
【0097】
なお、上記室外熱交換器11の温度を用いた所定状況温度条件の判断としては、室外熱交温度センサ42における検知温度を用いた判断に限定されず、例えば、室外熱交換器11の温度が伝わりやすい室外熱交換器11に直接接続された冷媒配管(上記実施形態では室外熱交液側配管20または室外熱交ガス側配管19)の温度を用いるようにしてもよい。この場合であっても、上記室外熱交換器11の温度に基づく判断と同様に、例えば、周囲温度以上または周囲温度との差異が所定値未満等である場合には、最後に室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として用いられて室外熱交換器11の温度が低い状態の時から十分な時間が経過しており、室外熱交換器11の温度が十分に高くなり、室外熱交換器11の表面が乾いた状態になっているものと推定することができる。
【0098】
(7−1−2)
また、例えば、空気調和装置1の制御部9が時刻を把握するための時計機能を備えている場合に、予め定めた時刻の条件である所定時刻条件を満たすタイミングで暖房運転が開始された場合に所定前提状況になっていると制御部9が判断するようにしてもよい。
【0099】
所定前提状況になっていると制御部9が判断する時刻としては、例えば、早朝の5時〜10時の間としてもよい。
【0100】
空気調和装置1は、前日の夜(例えば、21時)まで駆動させて、その後停止させた状態のままで翌日の朝を迎えるように用いられることが多い。このような場合には、デフロスト運転から暖房運転に復帰させた時のように室外熱交換器11の表面が濡れているような状態とは異なり、既に空気調和装置1が停止してから長時間が経過していることから室外熱交換器11の表面が濡れておらず、乾いていると推定することができる。
【0101】
したがって、このような早朝等の所定時刻条件を満たす状況においても、室外熱交換器11に霜が付着しにくく、デフロスト開始条件を厳しくしたとしても、室外熱交換器11の蒸発能力をできるだけ確保しつつ暖房運転を継続させることが可能になるといえる。
【0102】
(7−1−3)
また、例えば、暖房運転が開始されるタイミングにおいて、室内温度が設定温度よりも所定値以上低い場合には、室内が冷え込んでおりユーザにとって不快な状況であるため、できるだけ暖房運転を継続して行って室内温度を迅速に上昇させることが望まれる。したがって、暖房運転が開始されるタイミングで室内の気温が設定温度よりも所定値以上低い場合には、所定前提状況になっていると制御部9が判断するようにしてもよい。
【0103】
この場合には、デフロスト運転が行われることを抑制しつつ、迅速に室内の温度を高めて、室内環境を改善させることが可能になる。
【0104】
(7−1−4)
さらに、例えば、暖房運転が開始された後、所定期間経過後であっても、室内温度が設定温度よりも所定値以上低い場合には、室内温度を上げるために長時間を要し、デフロスト運転が行われてしまうことによる室内環境改善の遅れを抑制することが望まれる場合がある。したがって、暖房運転の開始から所定期間経過後において室内温度が設定温度よりも所定値以上低い場合には、所定前提状況になっていると制御部9が判断するようにしてもよい。
【0105】
この場合にも、デフロスト運転が行われることを抑制しつつ、迅速に室内の温度を高めて、室内環境を改善させることが可能になる。
【0106】
(7−1−5)
また、例えば、暖房運転の開始から所定期間経過後であっても、冷媒回路6における冷媒の状態が所定冷媒状態を満たす場合、例えば、暖房運転の開始から所定期間経過しても圧縮機8から吐出される冷媒の過熱度が所定値以上にならない場合には、冷媒が冷凍機油に溶け込んで寝込んだ状態になっていると推測することができる。また、圧縮機が停止して長時間が経過することで、室外熱交換器の表面が乾いた状態になっていると推測することもできる。
【0107】
したがって、暖房運転の開始から所定期間経過後際でも、冷媒回路6における冷媒の状態が所定冷媒状態を満たす場合には、所定前提状況になっていると制御部9が判断するようにしてもよい。
【0108】
この場合にも、デフロスト運転が行われることを抑制しつつ、迅速に室内の温度を高めて、室内環境を改善させることが可能になる。
【0109】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、所定前提状況ではない場合にはより緩い条件である第1デフロスト開始条件を課し、所定前提状況である場合にはより厳しい条件である第2デフロスト開始条件を課して、デフロスト運転の開始を制御する場合において、所定前提状況である場合であっても所定の能力低下条件を満たした場合には、第2デフロスト開始条件を満たすか否かにかかわらず、強制的にデフロスト運転を開始させる場合を例に挙げて説明した。
【0110】
しかし、所定前提状況である場合において第2デフロスト開始条件が満たされていないにもかかわらずデフロスト運転が行われやすくするための処理は、これに限られず、例えば、以下に述べる処理を行うようにしてもよい。
【0111】
(7−2−1)
例えば、上記実施形態のフローチャートにおけるステップS12において所定の能力低下条件を満たすと判断された場合に、すぐにデフロスト運転を強制的に開始させるのではなく、デフロスト開始条件を第2デフロスト開始条件から第1デフロスト開始条件に緩和させるようにすることで、デフロスト運転が行われやすいようにしてもよい。
【0112】
(7−2−2)
また、例えば、上記実施形態のように室内熱交温度センサ53によって検出される冷媒の凝縮温度に基づいて所定の能力低下条件を判断する代わりに、室内ファン33によって生じた空気流れのうち室内熱交換器32を通過した後の空気流れの空気温度が所定温度以下となった場合に所定の能力低下条件を満たすと制御部9が判断するようにしてもよい。この場合には、室内に対して供給される空気の温度が低下していることから能力の低下を把握して、強制的にデフロスト運転を開始させることができる。なお、強制的にデフロスト運転を開始させるのではなく、デフロスト開始条件を第2デフロスト開始条件から第1デフロスト開始条件に緩和させるようにすることで、デフロスト運転が行われやすいようにしてもよい点は、上記と同様である。
【0113】
(7−2−3)
また、例えば、上記実施形態のように室内熱交温度センサ53によって検出される冷媒の凝縮温度に基づいて所定の能力低下条件を判断する代わりに、室外熱交温度センサ42によって検出される室外熱交温度が、第1デフロスト開始条件の判断で用いられる第1デフロスト判定値(第1温度)以下となったままで所定時間が経過した場合に、所定の能力低下条件を満たすと制御部9が判断するようにしてもよい。このような能力低下条件を判断してもよいのは、第1デフロスト開始条件の判断で用いられる第1デフロスト判定値(第1温度)以下となったままで所定時間が経過した場合には、既に室外熱交換器11の外表面に大量の霜が付着しており、室外熱交換器11の蒸発能力が低下することで暖房能力としても低下していると推定することができるためである。
【0114】
(7−2−4)
また、例えば、上記実施形態のフローチャートにおけるステップS12やステップS15において所定の能力低下条件の成否を判断させる代わりに、圧縮機8の信頼性に関する所定の信頼性条件の成否を制御部9に判断させることで、圧縮機8の信頼性を確保すべき状況になった場合に強制的にデフロスト運転を開始させるようにしてもよい。
【0115】
すなわち、
図4のフローチャートに示すように、上記実施形態のステップS12における能力低下の判断を行う代わりに、圧縮機8に関する所定の信頼性条件を満たしているか否かを制御部9に判断させるステップS12aを実行させ、上記実施形態のステップS15における能力低下の判断を行う代わりに当該ステップS12aと同様の処理であるステップS15aを実行させるようにしてもよい。
【0116】
なお、当該ステップS12aにおける圧縮機8の信頼性に関する判断を、上記実施形態のステップS12で「No」の判断がされた際に行わせるようにすることで、能力低下の判断と圧縮機8の信頼性の判断との両方を行わせるようにしてもよい。また、同様に、当該ステップS15aにおける圧縮機8の信頼性に関する判断を、上記実施形態のステップS15で「No」の判断がされた際に行わせるようにすることで、能力低下の判断と圧縮機8の信頼性の判断との両方を行わせるようにしてもよい。これらの場合において、能力低下の判断と圧縮機8の信頼性の判断とは、いずれを先に行うようにしてもよい。
【0117】
この所定の信頼性条件としては、例えば、圧縮機8が吸入する冷媒の過熱度が所定の信頼性吸入過熱度以下となった場合に満たす条件としてもよいし、圧縮機8が吐出する冷媒の過熱度が所定の信頼性吐出過熱度以下となった場合に満たす条件としてもよい。
【0118】
暖房運転を行っている際に、デフロスト運転が行われないまま暖房運転が継続的に実行され、所定の信頼性条件を満たした場合には、室外熱交換器11に霜が付着し、室外熱交換器11における蒸発能力が低下し、冷媒が十分に蒸発しないことで、圧縮機8の吸入冷媒または吐出冷媒の過熱度が小さくなり、蒸発していない液冷媒が圧縮機8に吸入されるおそれ(液圧縮が生じるおそれ)がある状況であると推認することができる。したがって、このような状況となった場合には、強制的にデフロスト運転を実行し、室外熱交換器11に付着している霜を融解させて室外熱交換器11における蒸発能力を回復させた後に暖房運転を再開させることにより、圧縮機8の信頼性を確保することが可能になる。
【0119】
なお、ここでも、強制的にデフロスト運転を開始させるのではなく、デフロスト開始条件を第2デフロスト開始条件から第1デフロスト開始条件に緩和させるようにすることで、デフロスト運転が行われやすいようにしてもよい点は、上記と同様である。
【0120】
(7−2−5)
また、例えば、上記実施形態のフローチャートにおけるステップS12やステップS15において所定の能力低下条件の成否を判断させる代わりに、空気調和装置1の暖房負荷が所定の低負荷条件を満たすか否かを制御部9に判断させ、暖房負荷が小さくなっている状況でデフロスト運転が開始されやすいようにしてもよい。
【0121】
すなわち、
図5のフローチャートに示すように、上記実施形態のステップS12における能力低下の判断を行う代わりに、空気調和装置1の暖房負荷が所定の低負荷条件を満たすか否かを制御部9に判断させるステップS12bを実行させ、上記実施形態のステップS15における能力低下の判断を行う代わりに当該ステップS12bと同様の処理であるステップS15bを実行させるようにしてもよい。
【0122】
なお、当該ステップS12bにおける暖房負荷低下の判断を、上記実施形態のステップS12で「No」の判断がされた際に行わせるようにすることで、能力低下の判断と暖房負荷低下の判断との両方を行わせるようにしてもよい。また、同様に、当該ステップS15bにおける暖房負荷低下の判断を、上記実施形態のステップS15で「No」の判断がされた際に行わせるようにすることで、能力低下の判断と暖房負荷低下の判断との両方を行わせるようにしてもよい。これらの場合において、能力低下の判断と暖房負荷低下の判断とは、いずれを先に行うようにしてもよい。さらに、変形例(7−2−4)で述べた圧縮機8の信頼性に関する判断も重ねて行わせるようにしてもよい。
【0123】
この所定の低負荷条件としては、例えば、暖房運転が行われて室内温度が上昇して設定温度に達することで圧縮機8の駆動が停止された場合(サーモオフした場合)、または、暖房運転が行われて室内温度が上昇して設定温度との差異が所定温度差以下になった場合に、満たす条件とすることができる。
【0124】
暖房運転を行っている際に、室内温度が設定温度に達した場合や設定温度との差異が小さくなった場合には、デフロスト運転を抑制させてまで暖房運転を継続させる意義が乏しい状況であると共に、室外熱交換器11の蒸発能力を回復させるために積極的にデフロスト運転を行うことが望ましい状況であるともいえる。したがって、このような状況では、室内の温度環境が快適な状態を確保したうえで、デフロスト運転により室外熱交換器11における蒸発能力を回復させることが可能になる。
【0125】
以上より、例えば、空気調和装置1の暖房負荷が所定の低負荷条件を満たした場合には、デフロスト開始条件として課されていた第2デフロスト開始条件を第1デフロスト開始条件に緩和させることで、デフロスト運転が開始されやすいようにしてもよい。
【0126】
(7−3)変形例C
上記実施形態では、第2デフロスト開始条件における第2デフロスト判定値を第1デフロスト開始条件における第1デフロスト判定値よりも低く設定することで、第2デフロスト開始条件が第1デフロスト開始条件よりも厳しい条件になるようにした場合を例に挙げて説明した。
【0127】
これに対して、第1デフロスト開始条件と第2デフロスト開始条件の例は、これに限られない。
【0128】
例えば、上記実施形態では、第1デフロスト判定値が例えば−10℃であり、第2デフロスト判定値が例えば−20℃であるように、各デフロスト判定値として予め固定された具体的な値を用いる場合を例に挙げて説明したが、第1デフロスト判定値および第2デフロスト判定値は、例えば、外気温度の関数として定まる値であってもよい。なお、このように外気温度の関数として定まる値であったとしても、第2デフロスト判定値が第1デフロスト判定値よりも低い値となるように各関数が予め定められることになる。これらの関数としては、外気温度が低いほど第1デフロスト判定値も第2デフロスト判定値も低い値となるように定められていることが好ましい。
【0129】
また、例えば、第1デフロスト開始条件における第1デフロスト判定値と第2デフロスト開始条件における第2デフロスト判定値とを互いに同じ値にしつつ、第1デフロスト開始条件では第1デフロスト判定値以下になるという条件を用いつつ、第2デフロスト開始条件で第2デフロスト判定値以下となった状態が所定時間以上継続していること、という条件を用いるようにしてもよい。
【0130】
この場合には、第1デフロスト開始条件は室外熱交換器11の温度が一時的に第1デフロスト判定値以下になることで満たされるのに対して、第2デフロスト開始条件では室外熱交換器11の温度が所定時間の間続けて第2デフロスト判定値(ここでは第1デフロスト判定値と同じ)以下になっている必要がある点で、第2デフロスト開始条件は第1デフロスト開始条件よりも厳しい条件であることになる。
【0131】
また、第1デフロスト開始条件と第2デフロスト開始条件のそれぞれに、外気温度の条件だけでなく、湿度の条件も課すようにしてもよい。この場合には、室外熱交換器11における霜の付着程度をより詳細に判断することが可能になる。
【0132】
(7−4)変形例D
上記実施形態の空気調和装置1が所定の夜間の時間帯に運転停止される場合には(所定期間(例えば、5時間以上)暖房運転が開始されないと想定される時間帯に運転停止される場合には)、当該運転停止の直前にデフロスト運転を行って、室外熱交換器11に付着した霜を予め融解させておくようにしてもよい。
【0133】
これにより、運転停止後に室外熱交換器11の表面が乾燥するまでに要する時間を短縮化させることができ、翌日の朝等に暖房運転が開始されるまでに室外熱交換器11の表面を確実に乾かしておくことが可能になる。したがって、早朝の暖房運転において室外熱交換器11に霜が付着しにくい状況を確保することが可能になる。
【0134】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、デフロスト運転は、圧縮機8の吐出側が室外熱交換器11に接続されるように四路切換弁10の接続状態が切り換えられた状態で行われる場合を例に挙げて説明した。
【0135】
しかし、デフロスト運転としては、これに限られるものではなく、例えば、圧縮機8の吐出側が室内熱交換器32に接続されるように四路切換弁10の接続状態が切り換えられた状態で、圧縮機8を所定回転数以上の回転数となるように駆動させ、冷媒回路6における冷媒循環量を上げることで室外熱交換器11に付着している霜を融解させるようにしてもよい。このデフロスト運転を行う場合には、室外熱交換器11における冷媒圧力を高めるために、室外膨張弁12の弁開度は所定開度以上に上げた状態で運転されることが好ましい。
【0136】
また、デフロスト運転としては、圧縮機8の駆動を停止させ、室外ファン15を駆動させることで、室外熱交換器11に付着している霜を融解させるようにしてもよい。
【0137】
これらのデフロスト運転においても、暖房運転時と比べて室内熱交換器32内の冷媒の圧力(凝縮圧力)が低下し、室内の温度環境が悪化するという点で、上記実施形態のデフロスト運転と同様である。
【0138】
(7−6)変形例F
上記実施形態では、暖房運転時における室外ファン15の風量の調整等については任意である場合を例に挙げて説明した。
【0139】
これに対して、例えば、制御部9は、所定前提状況になっていない場合には、暖房運転中に室外熱交換器11の温度が第1デフロスト判定値より高温である所定の第1風量制御温度以下となった場合に室外ファン15の風量を低減させ、所定前提状況になっている場合には、暖房運転中に室外熱交換器11の温度が第2デフロスト判定値より高温であり且つ第1風量制御温度よりも低温である所定の第2風量制御温度以下となった場合に室外ファン15の風量を低減させるように、風量制御を行ってもよい。
【0140】
このように風量制御することで、所定前提状況に応じて第1デフロスト開始条件の第1デフロスト判定値から第2デフロスト開始条件の第2デフロスト判定値へと判断温度が下げられることに対応させて、室外ファン15の風量を低減させる判断基準となる室外熱交換器11の温度についても同様に、第1風量制御温度から第2風量制御温度に下げることができる。
【0141】
室外熱交換器11に霜が付着した状態になっても、室外ファン15の風量が大きいままである場合には送風音が大きくなってしまうおそれがあるが、以上のように、所定前提状況に応じて推定される着霜量に応じた風量制御を行うことで、当該騒音を小さく抑えることが可能になる。
【0142】
(7−7)変形例G
上記実施形態では、第1デフロスト開始条件や第2デフロスト開始条件の判断では、室外熱交温度センサ42が検出する温度が第1デフロスト判定値や第2デフロスト判定値以下になっているか否かを判断する場合について例に挙げて説明した。
【0143】
しかし、第1デフロスト開始条件や第2デフロスト開始条件の判断では、室外熱交換器11と室外膨張弁12との間を繋ぐ室外熱交液側配管20を流れる冷媒温度を第1デフロスト判定値や第2デフロスト判定値と比較して判断するようにしてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様に、室外熱交換器11における霜の着霜程度を把握することが可能である。