特許第6478096号(P6478096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478096
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20190225BHJP
   A61B 3/107 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   A61B3/10 Z
   A61B3/10 H
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-243584(P2014-243584)
(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公開番号】特開2016-106650(P2016-106650A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
【審査官】 ▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】 特公平02−032891(JP,B2)
【文献】 特開昭61−185243(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/094030(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼を検査するための眼科装置であって、
測定手段によって測定された前記被検眼の角膜形状を取得する形状取得手段と、
少なくとも1つの銘柄のコンタクトレンズの各サイズと、前記各サイズに対応するベースカーブの数値範囲と、前記ベースカーブのステップと、を入力する入力手段と、
前記数値範囲に含まれる各ベースカーブと、前記角膜形状との対応関係を示すテーブルを、前記数値範囲と、前記ベースカーブのステップと、に基づいて生成するテーブル生成手段と、
前記テーブルの示す対応関係と、前記形状取得手段によって取得された前記被検眼の角膜形状とに基づいて、少なくとも1つの銘柄のコンタクトレンズでの前記被検眼に適合するサイズおよびベースカーブを特定し、特定結果を出力する演算制御手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記入力手段は、前記ベースカーブを選定するための選定方法と、前記角膜形状の参考値に対するオフセット値と、をさらに入力し、
前記テーブル生成手段は、前記選定方法と、前記オフセット値と、を用いて前記テーブルを生成することを特徴とする請求項1の眼科装置。
【請求項3】
前記選定方法は、四捨五入、切り捨て、または切り上げから選択されることを特徴とする請求項2の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検眼の検査を行うための眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の眼屈折力および角膜形状の測定を行う眼科装置が知られている。これらの眼科装置は、例えば、コンタクトレンズの処方を行うために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−327829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の眼科装置において、被検眼の測定データに基づいて、サイズおよびベースカーブの適合するコンタクトレンズを測定結果とともに出力することによって、検者がコンタクトレンズを容易に処方できる眼科装置が提案されている。しかしながら、対応していない銘柄のコンタクトレンズを処方したい場合、眼科装置にコンタクトレンズを選定させることは困難であった。
【0005】
本開示は、上記の問題点に鑑み、容易にコンタクトレンズを処方できる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
被検眼を検査するための眼科装置であって、測定手段によって測定された前記被検眼の角膜形状を取得する形状取得手段と、少なくとも1つの銘柄のコンタクトレンズの各サイズと、前記各サイズに対応するベースカーブの数値範囲と、前記ベースカーブのステップと、を入力する入力手段と、前記数値範囲に含まれる各ベースカーブと、前記角膜形状との対応関係を示すテーブルを、前記数値範囲と、前記ベースカーブのステップと、に基づいて生成するテーブル生成手段と、前記テーブルの示す対応関係と、前記形状取得手段によって取得された前記被検眼の角膜形状とに基づいて、少なくとも1つの銘柄のコンタクトレンズでの前記被検眼に適合するサイズおよびベースカーブを特定し、特定結果を出力する演算制御手段と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る眼科装置の外観図である。
図2】光学系および制御部の概略構成図である。
図3】表示部に表示された前眼部画像の一例を示す図である。
図4】表示部に表示される銘柄一覧画面の一例を示す図である。
図5】表示部に表示される銘柄設定画面の一例を示す図である。
図6】表示部に表示させるテーブル確認画面の一例を示す図である。
図7】測定結果および選定結果の出力例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<概要>
以下、本開示に係る眼科装置の概要を図1図7に基づいて説明する。眼科装置(例えば、眼科装置100)は、例えば、被検眼の角膜曲率等の角膜形状を測定する装置である。眼科装置100は、例えば、形状取得部(例えば、制御部70)と、入力部(例えば、操作部8、表示部71および制御部70の少なくともいずれか)と、テーブル生成部(例えば、制御部70)と、演算制御部(例えば、制御部70)を主に備える。
【0010】
形状取得部は、例えば、測定部(例えば、パターン指標投影光学系60および前眼部撮像光学系30などの少なくともいずれか)によって測定された被検眼の角膜曲率半径および角膜屈折力等の少なくともいずれかを含む角膜形状を取得する。入力部は、例えば、少なくとも一つの銘柄のコンタクトレンズの各サイズに対応するベースカーブの数値範囲を入力するために用いられる。入力部は、例えば、操作部(スイッチ、ダイヤル、タッチパネルなど)からの操作信号を受け付ける。テーブル生成部は、例えば、入力部によって入力された数値範囲に含まれる各ベースカーブと、角膜形状との対応関係を示すテーブルを生成する。なお、テーブル生成部は、生成したテーブルを記憶部(例えば、メモリ75)に記憶させてもよい。演算制御部は、例えば、テーブルの示す対応関係と、形状取得部によって取得された被検眼の角膜形状とに基づいて、少なくとも1つの銘柄のコンタクトレンズでの被検眼に適合するサイズおよびベースカーブを特定(選定)し、特定結果を出力する。なお、テーブル生成部と演算制御部は1つの制御部が兼用されてもよい。演算制御部は、例えば、表示部およびプリンタによって特定結果を出力してもよい。これによって、検者は、被検眼に適合するコンタクトレンズを容易に確認することができる。
【0011】
なお、測定部は、角膜形状を測定すればよく、角膜に投影されたリング状指標を撮像する方式の他、シャインプルークカメラ、前眼部OCT(Optical Coherence Tomography)であってもよい。
【0012】
なお、入力部は、コンタクトレンズの各サイズに対応するベースカーブの数値範囲とともに、コンタクトレンズのメーカー名およびモデル名(レンズ名)の少なくともいずれかを含む銘柄情報を入力してもよい。
【0013】
なお、演算制御部は、被検眼に適合するサイズおよびベースカーブを特定するために角膜形状を参考値として用いてもよい。この参考値は、例えば、強主経線方向の角膜曲率半径と弱主経線方向の角膜曲率半径の平均値(中間値ともいう)であってもよいし、弱主経線方向の角膜曲率半径であってもよい。例えば、演算制御部は、参考値として用いる値を、中間値および弱主経線方向の角膜曲率半径のいずれかに設定可能であってもよい。これによって、検者は、所望の参考値によって特定されたコンタクトレンズを確認することができる。上記のような参考値の設定は、例えば、入力部を介して行われてもよい。
【0014】
なお、演算制御部は、被検眼に適合するサイズおよびベースカーブを特定するための角膜形状の参考値の端数処理を行ってもよい。この端数処理は、例えば、四捨五入、切り上げおよび切り捨てのいずれかであってもよい。演算制御部は、端数処理を四捨五入、切り上げおよび切り捨てのいずれかに設定可能であってもよい。これによって、検者は、所望の端数処理によって特定されたコンタクトレンズを確認することができる。上記のような端数処理の設定は、例えば、入力部を介して行われてもよい。
【0015】
なお、本装置は、テーブル生成部によって生成されたテーブルを記憶するための記憶部をさらに備えてもよい。この場合、入力部は、記憶部に記憶されたテーブルを変更するための変更情報を入力してもよい。例えば、テーブルが変更された場合、演算制御部は、変更されたテーブルの示す対応関係と、被検眼の角膜形状に基づいて、被検眼に特定するコンタクトレンズのサイズおよびベースカーブを特定する。これによって、検者は、入力部への入力によってテーブルを変更し、所望のコンタクトレンズが特定されるようにしてもよい。
【0016】
なお、演算制御部は、コンタクトレンズのメーカー名およびモデル名の少なくともいずれかを含む銘柄情報を入力するための入力欄と、演算制御部によって被検眼に適合するサイズおよびベースカーブを特定するための特定条件を入力するための入力欄と、を表示部の同一画面上に表示させてもよい。これによって、検者は、わざわざ画面を切り換えることなくコンタクトレンズの銘柄情報と特定条件を入力することができる。なお、画面に表示された入力欄への入力は、例えば、入力部を介して行われてもよい。
【0017】
<実施例>
以下、本開示に係る実施例を図面に基づいて説明する。本実施例の眼科装置は、例えば、被検者の眼屈折力および角膜形状等を測定する。
【0018】
図1は、実施例に係る眼科装置の外観構成図である。眼科装置9は、基台1と、顔支持ユニット2と、移動台3と、測定部4を主に備える。顔支持ユニット2は、例えば、基台1に取り付けられる。移動台3は、例えば、基台1上に移動可能に設けられる。測定部4は、例えば、移動台3に移動可能に設けられ、後述する光学系を収納する。測定部4は、移動台3に設けられたXYZ駆動部6により、被検眼Eに対して左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)及び前後方向(Z方向)に移動される。駆動部6は、X,Y,Zの方向毎に設けられたスライド機構、モータ等から構成される。移動台3は、ジョイスティック5の操作により、基台1上をX方向及びZ方向に移動され、回転ノブ5aを回転操作することにより、XYZ駆動部6のY駆動によりY方向に移動される。移動台3には被検眼Eの観察像や測定結果等の各種情報を表示する表示部71、各種設定を行うためのスイッチが配置された操作部8が設けられている。なお、表示部71は、タッチパネル機能を備えてもよい。
【0019】
図2は眼科装置9の光学系について示す概略構成図である。本光学系は、測定光光学系10と、パターン指標投影光学系(以下、パターン光学系とも言う)60と、照明光学系80と、フォーカス指標投影光学系(以下、フォーカス光学系とも言う)50と、前眼部撮像光学系30と、固視標投影光学系40と、に大別される。パターン光学系60は、例えば、角膜形状測定用の指標を被検眼の角膜Ecに投影する。照明光学系80は、例えば、被検眼前眼部を可視光または赤外光にて照明する。前眼部撮像光学系30は、例えば、前眼部正面像を撮像する。
【0020】
パターン光学系60は、例えば、角膜Ecに対してリング状のパターン指標を投影する。パターン光学系60は、例えば、光源61、光源62、光源63を備える。光源61は、例えば、測定光軸L1を中心に配置されたリング状の光源であり、角膜Ecに拡散光(有限光)を照射して、角膜Ecにリング指標Gを投影する(図3参照)。リング指標Gは、角膜形状(角膜曲率、乱視度数、乱視軸角度等)を測定するためのマイヤーリングとして用いられる。光源62および光源63は、例えば、測定光軸L1を中心とする同一円周上に配置された点状の光源であり、角膜Ecに拡散光を照射して、角膜Ecに点状指標P1及びP2を投影する。なお、後述のように点状指標P1,P2は、Z方向のアライメントを合わせる際に利用される。なお、光源61、光源62および光源63には、例えば、赤外光または可視光を発するLEDが使用される。また、光源61について、光軸L1を中心とする同一円周上に少なくとも3つ以上の点光源が配置されていればよく、間欠的なリング光源であってもよい。パターン光学系60は、複数のリング指標を投影するプラチド指標投影光学系であってもよい。
【0021】
照明光学系80は、光源81を有する。照明光学系80は、例えば、光源61の外側に配置され、被検眼Eに照明光を照射する。
【0022】
フォーカス光学系50は、例えば、前後方向(Z方向)検出用のフォーカス指標(プルキンエ像)を投影する光学系である。フォーカス光学系50は、例えば、光源61の外側に配置される。フォーカス光学系50は、例えば、赤外光を発する投影光源51,52(例えば、λ=970nm)、コリメータレンズ53,54を有し、平行光(無限光)を照射することによって、角膜Ecに無限遠のフォーカス指標を投影する。本実施例において、フォーカス光学系50は、被検眼角膜に対して2点のフォーカス指標を投影する光学系であって、図3に示すように、被検眼Eの角膜上にはフォーカス指標M1,M2が投影される。平行光によって形成されたフォーカス指標M1,M2と、拡散光によって形成された点状指標P1,P2との組み合わせによってZ方向のアライメント検出が行われる。これによって、被検眼Eに対する測定部4の位置合わせ(例えば、自動アライメント、アライメント検出、手動アライメント等)が行われる。なお、フォーカス光学系50の光源51,52は、前眼部を斜め方向から赤外光にて照明する前眼部照明を兼用してもよい。
【0023】
前眼部撮像光学系(以下、撮像光学系とも言う)30は、対物レンズ14、ダイクロイックミラー33、ダイクロイックミラー62、フィルタ34、撮像レンズ37、二次元撮像素子35、を含み、被検眼の前眼部正面像を撮像するために用いられる。
【0024】
ここで、前述のパターン光学系60、照明光学系80、フォーカス光学系50による前眼部反射光は、対物レンズ14、ビームスプリッタ33、ダイクロイックミラー62、フィルタ34、及び撮像レンズ37を介して二次元撮像素子35に結像される。
【0025】
すなわち、撮像光学系30は、光源61からの光が照射された前眼部像を撮影することにより、角膜Ec上に形成されたリング指標(角膜反射像)Gを含む前眼部像を撮影できる。
【0026】
ダイクロイックミラー(ビームスプリッタ)62は、固視標呈示光学系40の光路と撮像光学系30の光路を分岐するための光路分岐部材として用いられる(詳しくは、後述する)。フィルタ34は、光源51,光源52による赤外光と光源81による照明光を透過し、他の光を遮断するために用いられる。
【0027】
固視標呈示光学系40は、被検眼Eを固視させるための固視光学系である。固視標呈示光学系40は、可視光源41と、固視標を持つ固視標板42と、投光レンズ43と、ビームスプリッタ33と、対物レンズ14と、を含む。可視光源41が点灯されることで、固視標板42が有する固視標が、被検眼Eに呈示される。
【0028】
測定光学系10は、投光光学系10aと、受光光学系10bと、を有している。投光光学系10aは、被検眼Eの瞳孔を介して被検眼Eの眼底Efに光束を投影するための光学系である。また、受光光学系10bは、眼底Efから反射された眼底反射光を、瞳孔周辺部を介してリング状に取り出し、主に眼屈折力の測定に用いるリング状の眼底反射像を撮像するための光学系である。
【0029】
投光光学系10aは、測定光学系10の光軸L1上に配置された、測定光源11と、リレーレンズ12と、ホールミラー13と、対物レンズ14と、を含む。
【0030】
光源11は、被検眼Eの瞳孔中心部を介して眼底Efにスポット状の測定視標を投影するための光源である。光源11は、正視眼の眼底Efと光学的に共役な位置関係となっている。本実施例では、光源11は、SLD(Super Luminescent Diode)であるものとして説明するが、これに代えて、例えばLED(Light Emitting Diode)等を用いることもできる。
【0031】
ホールミラー13は、リレーレンズ12を介した光源11からの光束を通過させる開口が設けられている。ホールミラー13は、眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置関係となっている。
【0032】
受光光学系10bは、投光光学系10aの対物レンズ14と、ホールミラー13と、を投光光学系10aと共用している。また、受光光学系10bは、リレーレンズ16と、全反射ミラー17と、受光絞り18と、コリメータレンズ19と、リングレンズ20と、二次元撮像素子22(以下、「撮像素子22」と称す)と、を含む。
【0033】
リレーレンズ16は、ホールミラー13の反射方向の光軸L2上に配置される。受光絞り18は、眼底Efと光学的に共役な位置であって、全反射ミラー17の反射方向に配置される。リングレンズ20は、眼底反射光をリング状に整形するための光学素子である。リングレンズ20は、リング状に形成されたレンズ部と、レンズ部以外の領域に遮光用のコーティングを施した遮光部と、を有している。また、リングレンズ20は、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置関係となっている。リングレンズ20を介したリング状の眼底反射光(即ち、二次元パターン像)は、撮像素子22で受光される。撮像素子22は、眼底Efと光学的に共役な位置に配置される。撮像素子22は、受光した二次元パターン像の画像情報を、制御部70に出力する。これによって、二次元パターン像を表示部71に表示させたり、二次元パターン像に基づいて被検眼Eの屈折力を算出させたりすることが可能となる。なお、撮像素子22としては、エリアCCD等の受光素子を用いることができる。
【0034】
なお、測定光学系10は上記のものに限らず、被検眼眼底Efに向けて測定光を投光する投光光学系と、測定光の眼底Efでの反射によって取得される反射光を受光素子によって受光する受光光学系と、を有する測定光学系であればよい。例えば、眼屈折力測定光学系は、シャックハルトマンセンサーを備えた構成であってもよい。もちろん、他の測定方式の装置が利用されてもよい(例えば、スリットを投影する位相差方式の装置)。
【0035】
次に、制御系について説明する。制御部70は、装置全体の制御及び測定結果の算出を行う。制御部70は、光源11、光源51、光源61、光源81、撮像素子22、撮像素子35、固視標投影光学系40、表示部71、メモリ75、等と接続されている。ここで、撮像素子35から出力される撮像信号は、制御部70によって画像処理され、表示部71に表示される。
【0036】
なお、制御部70は、例えば撮像素子35によって撮像されたリング指標Gに基づいて被検眼の角膜形状を測定する。例えば、制御部70は、リング指標Gの像高に基づいて各経線方向の角膜曲率半径を求める。被検眼に乱視があるときは、制御部70は、各経線方向の角膜曲率半径の大きさに基づいて乱視軸角度等を求めてもよい。さらに、制御部70は、例えば撮像素子33によって撮影されたリング像Rに基づいて被検眼の眼屈折力を測定する。例えば、制御部70は、撮像素子35によって撮像されたリング像Rの像高に基づいて眼屈折力等を求める。
【0037】
なお、本実施例の制御部70は、例えば、コンタクトレンズの選定手段として機能し、被検眼に適したコンタクトレンズを選定する。例えば、制御部70は、上記のように測定された被検眼の角膜形状に基づいて、コンタクトレンズのベースカーブおよびサイズ等を選定する。
【0038】
ベースカーブは、レンズ内面(接触面)の曲率半径で示され、角膜の曲率半径に適したベースカーブが選定される必要がある。例えば、レンズのベースカーブが、角膜の曲率半径よりも大きい場合(フラットの場合)、レンズが安定しないため、動きやすく、眼球から外れ易い。また、レンズのベースカーブが角膜の曲率半径よりも小さい場合(スティープの場合)、レンズの周辺部が角膜に強く接触し中心部が浮いてしまうため、正しく矯正が行われない等の影響が出る。
【0039】
なお、コンタクトレンズには、複数のサイズ(例えばレンズの直径)が用意される。一般的にレンズのサイズは9.0mm前後であり、サイズごとに複数種類のベースカーブのレンズが作成される。また、角膜曲率半径が大きくなると角膜径も大きくなるため、ベースカーブに応じたレンズ直径が設定される場合もある。なお、コンタクトレンズのサイズとベースカーブの対応関係はメーカーおよび銘柄によって異なるため、制御部70は銘柄ごとにコンタクトレンズの選定を行う必要がある。このため、メモリ75には、コンタクトレンズのサイズとベースカーブの対応を示すB.Cテーブルが銘柄ごとに記憶されている。そして制御部70は、例えば、検者によって選択された銘柄のB.Cテーブルを読み込み、角膜の強主経線方向と弱主経線方向の中間値に対応するベースカーブを選定する。そして制御部70は、選定したベースカーブと、それに対応するサイズをメーカー名および銘柄名とともに表示部およびプリンタ等によって出力する。これによって、検者は、被検眼に適したコンタクトレンズのベースカーブとサイズを容易に取得できる。
【0040】
<登録画面の説明>
なお、本実施例の眼科装置9において、制御部70がコンタクトレンズを選定するときの選定条件を登録することができる。以下、選定条件を登録するときの画面について説明する。
【0041】
まず、制御部70は、図示無きメニュー画面の銘柄一覧スイッチが押されると、図4に示すように、表示部71に銘柄一覧画面90を表示させる。銘柄一覧画面90には、例えば、銘柄ナンバーと、メーカー名と、モデル名の一覧表(以下、銘柄表ともいう)91が表示される。銘柄一覧画面の左部には、銘柄を表示するか否かを選択するチェックボックス92が表示させる。なお、銘柄一覧画面90の下部には、ページ切換ボタン93、クリアボタン94、プリントボタン95、戻るボタン96、銘柄設定ボタン97等が表示される。ページ切換ボタン93は、例えば、銘柄表91を次のページに送るためのボタンである。クリアボタン94は、例えば、チェックボックス92のチェックを外すボタンである。プリントボタン95は、例えば、銘柄表91を印刷するボタンである。戻るボタン96は、例えば、前の画面に戻るボタンである。
【0042】
銘柄設定ボタン97が押されると、制御部70は、表示部71の表示を銘柄設定画面100に切り換える。銘柄設定画面100は、新規銘柄の登録、および登録済み銘柄の設定変更等を行う画面である。銘柄設定画面100の上部には、例えば、ナンバー表示欄101、ナンバー切換ボタン102、削除ボタン103、レンズ名入力欄104、メーカー名入力欄105、B.Cステップ入力欄106、参考値選択欄107、選定方法選択欄108等が表示される。
【0043】
ナンバー表示欄101は、銘柄リストのナンバーが表示される。ナンバー切換ボタン102は、ナンバー表示欄101のナンバーを切り換えるボタンである。新しい銘柄を登録する場合、検者はナンバー切換ボタン102を操作して未登録のナンバーを選択する。なお、登録済みのナンバーが選択された場合、登録済みの銘柄の設定を変更できるようにしてもよい。削除ボタン103は、登録された銘柄の情報を削除するボタンである。レンズ名入力欄104は、レンズ名を入力する欄である。メーカー名入力欄105は、レンズのメーカー名を入力する欄である。B.Cステップ入力欄106は、レンズのベースカーブのステップを入力する欄である。参考値選択欄107は、レンズのベースカーブを選択するときの参考値に用いる値を選択する欄である。図5の例では、例えば、中間値と弱主経線の曲率半径の測定値とで選択できるようになっている。ここで、中間値とは、例えば、強主経線方向の角膜曲率の測定値と弱主経線方向の角膜曲率の測定値の平均値である。選定方法選択欄108は、参考値に基づいてベースカーブを選定するときの選定方法を選択する欄である。図5の例では、例えば、四捨五入、切り捨て、切り上げが選択できるようになっている。例えば、B.Cステップが0.1mmの場合、四捨五入が選択されると、制御部70は、参考値の小数点第2位の値を四捨五入した値に基づいて、ベースカーブを選定する。切り捨てまたは切り上げが選択された場合も同様に、制御部70は参考値の小数点第2位を切り捨て値,切り上げた値に基づいてベースカーブを選定する。なお、選定方法選択欄108には、オフセット値入力欄109が表示される。オフセット値入力欄109は、例えば、参考値に対するオフセット値を入力する欄である。オフセット値が入力されると、制御部70は、参考値に対してオフセット値を加えた値を用いてベースカーブを選定する。
【0044】
なお、各入力欄が選択されると、例えば、制御部70は、図示無きキーボード画面およびテンキー画面等を表示させ、検者の入力を受け付けてもよい。もちろん、スイッチ部8の入力によって検者の入力を受け付けてもよい。
【0045】
銘柄設定画面100の中部には、例えば、対応関係入力欄110が表示される。対応関係入力欄110は、例えば、サイズ入力欄111と、B.C最小値入力欄112と、B.C最大値入力欄113に分けられる。サイズ入力欄111と、B.C最小値入力欄112、B.C最大値入力欄113の3つが一組であり、この組が複数表示される。サイズ入力欄111は、レンズのサイズを入力する欄である。B.C最小値入力欄112は、B.Cの最小値を入力する欄である。B.C最大値入力欄113は、B.Cの最大値を入力する欄である。制御部70は、測定によって得られた参考値がB.C最小値とB.C最大値に入力されたベースカーブの範囲内にあるレンズのサイズを選定する。
【0046】
銘柄設定画面100の下部には、例えば、テーブル表示ボタン114、戻るボタン115等が表示される。テーブル表示ボタン114が押されると、制御部70は、表示部71の表示をテーブル表示画面120に切り換える(図6参照)。
【0047】
テーブル表示画面120には、例えば、検者が登録した銘柄のB.Cテーブルが表示される。テーブル表示画面120には、例えば、レンズ名・サイズ表示欄121と、B.Cテーブル122と、ページ切換ボタン123と、戻るボタン124が表示される。レンズ名・サイズ表示欄121には、例えば、レンズ名とサイズが表示される。B.Cテーブル122は、測定された角膜曲率半径から求められた参考値の範囲と、それに対応するB.Cの値が表示される。なお、図6は、選定方法が四捨五入で、オフセットが0.1mm、B.Cステップが0.1mmの場合のB.Cテーブルの例である。ページ切換ボタン123は、B.Cテーブルのページを切り換えるためのボタンである。戻るボタン124は、前の画面に戻るためのボタンである。制御部70は、B.Cテーブル122を表示させることによって、登録されたB.Cテーブル122を確認させることができる。
【0048】
<登録方法>
以下、前述の設定画面を用いてB.Cテーブル122を登録方法について説明する。まず、検者は、銘柄一覧画面90の銘柄設定ボタン97を押す。銘柄設定ボタン97が押されると、制御部70は、銘柄一覧画面100を表示する。検者は、ナンバー切換ボタン102を操作して、登録したいナンバーをナンバー表示欄101に表示させる。制御部70は、ナンバー切換ボタン102の操作に基づいてナンバー表示欄101の表示を切り換える。なお、銘柄設定画面への入力は、スイッチ部8による入力であってもよいし、表示部71がタッチパネルである場合は、表示部71へのタッチ入力であってもよい。
【0049】
次にレンズ名とメーカー名の入力について説明する。検者は、レンズ名入力欄104およびメーカー名入力欄105にそれぞれレンズ名とメーカー名を入力する。例えば、制御部70は、レンズ名入力欄104およびメーカー名入力欄105が選択されると、図示無きキーボード画面を表示させてもよい。この場合、検者は、キーボード画面への入力によってレンズ名とメーカー名を入力する。
【0050】
B.Cステップの入力について説明する。検者はB.Cステップ入力欄106にB.Cステップを入力する。例えば、検者がB.Cステップ入力欄106をタッチすると、制御部70は、図示無きテンキー画面を表示させてもよい。この場合、検者は、テンキーの入力によってB.Cステップの数値を入力してもよい。例えば、レンズのベースカーブが0.1mmごとの規格であった場合、検者は、B.Cステップ入力欄106に0.1と入力する。制御部70は、B.Cステップ入力欄106に入力されたB.Cステップに基づいて、B.Cテーブル122を作成する。
【0051】
参考値の選択について説明する。検者は、例えば参考値選択欄107の中間値または弱主経線のいずれかを選択する。例えば、検者は、選択した項目をタッチすることによって参考値を選択してもよい。制御部70は、検者に選択された項目のチェックボックスにチェックを入れるようにしてもよい。図5の例では、中間値と弱主経線の内、中間値が選択されている。制御部70は、検者によって選択された参考値に基づいて、ベースカーブを選定する。
【0052】
選定方法の選択について説明する。検者は、例えば、選定方法選択欄108の四捨五入または切り捨て、切り上げの内のいずれかを選択する。例えば、検者は選択した項目をタッチすることによって選定方法を選択してもよい。制御部70は、選択された選定方法でベースカーブを選定する。
【0053】
オフセット値の入力について説明する。検者は、例えばB.Cステップの入力と同様に、図示無きテンキー画面またはスイッチ部8等によってオフセット値を入力する。制御部70は、オフセット値に基づいて、B.Cテーブル122を作成する。
【0054】
B.Cテーブルの入力について説明する。例えば、図示無きテンキー画面またはスイッチ部8等によって、対応関係入力欄110にサイズおよびB.Cの最小値、最大値を入力する。制御部70は、対応関係入力欄110に入力された数値に基づいて、B.Cテーブルを作成する。
【0055】
制御部70は、銘柄設定画面100の入力に基づいてB.Cテーブルを作成する。例えば、図5の9.0mmのサイズの場合、B.Cステップが0.1mm、B.Cの最小値が7.30mm、B.Cの最大値が7.50mmであるため、ベースカーブが7.30mm、7.40mm、7.50mmのテーブルが作成される。また、図5の例では参考値が中間値、オフセットが0.1mm、選定方法が四捨五入である。したがって測定値の中間値が7.15〜7.24mmの場合、四捨五入されてオフセット値0.1mmが加えられるため、ベースカーブが7.30mmに対応するようにB.Cテーブル122が作成される(図7参照)。同様に、中間値が7.25〜7.34mmの場合はベースカーブが7.40mm、中間値が7.35〜7.44mmの場合はベースカーブが7.50に対応するようにB.Cテーブル122が作成される。
【0056】
以上のように、制御部70は、コンタクトレンズを選定するための選定条件をメモリ75に登録することができる。したがって、検者は、新しい銘柄のコンタクトレンズを処方したい場合、制御部70にベースカーブとサイズの対応関係を入力することによって、わざわざフィッティングマニュアル等を確認せずに、被検者に適合するコンタクトレンズを選定することができる。また、数値の処理方法およびオフセット量などの選定条件を検者が自由に変更することができるため、コンタクトレンズの選定に検者の経験を反映させることができる。
【0057】
<測定動作>
以上のような構成を備える装置における角膜形状および眼屈折力の測定動作を説明する。検者は、被検者の顔を顔支持ユニット2に支持させ、固視標光学系40によって投影された固視標を見るように指示する。
【0058】
被検者の準備が整うと、制御部70はオートアライメントを開始する。アライメントの際、制御部70は、例えば、光源51,52および光源61を点灯させる。撮像光学系30は、被検眼Eの前眼部を撮像する。前眼部画像には、被検眼の前眼部に形成されたフォーカス指標M1,M2とリング指標Gと、点状指標P1,P2が撮像される。制御部70は、例えば、フォーカス指標M1,M2と点状指標P1,P2の位置関係に基づいて被検眼Eに対するアライメント状態を検出し、XYZ駆動部6を制御することによってアライメントを合わせる。
【0059】
アライメントが完了すると、制御部70は、リング指標Gの像高に基づいて、各経線方向の角膜曲率半径を求める。被検眼に乱視があるときは、制御武70は、各経線方向の角膜曲率半径の大きさに基づいて乱視軸角度等を求めてもよい。さらに、制御部70は、撮像素子22によって撮像されたリング像の像高に基づいて眼屈折力等を求めてもよい。
【0060】
そして、制御部70は、メモリ75に保存されたB.Cテーブルから該当するベースカーブを読み込み、対応するサイズ、メーカー名、銘柄名等とともに表示および印刷等によって出力を行う。例えば、図7に示すレシートのようにレンズの銘柄ごとにサイズとベースカーブが出力される。検者は、眼科装置9の出力結果を確認することによって、被検者に適合したコンタクトレンズのサイズとベースカーブを銘柄ごとに確認できる。
【0061】
なお、以上の説明において、制御部70は、新しい銘柄に対する選定条件を登録する場合について説明したが、これに限らない。例えば、デフォルトで設定されている銘柄の設定を変更してもよい。この場合、例えば検者は、銘柄設定画面100のナンバー切換ボタン102を操作してデフォルトの銘柄のナンバーを選択し、前述のように各設定を変更してもよい。
【0062】
なお、以上の説明において、銘柄設定画面100への入力によってB.Cテーブルが作成されるものとしたが、これに限らない。例えば、テーブル表示画面120に表示されたレンズ名・サイズ表示欄121と、B.Cテーブル122等に直接入力することによって、各銘柄の各サイズに関するB.Cテーブル122を作成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 基台
9 眼科装置
10 測定光学系
20 パターン指標投影光学系
30 前眼部撮像光学系
40 固視標投影光学系
50 フォーカス指標投影光学系
70 制御部
71 表示部
90 銘柄一覧画面
100 銘柄設定画面
120 テーブル表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7