特許第6478274号(P6478274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478274
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】油脂精製剤
(51)【国際特許分類】
   C11B 3/10 20060101AFI20190225BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20190225BHJP
   C01B 33/22 20060101ALN20190225BHJP
【FI】
   C11B3/10
   B01J20/10 A
   !C01B33/22
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-88656(P2015-88656)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2015-214691(P2015-214691A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2018年3月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-89682(P2014-89682)
(32)【優先日】2014年4月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000237972
【氏名又は名称】富田製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳
(72)【発明者】
【氏名】谷脇 孝典
(72)【発明者】
【氏名】板東 明人
(72)【発明者】
【氏名】亀和 利広
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/056749(WO,A1)
【文献】 特表2003−526496(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0141222(US,A1)
【文献】 特開昭62−262741(JP,A)
【文献】 特開2005−008675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00−15/00
C11C 1/00− 5/02
C01B33/20−39/54
B01J20/00−20/34
A23D 7/00− 9/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂のアニシジン価を低減するために用いられる材料であって、有効成分としてケイ酸マグネシウム系材料を含み、前記ケイ酸マグネシウム系材料における細孔径200〜500nmにおける累積細孔容積が0.05cc/g以上であることを特徴とするケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
【請求項2】
前記ケイ酸マグネシウム系材料の水分含有量が8.0重量%以下である、請求項1に記載のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
【請求項3】
前記ケイ酸マグネシウム系材料のメチレンブルー吸着量が0.40mmol/g以上である、請求項1に記載のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
【請求項4】
前記ケイ酸マグネシウム系材料において、細孔径200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量が1.5mol/g以上である、請求項1に記載のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
【請求項5】
前記ケイ酸マグネシウム系材料におけるSi及びMgの含有比率がSiO/MgO重量比換算で1.2〜7.6である、請求項1に記載のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の油脂精製剤を油脂と接触させる工程を含むことを特徴とする精製油の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な油脂精製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカツオ、イワシ等の魚類から採取される魚油は、それに含まれる成分の生理作用が注目されている。例えば、魚油にはω−3系多価不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸 (EPA) 、ドコサヘキサエン酸 (DHA))等が含まれるが、これらの日常的な摂取が成人病を予防できるものと期待されている。このため、魚油に含まれる各種の有効成分を抽出し、これを食品、食品添加剤、サプリメント、栄養剤等として利用する試みが進められている。
【0003】
ところが、単に搾油しただけの未精製の魚油は、例えばアミン、脂肪酸、カルボニル化合物の成分(揮発性成分等)も含まれているため、これらが魚特有の臭気を呈し、製品化の妨げとなっている。また、未精製の魚油は、含有される着色成分により色合いは異なるが、一般的に赤褐色又は茶系統の色合いを呈することが多いことから、これら着色成分を除去し、より淡色化又は澄明性を高めることで製品としての価値を高める必要もある。このため、これらの不要成分を効果的に取り除くことを目的として、魚油を精製する技術の開発も進められている。
【0004】
例えば、魚油の精製方法として、魚油を減圧水蒸気蒸留にかけ、吸着剤と接触させて高沸点の一層極性の大きい香味化合物並びにその他の望ましくない少量成分を減少させ、次いで精製油を回収する方法が提案されている(特許文献1)。ここに、吸着剤としては、シリカゲル又はケイ酸を使用することが開示されている。
【0005】
また例えば、魚油を減圧下で極性吸着樹脂と接触させることを特徴とする魚油の精製法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−16195
【特許文献2】特開平8−302382
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、魚油は、酸化的劣化に伴って「戻り臭」と呼ばれる不快な臭いを発するが、その原因となる主な物質はアルデヒド類及びケトン類であることが知られている。そして、魚油の酸化的劣化の度合いを示す指標としては、その対象物質等に応じて種々のものが知られているが、油中の二次酸化生成物(アルデヒド類等)の含有量を評価するための指標としてアニシジン価が採用されている。このため、上記のような不快な臭いをなくすためには、アニシジン価を指標とし、その数値を下げることが必要となる。
【0008】
しかしながら、これらの従来の魚油の精製技術では、十分なアニシジン価低減効果が得られないことから、さらなる改良が必要とされている。
【0009】
従って、本発明の主な目的は、アニシジン価をより効果的に低減できる油脂精製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定のケイ酸マグネシウム系材料を採用することによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、下記の油脂精製剤に係る。
1. 油脂のアニシジン価を低減するために用いられる材料であって、有効成分としてケイ酸マグネシウム系材料を含み、前記ケイ酸マグネシウム系材料における細孔径200〜500nmにおける累積細孔容積が0.05cc/g以上であることを特徴とするケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
2. 前記ケイ酸マグネシウム系材料の水分含有量が8.0重量%以下である、前記項1に記載のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
3. 前記ケイ酸マグネシウム系材料のメチレンブルー吸着量が0.40mmol/g以上である、前記項1に記載のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
4. 前記ケイ酸マグネシウム系材料において、細孔径200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量が1.5mol/g以上である、前記項1に記載のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
5. 前記ケイ酸マグネシウム系材料におけるSi及びMgの含有比率がSiO/MgO重量比換算で1.2〜7.6である、前記項1に記載のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤。
6. 前記項1〜5のいずれかに記載の油脂精製剤を油脂と接触させる工程を含むことを特徴とする精製油の製造方法。
有粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より優れたアニシジン価低減性能を発揮する油脂精製剤を提供することができる。本発明の油脂精製剤が従来品よりも高い性能を発現する理由は定かではないが、本発明の油脂精製剤では、揮発性成分を含む低分子量のアミン、アルデヒド等を吸着除去するとともに、これらが重合した分子量の大きな不揮発性物質も吸着除去できるためと考えられる。
【0013】
アニシジン価に影響を与える物質(関与物質)として、不飽和油脂の酸化生成物であるカルボニル化合物(アルデヒド類及びケトン類)のほか、これらが重合した重合物が例示される。一般に、前記重合物の場合は、低分子のカルボニル化合物に比して分子量及び分子サイズが大きく、それに伴って不揮発性となる傾向にある。このため、従来の蒸留法等では、これらの不揮発性物質を除去することは困難であると考えられる。また、従来の吸着剤においても、その細孔構造との関係で分子量及び分子サイズが大きな不揮発性物質を除去することは難しいものと考えられる。これに対し、本発明では、特定の細孔構造を有するケイ酸マグネシウム系材料を採用することによって、低分子量の関与物質のみならず、高分子量の関与物質も吸着できるようになった結果、アニシジン価をより効果的に低減させることが可能になるものと推察される。
【0014】
このように、本発明の油脂精製剤によって、特に油脂中のアルデヒド重合物由来の臭気の低減を図ることができ、ひいては高品質の精製油を製造することが可能となる。
【0015】
しかも、本発明の油脂精製剤では、製品価値を低下させる原因となる着色成分を取り除くこともできるので、より良好な外観を呈する精製油を提供することもできる。
【0016】
本発明の油脂精製剤は、例えばカツオ、マグロ、イワシ、サンマ、サバ等の魚油の精製に用いることができるほか、アニシジン価の低減が必要とされる一般的な油類、例えば使用済み油(食用油等)の再生、製品である天然油・合成油を製造する際における粗油(原料油)の精製、天然油・合成油を原料とする製品(例えば医薬品、化粧品、食品、化学品等)の製造における前記原料の精製等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】水分含有量とアニシジン価低減率の関係を示すグラフである。
図2】200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量とアニシジン価低減率の関係を示すグラフである。
図3】実施例6と比較例1のサンプルの細孔分布を示す。
図4】SiO/MgO重量比とアニシジン価低減率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.油脂精製剤
本発明のケイ酸マグネシウム系油脂精製剤(以下「本発明精製剤」ともいう。)は、油脂のアニシジン価を低減するために用いられる材料であって、有効成分としてケイ酸マグネシウム系材料を含み、前記ケイ酸マグネシウム系材料における細孔径200〜500nmにおける累積細孔容積が0.05cc/g以上であることを特徴とする。
【0019】
本発明精製剤は、特に油脂のアニシジン価を低減するために用いられるものである。すなわち、主として油脂中に含まれるアルデヒド類及びケトン類のカルボニル化合物ならびにそれらの重合物の吸着除去に好適に用いられる材料である。これによって、例えば魚油等の酸化的劣化により生ずる物質を取り除くことができる結果、「戻り臭」等の臭気を効果的に低減することが可能となる。本発明精製剤が適用できる油脂は、限定的でなく、例えば各種の魚類から抽出された魚油を挙げることができる。
【0020】
本発明精製剤は、特定の細孔構造を有するケイ酸マグネシウム系材料を有効成分として用いる。本発明精製剤中のケイ酸マグネシウム系材料の含有量は限定的ではないが、通常は80〜100重量%程度とし、特に90〜100重量%が好ましく、さらには95〜100重量%がより好ましい。従って、例えばケイ酸マグネシウム系材料100重量%からなる本発明精製剤も適用可能である。
【0021】
前記ケイ酸マグネシウム系材料の細孔構造に関しては、細孔径200〜500nmにおける累積細孔容積が0.05cc/g以上であり、好ましくは0.10cc/g以上であり、より好ましくは0.20cc/g以上であるケイ酸マグネシウム系材料を用いる。本発明精製剤では、細孔径が200〜500nmという比較的大きな細孔を0.05cc/g以上に設定することによって、カルボニル化合物(低分子)のみならず、その重合物(高分子)を収容できる空間を確保し、それによってアニシジン価を効果的に低減させることが可能となる。
【0022】
前記ケイ酸マグネシウム系材料の水分含有量は限定的ではないが、通常は8.0重量%以下であり、特に7.4重量%以下であり、さらには7.0重量%以下とすることが好ましい。本発明精製剤中に含まれる水分は本発明精製剤表面への関与物質の拡散を抑制し、かつ水分子が例えば、本発明精製剤の細孔表面の固体酸点に対して、自身に含まれる酸素原子の不対電子を介して吸着されることで固体酸点を潰してしまうおそれがあると考えられる。このことから、ケイ酸マグネシウム系材料の水分含有量が8.0重量%より大きい場合は、十分なアニシジン価低減効果が得られないことがある。なお、水分含有量の下限値は限定的ではないが、通常は1.0重量%程度とすれば良い。
【0023】
前記ケイ酸マグネシウム系材料のメチレンブルー吸着量は、特に制約されないが、通常は0.40mmol/g以上とすることが好ましい。メチレンブルー吸着量は、メチレンブルーが塩基性色素であることから、一般的に表面固体酸量を表す指標として使用されている。細孔表面に関与物質を安定的に固定化させるためには、全細孔において関与物質が有する塩基点に作用する固体酸が必要であるため、ケイ酸マグネシウム系材料のメチレンブルー吸着量が0.40mmol/gより小さい場合は、アニシジン価低減性能が低下し、十分な効果が得られない場合がある。
【0024】
また、特に高分子量の関与物質の捕捉には、前記ケイ酸マグネシウム系材料の200〜500nmの有効細孔におけるメチレンブルー吸着量が1.5mol/g以上とすることが好ましい。200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量が1.5mol/gより小さい場合は、上記理由によりアニシジン価低減性能が低下するおそれがある。
【0025】
前記ケイ酸マグネシウム系材料中におけるSi及びMgの含有比率は特に限定されないが、通常はSiO/MgO重量比で1.2〜7.6とすることが好ましい。上記比率に設定する場合には、より優れたアニシジン価低減効果を得ることができる。SiO/MgO重量比が1.2より小さい領域では、塩基性物質である水酸化マグネシウムの残存が確認され、メチレンブルー吸着量が低下することによりアニシジン価低減能も低下することがある。また、SiO/MgO重量比が7.6より大きい領域では、塩基性物質であるSiOの重量比率が増加し、相対的に固体酸量が減少することにより、メチレンブルー吸着量が低下し、アニシジン価低減能も低下するおそれがある。
【0026】
本発明精製剤では、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲内において他の添加剤を配合することもできる。例えば、公知又は市販の再生剤、酸化防止剤等を挙げることができる。すなわち、本発明精製剤中におけるケイ酸マグネシウム系材料の含有量が100重量%未満の場合において、その残部をこれらの添加剤が構成することになる。
【0027】
本発明精製剤は、通常は粉末の形態で使用することができるが、必要に応じて造粒等の成形を行うこともできる。造粒方法は特に制限されず、例えば転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法、圧縮成型法(圧縮造粒法)、成膜処理法、磁気特性処理法、表面改質法、焼結成型法、振動成型法、圧力スイング法、真空成型法、スプレードライ法等のほか、凍結乾燥法、共沈法等を利用する方法等のいずれであっても良い。造粒物の平均粒径は、一般的には10〜300μm程度とすれば良い。なお、造粒に際しては、ケイ酸マグネシウム系材料の水分含有量の変動を効果的に抑制するために、溶媒としてアルコール類等の有機溶剤を使用したり、あるいは造粒後に乾燥工程を実施することもできる。
【0028】
本発明精製剤は、例えば本発明精製剤と油脂とを接触させる工程を含む方法によって好適に使用することができる。接触させる際の温度は、処理対象となる油脂の種類等に応じて適宜設定すれば良い。例えば、魚油の精製を目的として精製する場合は、150℃以下(好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃)の温度に加熱された魚油と本発明精製剤とを接触させる工程を含む精製方法により精製油の製造を好適に行うことができる。
【0029】
油脂と接触させる方法は特に制限されず、例えばa)油脂に本発明精製剤を分散・攪拌させる方法、b)本発明精製剤を含むフィルター層に油脂を1回又は複数回流通させる方法等を採用することができる。なお、本発明精製剤を用いて精製処理を実施した後において、精製された油脂中に本発明精製剤が含まれている場合は、ろ過等の公知の固液分離方法により本発明精製剤を分離・回収することができる。
【0030】
接触工程で用いる本発明精製剤の使用量は、用いる油脂のアニシジン価等に応じて適宜設定することができるが、通常は油脂100重量部に対して本発明精製剤0.1〜50重量部、特に1〜10重量部とすることが好ましい。
【0031】
接触工程では、本発明精製剤とともに、脱酸剤を併用することもできる。脱酸剤の併用により、アニシジン価低減効果とともに脱酸効果を得ることができる。すなわち、処理対象である油脂が粗油あるいは劣化油(使用済み油)である場合、脱酸剤により酸性成分を吸着し、酸価を低減することができる。脱酸剤としては、公知のもの又は市販品を使用することができ、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、合成フィロケイ酸マグネシウム、シリカ、マグネシア、二酸化ケイ素及び活性白土等の少なくとも1種を好適に用いることができる。
【0032】
脱酸剤を使用する場合の使用量は、油脂の酸価に応じて適宜決定することができるが、通常は本発明精製剤100重量に対して0.1〜10重量部程度、特に0.4〜4重量部とすることが望ましい。
【0033】
油脂としては、特に限定的でなく、前記で示した魚油のほか、各種の油脂のいずれにも適用することができる。魚油としては、例えばカツオ、マグロ、イワシ等から採取された魚油が挙げられる。従って、例えばアニシジン価10以上、特に20以上の魚油を好適に精製することも可能である。また、魚油のほか、本発明精製剤によりアニシジン価を下げることができる限り、動物性油、植物性油又は鉱物性油のいずれであっても良い。動物性油としては、例えばバター、ラード、鶏油、鯨油、スクワレン等が挙げられる。植物性油としては、例えばパーム油、ショートニング、サラダ油、大豆油、コーン油、ごま油、菜種油、ひまわり油、椿油、オリーブオイル等が挙げられる。鉱物性油としては、例えばシリコンオイル、琥珀油等が挙げられる。
【0034】
また、本発明において、油脂としては、使用前の油脂であっても良いし、使用後の油脂(使用済み油脂)であっても良い。すなわち、本発明の製造方法は、例えば粗油の精製、精製油の最終工程での精製、使用済み油脂の再生等を目的として実施することができる。
【0035】
2.魚油精製剤の製造
本発明精製剤は、本発明のケイ酸マグネシウム系材料を調製する工程を含むことを特徴とするものである。より具体的には、マグネシウム原料を含む溶液とケイ酸質原料を含む溶液とをpH6〜10の条件下で反応させる工程を含む製造方法によって、本発明精製剤を好適に得ることができる。
【0036】
マグネシウム原料としては、公知のケイ酸マグネシウム合成で使用されている原料と同様のものを使用することができる。例えば、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等を挙げることができる。これらの中でも特に水溶性のマグネシウム塩である塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等を使用することが望ましい。
【0037】
ケイ酸質原料としては、公知のケイ酸マグネシウム合成で使用されている原料と同様のものを使用することができる。例えば、二酸化ケイ素、ケイ砂、ケイ石、石英、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等を挙げることができる。これらの中でも特に水溶性の原料であるケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等を使用することが望ましい。
【0038】
反応に際しては、pHを6〜10の範囲内に調整する。この場合、必要に応じて適宜pH調整剤(アルカリ又は酸)を使用することができる。アルカリは公知のものを使用すれば良く、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を用いることができ、これらは溶液(又は水溶液)の形態で用いることが望ましい。また、酸としては、公知のものを使用すれば良く、例えば硫酸、塩酸、硝酸等を用いることができる。これらは水で適宜希釈して使用しても良い。
【0039】
マグネシウム原料を含む溶液とケイ酸質原料を含む溶液との反応は、両溶液を混合すれば良く、例えば一方に溶液に他方の溶液を滴下する方法を好適に採用することができる。より具体的には、マグネシウム原料を含む溶液にケイ酸質原料を含む溶液を滴下する方法が挙げられる。なお、滴下方法は、特に制限されず、例えば逐次滴下方法、同時滴下方法等のいずれも採用することができる。
【0040】
両溶液を混合する際の温度は、適宜調整することができるが、特に70℃以上とし、さらには90℃以上の範囲内で行うことが好ましい。かかる温度範囲に設定することによって、安定した沈殿反応物が効率的に得られる。
【0041】
また、両溶液の混合割合は、得られるケイ酸マグネシウム系材料のSiO/MgO重量比を1.2〜7.6の範囲内になるように適宜調整すれば良い。例えば、食品添加物ケイ酸マグネシウムを得る場合は、SiO/MgO重量比を2.8〜5.4の範囲内になるように適宜調整すれば良い。
【0042】
得られた反応生成物は、必要に応じて脱水、水洗、乾燥等(これらをまとめて「精製処理」という。)を行うことによりケイ酸マグネシウム系材料を得る。脱水方法は、公知の固液分離方法、乾燥方法等に従えば良い。固液分離方法としては、例えばろ過、遠心分離等を一般的に採用することができる。また、乾燥方法としては、加熱乾燥又は凍結乾燥がある。乾燥装置は限定的でなく、例えば固定床式送風乾燥機、コンベヤ式送風乾燥機、流動層乾燥機、転動乾燥機、振動乾燥機、ドラム式乾燥機、気流乾燥機、噴霧乾燥機、凍結乾燥機、減圧乾燥機等を用いることができる。
【0043】
本発明の製造方法では、必要に応じて、次のような追加工程を実施することもできる。すなわち、前記反応生成物に酸を添加する工程(追加工程1)を実施することができる。この処理によって、ケイ酸マグネシウム系材料のSiO/MgO重量比を任意に調整することができる。
【0044】
上記の追加工程1において、反応生成物に添加される酸としては、公知のものを使用すれば良く、例えば硫酸、塩酸、硝酸等を用いることができる。これら酸は、水で適宜希釈して使用しても良い。また、酸の添加量は、ケイ酸マグネシウム系材料のSiO/MgO重量比が1.2〜7.6の範囲内になるようにすることが好ましい。
【0045】
また、必要に応じて、前記反応生成物又は前記追加工程1で得られた反応生成物を水熱処理する工程(追加工程2)を実施することができる。この処理によってケイ酸マグネシウム系材料の嵩比容積をより効果的に低減することが可能となる。水熱処理の温度は150〜250℃の範囲が好適である。また、反応時間は、反応温度によって異なるが、通常は1〜50時間の範囲内とすれば良い。水熱処理は、公知又は市販のオートクレーブ装置等を用いることによって実施することができる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0047】
実施例1
合成用原料として、市販の3号ケイ酸ナトリウム163.8g(SiO換算47.5g)、市販の硫酸マグネシウム222.0g(MgO換算36.4g)を用いた。3号ケイ酸ナトリウムは、液量が425mLとなるように水を加え、ケイ酸ナトリウム水溶液とした。また、硫酸マグネシウムは、溶解後の液量が2Lとなるように水を加え、溶解させて水溶液とした(SiO/MgO仕込み重量比=1.3)。はじめに、硫酸マグネシウム水溶液を容量5Lのステンレス鋼製容器に導入し、撹拌しながら、90℃に加温した。次に、48%水酸化ナトリウム水溶液110gに水を加え、全量を150mLとした水溶液を滴下し、水酸化マグネシウム沈殿物を得た。滴下終了後、ケイ酸ナトリウム水溶液を滴下し、得られた反応生成物を減圧ろ過により脱水し、脱水ケーキを乾燥器に入れ、100℃ で一晩乾燥し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:52.0重量%、MgO:41.9重量%、SiO/MgO重量比=1.2)を得た。
【0048】
実施例2
仕込み重量比を2.0、48%水酸化ナトリウム水溶液の量を88.3gとした以外は実施例1と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:64.5重量%、MgO:33.5重量%、SiO/MgO重量比=1.9)を得た。
【0049】
実施例3
仕込み重量比を2.8、48%水酸化ナトリウム水溶液の量を65.0gとした以外は実施例1と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:72.0重量%、MgO:26.2重量%、SiO/MgO重量比=2.7)を得た。
【0050】
実施例4
仕込み重量比を3.2、48%水酸化ナトリウム水溶液の量を51.7gとした以外は実施例1と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:74.1重量%、MgO:23.6重量%、SiO/MgO重量比=3.1)を得た。
【0051】
実施例5
実施例2で得られた脱水前のスラリーに薄硫酸(70重量%硫酸水溶液)21.1gを加えた後、得られたスラリーを減圧ろ過により脱水し、脱水ケーキを乾燥器に入れ、100℃ で一晩乾燥し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:68.0重量%、MgO:30.2重量%、SiO/MgO重量比=2.3)を得た。
【0052】
実施例6
加えた薄硫酸の量を36.1gとした以外は実施例5と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:72.3重量%、MgO:26.0重量%、SiO/MgO重量比=2.8)を得た。
【0053】
実施例7
加えた薄硫酸の量を63.2gとした以外は実施例5と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:77.8重量%、MgO:20.7重量%、SiO/MgO重量比=3.8)を得た。
【0054】
実施例8
加えた薄硫酸の量を72.6gとした以外は実施例5と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:81.3重量%、MgO:17.2重量%、SiO/MgO重量比=4.7)を得た。
【0055】
実施例9
加えた薄硫酸の量を79.6gとした以外は実施例5と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:82.5重量%、MgO:16.5重量%、SiO/MgO重量比=5.0)を得た。
【0056】
実施例10
加えた薄硫酸の量を84.3gとした以外は実施例5と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:84.2重量%、MgO:14.7重量%、SiO/MgO重量比=5.7)を得た。
【0057】
実施例11
加えた薄硫酸の量を90.3gとした以外は実施例5と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:86.2重量%、MgO:13.3重量%、SiO/MgO重量比=6.5)を得た。
【0058】
実施例12
加えた薄硫酸の量を94.8gとした以外は実施例5と同様にサンプルを調製し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:87.7重量%、MgO:11.6重量%、SiO/MgO重量比=7.6)を得た。
【0059】
実施例13
実施例6の粉末の水分含有量を7.0重量%に調整したものを使用した。
【0060】
実施例14
実施例6の粉末の水分含有量を5.2重量%に調整したものを使用した。
【0061】
実施例15
実施例6の粉末の水分含有量を3.5重量%に調整したものを使用した。
【0062】
比較例1
比較例1では、市販されている製品「ブリスコールMT」(富田製薬株式会社製、食品添加物規格、ケイ酸マグネシウム)を使用した。
【0063】
なお、実施例及び比較例で得られた各粉末について、食品添加物ケイ酸マグネシウムの品質規格への適合性を調査した結果、実施例4及び実施例6〜9のケイ酸マグネシウムについては、当該食品添加物規格に合格するものであった。
【0064】
試験例1
実施例及び比較例で得られた各粉末について、カツオ魚油(アニシジン価=25.1)に対するアニシジン価低減能等の物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
なお、表1中の各物性は次のようにして測定した。
【0067】
(1)MgO、SiO含量
「平成22年10月20日、平成22年厚生労働省告示第372号、食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件」記載のMgO、SiO含量測定方法に従い、測定した。
【0068】
(2)水分含有量
試料皿に試料を測り、150℃×30分間後の試料の重量から赤外線水分計(型式「FD−600」、(株)ケツト科学研究所製)を用いて水分量を算出した。
【0069】
(3)BET比表面積
測定装置としてQuantachrome社製の高速比表面積・細孔分布測定装置「N
OVA4000e型」を用いた。試料の前処理として、試料0.05gを正確に測り、試
験管に封入し、105℃で3時間脱気を行った。比表面積の測定は、前処理終了後、液体
窒素ガス温度下で窒素ガスの吸着等温線を求め、その吸着等温線を用いてBET法により算出した。
【0070】
(4)マクロ細孔の比表面積及び累積細孔容積
測定装置としてQuantachrome社製水銀ポロシメーター「poremaster60GT」にて以下の条件で測定を行った。試料0.05gを測定用セルに封入し、水銀の接触角を140°、水銀の表面張力を480dyn/cmとして測定を行った。細孔容積の算出は解析ソフト「Poremaster」を用いて行った。なお、解析範囲は、50〜1000nmの範囲で行った。
【0071】
(5)アニシジン価低減能評価試験
カツオ魚油(アニシジン価=25.1)10mLに実施例及び比較例で調製した精製剤500mgを添加した後、50℃のオイルバス中、振とう器にて130回/分の条件で60分間振とうした。振とう後、直ちにメンブランフィルタ(目開き0.80μm)にてろ過した。得られたろ過液0.5gを精密に量り、基準油脂分析試験法2003年度版(日本油化学会制定)記載のアニシジン価測定法に準じて、アニシジン価を測定した。なお、アニシジン価低減率は、次式Aにより算出した。
・アニシジン価低減率=((処理前の魚油のアニシジン価−処理後の魚油のアニシジン価)/処理前の魚油のアニシジン価)×100…式A
【0072】
(6)メチレンブルー吸着量
メチレンブルー溶液(メチレンブルー3水和物4gを100mLのエタノールに溶解後、精製水で全量を1Lとしたもの)10mLに実施例及び比較例で調製した精製剤100mgを添加した後、30℃の水浴中、振とう器にて130回/分の条件で30分間振とうした。振とう後、直ちにメンブランフィルタ(目開き0.80μm)にてろ過した。得られたろ過液1mLを精密に量り取り、精製水で200倍希釈したものを検液とした。測定装置として日本分光社製「V−660型紫外可視分光光度計」を用いて660nmにおける検液の吸光度を測定し、次式B及びCによりメチレンブルー吸着量を求めた。
・メチレンブルー吸着率=((処理前の検液の吸光度−処理後の検液の吸光度)/処理前の検液の吸光度)×100…式B
・メチレンブルー吸着量(mmol/g)=1.07(mmol)×メチレンブルー吸着率×0.01…式C
【0073】
(7)200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量
前記(3)及び(4)で得られた実施例及び比較例で調製した精製剤の比表面積及び前記(6)で得られたメチレンブルー吸着量から、次式Dにより200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量を算出した。
・200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量(mol/g)=メチレンブルー吸着量(mmol/g)×200〜500nmの細孔における比表面積(m/g)×1000(mol/mmol)/(BET比表面積+(50〜1000nmの比表面積))(m/g)…式D
【0074】
表1の結果からも明らかなように、200〜500nmの細孔における比表面積が小さいケイ酸マグネシウム(比較例1)は、50%程度のアニシジン価低減率にとどまっていることがわかる。
【0075】
図1は、水分含有量とアニシジン価低減率の関係を示すグラフである。図1に示すように、より高いアニシジン価低減率を得るためには、ケイ酸マグネシウム系材料の水分含有量を8.0重量%以下とすることが好ましいことがわかる。
【0076】
図2は、200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量とアニシジン価低減率の関係を示すグラフである。図2に示すように、アニシジン価低減率には、ケイ酸マグネシウム系材料の200〜500nmの細孔におけるメチレンブルー吸着量が大きく関与していることがわかる。
【0077】
図3は、実施例6と比較例1の細孔分布を示すグラフである。図3に示すように、比較例1については、50nm以下の細孔における比表面積を多く有しているが、50nm以上の細孔における比表面積は小さく、100nm以上の細孔における比表面積は有していない。これに対し、実施例6では、50nm未満の細孔における比表面積は小さいが、50nm以上の細孔における比表面積を多く有しているため、高分子量のアニシジン価関連物質を効果的に除去することができる。
【0078】
図4は、SiO/MgO重量比とアニシジン価低減率の関係を示すグラフである。図4に示すように、優れたアニシジン価低減能をより確実に得られるSiO/MgO重量比は1.2〜7.6の範囲であることがわかる。
【0079】
これらの結果からも明らかなように、本発明精製剤を用いる場合(特に上記のような物性を満たすケイ酸マグネシウム系材料を用いる場合)には、それ以外の粉末を使用する場合に比べてより高いアニシジン価低減能を発揮できることがわかる。
【0080】
実施例16
3号ケイ酸ナトリウム186.2g(SiO換算54.0g)、市販の硫酸マグネシウム182.9g(MgO換算30.0g)を用いた。3号ケイ酸ナトリウムは、液量が240mLとなるように水を加え、ケイ酸ナトリウム水溶液とした。また、硫酸マグネシウムは、溶解後の液量が365.8gとなるように水を加え、溶解させて水溶液とした(SiO/MgO仕込み重量比=1.8)。はじめに、硫酸マグネシウム水溶液を容量5Lのステンレス鋼製容器に導入し、水を適量加え、撹拌しながら、90℃に加温した。次に、48%水酸化ナトリウム水溶液63.3gに水を加え、全量を85mLとした水溶液と、炭酸ナトリウム10.3gに水を適量加え、溶解した水溶液とを混合し、水酸化ナトリウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液の合計量を150mLとした混合液を滴下し、水酸化マグネシウム沈殿物を得た。滴下終了後、ケイ酸ナトリウム水溶液を滴下し、さらに薄硫酸(70重量%硫酸水溶液)42.0gを加え、スラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過により脱水し、脱水ケーキを乾燥器に入れ、100℃ で一晩乾燥し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:73.7重量%、MgO:25.6重量%、SiO/MgO重量比=2.9)を得た。
【0081】
実施例17
実施例1で得られた脱水前のスラリーに薄硫酸(70重量%硫酸水溶液)67.2gを加えた後、容量1リットルのTAS−09−20−300型耐圧反応容器(耐圧硝子工業株式会社製)に、得られたスラリーを添加し、撹拌しながら、約15分で200℃ まで昇温した。昇温後、200℃にて3時間水熱処理を行った。得られたスラリーを減圧ろ過により脱水し、脱水ケーキを乾燥器に入れ、100℃ で一晩乾燥し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:72.8重量%、MgO:25.4重量%、SiO/MgO重量比=2.9)を得た。
【0082】
実施例18
容量1リットルのTAS−09−20−300型耐圧反応容器(耐圧硝子工業株式会社製)に、実施例2で得られた脱水前のスラリーを添加し、撹拌しながら、約15分で200℃ まで昇温した。昇温後、200℃にて3時間水熱処理を行った。得られたスラリーに薄硫酸(70重量%硫酸水溶液)28.0gを加えた後、減圧ろ過により脱水し、脱水ケーキを乾燥器に入れ、100℃ で一晩乾燥し、粉末状のケイ酸マグネシウム系材料(SiO:73.2重量%、MgO:26.1重量%、SiO/MgO重量比=2.8)を得た。
【0083】
試験例2
実施例6、実施例16〜18及び比較例1で得られた各粉末について、カツオ魚油(アニシジン価=29.5)に対するアニシジン価低減能、脱色能等の物性を調べた。その結果を表2に示す。
【0084】
なお、表2中の脱色率及び嵩比容積は次のようにして測定し、それ以外の各物性は試験例1と同様の方法で測定した。
【0085】
(8)脱色率
カツオ魚油(アニシジン価=29.5)10mLに実施例及び比較例で調製した精製剤500mgを添加した後、50℃のオイルバス中、振とう器にて130回/分の条件で30分間振とうした。振とう後、直ちにメンブランフィルタ(目開き0.80μm)にてろ過した。得られたろ過液の430nmにおける吸光度を測定した。未処理魚油をブランクとし、同様な処理を行って、ろ過液の吸光度を測定した。なお、脱色率は、次式Fにより算出した。
・脱色率=((処理前の魚油の吸光度−処理後の魚油の吸光度)/処理前の魚油の吸光度)×100…式F
【0086】
(9)嵩比容積
試料5.0gを量りとり、50mLメスシリンダーに入れ、4cmの高さにて100回/250秒の速度でタッピングを行い、粉体の体積を測定し、次式により嵩比容積を算出した。
嵩比容積(mL/g)= 粉体体積(mL)/粉体重量(g)
【0087】
【表2】
【0088】
表2の結果からも明らかなように、本発明精製剤を用いる場合には、高いアニシジン価低減能を発揮できるとともに、50%以上の高い脱色能を発揮できることがわかる。
図1
図2
図3
図4