特許第6478314号(P6478314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478314
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】ハンガー吊り具
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/02 20060101AFI20190225BHJP
   D06F 57/00 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   A47G25/02 D
   D06F57/00 390
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-174003(P2014-174003)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-47218(P2016-47218A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】509128409
【氏名又は名称】株式会社エスエイ企画
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金城 栄秀
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−086079(JP,A)
【文献】 特開2013−099450(JP,A)
【文献】 特開2007−260376(JP,A)
【文献】 米国特許第04518089(US,A)
【文献】 実開昭61−026495(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3186593(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3022883(JP,U)
【文献】 特開2010−094386(JP,A)
【文献】 特開2015−136462(JP,A)
【文献】 実開平03−074868(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/02
D06F 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に延びる垂下部を有し且つ主桿に掛止可能な少なくとも左右一対のフック部と、
前記左右一対のフック部の各垂下部に架け渡された第1架橋桿と、
前記第1架橋桿の下方に間隔をあけて前記第1架橋桿と平行に配置され、且つ前記第1架橋桿が架け渡されている前記左右一対の垂下部に架け渡された第2架橋桿と、を有し、
前記第1架橋桿の軸芯と前記第2架橋桿の軸芯を結ぶ仮想直線の長さが35mm〜100mmとなるように、前記第1架橋桿と前記第2架橋桿が前記垂下部に固定的に連結されており、
前記フック部を前記主桿に掛止した際、前記仮想直線と鉛直線との成す角度が、0°より大きく30°以下となるように構成されたハンガー吊り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の掛けられたハンガーを収納空間に多数収納することができるハンガー吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服などを収納する収納空間として、洋服ダンスやクローゼットなどの収納家具などが用いられている。このような収納家具は、木材で構成された伝統的な家具の他、近年ではパイプ材及びシート等を適宜組み立てた簡易組み立て型の家具など様々なものが知られている。
このような収納空間には、一般的に、金属製パイプ材などで形成された主桿が水平方向に架設されている。従って、主桿に衣服の掛けられたハンガー(以下、衣服が掛けられた状態のハンガーを衣服ハンガーという場合がある)を吊り下げることにより、衣服を収納空間に収納することができる。
しかし、主桿に衣服ハンガーを直接吊り下げると、隣り合う衣服ハンガーの厚肉部分(具体的には、衣服ハンガーの肩部及びハンガーフックが取り付けられた中央部)が干渉し合う。そのため、隣り合う衣服ハンガーの間隔を詰めることができず、主桿に多くの衣服ハンガーを吊り下げることができず、結果として多くの衣服を収納空間に収納できないという問題がある。
かかる問題を解決するため、本件出願人は、特許文献1に記載のハンガー吊り具を提案している。
【0003】
特許文献1のハンガー吊り具は、主桿に掛止可能な一対のフック部と、一対のフック部に架け渡され且つハンガーを吊り下げ可能な架橋桿と、を有している。従って、本ハンガー吊り具を用いれば、主桿だけでなく架橋桿にも衣服ハンガーを吊り下げることができ、その結果、多くの衣服を収納空間に収納することができる。
また、本ハンガー吊り具は、フック部を主幹に掛止した際に、架橋桿の軸芯と主桿の軸芯とが略鉛直方向に位置する。従って、収納空間の奥行きが比較的短くても、本ハンガー吊り具を用いれば、衣服が収納空間の側壁面に当たることを防止できる。
【0004】
しかしながら、特許文献1のハンガー吊り具を用いたとしても、主桿及び架橋桿の2箇所にしか衣服ハンガーを吊り下げることができない。市場では、さらに多くの衣服ハンガーを吊り下げ可能なハンガー吊り具が求められている。
また、特許文献1のハンガー吊り具を用いた場合、主桿及架橋桿に多くの衣服ハンガーを吊り下げると、その中から所望の衣服ハンガーを短時間で探し出すことが難しくなる場合がある。
例えば、主桿に丈の長い衣服が掛けられた衣服ハンガーを吊り下げ、且つ、架橋桿に丈の短い衣服が掛けられた衣服ハンガーを吊り下げた場合、丈の長い衣服によって丈の短い衣服が隠れてしまい、丈の短い衣服を短時間で探し出すことが困難となる場合がある。そのため、より衣服ハンガーの識別性を向上できるハンガー吊り具が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−99450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、比較的奥行きの短い収納空間に多くの衣服ハンガーを吊り下げることができ、且つ、吊り下げられた衣服ハンガーの識別性を向上できるハンガー吊り具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ハンガーの幅は、約36cm〜約52cmと広範である。収納空間は、想定される全てのサイズのハンガーを収納可能とするため、一般的に、その奥行きがハンガーの幅よりも長くなるように設計されており、なお且つ、主桿に吊り下げたハンガーと収納空間の側壁面との間に2つの空隙が生じるように設計されている。
具体的に図を用いて説明する。図15は、一般的な収納空間6A(例えば、クローゼット)に設けられた主桿4Aに衣服ハンガー5Aを直接吊り下げた状態を示している。収納空間6Aは、その奥行きXが、衣服ハンガー5Aの幅Yよりも長くなるように設計されており、主桿4Aは、収納空間6Aの奥行きの中央部を通るように架設されている。そのため、主桿4Aに衣服ハンガー5Aを吊り下げた状態において、衣服ハンガー5Aと収納空間6Aの側壁面61A,62Aとの間には、2つの空隙Z1,Z2が発生する。これらの空隙Z1,Z2は、ハンガーに掛けられた衣服が側壁面に当たることを防止するために必要な空間である。
上述のように、収納空間6Aは、想定される全てのサイズのハンガーを収納可能となるように設計されているが、一般的に多く使用されるハンガーの幅は、約36cm〜約45cmである。そのため、一般的な幅を有する衣服ハンガー5Aを収納した収納空間6Aには、必要以上に長い空隙Z1,Z2が生じる。本発明者は、この空隙Z1,Z2を利用することを見出し、本発明を創作した。
【0008】
本発明のハンガー吊り具は、主桿に掛止可能な少なくとも左右一対のフック部と、前記左右一対のフック部の各垂下部に架け渡された第1架橋桿と、前記第1架橋桿の下方に間隔をあけて前記第1架橋桿と平行に配置され、且つ前記第1架橋桿が架け渡されている前記左右一対の垂下部に架け渡された第2架橋桿と、を有し、前記第1架橋桿の軸芯と前記第2架橋桿の軸芯を結ぶ仮想直線の長さが35mm〜100mmとなるように、前記第1架橋桿と前記第2架橋桿が前記垂下部に固定的に連結されており、前記フック部を前記主桿に掛止した際、前記仮想直線と鉛直線との成す角度が、0°より大きく30°以下となるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハンガー吊り具を使用すれば、比較的奥行きの短い収納空間に多くの衣服ハンガーを吊り下げられるだけでなく、吊り下げられた衣服ハンガーの識別性を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るハンガー吊り具の斜視図。
図2】同正面図。
図3】同左側面図。
図4図1乃至図3のハンガー吊り具を収納スペースの主桿に掛止した際における主桿と架橋桿の位置関係を示す、一部断面を含む拡大右側面図。
図5図6のハンガー吊り具に衣服ハンガーを吊り下げた状態を示す、一部断面を含む右側面図。
図6】(a)は、第1実施形態の変形例に係るハンガー吊り具の左側面図、(b)は同正面図。
図7】(a)は、第1実施形態の他の変形例に係るハンガー吊り具の左側面図、(b)は同正面図。
図8】本発明の第2実施形態に係るハンガー吊り具を収納スペースの主桿に掛止した際における主桿と架橋桿の位置関係を示す、一部断面を含む拡大右側面図。
図9】本発明の第2実施形態に係るハンガー吊り具を収納スペースの主桿に掛止した際における主桿と架橋桿の位置関係を示す、一部断面を含む拡大右側面図。
図10】本発明の第1変形例に係るハンガー吊り具の斜視図。
図11】(a)は、本発明の第2変形例に係るハンガー吊り具の一部省略斜視図、(b)は、同左側面図、(c)は、(a)のハンガー吊り具のフック部を回動させて扁平状にした状態を示す左側面図、(d)は、(b)のハンガー吊り具をXId−XId線で切断した拡大端面図。
図12】(a)は、本発明の第3変形例に係るハンガー吊り具の正面図、(b)は、(a)のハンガー吊り具をXIIb−XII−b線で切断した拡大端面図、(c)は、(a)のハンガー吊り具を伸ばした状態を示す正面図。
図13】本発明の第4変形例に係るハンガー吊り具の斜視図。
図14】本発明の第5変形例に係るハンガー吊り具を収納スペースの主桿に掛止した際における主桿と架橋桿の位置関係を示す、一部断面を含む拡大右側面図。
図15】収納空間の主桿に直接衣服ハンガーを吊り下げた状態を示す、一部断面を含む参考側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について、適宜図面を参照しつつ具体的に説明する。
なお、本明細書において、「上」とは鉛直方向の天側を意味し、「下」とは鉛直方向の地側を意味する。また、角度及びその関係(例えば、直交、平行、30°など)は、本発明の属する技術分野において許容される誤差範囲を含むものとする。例えば、平行などは、厳密な角度±2°の範囲内であることを意味し、好ましくは、±1°の範囲内である。
さらに、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
【0013】
本発明のハンガー吊り具は、一対のフック部と、一対のフック部に架け渡された第1架橋桿と、第1架橋桿の下方に間隔をあけて設けられた第2架橋桿と、を有し、フック部を主桿に掛止した際、第1架橋桿の軸芯と前記第2架橋桿の軸芯を結ぶ仮想直線と鉛直線との成す角度(以下、単に「角度α」と表す場合がある)が、0°〜30°となるように構成されている。
以下、角度αが0°より大きく30°以下となるように構成されたハンガー吊り具を本発明の第1実施形態として説明し、角度αが0°となるように構成されたハンガー吊り具を本発明の第2実施形態として説明する。なお、本明細書において、角度αに言及する場合、ハンガー吊り具のフック部が主桿に掛止された状態を基準にしている。以下、ハンガー吊り具のフック部が主桿に掛止された状態を単に「掛止状態」と表す場合がある。
【0014】
[第1実施形態]
図1乃至図3に示す本発明のハンガー吊り具1は、収納空間の主桿に掛止可能な少なくとも一対のフック部2L,2Rと、左右一対のフック部2L,2Rに架け渡された第1架橋桿31と、第1架橋桿31の下方に間隔をあけて設けられ且つ第1架橋桿31と平行に設けられた第2架橋桿32と、を有する。なお、本明細書において、以後、第1架橋桿31及び第2架橋桿32を単に架橋桿3と総称する場合がある。
【0015】
収納空間は、衣服ハンガーを収納する空間と、その空間を形成する筐体と、その筐体内の水平方向(鉛直方向と直交する方向)に架設された主桿と、を有する(図示せず)。この主桿に衣服ハンガーを吊り下げることにより、衣服が収納空間に収納される。
主桿は、例えば、所定径(例えば外径16mm〜32mm程度)のステンレスのような金属製のパイプ材などで形成されている。主桿の両端部は、筐体を構成する壁面、又は、筐体内に立設された支柱などに取り付けられる。主桿の軸芯は、筐体内で水平方向に延びている。
収納空間としては、例えば、一般家庭などで使用されている、洋服ダンスやクローゼットなどの収納家具(パイプ材及びシート等を適宜組み立てた簡易組み立て型の家具を含む)や前記主桿が横設された押し入れなどが挙げられる。
【0016】
図1乃至図3のハンガー吊り具1は、左右一対のフック部2L,2Rの間に、第1架橋桿31が架け渡されている。以下、一対のフック部2L,2Rを区別する場合には、その一方を左フック部2L、他方を右フック部2Rという。
具体的には、フック部2L,2Rは、それぞれ、主桿の円弧に適合した弧状部23と、前記弧状部23の両端部から下方に延びる第1垂下部21及び第2垂下部22と、を有する略逆U字状の部分からなる。なお、フック部2L,2Rの各弧状部23は、主桿に適合する円弧状に形成されていることが好ましいが、前記弧状部23は、主桿の円弧よりも大きく形成されていてもよい。フック部2L,2Rの弧状部23を主桿に引っ掛けることで、ハンガー吊り具を主桿に係脱自在に掛止することができる。
なお、本明細書において、フック部2L,2Rの第1垂下部21を基準に第2垂下部22が位置する側を「前方」と表し、前方の反対側、即ち、第1垂下部21を基準に第2垂下部22が位置しない側を「後方」と表す。
【0017】
前記フック部2L,2Rの各第1垂下部21は、図3に示すように、第2垂下部22よりも長く、従って、第1垂下部21の下縁は第2垂下部22の下縁よりも下方に突出している。
この第1垂下部21と第2垂下部22の前後間隔Lは、主桿に容易に掛入脱するため、主桿の外径と略同長又はそれ以上の長さとされている。なお、第1垂下部21と第2垂下部22の前後間隔Lは、主桿の外径よりも少し短く形成されていてもよい。この場合、第2垂下部22を主桿に当てて押し込むことにより、第1垂下部21及び第2垂下部22が弾性変形するので、フック部2L,2Rを主桿に押し入れることができる。
【0018】
フック部2L,2Rの形成材料は、特に限定されず、例えば、外径3mm〜20mm程度の金属製線材、厚み1mm〜3mm程度の金属製平板、合成樹脂などが挙げられる。前記金属製線材は、特に限定されず、一般的には、鉄、ステンレス、アルミニウムなどが挙げられ、その断面形状も特に限定されず、中実又は中空の断面円形状、断面矩形状、断面三角形状などが挙げられる。具体的な実施例では、例えば、外径10mm〜15mmの鉄製の断面円形状の中実な金属製線材が用いられる。
また、一対のフック部2L,2Rの間隔は、特に限定されず、例えば、100mm〜1000mm程度であり、好ましくは、200mm〜500mmである。
【0019】
図1乃至図3では、第1架橋桿31は、フック部2L,2Rの第1垂下部21の前方部に取り付けられている。第1架橋桿31は、衣服ハンガーを吊り下げ可能な細長状の部分である。
具体的には、第1架橋桿31の左端部は、左フック部2Lの第1垂下部21の中央部に取り付けられ、且つ、第1架橋桿31の右端部は、右フック部2Rの第1垂下部21の中央部に取り付けられている。
左フック部2Lの第2垂下部22と右フック部2Rの第2垂下部22の間には、前記のような第1架橋桿31が架け渡されておらず、前記各第2垂下部22の下端部は、自由端部とされている。
なお、第1架橋桿31とフック部2L,2Rの位置関係は図示例に限定されない。左フック部2Lの第1垂下部21は図示例よりも第1架橋桿31の軸芯方向中央寄りに位置していてもよく、右フック部2Rの第1垂下部21は図示例よりも第1架橋桿31の軸芯方向中央寄りに位置していてもよく、第1架橋桿31は図示例よりも左フック部2Lの第1垂下部21の上方に位置していてもよく、第1架橋桿31は図示例よりも右フック部2Rの第1垂下部21の上方に位置していてもよい(図示せず)。もっとも、フック部2L,2Rは、第1架橋桿31の軸芯方向中央を基準に、略左右対称となる位置に取り付けられていることが好ましい。
【0020】
第1架橋桿31の下方には、間隔をあけて第2架橋桿32が設けられている。第2架橋桿32は、第1架橋桿31と平行となるように設けられている。さらに、第1架橋桿31と第2架橋桿32は、連結部を介して固定的に連結されている。第2架橋桿32は、第1架橋桿31と同様に、衣服ハンガーを吊り下げ可能な細長状の部分である。
図1乃至図3のハンガー吊り具1では、フック部2L,2Rの第1垂下部21が連結部である。即ち、本実施形態において、第1垂下部21は、第1架橋桿31が取り付けられる部分であると共に、第1架橋桿31と第2架橋桿32を連結する部分を兼ねている。第1架橋桿31と第2架橋桿32は、フック部2L,2Rの第1垂下部21を介して固定的に連結されている。換言すると、第1架橋桿31(第2架橋桿32)の第2架橋桿32(第1架橋桿31)に対する位置が不変となるように連結部である第1垂下部21を介して両架橋桿31,32が連結されている。従って、掛止状態において、ハンガー吊り具1のフック部2L,2Rが前後方向に揺動すれば、それに追従して第1掛止桿31及び第2掛止桿32も揺動する。掛止状態において、フック部2L,2Rの前後方向の揺動に追従せずに架橋桿3が前後方向に揺動することはない。即ち、架橋桿3のみがフック部2L,2Rと独立して前後方向に揺動することはない。
【0021】
図1乃至図3では、第2架橋桿32は、フック部2L,2Rの第1垂下部21の前方部に取り付けられている。具体的には、第2架橋桿32の左端部は、左フック部2Lの第1垂下部21の下端部に取り付けられ、且つ、第2架橋桿32の右端部は、右フック部2Rの第1垂下部21の下端部に取り付けられている。
なお、第2架橋桿32とフック部2L,2Rの位置関係は図示例に限定されない。左フック部2Lの第1垂下部21は図示例よりも第2架橋桿32の軸芯方向中央寄りに位置していてもよく、右フック部2Rの第1垂下部21は図示例よりも第2架橋桿32の軸芯方向中央寄りに位置していてもよく、第2架橋桿32は図示例よりも左フック部2Lの第1垂下部21の上方に位置していてもよく、第2架橋桿32は図示例よりも右フック部2Rの第1垂下部21の上方に位置していてもよい(図示せず)。もっとも、フック部2L,2Rは、第2架橋桿32の軸芯方向中央を基準に、略左右対称となる位置に取り付けられていることが好ましい。
【0022】
本発明では、図3に示すように、第1掛止桿31の軸芯31cと第2掛止桿32の軸芯32cの間隔Mが、35mm〜100mmとされている。
間隔Mの下限値は、好ましくは40mmであり、より好ましくは50mmであり、間隔Mの上限値は、好ましくは80mmであり、より好ましくは60mmである。
間隔Mが35mm〜100mmであれば、第1掛止桿31に吊り下げたハンガーの厚肉部と第2掛止桿32に吊り下げられたハンガーの厚肉部が干渉し難くなり、隣り合うハンガー間の間隔を短くすることができる。従って、本発明のハンガー吊り具1を用いれば、主桿にのみ衣服ハンガーを吊り下げる場合に比して、より多くの衣服ハンガーを吊り下げることができ、多くの衣服を収納空間に収納することができる。
【0023】
架橋桿3の形成材料は、特に限定されず、例えば、外径6mm〜15mm程度の金属製線材、合成樹脂などが挙げられる。金属製線材としては、上記と同様なものが挙げられる。掛止桿3は、中実であってもよく中空であってもよい。具体的な実施例では、例えば、外径10mm〜13mmの鉄製の断面円形状の中空な金属製線材が用いられる。
第1掛止桿31と第2掛止桿32は、互いに同質量且つ同形同大であることが好ましい。第1掛止桿31と第2掛止桿32が互いに同質量且つ同形同大であれば、上記間隔Mを調整することにより、ハンガー吊り具の重心の位置を容易に変化させることができ、その結果、角度αを任意の値にすることができる。なお、図1乃至図3に示すハンガー吊り具1は、第1掛止桿31と第2掛止桿32が同質量且つ同形同大である。
もっとも、第1掛止桿31と第2掛止桿32の質量を互いに相違させることにより、ハンガー吊り具の重心の位置を任意に変化させることもできる。このような場合、第1掛止桿31と第2掛止桿32は、互いに異なる形成材料で形成されていてもよく、互いに異なる大きさ(例えば、第1掛止桿31の外径を第2掛止桿の外径よりも長くするなど)に形成されていてもよい。
【0024】
フック部2L,2R及び架橋桿3の形成材料が何れも金属である場合には、フック部2L,2R及び架橋桿3を別々に形成し且つ溶接にて両者を固着することにより、ハンガー吊り具1を形成し得る。
フック部2L,2R及び架橋桿3の形成材料が何れも合成樹脂である場合には、両者を一体的に形成してもよいし、或いは、両者を別々に形成し、それを接着剤などで固着してもよい。
なお、前記金属製又は合成樹脂製のフック部2L,2R及び架橋桿3の固着方法は、ネジ止め、リベット止めなどの締結具を用いて行ってもよい。強度的に優れていることから、本発明のハンガー吊り具1は、金属製であることが好ましい。
【0025】
本発明の第1実施形態に係るハンガー吊り具1は、第1掛止桿31と第2掛止桿32を有するため、両掛止桿31,32に衣服ハンガーを吊り下げることができるだけでなく、掛止状態における角度αが0°より大きく30°以下とされているため、ハンガー吊り具1に吊り下げられた衣服ハンガーの識別性を向上できる。
以下、本発明の第1実施形態に係るハンガー吊り具(図1乃至図3のハンガー吊り具)を主桿に掛止した状態について、図4及び図5を参照しつつ説明する。
【0026】
図4は、図1乃至図3のハンガー吊り具1を収納空間の主桿4に掛止した状態を図示したものであり、図5は、図4のハンガー吊り具に2つの衣服ハンガー5を吊り下げた状態を図示したものである。
本発明の第1実施形態に係るハンガー吊り具1は、上述したように、フック部2L,2Rの第1垂下部21の前方部に第1架橋桿31及び第2架橋桿32が設けられており、さらにフック部2L,2Rの第2垂下部22が自由端部とされている。従って、ハンガー吊り具1の重心の位置は、弧状部23の中央部(前後方向における中央部)を基準にして、後方に偏っている。そのため、ハンガー吊り具1をフック部2L,2Rを介して主桿4に掛止すると、図4に示すように、ハンガー吊り具1が傾き、主桿4の軸芯4cを通る鉛直線Bが、第1掛止桿31と第2掛止桿32の間に位置する第1垂下部21を通るようになる。換言すれば、ハンガー吊り具1が傾くことにより、主桿4の軸芯4cよりも後方に第1掛止桿31が位置し、主桿4の軸芯4cよりも前方に第2掛止桿32が位置するようになる。
【0027】
本実施形態では、掛止状態において、第1掛止桿31の軸芯31cと第2掛止桿32の軸芯32cを結ぶ仮想直線Aと鉛直線Bとの成す角度αが0°より大きく30°以下とされている。そのため、第2掛止桿32が第1掛止桿31よりも前方に突出する。即ち、第1掛止桿31と第2掛止桿32は、前後方向に数ミリ〜数センチ位置ズレする。
角度αは、好ましくは、3°〜30°であり、より好ましくは、5°〜30°であり、特に好ましくは10°〜30°である。
上述のように、仮想直線Aの長さ(図3における、第1掛止桿31の軸芯31cと第2掛止桿32の軸芯32cの間隔M)は、35mm〜100mmである。従って、仮想直線Aの長さ及び角度αを変更することにより、第1架橋桿31の軸心31cと第2架橋桿32の軸心32cの前後方向における位置ズレ長さが適宜設定できる。
なお、仮想直線Aの長さは、第1架橋桿31及び第2架橋桿32の第1垂下部21に対する取り付け位置を変更することで容易に変更でき、角度αはハンガー吊り具の重心の位置を変えることで任意に調整できる。ハンガー吊り具の重心の位置を変える方法としては、例えば、第1掛止桿31と第2掛止桿32を互いに異なる形成材料で形成することにより両掛止桿31,32の質量を相違させることや、第1架橋桿31及び第2架橋桿32の第1垂下部21に対する取り付け位置を変更することや、フック部の形状を変更することなどが挙げられる。
【0028】
本実施形態では、角度αの最大値が30°である。そのため、第1架橋桿31の軸心31cと第2架橋桿32の軸心32cの前後方向における位置ズレ長さは、最大でM/2となる。
また、図4では、主桿4の軸芯4cを通る鉛直線Bは、第1架橋桿31と第2架橋桿32の間に位置する第1垂下部21の中央部を通っている。そのため角度αが30°である場合、第1掛止桿31は、主桿4の軸芯4cを基準に、後方に略M/4位置ずれし、第2掛止桿32は主桿4の軸芯4cを基準に前方に略M/4位置ずれすることとなる。
仮想直線Aの長さMは、最大で100mmであるため、M/2は最大で50mmであり、M/4は最大で25mmである。
角度αが30°よりも大きい場合、第2掛止桿32が前方に突出し過ぎ、比較的奥行きの短い収納空間に衣服ハンガーを収納することが困難になる虞がある。また、角度αが30°よりも大きい場合、第1掛止桿と第2掛止桿の上下方向における位置ズレ長さが小さくなり過ぎ、第1掛止桿に吊り下げられたハンガーの厚肉部と第2掛止桿に吊り下げられたハンガーの肉厚部同士が干渉する結果、多くの衣服ハンガーを吊り下げることができない虞がある。
【0029】
主桿4の軸芯4cと第1掛止桿31の軸芯31cの間隔は、特に限定されないが、好ましくは35mm〜100mmである。前記間隔の下限値は、好ましくは40mmであり、より好ましくは50mmであり、前記間隔の上限値は、好ましくは80mmであり、より好ましくは60mmである。
また、掛止状態における、主桿4の軸芯4cと第1掛止桿31の軸芯31cを結ぶ仮想直線と鉛直線Bとの成す角度は、特に限定されないが、通常、0°〜30°であり、好ましくは0°より大きく30°以下であり、より好ましくは3°〜30°であり、さらに好ましくは5°〜30°であり、特に好ましくは10°〜30°である。
【0030】
図5は、図4のハンガー吊り具に衣服ハンガーを吊り下げた状態を表した参考側面図である。
図5に示すように、第2掛止桿32に吊り下げられた衣服ハンガー5は、第1掛止桿31に吊り下げられた衣服ハンガー5よりも、その肩部が前方に突出する。従って、第1掛止桿31に吊り下げられた衣服が第2掛止桿32に吊り下げられた衣服全体と重なり難い。そのため、より衣服ハンガーの識別性を上げることができる。
また、上述のように、一般的な収納空間では、主桿に吊り下げた衣服ハンガーと側壁面との間に空隙が発生する。使用するハンガーの幅にもよるが、比較的奥行きの短い収納空間であっても、この空隙は50mmよりも長くなる場合が多い。
本発明では、第1掛止桿と第2掛止桿の位置ズレ長さは最大でも50mmであるため、比較的奥行きの短い収納空間であっても第1掛止桿と第2掛止桿に衣服ハンガーを吊り下げることができ、なお且つ、衣服ハンガーの識別性を向上できる。
【0031】
仮想直線Aの長さが35mmよりも短い場合、第1掛止桿に吊り下げられたハンガーの厚肉部と第2掛止桿に吊り下げられたハンガーの厚肉部とが重なり合い、より多くの衣服ハンガーを吊り下げられない虞がある。また、仮想直線Aの長さが100mmよりも長い場合、ハンガー吊り具を主桿に掛止した状態において、第2掛止桿が第1掛止桿よりも大幅に前方に突出することとなる。その結果、第2掛止桿に吊り下げられた衣服ハンガーが収納空間の側壁面に接触する虞がある。
【0032】
なお、図1乃至図3に示すハンガー吊り具1では、架橋桿3が、フック部2L,2Rの第1垂下部21の前方部同士を架け渡すように取り付けられているが、架橋桿3の取り付け位置は図示例に限定されない。
例えば、図6に示すように、第1架橋桿31及び第2架橋桿32がフック部2L,2Rの第1垂下部21の側方部同士を架け渡すように取り付けられていてもよく、図7に示すように、第1架橋桿31及び第2架橋桿32がフック部2L,2Rの第1垂下部21の後方部同士を架け渡すように取り付けられていてもよい。架橋桿3が図6及び図7に示すような取り付け位置であったとしても、角度αは、0°より大きく30°以下とすることができる。
【0033】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るハンガー吊り具では、角度αが0°とされている。以下、第2実施形態に係るハンガー吊り具について説明するが、基本的な構成は第1実施形態のハンガー吊り具と同様であるため、主に第1実施形態と相違する構成について説明する。
【0034】
図8及び図9は、それぞれ第2実施形態に係るハンガー吊り具の一例を示したものである。本発明の第2実施形態では、掛止状態において、第1掛止桿31の軸芯31cと第2掛止桿32の軸芯32cを通る仮想直線Aと鉛直線Bとの成す角度αが0°である。即ち、仮想直線Aと鉛直線Bは平行である。図8及び図9のハンガー吊り具1では、さらに、仮想直線Aの延長線が主桿4の軸芯4cを通るように構成されている。なお、図8及び図9では、仮想直線Aと鉛直線Bが完全に重なり合っているため、鉛直線Bのみを一点鎖線で示しており、仮想直線A及びその延長線並びに角度αは図示していない。
【0035】
図8のハンガー吊り具では、第1掛止桿31をフック部2L,2Rの第1垂下部21の前方部に取り付け且つ第2掛止桿32をフック部2L,2Rの第1垂下部21の後方部に取り付けることにより0°の角度αを実現しており、図9のハンガー吊り具1では、フック部2L,2Rの弧状部23と第1垂下部21の間に段差を設け且つ第1垂下部21の側方部に第1掛止桿31及び第2掛止桿32を取り付けることで0°の角度αを実現している。
【0036】
本発明の第2実施形態に係るハンガー吊り具1は、第1掛止桿31の軸芯31cと第2掛止桿32の軸芯32cの間隔が35mm〜100mmであるため、第1掛止桿31に吊り下げたハンガーの厚肉部が第2掛止桿32に吊り下げたハンガーの厚肉部と重なり合い難い。従って、より多くの衣服ハンガーを掛止桿3に吊り下げることができる。
また、仮想直線Aの延長線が主桿4の軸芯4cを通ることにより、主桿4、第1掛止桿31、及び第2掛止桿32に吊り下げられた衣服ハンガーは、互いに前後方向に位置ズレしない。従って、比較的奥行きの短い(略ハンガーの幅と同じ長さの奥行きを有する)収納空間であってもハンガー吊り具1を収納することができる。
【0037】
このように、本発明のハンガー吊り具は、角度αを0°とした場合、比較的奥行きの短い収納空間に多くの衣服ハンガーを吊り下げることができ、角度αを0°より大きく30°以下とした場合、さらに、吊り下げられた衣服ハンガーの識別性を向上できる。
【0038】
以下、本発明の変形例について説明する。なお、変形例1乃至5の説明において参照する図10乃至図14は、本発明の第1実施形態(角度αを0°より大きく30°以下とする)に対応している。しかし、以下に説明する変形例1乃至5の特徴は、本発明の第2実施形態(角度αを0°とする場合)にも適用可能である。
また、下記変形例の説明では、主として本発明の第1及び第2実施形態と異なる構成及び効果について説明し、上記実施形態と同様の構成などについては、その説明を省略し、用語及び符号を援用する。
【0039】
[第1変形例]
上記実施形態では、第1架橋桿31及び第2架橋桿32に対して2つのフック部2L,2Rが取り付けられたハンガー吊り具1を例示しているが、本発明では、フック部の数は2つに限定されない。
例えば、図10に示すように、フック部2L,2R,2Cは3箇所設けられていてもよく、また、特に図示しないが、4箇所以上の複数箇所にフック部が設けられていてもよい。
架橋桿3を比較的長く形成する場合には、ハンガーを吊り下げた際に架橋桿3の湾曲を防止するため、3箇所以上にフック部を設けることが好ましい。フック部を3箇所以上設ける場合、各フック部の間隔は等間隔であることが好ましい。
【0040】
[第2変形例]
また、本発明のハンガー吊り具は、フック部が第1垂下部を中心軸として回動可能に構成されていてもよい。
具体的には、図11に示されるハンガー吊り具1は、フック部2L,2Rの第1垂下部21と第1掛止桿31及び第2掛止桿32が、筒状部24を介して取り付けられている。即ち、本変形例では、筒状部24が連結部である。
フック部2L,2Rは、その第1垂下部21が筒状部24に挿入されていると共に、第1垂下部21の下縁に筒状部24の内径よりも広い幅の抜止部25を有する。
図11(d)に示すように、筒状部24は、フック部2L,2Rの第1垂下部21の外径よりも大きな内径を有するように構成されている。そのため、フック部2L,2Rは、第1垂下部21を中心軸として回動可能である(図11(a)に示す矢印方向に回動可能である)。なお、筒状部24は、第1垂下部21の上下に摺動可能であるが、フック部2L,2Rの弧状部23及び抜止部25がストッパーとして機能するため、筒状部24は第1垂下部21から抜け出ることがない。
図11(a)及び図11(b)では、第1垂下部21、弧状部23、及び第2垂下部22を含む仮想平面と第1架橋桿31及び第2架橋桿32を含む仮想平面とが直交している。そして、フック部を第1垂下部21を中心軸として回動させることで両平面を平行にし、図11(c)に示すように、ハンガー吊り具を扁平状に変形させることができる。従って、ハンガー吊り具を使用しない場合、それを扁平状とすることで、嵩張らずに保管することができる。
【0041】
[第3変形例]
本発明のハンガー吊り具は、第1掛止桿及び第2掛止桿がその軸芯方向に伸縮するように構成することもできる。
例えば、伸縮可能な架橋桿3を有するハンガー吊り具1は、図12(a)に示すように、複数のフック部2L,2R,2Cと、複数のフック部2L,2R,2Cに取り付けられた第1架橋桿31と第2架橋桿32を有する。
第1架橋桿31及び第2架橋桿32は、それぞれ第1棒材311,321と第2棒材312,322とから構成され、第1棒材311,321は、第2棒材312,322に対して出退可能とされている。例えば、第2棒材312,322は、パイプから構成され、第1棒材311,321は、第2棒材312,322の内側の空間に挿入脱可能な径を有する細長部材で構成されている(図12(b)参照)。
第1棒材311,321には1つのフック部2Lが取り付けられており、且つ、第2棒材312,322には2つのフック部2C,2Rが取り付けられている。
本変形例に係るハンガー吊り具1は、図12(c)に示すように、架橋桿3の軸芯方向に伸ばすことができ、(図示しないが)逆に縮めることもできる。
なお、第1棒材311,321及び第2棒材312,322に取り付けられるフック部の数は特に限定されず、必要に応じて本変形例よりも増やすことができる。
本変形例のハンガー吊り具1は、第1架橋桿31及び第2架橋桿32を伸縮できるため、収納空間の幅に応じて伸ばしたり或いは縮めたりして使用できる。さらに、ハンガー吊り具1を使用しないときには、それを縮めてコンパクトにして保管しておくこともできる。
第2棒材312,322の外径は、特に限定されず、例えば12mm〜15mmである。また、第2棒材312,322の内径は、特に限定されず、例えば11mm〜13mmである。第2棒材312,322の機械的強度を担保するため、その内径は、その外径よりも1mm以上小さいことが好ましい。
第1棒材311,321の外径は、特に限定されず、第2棒材312,322の内径に合わせて適宜調整できる。第1棒材311,321の外径は、例えば9mm〜11mmであり、好ましくは8.5mm〜10.5mmである。第1棒材311,321の第2棒材312,322に対する出退を滑らかにするため、第1棒材311,321の外径は第2棒材312,322の内径よりも1mm以上小さいことが好ましい。第1棒材311,321は中実であってもよく中空であってもよい。
【0042】
[第4変形例]
本発明のハンガー吊り具は、フック部とは異なる独立した他部材を連結部に用いることで第1架橋桿と第2架橋桿が固定的に連結されていてもよい。
例えば、図13に示すハンガー吊り具1は、フック部2L,2Rの第1垂下部21の下端部に第1架橋桿31のみが取り付けられており、第1架橋桿31と第2架橋桿は、2つの棒状部材7によって固定的に連結されている。本変形例では、この棒状部材7が連結部である。棒状部材7の数及び取り付け位置は特に限定されず、任意に変更することができる。
【0043】
[第5変形例]
本発明のハンガー吊り具は、フック部の第1垂下部(連結部に相当)が弧状に形成されていてもよい。
例えば、図14に示すハンガー吊り具1は、フック部2L,2RがS字状に形成されており、第1架橋桿31と第2架橋桿32を連結する第1垂下部21が弧状に形成されている。図示例では、第1架橋桿31の方が第2架橋桿32よりも前方に位置するように設けられており、第1架橋桿31の軸芯31cと第2架橋桿32の軸芯32cを結ぶ仮想直線Aと鉛直線Bとの成す角度は0°より大きく30°以下とされている。
第1実施形態では、角度αは主桿4の軸芯4cを通る鉛直線Bを基準に前方に観念されるが、本変形例では鉛直線Bを基準に後方に角度αが観念される。本変形例のハンガー吊り具1は、第2掛止桿32が収納空間の手前に位置するように主桿4に掛止して使用される。
【0044】
本発明のハンガー吊り具は、上述した実施形態に限定されず、本発明の意図する範囲で様々に設計変更できる。
例えば、回動可能なフック部を有する第2変形例のハンガー吊り具に対し、第3変形例の伸縮可能な掛止桿や第4変形例の棒状部材を組み合わせてもよい。
【0045】
本発明のハンガー吊り具は、少なくとも2本の架橋桿、即ち、第1架橋桿と第2架橋桿を有し、なお且つ、第1架橋桿の軸芯と第2架橋桿の軸芯を結ぶ仮想直線の長さが35mm〜100mmとなるように構成されている。そのため、主桿にハンガーを直接吊り下げるよりも多くのハンガーを吊り下げることができ、その結果、多くの衣服を収納空間に収納することができる。
また、前記仮想直線と鉛直線との成す角度が0°より大きく30°以下である場合、第2架橋桿が第1架橋桿よりも前方に突出するため、衣服ハンガーの視認性を向上できる。
【符号の説明】
【0046】
1…ハンガー吊り具、2L,2R…フック部、31…第1架橋桿、31c…第1架橋桿の軸芯、32…第2架橋桿、32c…第2架橋桿の軸芯、4…主桿、4c…主桿の軸芯、5…衣服ハンガー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15