特許第6478474号(P6478474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478474
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】粒状体検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20190225BHJP
【FI】
   G01N21/85 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-82867(P2014-82867)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-203620(P2015-203620A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】黒水 泰守
(72)【発明者】
【氏名】砂畠 睦巳
(72)【発明者】
【氏名】池田 直人
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−298695(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/069736(WO,A1)
【文献】 特開2011−011113(JP,A)
【文献】 特開2014−044059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
B07C 1/00 − B07C 99/00
B02B 1/00 − B02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物である粒状体を所定の通過方向で通過させる通過経路と、
前記通過経路に規定された第1検査領域と、
前記通過経路に前記第1検査領域に対して前記通過方向で間隔をあけて規定された第2検査領域と、
前記通過方向に対して横断方向に延びる光軸を有するとともに前記第1検査領域に光学的照準を合わせた第1受光ユニットと、
前記第1受光ユニットに背を向けて前記第1検査領域を照明する第1正面照明ユニットと、
前記第1受光ユニットに向き合って前記第1検査領域を照明する第1背面照明ユニットと、
前記通過方向に対して横断方向に延びる光軸を有するとともに、前記第2検査領域に光学的照準を合わせた第2受光ユニットと、
前記第2受光ユニットに背を向けて前記第2検査領域を照明する第2正面照明ユニットと、
前記第2受光ユニットに向き合って前記第2検査領域を照明する第2背面照明ユニットと、
前記第1受光ユニット及び前記第2受光ユニットからの信号に基づいて前記被検査物の状態を評価する評価部と、が備えられ、
前記第1正面照明ユニットの前方に、前記第1正面照明ユニット側に向けて膨出している湾曲状の拡散部材が設けられているとともに、前記第2正面照明ユニットの前方に、前記第2正面照明ユニット側に向けて膨出している湾曲状の拡散部材が設けられ、かつ、前記拡散部材には、対応する受光ユニットの光軸が通過するスリットが形成され、
前記第1背面照明ユニット及び前記第2背面照明ユニットは、面発光体であり、
前記第1受光ユニットの光軸と前記第2受光ユニットの光軸との離間距離を、前記第1受光ユニット及び前記第2受光ユニットの光学的照準点である前記通過経路の中心から前記第1背面照明ユニット及び前記第2背面照明ユニットの照明面までの離間距離のそれぞれで除算した値が、1.5以上である粒状体検査装置。
【請求項2】
第2受光ユニットは、前記通過経路に関して前記第1受光ユニットとは反対側から前記第2検査領域に光学的照準を合わせている請求項1に記載の粒状体検査装置。
【請求項3】
前記第1背面照明ユニット及び前記第2背面照明ユニットは、導光部材を用いた面発光体である請求項1または2に記載の粒状体検査装置。
【請求項4】
前記導光部材と前記通過経路との間に光透過保護板が配置されており、前記光透過保護板の前記通過経路に向き合う面に反射防止膜が形成されている請求項3に記載の粒状体検査装置。
【請求項5】
前記第1正面照明ユニット及び前記第1背面照明ユニット及び前記第2正面照明ユニット及び前記第2背面照明ユニットの光量はそれぞれ調整可能である請求項1から4のいずれか一項に記載の粒状体検査装置。
【請求項6】
前記通過経路が直線であり、
前記第1受光ユニットの光軸と前記第1正面照明ユニットの照明中心となる光軸と前記第1背面照明ユニットの照明中心となる光軸とが、前記通過経路と直交しているとともに前記通過経路内で一致しており、かつ
前記第2受光ユニットの光軸と前記第2正面照明ユニットの照明中心となる光軸と前記第2背面照明ユニットの照明中心となる光軸とが、前記通過経路と直交しているとともに前記通過経路内で一致している請求項1から5のいずれか一項に記載の粒状体検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の通過方向で通過経路を通過させるとともに照明を当てられた被検査物である粒状体からの光を検出し、その検出結果に基づいて粒状体を評価する粒状体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粒状体であるペレットの通過経路を挟んだ両側に光源を配置し、当該光源によって照明されたペレットからの光を受光手段(ラインセンサ)で検出し、その検出光量に基づいてペレットを評価する粒状体検査装置が開示されている。この粒状体検査装置では、各光源は、構成要素としてライン状光源(蛍光灯)と当該光源からの光を拡散する拡散透過板とペレットに近接する透過窓を備えており、両側の光源の照明中心となる光軸及び両側(前側と後側)のラインセンサの光軸は全て、通過経路の横断方向から見て一点(ライン光源なので実際には一直線)で交わるように設定されている。このような構成では、一方側のラインセンサに写り込むペレットの背景に他方側の光源の構成要素が含まれることになる。したがって、当該構成要素とその他の背景領域との間に明度ムラがあれば、例えば、影部分や白とび部があれば、その明度ムラがペレットにも映り込むことがあり、当該ペレットから光を受けるラインセンサの光量評価に悪影響を与える。特に、光源による照明光経路に、受光手段用のスリットが形成されているような場合では、当該スリットの内部が暗部となるため、その光源に向き合った側のラインセンサで受光されるペレットにその暗部に起因する影が写り込み、評価エラーの原因となる。
【0003】
粒状体である豆類の通過経路において、その通過方向で間隔をあけて第1検出位置と第2検出位置とを設けて、それぞれ独立した第1と第2の光学検出装置による品質評価が特許文献2に記載されている。第1と第2の光学検出装置は互いに独立した照明ランプと光検出器を備えており、相互間で光学的な影響を与えることは回避される。しかしながら、この検査装置では、第1の光学検出装置は豆類からの拡散・透過光を検出するように構成されており、第2光学検出装置は豆類からの反射光を検出するように構成されており、いずれもが一方側からのみ照射される照明光を用いている。また、第1と第2の光学検出装置とでは、検出すべき欠陥の種類も異なっている。つまり、この検査装置では、異なる欠陥を検出するために2つの光学検出装置が独立して配置されているだけである。また、被検査物である豆類に対して一方向からだけ照明光を照射しているため、光検出センサに向き合う被検査物の表面に影部が生じてしまうので、この影が光検出時に悪影響を与える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−264256号公報
【特許文献2】特開平7−96253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実情に鑑み、より適切な光検出結果が得られるような照明系と受光系の構成を有する粒状体検査装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による粒状体検査装置は、被検査物である粒状体を所定の通過方向で通過させる通過経路と、前記通過経路に規定された第1検査領域と、前記通過経路に前記第1検査領域に対して前記通過方向で間隔をあけて規定された第2検査領域と、前記通過方向に対して横断方向に延びる光軸を有するとともに前記第1検査領域に光学的照準を合わせた第1受光ユニットと、前記第1受光ユニットに背を向けて前記第1検査領域を照明する第1正面照明ユニットと、前記第1受光ユニットに向き合って前記第1検査領域を照明する第1背面照明ユニットと、前記通過方向に対して横断方向に延びる光軸を有するとともに、前記通過経路に関して前記第1受光ユニットとは反対側から前記第2検査領域に前記第2検査領域に光学的照準を合わせた第2受光ユニットと、前記第2受光ユニットに背を向けて前記第2検査領域を照明する第2正面照明ユニットと、前記第2受光ユニットに向き合って前記第2検査領域を照明する第2背面照明ユニットと、前記第1受光ユニット及び前記第2受光ユニットからの信号に基づいて前記被検査物の状態を評価する評価部とが備えられ、前記第1正面照明ユニットの前方に、前記第1正面照明ユニット側に向けて膨出している湾曲状の拡散部材が設けられているとともに、前記第2正面照明ユニットの前方に、前記第2正面照明ユニット側に向けて膨出している湾曲状の拡散部材が設けられ、かつ、前記拡散部材には、対応する受光ユニットの光軸が通過するスリットが形成され、前記第1背面照明ユニット及び前記第2背面照明ユニットは、面発光体であり、前記第1受光ユニットの光軸と前記第2受光ユニットの光軸との離間距離を、前記第1受光ユニット及び前記第2受光ユニットの光学的照準点である前記通過経路の中心から前記第1背面照明ユニット及び前記第2背面照明ユニットの照明面までの離間距離のそれぞれで除算した値が、1.5以上である
【0007】
上記構成による粒状体検査装置では、被検査物である粒状体の通過経路に間隔をあけて2つの検査領域が設定され、それぞれの検査領域に独立した光学検査ユニットが割り当て配置されている。一方の光学ユニットは、第1検査領域の粒状体を照明する第1正面照明ユニット及び第1背面照明ユニットと、これらによって照明された粒状体からの光を受光する第1受光ユニットとから構成されている。第1受光ユニットは第1検査領域に光学的照準を合わせているので、検査対象となる粒状体を第1検査領域において正確に捉えることができる。例えば、第1受光ユニットがカメラユニットとすれば、フロントライトとバックライトによって照明された光の中の粒状体を正確に撮影することができる。第1正面照明ユニットは粒状体を第1受光ユニット側から照射し、第1背面照明ユニットは粒状体を反対側から照射するように配置されているので、検査対象となる粒状体は、第1検査領域内で反射する二次的な光も含めて種々の角度から照明され、粒状体からの光を受ける第1受光ユニットの受光面に、つまり被検査物である粒状体の受光画像(撮影画像)に周囲の明度ムラに起因する影や暗部が生じる可能性が低い。同様に、他方の光学ユニットは、第2検査領域の粒状体を照明する第2正面照明ユニット及び第2背面照明ユニット、これらによって照明された粒状体からの光を受光する第2受光ユニットとから構成されており、第2受光ユニットは第2検査領域に光学的照準を合わせているので、この第2検査領域においても、検査対象となる粒状体は、フロントライトとバックライトによって照明された光の中に位置する粒状体からの光が第2受光ユニット受光面に入り、その受光画像(撮影画像)に周囲の明度ムラに起因する影や暗部が生じる可能性が低い。また、第1検査領域と第2検査領域が間隔をあけているので、第2検査領域を形成している部材や第2検査領域のための光学ユニットの構成機器によって作り出される明暗部が第1検査領域に光学的照準を合わせている第1受光ユニットに入り込む可能性は小さいという利点がある。同様に、第1検査領域を形成している部材や第1検査領域のための光学ユニットの構成機器によって作り出される明暗ムラが第2検査領域に光学的照準を合わせている第2受光ユニットに入り込む可能性が小さいという利点がある。この結果、得られた受光情報は、従来に比べて品質の高い情報となり、その評価の信頼性も高くなる。
ここで、受光ユニットの受光面(撮影面)に関して被検査物(粒状体)の正面を照らすことになる(第1と第2との)正面照明ユニットからの照明光は、光量分布が均一であることが好ましいが、均一化のために照明光を拡散し過ぎると、被検査物を照らす光量が減少する。つまり、正面照明ユニットからの照明光に関しては、拡散しながらも被検査物に対して十分な光量を与えたいという二律背反する問題がある。また、被検査物から受光ユニットに向かう光は、正面照明ユニットを通過しなければならないので、正面照明ユニットにはその通過経路が必要となる。しかし、上記構成によれば、均質で十分な光量をもった照明光を被検査物の正面に当てた状態で被検査物から光を受光することができ、品質の良い撮影画像が得られる。また、拡散部材に設けられたスリットが被検査物から受光ユニットへの光の通過経路となる。
その際、第1検査領域と第2領域とは通過経路において間隔をあけて位置しているので、第1正面照明ユニットの拡散部材に形成されたスリットが第2受光ユニットからみての暗部となって被検査物に影を落とすといった不都合も解消される。同様に、第2正面照明ユニットの拡散部材に形成されたスリットが第1受光ユニットからみての暗部となって被検査物に影を落とすといった不都合も解消される。
被検査物に対する撮影照明において、正面からの照明だけでなく、背景からの照明も重要である。しかしながら、通常の商品撮影のように、被検査物の後側に単に光を反射させるようなレフ板を配置すると、周囲の暗部がレフ板から反射され、望ましくない背面照明となる可能性がある。また、背面照明は受光ユニットにとっては逆光となるので、光量分布の均一性は重要である。上記構成によれば、背面照明として面発光体を用いているため、光量分布の均一性と安定した光量を得ることができる。
【0008】
さらに、第1受光ユニットと第2受光ユニットとの配置に関して、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記第2受光ユニットは、前記通過経路に関して前記第1受光ユニットとは反対側から前記第2検査領域に光学的照準を合わせている。この構成では、一方の光学ユニットと、他方の光学ユニットとは、通過経路に関してそれぞれ逆側に配置されているので、一方の光学ユニットによって粒状体を一方側の面から検査することができ、他方の光学ユニットによって粒状体を他方側の面から検査することができる。
【0009】
【0010】
【0011】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記第1背面照明ユニット及び前記第2背面照明ユニットは、導光部材を用いた面発光体として構成されている。さらに、好適な実施形態の1つでは、前記導光部材と前記通過経路との間に光透過保護板が配置され、前記光透過保護板の前記通過経路に向き合う面に反射防止膜が形成されている。光透過保護板により、アクリルなどの樹脂製である導光部材が被検査物によって悪影響を受けることが防止される。
また、反射防止膜により、光透過保護板の表面で局部的に反射された反射光が受光ユニットに入って検出結果に悪影響を及ぼすことが抑制される。
【0012】
正面照明と背面照明との光量バランスが被検査物からの光検出結果(受光値ないしは撮影画像)に大きな影響を及ぼすので、被検査物の種類や検査すべき欠陥の種類によって微妙に調整することが好ましい。これは、被検査物の種類及び検査すべき欠陥の種類最適な調整によって、最適な光検出結果がもたらされるからである。また、各検査領域を構成する構成部材の幾何学的な条件から照明ムラが生じる場合、正面照明と背面照明との光量バランスを変えることで解消できることもある。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記第1正面照明ユニット及び前記第1背面照明ユニット及び前記第2正面照明ユニット及び前記第2背面照明ユニットの光量はそれぞれ調整可能に構成されている。
【0013】
さらに、上述したように正面照明において湾曲状の拡散部材を用いるとともに、背面照明に面発光体を用いることで、被検査物の背面からの光量が大きくなり、被検査物の正面は種々の方向からの光で照射されることで、平検査物での鏡面反射による白とびの発生も抑制される。
【0014】
第1検査領域と第2検査領域とは通過経路において間隔をあけて位置しているので、第1検査領域のための光学ユニット(第1光学ユニット)と第2検査領域のための光学ユニット(第2光学ユニット)とは互いに干渉する可能性が低いことから、それらの配置には高い自由度がある。例えば、通過経路が直線状である場合、構造的に簡単なものは、第1の光学ユニットの光軸(照明中心となる光軸や受光(カメラ)光軸)及び、第2の光学ユニットの光軸を通過経路に直交させる配置である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記第1受光ユニットの光軸と前記第1正面照明ユニットの照明中心となる光軸と前記第1背面照明ユニットの照明中心となる光軸とが、前記通過経路と直交しているとともに前記通過経路内で一致し、かつ前記第2受光ユニットの光軸と前記第2正面照明ユニットの照明中心となる光軸と前記第2背面照明ユニットの照明中心となる光軸とが、前記通過経路と直交しているとともに前記通過経路内で一致するように構成されている。
【0015】
その際、第1光学ユニットの光軸と第2光学ユニットの光軸とは、上述した互いのスリットなどの暗部に起因する影響を受けない程度には離れておく必要ある。また、周囲の暗部やハイライト部が写り込まないように背景照明ユニットはできるだけ通過経路に近い方が好ましい。これに関して、本願発明者の知見によれば、第1光学ユニットの光軸と第2光学ユニットの光軸との間の距離をPとし、通過経路の中心から背面照明ユニットの照明面までの距離をDとした場合、P/Dが1.5以上となることが好適であることが明らかになっている。また、装置全体として通過経路の横断方向でのサイズを抑制したい場合は、第1光学ユニットの光軸と第2光学ユニットの光軸とを、通過経路に対して傾斜させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の基本的な構成を説明するための模式的側面図である。
図2】本発明の基本的な構成を説明するための模式的平面図である。
図3図1に示した本発明の基本的な構成の変形例を示す模式的側面図である。
図4図1に示した本発明の基本的な構成のさらに別な変形例を示す模式的側面図である。
図5】本発明による光学的検査を説明するための説明図である。
図6】本発明による光学的検査における正常と異常の判定基準を説明するための説明図である。
図7】本発明による粒状体検査装置の具体的な実施形態の1つである樹脂ペレット検査装置の全体側面図である。
図8】第1検査領域と第2検査領域とにおける樹脂ペレット検査装置の縦断側面図である。
図9】第1光学ユニット及び第2光学ユニットを示す斜視図である。
図10】第1光学ユニット及び第2光学ユニットの光軸示す断面斜視図である。
図11】検査コントローラを中心とする制御系の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による粒状体検査装置の具体的な実施形態を説明する前に、図1図2とを用いて本発明を特徴付けている基本的な構成を説明する。図1は、粒状体検査装置の基本的な構成を説明するための模式的側面図であり、図2は模式的平面図である。
この粒状体検査装置は、上方から上下方向で直線状に延びた通過経路Gに沿って落下してくる被検査物である粒状体を、第1検査領域TA1と第2検査領域TA2の2箇所で光学的検査を行う。第1検査領域TA1と第2検査領域TA2とは、粒状体の通過方向で互いに重ならない様に間隔をあけている。第1検査領域TA1及び第2検査領域TA2での検査結果は検査コントローラ7の評価部70で評価され、この評価結果に基づいて制御される分別機構SDによって合格品と不合格品とに分けられて回収される。
【0018】
粒状体検査装置は、第1検査領域TA1において粒状体を光学的に検査する第1光学ユニット1Aと、第2検査領域TA2において粒状体を光学的に検査する第2光学ユニット1Bとを備えている。第1光学ユニット1Aは、第1正面照明ユニット4Aと、第1背面照明ユニット5Aと、第1受光ユニット6Aとを備えており、第2光学ユニット1Bは、第2正面照明ユニット4Bと、第2背面照明ユニット5Bと、第2受光ユニット6Bとを備えている。第1光学ユニット1Aの照明系及び撮影(受光)系の光軸OA1は共通しており、通過経路Gの横断方向に延びて第1検査領域TA1の中心を通過する。第2光学ユニット1Bの照明系及び撮影系の光軸OA2も共通しており、通過経路Gの横断方向に延びて第2検査領域TA2の中心を通過する。この配置により、第1受光ユニット6Aは第1検査領域TA1の中心に光学的照準を合わせており、第1受光ユニット6Aは、第1検査領域TA1に位置する粒状体からの光を受ける。第1正面照明ユニット4Aは、第1受光ユニット6Aに背を向けて第1検査領域TA1を照明する。第1背面照明ユニット5Aは、第1受光ユニット6Aに向き合って第1検査領域TA1を照明する。
【0019】
第1光学ユニット1Aと第2光学ユニット1Bとは、実質的に同じ構造を有しているので、以下の説明では、特に区別する必要がない場合には、「第1と第2」の表記及び「AとB」の図番の添え字を外して、単に光学ユニット1、正面照明ユニット4、背面照明ユニット5、受光ユニット6といったように記述して、共通的に説明する。
正面照明ユニット4は、光軸OAに対して上下に配置された上側のLED列と下側のLED列とからなるライン照明モジュール41と、湾曲状の拡散部材42と、光透過保護板であるガラス板44とを有する。拡散部材42は、その湾曲面がライン照明モジュール41側に向けて膨出しているように配置されている。ガラス板44は、拡散部材42と通過経路Gとの間の境界壁となっている。ここでのライン照明モジュール41は、LEDを1列以上で直線状に並べた光源である。拡散部材42は、湾曲断面を有する半割れ筒体であり、ライン照明モジュール41側に凸面が来るように配置されている。拡散部材42の中央位置に光軸OAが通る直線状のスリット43が形成されている。粒状体からの光(反射光及び透過光)はこのスリット43と通って受光ユニット6に入る。したがって、スリット43は受光ユニット6の撮影幅(受光幅)に対応する長さを有する。
【0020】
背面照明ユニット5は、4つのLEDリニアアレイモジュール51と導光部材52と光透過保護板としてのガラス板54を有する。導光部材52は、正面照明ユニット4の拡散部材42に向き合うように配置された導光性を有る細長い長方形の樹脂板であり、大きな面積をもつ長方形表面が検査領域TAに向き合う投光面となっている。LEDリニアアレイモジュール51は、導光部材52における長方形の4辺に対応する4つの側面のほぼ全域にLED光が入射するように配置されている。導光部材52の投光面に、ガラス板54が装着されている。導光部材52の縦長さ(粒状体通過方向の長さ)は拡散部材42のより長く、1.5倍から2倍の長さを有している。導光部材52の横長さは、スリット43の長さを超えており、受光ユニット6による撮影範囲を大きく超える範囲を均一に照明することができる。ガラス板54の通過経路Gに向き合う面には反射防止膜54aが形成されている。
【0021】
受光ユニット6は、それ自体はよく知られた、産業用撮影カメラであり、レンズ部61やCCDやCMOSからなるラインセンサ部62を備えている。もちろん、一般的な撮影カメラを用いて、矩形センサのうちのライン状の受光素子をラインセンサとしてもちいてもよい。レンズ部61の前面には、各種フィルタが装着可能である。
【0022】
なお、上述した本発明の基本的構成の説明では、第1光学ユニット1Aの光軸OA1及び第2光学ユニット1Bの光軸OA2は通過経路Gに対して直角に交わっていたが、図3に示すように傾斜角θをもって交わるように構成してもよい。これによって、通過経路Gの横断方向での第1光学ユニット1A及び第2光学ユニット1Bによる占有スペースが小さくなる。その際、背面照明ユニット5の照明光軸は通過経路Gに対して直交したままでもよいが、正面照明ユニット4の照明光軸は、光学ユニット1の光軸OA1つまり受光ユニット6の光軸と一致させることが好ましい。もちろん、受光ユニット6への光通過経路さえ確保できるなら、正面照明ユニット4の照明光軸も通過経路Gに対して直交したままでもよい。もちろん、光軸OA1、OA2の中間に1対のミラー60を設けて、光軸OA1、OA2を折り曲げてもよい。
【0023】
また、上述した本発明の基本的構成の説明では、粒状体を一方側面(表面)と他方側面(裏面)とからの光を捉える(撮影する)ために、2箇所の検査領域TA1、TA2が設けられていたが、より検査品質を高めるために、検査領域をさらに増加させてもよい。例えば、図4では、4つの検査領域TA1、TA2、TA3、TA4が設けられており、それぞれに光学ユニット1が備えられている。
【0024】
次に、本発明による粒状体検査装置で採用されている光学的検査方法の原理を図5図6とを用いて説明する。図5に示されたラインセンサ部62と粒状体との関係から理解できるように、ラインセンサ部62の各受光素子は、粒状体の通過方向に対する横断方向で延びた走査ラインで粒状体からの光を微小区画pで検出する。所定のサンプリング周波数で走査され、ラインセンサ部62の各受光素子で生成された受光信号は、検査コントローラ7に送られ、必要な前処理を施された後、評価部70で評価される。この評価方法の一例は、その受光量(信号振幅値)をしきい値と比較する方法である。このしきい値は、正常な粒状体において得られる受光量に基づいて設定される上限しきい値THHと下限しきい値THLとである。この上限しきい値THHと下限しきい値THLとの間を適正光量範囲ΔEとし、測定された受光量がこの適正光量範囲ΔEに入れば正常とみなされ、この適正光量範囲ΔEを外れると、異常とみなされる。なお、ここでは、微小区画p単位の受光量で粒状体の評価を行うのではなく、所定長さ分の微小区画pの集まりを評価単位として、評価される。このような評価単位は、検査対象物となる粒状体の種類や品質仕様によって設定される。
【0025】
例えば、粒状体の外周の一部の箇所に正常物と濃度が異なる異常箇所があるような場合に、その異常箇所からの反射光を受光した評価単位分のラインセンサ部62の受光量が、上記適正光量範囲ΔEを外れると、異常物の存在検出とみなされる。図6に異常物検出時のラインセンサ部62の出力が模式的に示されている。図6において、e0は、正常な粒状体からの標準的な反射光に対する出力電圧レベルである。受光素子の出力電圧が下限しきい値THLよりも小さい出力電圧レベルであるe1やe2は、正常な粒状体よりも反射率が小さい異常体を示している。受光素子の出力電圧が上限しきい値THHよりも大きい出力電圧レベルであるe3は、正常な粒状体よりも反射率が大きい異常体(例えば、明度が大きい白色の粒状体)を示している。
【0026】
次に本発明の具体的な実施形態を図7から図10を用いて、説明する。この実施形態の粒状体検査装置は、半透明な樹脂ペレットを検査する装置であり、多数の樹脂ペレットを検査対象物として検査領域に送り込んで、正常物(合格品)であるか異常物(不合格品)であるかを光学的検査を用いて判別する判別処理と、正常物と異常物との分離処理を行なう。
【0027】
図7に示すように、上下方向で間隔をあけた第1検査領域TA1と第2検査領域TA2を、ペレットが一層で且つ幅広状態で通過するように流下案内する傾斜姿勢のシュータ11が備えられている。ペレットは、シュータ11の上部側に設けられた貯留ホッパ12から振動フィーダ13によって振動搬送され、シュータ11に投入される。投入されたペレットはシュータ11の上面を流下しながら、第1検査領域TA1の手前で放出され、第1検査領域TA1と第2検査領域TA2とを通過し、正常物と異常物とに選別される。
【0028】
図7に示すように、外部からペレットが供給されて貯留される貯留ホッパ12は、側面視で下端側ほど先細の筒状に形成され、振動フィーダ13は、貯留ホッパ12の下部から排出されるペレットを受止める受止め載置部14と、その受止め載置部14に振動を与える振動発生器13Aとを備えている。振動発生器13Aによって受止め載置部14に振動を与えることで、受止め載置部14の一端部からペレットが、シュータ11の幅方向全幅に亘って実質的に一層状態で広がってシュータ11上に供給される。シュータ11は、幅方向全幅に亘って平坦な流下案内面を形成している平面板状のシュータ11として構成されており、ペレットの通過経路Gの前半経路を形成している。
【0029】
図8に拡大して示されているように、シュータ11により流下案内されるペレットはシュータ11から飛び出している間に検査を受ける。したがって、通過経路Gの検査経路であるこの飛び出し経路において、流下中のペレットを検査する、互いに流下方向で間隔をあけて第1検査領域TA1と第2検査領域TA2とが配置されている。第1検査領域TA1と第2検査領域TA2とを通過した正常なペレットは下方側の正常物回収部16にそのまま落下して回収され、異常物は、分別機構SDとしてのエアー吹き付け装置15による吹き付け作用によって方向転換されることによって分別され、異常物回収部17に回収される。
【0030】
なお、シュータ11は、ペレットを流下案内面に沿ってスムーズに流下するように、この実施形態では約15°〜20°の傾斜角度αで傾斜しており、通過経路Gも同じ傾斜角度αで傾斜している。
【0031】
この実施形態においても、第1検査領域TA1に対応する位置にペレットを検査するための第1光学ユニット1Aが備えられ、第2検査領域TA2に対応する位置にペレットを検査するための第2光学ユニット1Bが備えられている。この実施形態においても、第1光学ユニット1Aと第2光学ユニット1Bとは、図1図2とを用いて説明した基本的な構造を有している。第1光学ユニット1Aは、図7及び図8で示された側面図における通過経路Gを挟んだ右側、つまり装置後側に第1正面照明ユニット4A及び第1受光ユニット6Aが配置され、通過経路Gを挟んだ左側つまり装置前側に第1背面照明ユニット5Aが配置されている。第1光学ユニット1Aの光軸OA1は、通過経路Gに対して直交しているので、結果的には第1光学ユニット1Aの光軸OA1は、水平線に対して傾斜角度αで傾斜している。また、第2光学ユニット1Bは、図7の側面図における通過経路Gを挟んだ左側つまり装置前側に第2正面照明ユニット4B及び第2受光ユニット6B、通過経路Gを挟んだ右側つまり装置後側に第2背面照明ユニット5Bを配置している。第2光学ユニット2Aの光軸OA2も、通過経路Gに対して直交しているので、結果的には第2光学ユニット1Bの光軸OA2も、水平線に対して傾斜角度αで傾斜している。
【0032】
図8図10に示されているように第1光学ユニット1Aと第2光学ユニット1Bとは、ボックス状の収納ケース18にほぼ全周を囲まれるように収められているが、扁平な断面を有する通過経路Gを貫通させるために天板領域と底板領域とには細長い開口が形成されている。さらに通過経路Gにおける第1検査領域TA1及び第2検査領域TA2に対する良好なアクセスを許すために左右の側板領域には、開口18Aが形成されており、第1検査領域TA1及び第2検査領域TA2の保守点検がし易くなっている。
【0033】
第1光学ユニット1Aと第2光学ユニット1Bとは、通過経路Gで位置ずれしており、通過経路Gに対して斜めに向き合う位置関係で取り付けられているが、その構造は実質的に同じなので、ここでは第1光学ユニット1Aだけを説明して、第2光学ユニット1Bは省略する。
【0034】
図8及び図10では、模式的に示されているだけであるが、第1正面照明ユニット4Aは、ライン照明モジュール41として、その照明中心線でもある光軸OA1を挟んで2つのLEDリニアアレイモジュール41a、41bが配置され、この2つのLEDリニアアレイモジュール41a、41bの照射側を覆うように、2つのLEDリニアアレイモジュール41a、41bに向けて膨出している湾曲状で板状の拡散部材42が配置されている。LEDリニアアレイモジュール41a、41bは、それぞれ、LED素子が、1列以上でかつ通過経路Gの幅に対応する長さで並んでいる形態を有する。LEDリニアアレイモジュール41a、41bと拡散部材42とは、取付フレーム18aに固定されている。その際、拡散部材42は凸状となっている湾曲面側をLEDリニアアレイモジュール41a、41bと向き合う姿勢となっており、拡散部材42の頂部を照明中心線でもある光軸OA1が通過している。拡散部材42の凹状となっている湾曲面側、つまり第1検査領域TA1側は、ペレットの進入を阻止するためにガラス板44がはめ込まれている。
【0035】
第1受光ユニット6Aは、撮影カメラで構成されており、レンズ部61を内蔵したレンズ筒体63と、ラインセンサ部62を内蔵したセンサパック64とからなる。レンズ筒体63のすぐ前方には、フィルタ66が配置されている。フィルタ66は、収納ケース18に固定されたフィルタブラケット67に取り付けられた挟持枠体67aによって挟み込み支持されている。挟持枠体67aはネジによってフィルタ66を締め付け固定しているので、接着剤で接合していようなものに比べて温度負荷に対して強い。この第1受光ユニット6Aの光軸OA1は1対の細長板形状のミラー60によって屈折されている。ミラー60は、カメラを固定するカメラホルダ18bにブラケット片60aを用いて固定されている。
【0036】
この第1受光ユニット6Aの光軸OA1は、第1正面照明ユニット4Aの上下のLEDリニアアレイモジュール41aと41bとの間を通り抜け、さらに拡散部材42の頂部に形成されたスリット43及びガラス板44を通過して、第1検査領域TA1に達する。スリット43には、通過経路G側の面に分割処理膜46aが形成された光透過体46がはめ込まれている。光透過体46は、板ガラスあるいはアクリルなど有機ガラスである。分割処理膜46aは、有機ガラスの側面に錫や銀をめっきあるいは蒸着することによって構成され、第1検査領域TA1に向かう方向で分割処理膜46aに入射する入射光を反射光と透過光とに分割する分割処理を行う。つまり、光が光透過体46を透過する際、分割処理膜46aによって第1検査領域TA1に届く透過光と、第1検査領域TA1に届かない反射光とに分割処理される。これにより、第1受光ユニット6A側から第1検査領域TA1に届く光が弱くなり、第1受光ユニット6A側からの影がペレットに写り込み難くなる。
また、光透過体46の第1受光ユニット6A側の面には、反射防止膜46bとしてのARコートが形成されている。これにより光透過体46において第1受光ユニット6Aに向かう状態で発生する反射光を弱く抑制できる。
【0037】
第1背面照明ユニット5Aは、面発光ユニット53を用いており、面発光ユニット自体は良く知られており、本発明では特定の形態に限定されていない。この実施形態において、板状の導光部材52の4つの側面に、それぞれLEDリニアアレイモジュール51が取り付けられた面発光ユニット53が使用されている。また、導光部材52の投光面側に光透過保護板としてのガラス板54が配置されている。このガラス板54の通過経路Gに向き合う面には反射防止膜54aが形成されている。面発光ユニット53及びガラス板54は、ブラケット55によって収納ケース18に固定されている。通過経路Gにおけるペレットの流れ方向に関しての面発光ユニット53の長さは、第1正面照明ユニット4Aの発光板として機能する拡散部材42の長さに比べて、約1.5倍となっており、被写体であるペレットにバックライトとしての均一で豊かな光量を与えている。
【0038】
図8を参照して、第1光学ユニット1Aと第2光学ユニット1Bとの通過経路Gにおける好適な位置関係を説明する。図8に示されているが、通過経路Gにおける第1光学ユニット1Aの光軸と第2光学ユニット1Bの光軸との間の距離をPとし、第1光学ユニット1A及び第2光学ユニット1Bの光学的照準点である通過経路Gの中心から第1背面照明ユニット5A及び第2背面照明ユニット5Bの照明面であるガラス板54の表面までの距離をDとする。ここで、本願発明者による実験結果から、P/Dが1.5以上であれば、高品質の受光結果が得られることが明らかになっている。
【0039】
なお、第1背面照明ユニット5Aの4つのLEDリニアアレイモジュール51及び第1正面照明ユニット4Aの2つのLEDリニアアレイモジュール41a、41bに用いられているLED素子は、白色LED発光素子であり、白色LED発光素子から発せられる光を集光する集光部や光を拡散させる拡散部も備えられているが、よく知られて構造であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0040】
図11に示すように、4つのLEDリニアアレイモジュール51及び2つのLEDリニアアレイモジュール(ライン照明モジュール)41(41a、41b)の各光量は、検査コントローラ7からの制御信号によって調整可能である。このため、第1正面照明ユニット4A及び第1正面照明ユニット4Aは、正面光量調整回路71を介して検査コントローラ7に接続されており、第1背面照明ユニット5A及び第2背面照明ユニット5Bは、背面光量調整回路72を介して検査コントローラ7に接続されている。検査コントローラ7には、タッチパネルを組み込んだ操作パネル80(図7参照)も接続されており、操作パネル80を介して光量調整のためのマニュアル操作信号が検査コントローラ7に入力される。検査コントローラ7は、入力されたマニュアル操作信号に基づいて、正面光量調整回路71または背面光量調整回路72に制御信号を出力する。正面光量調整回路71は、受け取った制御信号に基づいて、第1正面照明ユニット4A及び第2正面照明ユニット4Bの各LEDリニアアレイモジュール41a、41bを個別に駆動制御し、その光量を調整する。同様に、背面光量調整回路72は、受け取った制御信号に基づいて、第1背面照明ユニット5A及び第2背面照明ユニット5Bの各LEDリニアアレイモジュール51を個別に駆動制御し、その光量を調整する。
【0041】
この照明光量の調整にあたっては、基本的には、光反射特性と光透過特性が均一な基準ペレットが第1検査領域TA1と第2検査領域TA2とにおいて、第1受光ユニット6Aのラインセンサ部62と第2受光ユニット6Bのラインセンサ部62とが同じ検出値を出力するように光量調整される。ラインセンサ部62及びラインセンサ部62からの検出信号も検査コントローラ7に入力されているので、検査コントローラ7に自動光量調整プログラムを構築し、照明光量の調整を自動化することも可能である。
【0042】
第2検査領域TA2の下方に配置されているエアー吹き付け装置15は通過経路Gに開口した噴射ノズル15bを有する(図8及び図10参照)。この噴射ノズル15bへのエアー供給をオンオフする電磁弁15aへの駆動信号は、検査コントローラ7から出力される。つまり、エアー吹き付け装置15は、評価部70で不合格ペレット(例えば、樹脂処理過程で焼けて着色したペレットや、色の違うペレット等)と判定されたペレットがその噴射ノズル15bの前を通過するときに噴射ノズル15bからエアーを吹き付けて、当該ペレットを異常物回収部17の方に偏向させる。
【0043】
通過経路Gにおける、第2検査領域TA2とエアー吹き付け装置15との境界領域に、両側から通過経路Gの中心に向かって延びている傾斜庇状の反射板19(図8参照)が設けられている。この反射板19は、2つの機能を有している。その一つは、第1検査領域TA1と第2検査領域TA2から、特に第2検査領域TA2から下方に抜け出ようとする光を、その上面で反射させて、第2検査領域TA2に戻すことである。このため、反射板19の上面には白色のセラミックコートを施すことが好ましい。他の一つは、エアー吹き付け装置15の噴射ノズル15bの上方における通過経路Gの流れ断面積が小さくなること、つまりエアー吹き付け方向での通過幅を狭くなることで、不合格と判定されたペレットに効率的にエアーを吹き付けられることである。
【0044】
次に、この実施形態での粒状体検査装置の全体支持構造について説明する。
図7に示すように、脚部20を備えた底部21、底部21から立設された前部縦枠22、後部縦枠23、左右両側部においてそれらを連結する斜め方向の横枠24等により架台が構成されている。振動フィーダ13の振動発生器13Aは、取付部材を介して横枠24に支持されている。底部21上には、エアー吹き付け装置15に対してエアーを供給するための図示しないエアー供給源からのエアーの圧力を調整するための調圧装置AH等が設置されている。
【0045】
底部21の後部には箱状の支持台26が立設しており、この支持台26の前上端からの斜め上方に横枠25が延びて前部縦枠22に連結している。第1光学ユニット1A及び第2光学ユニット1Bを収納する収納ケース18は横枠25に支持されている。前部縦枠22の上部斜め部分を覆う前部カバー27には、操作パネル80が設置されている。後部カバー28の内側面には、検査コントローラ7や電源回路などが取り付けられている。装置内部の点検等を行うことができるように、前部カバー27及び後部カバー28は左右方向に開閉自在に構成されている。
【0046】
〔別実施形態〕(1)上記した実施形態では、第1正面照明ユニット4A及び第2正面照明ユニット4Bのライン照明モジュール41としてLEDリニアアレイモジュールが用いられていたが、照明用光源としてLED素子に代えて、蛍光灯等の他の種類の照明用のランプを用いて構成してもよい。
(2)上記した実施形態では、ライン照明モジュール41は、その照明光軸が通過経路Gに対して直交するように配置されていたが、照明光軸が湾曲状の拡散部材42の湾曲面の鉛直軸となるように配置してもよい。
(3)上記した実施形態では、分別機構SDとしてエアー吹き付け装置15が用いられていたが、揺動板のような方向切換機構によって分別してもよい。また、異常物を分別機構SDによって分別するのではなく、正常物を分別するような構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、樹脂ベレットを検査対象物とする粒状体検査装置の他、籾などの各種の粒状体を検査対象物とする粒状体検査装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1A:第1光学ユニット
1B:第2光学ユニット
13:振動フィーダ
SD:分別機構
15:エアー吹き付け装置
16:正常物回収部
17:異常物回収部
18:収納ケース
4A:第1正面照明ユニット
4B:第2正面照明ユニット
41:ライン照明モジュール(LEDリニアアレイモジュール)
42:拡散部材
43:スリット
44:ガラス板(光透過保護板)
46:光透過体
46a:分割処理膜
46b:反射防止膜
5A:第1背面照明ユニット
5B:第2背面照明ユニット
51:LEDリニアアレイモジュール
52:導光部材
53:面発光ユニット
54:ガラス板(光透過保護板)
54a:反射防止膜
6A:第1受光ユニット(撮影カメラ)
6B:第2受光ユニット(撮影カメラ)
7:検査コントローラ
70:評価部
71:正面光量調整回路
72:背面光量調整回路
OA1:第1受光ユニットの光軸
OA2:第2受光ユニットの光軸
TA1:第1検査領域
TA2:第2検査領域
G:通過経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11