特許第6478636号(P6478636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478636
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】フロート式逆流防止弁
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/04 20060101AFI20190225BHJP
   F16K 31/18 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   E03F7/04
   F16K31/18 C
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-595(P2015-595)
(22)【出願日】2015年1月6日
(65)【公開番号】特開2016-125276(P2016-125276A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 昌久
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−015171(JP,A)
【文献】 実開昭49−100241(JP,U)
【文献】 特開2014−214850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 7/04
F16K 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流に排水を行う排水系統中に配設されるフロート式逆流防止弁であって、
上下方向に連結され、前記排水系統の上流側と下流側とを連通する中空の第一収容部及び第二収容部と、
前記第一収容部の上面に配置され、上下方向に開口して前記排水系統の上流側と該第一収容部とを連通する第一環状弁座と、
前記第一収容部と前記第二収容部とを仕切り、該第一収容部と該第二収容部とを連通する連通孔を有する仕切部材と、
前記第二収容部の底面に配置され、上下方向に開口して該第二収容部と前記排水系統の下流側とを連通する第二環状弁座と、
前記第一収容部に上下方向に移動可能に収容され、該第一収容部内の水位上昇に伴って浮上して、前記第一環状弁座の開口に嵌合して該開口を閉じることで該第一環状弁座を閉栓し、また該第一収容部の水位低下に伴って降下して、該第一環状弁座の開口を開放することで該第一環状弁座を開栓する第一フロートと、
前記第二収容部に上下方向に移動可能に収容され、該第二収容部内の水位上昇に伴って浮上して、前記第二環状弁座の開口を開放することで該第二環状弁座を開栓し、また該第二収容部の水位低下に伴って降下して、該第二環状弁座の開口に嵌合して該開口を閉じることで該第二環状弁座を閉栓する第二フロートと、
を含むフロート式逆流防止弁。
【請求項2】
前記連通孔は、前記第一フロート及び前記第二フロートに閉栓されない位置に配置されている請求項1に記載のフロート式逆流防止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工場などの敷地内や建屋内で発生する排水を河川や海、公共排水施設などに排出する排水系統中に配設されるフロート式逆流防止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などの敷地内や建屋内で発生する排水(流体)を河川や海、公共排水施設などに排出する排水系統では、上流から下流への順方向に排水を行うべく、逆流(溢水)を防止するフロート式逆流防止弁が配設されている。
【0003】
フロート式逆流防止弁には、単一のフロートを使用する構成のもの(例えば、特許文献1参照)や、複数のフロートを使用する構成のもの(例えば、特許文献2参照)などの複数の種類がある。
【0004】
特許文献2に記載のフロート式逆流防止弁は、上下に連結配置された2つの収容部のそれぞれに1つのフロートが収容されている。各収容部のフロートは、それぞれが異なる機能を有している。
【0005】
上方の収容部のフロートは、上流から下流への順方向の排水の発生時に浮上により流通孔を開栓して下流側へ排水を導く。また、このフロートは、排水が発生していない状態では、降下により流通孔を閉じる。下方の収容部のフロートは、順方向とは逆方向の逆流水の発生時に浮上により流通孔を閉栓して上流への逆流を防止する。また、このフロートは、順方向の排水時及び排水の発生していない状態では、降下により流通孔を開栓する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−67588号公報
【特許文献2】実開昭49−100241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した2つのフロートを有するフロート式逆流防止弁は、順方向の排水の発生時、上方のフロートが浮上して流通孔を開栓するが、排水は上方のフロートに当接するように落下する。すなわち、排水は、浮上しようとしている上方のフロートに当接し、このフロートの浮上を阻害する。そのため、排水の流れが妨げられていた。
【0008】
本願は、排水によるフロートの浮上の阻害を低減することができるフロート式逆流防止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示する上流から下流に排水を行う排水系統中に配設されるフロート式逆流防止弁は、中空の第一収容部及び第二収容部、第一環状弁座、仕切部材、第二環状弁座、第一フロート、第二フロートを備える。第一収容部及び第二収容部は、上下方向に連結され、前記排水系統の上流側と下流側とを連通する。第一環状弁座は、前記第一収容部の上面に配置され、上下方向に開口して前記排水系統の上流側と該第一収容部とを連通する。仕切部材は、前記第一収容部と前記第二収容部とを仕切り、該第一収容部と該第二収容部とを連通する連通孔を有する。第二環状弁座は、前記第二収容部の底面に配置され、上下方向に開口して該第二収容部と前記排水系統の下流側とを連通する。第一フロートは、前記第一収容部に上下方向に移動可能に収容され、該第一収容部内の水位上昇に伴って浮上して、前記第一環状弁座の開口に嵌合して該開口を閉じることで該第一環状弁座を閉栓し、また該第一収容部の水位低下に伴って降下して、該第一環状弁座の開口を開放することで該第一環状弁座を開栓する。第二フロートは、前記第二収容部に上下方向に移動可能に収容され、該第二収容部内の水位上昇に伴って浮上して、前記第二環状弁座の開口を開放することで該第二環状弁座を開栓し、また該第二収容部の水位低下に伴って降下して、該第二環状弁座の開口に嵌合して該開口を閉じることで該第二環状弁座を閉栓する。
【0010】
前記連通孔は、前記第一フロート及び前記第二フロートに閉栓されない位置に配置されていてもよい。
【0011】
前記連通孔は、前記第二収容部への流体の流入方向が前記第二環状弁座から離間する方向となるように形成されていてもよい。
【0012】
前記連通孔は、前記第一収容部への流体の流入方向が前記第一フロートに近接する方向となるように形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本願に開示するフロート式逆流防止弁によれば、上下に連結された2つの収容部のそれぞれにフロートが収容される。排水系統の上流から下流への順方向の排水は、最初に上方の第一収容部に流入し、その後に下方の第二収容部に流入する。第二収容部に収容された第二フロートは、排水によって浮上して第二環状弁座を開栓する。そして、排水は、開栓された第二環状弁座の開口を通過して下流側に流出する。上記排水は、第一収容部に流入することで順方向(鉛直下方)の勢いが低減される。すなわち、第二フロートに到達する前の第一収容部で排水の順方向の勢いを低減させることができる。したがって、排水による第二フロートの浮上の阻害を低減させることができ、排水効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1に係る逆流防止弁の断面図である。
図2】第一環状弁座を第一フロート側から見た図である。
図3】仕切板を第一フロート側から見た図である。
図4】第二環状弁座を第二フロート側から見た図である。
図5】逆流防止弁の動作状態を示す説明図である。
図6】仕切板の拡大断面図である。
図7】実施例2に係る逆流防止弁の断面図である。
図8】実施例3に係る逆流防止弁の断面図である。
図9】実施例4に係る逆流防止弁の断面図である。
図10】実施例5に係る逆流防止弁の断面図である。
図11】その他の実施例に係る連通孔の形状を例示した仕切板の拡大断面図及び平面図である。
図12】その他の実施例に係る仕切板の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して本願に係るフロート式逆流防止弁(以下、逆流防止弁という)について説明する。なお、本願に開示する逆流防止弁の構成は、実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
第1 逆流防止弁1の構成
図1は、実施例1に係る逆流防止弁1の断面図である。図2は、逆流防止弁1の第一環状弁座15を第一フロート9A側から見た図である。図3は、逆流防止弁1の仕切板7を第一フロート9A側から見た図である。図4は、逆流防止弁1の第二環状弁座17を第二フロート9B側から見た図である。なお、図2図4では、説明の便宜上、フロート9A、9Bなどの一部構成の図示を省略する。
【0017】
図1に示すように、この実施例の逆流防止弁1は、建屋の床面2(上流)に発生する排水(流体)を河川や海など(下流)に排出する排水系統中に配設され、下流から床面2に逆流水(流体)が逆流してくるのを防止する(溢水防止)。排水系統は、床面2に形成された凹部H、凹部Hの底面から下方に延びる排水管3等から構成されている。逆流防止弁1は、この排水管3の上端部に配設されている。
【0018】
逆流防止弁1は、本体5、フロート収容部6、仕切板7、支持板8、第一フロート9A、第二フロート9B等を備えている。本体5は、上下方向に貫通した断面が円形状の上流口11を有する内面段付きの円環(穴あき円盤)形状を呈する。また、本体5(フランジ5A)は、溶接4によって凹部Hの底面に固定支持されている。
【0019】
フロート収容部6は、上面を有する円筒部材であり、上流口11と排水管3(下流口19)とを連通する。フロート収容部6は、2つの収容部(第一収容部20、第二収容部21)を有する。各収容部20、21には、フロート9A、9Bが収容される。フロート収容部6は、例えばステンレス鋼等の金属製である。また、フロート収容部6は、上面において4つのネジ12(図2参照)によって本体5の下面に固定支持される。フロート収容部6の上面は、内面段付きの環状構造を有し、内面段付き部10と本体5の下面とで第一環状弁座15を挟持する。すなわち、フロート収容部6の上面は、弁座押えとして機能し、第一環状弁座15を本体5の下面に押圧固定する。
【0020】
第一環状弁座15は、例えばゴム製であり、図2に示すように中央に連通開口15Aを有している。環状弁座15は、連通開口15Aを介して、上流口11と第一収容部20とを連通する。
【0021】
仕切板(仕切部材)7は、図3に示すように円板形状を呈し、フロート収容部6の内部側面に溶接によって固定支持される。仕切板7は、例えばステンレス鋼等の金属製である。仕切板7は、フロート収容部6を第一収容部20及び第二収容部21の2つに仕切る。また、仕切板7は、上面から下面に貫通する複数の連通孔16を有し、連通孔16を介して第一収容部20と第二収容部21とを連通する。連通孔16は、第一フロート9Aによって閉栓されない位置である仕切板7の周面側に形成されている。また、連通孔16は、図1に示すように、仕切板7の上面から下面に向かう貫通方向(孔方向)が、仕切板7の中心から離間する方向に傾斜している。
【0022】
支持板8は、図4に示すように環状構造を有し、フロート収容部6の下端の内面に溶接によって固定支持される。支持板8は、上面で環状弁座17を支持する。第二環状弁座17は、弁座押え18によって支持板8に押圧固定される。第二環状弁座17は、例えばゴム製であり、中央に連通開口17Aを有している。第二環状弁座17は、連通開口17Aを介して、上流側の収容部21と下流側の排水管3とを連通する。弁座押え18は、図4に示すように環状構造を有し、4つのネジ13によって支持板8に固定されている。
【0023】
フロート9A、9Bは、ステンレス鋼等の金属で形成され、図1に示すように同一の中空の球形状を呈する。フロート9A、9Bは、排水よりも比重が軽く形成され、収容部20、21内(排水系統中)の水位変化に伴って収容部20、21内を上下方向に移動(浮上及び降下)する。第一フロート9Aは、浮上によって連通開口15Aに嵌合し、第一環状弁座15を閉栓する。第二フロート9Bは、降下によって連通開口17Aに嵌合し、第二環状弁座17を閉栓する。
【0024】
第2 フロート9A、9Bの動作
図5(A)は、平常時に上流から下流(順方向)に排水が流れてきた際の逆流防止弁1の動作状態を示す説明図であり、図5(B)は、逆流時に下流から上流(逆方向)に逆流水が流れてきた際の逆流防止弁1の動作状態を示す説明図である。図5(A)の点線で示す矢印は、順方向に流れる排水の流れを例示している。また、図5(B)は、収容部20、21内が逆流水に満たされた状態を示している。
【0025】
平常時においては、排水管3内の水位は、一般的に支持板8の配置位置よりも低いので、排水が生じない場合、フロート9A、9Bは、自重などによって図1に示すように降下した状態となる。すなわち、第一フロート9Aは、仕切板7に載った(着地した)状態にあり、第二フロート9Bは、連通開口17Aに嵌合した状態である。したがって、第一環状弁座15は開栓され、第二環状弁座17は閉栓される。
【0026】
平常時において、順方向の排水が生じた場合、排水は上流口11及び連通開口15Aを通過して第一収容部20に流入する。その後、排水は、連通孔16を通過して第二収容部21に流入する。第一フロート9Aは、図5(A)に示すように仕切板7に着地した状態、又は、流入してきた排水の当接等によって動作する状態となる。なお、平常時において、第一収容部20の水位は、基本的に第一フロート9Aが第一環状弁座17を閉栓する程度に上昇しないため、第一フロート9Aは第一環状弁座17を閉栓しない。
【0027】
第二収容部21に流入した排水は、第二フロート9Bが第二環状弁座17を閉栓しているので、第二収容部21内に貯留される。そして、第二収容部21の水位が上昇していくので、第二フロート9Bは、例えば、図5(A)に示すように下部略半分が水没した状態で浮力によって浮上する。これにより、第二環状弁座17が開栓され、第二収容部21に貯留されていた排水は、連通開口17Aを通過して下流口19に流出し、最終的に河川等に排出される。そして、第二収容部21の水位も低下して第二フロート9Bは再び第二環状弁座17に着座する。これにより、第二環状弁座17は再び閉栓される。このように、第二フロート9Bは、順方向の排水が生じた際に浮上して第二環状弁座17を開栓する。
【0028】
一方、逆流時において、排水管3内の水位は下流側からフロート収容部6に向かって上昇するので、逆流水は、下流口19から第二環状弁座17に到達する。そして、第二フロート9Bは、図5(B)に示すように、上昇してきた排水に押し上げられる(浮上する)。これにより、第二環状弁座17は開栓され、逆流水が下流口19から連通開口17Aを通過して第二収容部21に流入する。そして、第二収容部21の水位が上昇していくことで、逆流水は、連通孔16を通過して第一収容部20に流入する。
【0029】
逆流水によって第一収容部20の水位が上昇していくことで、第一フロート9Aは、例えば、下部略半分が水没した状態で浮力によって浮上し始める。そして、第一収容部20の水位がさらに上昇していくと、第一フロート9Aは、さらに上昇して図5(B)に示すように連通開口15Aと嵌合し、第一環状弁座15を閉栓する。
【0030】
これにより、逆流水が第一環状弁座15よりも上流の床面2などに溢れ出すことを確実に防止することができる。なお、フロート9A、9Bは、精密な球形状でなくてもよく、第一環状弁座15及び第二環状弁座17を閉栓できる程度の略球形状であればよい。また、フロート9A、9Bは、同一形状でなくてもよい。
【0031】
第3 連通孔16における排水及び逆流水の動作
図6は、仕切板7の拡大断面図である。連通孔16は、前述したように貫通方向が仕切板7の中心から離間する方向に傾斜している。そのため、平常時の順方向の排水は、連通孔16を通過する際、矢印W1に示すように第二収容部21の内部側面に当接する方向で第二収容部21に流入する。すなわち、排水は、第二フロート9B(第二環状弁座17)から離間する方向で第二収容部21に流入する。したがって、排水は直接的に第二フロート9Bに当接しないので、第二フロート9Bの浮上が、第二収容部21に流入する排水の当接によって妨げられることが防止される。
【0032】
また、逆流時の逆流方向の逆流水は、連通孔16を通過する際、矢印W2に示すように第一フロート9Aに近接する方向で第一収容部20に流入する。これにより、逆流水は、直接的に第一フロート9Aに当接し、第一フロート9Aを上方に押し上げる方向に付勢する。
【0033】
以上のように、上下に連結された2つの収容部20、21のそれぞれにフロート9A、9Bが収容される。排水系統の上流から下流への順方向の排水は、最初に上方の第一収容部20に流入し、その後に下方の第二収容部21に流入する。第二収容部21に収容された第二フロート9Bは、排水によって浮上して第二環状弁座を開栓する。そして、排水は、開栓された第二環状弁座の開口を通過して下流に流出する。上記排水は、第一収容部20に流入することで順方向(鉛直下方)の勢いが低減される。すなわち、第二フロート9Bに到達する前の第一収容部20で排水の順方向の勢いを低減させることができる。したがって、排水による第二フロート9Bの浮上の阻害を低減させることができ、排水効率を向上させることができる。
【0034】
また、前述したように、貫通孔16の貫通方向が仕切板7の中心から離間する方向に傾斜しているので、通常時、第二フロート9Bの浮上が、第二収容部21に流入する排水の当接によって妨げられることを防止できる。したがって、より効率的に排水の排出を行うことができる。さらに、逆流時、逆流水の第一フロート9Aへの当接によって、第一フロート9Aを上方に押し上げる方向に付勢するので、より素早く第一環状弁座15を閉栓することができる。
【実施例2】
【0035】
この実施例は、フロート収容部の構成において前述の実施例1と異なる。この異なる構成について図7を用いて説明する。その他の構成については実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0036】
図7は、実施例2に係る逆流防止弁100の断面図である。この実施例では、フロート収容部60が、別体の円筒部材61、62で構成されている。円筒部材61は、収容部20を形成し、実施例1と同様に上面において第一環状弁座15とともに本体5の下端に固定支持される。また、円筒部材61は、下端外周にフランジ61Aが形成されている。
【0037】
円筒部材62は、収容部21を形成し、実施例1と同様に下端において第二環状弁座17が配設された支持板8を支持する。また、円筒部材62は、上端外周にフランジ62Aが形成されている。フランジ62Aは、仕切板70を挟持した状態で円筒部材61のフランジ61Aに図示しないボルト及びナットで固定支持される。仕切板70は、実施例1と同形状の連通孔16を有する。
【実施例3】
【0038】
この実施例は、逆流防止弁が2つの排水管の間に設けられる構成において前述の実施例1と異なる。この異なる構成について図8を用いて説明する。その他の構成については実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0039】
図8は、この発明の実施例3に係る逆流防止弁101の断面図である。逆流防止弁101の本体50は、外周の一部に雄ネジ50aを有している。この雄ネジ50aが排水管30の内周の一部に形成された雌ネジ30aとねじ結合することで、逆流防止弁101が排水管30に取り付けられた状態となる。また、本体50の上端には、図示しない上流側の排水管が排水管30と同様にねじ結合により接続される。
【実施例4】
【0040】
この実施例は、逆流防止弁が2つの排水管の間に設けられる構成において前述の実施例1と異なる。また、取付具を用いて2つの排水管の間に設けられる構成において前述の実施例3と異なる。この異なる構成について図9を用いて説明する。その他の構成については実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0041】
図9は、この発明の実施例4に係る逆流防止弁102の断面図である。逆流防止弁102の本体51は、排水管31から突出した上端外周が取付具400とねじ結合している。取付具400は、略円筒形状であり、内周に設けられた雌ネジ400aが排水管31の端部の外周に設けられた雄ネジ31aにねじ結合している。これにより、取付具400を介して逆流防止弁102が排水管31に取り付けられた状態となる。また、取付具400の上端には図示しない上流側の排水管が、取付具400に外嵌するようにねじ結合する。
【実施例5】
【0042】
この実施例は、逆流防止弁が2つの排水管の間に設けられる構成において前述の実施例1と異なる。また、フランジを用いて2つの排水管の間に設けられる構成において前述の実施例3及び実施例4と異なる。この異なる構成について図10を用いて説明する。その他の構成については実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0043】
図10は、この発明の実施例5に係る逆流防止弁103の断面図である。逆流防止弁103の本体52は、上端にフランジ52bを有している。このフランジ52bが排水管32の端部の外周に設けられたフランジ32bにボルト450により固定されることで、逆流防止弁103が排水管32に取り付けられた状態となる。また、本体52の上端には、図示しない上流側の排水管が排水管32と同様にフランジ52bに固定される。
【0044】
[その他の実施例]
前述の各実施例では、仕切板に形成された連通孔の貫通方向が仕切板の中心から離間する方向に傾斜しているが、特にこれに限定されるものではない。第一収容部に流入することで排水の勢いは低減されるので、少なくとも第一収容部と第二収容部との間で流体が移動できる構成であれば、連通孔の貫通方向はいずれであってもよい。例えば、連通孔を図11(A)〜(D)に示す形状としてもよい。
【0045】
図11(A)に示す連通孔161は、平面視が正方形で仕切板71の中心に形成されている。連通孔161は、正方形の一辺が第一フロートの径よりも短く、また第一フロートが着座した状態であっても隙間が形成される。排水は、上記隙間を通過することができる。
【0046】
図11(B)に示す連通孔162は、貫通方向が上下方向(鉛直方向)の貫通孔162Aと、仕切板72の中心から離間する方向に傾斜した貫通孔162Bとで形成されている。また、図11(C)に示す連通孔163は、貫通方向が上下方向で仕切板73の円周面に沿って形成されている。これら連通孔162、163によっても、第一収容部からの排水を第二フロート(第二環状弁座)から離間する方向で第二収容部に流入させることができる。なお、連通孔の配置位置及び配置数も前述の実施例に限定されず、流量などを考慮して任意に設定可能である。
【0047】
また、前述の各実施例の仕切板は、上面及び下面が平面であるが、特にこれに限定されるものではない。例えば、図12に示すような断面が円弧形状の凹部250、251を有する仕切板74であってもよい。凹部250では、降下した第一フロートが着座可能である。また、凹部251では、浮上した第二フロートが着座可能である。
【0048】
さらに、前述の各実施例の仕切板は、降下した第一フロートを支持する状態となるが、第一フロートを支持しなくてもよい。例えば、仕切板の上方に第一フロートを支持する支持部材を別途設けるようにしてもよい。
【0049】
また、前述の各実施例では、仕切板を用いて第一収容部と第二収容部とに仕切っているが、第一収容部と第二収容部とに仕切ることができる仕切部材であれば、いずれの構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本願は、フロート式逆流防止弁において排水によるフロートの浮上の阻害を低減するのに有用である。また、例えば、工場などの敷地内や建屋内で発生する排水を河川や海、公共排水施設などに排出したり、一般家庭などで浴槽や洗面所などで使用した水を公共排水施設などに排水したりする排水系統などを施工、販売、運用する産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1、100〜103 フロート式逆流防止弁
5、50、51、52 本体
3 排水管
6、60 フロート収容部
7、70〜74 仕切板
8 支持板
9A 第一フロート
9B 第二フロート
15 第一環状弁座
16、161〜163 連通孔
17 第二環状弁座
20 第一収容部
21 第二収容部
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