(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478761
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】処理装置および有機性排水の処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 33/17 20060101AFI20190225BHJP
B01D 33/00 20060101ALI20190225BHJP
B01D 37/04 20060101ALI20190225BHJP
C02F 3/12 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
B01D33/24
B01D33/00 B
B01D37/04
C02F3/12 S
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-67817(P2015-67817)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-187760(P2016-187760A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 曜次朗
(72)【発明者】
【氏名】岡島 康信
【審査官】
小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−152730(JP,A)
【文献】
特表2011−515206(JP,A)
【文献】
特開2001−38178(JP,A)
【文献】
国際公開第98/006474(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 37/00−37/04,33/15
C02F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液を貯留する処理槽と、処理槽内の被処理液に浸漬して配置される固液分離装置とを有する処理装置であって、
固液分離装置は、少なくとも一方の面に複数の溝又は凹凸が形成された環状のディスクを複数枚積み重ねた積層体と、積層体の内部中心部に設けられた集液部と、被処理液が積層体の外周面からディスク間を通過することにより固液分離されて集液部に流入した濾液を積層体の外部へ取り出す濾液取出手段とを有し、
固液分離運転中に積層体の外周面に付着した被処理液中の固形分の堆積層の厚みを調整する厚み調整手段が備えられ、
厚み調整手段は積層体をディスクの積層方向における軸周りに回転させる回転駆動装置であり、
回転駆動装置は集液部に流入した濾液の流れを駆動源とする螺旋状のスクリューからなり、
スクリューは集液部に取付けられていることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
少なくとも一方の面に複数の溝又は凹凸が形成された環状のディスクを複数枚積み重ねた積層体を、有機性排水と活性汚泥の混合液中に浸漬し、
回転駆動装置によって積層体をディスクの積層方向における軸周りに回転させることにより、積層体の外周面に付着した汚泥の堆積層の厚みを調整しながら、
混合液が積層体の外周面からディスク間を通過することにより固液分離されて積層体の内部に流入した濾液を積層体の外部へ取り出す有機性排水の処理方法であって、
回転駆動装置は積層体の内部中心部に設けられた集液部に流入した濾液の流れを駆動源とする螺旋状のスクリューからなり、
スクリューを集液部に取付けたことを特徴とする有機性排水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性汚泥処理等に使用される処理装置および有機性排水の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活性汚泥処理等において固液分離を行う場合、その方法の一つとしてダイナミック濾過法がある。このダイナミック濾過法は、被処理液中の濁質分を凝集してフロック化させ、このフロック化した濁質分を濾過膜の表面に堆積させて堆積層(所謂、ダイナミック濾過層)を形成し、この堆積層を濾過体として利用して水と濁質分とを分離するものである。このようなダイナミック濾過法は主に平膜型の固液分離装置に用いられている。
【0003】
また、平膜型以外の固液分離装置としては、ディスクフィルターが挙げられる。例えば
図9に示すように、ディスクフィルター101は濾過タンク102内に濾過フィルタ103を備えたものであり、濾過フィルタ103は複数の環状のディスク104を積層した積層体からなる。濾過フィルタ103の内部中心部には中心管路105が形成されている。
【0004】
これによると、流入口106から濾過タンク102内に供給された被処理液107は、濾過フィルタ103の外周面からディスク104間を通過することにより固液分離され、濾液108として中心管路105に流入し、中心管路105から流通管109を流れて外部の貯留タンクに回収される。
【0005】
尚、上記のようなディスクフィルター101は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4291565号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなディスクフィルター101を用いてダイナミック濾過を行う場合、濾過フィルタ103の外周面に付着した固形分の堆積層111を濾過体として利用するのであるが、次第に堆積層111の厚みが増大するとともに堆積層111が目詰りを起し、濾過抵抗が大きくなって濾過に支障が出るといった問題がある。
【0008】
本発明は、複数のディスクを積み重ねた積層体を有する固液分離装置を用いて、ダイナミック濾過を支障なく行うことが可能な処理装置および有機性排水の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、被処理液を貯留する処理槽と、処理槽内の被処理液に浸漬して配置される固液分離装置とを有する処理装置であって、
固液分離装置は、少なくとも一方の面に複数の溝又は凹凸が形成された環状のディスクを複数枚積み重ねた積層体と、積層体の内部中心部に設けられた集液部と、被処理液が積層体の外周面からディスク間を通過することにより固液分離されて集液部に流入した濾液を積層体の外部へ取り出す濾液取出手段とを有し、
固液分離運転中に積層体の外周面に付着した被処理液中の固形分の堆積層の厚みを調整する厚み調整手段が備えられ
、
厚み調整手段は積層体をディスクの積層方向における軸周りに回転させる回転駆動装置であり、
回転駆動装置は集液部に流入した濾液の流れを駆動源とする螺旋状のスクリューからなり、
スクリューは集液部に取付けられているものである。
【0010】
これによると、被処理液は、積層体の外周面からディスク間を通過することにより固液分離され、濾液として集液部に流入した後、集液部から積層体の外部に取り出される。このような固液分離運転中において、被処理液中の固形分が積層体の外周面に付着して堆積し、積層体の外周面に堆積層(所謂、ダイナミック濾過層)が形成される。この堆積層を被処理液が通過することにより、堆積層を濾過体として利用するダイナミック濾過が
行われる。
【0012】
この際、回転駆動装置で積層体を回転させることにより、積層体の外周面に形成された堆積層も積層体と共に回転しようとする。これに対して堆積層の周辺の被処理液は積層体の回転に追従しないため、堆積層と堆積層の周辺の被処理液との間に相対的な速度差が生じ、見かけ上、堆積層の表面に被処理液の流れが形成された様になり、堆積層の一部が剥離して堆積層の厚みが減少する。この際、積層体の回転速度を調節することにより、堆積層の厚みを調整することができる。
このため、堆積層の厚みをダイナミック濾過に適した厚みに保つことができ、ダイナミック濾過を支障なく行うことができる。
【0013】
また、駆動源に電力を使用しないため、節電が可能である。
【0014】
本第
2発明は、少なくとも一方の面に複数の溝又は凹凸が形成された環状のディスクを複数枚積み重ねた積層体を、有機性排水と活性汚泥の混合液中に浸漬し、
回転駆動装置によって積層体をディスクの積層方向における軸周りに回転させることにより、積層体の外周面に付着した汚泥の堆積層の厚みを調整しながら、
混合液が積層体の外周面からディスク間を通過することにより固液分離されて積層体の内部に流入した濾液を積層体の外部へ取り出す
有機性排水の処理方法であって、
回転駆動装置は積層体の内部中心部に設けられた集液部に流入した濾液の流れを駆動源とする螺旋状のスクリューからなり、
スクリューを集液部に取付けたものである。
【0015】
これによると、混合液は、積層体の外周面に付着した堆積層を通過し、積層体の外周面からディスク間を通過することにより固液分離され、濾液として積層体の内部に流入した後、積層体の外部へ取り出される。
【0016】
これにより、堆積層を濾過体として利用するダイナミック濾過が行われ、この際、堆積層の厚みを調整することにより、堆積層の厚みが過剰に増大するのを防止することができ、ダイナミック濾過を支障なく行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によると、固液分離運転中において、積層体の外周面に形成された堆積層を濾過体として利用するダイナミック濾過が行われ、この際、堆積層の厚みを調整することにより、堆積層の厚みが過剰に増大するのを防止し、堆積層の厚みをダイナミック濾過に適した厚みに保つことができ、ダイナミック濾過を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における処理装置の斜視図である。
【
図2】同、処理装置の固液分離装置の断面図である。
【
図4】同、処理装置の固液分離装置の積層体の外周部分の拡大断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態における処理装置の固液分離装置の断面図である。
【
図7】本発明の第3の実施の形態における処理装置の斜視図である。
【
図8】同、処理装置の固液分離装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1〜
図3に示すように、1は有機性排水を活性汚泥中で生物処理する処理装置である。この処理装置1は、有機性排水と活性汚泥の混合液2(被処理液の一例)を貯留する処理槽3と、処理槽3内の混合液2に浸漬して配置される固液分離装置4とを備えている。
【0022】
固液分離装置4は、環状のディスク6を複数枚積み重ねた積層体7と、積層体7を拘束する拘束手段13と、積層体7の内部中心部に設けられた集液部8と、濾液9を集液部8から積層体7の外部上方へ取り出す濾液取出手段10と、積層体7を上下方向(ディスク6の積層方向の一例)における軸17の周りに回転自在に保持する保持手段11と、積層体7を回転させる回転駆動装置14とを有している。
【0023】
ディスク6は、中心部に貫通孔を有するドーナッツ型の薄い部材であり、少なくとも表裏いずれか一方の面に多数の微小な溝16(又は凹凸)が形成されている。これらの溝16(又は凹凸)はディスク6の外周側から内周側に向かう流体の流路を構成する。
【0024】
拘束手段13は上部拘束部材19と下部拘束部材20とを有している。上部拘束部材19は、円盤状の上部拘束板21と、上部拘束板21の中心部から下向きに突出した第1接続管部22と、上部拘束板21の中心部から上向きに突出した第2接続管部23とを有している。尚、第1接続管部22には雄ねじが形成され、第2接続管部23には雌ねじが形成されている。
【0025】
下部拘束部材20は、円盤状の下部拘束板25と、下部拘束板25の中心部に立設された集液管部26とを有している。集液管部26には、内外周に貫通する複数の貫通孔27が形成され、集液管部26の上端部には雌ねじが形成され、集液部8は集液管部26内に形成されている。集液管部26は各ディスク6の中心部の貫通孔に下方から挿入され、第1接続管部22の雄ねじと集液管部26の雌ねじとが締結することにより、上部拘束部材19と下部拘束部材20とが結合し、各ディスク6が上部拘束板21と下部拘束板25との間に挟まれて拘束されている。
【0026】
濾液取出手段10は、濾液取出管30と、濾液取出管30の上端部に設けられたフランジ部31と、濾液取出管30の下端部に設けられた雄ねじとを有している。濾液取出管30の雄ねじと第2接続管部23の雌ねじとが締結することにより、濾液取出手段10と上部拘束部材19とが結合している。
【0027】
尚、濾液取出管30には、濾液取出管30の雄ねじと第2接続管部23の雌ねじとの締結部分が緩むのを防止するための緩み止め32が設けられている。
保持手段11は、上下一対のベアリング37,38およびシール用軸受39を内蔵したハウジング34と、ハウジング34から両外側方へ張り出した取付板35とを有している。濾液取出管30のフランジ部31が、ハウジング34内に収容され、両ベアリング37,38によって回転自在に支持されている。
【0028】
ハウジング34の上部には、濾液9を排出する濾液排出管路41が接続され、濾液排出管路41には吸引ポンプ42が設けられている。濾液排出管路41と集液部8とは第1および第2接続管部22,23と濾液取出管30とハウジング34とを介して連通している。
【0029】
回転駆動装置14は、固液分離運転中に積層体7の外周面に付着した混合液2中の固形分の堆積層12の厚みTを調整する厚み調整手段の一例であり、取付板35に設けられた電動機45と、電動機45によって回転駆動する駆動歯車46と、濾液取出管30に設けられ且つ駆動歯車46に歯合した従動歯車47とを有している。
【0030】
処理槽3の上端には、二本(又は複数本)の据付部材49が設けられ、両取付板35が上方から両据付部材49に支持されてボルト,ナット50等の連結具で据付部材49に固定されている。これにより、固液分離装置4が処理槽3の上部に取り付けられ、積層体7は、濾液取出手段10を介して保持手段11に吊り下げられた状態で、混合液2に浸漬されている。
【0031】
以下、上記構成による作用を説明する。
吸引ポンプ42を駆動することにより、積層体7内の集液部8に吸引圧(負圧)が作用し、処理槽3内の混合液2は、積層体7の外周面からディスク6の溝16(又は凹凸)を流れてディスク6間を通過し、固液分離されて、濾液9として集液部8に流入する。このようにして集液部8に集められた濾液9は、濾液取出管30内を流れ、ハウジング34内を経て、濾液排出管路41に排出される。
【0032】
このような固液分離運転中において、
図4に示すように、混合液2中のフロック51等(固形分)が積層体7の外周面に付着して堆積し、積層体7の外周面に堆積層12(所謂、ダイナミック濾過層)が形成される。この堆積層12を混合液2が外側から内側に通過して積層体7の外周面に至ることにより、堆積層12を濾過体として利用するダイナミック濾過が行われる。
【0033】
上記のようなダイナミック濾過において、回転駆動装置14の電動機45を駆動することにより、回転力が駆動歯車46および従動歯車47を介して濾液取出管30に伝達され、濾液取出管30と共に積層体7が軸17を中心に一方向へ回転し、これにより、積層体7の外周面に形成された堆積層12も積層体7と共に回転しようとする。これに対して堆積層12の周辺の混合液2は積層体7の回転に追従しないため、堆積層12と堆積層12の周辺の混合液2との間に相対的な速度差が生じ、見かけ上、堆積層12の表面に混合液2の流れが形成された様になり、堆積層12の外周部(一部)が剥離して堆積層12の厚みTが減少する。この際、積層体7を所定の回転速度で回転した場合、堆積層12の厚みTはほぼ所定の厚みに保たれる。また、電動機45の回転数を変えて、積層体7の回転速度を所定速度よりも速くすると、堆積層12の厚みTが所定の厚みよりも薄くなり、積層体7の回転速度を所定速度よりも遅くすると、堆積層12の厚みTが所定の厚みよりも厚くなる。
【0034】
このように、積層体7の回転速度を調節することにより、堆積層12の厚みTを調整することができ、これにより、堆積層12の厚みTをダイナミック濾過に適した厚みに保つことができ、ダイナミック濾過を支障なく行うことができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、厚み調整手段の一例として、
図2に示すように、電動機45を備えた回転駆動装置14を示したが、第2の実施の形態では、電動機45を用いず、
図5,
図6に示すように、回転駆動装置55は集液部8に流入した濾液9の流れを駆動源としている。
【0036】
すなわち、回転駆動装置55は螺旋状のスクリュー56からなり、このスクリュー56は集液管部26の内部に集液管部26と一体的に取り付けられている。
以下、上記構成による作用を説明する。
【0037】
吸引ポンプ42を駆動することにより、積層体7内の集液部8に吸引圧(負圧)が作用し、処理槽3内の混合液2は、積層体7の外周面からディスク6の溝16(又は凹凸)を流れてディスク6間を通過し、固液分離されて、濾液9として集液部8に流入する。このようにして集液部8に集められた濾液9は、集液部8から濾液取出管30内を流れ、ハウジング34内を経て、濾液排出管路41に排出される。
【0038】
上記のように濾液9が集液部8を下から上へ流れる際にスクリュー56を通過するため、スクリュー56に回転力が発生し、スクリュー56と共に積層体7が軸17を中心に一方向へ回転する。
【0039】
この際、積層体7を所定の回転速度で回転した場合、堆積層12の厚みTはほぼ所定の厚みに保たれる。また、吸引ポンプ42の回転数を所定の回転数より上げると、集液部8を流れる濾液9の流量が増えて、積層体7の回転速度が所定速度よりも速くなり、堆積層12の厚みTが所定の厚みよりも薄くなる。また、吸引ポンプ42の回転数を所定の回転数より下げると、集液部8を流れる濾液9の流量が減って、積層体7の回転速度が所定速度よりも遅くなり、堆積層12の厚みTが所定の厚みよりも厚くなる。
【0040】
このように、積層体7の回転速度を調節することにより、堆積層12の厚みTを調整することができ、これにより、堆積層12の厚みTをダイナミック濾過に適した厚みに保つことができ、ダイナミック濾過を支障なく行うことができる。
【0041】
また、第1の実施の形態で示したような電動機45を用いずに、積層体7を回転させることができるため、節電が可能である。
(第3の実施の形態)
先述した第1および第2の実施の形態では、厚み調整手段の一例として、
図2,
図5に示すように回転駆動装置14,55を用いたものを示したが、第3の実施の形態では、
図7,
図8に示すように、厚み調整手段の別の例として、散気装置61を用いている。
【0042】
散気装置61は処理槽3内において積層体7の下方に設置されている。散気装置61には給気管62を介してブロワ装置63が接続されている。
また、固液分離装置4は、積層体7と、拘束手段13と、集液部8と、濾液取出手段10と、取付部材65とを有している。取付部材65は濾液取出手段10の濾液取出管30の上部に設けられている。また、濾液取出管30の上端には、継手66を介して、濾液排出管路41が接続されている。
【0043】
取付部材65は上方から両据付部材49に支持されてボルト,ナット50等の連結具で据付部材49に固定されている。これにより、固液分離装置4が処理槽3の上部に取り付けられ、積層体7は、濾液取出手段10を介して取付部材65に吊り下げられた状態で、混合液2に浸漬されている。
【0044】
以下、上記構成による作用を説明する。
吸引ポンプ42を駆動することにより、積層体7内の集液部8に吸引圧(負圧)が作用し、処理槽3内の混合液2は、積層体7の外周面からディスク6の溝16(又は凹凸)を流れてディスク6間を通過し、固液分離されて、濾液9として集液部8に流入する。このようにして集液部8に集められた濾液9は、集液部8から濾液取出管30内を流れ、濾液排出管路41に排出される。
【0045】
この際、ブロワ装置63を駆動し、散気装置61に給気することにより、散気装置61から散気が行われる。散気装置61から放出された多数の気泡67が処理槽3内の混合液2中を上昇し、混合液2中に気液混相の上向流68が生起される。この上向流68が積層体7の外周面に形成された堆積層12に下方から当接することにより、堆積層12の外周部(一部)が剥離して堆積層12の厚みが減少する。この際、所定の散気量(散気装置61から放出される空気の量)で散気を行った場合、堆積層12の厚みTはほぼ所定の厚みに保たれる。また、ブロワ装置63により散気量を所定量よりも増やすと、堆積層12の厚みTが所定の厚みよりも薄くなり、散気量を所定量よりも減らすと、堆積層12の厚みTが所定の厚みよりも厚くなる。
【0046】
このように、ブロワ装置63で散気量を調節することにより、堆積層12の厚みTを調整することができ、これにより、堆積層12の厚みTをダイナミック濾過に適した厚みに保つことができ、ダイナミック濾過を支障なく行うことができる。
【0047】
上記第3の実施の形態では、積層体7の下方に配置された散気装置61からの散気により発生する上向流68を利用して堆積層12の厚みTを調整しているが、散気装置61を積層体7の側方に配置し、散気装置61からの散気により発生する上向流68が混合液2の液面付近で反転して生起される下向流を利用して堆積層12の厚みTを調整してもよい。この場合、上記下向流が積層体7の外周面の堆積層12に上方から当接することにより、堆積層12の厚みTが調整される。
【0048】
上記各実施の形態では、固液分離運転中に各厚み調整手段(回転駆動装置14,55、散気装置61)を常時稼働させているが、各厚み調整手段を間欠的に稼働させたり、積層体7の目詰り等を検知した時に稼働させるようにしてもよい。
【0049】
上記各実施の形態では、一台の処理槽3に三台の固液分離装置4を備えたが、固液分離装置4を単数台又は三台以外の複数台備えてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 処理装置
2 混合液(被処理液)
3 処理槽
4 固液分離装置
6 ディスク
7 積層体
8 集液部
9 濾液
10 濾液取出手段
12 堆積層
14,55 回転駆動装置(厚み調整手段)
16 溝
17 軸
61 散気装置(厚み調整手段)
68 上向流
T 堆積層の厚み