【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1特徴構成は冷却装置に係り、その特徴は、
圧縮機と、その圧縮機から吐出される気相冷媒を凝縮させる凝縮器とを備えるコンデンシングユニットを複数備え、
膨張弁と、その膨張弁を通過した液相冷媒を蒸発させる冷却用蒸発器とを直列に接続した蒸発器側の直列接続組に対して、複数の前記コンデンシングユニットを並列に接続した冷却装置であって、
前記コンデンシングユニットの並列接続組における冷媒入口部には、それら複数のコンデンシングユニットに対する共通のアキュムレータを設け、
この共通アキュムレータから前記コンデンシングユニットの各々における前記圧縮機に冷凍機油を戻す並列配置の返油路を設けるとともに、これら返油路の各々を開閉する返油弁を設け、
前記コンデンシングユニットの各々における冷凍機油の油溜まり部に、そこに溜まった冷凍機油の油位を検出するコンデンシングユニット側の油位センサを設け、
これらコンデンシングユニット側の油位センサの検出情報に基づいて前記返油弁の各々を開閉操作する返油制御手段を設け
、
前記共通アキュムレータに溜まった冷凍機油の油位を検出する共通アキュムレータ側の油位センサを設け、
前記返油制御手段は、前記コンデンシングユニット側の油位センサのうち少なくとも1つの油位センサによる検出油位が設定最低位以下になり、かつ、前記共通アキュムレータ側の油位センサによる検出油位が設定最低位以下になったとき、冷凍機油異常の警報を発信する又は装置運転を緊急停止する構成にしてある点にある。
【0016】
この第1特徴構成の冷却装置であれば(
図1参照)、全ての返油弁13が常開の場合では共通アキュムレータ4から冷凍機油oが並列配置の返油路12を通じて複数のコンデンシングユニット3に偏った状態で不均等に戻る状況にあるとしても、各コンデンシングユニット3に装備したコンデンシングユニット側の油位センサ16の検出情報に基づいて返油弁13の各々を開閉操作するから、共通アキュムレータ4における冷凍機油oを複数のコンデンシングユニット3に対して適切に戻すことができる。
【0017】
したがって、いずれかのコンデンシングユニット3で冷凍機油oの枯渇が生じて圧縮機8の破損を招くことを確実に防止することができる。
【0018】
そして、このことで、冷凍回路Cを共通化した冷却装置の実用化が可能になり、コンデンシングユニット3ごとに個別の冷凍回路Cを形成する
図4に示す如き従来の冷却装置に比べ、冷媒配管を簡素にして、冷却装置の装置コストや施工コストを安価にすることができる。
【0019】
また、コンデンシングユニット3の運転台数を変更することで、冷却用蒸発器1夫々の冷却出力を均等に変化させる形態を採りながら装置全体としての冷却出力を大きな範囲にわたって調整することも可能な冷却装置にすることができる。
【0020】
さらに、一部のコンデンシングユニット3を運転停止して点検補修している間にも、他のコンデンシング3を運転することで冷却用蒸発器1の夫々を継続的に冷却作用させるバックアップ機能も備える冷却装置にすることができる。
【0021】
そして、上記の第1特徴構成では、
前記共通アキュムレータに溜まった冷凍機油の油位を検出する共通アキュムレータ側の油位センサを設け、
前記返油制御手段は、前記コンデンシングユニット側の油位センサのうち少なくとも1つの油位センサによる検出油位が設定最低位以下になり、かつ、前記共通アキュムレータ側の油位センサによる検出油位が設定最低位以下になったとき、冷凍機油異常の警報を発信する又は装置運転を緊急停止する構成にしてある
から、次の作用効果も奏する。
【0022】
つまり、(
図1参照)、コンデンシングユニット側の油位センサ16のうち少なくとも1つの油位センサ16による検出油位aが設定最低位ak以下になり、かつ、共通アキュムレータ側の油位センサ17による検出油位bが設定最低位bk以下になったとき、即ち、いずれかのコンデンシングユニット3において冷凍機油oの枯渇が生じる状況になったにもかかわらず、そのコンデンシングユニット3に対する共通アキュムレータ4からの冷凍機油oの返油もできない状態になったときには、冷凍機油異常の警報が発信されるから、又は、装置運転が緊急停止されるから、冷凍機油oの枯渇による圧縮機8の破損を一層確実に防止することができる。
【0023】
本発明の
第2特徴構成は、
第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記返油制御手段は、前記冷凍機油異常の警報を発信した後、又は、前記装置運転を緊急停止した後、復旧運転の開始指令を受けると、冷媒経路に介装した弁の開度を所定開度に固定するとともに圧縮機出力を所定出力に固定した状態で前記コンデンシングユニットにおける前記圧縮機を運転する復旧運転を実行する構成にしてある点にある。
【0024】
この
第2特徴構成によれば(
図1参照)、冷却用蒸発器1などで滞留する冷凍機油oを上記復旧運転により強制的に共通アキュムレータ4や各コンデンシングユニット3に戻すことができ、これにより、冷却装置を通常運転へ容易に復帰させることができる。
【0025】
本発明の
第3特徴構成は、第1
又は第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記返油路の夫々には、返油流量を調整する流量調整弁を前記返油弁と直列に並べて介装してある点にある。
この
第3特徴構成よれば(
図1参照)、返油弁13の夫々を開弁したときの各コンデンシングユニット3への冷凍機油oの返油流量が配管抵抗差などによりコンデンシングユニット3ごとに異なるような場合でも、上記流量調整弁14による流量調整により各コンデンシングユニット3に対する冷凍機油oの返油流量を均等化することができる。
【0026】
したがって、冷凍機油oの枯渇防止機能をコンデンシングユニット3の夫々について均一化することができ、これにより、冷凍機油oの枯渇による圧縮機8の破損を装置全体として一層確実に防止することができる。
【0027】
本発明の
第4特徴構成は、第1〜
第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記返油路の夫々には、前記共通アキュムレータの側への冷凍機油の逆流を阻止する逆止弁を前記返油弁と直列に並べて介装してある点にある。
【0028】
この
第4特徴構成によれば(
図1参照)、各コンデンシングユニット3から共通アキュムレータ4の側への冷凍機油oの逆流を確実に阻止することができ、これにより、各コンデンシングユニット3での冷凍機油oの枯渇を一層確実に防止することができる。
【0029】
本発明の
第5特徴構成は、第1〜
第4特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記コンデンシングユニットの各々における前記圧縮機と前記凝縮器との間に、前記圧縮機から冷媒とともに吐出される冷凍機油を冷媒から分離した状態で捕集して、その捕集した冷凍機油を油戻し路を通じて前記圧縮機に戻す油分離器を介装してある点にある。
【0030】
この
第5特徴構成によれば(
図1参照)、共通アキュムレータ4から各コンデンシングユニット3への返油路13を通じた冷凍機油oの返油と、各コンデンシングユニット3での油分離器10による冷凍機油oの捕集との協働により、各コンデンシングユニット3での冷凍機油oの枯渇をさらに確実に防止することができる。
【0031】
本発明の
第6特徴構成は、
第5特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記油分離器の各々における冷凍機油の油溜まり部に、前記コンデンシングユニット側の油位センサを配置してある点にある。
【0032】
この
第6特徴構成によれば(
図1参照)、各コンデンシングユニット3に対する油分離器10の取り付けに伴い、コンデンシングユニット側の油位センサ16を油分離器10とともに各コンデンシングユニット3に取り付けることができ、この点で、各コンデンシングユニット3に対するコンデンシングユニット側油位センサ16の取り付けを容易にすることができる。
本発明の第7特徴構成は、第1〜第6特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記冷却用蒸発器の冷媒出口部は、最低部にトラップを備える大径立上管と、前記トラップよりも上流側で前記大径立上管から分岐した小径立上管とを備える2重立上管構造にしてある点にある。
この構成によれば(図3参照)、冷媒流量が少ない低出力運転時にも冷媒流速を高く確保するようにして、冷却用蒸発器1での冷凍機油oの滞留が生じ難いようにすることができる。
即ち、冷媒流量が少ない低出力運転時には、冷凍機油oがトラップ21に溜まることで大径立上管19が閉じられて冷媒rが小径立上管20にのみ流れるようにして、冷媒rの流速を高く保つようにし、これにより、冷凍機油oがトラップ21への溜り以上に冷却用蒸発器1において滞留することがないようにすることができる。