(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非補給期間中における前記第1の重量流量計測手段によって計測される前記第1の重量流量と前記第2の重量流量計測手段によって計測される前記第2の重量流量との差異、又は、前記目標重量流量と前記非補給期間中における前記第2の重量流量計測手段によって計測される前記第2の重量流量との差異に基づいて、前記補給期間中における前記第2の重量流量計測手段によって計測される第2の重量流量を補正する補正手段を備える、
請求項1ないし4のいずれかに記載の定量供給システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1では、各荷重センサにてそれぞれ支持された2台の貯留槽、それぞれに付属する排出装置、それぞれに対応する2台の物品補給装置等を設ける必要があり、システム全体の構成が複雑で大きく、コストが高くなるという課題がある。
【0013】
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、貯留槽や排出装置等を複数台備える必要がなく、見掛け排出制御に比べて高精度な定量供給が可能な定量供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0015】
(1)本発明の定量供給システムは、貯留槽内の物品を、無端走行体を有する搬送手段の前記無端走行体へ排出し、該無端走行体によって前記物品を搬送して次段へ供給する定量供給システムであって、
前記貯留槽へ前記物品を補給する物品補給装置と、前記貯留槽内の前記物品を前記無端走行体へ排出する物品排出手段と、前記貯留槽を支持する貯留槽用荷重センサを有すると共に、該貯留槽用荷重センサの検出出力に基づいて、前記貯留槽から前記無端走行体へ排出される前記物品の重量流量を、第1の重量流量として計測する第1の重量流量計測手段と、前記無端走行体を支持する無端走行体用荷重センサを有すると共に、該無端走行体用荷重センサの検出出力に基づいて、前記無端走行体によって搬送される前記物品の重量流量を、第2の重量流量として計測する第2の重量流量計測手段と、前記物品排出手段を制御して前記無端走行体へ排出される前記物品の重量流量を制御する排出重量流量制御手段とを備え、
前記排出重量流量制御手段は、前記物品補給装置による前記貯留槽への物品の補給が行われていない非補給期間中は、前記第1の重量流量に基づいて、前記物品排出手段を制御する第1の排出重量流量制御を行い、前記貯留槽への物品の補給が行われている補給期間中は、前記第2の重量流量に基づいて、前記物品排出手段を制御する第2の排出重量流量制御を行うものである。
【0016】
本発明によれば、物品補給装置によって貯留槽へ物品を補給していない非補給期間中は、物品排出手段によって貯留槽から搬送手段の無端走行体へ排出される物品の重量流量を、貯留槽用荷重センサの検出出力に基づいて、第1の重量流量計測手段によって計測し、計測した第1の重量流量に基づいて、物品排出手段を制御するので、貯留槽から搬送手段の無端走行体へ排出される物品の重量流量、したがって、無端走行体によって次段に搬送される物品の重量流量が精確に制御され、高い精度で定量供給することができる。
【0017】
また、物品補給装置によって貯留槽へ物品を補給している補給期間中は、貯留槽への物品の落下供給による衝撃等の影響を受けるために、第1の重量流量計測手段では、精確な第1の重量流量の計測が困難となるが、この補給期間中は、搬送手段の無端走行体によって搬送される物品の重量流量を、無端走行体用荷重センサの検出出力に基づいて、第2の重量流量計測手段によって計測し、計測した第2の重量流量に基づいて、物品排出手段を制御するので、貯留槽から搬送手段の無端走行体へ排出される物品の重量流量、したがって、無端走行体によって次段に搬送される物品の重量流量が制御され、次段へ物品を定量供給することができる。これによって、物品補給装置によって貯留槽へ物品を補給している補給期間中は、その直前の、物品を補給していない非補給期間において計測された重量流量を、補給期間中の重量流量であると見なして、貯留槽から排出される物品の重量流量を制御する、いわゆる見掛け排出制御を行う従来例に比べて精度の高い定量供給を行うことが可能となる。
【0018】
しかも、貯留槽、物品排出手段及び物品補給装置等を複数台備える必要がなく、システムの構成が簡素化されてコストの低減を図ることができる。
【0019】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記次段へ供給する前記物品の目標重量流量が設定される目標重量流量設定手段を備え、前記排出重量流量制御手段は、前記第1の排出重量流量制御では、前記第1の重量流量が、前記目標重量流量に一致するように前記物品排出手段を制御し、前記第2の排出重量流量制御では、前記第2の重量流量が、前記目標重量流量に一致するように前記物品排出手段を制御する。
【0020】
この実施態様によると、第1,第2の各排出重量流量制御では、第1,第2の重量流量が、目標重量流量設定手段に設定される目標重量流量に一致するように物品排出手段による物品の排出量が制御されるので、貯留槽から搬送手段へ排出される物品の重量流量が、目標重量流量に制御されることになり、搬送手段によって、目標重量流量となる物品が、次段へ定量供給される。
【0021】
(3)本発明の一実施態様では、前記搬送手段が、前記無端走行体としてのコンベヤベルトを有する搬送コンベヤであり、前記搬送コンベヤによって前記物品を所要期間搬送したときに、前記第2の重量流量計測手段で計測される前記第2の重量流量に基づく積算重量と、前記所要期間に搬送された前記物品の重量の実測値とに基づいて、前記コンベヤベルト上の前記物品の荷重を前記無端走行体用荷重センサによって検出できる前記コンベヤベルトの長さである働長を算出する働長算出手段を備える。
【0022】
この実施態様によると、物品を実際に所要期間に亘って搬送コンベヤによって搬送し、第2の重量流量計測手段で計測される第2の重量流量に基づく物品の積算重量と、実際に搬送された物品の重量の実測値とに基づいて、コンベヤベルト上の物品の重量を無端走行体用荷重センサで検出できるコンベヤベルトの長さである働長を算出するので、物品を実際に搬送したときの搬送コンベヤのコンベヤベルトの張力変動等を考慮した適切な働長を算出することができる。
【0023】
(4)本発明の他の実施態様では、前記搬送手段が、前記無端走行体としてのコンベヤベルトを有する搬送コンベヤであり、前記搬送コンベヤの前記コンベヤベルト上の前記物品の荷重を前記無端走行体用荷重センサによって検出できる前記コンベヤベルトの長さである働長を決定するための調整運転において、前記非補給期間中に前記第2の重量流量計測手段によって計測されるべき前記第2の重量流量が、前記非補給期間中に前記第1の重量流量計測手段によって計測される第1の重量流量、または、前記目標重量流量に一致するとして、前記第2の重量流量の計測に用いる前記働長を算出する働長算出手段を備える。
【0024】
貯留槽へ物品を補給していない非補給期間中は、貯留槽から搬送コンベヤへ排出される物品の重量流量である第1の重量流量は、第1の重量流量計測手段によって精確に計測できるので、この実施態様では、調整運転を行って、非補給期間中に第2の重量流量計測手段で計測されるべき第2の重量流量が、第1の重量流量計測手段で計測される第1の重量流量に一致する、または、設定される目標重量流量に一致するとして、第2の重量流量の計測に用いる働長を算出することができる。この場合、物品を実際に搬送したときの搬送コンベヤのコンベヤベルトの張力変動等を考慮した適切な働長を算出することができる。
【0025】
なお、本発明の他の実施態様として、上記(3)の実施態様の働長算出手段と、本実施態様の働長算出手段との両方を備えてもよい。
【0026】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記非補給期間中における前記第1の重量流量計測手段によって計測される前記第1の重量流量と前記第2の重量流量計測手段によって計測される前記第2の重量流量との差異、又は、前記目標重量流量と前記非補給期間中における前記第2の重量流量計測手段によって計測される前記第2の重量流量との差異に基づいて、前記補給期間中における前記第2の重量流量計測手段によって計測される第2の重量流量を補正する補正手段を備える。
【0027】
貯留槽へ物品を補給していない非補給期間中は、貯留槽から搬送手段の無端走行体へ排出される物品の重量流量である第1の重量流量は、第1の重量流量計測手段によって精確に計測できるので、貯留槽から搬送手段の無端走行体へ排出される物品の重量流量は、第1の重量流量、又は、設定される目標重量流量に高い精度で一致する。
【0028】
この実施態様によると、この非補給期間中に、第1の重量流量計測手段によって計測される第1の重量流量と第2の重量流量計測手段によって計測される第2の重量流量との差異、又は、設定される目標重量流量と第2の重量流量計測手段によって計測される第2の重量流量との差異が、第2の重量流量計測手段の零点変動などの変動量に対応するとし、第2の重量流量に基づいて、物品排出手段を制御する補給期間中には、前記変動量分を補正して物品排出手段を制御することができ、これによって、補給期間中において、より精確な定量供給が可能となる。
【0029】
(6)本発明の一実施態様では、前記第2の重量流量計測手段は、前記無端走行体を支持する計量台と、該計量台の、前記物品の搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ近接して配置されて、前記無端走行体が周回すると共に、前記無端走行体の走行方向を変更する上流側及び下流側の周回具とを備え、前記無端走行体用荷重センサは、前記計量台を支持するものであり、前記物品を、前記上流側の周回具、前記計量台、及び、前記下流側の周回具に亘って前記搬送方向へ走行する前記無端走行体によって搬送する。
【0030】
この実施態様によると、物品を支持して搬送するコンベヤベルト等の無端走行体は、物品の搬送方向の上流側の周回具、計量台、及び、下流側の周回具に亘って、前記搬送方向へ走行して物品を搬送し、上流側及び下流側の各周回具では、無端走行体の走行方向がそれぞれ変更されるので、物品は、上流側の周回具、計量台、及び、下流側の周回具の上を走行する無端走行体上だけに存在することになり、また、上流側及び下流側の各周回具は、計量台にそれぞれ近接して配置されるので、物体が、搬送手段の無端走行体上に存在する距離は、比較的短い距離となる。
【0031】
したがって、例えば、後述の従来例のように、物品の搬送方向に沿って、計量台の上流側と下流側との長い距離に亘って物品をコンベヤベルト等の無端走行体に支持して搬送する必要がなく、無端走行体に作用する張力を小さくして、その変動を低減することができ、重量流量の計測精度を高めることができる。
【0032】
(7)上記(6)の実施態様では、前記上流側及び前記下流側の前記周回具を、前記計量台に連結してもよい。
【0033】
この実施態様によると、コンベヤベルト等の無端走行体が周回する上流側及び下流側の周回具が計量台に連結されるので、計量台と共に、各周回具及び搬送コンベヤ等を無端走行体用荷重センサで一体的に支持してその荷重を検出することによって、搬送コンベヤのコンベヤベルト等の張力の変動の影響を受けることなく、計量台及び各周回具を走行する無端走行体上の物品の重量流量を計測することができる。
【0034】
(8)上記(6)の実施態様では、前記上流側及び前記下流側の前記周回具を、前記計量台に非接触で近接して配置してもよい。
【0035】
計量台を挟んで物品の搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ近接配置される各周回具は、コンベヤベルト等の無端走行体の走行方向をそれぞれ変更するので、例えば、コンベヤベルトの走行方向を、物品の搬送方向に沿う水平方向から斜め方向へ変更するような場合には、鉛直方向の分力が周回具に作用することになるが、この実施態様によると、周回具は、計量台とは非接触に配置されているので、周回具に鉛直方向の分力が作用しても計量台にその影響が及ぶのを防止して、計量台上を走行するコンベヤベルト上の物品の重量流量を精度よく測定することができる。
【0036】
また、計量台よりも物品の搬送方向の上流側の周回具を走行するコンベヤベルト上に、物品排出手段によって物品を落下排出した場合に、上流側の周回具には、物品の落下排出による衝撃荷重が生じるが、上流側の周回具は、計量台とは非接触に配置されているので、上流側の周回具に生じる衝撃荷重が、計量台に及ぶのを防止することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、貯留槽へ物品を補給していない非補給期間中は、貯留槽から搬送手段へ排出される物品の重量流量を、貯留槽用荷重センサの検出出力に基づいて、第1の重量流量計測手段によって計測して物品排出手段を制御するので、貯留槽から搬送手段へ排出される物品の重量流量、したがって、搬送手段によって次段に搬送される物品の重量流量が精確に制御され、高い精度で定量供給することができる。
【0038】
また、貯留槽へ物品を補給している補給期間中は、搬送手段によって搬送される物品の重量流量を、無端走行体用荷重センサの検出出力に基づいて、第2の重量流量計測手段によって計測して物品排出手段を制御するので、貯留槽から搬送手段へ排出される物品の重量流量、したがって、搬送手段によって次段に搬送される物品の重量流量が制御され、定量供給することができる。これによって、貯留槽へ物品を補給している補給期間中は、重量を計測することなく、いわゆる見掛け排出制御を行う従来例に比べて精度の高い定量供給を行うことが可能となる。
【0039】
しかも、貯留槽、物品排出手段及び物品補給装置等を複数台備える必要がなく、システムの構成が簡素化されてコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0042】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る定量供給システムの概略構成図である。
【0043】
この実施形態の定量供給システム55は、貯留槽1に収容された粉粒体等の物品16を、供給フィーダ5によって搬送コンベヤ8に排出し、この搬送コンベヤ8によって連続的に次段の図示しない生産装置等に搬送して物品16を定量供給するものである。
【0044】
貯留槽1は、例えば、化学品、食品等の原料である粉粒体等の物品16を収容貯留するものであり、この貯留槽1は、貯留槽支持具2を備えており、この貯留槽支持具2が、ロードセル等からなる複数の貯留槽用荷重センサ4を介して基礎台に支持されている。
【0045】
この貯留槽用荷重センサ4の検出出力は、制御装置17に入力され、制御装置17は、この検出出力に基づいて、貯留槽1内の物品16の重量及び貯留槽1から排出される物品16の重量流量を計測する。制御装置17は、貯留槽1内の物品16の重量値が下限重量値以下になると、補給装置駆動用モータ19を介して物品補給装置3を駆動して、物品16を貯留槽1に落下供給して補給し、物品16の重量が上限重量値に達すると、物品補給装置3の駆動を停止して物品16の補給を停止する。
【0046】
貯留槽1の底部には、貯留槽1内の物品16を搬送コンベヤ8へ排出する物品排出手段としてのスクリュー式の供給フィーダ5が設けられている。この供給フィーダ5は、供給フィーダ駆動用モータ6によって駆動され、貯留槽1内の物品16を、搬送コンベヤ8の無端走行体としてのコンベヤベルト8a上に連続的に排出する。供給フィーダ駆動用モータ6は、制御装置17によって制御される。
【0047】
供給フィーダ5の供給口12は、搬送手段としての搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に、非接触で、可及的に低い位置に設置されるのが好ましい。これによって、供給フィーダ5の供給口12から物品16を、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に落下供給する際の衝撃荷重を小さくすることができる。
【0048】
搬送コンベヤ8は、供給される物品16を、矢符Dで示される物品の搬送方向(
図1の左方向)へ搬送するものであり、コンベヤベルト8aは、平ベルトである。搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aは、搬送方向Dに沿って延びる計量台7を挟んで、搬送方向Dの上流側及び下流側にそれぞれ近接して配置された周回具としてのローラ状のプーリ14,15間を周回する。各プーリ14,15は、計量台7の前記搬送方向Dの上流側及び下流側に、計量台7との間隙を可及的に小さくして近接配置されるのが好ましい。
【0049】
計量台7は、物品の搬送方向Dに所定の長さ延伸した上面が平面の台であって、搬送方向Dの両端部に、上記プーリ14,15が連結されている。
【0050】
この計量台7は、そのフレーム部7aが、可動側支持具10を介してロードセル等からなる無端走行体用荷重センサである搬送コンベヤ用荷重センサ9の可動端に結合され、搬送コンベヤ用荷重センサ9の固定端は、固定側支持具11を介して基礎台に支持されている。搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力である荷重信号は、制御装置17に与えられる。
【0051】
搬送コンベヤ8を駆動する搬送コンベヤ駆動用モータ13も、各プーリ14,15が連結された計量台7と共に、搬送コンベヤ用荷重センサ9によって支持されている。搬送コンベヤ駆動用モータ13の駆動力は、計量台7の上流側のプーリ14に伝達される。この搬送コンベヤ駆動用モータ13は、制御装置17によって制御される。
【0052】
搬送コンベヤ8の搬送速度Vは、供給フィーダ5の中で物品16が搬送される速度より速くすることによって、供給フィーダ5の供給口12付近で物品16が堆積しないようにするのが好ましい。
【0053】
制御装置17は、貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づく貯留槽1の物品16の重量及び貯留槽1から排出される物品16の重量流量の計測、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づく搬送コンベヤ8上の物品16の重量及び搬送される物品16の重量流量の計測、物品補給装置3、供給フィーダ5及び搬送コンベヤ8の制御などを行う。
【0054】
この制御装置17は、複数の貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて、貯留槽1から排出される物品16の重量流量を、第1の重量流量として計測し、貯留槽1へ物品16を補給していない非補給期間中は、計測した第1の重量流量が、設定される目標重量流量に一致するように供給フィーダ5の駆動を制御して物品16を定量供給するという、第1の排出重量流量制御を行う。また、制御装置17は、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、計量台7上を走行する搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量を、第2の重量流量として計測し、貯留槽1へ物品16を補給している補給期間中は、計測した第2の重量流量が、設定される目標重量流量に一致するように供給フィーダ5の駆動を制御して物品16を定量供給するという、第2の排出重量流量制御を行う。
【0055】
この実施形態では、搬送コンベヤ用荷重センサ9によって、計量台7、搬送コンベヤ8、プーリ14,15、及び、搬送コンベヤ駆動用モータ13を支持してそれらの重量を一体として検出するので、計量台7のみを支持して重量を検出する場合に比べて、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aに発生する張力の変動等の影響を受けることなく、荷重を精確に検出することができる。
【0056】
搬送コンベヤ用荷重センサ9からの荷重信号が与えられる制御装置17では、計量台7、搬送コンベヤ8、プーリ14,15、及び、搬送コンベヤ駆動用モータ13の重量が初期荷重として既知であるので、搬送コンベヤ用荷重センサ9からの荷重信号及び搬送コンベヤ8の搬送速度に基づいて、連続的に繋がった状態で搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量、したがって、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量を精確に計測することができる。
【0057】
物品16は、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に、非接触で至近距離に設けられた供給フィーダ5の供給口12から供給され、プーリ14、計量台7及びプーリ15に亘って物品の搬送方向Dへ走行する搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aによって搬送される。
【0058】
このように物品16は、計量台7及びその両側のプーリ14,15に亘って物品の搬送方向Dへ走行する搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上にのみ存在するので、物品16が搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に存在する距離は短いものとなる。
【0059】
これによって、従来の搬送コンベヤ、例えば、物品の搬送方向に沿って長い搬送コンベヤの複数箇所をキャリヤローラで支持し、更にこれらのキャリヤローラには、搬送コンベヤを荷重センサで支持する計量用のキャリヤローラを設け、この計量用のキャリヤローラ付近の搬送コンベヤ上に存在する物品の重量を、搬送コンベヤと共に、荷重センサによって測定する特開昭59−32935号公報、あるいは、物品の搬送方向に沿って長い搬送コンベヤの複数箇所を、支持用のキャリヤローラ及び計量台で支持し、計量台上の搬送コンベヤ上に存在する物品の重量を搬送コンベヤと共に測定する特開昭59−180438号公報のように、計量部を含んで物品の搬送方向に沿って長い距離に亘って物品を支持して搬送する必要がない。これによって、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aに作用する張力を小さくし、その変動を低減することができ、重量流量の計測精度を高めることができる。
【0060】
また、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量を計量する計量部は、両端にプーリ14,15が連結された計量台7のみで構成されるので、装置構成がコンパクトになる。
【0061】
図2は、制御装置17の主要構成を示す
図1に対応する図である。
【0062】
制御装置17は、搬送コンベヤ用荷重センサ9からのアナログ荷重信号を増幅する増幅器42と、増幅器42からのアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するA/D変換器43と、複数の貯留槽用荷重センサ4からのアナログ荷重信号を加算増幅する加算増幅器52と、加算増幅器52からのアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するA/D変換器53と、A/D変換器43,53からのデジタル荷重信号に含まれる振動ノイズ等を減衰させるためのフィルタ処理を行なって物品16の重量値及び重量流量等を演算すると共に、フィーダ用、コンベヤ用及び補給用の各モータコントローラ44,45,54を介して供給フィーダ5、搬送コンベヤ8及び物品補給装置3の駆動を制御する演算制御部46と、各種の設定などのために操作される操作キーを有する操作設定部47と、重量流量等を表示する表示部48とを備えている。操作設定部47及び表示部48は、それらを一体化したタッチパネルで構成してもよい。
【0063】
操作設定部47には、供給フィーダ5の駆動、停止、及び、供給速度設定スイッチが設けられると共に、搬送コンベヤ8の駆動、停止、及び、搬送速度設定スイッチが設けられる。速度の設定は、いずれも、数値キーと各速度設定スイッチによって行う。
【0064】
操作設定部47には、供給フィーダ5から供給される物品16の重量流量、すなわち、次段の生産装置等に定量供給する物品の目標重量流量を設定する目標重量流量値設定スイッチが設けられる。
【0065】
また、搬送コンベヤ8上に物品16が存在しない状態で、表示部48による重量表示値が「0」でない場合などに零点調整を行うための零点調整スイッチが設けられている。更に、後述の零点調整時の操作スイッチとして、初期荷重記憶スイッチ、スパン係数記憶スイッチ、及び、基準重量設定操作スイッチが設けられる。
【0066】
演算制御部46は、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力である荷重信号と搬送コンベヤ8の搬送速度とに基づいて、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量を、第2の重量流量として計測する第2の重量流量計測手段としての機能を有すると共に、後述のように、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上の物品16の荷重を、搬送コンベヤ用荷重センサ9によって検出可能なコンベヤベルト8aの長さである働長を算出する働長算出手段としての機能を有する。
【0067】
更に、演算制御部46は、貯留槽1へ物品供給装置3から物品が落下供給されている補給期間中に、計測される物品16の第2の重量流量が、設定される目標重量流量に一致するように、供給フィーダ5による貯留槽1から排出される物品16の重量流量を制御するという、第2の排出重量流量制御を行う排出重量流量制御手段としての機能を有する。
【0068】
また、演算制御部46は、貯留槽1へ物品供給装置3から物品が落下供給されていない非補給期間中に、複数の貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて、貯留槽1から排出される物品16の重量流量を、第1の重量流量として計測する第1の重量流量計測手段として機能すると共に、計測した第1の重量流量が、設定される目標重量流量に一致するように、供給フィーダ5による貯留槽1から排出される物品16の重量流量を制御するという、第1の排出重量流量制御を行う。
【0069】
複数の貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて、貯留槽1から排出される物品16の重量流量である第1の重量流量を計測する場合と、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量である第2の重量流量を計測する場合とでは、振動ノイズ信号の性質も異なるので、フィルタ処理方法などが異なり、各場合に応じて、測定、演算するのが好ましい。
【0070】
ここで、標準仕様として制御装置17に備えられる搬送コンベヤ8の零点調整機能について、説明する。
【0071】
上記A/D変換器43,53は、例えば△t=5msec間隔で連続的にアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換し、フィルタ演算もこの時間間隔以内に実施し、5msecの間隔でフィルタリングされた後述する荷重信号WadとWad´を得るようにする。
【0072】
先ず、停止状態の搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に物品16が存在しない状態で、初期荷重記憶スイッチを操作して、搬送コンベヤ用荷重センサ9に、搬送コンベヤ8、搬送コンベヤ駆動用モータ13、プーリ14,15及び計量台7などの初期荷重Wiのみが加わった状態における荷重信号Wadを、初期荷重Wiとして演算制御部46内のメモリに記憶させる。
【0073】
初期荷重Wiを記憶させると、計量台7上の重量表示値として、Wad−Wi=0を表示させる。
【0074】
次に既知の重量Mを持つ基準物品(分銅など)を用いてスパン係数Kを定める。
【0075】
スパン係数Kのデフォルト値であるK=1が演算制御部46に設定されている。
【0076】
重量Mの値を数値キーで設定し、基準重量設定操作スイッチを操作して演算制御部46に記憶させる。
【0077】
計量台7上の物品の重量をWnとすると、Wnは、
Wn=K・(Wad−Wi)
と表される。
【0078】
重量値Mの基準物品を、停止状態の搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に載置する。そのとき、
Wn=K・(Wad−Wi)=M
であるから、Wnの値がMになるようにK=M/(Wad−Wi)として、スパン係数Kを定める。
【0079】
また、搬送コンベヤ用荷重センサ9などは運転中に零点変動するので、零点変動量の累積値Wzを記憶させるメモリを設け、
Wn=K・(Wad−Wi)−Wz ・・・(1)
とする。
【0080】
もし、搬送コンベヤ8上に物品16が存在しない状態で、表示部48に表示された重量表示値Wn≠0であるとき、すなわち零点が変動しているときに、零点調整スイッチを操作すると、
Wn+Wz→Wz
と演算されて零点変動量の累積値Wzが更新され、Wn=0にする。すなわち、零点調整が行われる。
【0081】
上記は、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づく、搬送コンベヤ8上の物品16の重量の測定についてであるが、貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づく貯留槽1内の物品16の重量の測定も同様であり、貯留槽1内の物品16の重量Wn´、スパン係数K´、荷重信号Wad´、初期荷重Wi´、零点変動量の累積値Wz´とすると、
Wn´=K´・(Wad´−Wi´)−Wz´
を求めるまでの処理も同様である。
【0082】
次に、搬送コンベヤ8によって単位時間当たりに搬送される物品16の重量、すなわち、物品16の重量流量の計測について説明する。
【0083】
搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量は、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、第2の重量流量として計測される。
【0084】
この実施形態では、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16は、粉粒体であり、殆どの場合切れ目が無く連続的に繋がって計量台7上を搬送されるので、単位時間当たりに搬送される物品16の重量である重量流量として計測する。
【0085】
物品16は、計量台7上を走行する搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に帯状に連続して存在し、搬送コンベヤ用荷重センサ9に荷重を印加する物品16の搬送方向の長さ、すなわち、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上の物品16の荷重を、搬送コンベヤ用荷重センサ9によって検出できるコンベヤベルト8aの長さを、働長Lp(m)と定義する。
【0086】
働長Lp(m)の区間に物品16が存在し、検出された物品16の重量をW(g)とすると、物品16の単位長さ当たりの重量は、W/Lp(g/m)である。
【0087】
この荷重印加状態で搬送コンベヤ8が、搬送速度V(m/sec)で走行しているとすると、重量流量Qは
Q=(W/Lp)・V (g/sec)
と求まる。
【0088】
より好ましくは、働長上の荷重は、搬送される物品16の分布状態や、上記の計量台7及びプーリ14,15等の構成によってコンベヤベルト8aの張力変動が縮小されたとはいえ、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aの搬送に伴う振動的な外乱力が搬送コンベヤ用荷重センサ9に作用するので、短い時間間隔△t毎に重量W(t)を測定し、Tsec間に得たN個分の最新の重量W(t)の平均値をWaとすると、Tsec間における平均の重量流量Qaを
Qa=(Wa/Lp)・V (g/sec)・・・(2)
として求める。
【0089】
但し、働長Lpは、次のようにして求める。
【0090】
働長Lp(m)は、直接測定して求める方法と、実際に物品16を搬送コンベヤ8で搬送し、重量流量の測定結果として求める方法と、調整運転を行って求める方法とがある。
【0091】
(1)先ず、働長Lpを直接測定して求める方法について説明する。
【0092】
この実施形態では、例えば、
図3に示すように、供給フィーダ5の供給口12の位置から、計量台7の、物品の搬送方向Dの下流側のプーリ15の外径先端部に接する鉛直線aまでの寸法Lp、または、下流側のプーリ15の回転中心Oを通る鉛直線bまでの寸法Lp´を測定し、そのいずれかの寸法Lp,Lp´を、またはその平均値などを働長として採用し、制御装置17の操作設定部47を操作して設定する。
【0093】
しかし、この方法では、目測のために精確にどの長さ範囲の物品16の重量が搬送コンベヤ用荷重センサ9に印加されているか明確でなく、誤差が生じ、またその長さ範囲も稼働運転中に僅かに長短変動するので、働長を精確に定めることは難しい。
【0094】
(2)次に、働長Lpを、実際に物品16を搬送して得られる物品16の積算重量の実測値によって求める方法について説明する。
【0095】
制御装置17の操作設定部47には、働長測定開始スイッチ、働長測定終了スイッチ、及び、実際に搬送した物品16の重量の実測値を設定するための収容重量値設定スイッチが設けられる。働長測定終了スイッチは、搬送コンベヤ8及び供給フィーダ5の駆動を同時に停止させて働長測定を終了するためのスイッチである。
【0096】
図2に示される搬送コンベヤ8の下流側の搬出端から落下する物品16を収容するための収容容器(図示せず)を、前記搬出端の下方に配置する。
【0097】
操作設定部47を操作して、搬送コンベヤ8の搬送速度を設定し、制御装置17によるオープンループ制御を行い、搬送コンベヤ8を、設定した所定の搬送速度V(m/sec)で駆動させる。
【0098】
または、搬送コンベヤ8の回転軸に速度検出器を設け、制御装置17が、速度検出器で検出される搬送コンベヤ8の搬送速度が、設定した所定の搬送速度に一致するように、搬送コンベヤ駆動用モータ13を制御するフィードバック制御を行ってもよい。
【0099】
操作設定部47を操作して、供給フィーダ5の供給速度を所定の供給速度に設定し、供給フィーダ5の駆動スイッチを操作して貯留槽1から物品16を搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に供給し始める。
【0100】
供給フィーダ5の供給速度は、稼働運転時に必要とされる物品の重量流量が得られる、おおよその値を設定する。
【0101】
目視にて、供給フィーダ5から搬送コンベヤ8に供給された物品16が、計量台7上を通過して搬送コンベヤ8の搬送終端のコンベヤベルト8aから落下する直前にて働長測定開始スイッチを操作する。
【0102】
稼働運転時の演算として、アナログ荷重信号は、例えば、△t=5msecごとにA/D変換されて演算制御部46へ読み込まれ、フィルタによってフィルタリングされ、△t=5msecごとの荷重信号Wn(t)が出力される。Wn(t)は、働長の上にある物品16の重量値である。
【0103】
働長測定開始スイッチが操作された以降で、フィルタによってフィルタリングされた荷重信号W(t)は、表示用重量値Wn(t)に変換され、荷重信号Wn(t)を△t=5msecごとに累積加算する。
【0104】
所要時間が経過して、適当な量の物品16が、収容容器に収容された時点で働長測定終了スイッチを操作し、制御装置17は、荷重信号の累積加算、時間カウントを停止すると共に、搬送コンベヤ8及び供給フィーダ5を同時に停止させる。
【0105】
今、働長をLx(m)とすると、表示用重量値、すなわち、搬送コンベヤ8上で働長の区間に存在する物品の重量値Wn(t)は、働長Lx(m)の区間に滞在する物品重量値であるから、物品16の単位長さ当たりの重量は、Wn(t)/Lx(g/m)である。働長測定開始スイッチが操作された時点から働長測定終了スイッチが操作された時点までの所要期間中に測定された物品16の単位長さ当たりの重量の累積加算値は、ΣWn(t)であり、Wn(t)の測定回数である加算回数=Nであったとすると、
測定した所要期間中における物品16の単位長さ当たりの平均重量は、
(ΣWn(t)/N)/Lx(g/m)である。
【0106】
一方、測定した所要期間Tは、T=N・△t=0.05・N(sec)である。
【0107】
搬送コンベヤ速度がV(m/sec)、所要期間T(sec)であるとすると、所要期間T中に走行した搬送コンベヤ8の距離は、V・T=0.05・N・V(m)である。
【0108】
収容容器に累積収容された物品16は、その物品16が、単位長さ当たりの平均重量(ΣWn(t)/N)/Lxでもって、距離V・T(m)の長さだけ連続したものと考えられるので、その区間の物品重量は
{(ΣWn(t)/N)/Lx}V・T
={(ΣWn(t)/N)/Lx}0.05・N・V
=0.05・V{ΣWn(t)/Lx}(g)
である。
【0109】
一方、収容容器に収容された物品重量を、本装置の搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に載置するか、他の静止計量器によって測定し、実際の物品重量Wqを得る。
【0110】
搬送コンベヤ8上に載置して計量する場合は、搬送コンベヤ8を停止させ、静止計量することによって高い計量精度を得る。
【0111】
予め収容容器の重量を風袋引きしておけば、物品16の収容された収容容器を搬送コンベヤ8上に載置し、操作設定部47に設けたテスト物品重量記憶スイッチを押すだけで、計量された物品重量Wqから働長Lxを次のようにして求めることができる。
【0112】
Wq=0.05・V{ΣWn(t)/Lx}
より、
働長Lx=Lp={0.05・V・ΣWn(t)}/Wq (m)
・・・(3)
が得られる。
【0113】
この働長Lxは、計量動作中に変動する働長の平均的な値を表すものである。
【0114】
働長測定開始スイッチをONした時点で、既に物品16が搬送コンベヤ8の搬出端から落下し始めて収容容器に収容されていても、その収容された物品重量に比べて、十分多くの物品16が収容容器に堆積するに十分長い時間を所要期間とし、この所要期間に亘って物品16を搬送して測定すれば、先に収容された物品重量分は無視することができる。
【0115】
稼働運転時には、上記(2)式によって物品16の重量流量である第2の重量流量を算出するときに、上記(3)式で求めた働長Lpを使用する。
【0116】
この実施形態では、上記にように、供給フィーダ5の供給口12を搬送コンベヤ8のベルト8aに近接して設けるので、物品16が供給口12から搬送コンベヤ8のベルト8a上に落下する際の衝撃荷重の影響は極めて小さい。
【0117】
しかし、衝撃荷重の影響が小さいと雖も、この影響を低減して精確に重量流量を求めるのが好ましい。
【0118】
これらは、重量流量の測定にとってはノイズの一種である外乱荷重信号であり、外乱荷重信号の大きさを低減するように重量流量を求めることが好ましい。
【0119】
上記の衝撃荷重などの成分は、重量値Wn(t)に含まれるが、上記(3)式によって、実際の稼働運転の状態に基づいて、この衝撃荷重などの成分を含むように働長が求まるので、このようにして求めた働長を使用して重量流量を算出すれば、外乱荷重信号が考慮された精確な重量流量を算出することができる。
【0120】
また、実際に物品16が搬送された状態で搬送コンベヤ用荷重センサ9に印加される物品16の長さに応じた働長が求まるので、物品16の搬送状態に応じて精確に働長を求めることができる。
【0121】
(3)次に、働長Lpを求めるための調整運転を行って働長Lpを算出する方法について説明する。
【0122】
この調整運転では、貯留槽1に物品16が補給されていない非補給期間中において、貯留槽用荷重センサ4の検出出力によって計測される第1の重量流量に基づいて定量供給を実施する。
【0123】
この調整運転では、操作設定部47に所定の目標重量流量Qtを設定し、貯留槽用荷重センサ4の検出出力によって計測される第1の重量流量Qt´が、目標重量流量Qtに一致するように、供給フィーダ5によって搬送コンベヤ8上に物品16を排出するという、定量供給制御を実施する。
【0124】
貯留槽1から排出される物品16の重量流量である第1の重量流量を、貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて測定するには、所定の時間間隔Ta毎に、貯留槽1内の物品の重量を測定する。
【0125】
例えば、時刻t1と、その時点からTa(sec)経過した時刻t2で測定した貯留槽1内の物品の重量値がそれぞれW1g、W2gであったとすると、
貯留槽1から排出される物品16の単位時間当たりの重量である重量流量は、
(W1−W2)/Ta (g/sec)
である。なお、複数の貯留槽用荷重センサ4はそれぞれ、周囲温度や湿度の変化によって長い時間を経過する間に零点が変動するが、重量の測定間隔Taを貯留槽用荷重センサ4の零点変動時間に比べて十分短く設定しておけば、重量流量の測定値への影響は無い。定量供給の制御期間内で複数個の重量流量を算出して平均値を求めて第1の重量流量Qt´とするか、あるいは、設定されている所定の目標重量流量Qtの値を、下記のように適用して働長を算出する。
【0126】
搬送コンベヤ8は、供給フィーダ5から落下した物品16が堆積しない搬送速度Vを設定して調整運転を実施する。
【0127】
操作設定部47に働長測定開始スイッチを備え、貯留槽1から物品16を一定量排出するロスインウェイ(減算計量)式の定量供給運転を開始し、物品16が搬送コンベヤ8上に排出され、計量台7上を通過した以降に働長測定開始スイッチを押す。
【0128】
そうすると、所定の時間T(sec)の間、上記のようにして、短い時間間隔△t毎に、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、物品16の重量W(t)を測定し、Tsec間に得たN個分の最新のW(t)の平均値Waを求める。
【0129】
測定期間は、予め定めたTsecで終了させる。
【0130】
働長をLxとすると、上記(2)式より
Qa=(Wa/Lx)・V (g/sec)
であるが、物品16の重量の平均値Waは、上記のように搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて算出し、また、搬送コンベヤ8の搬送速度Vは、
設定しているので、いずれも既知である。
【0131】
今、前段の供給フィーダ5による貯留槽1からの物品の定量排出において、貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づく第1の重量流量Qt´が、目標重量流量Qt(g/sec)になるように制御中であるので、(2)式の重量流量Qaは、実際に測定される第1の重量流量Qt´、又は、設定される目標重量流量Qtに等しく、例えば、目標重量流量Qtに等しいとすると、
Qt=(Wa/Lx)・V
∴ Lx=(Wa・V)/Qt
と、搬送コンベヤ8の働長Lxが求まる。
【0132】
貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて計測される第1の重量流量Qt´は、物品補給装置3から貯留槽1に物品16が補給されていない非補給期間中の貯留槽1において測定された物品の重量値に基づいているので、極めて精確に制御されていて、精確な重量流量値を表している。
【0133】
物品16の重量の平均値Waには、外乱による誤差成分が含まれるが、その場合でも精確な重量流量が得られるように働長Lxが求まる。
【0134】
この後は、調整運転であっても稼働運転時であっても、求めた働長LxをLpとして搬送コンベヤ8上を流れる物品16の重量流量である第2の重量流量の測定値を求める。
【0135】
次に、この実施形態の定量供給制御について説明する。
【0136】
先ず、物品16が貯留槽1に所定の重量以上(上限重量値付近まで)収容され、制御運転が開始される。この制御運転では、(1)貯留槽1へ物品16を補給していない非補給期間中と、(2)貯留槽1へ物品16を補給している補給期間中とで制御が異なる。以下、各場合について説明する。
【0137】
(1)貯留槽1へ物品16を補給していない非補給期間中における制御(第1の排出重量流量制御)
物品補給装置3から貯留槽1へ物品16を補給していない非補給期間中においては、貯留槽用荷重センサ4を有する第1の重量流量計測側手段によって計測した貯留槽1から排出される物品16の重量流量である第1の重量流量が、操作設定部47によって設定される目標重量流量に一致するように、供給フィーダ5から排出される物品16の重量流量をフィードバック制御する。
【0138】
図4(a)は、このフィードバック制御の構成を示すブロック図である。
【0139】
制御装置17の操作設定部47に設定される目標重量流量Qtと、第1の重量流量計測手段61を構成する制御装置17の演算制御部46で上記のようにして計測される第1の重量流量Qt´との制御偏差ε(=Qt−Qt´)を算出し、第1のPID演算部51としての演算制御部46によってPID演算を行って第1の操作量u1を算出する。算出した第1の操作量u1を、制御対象65としての供給フィーダ5を駆動する供給フィーダ駆動用モータ6に駆動信号として出力する。供給フィーダ5によって貯留槽1から搬送コンベヤ8へ排出される物品16の重量流量が、第1の重量流量計測手段61で計測されてフィードバック量Qt´としてフィードバックされる。
【0140】
(2)貯留槽1へ物品16を補給している補給期間中における制御(第2の排出重量流量制御)
複数の貯留槽用荷重センサ4によって貯留槽1内の物品16が所定の重量以下(下限重量値以下)であることが検出されると、物品補給装置3を駆動し、貯留槽1へ物品16を落下供給する物品の補給が開始される。
【0141】
物品補給装置3から貯留槽1へ物品16を補給している補給期間中においては、貯留槽1内の物品16の重量値は、物品16の落下供給による大きい衝撃荷重と増加荷重のために信頼性がない。
【0142】
このため、この補給期間中においては、搬送コンベヤ用荷重センサ9を有する第2の重量流量計測手段によって計測した搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量である第2の重量流量が、操作設定部47によって設定される目標重量流量に一致するように、供給フィーダ5から排出される物品16の重量流量をフィードバック制御する。
【0143】
図4(b)は、このフィードバック制御の構成を示すブロック図である。
【0144】
制御装置17の操作設定部47に設定される目標重量流量Qtと、第2の重量流量計測手段62を構成する制御装置17の演算制御部46で上記のように(2)式で算出される第2の重量流量Qaとの制御偏差ε(=Qt−Qa)を算出し、第2のPID演算部52としての演算制御部46によって第2のPID演算を行って第2の操作量u2を算出する。算出した第2の操作量u2を、制御対象65としての供給フィーダ5を駆動する供給フィーダ駆動用モータ6に駆動信号として出力する。供給フィーダ5によって貯留槽1から搬送コンベヤ8へ排出される物品16の重量流量が、第2の重量流量計測手段62で計測されてフィードバック量Qaとしてフィードバックされる。
【0145】
貯留槽1を複数の貯留槽用荷重センサ4で支持して計量する第1の重量流量計測手段61で第1の重量流量Qt´を計測する場合と、計量台7を搬送コンベヤ用荷重センサ9で支持して計量する第2の重量流量計測手段62で第2の重量流量Qaを計測する場合とでは、動特性の違い、入力される外乱振動ノイズなどの性質の違い、フィルタ処理方法などの違いがあるので、上記のように、第1,第2の各PID演算部51,52によって、異なる制御パラメータを使用して各操作量u1,u2を演算するのが好ましいが、同じ演算式を使用してもよい。なお、PID演算に限らず、PI演算等であってもよい。
【0146】
以上のように、この実施形態によれば、物品補給装置3によって貯留槽1へ物品16を補給している補給期間中は、第2の重量流量計測手段62によって、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量である第2の重量流量Qaを計測し、この第2の重量流量が、目標重量流量Qtに一致するように、制御対象65である供給フィーダ駆動用モータ6を制御するので、貯留槽1内での物品16の混み合い度合である物品16の密度変化や貯留槽1から物品16を排出する供給フィーダ5の排出効率の変化に拘わらず、常に精確な重量計測値による第2の重量流量Qaで物品16を、次段の生産装置等へ定量供給することができる。
【0147】
これによって、貯留槽1、供給フィーダ5、物品補給装置3等を複数台備えることなく、補給期間中は、その直前の、物品を補給していない非補給期間において計測された重量流量を、補給期間中の重量流量であると見なして、貯留槽から排出される物品の重量流量を制御する、いわゆる見掛け排出制御に比べて高精度な定量供給が可能となる。
【0148】
運転中に搬送コンベヤ8に物品16が付着したり、搬送コンベヤ8の計量台7を支持する搬送コンベヤ用荷重センサ9に零点変動があると、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上の物品16の重量の測定値が精確でなくなり、したがって、第2の重量流量に基づく第2の排出重量流量制御は、精確でなくなる。
【0149】
そこで、この実施形態では、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて計測される物品の重量流量である第2の重量流量を補正するようにしている。
【0150】
次に、この第2の重量流量の補正について説明する。
【0151】
上記のように、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて計測される搬送コンベヤ8によって搬送される物品の重量流量である第2の重量流量の計測値は、常に測定時点の重量に基づいて算出されるので、零点変動等によって精確でなくなるのに対して、貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて計測される物品16の重量流量である第1の重量流量は、貯留槽1を支持する貯留槽用荷重センサ4に零点変動があっても前述の如く零点変動時間に比べ十分短い時間間隔で測定する重量に基づく減量重量分を算出して制御するので、急激に高速の零点変動が起きない限りは誤差要因とならない。
【0152】
搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上への物品16の付着等による搬送コンベヤ用荷重センサ9の零点変動は、徐々に起きるのでその零点変動量を下記のように測定する。
【0153】
貯留槽1へ物品16を補給しない非補給期間中における第1の排出重量流量制御中、すなわち、複数の貯留槽用荷重センサ4を有する第1の重量流量計測手段61によって計測した貯留槽1から排出される物品16の重量流量である第1の重量流量Qt´が、目標重量流量Qtに一致するように、供給フィーダ5から排出される物品16の重量流量をフィードバック制御する第1の排出重量流量制御中に、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aによって搬送される物品16の重量流量である第2の重量流量Qaを上記(2)式に基づいて求める。
【0154】
貯留槽1から搬送コンベヤ8へ排出される物品16の重量流量の制御は、精確に行われるものとし、設定される目標重量流量Qtであるとする。
【0155】
目標重量流量Qt(g/sec)に制御された物品16が、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aによって搬送され、搬送コンベヤ8の搬送速度V(m/sec)で、働長Lp(m)の上を通過したとき、働長Lp(m)にある物品16の重量値が、Wr(g)であったとすると、
Qt=(Wr/Lp)・V
であるので、この目標重量流量Qtと、(2)式に基づいて、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上の物品16の重量を測定することによって求めた重量流量Qaとの差異として、その差の重量流量△Qdを求めると、△Qdは、
△Qd=(Wa/Lp)・V−(Wr/Lp)・V
∴Wa−Wr=(Lp/V)・△Qd=Wd
であるから、目標重量流量Qtと、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて計測される第2の重量流量の測定値Qaとの差△Qdを求めれば、既知である働長Lp、搬送コンベヤ8の搬送速度Vの値より、零点変動量としての補正量Wdの値を求めることができる。
【0156】
また、目標重量流量Qtの代わりに、非補給期間中の複数の貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて、実際に測定した貯留槽1から搬送コンベヤ8へ排出される物品16の重量流量である第1の重量流量Qt’を、上記の目標重量流量Qtの代わりに用いてもよく、実際に測定される第1の重量流量Qt´を用いることで精確となる。
【0157】
第1の排出重量流量制御において、貯留槽1から搬送コンベヤ8へ排出される物品16の重量流量である第1の重量流量Qt´は、零点変動期間より十分短く、かつ制御にとって適切に決めた時間taを置いて2つのタイミングの貯留槽1の重量値W1、W2を測定し、設定された目標重量流量はQtであっても現時点の実際重量流量Qt´を
Qt´=(W1−W2)/ta (g/sec)
と求める。
【0158】
一方、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて計測される搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量である第2の重量流量は、上記(2)式より求めるが、いずれも短期間であるので重量測定値がノイズの影響を受け、重量流量値もノイズの影響を受けていることがある。
【0159】
そこで、いずれもの重量流量も加算レジスタに加算記憶させ、同時に測定回数もカウントとし、第1の排出重量流量制御が終わり、第2の排出重量流量制御に入る直前に、双方の平均値をそれぞれ求め、ノイズ信号の影響を相殺して正して補正量Wdを求める。
【0160】
運転継続中、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に物品16が走行している限りは、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の第2の重量流量を測定するので、運転期間中は第2の重量流量測定手段62の零点調整を実施することはできない。つまり、長期間の間零点重量値としてのWnの値を測定する機会がない。
【0161】
放置すれば時間変化率は小さくても長い時間の間に搬送コンベヤ用荷重センサ9の零点変動が大きく増減したり、搬送コンベヤ用荷重センサ9の零点変動は小さくても物品16が搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上へ付着することによって零点が変動することがある。
【0162】
毎回、貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて計測される貯留槽1から搬送コンベヤ8へ排出される物品16の第1の重量流量が、目標重量流量Qtに一致するように制御する第1の排出重量流量制御を行っている非補給期間中に、補正量Wdを零点変動値として求めて更新し、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて計測される物品16の第2の重量流量が、目標重量流量Qtに一致するように制御する第2の排出重量流量制御に移行する前に、上記(1)式で表す、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上の物品重量値Wnにおける、零調整演算Wn+Wz→Wzの代わりに
Wz+Wd→Wz
と、零点調整する。
【0163】
もし、搬送コンベヤ8の前段の供給フィーダ5からの物品16の排出が途切れると、搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上が無負荷状態である事を確認して零点調整スイッチを押す。搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aの無負荷時重量値が零点重量値として測定できるので、上に述べるようにWn+Wz→Wzとして通常の零点調整演算を施す。
【0164】
また、所定の重量流量での制御であるから、上記の重量誤差は零点変動によるものでなくスパン変動によるものであるとして、目標重量流量と第2の重量流量との差異として、その比率を求めて、
スパン変化率={(Wa/Lp)・V}/{(Wr/Lp)・V}=Wa/Wr=Rd
とし、毎回の第2の排出重量流量制御のときに、スパン変化率Rdを更新し、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて計測される搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上の重量測定値Wnを、
(1/Rd)・Wn
と補正係数(補正定数)としてのスパン変化率Rdによって補正してもよい。
【0165】
補正量や補正係数は、第1の排出重量流量制御の度に、最新の値を算出して次の第2の排出重量流量制御に備えるので、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて第2の重量流量を計測する第2の重量流量計測手段62の零点等が継続変動しても、重量流量を正しく補正できる。
【0166】
稼動運転中に搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8aに物品16が付着したり、搬送コンベヤ用荷重センサ9に零点変動が生じて、第2の重量流量計測手段62の計量部の零点重量値が変動しても、第2の重量流量計測手段62で計測される重量値を、物品16の補給が行われていない非補給期間中における前段の第1の重量流量計測手段61によって計測される第1の重量流量値に基づいて、補正できるので、物品16の補給が行われれる補給期間中に、第2の重量流量計測手段62で精確な重量流量を得ることができる。
【0167】
図5及び
図6に、この実施形態の定量供給システムの動作フローを示す。なお、
図5において、破線で囲まれたステップは、上記第1の排出重量流量制御に対応し、
図6において、破線で囲まれたステップは、上記の第2の排出重量流量制御に対応する。
【0168】
先ず、
図5に示すように、貯留槽1内の物品16が、上限重量値であるか否かを判断し(ステップn1)、上限値でないときには、物品補給装置3を駆動してステップn1に戻り(ステップn2)、ステップn1で物品16が上限重量値に達すると、物品補給装置3の駆動を停止して、運転開始まで待機する(ステップn3)。
【0169】
次に、運転開始スイッチが操作されたか否かを判断し(ステップn4)、運転開始スイッチが操作されたときには、運転中となり、貯留槽1内の物品16の重量を測定し(ステップn5)、貯留槽1内の物品16の重量が下限重量値以下であるか否かを判断し(ステップn6)、下限重量値以下でないときには、ステップn7に移る。
【0170】
ステップn7では、貯留槽1内の物品16の重量値を、時間taをおいて測定する。次に、貯留槽1から搬送コンベヤ8へ排出される現在の物品16の第1の重量流量(g/sec)を算出し、算出した第1の重量流量を加算記憶すると共に、重量値の測定回数をカウントする(ステップn8)。
【0171】
次に、算出した第1の重量流量が、目標重量流量に一致するように、第1のPID演算を行って、供給フィーダ5の供給フィーダ用駆動モータ6へ与える第1の操作量を算出し(ステップn9)、算出した第1の操作量を出力してステップn11に移る(ステップn10)。
【0172】
ステップn11では、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、搬送コンベヤ8によって搬送される現在の物品16の重量を測定し、測定した重量と搬送コンベヤ8の搬送速度Vとに基づいて、物品16の第2の重量流量を算出し、算出した第2の重量流量を加算記憶すると共に、測定回数をカウントし、運転停止スイッチが操作されたか否かを判断し(ステップn12)、運転停止スイッチが操作されていないときには、ステップn5に戻る。
【0173】
上記ステップn6において、貯留槽1内の物品16の重量が下限重量値以下であるときには、
図6のステップn14に移り、上記ステップn8で記憶した第1の重量流量の加算値及び測定回数から第1の重量流量の平均値を算出すると共に、上記ステップn11で記憶した第2の重量流量の加算値及び測定回数から第2の重量流量の平均値を算出し、双方を比較して補正量を算出し(ステップn15)、物品補給装置3を駆動して物品16の補給を開始し(ステップn16)、ステップn17に移る。
【0174】
ステップn17では、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量を測定し、測定した物品16の重量を、上記ステップn15で求めた補正量で補正し(ステップn18)、補正した重量に基づいて、第2の重量流量を算出し(ステップn19)、ステップn20に移る。
【0175】
ステップn20では、算出した第2の重量流量が、目標重量流量に一致するように、第2のPID演算を行って、供給フィーダ用駆動モータ6へ与える第2の操作量を算出し、算出した第2の操作量を出力してステップn22に移る(ステップn21)。ステップn22では、貯留槽1内の物品16が上限重量値になったか否かを判断し、上限重量値になっていないときには、ステップn17に戻る。
【0176】
ステップn22で、貯留槽1内の物品16が上限重量値になったときには、物品補給装置3の駆動を停止し(ステップn23)、
図5のステップn12に移り、運転停止スイッチが操作されたか否かを判断し、運転停止スイッチが操作されていないときには、ステップn5に戻る。ステップn12で、運転停止スイッチが操作されたときには、供給フィーダ5、搬送コンベヤ8及び物品補給装置3を停止して終了する(ステップn13)。
【0177】
以上のように本実施形態によれば、物品補給装置3によって貯留槽1へ物品16を補給している補給期間中は、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量である第2の重量流量を計測し、この第2の重量流量が、目標重量流量に一致するように、供給フィーダ5による排出を制御するので、貯留槽1内での物品16の混み合いの程度である物品16の密度変化や貯留槽1から物品16を排出する供給フィーダ5の排出効率の変化が生じても、第2の重量流量の計測値に基づいて、物品16を次段の生産装置等へ定量供給することができる。
【0178】
これによって、補給期間中は、その直前の、物品を補給していない非補給期間におい手計測された重量流量を、補給期間中の重量流量であると見なして、貯留槽から排出される物品の重量流量を制御する、いわゆる見掛け排出制御に比べて高精度な定量供給が可能となる。
【0179】
更に、物品補給装置3によって貯留槽1へ物品16を補給していない非補給期間中に、貯留槽用荷重センサ4の検出出力に基づいて、貯留槽1から搬送コンベヤ8に排出される物品16の重量流量である第1の重量流量と、搬送コンベヤ用荷重センサ9の検出出力に基づいて、搬送コンベヤ8によって搬送される物品16の重量流量である第2の重量流量との差に基づいて、補給期間中には、第2の重量流量の零点変動等を補正するので、補給期間中において、より精確な定量供給が可能となる。
【0180】
(実施形態2)
図7は、本発明の他の実施形態の定量供給システム56の概略構成図であり、
図1の実施形態に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0181】
この実施形態では、搬送コンベヤ25上の物品16の重量を計量する計量台20は、物品の搬送方向Dに沿って所定の長さ延伸した上面が平面の台である。この計量台20は、可動側支持具10を介して、搬送コンベヤ用荷重センサ9の可動端に結合され、搬送コンベヤ用荷重センサ9の固定端は、固定側支持具11を介して、基礎台に支持されている。
【0182】
この計量台20の物品の搬送方向Dの上流側には、計量台20に極めて短い間隙dをおいて非接触に、周回具としての送込み台21が近接して設置される。この送込み台21は、物品16の搬送方向Dに所定の長さ延伸した上面が平面であって、搬送方向Dの上流側の端部が半円状に屈曲された台であり、送込み台支持具22を介して基礎台に支持される。
【0183】
計量台20の物品の搬送方向Dの下流側には、計量台20に極めて短い間隙dをおいて非接触に、周回具としての送出し台23が近接して設置される。この送出し台23は、物品16の搬送方向Dに所定の長さ延伸した上面が平面であって、搬送方向Dの下流側の端部が半円状に屈曲された台であり、送出し台支持具24を介して基礎台に支持される。
【0184】
このように送込み台21及び送出し台23を、計量台20の上流側及び下流側に間隙dを小さくして近接設置する。
【0185】
計量台20の下方位置には、ローラ状の駆動用のプーリ18及びその前後に一対のプーリ28,29が設けられ、搬送コンベヤ駆動用モータ13の駆動力は、駆動用のプーリ18に伝達される。これら駆動用のプーリ18等は、搬送コンベヤベルト駆動装置支持具27を介して基礎台に支持される。
【0186】
搬送コンベヤ25は、送込み台21、計量台20、送出し台23、及び、駆動用プーリ18との間を略逆三角形状に周回する平ベルトからなるコンベヤベルト25aを有する。
【0187】
計量台20の、物品16の搬送方向Dの上流側及び下流側に、搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25aの走行方向を変更する周回具である送込み台21及び送出し台23をそれぞれ設置することによって、コンベヤベルト25aの周回を円滑にすると共に、基礎台に支持された搬送コンベヤ25の駆動用のプーリ18が搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25aを回転駆動させるときに、基礎台から鉛直方向に作用する分力を、送込み台21及び送出し台23によって吸収し、計量台20に伝達しないようにしている。
【0188】
供給フィーダ5の供給口12は、送込み台21上を走行する搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25a上に非接触で、可及的に低い高さに設置される。送込み台21は、計量台20とは非接触であるので、送込み台21への物品16の供給による衝撃荷重が生じても荷重センサ9に影響を与えない。
【0189】
送込み台21及び送出し台23の物品16の搬送方向Dの寸法を、好ましくは計量台20の同方向の寸法より短くし、物品16が搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25a上に載置される区間を短くすることによって、物品16の重量の搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25aに与える張力や張力変動を小さくし、零点重量に与える影響を小さくすることができる。
【0190】
また、計量台20と、その上流側及び下流側に近接する送込み台21及び送出し台23との間隙dを、極めて短くすることによって、その間隙dの部分に連続的に繋がった状態で存在する物品16の重量によって搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25aが撓むことはなく、鉛直方向に張力を発生させない。
【0191】
したがって、連続的に繋がった状態で搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25aによって搬送される物品16の重量を精確に測定できる。
【0192】
このように送込み台21及び送出し台23の物品16の搬送方向Dの寸法について、送込み台21は、供給フィーダ5の供給口12から落下する物品を受け止める部位が必要であるのと、送込み台21及び送出し台23は、基礎台に支持された駆動用のプーリ18によって搬送コンベヤ25を回転駆動させるとき、基礎台から鉛直方向に作用する力を計量台20に伝達しないようにするだけであるから短くてよく、装置の構成をコンパクトにすることができる。
【0193】
この実施形態によれば、物品16を支持して搬送する無端走行体であるコンベヤベルト25aは、物品16の搬送方向Dの上流側の周回具である送込み台21、計量台20、及び、下流側の周回具である送出し台23に亘って、搬送方向Dへ走行して物品16を搬送し、計量台20に近接配置される上流側の送込み台21及び下流側の送出し台23では、コンベヤベルト25aの走行方向がそれぞれ変更されるので、物品16は、上流側の送込み台21、計量台20、及び、下流側の送出し台23の上を走行するコンベヤベルト25a上だけに存在することになり、従来例のように、物品の搬送方向に沿って、計量台の上流側と下流側との長い距離に亘って物品を搬送コンベヤに支持して搬送する必要がなく、コンベヤベルト25aに作用する張力を小さくして、その変動を低減することができ、重量流量の測定精度を高めることができる。
【0194】
なお、この実施形態では、働長Lpを直接測定して設定する場合には、
図7に示すように、計量台20と送込み台21との間隙dの中間位置から、計量台20と送出し台23との間隙dの中間位置までの距離を測定して設定する。
【0195】
その他の構成及び作用効果は、上記
図1の実施形態と同様である。
【0196】
(実施形態3)
図8は、本発明の更に他の実施形態の定量供給システム57の概略構成図であり、
図7の実施形態に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0197】
この実施形態では、送込み台21及び送出し台23に代えて、ローラ状の送込みプーリ31及び送出しプーリ33を設けている。各プーリ31,33は、各プーリ支持具32,34によって基礎台にそれぞれ支持されている。
【0198】
計量台30は、物品の搬送方向Dに所定の長さ延伸した上面が平面の台である。
【0199】
送込みプーリ31及び送出しプーリ33は、計量台30の、物品16の搬送方向Dの上流側及び下流側に、計量台30に極めて短い間隙をおいて非接触に近接して設置される。
【0200】
計量台30の上流側及び下流側に、送込みプーリ31及び送出しプーリ33をそれぞれ設置することによって、コンベヤベルト25aの周回を円滑にすると共に、基礎台に支持された駆動用のプーリ18が搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25aを回転駆動させるときに、基礎台から鉛直方向に作用する分力を、送込みプーリ31及び送出しプーリ33によって吸収し、計量台30に伝達しないようにしている。
【0201】
装置の構成は、計量台30の上流側及び下流側にそれぞれ送込みプーリ31と送出しプーリ33を近接配置する構造であるからコンパクトである。
【0202】
物品16は、供給フィーダ5の供給口12から送込みプーリ31を走行する搬送コンベヤ25のコンベヤベルト25a上に供給され、送込みプーリ31、計量台30及び送出しプーリ33を走行するコンベヤベルト25a上のみに存在するので、従来例の計量台上を通過する搬送コンベヤのように、計量台から、物品の搬送方向に沿って前後方向に長い距離に亘って物品を支持して搬送する必要がなく、搬送コンベヤ25が物品16によって大きい張力と大きい張力変動を受けることがなく、重量流量を精確に測定できる。
【0203】
なお、この実施形態において、働長Lpを直接測定して設定する場合には、
図9に示すように、計量台30の上面の上流側の端部である搬入端を鉛直に通るラインeと送込みプーリ31の中心を鉛直に通るラインfとの中間を鉛直に通るラインgから、計量台30の上面の下流側の端部である搬出端側における搬入端側と対称なラインまでの距離を測定して設定する。
【0204】
その他の構成及び作用効果は、上記
図1の実施形態と同様である。
【0205】
(その他の実施形態)
図10は、本発明の他の実施形態の
図1に対応する概略構成図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0206】
この実施形態では、物品排出手段として、スクリュー式の供給フィーダ5に代えて、貯留槽1の底部から物品16を、コンベヤ駆動用モータ38で駆動されるベルトコンベヤ40によって引き出し、計量台7上を走行する搬送コンベヤ8のコンベヤベルト8a上に排出させるものである。
【0207】
上記
図7及び
図8の実施形態にも適用できるものである。
【0208】
上記
図1の実施形態では、計量台7と共に、各プーリ14,15、搬送コンベヤ8及び搬送コンベヤ駆動用モータ13を荷重センサ9で一体に支持したけれども、本発明の他の実施形態として、
図11の定量供給システム55´に示すように、計量台7とは別に、各プーリ14,15及び搬送コンベヤ駆動モータ13を基礎台にそれぞれ個別に支持してもよい。
【0209】
上記各実施形態では、搬送コンベヤ8,25上には、横型スクリューの供給フィーダ5によって横方向から物品16を排出して落下供給したけれども、本発明の他の実施形態として、オーガー(縦型スクリュー)によって、上方に配置した貯留槽から下方の搬送コンベヤ8,25上へ物品16を落下供給してもよい。
【0210】
搬送コンベヤによって搬送される物品の重量流量の測定は、上記周回具等を有する構成に限らず、搬送コンベヤを有する従来と同様の重量流量測定装置を用いてもよい。すなわち、上記特開昭59−32935号公報に示されるように、物品の搬送方向に沿って長い搬送コンベヤの複数箇所をキャリヤローラで支持し、更にこれらのキャリヤローラには、搬送コンベヤを荷重センサで支持する計量用のキャリヤローラを設け、この計量用のキャリヤローラ付近の搬送コンベヤ上に存在する物品の重量を、搬送コンベヤと共に、荷重センサによって測定するようにしてもよいし、あるいは、上記特開昭59−180438号公報に示されるように、物品の搬送方向に沿って長い搬送コンベヤの複数箇所を、支持用のキャリヤローラ及び計量台で支持し、計量台上の搬送コンベヤ上に存在する物品の重量を搬送コンベヤと共に測定するようにしてもよい。
【0211】
上記の各荷重センサ4,9は、歪みゲージ式に限らず、フォースバランス式など他の種類のセンサを用いてもよい。
【0212】
搬送コンベヤは、ベルトコンベヤに限らず、チェーンコンベヤ等であってもよい。
【0213】
搬送する物品は、粉粒体に限らず、塊状物等の物品であってもよい。