(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の手法では、撮影した順に画像の位置補正を行っていくため、位置合わせの途中において相互相関の計算に大きな誤差があった場合に、その後の位置補正に影響を及ぼし、全体として位置ずれの目立つ画像が生成されてしまう。例えば、
図11(A)に示すように、水平方向に3枚、垂直方向に3枚の計9枚の画像Pを取得して位置補正を行う場合、従来の手法では、図中丸数字で示すような順番で画像Pを取得しつつ隣接する画像P間の重複領域OA(図中斜線で示す領域)で位置補正を行っていた。この場合、
図11(B)に示すように、例えば4番目の画像と5番目の画像の重複部分における位置補正の計算誤差が大きかったとすると、上下の画像間(2番目の画像と5番目の画像、1番目の画像と6番目の画像、4番目の画像と9番目の画像)で大きな位置ずれが生じてしまう。
図12は、従来の手法により位置補正を行って生成した合成画像(モンタージュ画像)を示す図である。
図12に示す合成画像では、図中楕円で囲んだ部分に大きな位置ずれが見られる。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、位置補正の誤差による影響を軽減して、試料上の複数の領域の画像を高精度に繋ぎ合わせることが可能な画像生成装置及び画像生成方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る画像生成装置は、試料上の複数の領域の画像を、重複領域を設けつつ取得し、当該複数の画像を、位置を補正して繋ぎ合わせることによって、合成画像を生成する画像生成装置であって、前記複数の画像のうちの1つを基準画像として設定する設定部と、前記基準画像と前記基準画像に隣接する画像との重複領域における相互相関の計算を前記基準画像に隣接する画像ごとに行い、それぞれの計算結果に基づき前記基準画像に隣接する複数の画像のうち最も相関のよい1つの画像を選択し、選択した画像の位置を前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正する画像合成部とを含み、前記設定部は、位置が補正された前記画像を前記基準画像として追加設定し、前記画像合成部は、2つの前記基準画像が隣接し、2つの前記画像が隣接し、一方の前記基準画像が一方の前記画像に隣接し、且つ、他方の前記基準画像が他方の前記画像に隣接する場合に、一方の前記基準画像と一方の前記画像との重複領域における相互相関の計算と、他方の前記基準画像と他方の前記画像との重複領域における相互相関の計算とを行い、それぞれの計算結果に基づき2つの前記画像のうち最も相関のよい前記画像を選択し、選択した前記画像の位置を前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正する。
【0007】
また、本発明に係る画像生成方法は、試料上の複数の領域の画像を、重複領域を設けつつ取得し、当該複数の画像を、位置を補正して繋ぎ合わせることによって、合成画像を生成する画像生成方法であって、前記複数の画像のうちの1つを基準画像として設定する設定工程と、前記基準画像と前記基準画像に隣接する画像との重複領域における相互相関の計算を前記基準画像に隣接する画像ごとに行い、それぞれの計算結果に基づき前記基準画像に隣接する複数の画像のうち最も相関のよい1つの画像を選択し、選択した画像の位置を前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正する画像合成工程とを含み、前記設定工程では、位置が補正された前記画像を前記基準画像として追加設定し、前記画像合成工程では、2つの前記基準画像が隣接し、2つの前記画像が隣接し、一方の前記基準画像が一方の前記画像に隣接し、且つ、他方の前記基準画像が他方の前記画像に隣接する場合に、一方の前記基準画像と一方の前記画像との重複領域における相互相関の計算と、他方の前記基準画像と他方の前記画像との重複領域における相互相関の計算とを行い、それぞれの計算結果に基づき2つの前記画像のうち最も相関のよい前記画像を選択し、選択した前記画像の位置を前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正する。
【0008】
本発明によれば、基準画像に隣接する複数の画像のうち、基準画像との相互相関の計算結果に基づき最も相関のよい画像を選択し、選択した画像を優先的に位置補正して基準画像として確定することで、基準画像との相互相関の計算結果に大きな誤差が含まれるような場合であっても、そのような計算結果が採用されることを抑制して、試料上の複数の領域の画像を高精度に繋ぎ合わせることができる。また、本発明によれば、互いに隣接する2つの基準画像と互いに隣接する2つの画像同士が隣接する場合に、基準画像との相互相関の結果に基づき最も相関のよい一方の画像を選択し、選択した画像を位置補正して基準画像として確定することで、複数の領域の画像をより高精度に繋ぎ合わせることができる。
【0009】
(2)本発明に係る画像生成装置では、前記画像合成部は、2つの前記基準画像に隣接する画像が存在する場合に、一方の前記基準画像と当該画像との重複領域における相互相関の計算と、他方の前記基準画像と当該画像との重複領域における相互相関の計算とを行い、それぞれの計算結果に基づき2つの前記基準画像のうち相関のよい前記基準画像を選択し、当該画像の位置を、選択した前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正してもよい。
【0010】
また、本発明に係る画像生成方法では、前記画像合成工程において、2つの前記基準画像に隣接する画像が存在する場合に、一方の前記基準画像と当該画像との重複領域における相互相関の計算と、他方の前記基準画像と当該画像との重複領域における相互相関の計算とを行い、それぞれの計算結果に基づき2つの前記基準画像のうち相関のよい前記基準画像を選択し、当該画像の位置を、選択した前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正してもよい。
【0011】
本発明によれば、2つの基準画像に隣接する画像が存在する場合に、相互相関の結果に基づき最も相関のよい一方の基準画像を選択し、選択した基準画像との相互相関の結果に基づき当該画像を位置補正して基準画像として確定することで、複数の領域の画像をより高精度に繋ぎ合わせることができる。
【0012】
(3)本発明に係る画像生成装置では、前記画像合成部は、前記基準画像との相互相関の計算の結果得られる相互相関像におけるピークの先鋭度に基づき相関のよさを判定してもよい。
【0013】
また、本発明に係る画像生成方法では、前記画像合成工程において、前記基準画像との
相互相関の計算の結果得られる相互相関像におけるピークの先鋭度に基づき相関のよさを判定してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
1.構成
図1は、本実施形態に係る画像生成装置を適用した電子顕微鏡の構成の一例を示す図である。ここでは、電子顕微鏡が、透過型電子顕微鏡(TEM)の構成を有する場合について説明するが、本発明に係る電子顕微鏡は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)の構成を有していてもよいし、走査型電子顕微鏡(SEM)の構成を有していてもよい。なお本実施形態の電子顕微鏡は
図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0017】
図1に示すように、電子顕微鏡1は、電子顕微鏡本体10と、処理部100と、操作部110と、表示部120と、記憶部130とを含む。
【0018】
電子顕微鏡本体10は、電子線源11と、照射レンズ系12と、ビーム偏向器13と、対物レンズ14と、イメージシフト偏向器18と、中間レンズ15と、投影レンズ16と、検出器17と、試料ステージ20と、偏向器制御装置30とを含む。
【0019】
電子線源11は、電子線EBを発生させる。電子線源11は、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する。電子線源11としては、例えば、電子銃を用いることができる。
【0020】
照射レンズ系12は、電子線源11の後段に配置されている。照射レンズ系12は、複数の集束レンズ(図示省略)で構成されている。照射レンズ系12は、試料Sに照射される電子線(入射電子線)の量を調整する。
【0021】
ビーム偏向器13は、照射レンズ系12の後段に配置されている。ビーム偏向器13は、複数の偏向コイルを有し、偏向器制御装置(図示省略)によって制御される。偏向器制御装置は、処理部100からの制御信号に基づき、ビーム偏向器13の複数の偏向コイル
に流れる電流量を制御する。ビーム偏向器13は、偏向器制御装置で各偏向コイルに流れる電流を制御することにより入射電子線を二次元的に偏向させる。これにより、試料Sに対する入射電子線の入射角度(試料に照射される電子線の傾斜方向及び傾斜角度)を変えることができるため、透過波の光路および散乱波の光路を変えることができる。ビーム偏向器13により、入射電子線を対物レンズ14の光軸に一致させるための軸合わせを行うことができる。
【0022】
試料ステージ20は、試料ホルダー(図示省略)を介して試料Sを保持する。試料ステージ20は、試料ホルダーを移動および静止させることにより、試料Sの位置決めを行うことができる。試料ステージ20は、ステージ制御装置(図示省略)によって制御され、試料Sを水平方向(電子線EBの進行方向に対して直交する方向)や鉛直方向(電子線EBの進行方向に沿う方向)に移動させることができる。
【0023】
対物レンズ14は、ビーム偏向器13の後段に配置されている。対物レンズ14は、試料Sを透過した電子線を結像させる。中間レンズ15は、対物レンズ14の後段に配置されている。投影レンズ16は、中間レンズ15の後段に配置されている。中間レンズ15及び投影レンズ16は、試料Sを透過した電子線EBを検出器17に導く。例えば、中間レンズ15及び投影レンズ16は、対物レンズ14の像面もしくは後焦点面(回折図形が形成される面)を投影して検出器17上に結像する。
【0024】
イメージシフト偏向器18は、対物レンズ14の後段に配置されている。イメージシフト偏向器18は、複数の偏向コイルを有し、偏向器制御装置30によって制御される。偏向器制御装置30は、処理部100からの制御信号に基づき、イメージシフト偏向器18の複数の偏向コイルに流れる電流量を制御する。イメージシフト偏向器18は、偏向器制御装置30で各偏向コイルに流れる電流を制御することにより電子線を偏向させ、これにより、視野を変更(移動)することができる。
【0025】
検出器17は、投影レンズ16の後段に配置されている。検出器17は、投影レンズ16によって結像された電子顕微鏡像(透過電子顕微鏡像)を検出する。検出器17の例として、二次元的に配置されたCCD(Charge Coupled Device)で形成された受光面を有するCCDカメラを挙げることができる。検出器17が検出した電子顕微鏡像の像情報は、処理部100に出力される。
【0026】
操作部110は、ユーザが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部100に出力する。操作部110の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネルなどのハードウェアにより実現することができる。
【0027】
表示部120は、処理部100によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。
【0028】
記憶部130は、処理部100の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに、処理部100のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。
【0029】
処理部100は、偏向器制御装置30やステージ制御装置等を制御する処理や、電子顕微鏡像を取得する処理、合成画像を生成する処理等を行う。処理部100の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部100は、画像取得部102、設定部104、画像合成部106を含む。
【0030】
画像取得部102は、検出器17から出力された像情報に基づき電子顕微鏡像を取得す
る。また、画像取得部102は、イメージシフト偏向器18(偏向器制御装置30)を制御して視野を変更しつつ電子顕微鏡像を取得することで、試料S上の複数の領域の画像を、重複領域を設けつつ取得する。なお、視野の変更は、試料ステージ20を移動させる制御により行ってもよいし、イメージシフト偏向器18以外の偏向器(例えば、PLアライメントコイル)を制御することで行ってもよい。
【0031】
設定部104は、画像取得部102で取得された複数の画像のうちの1つを基準画像として設定する。なお、設定部104は、所定のルールに従って、又は操作部110からの操作情報に基づいて、最初(1番目)の基準画像を設定する。
【0032】
画像合成部106は、画像取得部102で取得された各画像の位置を補正して繋ぎ合わせることで合成画像(モンタージュ画像)を生成する。画像合成部106は、設定部104によって設定された基準画像と前記基準画像に隣接する画像との重複領域における相互相関の計算を前記基準画像に隣接する画像ごとに行い、それぞれの計算結果(相互相関像におけるピークの先鋭度(鋭さ))に基づき前記基準画像に隣接する複数の画像のうち最も相関のよい1つの画像を選択し、選択した画像の位置を前記基準画像との相互相関の計算結果(相互相関像におけるピークの位置)に基づき補正する。ここで、設定部104は、画像合成部106によって位置が補正された前記画像を新たな前記基準画像として追加して設定する。
【0033】
また、画像合成部106は、2つの前記基準画像が隣接し、2つの前記画像が隣接し、一方の前記基準画像が一方の前記画像に隣接し、且つ、他方の前記基準画像が他方の前記画像に隣接する場合に、一方の前記基準画像と一方の前記画像との重複領域における相互相関の計算と、他方の前記基準画像と他方の前記画像との重複領域における相互相関の計算とを行い、それぞれの計算結果に基づき2つの前記画像のうち最も相関のよい画像を選択し、一方の前記画像を選択した場合には、一方の前記画像の位置を一方の前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正し、他方の前記画像を選択した場合には、他方の前記画像の位置を他方の前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正してもよい。
【0034】
また、画像合成部106は、2つの前記基準画像に隣接する前記画像が存在する場合に、一方の前記基準画像と当該画像との重複領域における相互相関の計算と、他方の前記基準画像と当該画像との重複領域における相互相関の計算とを行い、それぞれの計算結果に基づき2つの前記基準画像のうち相関のよい前記基準画像を選択し、当該画像の位置を、選択した前記基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正してもよい。
【0035】
また、画像合成部106は、相互相関の計算を行う前に、各画像に対してエッジ強調(Sobel)フィルタとガウシアンフィルタ(平均化、ノイズ除去フィルタ)を施してよい。これにより、相互相関の計算での誤差を低減することができる。
【0036】
2.本実施形態の手法
次に本実施形態の手法について図面を用いて説明する。
【0037】
複数の画像を繋ぎ合わせて合成画像を生成する場合、画像間の重複領域において相互相関の計算を行い、相互相関像におけるピークの位置に基づいて画像の位置を補正する。
図2に、相互相関像の例を示す。
図2に示す相互相関像CI
1では、像中心から水平方向に+1ピクセル、垂直方向に−1ピクセルの位置にピークがあると判定され、このピーク位置(像中心からピーク位置までの距離)が2枚の画像の位置ずれ量となる。
図2に示す相互相関像CI
2では、相互相関像CI
1と比較してピークがブロード(ピークの先鋭度が低い)になっている。これは、相互相関像CI
2の生成に用いた2枚の画像間の重複領域が特徴の少ない画像であることによる。相互相関像CI
2では、像中心から水平方向に
9ピクセル、垂直方向に−23ピクセルの位置にピークがあると判定されたが、実際の位置ずれ量は1ピクセル程度であった。すなわち、相互相関像におけるピークの先鋭度が低いほど、位置補正の計算誤差が大きくなる。
【0038】
そこで本実施形態の手法では、基準画像に隣接する複数の画像のうち、基準画像との相互相関の計算結果に基づき最も相関のよい画像を選択し、選択した画像を優先的に位置補正して新たな基準画像として確定する。相関のよさは、相互相関の計算の結果得られる相互相関像におけるピークの先鋭度(ピークの幅)に基づき判定し、相互相関像におけるピークの先鋭度が高い(ピークの幅が小さい)ほど相関がよいと判定する。このようにすると、基準画像との相互相関の計算結果(ピーク位置の判定結果)に大きな誤差が含まれるような場合であっても、このような計算結果が採用されることを抑制して、より最適な(誤差の少ない)計算結果を用いて位置補正を行うことができ、試料上の複数の領域の画像を高精度に繋ぎ合わせることができる。
【0039】
相互相関像におけるピークの先鋭度を求める際には、例えば、相互相関像のラインプロファイルにおけるピークの形状がガウス分布に従うと仮定して、相互相関像のピーク位置におけるピクセル値と、ピークに隣接する(或いは、ピークから等距離離れた)2点の位置におけるピクセル値との合計3点の位置におけるピクセル値を用いて、ガウス関数を求め(3点のピクセル値をガウス関数でフィッティングし)、求めたガウス関数の半値幅(或いは、係数の値)に基づきピークの先鋭度を求める。この場合、半値幅が小さいほど先鋭度が高いとする。また、ガウス関数に代えて二次関数を求めてもよい。また、相互相関像におけるピークの微分の絶対値(ピークのピクセル値とピークの両隣のピクセル値との差分の絶対値と等価)に基づきピークの先鋭度を求めてもよい。また、ピークの2次微分の絶対値に基づきピークの先鋭度を求めてもよい。この場合、ピークの微分或いは2次微分の絶対値が大きいほど先鋭度が高いとする。また、上記の複数の手法を任意に組み合わせてピークの先鋭度を求めてもよい。
【0040】
以下、水平方向に5枚、垂直方向に5枚の計25枚の画像を取得して合成画像を生成する場合を例にとって、模式図を用いて位置補正の流れについて説明する。
【0041】
図3(A)に示すように、まず、25枚の画像P
1〜P
25のうち、撮影領域の中心に位置する画像P
13を基準画像(最初の基準画像)として設定する。図中、基準画像として設定した画像は斜線で示されており、また、画像間の重複領域については図示を省略している。なお、25枚の画像P
1〜P
25のうち、撮影領域の4隅(右上、左上、右下、左下)のいずれかに位置する画像を最初の基準画像として設定してもよいし、操作部110を用いてユーザが選択した画像を最初の基準画像として設定してもよい。
【0042】
次に、基準画像P
13に隣接する(辺で接する)4つの画像P
8、P
14、P
18、P
12を対象として、基準画像P
13と画像P
8、P
14、P
18、P
12との重複領域における相互相関の計算を対象となる画像ごとに行い、それぞれの計算結果(相互相関像におけるピークの先鋭度)に基づき画像P
8、P
14、P
18、P
12のうち最も相関のよい画像を選択し、選択した画像の位置を、基準画像P
13との相互相関の計算結果(相互相関像におけるピークの位置)に基づき補正する。例えば、基準画像P
13と画像
14との相互相関の計算の結果得られる相互相関像におけるピークの先鋭度が最も高いと判定された場合、最も相関のよい画像として画像P
14が選択され、画像P
14の位置が基準画像P
13との相互相関の計算結果に基づき補正される。位置が補正された画像P
14は、新たな基準画像として追加設定される(
図3(B)参照)。なお、図中、相互相関計算の対象となる画像は太線で示されている。
【0043】
次に、水平方向(左右方向)に隣接する基準画像P
13、P
14の上辺に接する2つの
画像P
8、P
7を対象として、基準画像P
13(一方の基準画像)と画像P
8(一方の画像)との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
14(他方の基準画像)と画像P
7(他方の画像)との重複領域における相互相関の計算とを行う。そして、それぞれの計算結果に基づき画像P
8、P
7のうち最も相関のよい画像を選択し、選択した画像の位置を、相互相関の計算結果に基づき補正する。例えば、最も相関のよい画像として画像P
8が選択された場合、画像P
8の位置が基準画像P
13との相互相関の計算結果に基づき補正される。位置が補正された画像P
8は基準画像として追加設定される(
図3(C)参照)。なお、基準画像P
13、P
14の下辺に接する2つの画像P
18、P
17を対象とした相互相関の計算を先に行ってもよい。また、2つの基準画像が垂直方向(上下方向)に隣接する場合には、当該2つの基準画像の右辺又は左辺に接する2つの画像を対象として相互相関の計算と位置補正を行う。
【0044】
次に、2つの基準画像P
8、P
14に隣接する(隣り合う2辺で接する)画像P
7を対象として、基準画像P
8(一方の基準画像)と画像P
7との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
14(他方の基準画像)と画像P
7との重複領域における相互相関の計算とを行う。そして、それぞれの計算結果に基づき基準画像P
8、P
14のうち最も相関のよい基準画像を選択し、対象となる画像P
7の位置を、選択した基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正する。例えば、最も相関のよい基準画像として基準画像P
8が選択された場合、画像P
7の位置が基準画像P
8との相互相関の計算結果に基づき補正される。位置が補正された画像P
7は基準画像として追加設定される(
図4(A)参照)。
【0045】
次に、水平方向に隣接する基準画像P
13、P
14の下辺に接する2つの画像P
8、P
7を対象として相互相関の計算と位置補正を行う。すなわち、基準画像P
13と画像P
18との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
14と画像P
17との重複領域における相互相関の計算とを行い、最も相関のよい画像の位置を相互相関の計算結果に基づき補正する。例えば、最も相関のよい画像として画像P
17が選択された場合、画像P
17の位置が基準画像P
14との相互相関の計算結果に基づき補正され、画像P
17は基準画像として追加設定される(
図4(B)参照)。続いて、2つの基準画像P
13、P
17に隣接する画像P
18を対象として、基準画像P
13と画像P
18との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
17と画像P
18との重複領域における相互相関の計算とを行い、画像P
18の位置を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算結果に基づき補正する。位置が補正された画像P
18は基準画像として追加設定される(
図4(C)参照)。
【0046】
次に、垂直方向に隣接する基準画像P
8、P
13、P
18の左辺に接する3つの画像P
9、P
12、P
19を対象として相互相関の計算と位置補正を行う。すなわち、基準画像P
8と画像P
9との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
13と画像P
12との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
18と画像P
19との重複領域における相互相関の計算とを行い、最も相関のよい画像の位置を相互相関の計算結果に基づき補正する。例えば、最も相関のよい画像として画像P
12が選択された場合、画像P
12の位置が基準画像P
13との相互相関の計算結果に基づき補正され、画像P
12は基準画像として追加設定される(
図5(A)参照)。続いて、2つの基準画像P
8、P
12に隣接する画像P
9を対象として、基準画像P
8と画像P
9との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
12と画像P
9との重複領域における相互相関の計算とを行い、画像P
9を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算結果に基づき位置補正して基準画像として追加設定する(
図5(B)参照)。また、2つの基準画像P
12、P
18に隣接する画像P
19を対象として、基準画像P
12と画像P
19との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
18と画像P
19との重複領域における相互相関の計算とを行い、画像P
19を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算結果に基づき位置補正して基準画像として追加設定する(
図5(C)参照)。
【0047】
以上のようにして、最初に設定された基準画像P
13(最初の基準画像)の周囲の画像についての位置補正が完了する。すなわち、本実施形態の手法では、最初に設定した基準画像が複数の基準画像の中心に位置し且つ複数の基準画像の外形を基準画像と相似の形状(ここでは、正方形)に近づけるように、基準画像を追加して設定していく。
【0048】
次に、複数の基準画像に隣接する(辺で接する)12枚の画像P
2〜P
4、P
6、P
15、P
16、P
22〜P
24、P
20、P
11、P
10を対象として、隣接する基準画像との重複領域における相互相関の計算を画像ごとに行い、最も相関のよい画像の位置を相互相関の計算結果に基づき補正する。例えば、最も相関のよい画像として画像P
3が選択された場合、画像P
3の位置が基準画像P
8との相互相関の計算結果に基づき補正され、画像P
3は基準画像として追加設定される(
図6(A)参照)。続いて、2つの基準画像P
3、P
9に隣接する画像P
2を対象として、基準画像P
3と画像P
2との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
9と画像P
2との重複領域における相互相関の計算とを行い、画像P
2を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算結果に基づき位置補正して基準画像として追加設定する(
図6(B)参照)。また、2つの基準画像P
3、P
7に隣接する画像P
4を対象として、基準画像P
3と画像P
4との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
7と画像P
4との重複領域における相互相関の計算とを行い、画像P
4を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算結果に基づき位置補正して基準画像として追加設定する(
図6(C)参照)。
【0049】
次に、基準画像P
2〜P
4の反対側に位置する(水平方向に隣接する基準画像P
17〜P
19の下辺に接する)3つの画像P
22〜P
24を対象として、隣接する基準画像との重複領域における相互相関の計算を行い、最も相関のよい画像の位置を相互相関の計算結果に基づき補正する。例えば、最も相関のよい画像として画像P
22が選択された場合、画像P
22の位置が基準画像P
19との相互相関の計算結果に基づき補正され、画像P
22は基準画像として追加設定される(
図7(A)参照)。続いて、2つの基準画像P
18、P
22に隣接する画像P
23を対象として、基準画像P
18と画像P
23との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
22と画像P
23との重複領域における相互相関の計算とを行い、画像P
23を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算結果に基づき位置補正して基準画像として追加設定する(
図7(B)参照)。また、2つの基準画像P
17、P
23に隣接する画像P
24を対象として、基準画像P
17と画像P
24との重複領域における相互相関の計算と、基準画像P
23と画像P
24との重複領域における相互相関の計算とを行い、画像P
24を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算結果に基づき位置補正して基準画像として追加設定する(
図7(C)参照)。
【0050】
次に、垂直方向に隣接する基準画像P
2、P
9、P
12、P
19、P
22の左辺に接する5つの画像P
1、P
10、P
11、P
20、P
21を対象として、同様に、隣接する基準画像との重複領域における相互相関の計算を行い、最も相関のよい画像を、相互相関の計算結果に基づき位置補正して基準画像として追加設定し、また、2つの基準画像に隣接する画像を対象として相互相関の計算を行い、当該画像を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算結果に基づき位置補正して基準画像として追加設定する(
図8(A)参照)。同様に、垂直方向に隣接する基準画像P
4、P
7、P
14、P
17、P
24の右辺に接する5つの画像P
5、P
6、P
15、P
16、P
25を対象として、相互相関の計算と位置補正を行って基準画像として追加設定する(
図8(B)参照)。以上のようにして、
図5(C)における9つの基準画像の周囲の画像についての位置補正が完了し、取得した25枚全ての画像についての処理が完了する。
【0051】
本実施形態の手法によれば、最初に設定した基準画像に辺で接する4つの画像を対象として相互相関の計算を行い、最も相関のよい画像を位置補正して基準画像として確定し、
次に、水平方向に隣接する複数の基準画像の上辺又は下辺に接する(或いは、垂直方向に隣接する複数の基準画像の右辺又は左辺に接する)複数の画像を対象として相互相関の計算を行い、最も相関のよい画像を位置補正して基準画像として確定し、続いて、2つの基準画像に2辺で接する画像を対象として相互相関の計算を行い、最も相関のよい一方の基準画像との相互相関の結果に基づき当該画像を位置補正して基準画像として確定し、また、最初に設定した基準画像に近い位置にあり且つ相関のよい画像から順に位置補正して基準画像として確定していく(複数の基準画像の外形が、最初に設定した基準画像を中心として同心円状に広がっていくように基準画像を追加設定していく)ことで、基準画像間に大きな位置ずれが生じてしまうことを抑制することができ、複数の領域の画像をより高精度に繋ぎ合わせることができる。
【0052】
図9は、本実施形態の手法により位置補正を行って生成した合成画像を示す図である。
図9に示す合成画像では、複数の領域の画像が位置ずれなく高精度に繋ぎ合わされていることが分かる。
【0053】
3.処理
図10は、処理部100における処理の流れを示す。まず、設定部104は、画像取得部で取得された複数の画像のうちの1つ(例えば、撮影領域の中心に位置する画像)を基準画像として設定する(ステップS10)。
【0054】
次に、画像合成部106は、基準画像に隣接する複数の画像を対象として、基準画像との相互相関(重複領域における相互相関)を計算し、相互相関像におけるピークの先鋭度に基づき最も相関のよい画像を選択する(ステップS12)。ここで、基準画像が1つである場合(
図3(A)参照)は、基準画像の4辺に接する4つの画像を対象とする。また、複数の基準画像の外形が基準画像と相似の形状であり且つ複数の基準画像の中心に最初に設定した基準画像が位置する場合(
図5(C)参照)には、複数の基準画像の外縁に接する複数の画像を対象とし、それ以外の場合(
図3(B)、
図4(A)、
図4(C)、
図6(C)、
図7(C)、
図8(A))には、一方向に隣接する複数の基準画像の1辺に接する複数の画像を対象とする。次に、画像合成部106は、最も相関のよい画像の位置を相互相関像におけるピークの位置に基づき補正し(ステップS14)、設定部104は、位置補正が行われた画像を基準画像として追加設定する(ステップS16)。
【0055】
次に、画像合成部106は、2つの基準画像に隣接する画像があるか否かを判断し(ステップS18)、当該画像がある場合(ステップS18のY)には、当該画像を対象として、基準画像との相互相関を計算し、相互相関像におけるピークの先鋭度に基づき最も相関のよい基準画像を選択する(ステップS20)。当該画像がない場合(ステップS18のN)には、ステップS30に移行する。次に、画像合成部106は、対象となる画像の位置を、最も相関のよい基準画像との相互相関の計算の結果得られる相互相関像におけるピークの位置に基づき補正し(ステップS22)、設定部104は、位置補正が行われた画像を基準画像として追加設定する(ステップS24)。次に、画像合成部106は、2つの基準画像に隣接する画像があるか否かを判断し(ステップS26)、当該画像がある場合(ステップS26のY)には、ステップS18に移行し、2つの基準画像に隣接する画像の全てを基準画像として確定するまでステップS18以降の処理を繰り返す。
【0056】
次に、処理部100は、画像取得部102で取得された全ての画像を処理(基準画像として設定)したか否かを判断し(ステップS28)、全ての画像を処理していない場合(ステップS28のN)には、ステップS12に移行し、全ての画像を処理するまでステップS12以降の処理を繰り返す。
【0057】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であ
る。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。