特許第6478873号(P6478873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478873
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】水中電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/08 20060101AFI20190225BHJP
【FI】
   F04D13/08 E
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-166145(P2015-166145)
(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公開番号】特開2017-44114(P2017-44114A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】福森 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】西村 武幸
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−119602(JP,U)
【文献】 特開昭53−122108(JP,A)
【文献】 特開2014−156789(JP,A)
【文献】 特開2007−332825(JP,A)
【文献】 特開2003−334575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより駆動される羽根車が配置されたポンプ室と、
摺動部を有するメカニカルシールが設けられ、前記モータと前記ポンプ室との間に配置されたオイル室と、
前記ポンプ室の水圧を検知する圧力センサと、
前記圧力センサの検知結果に基づいて、前記モータと前記オイル室とを含む本体内側部の少なくとも一部を加圧する加圧装置とを備え
前記加圧装置は、前記本体内側部の複数箇所を加圧する場合には、前記ポンプ室側よりも前記モータ側の方が大きい圧力になるように加圧するように構成されている、水中電動ポンプ。
【請求項2】
前記加圧装置は、前記本体内側部を前記ポンプ室の水圧よりも大きい圧力により加圧するように構成されている、請求項1に記載の水中電動ポンプ。
【請求項3】
前記加圧装置は、前記モータおよび前記オイル室のうち少なくとも一方を加圧するように構成されている、請求項1または2に記載の水中電動ポンプ。
【請求項4】
前記本体内側部は、前記モータと前記オイル室との間に配置された流体貯留部をさらに含み、
前記加圧装置は、前記モータ、前記オイル室、および、前記流体貯留部のうち少なくとも1つを加圧するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項5】
前記ポンプは、水を吐出する吐出口を含み、
前記吐出口から吐出される水に酸素を含む空気を供給する空気供給管をさらに備え、
前記加圧装置は、前記空気供給管に接続され、前記本体内側部の加圧に加えて、前記空気供給管から供給される酸素を含む空気も加圧するように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項6】
前記加圧装置は、加圧時に前記本体内側部に供給する空気から水分を取り除く除湿部を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項7】
前記メカニカルシールは、少なくとも前記オイル室の前記ポンプ室側に設けられている、請求項1〜のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中電動ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ室の圧力水がモータ内へ侵入することのないように、ポンプ室とモータとの間にメカニカルシールが設けられたオイル室を備えた小型の水中電動ポンプが知られている。しかし、この水中電動ポンプでは、メカニカルシールの摺動部の摩耗や面荒れにより、摺動部からオイル室に入った圧力水やオイル等がモータ内へ流入することがあるという不都合がある。
【0003】
そこで、圧力水やオイル等がモータ内へ流入するのを防止するため、オイル室内に浸水検出センサを設置して、オイル室内への浸水を検知することにより、モータへの通電を遮断する水中ポンプ(水中電動ポンプ)が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。また、ポンプ室の圧力水やオイル室内のオイルをモータ内へ浸入させないようにオイル室とモータとの間に浸水溜り室をさらに設けることによって、浸水溜り室内での浸水検知器による浸水の検知に基づいてモータへの通電を遮断するまでの時間を長く確保する構成を有する水中ポンプ(水中電動ポンプ)も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−310091号公報
【特許文献2】特開2007−332825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の水中ポンプ(水中電動ポンプ)では、ポンプ室の圧力水がオイル室内に浸水したことを、浸水検知センサにより検知した場合に、圧力水やオイル等がモータ内へ流入するのを最小限に抑えるために、水中ポンプを強制的に停止させて水中から引き上げて、ポンプケーシングやオイルケーシング等を取外して、メンテナンス作業を行なった上で復旧させる必要がある。この場合、運転を継続するためには、予備の水中ポンプを保有して、予備の水中ポンプにより緊急対応をしなければならない。このため、維持管理に多くの労力が必要になるという問題点がある。
【0006】
また、上記特許文献2の水中ポンプ(水中電動ポンプ)では、オイル室とモータとの間に浸水溜まり室を設けているため、モータへの通電を遮断するまでの時間を長く確保することができるものの、浸水溜まり室を設ける分、構造が複雑化してしまうと同時に、ポンプの全高が高くなり大型化する。また、浸水検知器により浸水溜まり室への浸水を検知した場合には、上記特許文献1の水中ポンプと同様に、水中ポンプを強制的に停止させて水中から引き上げて、メンテナンス作業を行なった上で復旧させる必要がある。この場合、運転を継続するためには、予備の水中ポンプにより緊急対応をしなければならない。このため、維持管理に多くの労力が必要になるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、維持管理を容易に行うことが可能な水中電動ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の局面による水中電動ポンプは、モータと、モータにより駆動される羽根車が配置されたポンプ室と、摺動部を有するメカニカルシールが設けられ、モータとポンプ室との間に配置されたオイル室と、ポンプ室の水圧を検知する圧力センサと、圧力センサの検知結果に基づいて、モータとオイル室とを含む本体内側部の少なくとも一部を加圧する加圧装置とを備え、加圧装置は、本体内側部の複数箇所を加圧する場合には、ポンプ室側よりもモータ側の方が大きい圧力になるように加圧するように構成されている。
【0009】
この発明の一の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、ポンプ室の水圧を検知する圧力センサの検知結果に基づいて、モータとオイル室とを含む本体内側部の少なくとも一部を加圧する加圧装置を設ける。これにより、加圧装置により、本体内側部の少なくとも一部を加圧することができるので、ポンプ室からモータおよびオイル室を含む本体内側部への浸水を抑制することができる。その結果、ポンプケーシングやオイルケーシング等を取外して、メンテナンス作業を行う必要がない。また、圧力センサの検知結果に基づいて加圧されるので、過度に本体内側部に圧力を加える必要がない。これにより、加圧装置および加圧装置により加圧される本体内側部に過度な負荷がかかるのを抑制することができる。したがって、本発明では、本体内側部に過度な負荷が掛かるのを抑制しながら、本体内側部への浸水を抑制することができる。また、運転を継続するために、予備の水中ポンプを保有する必要もない。その結果、維持管理に多くの労力および費用を必要とせず、水中電動ポンプの維持管理を容易に行うことができる。また、加圧装置を、本体内側部の複数箇所を加圧する場合には、ポンプ室側よりもモータ側の方が大きい圧力になるように加圧するように構成することにより、モータ側よりも圧力が低い側であるオイル室に圧力水が浸水することあったとしても、モータに近づくほど、本体内側部の流体に対して大きな圧力が加えられるので、モータに至るまでの間において、侵入した流体を留めておくことができる。また、モータ側の空間への流体昇りを効果的に抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、加圧装置は、本体内側部をポンプ室の水圧よりも大きい圧力により加圧するように構成されている。このように構成すれば、加圧装置によって、本体内側部がポンプ室の水圧よりも大きい圧力により加圧されるので、ポンプ室からモータおよびオイル室を含む本体内側部への浸水を効果的に抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、加圧装置は、モータおよびオイル室のうち少なくとも一方を加圧するように構成されている。このように構成すれば、モータおよびオイル室のうち少なくとも一方を加圧して、ポンプ室からモータおよびオイル室を含む本体内側部への浸水を容易に抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、本体内側部は、モータとオイル室との間に配置された流体貯留部をさらに含み、加圧装置は、モータ、オイル室、および、流体貯留部のうち少なくとも1つを加圧するように構成されている。このように構成すれば、モータ、オイル室、および、流体貯留部のうち少なくとも1つを加圧して、ポンプ室からモータ、オイル室、および、流体貯留部を含む本体内側部への浸水を容易に抑制することができる
【0013】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、ポンプは、水を吐出する吐出口を含み、吐出口から吐出される水に酸素を含む空気を供給する空気供給管をさらに備え、加圧装置は、空気供給管に接続され、本体内側部の加圧に加えて、空気供給管から供給される酸素を含む空気も加圧するように構成されている。このように構成すれば、水深の深い位置に水中電動ポンプを設置した場合でも、水圧によって酸素を含む空気が弾かれるのを抑制することができるので、水と共に酸素を含む空気を吐出することができる。その結果、水中への酸素を含む空気の供給を行うことができるので、水中電動ポンプが設置された池や槽内の水の腐敗を抑制することができる。また、1つの加圧装置で本体内側部の加圧、および、空気供給管から供給される酸素を含む空気を加圧することができるので、別々の加圧装置を設けて加圧する場合と比べて、装置構成を簡素化することができる。
【0014】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、加圧装置は、加圧時に本体内側部に供給する空気から水分を取り除く除湿部を含む。このように構成すれば、除湿部により乾燥した空気を本体内側部に供給することができるので、水中電動ポンプ内に錆びや結露が発生するのを抑制することができる。
【0015】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、メカニカルシールは、少なくともオイル室のポンプ室側に設けられている。このように構成すれば、ポンプ室からオイル室への浸水を効果的に抑制することができる。また、オイル室のポンプ室側にメカニカルシールを設けて、オイル室のポンプ室と反対側にメカニカルシールを設けない場合は、メカニカルシールの構成を簡素化することができるとともに、ポンプ室と反対側にメカニカルシールを設けない分、ポンプ室と反対側(モータ側)のメカニカルシールにオイルを供給するための機構(オイルリフター等)を設ける必要がなくなり、オイル室に充填されるオイルの量を減らしてオイル室内のオイルの液位を低くすることができ、モータへの流体昇りが生じるリスクを低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記のように、維持管理を容易に行うことが可能な水中電動ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1第1参考例による水中電動ポンプを示した概略図である。
図2第2参考例による水中電動ポンプを示した概略図である。
図3】本発明の第実施形態による水中電動ポンプを示した概略図である。
図4第3参考例による水中電動ポンプを示した概略図である。
図5第4参考例による水中電動ポンプを示した概略図である。
図6第5参考例による水中電動ポンプを示した概略図である。
図7】本発明の第実施形態による水中電動ポンプを示した概略図である。
図8】本発明の第実施形態による水中電動ポンプを示した概略図である。
図9第6参考例による水中電動ポンプを示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、参考例および本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
第1参考例
(水中電動ポンプの構成)
図1を参照して、第1参考例について説明する。第1参考例による水中電動ポンプ100は、図1に示すように、水中に配置される水中電動ポンプ本体部101を備えている。水中電動ポンプ本体部101は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5とを備えている。モータ1には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部101には、制御部10が接続されている。また、モータ1とポンプ室4とオイル室5とは、共に、水中電動ポンプ本体部101の内側部(本体内側部)である。また、水中電動ポンプ本体部101は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0020】
モータ1は、固定子11と、回転子12とを含んでいる。モータ1は、外部からの水が浸入しないように、密閉されている。また、モータ1は、羽根車3(回転軸2)を回転駆動させるように構成されている。
【0021】
固定子11は、コイルを有する。また、固定子11は、モータ1の外周部に配置されている。また、ケーブル13より固定子11のコイルに電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。回転子12は、固定子11と対向するようにモータ1の内側に配置されている。また、回転子12は、回転軸2に取り付けられている。また、回転子12は、固定子11からの磁界により回転するように構成されている。
【0022】
回転軸2は、モータ1の駆動により回転するように構成されている。また、回転軸2は、モータ1の駆動を羽根車3に伝達するように構成されている。また、回転軸2は、ベアリング21および22により回転可能に支持されている。ベアリング21は、モータ1の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)に設けられている。ベアリング22は、モータ1の負荷側(ポンプ室4側)に設けられている。また、回転軸2は、モータ1からオイル室5を貫通してポンプ室4まで延びるように配置されている。また、回転軸2のポンプ室4側端部には、羽根車3が取り付けられている。
【0023】
羽根車3は、ポンプ室4内に配置されている。また、羽根車3は、回転駆動することにより、水に速度エネルギーを与える。そして、ポンプ室4内にて水の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換されることによって、水に圧力が作用されて送られるように構成されている。つまり、羽根車3の回転駆動により、ポンプ室4の吸水口41から水が吸い上げられて、吐出口42から吸い上げられた水が吐出される。
【0024】
ここで、第1参考例では、ポンプ室4には、ポンプ室4の圧力(水圧)を検知する圧力センサ43が設けられている。圧力センサ43は、ケーブル13を介して制御部10に接続されている。圧力センサ43は、検知したポンプ室4内の圧力(水圧)の情報を制御部10に送信するように構成されている。
【0025】
オイル室5は、モータ1およびポンプ室4の間に配置されている。オイル室5内には、オイルが充填されている。オイル室5のモータ1側は、壁51が配置されている。また、オイル室5内には、摺動部52aを有するメカニカルシール52が設けられている。メカニカルシール52は、オイル室5に充填されたオイルにより摺動部52aが潤滑されるとともに、オイルにより摺動部52aが焼付かないように冷却されるように構成されている。メカニカルシール52の摺動部52aは、負荷側(ポンプ室4側)に設けられている。メカニカルシール52の摺動部52aは、ポンプ室4の圧力水がオイル室5に入らないように設けられている。
【0026】
メカニカルシール52は、固定部材521と、回転部材522と、バネ523と、支持部材524とを含んでいる。固定部材521は、摺動面521aを有している。回転部材522は、摺動面522aを有している。固定部材521は、オイル室5のハウジングに固定されている。また、固定部材521は、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。回転部材522は、回転軸2に取り付けられている。つまり、回転部材522は、回転軸2とともに回転するように構成されている。また、回転部材522は、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。また、回転部材522は、バネ523により、固定部材521側に付勢されている。バネ523は、ポンプ室4側が回転部材522に当接するとともに、オイル室5側が支持部材524に当接している。
【0027】
支持部材524は、バネ523の上側を押さえるように支持するように構成されている。また、支持部材524は、回転軸2に取り付けられている。また、支持部材524は、円環状に形成されている。
【0028】
固定部材521および回転部材522は、回転軸2の軸方向に対向するように配置されている。摺動部52aでは、固定部材521の摺動面521aと、回転部材522の摺動面522aとが、互いに摺動するように構成されている。また、摺動面521aおよび522aの間には、オイル室5内のオイルがわずかに入るように構成されている。これにより、摺動面521aおよび522aが潤滑されるとともに、摺動部52a(オイル室5)がシールされるように構成されている。
【0029】
また、オイル室5のモータ1側は、シール53により封止されている。シール53は、たとえば、オイルシールやシールリップまたは回転軸2と摺動するリップ部に傾斜リブや溝などの負荷側に推力発生する機構を有したシールが用いられる。
【0030】
加圧装置6は、管61、弁61aおよび除湿フィルタ61bを介してモータ1に接続されている。また、加圧装置6は、モータ1を、加圧するように構成されている。また、加圧装置6は、モータ1に加える圧力を調整可能に構成されている。加圧装置6は、たとえば、コンプレッサーにより構成されている。また、加圧装置6は、制御部10に接続されている。弁61aは、加圧装置6を駆動させてモータ1を加圧する場合は開けられるように構成されている。また、弁61aは、水中電動ポンプ100(モータ1)の駆動時は開けられ、水中電動ポンプ100(モータ1)の停止時は閉じられるように構成されている。つまり、加圧装置6は、モータ1が動いている間において、モータ1を加圧するように構成されている。除湿フィルタ61bは、管61の途中に設けられている。また、除湿フィルタ61bは、シリカゲルなどの乾燥剤を有している。また、除湿フィルタ61bは、加圧時に、モータ1に供給する空気から水分を取り除くように構成されている。なお、除湿フィルタ61bは、特許請求の範囲の「除湿部」の一例である。
【0031】
制御部10は、ケーブル13を介して水中電動ポンプ本体部101に接続されている。制御部10は、水中電動ポンプ本体部101を駆動させるための制御盤に設けられている。また、制御部10は、モータ1の駆動を制御するように構成されている。また、制御部10は、加圧装置6を制御するように構成されている。
【0032】
ここで、第1参考例では、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、モータ1を加圧装置6により加圧するように構成されている。具体的には、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、モータ1内の圧力を、加圧装置6によりポンプ室4の水圧よりも大きい圧力により加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、モータ1を加圧するように構成されている。
【0033】
第1参考例の効果)
第1参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0034】
第1参考例では、上記のように、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、モータ1を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、加圧装置6により、モータ1内の圧力をポンプ室4内の圧力より高くなるように加圧することができるので、モータ1内部への浸水を抑制することができる。その結果、ポンプケーシングやオイルケーシング等を取外して、メンテナンス作業を行う必要がない。また、圧力センサ43の検知結果に基づいて加圧されるので、過度に本体内側部に圧力を加える必要がない。これにより、加圧装置6および加圧装置6により加圧される本体内側部に過度な負荷がかかるのを抑制することができる。したがって、本体内側部に過度な負荷が掛かるのを抑制しながら、本体内側部への浸水を抑制することができる。また、運転を継続するために、予備の水中ポンプを保有する必要もない。その結果、維持管理に多くの労力および費用を必要とせず、水中電動ポンプ100の維持管理を容易に行うことができる。
【0035】
また、第1参考例では、上記のように、加圧装置6を、モータ1をポンプ室の水圧よりも大きい圧力により加圧するように構成する。これにより、加圧装置6によって、本体内側部がポンプ室4の水圧よりも大きい圧力により加圧されるので、ポンプ室4からモータ1およびオイル室5を含む本体内側部への浸水を効果的に抑制することができる。
【0036】
また、第1参考例では、上記のように、加圧装置6を、モータ1を加圧するように構成する。これにより、モータ1を加圧して、ポンプ室4からモータ1を含む本体内側部への浸水を容易に抑制することができる。
【0037】
また、第1参考例では、上記のように、加圧装置6に、加圧時に本体内側部に供給する空気から水分を取り除く除湿フィルター61bを設ける。これにより、除湿フィルター61bにより乾燥した空気を本体内側部に供給することができるので、水中電動ポンプ100内に錆びや結露が発生するのを抑制することができる。
【0038】
また、第1参考例では、上記のように、メカニカルシール52を、オイル室5のポンプ室4側に設ける。これにより、ポンプ室4からオイル室5への浸水を効果的に抑制することができる。また、オイル室5のポンプ室4側にメカニカルシール52を設けて、オイル室5のポンプ室4と反対側(モータ1側)にメカニカルシール52を設けない場合は、メカニカルシール52の構成を簡素化することができるとともに、ポンプ室4と反対側(モータ1側)にメカニカルシール52を設けない分、ポンプ室4と反対側(モータ1側)のメカニカルシール52にオイルを供給するための機構(オイルリフター等)を設ける必要がなくなり、オイル室5に充填されるオイルの量を減らしてオイル室5内のオイルの液位を低くすることができ、モータ1への流体昇りが生じるリスクを低減することができる。
【0039】
第2参考例
次に、図2を参照して、第2参考例について説明する。この第2参考例では、加圧装置6によりモータ1を加圧する構成を備える第1参考例とは異なり、加圧装置6によりオイル室5を加圧する構成を備える例について説明する。
【0040】
図2に示すように、第2参考例による水中電動ポンプ200は、水中に配置される水中電動ポンプ本体部201を備えている。水中電動ポンプ本体部201は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5とを備えている。水中電動ポンプ本体部201には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部201には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部201は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0041】
ここで、第2参考例では、加圧装置6は、オイル室5を加圧するように構成されている。具体的には、加圧装置6は、管62、弁62aおよび除湿フィルタ62bを介してオイル室5に接続されている。また、加圧装置6は、オイル室5に加える圧力を調整可能に構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧よりも大きい圧力になるように、オイル室5を加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、オイル室5を加圧するように構成されている。また、除湿フィルタ62bは、加圧時に、オイル室5に供給する空気から水分を取り除くように構成されている。
【0042】
また、第2参考例では、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、オイル室5を加圧装置6により加圧するように構成されている。
【0043】
なお、第2参考例のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。
【0044】
第2参考例の効果)
第2参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0045】
第2参考例では、上記第1参考例と同様に、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、オイル室5を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、水中電動ポンプ200の維持管理を容易に行うことができる。また、圧力水のオイル室5への浸水を効果的に抑制することができる。
【0046】
なお、第2参考例のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。
【0047】
[第実施形態]
次に、図3を参照して、本発明の第実施形態について説明する。この第実施形態では、加圧装置6によりモータ1を加圧する構成を備える第1参考例とは異なり、加圧装置6によりモータ1およびオイル室5をそれぞれ加圧する構成を備える例について説明する。
【0048】
図3に示すように、第実施形態による水中電動ポンプ300は、水中に配置される水中電動ポンプ本体部301を備えている。水中電動ポンプ本体部301は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5とを備えている。水中電動ポンプ本体部301には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部301には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部301は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0049】
ここで、第実施形態では、加圧装置6は、モータ1およびオイル室5を加圧するように構成されている。具体的には、加圧装置6は、管61、弁61aおよび除湿フィルタ61bを介してモータ1に接続されている。また、加圧装置6は、管62、弁62aおよび除湿フィルタ62bを介してオイル室5に接続されている。また、加圧装置6は、モータ1およびオイル室5に加える圧力をそれぞれ調整可能に構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧よりも大きい圧力になるように、モータ1およびオイル室5をそれぞれ加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、オイル室5を加圧するように構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.21倍(オイル室5の約1.1倍)の圧力になるように、モータ1を加圧するように構成されている。
【0050】
また、第実施形態では、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、モータ1およびオイル室5を加圧装置6により加圧するように構成されている。
【0051】
なお、第実施形態のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。
【0052】
(第実施形態の効果)
実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0053】
実施形態では、上記第1参考例と同様に、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、モータ1およびオイル室5を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、水中電動ポンプ300の維持管理を容易に行うことができる。
【0054】
また、第実施形態では、上記のように、加圧装置6は、本体内側部の複数箇所を加圧するとともに、ポンプ室4側よりもモータ1側の方が大きい圧力になるように加圧する。これにより、モータ1側よりも圧力が低い側であるオイル室5に圧力水が浸水することあったとしても、モータ1に近づくほど、本体内側部の流体に対して大きな圧力が加えられるので、モータ1に至るまでの間において、侵入した流体を留めておくことができる。また、モータ1側の空間への流体昇りを抑制することができる。
【0055】
なお、第実施形態のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。
【0056】
第3参考例
次に、図4を参照して、第3参考例について説明する。この第3参考例では、オイル室5とモータ1との間に流体貯留部7を設け、加圧装置6によりモータ1を加圧する構成について説明する。なお、流体貯留部7は、モータ1とポンプ室4とオイル室5と同様に、水中電動ポンプ本体部401の内側部(本体内側部)である。また、後述する第4参考例、第5参考例、第2実施形態および第3実施形態の構成にも第3参考例と同様に流体貯留部7が設けられている。
【0057】
図4に示すように、第3参考例による水中電動ポンプ400は、水中に配置される水中電動ポンプ本体部401を備えている。水中電動ポンプ本体部401は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、流体貯留部7とを備えている。水中電動ポンプ本体部401には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部401には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部401は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0058】
ここで、第3参考例では、流体貯留部7は、モータ1とオイル室5との間に配置されている。また、流体貯留部7は、環状体71に囲まれている。また、流体貯留部7は、回転軸2を取り囲むようにモータ1側に向かって延びるように形成されている。また、流体貯留部7は、シール53から昇るオイルを含む流体が流入するように構成されている。また、流体貯留部8のモータ1側(ベアリング22の下側)は、シール23により封止されている。シール23は、たとえば、オイルシールやシールリップまたは回転軸2と摺動するリップ部に傾斜リブや溝などの負荷側に推力発生する機構を有したシールが用いられる。
【0059】
また、第3参考例では、加圧装置6は、モータ1を加圧するように構成されている。具体的には、加圧装置6は、管61、弁61aおよび除湿フィルタ61bを介してモータ1に接続されている。また、加圧装置6は、モータ1に加える圧力を調整可能に構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧よりも大きい圧力になるように、モータ1を加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、モータ1を加圧するように構成されている。
【0060】
また、第3参考例では、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、モータ1を加圧装置6により加圧するように構成されている。
【0061】
なお、第3参考例のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。
【0062】
第3参考例の効果)
第3参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
第3参考例では、上記第1参考例と同様に、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、モータ1を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、水中電動ポンプ400の維持管理を容易に行うことができる。
【0064】
また、第3参考例では、上記のように、本体内側部に、モータ1とオイル室5との間に配置された流体貯留部7をさらに設ける。これにより、オイル室5から昇ってきたオイルが流体貯留部7に溜まるので、オイルがモータ1に侵入するのを抑制することができる。
【0065】
なお、第3参考例のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。
【0066】
第4参考例
次に、図5を参照して、第4参考例について説明する。この第4参考例では、オイル室5とモータ1との間に流体貯留部7を設け、加圧装置6により流体貯留部7を加圧する構成について説明する。
【0067】
図5に示すように、第4参考例による水中電動ポンプ500は、水中に配置される水中電動ポンプ本体部501を備えている。水中電動ポンプ本体部501は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、流体貯留部7とを備えている。水中電動ポンプ本体部501には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部501には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部501は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0068】
ここで、第4参考例では、加圧装置6は、流体貯留部7を加圧するように構成されている。具体的には、加圧装置6は、管63、弁63aおよび除湿フィルタ63bを介して流体貯留部7に接続されている。また、加圧装置6は、モータ1に加える圧力を調整可能に構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧よりも大きい圧力になるように、流体貯留部7を加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、流体貯留部7を加圧するように構成されている。また、除湿フィルタ63bは、加圧時に、オイル室5に供給する空気から水分を取り除くように構成されている。
【0069】
また、第4参考例では、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、流体貯留部7を加圧装置6により加圧するように構成されている。
【0070】
なお、第4参考例のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。
【0071】
第4参考例の効果)
第4参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0072】
第4参考例では、上記第1参考例と同様に、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、流体貯留部7を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、水中電動ポンプ500の維持管理を容易に行うことができる。また、オイル室5から流体貯留部7への流体昇りを効果的に抑制することができる。
【0073】
なお、第4参考例のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。
【0074】
第5参考例
次に、図6を参照して、第5参考例について説明する。この第5参考例では、オイル室5とモータ1との間に流体貯留部7を設け、加圧装置6によりオイル室5を加圧する構成について説明する。
【0075】
図6に示すように、第5参考例による水中電動ポンプ600は、水中に配置される水中電動ポンプ本体部601を備えている。水中電動ポンプ本体部601は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、流体貯留部7とを備えている。水中電動ポンプ本体部601には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部601には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部601は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0076】
ここで、第5参考例では、加圧装置6は、オイル室5を加圧するように構成されている。具体的には、加圧装置6は、管62、弁62aおよび除湿フィルタ62bを介してオイル室5に接続されている。また、加圧装置6は、オイル室5に加える圧力を調整可能に構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧よりも大きい圧力になるように、オイル室5を加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、オイル室5を加圧するように構成されている。
【0077】
また、第5参考例では、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、オイル室5を加圧装置6により加圧するように構成されている。
【0078】
なお、第5参考例のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。
【0079】
第5参考例の効果)
第5参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
第5参考例では、上記第1参考例と同様に、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、オイル室5を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、水中電動ポンプ600の維持管理を容易に行うことができる。また、圧力水のオイル室5への浸水を効果的に抑制することができる。
【0081】
なお、第5参考例のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。
【0082】
[第実施形態]
次に、図7を参照して、本発明の第実施形態について説明する。この第実施形態では、オイル室5とモータ1との間に流体貯留部7を設け、加圧装置6によりオイル室5と流体貯留部7とをそれぞれ加圧する構成について説明する。
【0083】
図7に示すように、第実施形態による水中電動ポンプ700は、水中に配置される水中電動ポンプ本体部701を備えている。水中電動ポンプ本体部701は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、流体貯留部7とを備えている。水中電動ポンプ本体部701には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部701には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部701は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0084】
ここで、第実施形態では、加圧装置6は、流体貯留部7およびオイル室5を加圧するように構成されている。具体的には、加圧装置6は、管61、弁61aおよび除湿フィルタ61bを介して流体貯留部7に接続されている。また、加圧装置6は、管62、弁62aおよび除湿フィルタ62bを介してオイル室5に接続されている。また、加圧装置6は、流体貯留部7およびオイル室5に加える圧力をそれぞれ調整可能に構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧よりも大きい圧力になるように、流体貯留部7およびオイル室5をそれぞれ加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、オイル室5を加圧するように構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.21倍(オイル室5の約1.1倍)の圧力になるように、流体貯留部7を加圧するように構成されている。
【0085】
また、第実施形態では、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、モータ1およびオイル室5を加圧装置6により加圧するように構成されている。
【0086】
なお、第実施形態のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。
【0087】
(第実施形態の効果)
実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0088】
実施形態では、上記第1参考例と同様に、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、オイル室5および流体貯留部7を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、水中電動ポンプ700の維持管理を容易に行うことができる。また、圧力水のオイル室5への浸水を効果的に抑制することができる。また、オイル室5から流体貯留部7への流体昇りを効果的に抑制することができる。
【0089】
なお、第実施形態のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。
【0090】
[第実施形態]
次に、図8を参照して、本発明の第実施形態について説明する。この第実施形態では、オイル室5とモータ1との間に流体貯留部7を設け、加圧装置6によりオイル室5と流体貯留部7とモータ1とをそれぞれ加圧する構成について説明する。
【0091】
図8に示すように、第実施形態による水中電動ポンプ800は、水中に配置される水中電動ポンプ本体部801を備えている。水中電動ポンプ本体部801は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、流体貯留部7とを備えている。水中電動ポンプ本体部801には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部801には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部801は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0092】
ここで、第実施形態では、加圧装置6は、モータ1、オイル室5、および、流体貯留部7を加圧するように構成されている。具体的には、加圧装置6は、管61、弁61aおよび除湿フィルタ61bを介してモータ1に接続されている。また、加圧装置6は、管62、弁62aおよび除湿フィルタ62bを介してオイル室5に接続されている。また、加圧装置6は、管63、弁63aおよび除湿フィルタ63bを介して流体貯留部7に接続されている。また、加圧装置6は、モータ1、オイル室5および流体貯留部7に加える圧力をそれぞれ調整可能に構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧よりも大きい圧力になるように、モータ1、オイル室5および流体貯留部7をそれぞれ加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、オイル室5を加圧するように構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.21倍(オイル室5の約1.1倍)の圧力になるように、流体貯留部7を加圧するように構成されている。また、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.33倍(流体貯留部7の約1.1倍)の圧力になるように、モータ1を加圧するように構成されている。
【0093】
なお、第実施形態のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。
【0094】
(第実施形態の効果)
実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0095】
実施形態では、上記第1参考例と同様に、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、オイル室5、流体貯留部7およびモータ1を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、水中電動ポンプ800の維持管理を容易に行うことができる。また、圧力水のオイル室5への浸水を効果的に抑制することができる。また、オイル室5から流体貯留部7への流体昇りを効果的に抑制することができる。また、流体貯留部7からモータ1への流体昇りを効果的に抑制することができる。
【0096】
なお、第実施形態のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。
【0097】
第6参考例
次に、図9を参照して、第6参考例について説明する。この第6参考例では、第1参考例の構成に、加圧装置6により空気供給管81から供給される酸素を含む空気を加圧する構成をさらに加えた例について説明する。
【0098】
図9に示すように、第6参考例による水中電動ポンプ900は、水中に配置される水中電動ポンプ本体部901を備えている。水中電動ポンプ本体部901は、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5とを備えている。また、水中電動ポンプ本体部901には、空気供給部8が接続されている。空気供給部8には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部901には、加圧装置6が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部901には、制御部10が接続されている。また、水中電動ポンプ本体部901は、回転軸2が上下方向に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0099】
ここで、第6参考例では、ポンプ室4の吸水口41側には、ストレーナ44が設けられている。ストレーナ44は、ごみなどの異物がポンプ室4内に入るのを抑制するために設けられている。ストレーナ44には、複数の孔部441が設けられている。ストレーナ44の複数の孔部441から吸入された水が吸水口41を介してポンプ室4に供給される。
【0100】
また、第6参考例では、空気供給部8は、空気供給管81と、縮小部82と、吐出口83と、気液混合部84と、切替部85とを含んでいる。空気供給部8は、水中電動ポンプ本体部901の吐出口42に接続され、水中電動ポンプ本体部901から吐出される水に酸素を含む空気を混合して、吐出口83から吐出させるために設けられている。
【0101】
空気供給管81は、水中電動ポンプ本体部901の吐出口42から吐出される水に酸素を含む空気を供給するように構成されている。空気供給管81の下部は、縮小部82の吐出口42側を囲繞する気液混合部84に接続されている。
【0102】
縮小部82は、水中電動ポンプ本体部901の吐出口42に隣接して配置されている。縮小部82は、水の流路が上流から下流に沿って狭くなるように形成されている。縮小部82の吐出口42側は、気液混合部84に囲繞されている。
【0103】
気液混合部84は、縮小部82から吐出された水と空気供給管81から吸い込まれた酸素を含む空気が、混合されるように構成されている。つまり、気液混合部84内では、縮小部82から吐出される水に酸素を含む空気が巻き込まれるように混合されて、吐出口83に送られる。
【0104】
吐出口83は、気液混合部84内で混合された水と酸素を含む空気とが吐出されるように構成されている。
【0105】
切替部85は、空気供給管81が加圧される状態と、空気供給管81から自然吸気される状態とに応じて、空気供給管81への酸素を含む空気の供給経路を切り替えるように構成されている。また、切替部85は、空気供給管81が加圧装置6により加圧される場合は、自然吸気される空気の通り道を塞ぐとともに、加圧装置6に接続される空気の通り道を開けるように構成されている。また、切替部85は、回動軸を中心に回動することにより、空気供給管81への酸素を含む空気の供給経路を切り替えるように構成されている。また、切替部85は、自然吸気される場合、重力により下方に回動するように構成されている。
【0106】
また、第6参考例では、加圧装置6は、管64および弁64aを介して空気供給管81に接続されている。また、加圧装置6は、上記第1参考例のモータ1を加圧する構成に加えて、空気供給管81から供給される酸素を含む空気を加圧するように構成されている。また、加圧装置6は、空気供給管81に加える圧力を調整可能に構成されている。また、加圧装置6は、酸素を含む空気を吸気して、加圧した後に、管64を介して、酸素を含む空気を空気供給管81に供給するように構成されている。また、加圧装置6は、制御部10に接続されている。弁64aは、加圧装置6を駆動させて空気供給管81内を加圧する場合は開けられ、自然吸気される場合および水中電動ポンプ900の停止時は閉じられるように構成されている。
【0107】
また、第6参考例では、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、空気供給管81から供給される酸素を含む空気を加圧装置6により加圧するように構成されている。具体的には、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、空気供給管81から供給される酸素を含む空気を、加圧装置6によりポンプ室4の水圧以上に加圧するように構成されている。たとえば、加圧装置6は、圧力センサ43により検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、空気供給管81から供給される酸素を含む空気を加圧するように構成されている。また、制御部10は、圧力センサ43の検知結果に基づいて、ポンプ室4の水圧が所定値以下の場合、加圧装置6を駆動させずに空気供給管81から自然吸気により酸素を含む空気が供給されるように制御するように構成されている。
【0108】
なお、第6参考例のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。
【0109】
第6参考例の効果)
第6参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0110】
第6参考例では、上記第1参考例と同様に、ポンプ室4の水圧を検知する圧力センサ43の検知結果に基づいて、オイル室5を加圧する加圧装置6を設ける。これにより、水中電動ポンプ900の維持管理を容易に行うことができる。
【0111】
また、第6参考例では、上記のように、ポンプ4に、水を吐出する吐出口42を設けるとともに、吐出口42から吐出される水に酸素を含む空気を供給する空気供給管81を設け、加圧装置6は、空気供給管81に接続され、本体内側部の加圧に加えて、空気供給管81から供給される酸素を含む空気も加圧する。これにより、水深の深い位置に水中電動ポンプ900を設置した場合でも、水圧によって酸素を含む空気が弾かれるのを抑制することができるので、水と共に酸素を含む空気を吐出することができる。その結果、水中への酸素を含む空気の供給を行うことができるので、水中電動ポンプ900が設置された池や槽内の水の腐敗を抑制することができる。また、1つの加圧装置6で本体内側部の加圧、および、空気供給管81から供給される酸素を含む空気を加圧することができるので、別々の加圧装置を設けて加圧する場合と比べて、装置構成を簡素化することができる。
【0112】
なお、第6参考例のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。
【0113】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0114】
たとえば、上記第1〜第実施形態では、回転軸が垂直方向に延びるように配置された縦型の水中電動ポンプに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らない。回転軸が水平方向に延びるように配置された横型の水中電動ポンプに本発明を適用してもよい。
【0115】
また、上記第1〜第実施形態では、加圧装置として、コンプレッサーを用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、加圧装置として、コンプレッサー以外の装置を用いてもよい。
【0116】
また、上記第1〜第実施形態では、加圧装置の管の途中にシリカゲルを有する除湿フィルター(除湿部)を設けて空気の除湿を行った例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、除湿部としてシリカゲル以外の乾燥剤を用いてもよい。また、管の途中に冷却部を設けて空気を冷却することにより除湿を行ってもよい。
【0117】
また、上記第1〜第実施形態では、加圧装置が、圧力センサにより検知された水圧の約1.1倍の圧力になるように、空気供給管から供給される酸素を含む空気を加圧する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、加圧装置は、圧力センサにより検知された水圧の約1.1倍以外の圧力になるように、本体内側部を加圧してもよい。
【0118】
また、上記第1〜第実施形態では、圧力センサの検知結果に基づいて、本体内側部を、加圧装置によりポンプ室の水圧よりも大きく加圧する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、本体内側部をポンプ室の水圧以下に加圧してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 モータ
3 羽根車
4 ポンプ室
5 オイル室
6 加圧装置
61b、62b、63b 除湿フィルタ(除湿部)
7 流体貯留部
42 吐出口
43 圧力センサ
52 メカニカルシール
52a 摺動部
81 空気供給管
100、200、300、400、500、600、700、800、900 水中電動ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9