(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電動ウインチは、前記ドラム部材に設けられ、ロック状態で前記ドラム部材の一方向への回転を許容しつつ他方向への回転を規制し、リリース状態で前記ドラム部材の一方向及び他方向への回転を許容するラチェット機構をさらに有し、
前記制御部は、前記車椅子の後退を検知した場合に、前記後退していない前記車椅子を牽引する前記電動ウインチの前記ラチェット機構をロック状態に制御する請求項1に記載の電動ウインチ装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の電動ウインチ装置は、2台の車椅子を車両へ乗車又は降車させる電動ウインチ装置である。電動ウインチ装置は、2つの電動ウインチ、供給部、切替部及び制御部を備える。各電動ウインチは、回転ドラム、モータ、センサ及び電磁クラッチを備える。
回転ドラムは、1台の車椅子を牽引するベルトを巻き付ける。モータは、回転ドラムを回転させる。センサは、回転ドラムの回転を検出し、その回転に応じたパルス信号を出力する。電磁クラッチは、通電により回転ドラム及びモータを締結状態とし、通電の解除により回転ドラム及びモータを開放状態とする。供給部は、電磁クラッチを通電させるための電流又は電圧を供給する。切替部は、供給部の供給先を電動ウインチのいずれかの電磁クラッチに切り替える。制御部は、パルス信号に基づいていずれかの車椅子の後退を検知した場合に、後退した車椅子を牽引する電動ウインチの電磁クラッチを供給先にするように切替部を切り替えることで、電磁クラッチを通電させる。
以下、本実施形態の電動ウインチ装置について、詳細を説明する。
【0012】
以下、本実施形態における電動ウインチ装置1について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態における電動ウインチ装置1が搭載された車両200の車室内の平面図である。なお、車両200の進行方向前方(+X方向)を単に前方、進行方向後方(−X方向)を単に後方と称する場合がある。
【0013】
車両200には、電動ウインチ装置1が搭載されている。例えば、車両200は、福祉車両である。車両200の車室内の後方には、被牽引物としての車椅子301及び車椅子302を搭載可能な車椅子搭載スペースが形成されている。車椅子搭載スペースの後方には、地面と車両200の床面とを緩やかな傾斜角度で接続するスロープ2が設置されている。車両200の走行時において、スロープ2は、車両200の床面に形成された格納部(図示せず)に格納されている。なお、
図1に示すように、車椅子302は、車椅子301よりも停止する位置が後方になる。
【0014】
電動ウインチ装置1は、2つの電動ウインチ10−1、2つの電動ウインチ10−2、ベルト20(ベルト20−1及びベルト20−2)、操作部30及び制御装置40を備えている。
【0015】
各電動ウインチ10−1は、スロープ2に沿って車椅子301を車両200内部に搭載させる。各電動ウインチ10−1は、車両200の車幅方向(
図1の上下方向)に所定間隔で設置された一対の電動ウインチである。具体的には、各電動ウインチ10−1から各ベルト20−1を引き出して、ベルト20−1の一端に装着されている各フックを車椅子301の一対の前フレームにそれぞれ引っ掛け、その状態のもとで各電動ウインチ10−1を同期動作させて各ベルト20−1を引き込むことにより、+X方向に車椅子301が移動する。
【0016】
各電動ウインチ10−2は、スロープ2に沿って車椅子302を車両200内部に搭載させる。各電動ウインチ10−2は、車両200の車幅方向(
図1の上下方向)に所定間隔で設置された一対の電動ウインチである。具体的には、各電動ウインチ10−2から各ベルト20−2を引き出して、ベルト20−2の一端に装着されている各フックを車椅子302の一対の前フレームにそれぞれ引っ掛け、その状態のもとで各電動ウインチ10−2を同期動作させて各ベルト20−2を引き込むことにより、+X方向に車椅子302が移動する。
【0017】
図2は、本実施形態における電動ウインチ装置1の概略構成の一例を示す図である。
電動ウインチ10−1は、電磁クラッチ110−1、回転ドラム120−1、電動モータ130−1、ラチェット機構140−1及び回転センサ150−1を備える。
電動ウインチ10−2は、電磁クラッチ110−2、回転ドラム120−2、電動モータ130−2、ラチェット機構140−2及び回転センサ150−2を備える。なお、電動ウインチ10−2は、電動ウインチ10−1と同様な構成を有するため、詳細な説明を省略する。また、以下、電動ウインチ10−1及び電動ウインチ10−2を総称して電動ウインチ10と呼ぶことがある。
【0018】
電磁クラッチ110−1は、制御装置40から供給される電流(又は電圧)により通電される。電磁クラッチ110−1が通電されると電動モータ130−1の回転力が回転ドラム120−1に伝達される。一方、電磁クラッチ110−1への通電が遮断されている場合には、電動モータ130−1の回転力が回転ドラム120−1に伝達されない。なお、電磁クラッチ110−2は、電磁クラッチ110−1と同様な構成を有するため、詳細な説明を省略する。また、以下、電磁クラッチ110−1及び電磁クラッチ110−2を総称して電磁クラッチ110と呼ぶことがある。
【0019】
回転ドラム120−1は、円筒形状を有しており、円筒外周面を有するドラム部材である。
回転ドラム120−1には、ベルト20−1が巻回されている。回転ドラム120−1は、電磁クラッチ110を介して電動モータ130−1の回転が伝達されるとベルト20−1を巻き取る、又は巻き戻す。なお、回転ドラム120−2は、回転ドラム120−1と同様な構成を有するため、詳細な説明を省略する。また、以下、回転ドラム120−1及び回転ドラム120−2を総称して回転ドラム120と呼ぶことがある。
【0020】
電動モータ130−1は、回転軸が回転ドラム120−1の回転軸と電磁クラッチを介して連結している。電動モータ130−1は、制御装置40から供給される駆動信号に基づいて回転駆動する。したがって、電磁クラッチ110が通電されている場合、電動モータ130−1の正転方向への回転駆動により回転ドラム120−1が正転方向に回転駆動される。これにより、ベルト20−1が回転ドラム120−1に巻き取られる。一方、電磁クラッチ110が通電されている場合、電動モータ130−1の逆転方向への回転駆動により回転ドラム120−1が逆転方向に回転駆動される。これにより、ベルト20−1が回転ドラム120−1から巻き戻される。なお、各電動ウインチ10−1の電動モータ130−1の回転は同期動作するものとする。なお、電動モータ130−2は、電動モータ130−1と同様な構成を有するため、詳細な説明を省略する。また、以下、電動モータ130−1及び電動モータ130−2を総称して電動モータ130と呼ぶことがある。
【0021】
ラチェット機構(ロック機構)140−1は、回転ドラム120−1に設けられている。ラチェット機構140−1は、制御装置40から通電が解除されるとロック状態となり、回転ドラム120−1のベルト20−1の巻き戻し方向(送り出し)への回転を阻止する一方でベルト20−1の巻き取り方向への回転を許容する。ラチェット機構140−1は、制御装置40から通電されるとリリース状態となり、回転ドラム120−1のベルト20−1の巻き戻し方向及びベルト20−1の巻き取り方向への回転を許容する。なお、ラチェット機構140−2は、ラチェット機構140−1と同様な構成を有するため、詳細な説明を省略する。また、以下、ラチェット機構140−1及びラチェット機構140−2を総称してラチェット機構140と呼ぶことがある。
【0022】
図3は、本実施形態におけるラチェット機構140−1の概略構成の一例を示す図である。
ラチェット機構140−1は、ラッチギヤ141、歯止め143及びラッチ解除ソレノイド144を備えている。
ラッチギヤ141は、回転ドラム120−1に一体回転可能に設けられ複数の歯142を備えている。
歯止め143は、ラッチギヤ141と係合し、回転ドラム120−1のベルト20−1の巻き戻し方向(一方向)への回転を許容し、ベルト20−1の巻き戻し方向への回転を阻止する。
【0023】
ラッチ解除ソレノイド144は、歯止め143を揺動駆動する。ラッチ解除ソレノイド144は、制御装置40から駆動電流が供給されるとラッチギヤ141と歯止め143との係合が解除(回転ドラム120−1との係合が解除)されてリリース状態となる。すなわち、ベルト20−1の巻き取り方向及び巻き戻し方向への双方向に回転ドラム120−1が回転自在となる。しがって、回転ドラム120−1の双方向への回転が許容され、車椅子301を車両200から降ろせるようになる。
一方、ラッチ解除ソレノイド144は、制御装置40から駆動電流の供給が停止されると、ラッチギヤ141に歯止め143が係合(回転ドラム120−1と係合)してロック状態となる。すなわち、ベルト20−1の巻き取り方向への回転ドラム120−1の回転を許容しつつ、ベルト20−1の巻き戻し方向への回転ドラム120−1の回転が規制され、車内やスロープ2上での車椅子301の後退が防止される。
【0024】
回転センサ150−1は、回転ドラム120−1の回転を検出する。例えば、回転センサ150−1は、ホールICを備えた磁気式のロータリエンコーダである。例えば、回転ドラム120−1の回転軸上にセンサマグネット(不図示)が装備され、そのセンサマグネットに対向する位置に近傍するように回転センサ150−1が配置されている。回転センサ150−1は、センサマグネットから受ける磁束密度の変化を検出する。回転センサ150−1は、検出した磁束密度の変化を電気信号として互いに位相が異なる2相(A相及びB相)の交番信号を生成する。そして、回転センサ150−1は、各相の交番信号の値が所定値を超えた(すなわち、回転センサ150−1が受ける磁界の強さが所定の強度を超えた)か否かで出力値がHighとLowに変化する2値のデジタル信号(パルス信号)に変換する。回転センサ150−1は、各相のパルス信号としてA相パルス信号とB相パルス信号とを制御装置40に出力する。なお、回転センサ150−2は、回転センサ150−1と同様な構成を有するため、詳細な説明を省略する。また、以下、回転センサ150−1及び回転センサ150−2を総称して回転センサ150と呼ぶことがある。
【0025】
ベルト20(ベルト20−1及びベルト20−2)は、回転ドラム120の軸方向と略同じ幅を有する帯状の形状を備える。
ベルト20−1は、一端が回転ドラム120−1に接続され、他端にはフックが装着されている。車両200の利用者は、ベルトフリー状態において、各電動ウインチ10−1の回転ドラム120−1から各ベルト20−1を引き出して、各フックを車椅子301にある一対の前フレームにそれぞれ引っ掛ける。そして、利用者の操作部における操作に基づいて、ベルトフリー状態が解除され、電動モータ130−1が正転駆動される。これにより回転ドラム120−1にベルト20−1が巻き取られ、車外にある車椅子301がスロープ2に沿って車両200の内部へと引き込まれる。なお、ベルトフリー状態とは、電動モータ130−1、電磁クラッチ110−1が通電されていない状態であり、ベルト20−1の巻き戻しを自由に行うことができる状態である。すなわち、ベルトフリー状態は、回転ドラム120−1のベルト20−1が巻き戻される方向への回転のロックが解除されている状態である。例えば、電動ウインチ10をベルトフリー状態にする操作は、車内に設けられた操作スイッチやリモコン等を用いて行われる。
【0026】
操作部30は、制御装置40に接続されている。操作部30は、利用者による操作に基づいて操作信号を制御装置40に出力する。例えば、操作部30は、巻き取り駆動スイッチ311、巻き戻し駆動スイッチ312及び選択スイッチ313を備える。利用者は、巻き取り駆動スイッチ311を押下することで、ベルト20の巻き取り操作を行うことができる。利用者は、巻き戻し駆動スイッチ312を押下することで、ベルト20の巻き戻し操作を行うことができる。利用者は、選択スイッチ313を押下又は切り替えることで、巻き取り操作又は巻き戻し操作を行う制御対象を選択することができる。すなわち、利用者は、選択スイッチ313を押下又は切り替えることで、制御対象として車椅子301又は車椅子302のいずれかを選択することができる。これにより、利用者は、選択スイッチ313により巻き取り操作又は巻き戻し操作を行う車椅子を選択し、且つ巻き取り駆動スイッチ311又は巻き戻し駆動スイッチ312を押下されることで、選択した車椅子を移動させることができる。本実施形態では、選択スイッチ313がオン状態である場合には、制御対象として車椅子301が選択され、オフ状態である場合には、制御対象として車椅子302が選択されるとする。なお、選択スイッチ313は、操作部30とは別に設けられてもよい。
【0027】
ベルト20の回転ドラム120への巻き取り操作は、ベルト20の巻き取り動作を行い、車両200のスペースS内に車椅子を乗車させる操作である。ベルト20の巻き戻し操作は、ベルト20の巻き戻し動作を行い、車両200内から車椅子を降車させる操作である。操作部30は、利用者によっていずれかのスイッチが押下されると、制御装置40にスイッチに応じた信号である操作信号を出力する。なお、操作部30と制御装置40との通信は、有線でもよいし、無線によって行われてもよい。
【0028】
図2に戻り、制御装置40は、回転センサ150の各々から供給されるパルスのカウント数に基づいて車椅子301又は車椅子302が後退しているか否かを検知する後退検知処理を行う。後退検知処理は、停止状態に制御された車椅子301又は車椅子302が後退したことを検知する処理である。車椅子を停止状態とする場合、制御装置40は、その車椅子の制御する電動ウインチに対して、以下に列挙する制御を行う。
・電動モータ130に対して駆動信号の供給を停止することで電動モータ130を停止させる(電動モータOFF)。
・電磁クラッチ110に対してクラッチ駆動電流の供給を停止することで、電動モータ130の回転力が回転ドラム120に伝達されないように制御する(電磁クラッチOFF)。
・ラッチ解除ソレノイド144に対して駆動電流の供給を停止することで、ラチェット機構140−1の歯止め143とラッチギヤ141とが係合し、ベルト20の巻き戻し方向への回転ドラム120の回転をロックする。
【0029】
したがって、停止状態にある車椅子301又は車椅子302が後退する場合としては、例えば、車椅子301又は302がスロープ2上に停止しているときにラッチギヤ141や歯止め143等のラチェット機構140が破損した場合である。また、制御装置40は、上記後退検知処理により車椅子301又は車椅子302が後退していることを検知した場合、後退している車椅子の後退を抑制する制御を行う。
【0030】
制御装置40は、制御部50、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2を備える。例えば、制御部50は、ECU(Engine Control Unit)である。制御部50は、モータ電流供給部51、クラッチ電流供給部52、スイッチ制御部53、信号処理部54、ソレノイド駆動部55及びモータ制御部56を備える。
【0031】
モータ電流供給部51は、スイッチ部60−1に接続されている。モータ電流供給部51は、操作部30の操作信号に基づいて電動モータ130を駆動する電流(以下、「モータ駆動電流」という。)(又は電圧)をスイッチ部60−1に出力する。
【0032】
クラッチ電流供給部52は、スイッチ部60−2に接続されている。クラッチ電流供給部52は、電磁クラッチ110を通電させる電流(以下、「クラッチ駆動電流」という。)(又は電圧)をスイッチ部60−2に出力する。
【0033】
スイッチ制御部53は、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2の切り替え動作を制御する。スイッチ部60−1は、制御装置40と電動モータ130−1又は電動モータ130−2との間をオン/オフ制御するスイッチである。すなわち、スイッチ部60−1は、モータ電流供給部51と電動モータ130−1との接続と、モータ電流供給部51と電動モータ130−2との接続とを切り替えるスイッチである。スイッチ制御部53は、スイッチ部60−1に制御信号を供給することで、モータ電流供給部51と電動モータ130−1との接続をオン状態にし、モータ電流供給部51と電動モータ130−2との接続をオフ状態とする。一方、スイッチ制御部53は、スイッチ部60−1に制御信号を供給しないことで、モータ電流供給部51と電動モータ130−1との接続をオフ状態にし、モータ電流供給部51と電動モータ130−2との接続をオン状態とする。
【0034】
スイッチ部60−1は、第1端子62、第2端子63及び第3端子64を備える。第1端子62は、モータ電流供給部51に接続されている。第2端子63は、電動モータ130−1に接続されている。第3端子64は、電動モータ130−2に接続されている。
スイッチ部60−1は、スイッチ制御部53から制御信号が供給された場合、第1端子62と第2端子63との接続をオン状態とする。スイッチ部60−1は、スイッチ制御部53から制御信号が供給されない場合、第1端子62と第3端子64との接続をオン状態とする。例えば、スイッチ部60−1は、リレー、サイリスタ、又はトランジスタ等である。
【0035】
スイッチ部60−2は、制御装置40と電磁クラッチ110−1又は電磁クラッチ110−2との間をオン/オフ制御するスイッチである。すなわち、スイッチ部60−2は、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−1との接続と、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−2との接続とを切り替えるスイッチである。スイッチ制御部53は、スイッチ部60−2に制御信号を供給することで、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−1との接続をオン状態にし、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−2との接続をオフ状態とする。一方、スイッチ制御部53は、スイッチ部60−2に制御信号を供給しないことで、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−1との接続をオフ状態にし、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−2との接続をオン状態とする。
【0036】
スイッチ部60−2は、第1端子62、第2端子63及び第3端子64を備える。第1端子62は、クラッチ電流供給部52に接続されている。第2端子63は、電磁クラッチ110−1に接続されている。第3端子64は、電磁クラッチ110−2に接続されている。
スイッチ部60−2は、スイッチ制御部53から制御信号が供給された場合、第1端子62と第2端子63との接続をオン状態とする。スイッチ部60−2は、スイッチ制御部53から制御信号が供給されない場合、第1端子62と第3端子64との接続をオン状態とする。例えば、スイッチ部60−2は、リレー、サイリスタ、又はトランジスタ等である。
【0037】
スイッチ制御部53は、選択スイッチ313がオン状態である場合(制御対象として車椅子301が選択されている場合)、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2に制御信号を出力する。これにより、電動モータ130−1にモータ駆動電流が供給され、電磁クラッチ110−1にクラッチ駆動電流が供給される。これにより、電動モータ130−1の回転力が回転ドラム120−1に伝達可能となるため、制御装置40は、駆動信号を電動モータ130−1に供給することにより、回転ドラム120−1のベルト20−1の巻き取り操作又は巻き戻し操作が可能となる。
【0038】
スイッチ制御部53は、選択スイッチ313がオフ状態である場合(制御対象として車椅子302が選択されている場合)、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2に制御信号を出力しない。これにより、電動モータ130−2にモータ駆動電流が供給され、電磁クラッチ110−2にクラッチ駆動電流が供給される。これにより、電動モータ130−2の回転力が回転ドラム120−2に伝達可能となるため、制御装置40は、駆動信号を電動モータ130−2に供給することにより、回転ドラム120−2のベルト20−2の巻き取り操作又は巻き戻し操作が可能となる。
【0039】
スイッチ制御部53は、車椅子301が後退していることを示す第1の後退信号を信号処理部54から取得すると、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2に制御信号を供給する。スイッチ制御部53は、車椅子302が後退していることを示す第2の後退信号を信号処理部54から取得すると、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2に制御信号を供給しない。
【0040】
図4は、本実施形態における信号処理部54の概略構成図の一例を示す図である。信号処理部54は、上記後退検知処理を行う。
信号処理部54は、回転方向検出部541、カウント部542及び判定部543を備える。
回転方向検出部541は、回転ドラム120−1及び回転ドラム120−2の回転方向を検出する。例えば、回転方向検出部541は、回転センサ150−1及び回転センサ150−2のそれぞれからA相パルス信号とB相パルス信号を取得する。回転方向検出部541は、回転センサ150−1から供給されるA相パルス信号とB相パルス信号との各々の位相に基づいて回転ドラム120−1の回転方向を検出する。回転方向検出部541は、回転センサ150−2から供給されるA相パルス信号とB相パルス信号との各々の位相に基づいて回転ドラム120−2の回転方向を検出する。
回転方向検出部541は、検出した回転ドラム120−1及び回転ドラム120−2の回転方向を示す信号をカウント部542に出力する。
【0041】
カウント部542は、巻き取り操作又は巻き戻し操作をしていない電動ウインチの回転センサ150から供給されるパルス信号のパルスレベルを一定周期毎に監視する。したがって、巻き取り操作又は巻き戻し操作をしていない電動ウインチ10の牽引物である車椅子は停止している状態である。巻き取り操作又は巻き戻し操作をしていない電動ウインチ10を判定する方法は、例えば、電動モータ130に駆動信号が出力されているか否か、又はスイッチ部60−2に制御信号が出力されているか否か等である。カウント部542は、少なくとも以下に列挙する場合において、パルス信号のパルスレベルを監視する。
・電動ウインチ10−1が動作中であり、且つ電動ウインチ10−2が停止している場合。
・電動ウインチ10−1が停止中であり、且つ電動ウインチ10−2が動作中である場合。
・電動ウインチ10−1及び電動ウインチ10−2が停止中である場合。
なお、動作中とは、電動ウインチ10がベルト20の巻き取り動作又は巻き戻し動作を実施していることを示す。したがって、電動ウインチ10−1が動作中であり、且つ電動ウインチ10−2が停止している場合、車椅子301がスロープ2に沿って昇降されており、車椅子302が停止している。電動ウインチ10−1が停止中であり、且つ電動ウインチ10−2が動作中である場合、車椅子302がスロープ2に沿って昇降されており、車椅子301が停止している。電動ウインチ10−1及び電動ウインチ10−2が停止中である場合、車椅子301及び車椅子302が停止している。
【0042】
図5は、本実施形態におけるカウント部542のカウント方法について説明する図である。カウント部542は、動作中ではない電動ウインチ10の回転センサ150から供給されるA相パルス信号及びB相パルス信号のパルスレベルを一定周期毎に監視する。例えば、一定周期は、1ms程度である。カウント部542は、動作中ではない電動ウインチ10の回転ドラム120の回転方向が逆転方向(ベルト20が回転ドラム120から巻き戻される方向)であり、一定周期内にパルス信号のパルスレベルの切り替わりを検出した場合、カウント値をインクリメントする。例えば、カウント部542は、一定周期内のB相パルス信号のパルスレベルの切り替わり時において、A相パルス信号とB相パルス信号とのパルスレベルが異なる場合(
図5に示すa、c、d)、カウント値をインクリメントする。カウント部542は、一定周期内のA相パルス信号のパルスレベルの切り替わり時において、A相パルス信号とB相パルス信号とのパルスレベルが同じである場合(
図5に示すb、e)、カウント値をインクリメントする。なお、カウント部542は、動作中の電動ウインチ10の回転センサ150から供給されるパルス信号をカウントしない。カウント部542は、回転ドラム120の回転方向が正転方向(ベルト20が回転ドラム120に巻き取られる方向)である場合には、電動ウインチ10が制御されているか否かにかかわらず、回転センサ150から供給されるパルス信号をカウントしない。
【0043】
判定部543は、カウント部542のカウント値を読み取る。判定部543は、読み取ったカウント値が予め設定された閾値N
thを超える場合、停止状態に制御された車椅子が後退していると判定する。すなわち、判定部543は、回転センサ150−1から供給されるパルス信号のカウント値が閾値N
thを超えた場合、車椅子301が後退していると判定する。判定部543は、回転センサ150−2から供給されるパルス信号のカウント値が閾値N
thを超えた場合、車椅子302が後退していると判定する。例えば、閾値N
thは、車椅子が数mm程度後退した場合に相当するパルス信号のカウント数であり、回転ドラム120の回転がラッチギヤ141の歯142の1枚から2枚分に相当する値である。
判定部543は、停止状態に制御された車椅子301が後退していると判定した場合、車椅子301が後退していることを示す第1の後退信号をスイッチ制御部53、ソレノイド駆動部55及びモータ制御部56に出力する。判定部543は、停止状態に制御された車椅子302が後退していると判定した場合、車椅子301が後退していることを示す第2の後退信号をスイッチ制御部53、ソレノイド駆動部55及びモータ制御部56に出力する。
【0044】
ソレノイド駆動部55は、停止状態にする車椅子を制御する電動ウインチ10のラッチ解除ソレノイド144に駆動電流を供給しない。ソレノイド駆動部55は、巻き取り操作又は巻き戻し操作を行う車椅子を制御する電動ウインチ10のラッチ解除ソレノイド144に駆動電流を供給する。ソレノイド駆動部55は、第1の後退信号を取得した場合、ラチェット機構140−2のラッチ解除ソレノイド144に駆動電流を供給する。ソレノイド駆動部55は、第2の後退信号を取得した場合、ラチェット機構140−1のラッチ解除ソレノイド144に駆動電流を供給する。すなわち、ソレノイド駆動部55は、停止状態に制御している車椅子が後退した場合、ベルト20の巻き取り動作又は巻き戻し動作により移動している別の車椅子の電動ウインチ10において、ベルト20の巻き戻し方向への回転ドラム120の回転をロックする。
【0045】
モータ制御部56は、操作部30から供給される操作信号に基づいて電動モータ130−1又は電動モータ130−2に駆動信号を出力する。すなわち、モータ制御部56は、操作信号を取得した場合、選択スイッチ313で選択された車椅子を制御する電動ウインチ10の電動モータ130に駆動信号を出力する。モータ制御部56は、第1の後退信号を取得した場合、電動モータ130−2に駆動信号の供給を停止する。モータ制御部56は、第2の後退信号を取得した場合、電動モータ130−1に駆動信号の供給を停止する。すなわち、モータ制御部56は、停止状態に制御している車椅子が後退した場合、ベルト20の巻き取り動作又は巻き戻し動作により移動している別の車椅子の電動ウインチ10において、電動モータ130を停止させ当該車椅子の移動を停止させる。
【0046】
上述したように、制御部50は、一定周期毎に車椅子301と車椅子302との後退検知処理を行う。そして、制御部50は、後退検知処理において停止状態に制御された車椅子がラチェット機構140の破損等により後退していると判定された場合、以下に列挙する制御を実行する。なお、一例として車椅子301が停止状態から後退し、車椅子302がベルト20−2の巻き取り操作によりスロープ2を移動している場合を説明する。
・動作している電動ウインチ10−2の電動モータ130−2の駆動停止。
・ラチェット機構140−2による回転ドラム120−2の回転ロック。
・スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2の切り替え。
すなわち、制御部50は、車椅子301の後退を検知した場合、移動している車椅子302を一時停止させる。そして、制御部50は、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−1とを接続し、電動モータ130−1のギアと回転ドラム120−1とを接続状態とする。これにより、電動モータ130−1のギアのかみ合いによる保持力により、電動モータ130−1にブレーキがかかり、車椅子301の後退が抑制される。なお、電動モータ130−1にウォームギアなどの減速機構を用いた場合において、ウォーム減速機によるブレーキにより車椅子301の後退が抑制されてもよい。
【0047】
以下に、本実施形態における制御部50の後退検知動作について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態における制御部50の後退検知動作の処理フローを説明する図である。
ステップS101において、制御部50は、車椅子301が動作中であるか否かを判定する。例えば、制御部50は、電動モータ130−1に駆動信号が出力されている場合、車椅子301が動作中であると判定する。なお、電動モータ130−1及び電動モータ130−2の両方の電動モータに駆動信号が出力されることはない。したがって、車椅子301が動作中であると判定された場合、車椅子302は停止状態であると確定される。制御部50は、車椅子301が動作中であると判定された場合、ステップS102の処理を実行する。一方、制御部50は、車椅子301が動作中でない(車椅子301が停止状態である)と判定された場合、ステップS109の処理を実行する。
【0048】
ステップS102において、カウント部542は、回転センサ150−2から供給されるA相パルス信号及びB相パルス信号のパルスレベルを一定周期毎に監視する。カウント部542は、一定周期内のB相パルス信号のパルスレベルの切り替わり時において、A相パルス信号とB相パルス信号とのパルスレベルが異なる場合、カウント値をインクリメントする。カウント部542は、一定周期内のA相パルス信号のパルスレベルの切り替わり時において、A相パルス信号とB相パルス信号とのパルスレベルが同じである場合、カウント値をインクリメントする。
【0049】
ステップS103において、判定部543は、カウント部542のカウント値を読み取る。判定部543は、読み取ったカウント値が閾値N
thを超える場合、車椅子302が後退していると判定する。判定部543は、車椅子302が後退していると判定した場合、第2の後退信号をスイッチ制御部53、ソレノイド駆動部55及びモータ制御部56に出力する。判定部543は、読み取ったカウント値が閾値N
th以下である場合、ステップS108の処理を実行する。ステップS108では、制御部50は車椅子301の動作が終了したかどうかを判定する。車椅子301の動作が終了したと判定された場合は後退検知動作を終了し、動作が終了していない場合は、ステップS103を繰り返す。
【0050】
ステップS104において、モータ制御部56は、判定部543から供給される第2の後退信号を取得する。モータ制御部56は、第2の後退信号を取得すると、電動モータ130−1に駆動信号を供給することを停止する。これにより、モータ制御部56は、電動モータ130−1の駆動を停止することで、車椅子301の動作を停止する。
【0051】
ステップS105において、ソレノイド駆動部55は、判定部543から供給される第2の後退信号を取得する。ソレノイド駆動部55は、第2の後退信号を取得した場合、ラチェット機構140−1のラッチ解除ソレノイド144に対して駆動電流の供給を停止する。これにより、ソレノイド駆動部55は、ベルト20−1の巻き戻し方向への回転ドラム120−1の回転をロックする。
【0052】
ステップS106において、スイッチ制御部53は、判定部543から供給される第2の後退信号を取得する。スイッチ制御部53は、第2の後退信号を判定部543から取得すると、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2に制御信号を供給しない。これにより、制御部50のクラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−2とが電気的に接続され、制御部50は、電磁クラッチ110−2の駆動を制御することで電動モータ130−2のギアと回転ドラム120−2とを接続状態にする。これにより、電動モータ130−2のギアのかみ合いによる保持力により、回転ドラム120−2にブレーキがかかり、車椅子302の後退が抑制される(ステップS107)。
ステップS109において、制御部50は、車椅子302が動作中であるか否かを判定する。例えば、制御部50は、電動モータ130−2に駆動信号が出力されている場合、車椅子302が動作中であると判定する。車椅子302が動作中であると判定された場合、車椅子301は停止状態である。制御部50は、車椅子302が動作中であると判定された場合、ステップS110の処理を実行する。一方、制御部50は、車椅子301が動作中でない(車椅子301及び車椅子302が停止状態である)と判定された場合、ステップS113の処理を実行する。
【0053】
ステップS110において、カウント部542は、回転センサ150−1から供給されるA相パルス信号及びB相パルス信号のパルスレベルを一定周期毎に監視する。カウント部542は、一定周期内のB相パルス信号のパルスレベルの切り替わり時において、A相パルス信号とB相パルス信号とのパルスレベルが異なる場合、カウント値をインクリメントする。カウント部542は、一定周期内のA相パルス信号のパルスレベルの切り替わり時において、A相パルス信号とB相パルス信号とのパルスレベルが同じである場合、カウント値をインクリメントする。
【0054】
ステップS111において、判定部543は、カウント部542のカウント値を読み取る。判定部543は、読み取ったカウント値が閾値N
thを超える場合、車椅子301が後退していると判定する。判定部543は、車椅子301が後退していると判定した場合、第1の後退信号をスイッチ制御部53、ソレノイド駆動部55及びモータ制御部56に出力する。判定部543は、読み取ったカウント値が閾値N
th以下である場合、ステップS116の処理を実行する。ステップS116では、制御部50は車椅子302の動作が終了したかどうかを判定する。車椅子302の動作が終了したと判定された場合は後退検知動作を終了し、動作が終了していない場合は、ステップS111を繰り返す。
【0055】
ステップS112において、モータ制御部56は、判定部543から供給される第1の後退信号を取得する。モータ制御部56は、第1の後退信号を取得すると、電動モータ130−2に駆動信号を供給することを停止する。これにより、モータ制御部56は、電動モータ130−2の駆動を停止することで、車椅子302の動作を停止する。
【0056】
ステップS113において、ソレノイド駆動部55は、判定部543から供給される第1の後退信号を取得する。ソレノイド駆動部55は、第1の後退信号を取得した場合、ラチェット機構140−2のラッチ解除ソレノイド144に対して駆動電流の供給を停止する。これにより、ソレノイド駆動部55は、ベルト20−2の巻き戻し方向への回転ドラム120−2の回転をロックする。
【0057】
ステップS114において、スイッチ制御部53は、判定部543から供給される第1の後退信号を取得する。スイッチ制御部53は、第1の後退信号を判定部543から取得すると、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2に制御信号を供給する。これにより、制御部50のクラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−1とが電気的に接続され、制御部50は、電磁クラッチ110−1の駆動を制御することで電動モータ130−1のギアと回転ドラム120−1とを接続状態にする。これにより、電動モータ130−1のギアのかみ合いによる保持力により、回転ドラム120にブレーキがかかり、車椅子301の後退が抑制される(ステップS115)。
【0058】
ステップS117において、制御部50は、車椅子301及び車椅子302が動作中でなく、停止状態にあると判定する。したがって、カウント部542は、回転センサ150−1及び回転センサ150−2から供給されるA相パルス信号及びB相パルス信号のパルスレベルを一定周期毎に監視する。カウント部542は、回転センサ150−1及び回転センサ150−2の各々のパルス信号(A相パルス信号及びB相パルス信号)を以下の方法でカウントとする。すなわち、カウント部542は、一定周期内のB相パルス信号のパルスレベルの切り替わり時において、A相パルス信号とB相パルス信号とのパルスレベルが異なる場合、カウント値をインクリメントする。カウント部542は、一定周期内のA相パルス信号のパルスレベルの切り替わり時において、A相パルス信号とB相パルス信号とのパルスレベルが同じである場合、カウント値をインクリメントする。
【0059】
ステップS118において、判定部543は、カウント部542の2つのカウント値を読み取る。すなわち、判定部543は、回転センサ150−1から供給されるパルス信号のカウント値N
1と回転センサ150−2から供給されるパルス信号のカウント値N
2とを読み取る。判定部543は、読み取ったカウント値N
1又はカウント値N
2が閾値N
thを超える場合、車椅子301又は車椅子302が後退していると判定する。判定部543は、車椅子301又は車椅子302が後退していると判定した場合、ステップS11の処理を実行する。判定部543は、読み取ったカウント値N
1及びカウント値N
2の各々が閾値N
th以下である場合、車椅子301及び車椅子302が後退していないと判定し、後退検知動作を終了する。
【0060】
ステップS119において、判定部543は、車椅子301が後退しているか否かを判定する。例えば、判定部543は、カウント値N
1が閾値N
thを超えている場合、車椅子301が後退している判定し、第1の後退信号をスイッチ制御部53に出力し、ステップS120を実行する。一方、判定部543は、カウント値N
1が閾値N
th以下である場合、車椅子302が後退していると判定し、第2の後退信号をスイッチ制御部53に出力し、ステップS122を実行する。
【0061】
ステップS120において、スイッチ制御部53は、判定部543から供給される第1の後退信号を取得する。スイッチ制御部53は、第1の後退信号を判定部543から取得すると、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2に制御信号を供給する。これにより、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−1とが電気的に接続され、電動モータ130−1のギアと回転ドラム120−1とを接続状態となる。これにより、電動モータ130−1のギアのかみ合いによる保持力により、回転ドラム120−1にブレーキがかかり、車椅子301の後退が抑制される(ステップS121)。
【0062】
ステップS122において、スイッチ制御部53は、判定部543から供給される第2の後退信号を取得する。スイッチ制御部53は、第2の後退信号を判定部543から取得すると、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2に制御信号を供給しない。これにより、クラッチ電流供給部52と電磁クラッチ110−2とが電気的に接続され、電動モータ130−2のギアと回転ドラム120−2とを接続状態となる。これにより、電動モータ130−2のギアのかみ合いによる保持力により、回転ドラム120−2にブレーキがかかり、車椅子302の後退が抑制される(ステップS123)。
【0063】
上述したように、本実施形態の電動ウインチ装置1は、電動ウインチ10−1及び電動ウインチ10−2の各々の電動モータ130と制御部50とがスイッチ部60−1を介して接続されている。また、電動ウインチ装置1は、電動ウインチ10−1及び電動ウインチ10−2の各々の電磁クラッチ110と制御部50とがスイッチ部60−2を介して接続されている。そして、制御部50は、車椅子の後退を検知した場合、後退を検知した車椅子を牽引する電動ウインチの電磁クラッチ110をオン状態にするように、スイッチ部60−1及びスイッチ部60−2のスイッチを切り替える。これにより、必要なポート数を抑えつつ、1つの制御装置(監視装置)で車椅子301及び車椅子302の2台の車椅子の後退検知が同時に可能となり、車椅子の後退を抑制することができる。
【0064】
上述した実施形態における制御部50をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0065】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。