(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の構成では、操作レバー及びデテント式の保持機構などから構成される有段階位置保持型のレバーユニットとしての左右幅が広くなり、その配置空間として左右幅の広い空間を要することになる。そのため、有段階位置保持型のレバーユニットとしての配置箇所が、左右幅の広い空間を有する箇所に限定されることになり、操作レバー類の配置の自由度を高める上において改善の余地がある。
【0007】
つまり、操作レバー類の配置の自由度を高める上において好適な有段階位置保持型のレバーユニットの開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、本発明に係る作業車は、
複数の操作位置にわたって有段階に前後揺動する操作レバーと、前記操作レバーをそれぞれの前記操作位置に保持するデテント式の保持機構とを備え、
前記保持機構は、前記操作レバーと連動する連動部材と、前記連動部材を介して前記操作レバーを保持する保持部材とを備え、
前記操作レバーと前記保持機構とが、前記操作レバーの揺動支軸と交差する方向に並ぶ状態で分散配備され、
前記操作レバーと前記連動部材とが連係機構を介して連動連結され
、
前記操作レバーと前記連係機構との連結箇所と、前記連動部材と前記連係機構との連結箇所と、を結ぶ方向視において、前記揺動支軸と前記保持機構とが重複する位置に配置されている。
【0009】
この手段によると、操作レバーと保持機構とが、操作レバーの揺動支軸と交差する方向として、例えば、車体の前後方向、又は、車体の上下方向、などに並ぶ状態で分散配備されることから、操作レバー及び保持機構などから構成される有段階位置保持型のレバーユニットとしての左右幅を、操作レバーと保持機構とが一体的に左右に並んで配備される構成に比較して狭くすることができる。
【0010】
又、操作レバーと保持機構とが一体的に構成される場合に比較して、操作レバーと保持機構との配置の自由度が高くなる。これにより、操作レバー及び保持機構などを、他の操作レバーなどとともに所定の操作部に集中配備する場合に、他の操作レバーなどの装備により、所定の操作部において、操作レバーと保持機構との一体配備を許容する広い空間を確保することができなくても、操作レバーと保持機構との分散配備を許容する空間を確保することにより、操作レバーと保持機構とを、他の操作レバーなどとともに所定の操作部に集中配備することができる。
【0011】
そして、操作レバーと保持機構とが分散配備されても、操作レバーと保持機構の連動部材とが連係機構を介して連動連結されることから、保持機構による操作レバーの各操作位置での有段階保持を、連係機構を介して行うことができる。
【0012】
その結果、操作レバー類の配置の自由度を高める上において好適な有段階位置保持型のレバーユニットを提供することができる。
【0013】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
運転座席が左右のリアフェンダの間に位置し、
前記操作レバーと前記保持機構とが、前記運転座席と左右一方の前記リアフェンダとの間において前後方向に並ぶ状態で分散配備されている。
【0014】
この手段によると、操作レバーと保持機構とが上下方向に並べて分散配備される場合に生じる虞のある、操作レバーの下方に配備される保持機構により、運転者の足元空間が狭められて窮屈になる、といった不都合を招くことなく、操作レバーと保持機構とを、運転座席と左右一方のリアフェンダとの間の狭い空間に無理なく配備することができる。
【0015】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記操作レバーは、その操作方向が、車体前側に操作されるほど車体横外側に変位する前外向き方向に設定されている。
【0016】
この手段によると、操作レバーの操作方向が車体の前後方向に沿う前後方向に設定される場合に比較して、運転座席に着座した状態での操作レバーの操作が行い易くなる。
【0017】
つまり、操作レバーの操作性を向上させることができる。
【0018】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記操作レバーは
、フィンガーシフト式で、その揺動範囲が狭く設定されている。
【0019】
この手段によると、操作レバーが、揺動支軸からの延出長さが長いハンドシフト式である場合、又は、揺動範囲が広く設定されている場合に比較して、操作レバーの小型化を図ることができ、操作レバーの設置に要する空間を狭くすることができる。
【0020】
その結果、操作レバーの配置の自由度を高めることができる。
【0021】
本発明をより好適にするための手段の一つとして
、
前記保持機構は、複数の前記操作位置に対応して前記連動部材又は前記保持部材に形成されるレバー保持用の複数の凹部の間隔が、前記操作レバーの揺動範囲に応じて短く設定されている。
【0022】
この手段によると、保持機構をハンドシフト式の操作レバー、又は、揺動範囲の広い操作レバーに対応させる場合に比較して、保持機構の小型化を図ることができ、保持機構の設置に要する空間を狭くすることができる。
【0023】
その結果、保持機構の配置の自由度を高めることができる。
【0024】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記操作レバーの操作に摩擦抵抗を付与する摩擦付与機構を備えている。
【0025】
この手段によると、操作レバーの不必要な素早い操作を防止することができる。これにより、例えば、レバー保持用の各凹部の間隔を短くした保持機構に対して操作レバーの素早い操作が行われた場合に生じる虞のある、操作レバーの段飛ばし操作、などを防止することができる。
【0026】
つまり、保持機構の小型化に起因した操作レバーの誤操作を防止することができる。
【0027】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記操作レバーの操作位置を検出する回転式のポテンショメータを備え、
前記ポテンショメータは、その検出軸が前記操作レバーの前記揺動支軸よりも上方に位置する高さ位置に配置され、
前記操作レバーと連動揺動する検出アームが前記検出軸に固着されている。
【0028】
この手段によると、ポテンショメータの検出軸と操作レバーの揺動支軸とが同軸心上に位置する場合に比較して、操作レバーの操作角に対する検出アームの操作角を大きくすることができる。これにより、操作レバーの操作位置の変更に伴って変化する電圧値の変化量を大きくすることができる。
【0029】
その結果、操作レバーの小型化を図りながら、ポテンショメータを使用した操作レバーの位置検出を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
尚、
図1に記載した符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向がトラクタの上側である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体の前部に位置する前部フレーム1、前部フレーム1の後部に連結するエンジン2、エンジン2の後端下部に連接するハウジングユニット3、前部フレーム1の左右に位置する左右の前輪4、ハウジングユニット3の左右に位置する左右の後輪5、左右の後輪5を覆う左右のリアフェンダ6、車体の後部に位置する搭乗式の運転部7、及び、運転部7を覆うキャビン8、などを備えている。
【0034】
図1及び
図2に示すように、トラクタは、ハウジングユニット3の後部に、作業装置連結用のリンク機構9、リンク機構9を介して作業装置(図示せず)を昇降駆動する電子油圧制御式の昇降装置10、及び、作業装置への作業動力の取り出しを可能にするPTO軸11、などを備えている。
【0035】
図2に示すように、ハウジングユニット3は、エンジン2からの動力を断続する主クラッチ12、及び、主クラッチ12を経由した動力を変速するギア式変速装置13、などを内蔵している。ギア式変速装置13は、エンジン2からの動力を左右の前輪4と左右の後輪とに伝達する走行伝動系13Aと、エンジン2からの動力をPTO軸11に伝達する作業伝動系13Bとを備えている。
【0036】
走行伝動系13Aは、4段の変速が可能な電子油圧制御式の主変速機構14、主変速機構14による変速後の動力を断続する電子油圧制御式の走行クラッチ15、走行クラッチ15を経由した動力を前進用と後進用とに切り替える前後進切替機構16、前後進切替機構16からの前進動力を高低2段に変速する電子油圧制御式の前進用変速機構17、前進用変速機構17による変速後の前進動力、又は、前後進切替機構16からの後進動力を高低2段に変速する電子油圧制御式の副変速機構18、副変速機構18による変速後の動力を高低2段に変速する超減速機構19、及び、超減速機構19から左右の後輪5への伝動を中継する後輪用差動機構20、などを備えている。そして、主変速機構14、走行クラッチ15、前進用変速機構17、及び、副変速機構18が、主変速ユニット21として機能する。作業伝動系13Bは、PTO軸11への伝動を断続するPTOクラッチ22を備えている。超減速機構19から左右の前輪4への伝動は、前輪用差動機構23などを介して行われる。
【0037】
図1及び
図3に示すように、運転部7は、前輪操舵用のステアリングホイール24、主変速ユニット用の操作レバーである主変速レバー25、前後進切り替え用の操作レバーであるシャトルレバー26、超減速機構用の操作レバーであるクリープレバー27、昇降装置用の操作レバーである高さ設定レバー28、昇降装置用の操作具である昇降スイッチ29、PTOクラッチ用の操作具であるPTOスイッチ30、アクセルペダル31、及び、左右のリアフェンダ6の間に位置する運転座席32、などを備えている。
【0038】
主変速レバー25、高さ設定レバー28、昇降スイッチ29、及び、PTOスイッチ30は、車体後部に備えた作業用の3つの補助制御バルブ(図示せず)に操作連係された作業用の3本の補助レバー33とともに、運転座席32の右側方箇所に備えた第1操作部34に集中配備されている。
これにより、左手でステアリングホイール24を操作しながら、右手で主変速レバー25又は高さ設定レバー28などの操作が行える。つまり、ステアリングホイール24及び主変速レバー25などの操作性の向上が図られている。
【0039】
シャトルレバー26は、ステアリングホイール24の左下方に、ステアリングホイール24に隣接して配備されている。クリープレバー27は、運転座席32の左側方箇所に備えた第2操作部35に配備されている。アクセルペダル31は、運転座席32の右斜め前方箇所に位置するフロア部分に配備されている。
【0040】
図2及び
図4〜6に示すように、主変速ユニット21は、主変速レバー25の操作に基づく制御装置(図示せず)の制御作動により、主変速レバー25の操作位置に応じた以下の変速状態が得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が1速位置に操作されると、主変速機構14の1速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の低速状態と、前進用変速機構17の低速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が2速位置に操作されると、主変速機構14の1速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の低速状態と、前進用変速機構17の高速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が3速位置に操作されると、主変速機構14の2速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の低速状態と、前進用変速機構17の低速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が4速位置に操作されると、主変速機構14の2速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の低速状態と、前進用変速機構17の高速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が5速位置に操作されると、主変速機構14の3速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の低速状態と、前進用変速機構17の低速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が6速位置に操作されると、主変速機構14の3速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の低速状態と、前進用変速機構17の高速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が7速位置に操作されると、主変速機構14の4速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の低速状態と、前進用変速機構17の低速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が8速位置に操作されると、主変速機構14の4速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の低速状態と、前進用変速機構17の高速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が9速位置に操作されると、主変速機構14の1速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の高速状態と、前進用変速機構17の高速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が10速位置に操作されると、主変速機構14の2速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の高速状態と、前進用変速機構17の高速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が11速位置に操作されると、主変速機構14の3速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の高速状態と、前進用変速機構17の高速状態とが得られるように操作される。
主変速ユニット21は、主変速レバー25が12速位置に操作されると、主変速機構14の4速状態と、走行クラッチ15の入り状態と、副変速機構18の高速状態と、前進用変速機構17の高速状態とが得られるように操作される。
【0041】
そして、シャトルレバー26が前進位置に操作された前進状態では、前後進切替機構16からの前進動力が前進用変速機構17を経由することから、前進用変速機構17の変速状態が有効になる。その結果、主変速ユニット21の変速状態として、
図5に示すように、主変速レバー25の12段の各操作位置に対応する12段の前進変速状態の選択切り替えが可能になる。
一方、シャトルレバー26が後進位置に操作された後進状態では、前後進切替機構16からの後進動力が前進用変速機構17を経由しないことから、前進用変速機構17の変速状態が無効になる。その結果、主変速ユニット21の変速状態として、
図6に示すように、主変速レバー25の12段の操作位置のうちの所定の操作位置に対応する8段の後進変速状態の選択切り替えが可能になる。
尚、主変速ユニット21は、主変速レバー25が中立位置に操作されると、走行クラッチ15の切り状態が得られるように操作される。これにより、主変速ユニット21の変速状態として、走行動力の伝達を遮断する遮断状態が得られる。
【0042】
図7〜12に示すように、高さ設定レバー28は、右側のリアフェンダ6と運転座席32との間に位置する支持フレーム36に支持されている。支持フレーム36は、右側のリアフェンダ6に取り付けられている。支持フレーム36は、前側ほど車体右外側に位置する前側右外向き姿勢の第1支持部材37、第1支持部材37の後下部から車体の前後方向に沿って後方に延出する帯板状の第2支持部材38、第1支持部材37に沿う前側右外向き姿勢で第2支持部材38の前上部に位置する第3支持部材39、及び、第1支持部材37の左端上部に位置するアーチ状のガード部材40、などを備えている。
【0043】
高さ設定レバー28は、第1支持部材37の縦壁部37Aと直交する支軸41に外嵌するボス部28A、ボス部28Aから上方に延出する人為操作用の操作部28B、及び、ボス部28Aから後方に延出する連係部28C、などを有している。高さ設定レバー28は、操作部28Bのボス部28Aからの延出長さが短いフィンガーシフト式で、支軸41を支点にして前後揺動する。高さ設定レバー28は、ボス部28Aと支軸41との間に介在する摩擦式の第1保持機構42の作用によって任意の操作位置に保持可能となっている。
連係部28Cは、第1センサ43の検出軸43Aに固着された検出アーム44と連動揺動する。連係部28Cは、その遊端側に検出アーム44との連係用の長孔28Dを有している。
【0044】
第1センサ43は、第3支持部材39に支持されている。この支持により、第1センサ43は、検出軸43Aが高さ設定レバー28の支軸41と平行になる姿勢で高さ設定レバー28の後方に位置している。第1センサ43には、回転式のポテンショメータが採用されている。検出アーム44は、その遊端部に、連係部28Cの長孔28Dに挿通される左右向きの連係ピン44Aを有している。連係部28C及び検出アーム44は、長孔28Dと連係ピン44Aとの連係により、連係部28Cと検出アーム44との連動揺動に伴う連係部28Cと検出アーム44との相対変位が許容されている。
【0045】
上記の構成から、高さ設定レバー28の操作位置を第1センサ43により検出することができる。そして、高さ設定レバー28、第1保持機構42、及び、第1センサ43、などにより、無段階位置保持型の第1レバーユニット45が構成されている。
【0046】
図示は省略するが、第1センサ43は、検出した高さ設定レバー28の操作位置を制御装置に出力する。制御装置は、第1センサ43の検出などに基づいて昇降装置10の作動を制御することにより、高さ設定レバー28の操作位置に対応する高さ位置まで作業装置を昇降駆動する。これにより、作業装置を高さ設定レバー28の操作位置に対応する高さ位置に位置させるポジション制御を行うことができる。
【0047】
図7〜12に示すように、支持フレーム36は、第1レバーユニット45とともに有段階位置保持型の第2レバーユニット46を支持している。第2レバーユニット46は、12段の操作位置にわたって有段階に前後揺動する主変速レバー25、及び、主変速レバー25をそれぞれの操作位置に保持するデテント式の第2保持機構47、などを備えている。第2保持機構47は、主変速レバー25と連動する連動部材48、及び、連動部材48を介して主変速レバー25を保持する保持部材49、などを備えている。
【0048】
保持部材49は、扇形で、その上部側の円弧状の外縁部に、主変速レバー25の操作位置に対応するレバー保持用の複数の凹部49Aが形成されている。保持部材49は、その下部が支持フレーム36の第2支持部材38に固定されている。
【0049】
連動部材48は、保持部材49の下部側に備えた左右向きの支軸部49Bを支点にして前後揺動する。連動部材48は、その遊端部に、左右向きの支軸50を支点にして上下揺動する揺動アーム51、及び、揺動アーム51を下降付勢する引っ張りバネ52、を備えている。揺動アーム51は、その遊端部に、レバー保持用のピン53を左右向き姿勢で備えている。レバー保持用のピン53は、引っ張りバネ52の作用により、保持部材49の各凹部49Aに択一的に入り込む。
【0050】
主変速レバー25及び第2保持機構47は、主変速レバー25の揺動支軸54と交差する前後方向に並ぶ状態で分散配備されている。そのため、第2レバーユニット46においては、主変速レバー25と第2保持機構47の連動部材48とが、連係機構55を介して連動連結されている。
これにより、第2レバーユニット46としての左右幅を、主変速レバー25と第2保持機構47とが一体的に左右に並んで配備される構成に比較して狭くすることができる。
又、主変速レバー25と第2保持機構47とが一体的に構成される場合に比較して、主変速レバー25と第2保持機構47との配置の自由度が高くなる。これにより、主変速レバー25及び第2保持機構47を、高さ設定レバー28などとともに第1操作部34に集中配備する場合に、高さ設定レバー28などの装備により、第1操作部34において、主変速レバー25と第2保持機構47との一体配備を許容する広い空間を確保することができなくても、主変速レバー25と第2保持機構47との分散配備を許容する空間を確保することにより、主変速レバー25と第2保持機構47とを、高さ設定レバー28などとともに第1操作部34に集中配備することができる。
そして、主変速レバー25と第2保持機構47とが分散配備されても、主変速レバー25と第2保持機構47の連動部材48とが連係機構55を介して連動連結されることから、第2保持機構47による主変速レバー25の各操作位置での有段階保持を、連係機構55を介して行うことができる。
しかも、主変速レバー25と第2保持機構47とが上下方向に並べて分散配備される場合に生じる虞のある、主変速レバー25の下方に配備される第2保持機構47により、運転者の足元空間が狭められて窮屈になる、といった不都合を招くことなく、主変速レバー25と第2保持機構47とを、運転座席32と右側のリアフェンダ6との間の狭い空間に無理なく配備することができる。
【0051】
図3に示すように、主変速レバー25は、第1操作部34の前端側に位置している。高さ設定レバー28は、第1操作部34における主変速レバー25の右後方箇所に位置している。昇降スイッチ29は、第1操作部34における主変速レバー25の後方箇所に位置している。PTOスイッチ30は、第1操作部34における主変速レバー25の右側方箇所に位置している。3本の補助レバー33は、第1操作部34における高さ設定レバー28の右後方箇所に位置している。
【0052】
図3及び
図7〜12に示すように、主変速レバー25は、第1支持部材37の縦壁部37Aと直交する揺動支軸54を支点にして前後揺動する。これにより、主変速レバー25は、その操作方向が、車体前側に操作されるほど車体横外側に変位する前側右外向き方向に設定されている。
そして、このように主変速レバー25の操作方向が設定されることで、主変速レバー25の操作方向が車体の前後方向に沿う前後方向に設定される場合に比較して、運転座席32に着座した状態での主変速レバー25の操作が行い易くなる。
【0053】
右側のリアフェンダ6は、支持フレーム36、主変速レバー25の揺動支点側、及び、高さ設定レバー28の揺動支点側、などを車体内側から覆い隠すサイドカバー56が取り付けられている。サイドカバー56は、主変速レバー25の揺動支点側と対向する運転座席側の前側壁部56Aを、主変速レバー25の操作方向に沿う前側右外向き姿勢で備えている。
これにより、主変速レバー25などを第1操作部34に集中配備しながらも、運転座席32に対する右前方の乗降領域を広く確保することができ、運転部7に対する車体右側からの乗降が行い易くなる。又、運転座席32の右斜め前方箇所のフロア部分に位置するアクセルペダル31の踏み込み操作が行い易くなる。
【0054】
図7〜12に示すように、主変速レバー25は、揺動支軸54からの延出長さが短いフィンガーシフト式で、その揺動範囲が狭く設定されている。
これにより、主変速レバー25が、揺動支軸54からの延出長さが長いハンドシフト式である場合、又は、その揺動範囲が広く設定されている場合に比較して、主変速レバー25の小型化を図ることができ、主変速レバー25の設置に要する空間を狭くすることができる。その結果、主変速レバー25の配置の自由度を高めることができる。
【0055】
第2保持機構47において、連動部材48は、その揺動支軸である支軸部49Bからの延出長さが、主変速レバー25の揺動支軸54からの延出長さと同様に短く設定されている。保持部材49は、レバー保持用の各凹部49Aの間隔が、主変速レバー25の揺動範囲に応じて短く設定されている。
これにより、第2保持機構47を、ハンドシフト式の主変速レバー25、又は、揺動範囲の広い主変速レバー25に対応させる場合に比較して、第2保持機構47の小型化を図ることができ、第2保持機構47の設置に要する空間を狭くすることができる。その結果、第2保持機構47の配置の自由度を高めることができる。
【0056】
第2レバーユニット46は、主変速レバー25の操作に摩擦抵抗を付与する摩擦付与機構58を備えている。
これにより、主変速レバー25の不必要な素早い操作を防止することができる。その結果、レバー保持用の各凹部49Aの間隔を短くした第2保持機構47の保持部材49に対して、主変速レバー25の素早い操作に連動して連動部材48が素早く揺動した場合に生じる虞のある、連動部材48のピン53が操作目標の凹部49Aを飛び越える主変速レバー25の段飛ばし操作、を防止することができる。
つまり、第2保持機構47の小型化に起因した主変速レバー25の誤操作を防止することができる。
【0057】
図10及び
図12に示すように、摩擦付与機構58は、摩擦板59、一対の平座金60、一対の皿バネ61、及び、ナット62、などを備えている。摩擦板59、一対の平座金60、及び、一対の皿バネ61は、主変速レバー25の揺動支軸54に外嵌されている。
ナット62は、揺動支軸54の雄ネジ部54Aにねじ込まれている。
これにより、摩擦付与機構58は、揺動支軸54の雄ネジ部54Aに対するナット62のねじ込み量が調節されることで、主変速レバー25の操作に付与する摩擦抵抗を調整することができる。
【0058】
図7〜12に示すように、第2レバーユニット46は、主変速レバー25の操作位置を検出する第2センサ63を備えている。第2センサ63には、回転式のポテンショメータが採用されている。第2センサ63は、その検出軸63Aが第1支持部材37の縦壁部37Aと直交する姿勢で第1支持部材37に取り付けられている。第2センサ63は、その検出軸63Aが主変速レバー25の揺動支軸54よりも上方に位置する高さ位置に配置されている。第2センサ63の検出軸63Aには、主変速レバー25と連動揺動する検出アーム64が固着されている。
これにより、第2センサ63の検出軸63Aと主変速レバー25の揺動支軸54とが同軸心上に位置する場合に比較して、主変速レバー25の操作角に対する検出アーム64の操作角を大きくすることができる。これにより、主変速レバー25の操作位置の変更に伴って変化する電圧値の変化量を大きくすることができる。
その結果、主変速レバー25の小型化を図りながら、第2センサ63として回転式のポテンショメータを採用した主変速レバー25の位置検出を精度良く行うことができる。
【0059】
主変速レバー25は、検出アーム64との連係用の長孔25Aを有している。検出アーム64は、その遊端部に、主変速レバー25の長孔25Aに挿通される横向きの連係ピン64Aを有している。主変速レバー25及び検出アーム64は、長孔25Aと連係ピン64Aとの連係により、主変速レバー25と検出アーム64との連動揺動に伴う主変速レバー25と検出アーム64との相対変位が許容されている。
【0060】
図7〜12に示すように、主変速レバー25は、第1レバーユニット45の車体前側に位置している。第2保持機構47は、第1レバーユニット45の車体後側に位置している。連係機構55は、主変速レバー25と第2保持機構47との間に位置する第1レバーユニット45などとの干渉を回避するために、第1レバーユニット45などを迂回する形状に曲げ形成されたロッド65を備えている。
【0061】
主変速レバー25は、前述したように、その操作方向が前側右外向き方向に設定されている。第2保持機構47において、保持部材49の設置姿勢は、レバー保持用の各凹部49Aが車体の前後方向に沿って並ぶ前後向き姿勢に設定されている。連動部材48の揺動方向は、車体の前後方向に沿う前後方向に設定されている。そのため、連係機構55は、ロッド65の両端部に、主変速レバー25又は連動部材48に対する連結用のボールジョイント66を備えている。
これにより、揺動方向の異なる主変速レバー25と連動部材48との連動が円滑に行われるようにしている。
【0062】
連動部材48は、連係機構用の連結軸部48Aに、圧縮バネ67の作用でロッド後端のボールジョイント66を連動部材側に付勢する付勢機構68を備えている。これにより、ロッド後端のボールジョイント66の融通によるロッド65の変位が規制され、その変位によるロッド65の第1レバーユニット45などとの干渉が防止されている。
【0063】
図3、
図4及び
図7〜12に示すように、サイドカバー56は、その上面に、主変速レバー用の第1ガイド溝56B、及び、高さ設定レバー用の第2ガイド溝56C、などを有している。第1ガイド溝56Bは、中立保持部56aと第1ガイド部56bと第2ガイド部56cと第3ガイド部56dとを有している。中立保持部56aは、主変速レバー25の中立位置での保持を可能にする。第1ガイド部56bは、主変速レバー25が中立位置と前進8速位置又は後進4速位置との間で揺動操作される場合に主変速レバー25を案内する。第2ガイド部56cは、主変速レバー25が前進8速位置と前進9速位置との間又は後進4速位置と後進5速位置との間で揺動操作される場合に主変速レバー25を案内する。第3ガイド部56dは、主変速レバー25が前進9速位置と前進12速位置との間又は後進5速位置と後進8速位置との間で揺動操作される場合に主変速レバー25を案内する。
【0064】
中立保持部56aは、第1ガイド部56bの中立位置から第1ガイド部56bと直交する車体右方向に延出している。これにより、主変速レバー25が中立保持部56aに位置する状態では、主変速レバー25の中立位置から増速方向への誤操作を防止することができる。
【0065】
第1ガイド部56b及び第3ガイド部56dは、直線状に形成されている。第2ガイド部56cは、クランク状に形成されることで、主変速レバー25の前進8速位置と前進9速位置との間又は後進4速位置と後進5速位置との間での揺動操作に要する操作時間が長くなるようにしている。
これにより、主変速ユニット21の構造上、他の変速動作に対して比較的時間のかかる主変速ユニット21の前進8速と前進9速との間又は後進4速と後進5速との間での変速動作が、主変速レバー25の前進8速位置と前進9速位置との間又は後進4速位置と後進5速位置との間での揺動操作に対して遅れが生じることを防止している。
【0066】
図7〜12に示すように、主変速レバー25は、基端側レバー部材69及び遊端側レバー部材70などを備えている。主変速レバー25は、基端側レバー部材69の遊端側に、第2センサ63との連係用の長孔25Aを有している。基端側レバー部材69は、揺動支軸54から上方に延出し、その上下中間部にボス部69Aを有している。遊端側レバー部材70は、ボス部69Aを跨ぐ下端部が、揺動支軸54と直交する姿勢の支軸71を介してボス部69Aに連結されている。これにより、遊端側レバー部材70は、基端側レバー部材69に対する支軸71を支点にした揺動操作が可能となっている。ボス部69Aには、遊端側レバー部材70を車体右方向に揺動付勢するねじりバネ72が外嵌されている。
ボス部69Aは、遊端側レバー部材70の左外側に延出する延出部69Bを有している。
遊端側レバー部材70の揺動範囲は、遊端側レバー部材70の下端部が基端側レバー部材69に接触する右側限界位置と、遊端側レバー部材70の下端部が延出部69Bに接触する左側限界位置との間に設定されている。
これにより、主変速レバー25は、第1ガイド溝56Bに沿った揺動操作が可能となっている。又、主変速レバー25は、中立位置に位置する場合には、ねじりバネ72の作用によって中立保持部56aに保持される。
【0067】
図7〜12に示すように、ガード部材40は、主変速レバー25及び高さ設定レバー28の左側に位置している。つまり、ガード部材40により、運転者が主変速レバー25又は高さ設定レバー28に不測に接触することに起因した主変速レバー25又は高さ設定レバー28の誤操作が防止されている。
【0068】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0069】
〔1〕本発明は、操作レバー25が高さ設定レバー28であり、高さ設定レバー28を複数の操作位置に保持するデテント式の保持機構47を備えて、作業装置の高さ設定を有段階で行うように構成した作業車に適用してもよい。
【0070】
〔2〕本発明は、操作レバー25が無段変速装置用の変速レバーであり、変速レバーを複数の操作位置に保持するデテント式の保持機構47を備えて、無段変速装置の疑似的な有段変速操作を可能した作業車に適用してもよい。
【0071】
〔3〕本発明は、操作レバー25及びデテント式の保持機構47などが、クリープレバー27などとともに、運転座席32の左側方箇所に備えた第2操作部35に配備される作業車に適用してもよい。
【0072】
〔4〕本発明は、操作レバー25及びデテント式の保持機構47などが、運転座席32の左右に配備される左右のアームレストに内蔵される作業車に適用してもよい。
【0073】
〔5〕操作レバー25の操作段数、及び、デテント式の保持機構47における凹部49Aの数量は、操作レバー25の操作対象となる変速装置などの構成に応じて種々の変更が可能である。
【0074】
〔6〕デテント式の保持機構47は、連動部材48が、扇形で、その上部側の円弧状の外縁部に、主変速レバー25の操作位置に対応するレバー保持用の複数の凹部49Aが形成され、かつ、保持部材49が、レバー保持用のピン53を有する揺動アーム51、及び、揺動アーム51を連動部材48の凹部49Aに向けて揺動付勢する引っ張りバネ52、などを備える構成であってもよい。
【0075】
〔7〕デテント式の保持機構47は、操作レバー25と保持機構47とが、車体の上下方向に並ぶ状態で分散配備される構成であってもよい。
【0076】
〔8〕操作レバー25は、その操作方向が、車体の前後方向に沿う前後方向に設定されていてもよい。
【0077】
〔9〕操作レバー25は、その揺動支軸54からの延出長さが長いハンドシフト式であってもよい。
【0078】
〔10〕連係機構55は、ロッド65が、操作レバー25と連動部材48とに真直ぐにわたる形状であってもよい。
【0079】
〔11〕連係機構55は付勢機構68を備えていなくてもよい。