特許第6478892号(P6478892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6478892
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】開閉機構
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/02 20060101AFI20190225BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   E05F1/02 B
   E05D15/06 124Z
   E05D15/06 125Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-205894(P2015-205894)
(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-78271(P2017-78271A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子
(72)【発明者】
【氏名】黒中 正道
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−072968(JP,A)
【文献】 実開平02−091870(JP,U)
【文献】 実開昭58−136569(JP,U)
【文献】 特開2007−063929(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0567838(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00 − 13/04, 17/00
E05D 15/00 − 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を閉止する扉体が、ガイドレールの長手方向にスライド移動可能に設けられて、前記長手方向における一方側の前記開口を閉止する閉止位置と、他方側の前記開口を開放する開放位置との間で移動可能に設けられていると共に、前記扉体を前記閉止位置で保持する保持力を発生させる保持力発生機構を有する開閉機構であって、
長手方向の一端側が、前記扉体に回転可能に連結されて、錘が取り付けられた他端側が、前記扉体のスライド方向に変位可能とされた錘部材と、
前記扉体が前記閉止位置に配置されているときの前記錘部材の前記一端側と前記扉体との連結軸を基準として、前記連結軸よりも下側であって、前記ガイドレールの長手方向における前記連結軸よりも前記他方側に支持軸を配置した第1支持部材と、
前記第1支持部材の前記支持軸よりも下側であって、前記ガイドレールの長手方向における前記第1支持部材よりも前記他方側に支持軸を配置した第2支持部材と、を有し、
前記扉体が前記閉止位置と前記開放位置との間を移動している途中で、前記錘部材の下縁を支持する支持部材が、前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で切り替わるようにしたことを特徴とする開閉機構。
【請求項2】
前記ガイドレールは、前記扉体の上縁を支持する上側ガイドレールと、前記扉体の下縁を支持する下側ガイドレールと、から構成されており、
前記第1支持部材は、
前記上側ガイドレールで支持されていると共に、前記ガイドレールでの支持位置が、前記ガイドレールの長手方向に変更可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の開閉機構。
【請求項3】
前記第1支持部材は、
当該第1支持部材の前記支持軸を、前記錘部材と前記扉体との連結軸に対して平行に配置しており、
前記第1支持部材の前記支持軸では、前記錘部材の下縁を支持する第1支持ローラが、ベアリングを介して支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉機構。
【請求項4】
前記第2支持部材は、
当該第2支持部材の前記支持軸を、前記錘部材と前記扉体との連結軸に対して平行に配置しており、
前記第2支持部材の前記支持軸では、前記錘部材の下縁を支持する第2支持ローラが、ベアリングを介して支持されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の開閉機構。
【請求項5】
前記錘は、前記錘部材の前記長手方向の他端に着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の影響を受けない状態で測定を行う必要がある測定装置の中には、収容箱内で測定を行うように構成されたものがある。
この場合に用いられる収容箱には、測定装置へのアクセスのための開口と、この開口を開閉する扉とが設けられており、測定時に開口を扉で封止することで、周囲から隔離した状態で測定を行えるようにしている。
【0003】
ここで、測定中に扉が開かれると、周囲の影響が箱の内部に及んでしまい、測定をやり直す必要が生じてしまう。
そのため、測定中に扉が開かれないようにする機構(ロック機構)が、この種の測定装置を収容する収容箱に設けられており、このロック機構として種々のものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−063929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、扉が閉じられると、扉を開くことができない状態(ロック状態)になり、測定が終了すると、扉を開くことができる状態(アンロック状態)になるロック機構が知られており、さらに、ロック機構によりアンロック状態になったのち、所定量以上の操作力が扉を開く方向に作用するまでは、扉を閉じた状態で保持する保持機構も知られている。
【0006】
しかし、扉を開く方向に移動させる際に必要な操作力(所定量以上の操作力)は、扉の通常の移動に必要な操作力よりも大きいので、扉を開く方向に移動させるために入力した操作力が大きすぎると、扉が開く方向に勢い良く移動して、扉の開く方向の移動範囲を規定するストッパに衝突することがあった。
そのため、作業者にとって、扉に作用させる操作力の加減が難しかった。
【0007】
そこで、扉のロック状態/アンロック状態を切り換えるロック機構のほかに、アンロック状態になったのち、所定量以上の操作力が扉を開く方向に作用するまでは扉を閉じた状態で保持するための保持力を発生させる保持力発生機構を備えている場合にも、扉の操作を簡単に行えるようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
開口を閉止する扉体が、ガイドレールの長手方向にスライド移動可能に設けられて、前記長手方向における一方側の前記開口を閉止する閉止位置と、他方側の前記開口を開放する開放位置との間で移動可能に設けられていると共に、前記扉体を前記閉止位置で保持する保持力を発生させる保持力発生機構を有する開閉機構であって、
長手方向の一端側が、前記扉体に回転可能に連結されて、錘が取り付けられた他端側が、前記扉体のスライド方向に変位可能とされた錘部材と、
前記扉体が前記閉止位置に配置されているときの前記錘部材の前記一端側と前記扉体との連結点を基準として、前記連結点よりも下側であって、前記ガイドレールの長手方向における前記連結点よりも前記他方側に設置された第1支持部材と、
前記第1支持部材よりも下側であって、前記ガイドレールの長手方向における前記第1支持部材よりも前記他方側に設置された第2支持部材と、を有し、
前記扉体が前記閉止位置と前記開放位置との間を移動している途中で、前記錘部材の下縁を支持する支持部材が、前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で切り替わるようにした構成の開閉機構とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、錘部材では、当該錘部材の他端側に取り付けられた錘により、扉体との連結点のある一端側を、支持部材を支点として変位させる応力が生じており、この応力は、扉体をガイドレールの他方側の開放位置に向けて移動させる方向の操作力となる。
そして、この操作力は、錘部材が支持部材により支持される位置が、扉体との連結点に近づくほど大きくなり、扉体との連結点から離れるほど小さくなるので、閉止位置に配置された扉体を、保持力発生機構が作用させる保持力に打ち勝って開放位置に向けて移動させるのに必要な初期の操作力を抑えることができる。
よって、保持力発生機構を備えている場合にも、扉の操作を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる開閉機構を説明する図である。
図2】実施の形態にかかる開閉機構を説明する図である。
図3】実施の形態にかかる開閉機構の要部を説明する図である。
図4】実施の形態にかかる開閉機構の要部を説明する図である。
図5】実施の形態にかかる開閉機構の動作を説明する図である。
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、箱体70の開口71を開閉するスライドドア2の開閉機構1に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0012】
図1は、スライドドア2の開閉機構1を説明するための斜視図であり、(a)は、スライドドア2が、箱体70の開口71を閉止した閉止位置に配置された状態を示す図であり、(b)は、スライドドア2が、開口71を開放した開放位置に配置された状態を示す図である。
図2は、開閉機構1を説明する図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図である。
図3は、開閉機構1の第1支持部材4周りを説明する図であり、(a)は、図2の(a)における領域Bの拡大図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(a)におけるB−B断面図である。
図4は、開閉機構1の第2支持部材5周りを説明する図であり、(a)は、図2の(a)におけるC−C断面図であり、(b)は、図2の(a)におけるD−D断面図である。
【0013】
図1に示すように、箱体70の内部には、図示しない測定装置の測定部80が位置しており、この箱体70には、箱体70の内部へのアクセスを可能にするための開口71が設けられている。
【0014】
この箱体70の開口71は、正面視において矩形形状を成しており、この開口71は、開閉機構1が備えるスライドドア2により開閉されるようになっている。
【0015】
図2に示すように、スライドドア2は、平面視において矩形形状を成す板状の基部21を有しており、この基部21は、開口71を塞ぐことが可能な大きさで形成されていると共に、基部21の中央には、箱体70の内部を視認可能にするための透明な樹脂製の窓22が設けられている。
【0016】
図2の(b)に示すように、スライドドア2は、基部21の上縁2aと下縁2bが、互いに平行に配置された一対のガイドレール31、32の溝311、321に収容された状態で、ガイドレール31、32の長手方向に移動可能に設けられている。
【0017】
実施の形態では、スライドドア2は、ガイドレール31、32の長手方向における一方側の開口71を封止する封止位置(図1の(a)参照)と、他方側の開口71を開放した開放位置(図1の(b)参照)との間で、移動可能に設けられている。
【0018】
図2の(a)に示すように、ガイドレール31、32の一端31a、32aと他端31b、32bは、それぞれ上下方向に延びるフレーム部材33、34で互いに連結されており、正面視において矩形形状を成す枠体3が、ガイドレール31、32と、フレーム部材33、34とで形成されている。
ここで、ガイドレール31、32の他端31b、32bを連結する一方のフレーム部材34は、他方のフレーム部材33よりも全長が長くなっており、この一方のフレーム部材34の下端34bは、下側のガイドレール32よりも下方に位置している。
【0019】
実施の形態では、スライドドア2が封止位置(図1の(a)参照)に配置されると、図2の(a)に示すように、基部21における一方の側縁21aが、上下方向の全長に亘ってフレーム部材33と隙間無く接触して、箱体70の開口71がスライドドア2により隙間無く閉じられるようになっている。
スライドドア2の基部21では、フレーム部材33側の側縁21aと、窓22との間に、上下方向に沿って把手23が設けられており、この把手23は、ユーザが手動によりスライドドア2を移動させる際に把持されるようになっている。
【0020】
基部21における他方の側縁21bでは、上側のガイドレール31に隣接する位置に、連結部材24が設けられている。
図3の(a)に示すように、この連結部材24は、基部21における開口71とは反対側の面に固定された長方形形状の部材であり、錘部材6との連結部241を、基部21の側縁21bよりも外側に位置させて設けられている。
そのため、スライドドア2が、開放位置(図1の(b)参照)に配置されると、基部21の上部に設けた連結部材24がフレーム部材34に接触することで、基部21の側縁21bとフレーム部材33との間に隙間が残されるようになっている。
【0021】
図2の(a)に示すように、錘部材6は、長手方向の一端61aが、連結部241に回転可能に連結された板状の基部61を有しており、この基部61の錘65が連結された他端61b側は、基部61と連結部241との連結軸(軸線X1)周りの周方向に揺動可能となっている。
【0022】
実施の形態では、図3の(b)に示すように、基部61の一端61a側に設けた貫通孔62と、連結部材24の連結部241に設けた連結孔241aとを貫通したボルトB1と、このボルトB1に螺合したナットN1とにより、基部61の一端61aとスライドドア2の連結部材24とが連結されている。
【0023】
図3の(b)に示すように、錘部材6の基部61は、連結部材24の厚み方向(図3の(b)における左右方向)で、開口71とは反対側の面に接して設けられており、この連結部材24の開口71側の隙間(スライドドア2の基部21の厚みに相当する隙間)に、ボルトB1に螺合したナットN1を位置させている。
【0024】
図2および図4に示すように、基部61の他端61bには、筒状の錘65が、前記した軸線X1に対して平行な軸線X4に沿わせた向きで設けられており、この錘65は、基部61を貫通したネジ66により、基部61に対して着脱自在に設けられている。
そのため、実施の形態では、基部61の他端61bに取り付けた錘65を、所望の重さの錘に交換できるようになっている。
【0025】
実施の形態では、スライドドア2が閉位置に配置された際に、錘部材6(基部61)の側縁61cが、第2支持部材5の後記する支持ローラ52で確実に支持されるように、基部61の長さL1が設定されている(図5の(c)参照)。
【0026】
そのため、錘部材6の他端61b側は、フレーム部材34の外側に常に位置している。
ここで、錘部材6の他端61b側が、スライドドア2のスライド時に、作業者や他の部品などと干渉すると、スライドドア2のスライドがスムーズに行えなくなってしまう。
そのため、実施の形態では、フレーム部材34よりも外側に、フレーム部材34に対して平行な外側フレーム部材35を設けて、この外側フレーム部材35とフレーム部材34との間に、錘部材6の他端61b側との干渉を防ぐために、錘部材6の基部61の他端61b側を収容する収容室Sが形成されている。
【0027】
実施の形態では、外側フレーム部材35とフレーム部材34の上端35a、34aと下端35b、34bが、それぞれ連結フレーム36、37により連結されており、これら外側フレーム部材35と、フレーム部材34と、連結フレーム36、37により囲まれた空間が、透明な樹脂製の保護板90により封止されており、箱体70側からの収容室Sへのアクセスが、保護板90により阻止されている。
【0028】
さらに、外側フレーム部材35の上端35aおよび下端35bと、フレーム部材34の下端34bには、箱体70とは反対側に延びるフレーム38、39、39が設けられており、外側フレーム部材35とフレーム38、39で囲まれた空間と、フレーム37、39、39で囲まれた空間も、透明な樹脂製の保護板91、92により封止されており、側方および下方からの収容室Sへのアクセスが、これら保護板91、92により阻止されている。
【0029】
図2および図3に示すように、上側のガイドレール31では、開口71とは反対側の側面に、ガイド溝312が設けられており、このガイド溝312の長手方向の途中位置に、第1支持部材4が設けられている。
【0030】
図3の(c)に示すように、第1支持部材4は、取付部材40と、この取付部材40の支持板部401を厚み方向に貫通した有頭ネジ41と、有頭ネジ41の軸部411にニードルベアリングNBを介して支持された支持ローラ42と、を有している。
有頭ネジ41の軸部411は、錘部材6の基部61と連結部材24との連結軸(軸線X1)に対して平行に配置されており、この軸部411で支持された支持ローラ42は、連結軸(軸線X1)に対して平行な支持軸(軸線X2)回りに回転可能に設けられている。
【0031】
有頭ネジ41では、軸部411の先端にナットN2が螺合しており、支持ローラ42は、取付部材40の支持板部401とナットN2により軸線X2方向の位置決めがされている。
【0032】
取付部材40は、スライドドア2に対して平行に配置された支持板部401と、支持板部401の上部側をガイドレール側に屈曲させて形成した腕部402と、腕部402の先端402aが溶接された連結部403と、を有しており、腕部402と連結部403の下側に支持ローラ42が位置している。
実施の形態では、スライドドア2の基部21と支持板部401との間に、錘部材6の基部61が位置しており、取付部材40における支持板部401が、錘部材6の基部61の箱体70から離れる方向(図3の(c)における左方向)への移動を規制する規制部となっている。
【0033】
腕部402の先端402aが溶接された連結部403は、ガイドレール31の長手方向に沿って配置された板状部材であり(図3の(a)参照)、この連結部403は、ガイドレール31の長手方向に間隔を空けて配置された一対の連結ネジ43、43を備えている。
第1支持部材4は、取付部材40の連結部403をガイド溝312の長手方向の任意の位置に配置したのち、連結ネジ43、43をガイド溝312に螺入して、ガイドレール31に取り付けられるようになっている。
【0034】
そのため、第1支持部材4は、ガイド溝312の長手方向の任意の位置に配置できるようになっており、スライドドア2が閉止位置に配置された際に、前記した支持ローラ42が、錘部材6の基部61の下側の側縁61cを支持する位置を、微調整できるようになっている。
【0035】
実施の形態では、スライドドア2が開口71を閉止する閉止位置に配置された状態で、錘部材6とスライドドア2との連結点(軸線X1)よりも下側であって、スライドドア2のスライド方向におけるこの連結点(軸線X1)よりも開放位置側(図3の(a)において左側)で、支持ローラ42が、錘部材6の基部61の下側の側縁61cに当接するように、第1支持部材4は設けられている。
【0036】
図2および図4に示すように、第1支持部材4よりも下側には、下側のガイドレール32とフレーム部材34で支持された第2支持部材5が設けられている。
図4の(a)に示すように、第2支持部材5は、下側のガイドレール32とフレーム部材34とに跨がって固定された支持板50と、支持板50を厚み方向に貫通した有頭ネジ51と、有頭ネジ51の軸部511にニードルベアリングNBを介して支持された支持ローラ52と、有頭ネジ51に外挿された状態で、有頭ネジ51の頭部51aと、支持ローラ52との間に配置されたリング状の移動規制部材53と、を有している。
【0037】
有頭ネジ51の軸部511は、錘部材6の基部61と連結部材24との連結軸(軸線X1)に対して平行に配置されており、この軸部511に支持された支持ローラ52は、連結軸(軸線X1)に対して平行な支持軸(軸線X3)回りに回転可能に設けられている。
【0038】
下側のガイドレール32とフレーム部材34において支持板50は、開口71とは反対側の側縁32c、34cに、固定ネジ54、54により固定されており、支持板50の有頭ネジ51が固定された先端部501側は、フレーム部材34と外側フレーム部材35との間の収容室S内に位置している。
ガイドレール31の長手方向(スライドドア2のスライド方向)から見て、有頭ネジ51は、支持板50の開口71とは反対側から支持板50に螺入されており、支持板50と移動規制部材53との間には、有頭ネジ51の軸部511に外挿された支持ローラ52が位置している。
【0039】
実施の形態では、錘部材6の基部61が第2支持部材5の支持ローラ52に当接すると、支持ローラ52よりも大径の移動規制部材53と、支持板50との間に、錘部材6の基部61が位置するようになっている。そのため、第2支持部材5が備える移動規制部材53は、錘部材6の基部61の箱体70から離れる方向への移動を規制する規制部となっている。
【0040】
実施の形態では、スライドドア2が開口71を閉止する閉止位置に配置された状態で、第1支持部材4の支持ローラ42の回転軸(軸線X2)よりも下側であって、この回転軸(軸線X2)よりも開放位置側(図2の(a)において左側)で、有頭ネジ51の軸部511で回転可能に支持された支持ローラ52が、錘部材6の基部61の下側の側縁61cに当接するように、第2支持部材5は設けられている。
【0041】
かかる構成のスライドドア2を備える開閉機構1の動作を説明する。
図5は、スライドドア2を備える開閉機構1の動作を説明する図であり、(a)は、スライドドア2が開口71を閉止する閉止位置に位置している状態を模式的に示した図であり、(b)は、スライドドア2が開口71を開放する開放位置と、開口71を閉止する閉止位置との間に位置している状態を模式的に示した図であり、(c)は、スライドドア2が開口71を開放する開放位置に位置している状態を模式的に示した図である。
【0042】
ここで、実施の形態にかかるスライドドア2を備える開閉機構1は、スライドドア2を閉止位置で保持するためのロック機構100を有しており、このロック機構100は、スライドドア2側に設けた係合孔25に係脱する係合ピン101を有している。
このロック機構100は、図示しない測定装置での測定を行うために、測定対象物を測定部80に載置したのちにスライドドア2を閉止位置まで移動させると、係合ピン101を係合孔25に自動的に係合させて、スライドドア2を開放位置側に移動させることができない状態(ロック状態)にする機能を有している。
さらに、このロック機構100は、図示しない測定装置での測定が終了すると、係合ピン101を係合孔25から自動的に離脱させて、スライドドアを開放位置側に移動させることができる状態(アンロック状態)にする機能を有している。
【0043】
さらに、開閉機構1は、スライドドア2を開放位置側に移動させる方向の操作力が、所定量以上の操作力で作用するまで、スライドドア2を閉止位置で保持する保持力発生機構110を有しており、実施の形態では、この保持力発生機構110は、スライドドア2とフレーム部材33の互いの接合面に設けられた一対の磁石111、112から構成される。
【0044】
スライドドア2を備える開閉機構1では、スライドドア2が閉止位置に配置されている状態では、錘部材6の基部61の下側の側縁61cは、第1支持部材4の支持ローラ42に支持されている。
この状態において錘部材6では、当該錘部材6の他端61b側に取り付けられた錘65により、スライドドア2との連結点(軸線X1)のある一端61a側を、支持ローラ42による支持点を支点Pとして変位させる応力F1が生じている。
この応力F1は、スライドドア2を閉止位置から開放位置に向けて移動させる方向(図5の(a)における左方向)の操作力F2となり、閉止位置に配置されたスライドドア2には、当該スライドドア2を開放位置に向けて移動させる操作力F2が常時作用している。
【0045】
実施の形態では、スライドドア2が閉止位置に配置されると、ロック機構100がスライドドア2を自動的にロック状態にするように構成されている。
そのため、スライドドア2がロック状態にされている間は、スライドドア2は、錘部材6から作用する操作力F2に関係なく、閉止位置で保持され続けることになる。
【0046】
そして、測定が終了すると、ロック機構100が、係合ピン101を係合孔25から離脱させてスライドドア2を自動的にアンロック状態にする。
ここで、スライドドア2は、開閉機構1が備える保持力発生機構110により、スライドドア2を開放位置側に移動させる方向の操作力が、所定量の操作力Fx以上で作用するまで、閉止位置で保持されるようになっている。
【0047】
実施の形態では、スライドドア2を閉止位置に配置されている状態で、スライドドア2に作用する操作力F2が、この所定量の操作力Fxよりも大きくなるように(F2>Fx)、支持ローラ42による錘部材6の支持位置や、錘部材6に取り付けられた錘65の重量が設定されている。
【0048】
そのため、スライドドア2がアンロック状態になった時点で、スライドドア2が開放位置に向けて移動することになる(図5の(b)参照)。
そして、スライドドア2が開放位置に向けて移動すると、錘部材6とスライドドア2との連結点(軸線X1)の位置もまた、スライドドア2の開放位置側(図5の(b)における左側)に向けて移動することになる。
そうすると、第1支持部材4の支持ローラ42は、錘部材6の下側の側縁61cを転動しながら一端61a側に移動して、支持ローラ42による錘部材6の支持位置が一端61a側に変化することになる。
【0049】
この際に、錘部材6は一端61aがスライドドア2との連結点(軸線X1)回りに回転可能となっているので、錘65が取り付けられた他端61b側は、スライドドア2のスライド方向に沿って、第2支持部材5に近づく方向の下方に変位することになる。
【0050】
そして、錘部材6とスライドドア2との連結点(軸線X1)が、第1支持部材4を超えた時点で、錘部材6の他端61b側が第2支持部材5の支持ローラ52に接触して、錘部材6の下側の側縁61cを支持する支持部材が、第1支持部材4から第2支持部材5に切り替わることになる。
【0051】
そうすると、支持ローラ52による支持位置(支点P)が、錘部材6の他端61b側となるので、スライドドア2との連結点(軸線X1)のある一端61a側を、支持ローラ42による支持点を支点Pとして変位させる応力F3は、錘部材6の一端61a側が支持ローラ42により支持されている場合の応力F1よりも小さくなる(F1>F3)。
そのため、この応力F3により、スライドドア2を閉止位置から開放位置に向けて移動させる方向に作用する操作力F4は、錘部材6の一端61a側が第1支持部材4の支持ローラ42により支持されている場合の操作力F2よりも小さくなる(F2>F4)。
【0052】
このように、錘部材6の支持部材による支持位置が、第1支持部材4から第2支持部材5に切り替わることで、最初に保持力発生機構110による保持力よりも大きい操作力F2を作用させたのち、保持力発生機構110による保持力が作用しなくなった時点で、当初の操作力F2よりも小さい操作力F4で、スライドドア2が開放位置に向けて移動することになる。
【0053】
以上の通り、実施の形態では
(1)開口71を閉止するスライドドア2(扉体)が、ガイドレール31、32の長手方向にスライド移動可能に設けられて、スライドドア2が、ガイドレール31、32の長手方向の一端31a、32a側(一方側)に配置されて開口71を閉止する閉止位置(図5の(a)参照)と、ガイドレール31、32の長手方向の他端31b、32b側(他方側)に配置されて開口71を開放する開放位置(図5の(c)参照)との間で移動可能に設けられていると共に、スライドドア2を閉止位置で保持する保持力を発生させる保持力発生機構110を有する開閉機構1であって、
長手方向の一端61a側が、スライドドア2に回転可能に連結されて、錘65が取り付けられた他端61b側が、スライドドア2のスライド方向に変位可能とされた錘部材6と、
スライドドア2が閉止位置に配置されているときの錘部材6の一端61a側とスライドドア2との連結軸(軸線X1)を基準として、連結軸よりも下側であって、ガイドレール31、32の長手方向における連結軸(軸線X1)よりも他端31b、32b側に、軸部411(支持軸:軸線X2)を配置した第1支持部材4と、
第1支持部材4の軸部411よりも下側であって、ガイドレール31、32の長手方向における第1支持部材4よりも他端31b、32b側に軸部511(支持軸:軸線X3)を配置した第2支持部材5と、を有し、
スライドドア2が閉止位置と開放位置との間を移動している途中で、錘部材6の下側の側縁61c(下縁)を支持する支持部材が、第1支持部材4と第2支持部材5との間で切り替わる構成とした。
【0054】
このように構成すると、錘部材6では、錘部材6の他端61b側に取り付けられた錘65により、スライドドア2との連結点のある一端61a側を、支持部材を支点として変位させる応力(F1、F3:図5参照)が生じており、この応力(F1、F3)は、スライドドア2をガイドレール31、32の他端31b、32b側の開放位置に向けて移動させる方向の操作力(F2、F4:図5参照)となる。
そして、この操作力(F2、F4)は、錘部材6が支持部材により支持される位置(P:図5参照)が、スライドドア2との連結点(錘部材6の一端61a)に近づくほど大きくなり、スライドドア2との連結点(錘部材6の一端61a)から離れるほど小さくなる。
よって、閉止位置に配置されたスライドドア2を、ユーザが操作して開放位置側に移動させる場合には、保持力発生機構110が作用させる保持力に打ち勝って開放位置に向けて移動させるのに必要な初期の操作力を抑えることができるので、保持力発生機構110を備えている場合にも、スライドドア2の操作を簡単に行うことができる。
【0055】
また、スライドドア2を開放位置に向けて移動させている途中では、錘部材6が支持部材により支持される位置が錘部材6の一端61aから離れるにつれて、スライドドア2に作用する操作力が小さくなる。
そのため、開放位置に向けて移動させているスライドドア2の移動速度を、開放位置に近づくにつれて遅くすることができるので、スライドドア2の開口71を開く方向の移動範囲を規定するストッパ(連結部材24)が破損する可能性を低減できる。
【0056】
さらに、開閉機構1が、図示しない測定装置の測定部80を収容する箱体70の開口71を開閉するスライドドア2の開閉機構1であり、
この開閉機構1が、スライドドア2側に設けた係合孔25に係脱させる係合ピン101を備えたロック機構100を有しており、
このロック機構100が、図示しない測定装置での測定を行うために、測定対象物を測定部80に載置したのちにスライドドア2を閉止位置まで移動させると、係合ピン101を係合孔25に自動的に係合させて、スライドドア2を開放位置側に移動させることができない状態(ロック状態)にすると共に、図示しない測定装置での測定が終了すると、係合ピン101を係合孔25から自動的に離脱させて、スライドドア2を開放位置側に移動させることができる状態(アンロック状態)にする機能を有している場合には、
スライドドア2が閉止位置に配置されているときに錘部材6からスライドドア2に作用する操作力F2が、保持力発生機構110が作用させる保持力よりも大きくなるように、錘部材6に取り付ける錘65や、第1支持部材4による錘部材6の支持位置(支点P)を設定することで、
図示しない測定装置での測定の終了時に、係合ピン101が係合孔25から離脱して、スライドドア2の閉止位置への保持が、保持力発生機構110が発生する保持力のみになった時点で、スライドドア2を、閉止位置から開放位置に向けて自動的に移動させることが可能になる。
これにより、作業者の手を煩わせること無く、測定の終了時に、スライドドア2を開放位置に移動させることができるので、スライドドア2が開放位置に移動したことをもって、作業者に測定の終了を報知できるので、作業効率の向上が期待できる。
【0057】
(2)ガイドレールは、スライドドア2の上縁2aを支持する溝311を有する上側のガイドレール31(上側ガイドレール)と、下縁2bを支持する溝321を有する下側のガイドレール32(下側ガイドレール)と、から構成されており、
第1支持部材4は、ガイドレール31のガイド溝312で支持されていると共に、ガイドレール31のガイド溝312での支持位置が、ガイドレール31の長手方向に変更可能とされている構成とした。
【0058】
このように構成すると、錘部材6からスライドドア2に作用する操作力の微調整や、錘部材6を支持する支持部材が、第1支持部材4と第2支持部材5との間で切り替わるタイミングを調整できる。
これにより、より適切な操作力を適切なタイミングでスライドドア2に作用させて、スライドドア2を開放位置に向けて移動させることができる。
【0059】
(3)第1支持部材4は、
有頭ネジ41の軸部411(支持軸)を、錘部材6とスライドドア2との連結軸(軸線X1)に対して平行に配置しており、
有頭ネジ41の軸部411では、錘部材6の下側の側縁61cを支持する支持ローラ42(第1支持ローラ)が、ニードルベアリングNB(ベアリング)を介して支持されている構成とした。
【0060】
このように構成すると、スライドドア2の移動に連動して、錘部材6と第1支持部材4とが、スライドドア2のスライド方向に相対的に変位する際に、錘部材6の側縁61cを、支持ローラ42が転動することになる。
これにより、第1支持部材4の支持ローラ42による錘部材6の側縁61cの支持位置が、スライドドア2の移動に連動してスムーズに変化して、錘部材6と第1支持部材4との相対移動が阻害されないので、錘部材6が連結されたスライドドア2の移動もまた、阻害されることがない。
錘部材6の側縁61cを、支持部材が摺動する場合には、摺動抵抗により、錘部材6と支持部材との相対移動が阻害されて、錘部材6が連結されたスライドドア2の移動もまた、阻害される場合があるが、かかる事態の発生を好適に防止できる。
【0061】
(4)第2支持部材5は、
有頭ネジ51の軸部511(支持軸)を、錘部材6とスライドドア2との連結軸(軸線X1)に対して平行に配置しており、
有頭ネジ51の軸部511では、錘部材6の下側の側縁61cを支持する支持ローラ52(第2支持ローラ)が、ニードルベアリングNB(ベアリング)を介して支持されている構成とした。
【0062】
このように構成すると、スライドドア2の移動に連動して、錘部材6と第2支持部材5とが、スライドドア2のスライド方向に相対的に変位する際に、錘部材6の側縁61cを、支持ローラ52が転動することになる。
これにより、第2支持部材5の支持ローラ52による錘部材6の側縁61cの支持位置が、スライドドア2の移動に連動してスムーズに変化して、錘部材6と第2支持部材5との相対移動が阻害されないので、錘部材6が連結されたスライドドア2の移動もまた、阻害されることがない。
【0063】
ここで、実施の形態では、有頭ネジ51の軸部511に外挿された移動規制部材53を、有頭ネジ51の頭部51aと支持ローラ52の間に配置して、支持ローラ52よりも大径の移動規制部材53により、支持ローラ52に載置された錘部材6の他端61b側が、支持ローラ52からの脱落しないようにした。
これにより、スライドドア2の移動により、錘部材6の他端61b側と支持ローラ52とが相対移動する際に、錘部材6の他端61b側を支持ローラ52上に保持することができるので、開放位置側で移動するスライドドア2に、適切な操作力を作用させることができる。
【0064】
(5)錘65は、錘部材6の長手方向の他端61b側に、着脱自在に設けられている構成とした。
【0065】
このように構成すると、スライドドア2の重量などに応じて、錘部材6に取り付けられた錘65の重量を調整することができるので、スライドドア2に作用させる操作力を適切な大きさに調整できる。
【符号の説明】
【0066】
1 開閉機構
2 スライドドア
21 基部
22 窓
23 把手
24 連結部材
241 連結部
241 連結部
241a 連結孔
25 係合孔
3 枠体
31、32 ガイドレール
31a、32a、 一端
31b、32b 他端
311、321 溝
312 ガイド溝
33、34 フレーム部材
35 外側フレーム部材
36、37 連結フレーム
38、39 フレーム
4 第1支持部材
40 取付部材
401 支持板部
402 腕部
402a 先端
403 連結部
41 有頭ネジ
411 軸部
42 支持ローラ
43 連結ネジ
5 第2支持部材
50 支持板
501 先端部
51 有頭ネジ
511 軸部
51a 頭部
52 支持ローラ
53 支持部材
54 固定ネジ
6 錘部材
61 基部
61a 一端
61b 他端
61c 側縁
62 貫通孔
65 錘
66 ネジ
70 箱体
71 開口
80 測定部
90、91、92 保護板
100 ロック機構
101 係合ピン
110 保持力発生機構
111、112 磁石
B1 ボルト
F1、F3 応力
F2、F4 操作力
Fx 所定量の操作力
N1 ナット
N2 ナット
NB ニードルベアリング
P 支点
S 収容室
X1〜X4 軸線
図1
図2
図3
図4
図5