(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
断熱材は、熱伝導率が小さいことが求められ、ガラス繊維等の繊維系断熱材や、多孔質セラミックス等のかさ密度の低いセラミックス等が一般的に用いられている。熱伝導率に影響を及ぼす伝熱因子は、固体伝熱・気体伝熱・輻射伝熱に分けて考えることができる。
【0003】
繊維系断熱材としては、例えば、特許文献1に、エアロゲルが充填された繊維体からなり、赤外線反射剤を含む断熱層を、多孔性の被覆層で被覆して、輻射伝熱を抑制するものが記載されている。しかしながら、このような断熱材は、主成分がシリカエアロゲルであり、耐熱性が低く、400℃以上の高温での熱伝導率も不明である。
【0004】
一方、多孔質セラミックスにおいては、高気孔率とすることにより、固体伝熱を抑制し、熱伝導率を低減させている。しかしながら、400℃以上の高温では、輻射伝熱が及ぼす影響が大きくなる。そのため、現在市販されている、高温域での使用を目的とした断熱材においては、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物や炭化ケイ素等の輻射率が高い材料を添加して、輻射伝熱を抑制することが行われている。
【0005】
また、耐熱性材料としては、特許文献2に、アルミナにランタン等の希土類元素の酸化物を添加した化合物であるヘキサアルミネートが、β−アルミナ型の結晶構造を有し、酸化物セラミックスの中でも比較的高い融点を持ち、高強度であることから、高温構造材料として用いられることが記載されている。さらに、特許文献3には、ランタンヘキサアルミネートを含むセラミックス多孔性材料は、耐熱性に優れ、触媒担体等に役立つ材料であることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2、3に記載されたランタンヘキサアルミネートは、いずれもその結晶構造による耐熱性に着目したものであるが、特許文献2においては、高温構造材料として用いられることが記載されているにすぎない。また、特許文献3においては、多孔質セラミックスとしているものの、多孔性材料として触媒担体やフィルタに使用されることが記載されているにすぎない。このように、特許文献2、3のいずれにも、ランタンヘキサアルミネートが断熱材として使用されることについては記載されていない。
【0008】
一方で、近年、さらに高性能な断熱材のニーズがあり、1800℃でも耐熱性を有し、かつ、熱伝導率がより小さく、断熱性に優れた断熱材が求められている。
【0009】
そこで、本発明者らは、上記技術的課題に対して、セラミックス材料としてランタン等の希土類元素の酸化物を添加したヘキサアルミネートに注目して検討を重ね、高温で優れた断熱効果を有する断熱材を見出した。
すなわち、本発明は、従来の断熱材特性をより向上させたものとして、1800℃でも優れた耐熱性を有し、かつ、1000℃以上の高温でも熱伝導率の増加が抑制され、優れた断熱性が保持される多孔質セラミックスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る多孔質セラミックスは、XAl
11O
18(X=L
a)からなり、開気孔率が73〜90vol%であり、孔径2〜6μmの範囲に少なくとも1つの気孔径ピークを有することを特徴とする。このようなヘキサアルミネート系の多孔質セラミックスは、1000〜1500℃の高温においても熱伝導率の増加が抑制され、1800℃でも耐熱性が保持された断熱材として好適に用いることができる。
【0011】
前記多孔質セラミックスは、輻射断熱を十分に抑制する観点から、孔径0.01〜10μmの範囲の気孔容積が0.5ml/g以上であることが好ましい。
【0012】
前記多孔質セラミックス
はランタンヘキサアルミネート系である
ので、特に、断熱材として好適である。
【0013】
また、前記多孔質セラミックスは、高温での熱伝導率が低いほど、優れた断熱効果が得られることから、1000〜1500℃における熱伝導率が0.4W/(m・K)以下であることが好ましい。
【0014】
さらに、前記多孔質セラミックスは、波長が380nm以上2500nm以下の範囲における光反射率が95%以上であることが好ましい。光反射率が95%以上であることにより、前記多孔質セラミックスは、熱源となる可視光、近赤外線、中赤外線を効率良く反射し、前記多孔質セラミックス内での熱移動を抑制するため、優れた断熱効果を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る多孔質セラミックスは、従来よりも断熱材としての特性がより向上されたものであり、1800℃でも優れた耐熱性を有し、かつ、1000℃以上の高温でも熱伝導率の増加が抑制され、優れた断熱性が保持される。加えて、1800℃で3時間の熱処理を経た後も構造が維持されるため、1800℃まで断熱性があると言えるものであり、高温域で使用するための断熱材として好適である。
【0016】
したがって、本発明に係る多孔質セラミックスは、1800℃程度の高温環境で高い断熱性が求められる各種構造材や耐火材、例えば、セラミックス、ガラス、鉄鋼、非鉄等の炉における断熱材として、好適に適用することができる。
【0017】
さらに、前記多孔質セラミックスは、1800℃程度の高温環境であっても、前記波長範囲において、高反射率を有するため、前記多孔質セラミックス内での熱移動が抑制されることから、セラミックス、ガラス、鉄鋼、非鉄等の炉における反射材として、より好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、より詳細に説明する。本発明に係る多孔質セラミックスは、XAl
11O
18(X=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu及びGdのうちのいずれか)からなるものである。そして、この多孔質セラミックスは、開気孔率が73〜90vol%であり、孔径2〜6μmの範囲に少なくとも1つの気孔径ピークを有することを特徴とする。
【0020】
本発明は、耐熱性に優れたヘキサアルミネート型酸化物(以下「ヘキサアルミネート」という。)に着目し、特定の気孔構成が高温域での耐熱性及び断熱性に影響を及ぼすことを見出したことに基づくものである。すなわち、上記した希土類元素の酸化物を添加してなるヘキサアルミネートからなる特定の多孔質セラミックスは、1800℃でも耐熱性が保持され、しかも、1000℃以上の高温でも熱伝導率の増加が抑制され、優れた断熱効果を有する断熱材を構成し得る。
【0021】
したがって、本発明に係る多孔質セラミックスは、従来の多孔質セラミックスに比べて、断熱材特性の向上が図られたものであり、同じ厚さで、より高い断熱性が得られ、省エネルギー化に寄与し得る。例えば、炉壁等として大型設備に適用する場合、薄くても十分な断熱性が得られ、設備の省スペース化を図ることができる。また、炉体の表面積の低減化により、炉体表面からの放熱量も低減させることができる。さらに、前記多孔質セラミックスは、従来の断熱レンガに比べて低熱容量であるため、従来の断熱レンガよりも優れた省エネルギー効果が得られる。
【0022】
本発明に係る多孔質セラミックスの材質は、XAl
11O
18(X=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu及びGdのうちのいずれか)からなるヘキサアルミネート系のセラミックスである。すなわち、上記多孔質セラミックスは、XAl
11O
18(X=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu及びGdのうちのいずれか)を主成分として含む。ヘキサアルミネートのセラミックスは、耐熱性が高く、高温での強度に優れているため、高温での粒成長や粒界の結合によって生じる気孔の形状や大きさの変動を低減させることができ、熱伝導率の変動を抑制する効果を長期間維持することができる。
【0023】
特に、X=Laであることが好ましい。LaはCe、Pr、Nd、Sm、Eu及びGdより、入手しやすい。また、ランタンヘキサアルミネート、すなわち、LaAl
11O
18は、1000℃以上の高温域での構造安定性が高く、高温に曝された場合でも特異な粒成長や収縮を示さない。このため、多孔質セラミックスを構成した場合であっても、その気孔構成を維持することができ、高温で使用される断熱材に好適な材質である。なお、前記化学組成は、例えば、粉末X線回折法により測定及び同定することができる。また、LaAl
11O
18は、波長が500nmから2500nmの範囲における吸収がないため、反射材として好ましい。
【0024】
また、前記多孔質セラミックスは、開気孔率が73〜90vol%である。開気孔率が73%未満では、固体伝熱が増加し、熱伝導率を十分に小さくすることが困難となることがある。一方、90%超の場合は、輻射伝熱が抑制されるように気孔径を制御することが困難となることがある。なお、開気孔率は、JIS R 1634:1998「ファインセラミックスの焼結体密度・開気孔率の測定方法」にて算出される。
【0025】
また、前記多孔質セラミックスは、気孔径分布において、孔径2〜6μmの範囲に少なくとも1つの気孔径ピークを有するものである。このような範囲に気孔径ピークが存在することにより、輻射伝熱を抑制することができる。気孔径ピークが上記範囲外にある場合、1000℃以上の高温において輻射伝熱を十分に抑制することができないことがある。なお、前記気孔径分布は、JIS R 1655:2003「ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法」により測定することができる。
【0026】
前記多孔質セラミックスは、孔径0.01〜10μmの範囲の気孔容積が0.5ml/g以上であることが好ましい。このような範囲の気孔容積が0.5ml/g未満であると、固体伝熱及び輻射伝熱の抑制効果が十分に得られないことがある。
【0027】
また、前記多孔質セラミックスは、1000〜1500℃における熱伝導率が0.4W/(m・K)以下であることが好ましい。このような1000℃以上の高温でも熱伝導率が増加することなく抑制されている多孔質セラミックスは、高温でも断熱効果の変動が少なく、高温環境で高い断熱性が求められる断熱材として好適に使用することができる。高温で使用する断熱材として、耐熱被膜としての使用も可能である。
【0028】
さらに、前記多孔質セラミックスは、1800℃で3時間の熱処理を経た後においても、熱伝導率や性状は変化することはなく、耐熱性及び耐久性にも優れている。
【0029】
本発明に係る多孔質セラミックスは、高温での光反射率にも優れたものである。具体的には、波長が380nm以上2500nm以下の範囲における光反射率が95%以上である。
【0030】
従来、例えば、硫酸バリウムやフッ素樹脂は、可視域から赤外域までの広い波長域で高い光反射率を示すことから、良好な反射材の材料として用いられていたが、これらは耐熱性が低く、数百℃までしか使用できないものであった。
【0031】
これに対して、本発明に係る多孔質セラミックスは、1800℃でも優れた耐熱性を有しつつ、この温度域においても高い光反射率を有する、極めて優れた反射材の材料として用いることができる。
【0032】
光は、散乱体の大きさが光の波長と同程度であるときに、その散乱係数が大きくなり、散乱係数が高いと反射率も高くなる傾向にある。すなわち、散乱させたい波長に近いサイズの気孔がある程度の割合で存在する多孔体は、その波長近辺の光反射率も高くなる。
【0033】
本発明に係る多孔質セラミックスは、1000℃以上の高温域でも安定性が高く、1800℃まで高温に曝された場合でも特異な粒成長や収縮を示さない。このような形態の多孔体は、1000℃以上での熱伝導率が小さく1800℃付近においても耐熱性に優れる。そして、上記多孔質セラミックス中に、波長と同程度の大きさの気孔が所定量含まれているとき、ミー散乱が生じる。ミー散乱は波長依存性が小さいため、散乱させる波長と気孔径が厳密に同じでなく、同オーダーであるだけで広い波長の光を散乱させることができる。ここで重要な条件は、気孔の数が十分にあることであり、開気孔率が50vol%以上、孔径1〜10μmの範囲に少なくともひとつの気孔径ピークを有することで、この条件を達成することができ、これにより該波長域における光反射率が95%以上となる。
【0034】
そして、前記XAl
11O
18は、素材として波長が380nm以上2500nm以下の範囲における光の吸収が少ないので、本発明に係る多孔質セラミックスは、上記の気孔分布による散乱効果と合わせて、この波長域の光を反射させるのに極めて効果的である。
【0035】
上記のような本発明に係る多孔質セラミックスの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の多孔質セラミックスの製造方法を適用することができる。気孔構造の形成・調整は、例えば、造孔材や起泡剤の添加等により行うことができる。例えば、X=Laであるランタンヘキサアルミネート系の多孔質セラミックスを製造する場合、Al
2O
3と、La
2O
3又はLa(OH)
3と、水を混合して調製したスラリーを鋳込み成形した後、大気下で1500〜1800℃で焼成することにより行うことができる。
【0036】
このとき、前記多孔質セラミックスの組成中のAl
2O
3の原料は、反応焼結により高気孔率を有するLaAl
11O
18を得ることができれば結晶形は問わない。Al
2O
3の結晶形として、例えば、α−Al
2O
3、γ−Al
2O
3、δ−Al
2O
3、θ−Al
2O
3等が挙げられる。
【0037】
また、スラリーを構成する原料粉末の混合比は、Al
2O
3を50〜99mol%、La
2O
3又はLa(OH)
3等の希土類元素酸化物又は水酸化物を、La
2O
3換算で1〜50mol%とすることが好ましい。このような混合比とすることにより、輻射伝熱を抑制するのに十分な量のヘキサアルミネートを生成することができる。
【0038】
焼成温度は1500〜1800℃である。なお、焼成温度は、多孔質セラミックスを使用する温度以上であればよく、例えば1500℃までの使用を目途とした場合は、焼成温度の下限を1500℃とする。ここで、焼結温度が耐熱温度以下であると、使用時に歪みや亀裂が生じて隙間が発生するため、充分な断熱性および反射特性が得られないおそれがある。また、1800℃を超えると、焼結により開気孔率73vol%以上のものを得ることが難しくなる。
【0039】
なお、高い断熱性が要求されない場合において、高い反射特性のみを得るためであれば、多孔質セラミックスの開気孔率は50vol%であればよく、焼成温度の上限も、開気孔率が73vol%を下回る1900℃となる。
【0040】
上記のようにして得られる多孔質セラミックス中には、ヘキサアルミネート、具体的にはランタンヘキサアルミネート(LaAl
11O
18)以外に、Al
2O
3又はLaAlO
3が存在していてもよい。多孔質セラミックス中にはLaAl
11O
18が主成分として含まれ、具体的には、スラリーを構成する原料粉末の混合比としてLa
2O
3の添加量が1〜50mol%となるようにしたものが好ましい。ヘキサアルミネートが前記した量で含まれることにより、多孔質セラミックスは耐熱性に優れ、かつ、高温での強度や輻射伝熱の抑制効果に優れたものとなる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
【0042】
(実施例1)
Al
2O
3100gと、La
2O
329gと、純水100gとを混合し、アクリルエマルション系分散剤4gを添加して、スラリーを調製した。このスラリーを鋳込み成形し、60mm×70mm×20mmの成形体を得た。この成形体を、大気雰囲気中、1800℃で3時間焼成し、多孔質セラミックスを作製した。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様にして、スラリーを調製して成形し、大気雰囲気中、1700℃で3時間焼成し、多孔質セラミックスを作製した。
【0044】
(実施例3)
実施例1と同様にして、スラリーを調製して成形し、大気雰囲気中、1600℃で3時間焼成し、多孔質セラミックスを作製した。
【0045】
(比較例1)
実施例1と同様にして、スラリーを調製して成形し、大気雰囲気中、1850℃で3時間焼成し、多孔質セラミックスを作製した。
【0046】
(比較例2)
実施例1と同様にして、スラリーを調製し、このスラリーに平均粒径10μmの造孔材(積水化成品工業株式会社製、PMMA)を添加して成形し、大気雰囲気中、1700℃で3時間焼成し、多孔質セラミックスを作製した。
【0047】
(比較例3)
市販のアルミナファイバーによる耐熱1600℃の断熱材を比較例3とした。
【0048】
得られた多孔質セラミックスについて、粉末X線回折法(X線源:CuKα、電圧:40kV、電流:150mA、走査速度:0.06°/s)にて結晶相の同定を行った。また、多孔質セラミックス及び市販の断熱材について、開気孔率をアルキメデス法にて測定した。また、水銀ポロシメータを用いて気孔容積を測定し、気孔径ピークを求めた。
図1に、実施例1、2及び比較例1、3についての気孔径分布を示す。また、熱伝導率は、JIS R 2616を参考にして熱線法にて測定した。なお、
図2に、実施例2及び比較例3についての温度と熱伝導率との関係をグラフとして示す。下記表1に各種評価結果をまとめて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1及び
図2から分かるように、実施例1〜3のうち、特に、実施例2の多孔質セラミックスは、熱伝導率が低く、また、温度の上昇に伴う熱伝導率の増加も小さく、優れた断熱効果を有していることが認められた。これに対して、市販の断熱材(比較例3)は、輻射伝熱の影響が現れ始める400℃以上において、温度の上昇に伴って熱伝導率が大きく増加した。
【0051】
また、上記各実施例及び比較例の多孔質セラミックス及び市販の断熱材を1800℃で3時間熱処理し、熱処理後の熱伝導率を、JIS2616を参考にして測定した。熱処理を行ったものをそれぞれ、実施例1’〜3’、比較例1’〜3’とし、表2に熱処理後の熱伝導率測定結果を示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表1、2から分かるように、実施例1’は、熱処理後においても、熱伝導率の変化はほとんど認められなかった。実施例2’、3’は、熱処理後、熱伝導率が多少増加する傾向が見られたが、熱処理後の熱伝導率も0.4W/(m・K)以下であった。一方、比較例1’、2’は、熱処理後も熱伝導率の変化はほとんど認められなかったが、熱処理前も熱処理後も熱伝導率は0.4W/(m・K)を超えていた。また、比較例3’は、熱処理による収縮が著しく、熱伝導率の測定はできなかった。
【0054】
また、
図3に、実施例1及び実施例1’の気孔径分布を示す。
図3に示したように、熱処理前後で気孔径分布には大きな変化は見られず、1800℃の熱処理後も構造がほぼ維持されていることが認められる。
【0055】
なお、上記各実施例においては、ランタンヘキサアルミネート(XAl
11O
18、X=La)系の多孔質セラミックスを代表例として示したが、X=Ce、Pr、Nd、Sm、Eu又はGdの場合においても同様のことがいえる。
【0056】
(光反射率の評価)
上記で作製した実施例1、比較例3、そして、以下に示す参考例について、UV−VIS−NIR分光光度計(PerkinElmer社製Lambda950)とこれに付属される150mm径の積分球とを用いて、波長250〜2500nmにおける標準試料(フッ素樹脂系材料(Labsphere社製 Spectralon))を100%としたときの光反射率を測定した。それぞれの測定結果を
図4に示す。
【0057】
(参考例)
市販のUV−VIS−NIR分光光度計の標準試料を参考例とした。
【0058】
参考例及び比較例3は、波長0.5〜9.9μm(500nm以上9900nm以下)の波長領域には吸収を持たないことがわかった。また、比較例3は、9.9μm(9900nm)超の範囲にのみ気孔径ピークを有していた。
【0059】
図4の結果から明らかなように、実施例1では、波長が380nm以上2500nm以下の範囲における光反射率が95%を超えている。これに対して、比較例3では、ほぼ前記波長域全域に亘って、光反射率が95%を下回っている。
【0060】
参考例でも、波長が380nm以上2500nm以下の範囲における光反射率が95%を超えていた。以上のことから、本発明及びこれに類する多孔質セラミックスは、参考例に示すフッ素樹脂系材料と同等の反射率を示すことから極めて優れた反射率を有する材料といえる。