特許第6479247号(P6479247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6479247電力供給システム、電力需給システムおよび電力需給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6479247
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】電力供給システム、電力需給システムおよび電力需給方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20190225BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20190225BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20190225BHJP
【FI】
   H02J1/00 308H
   H02J1/00 309R
   H02M3/155 C
   H02M7/48 M
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-198108(P2018-198108)
(22)【出願日】2018年10月22日
【審査請求日】2018年10月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 正樹
(72)【発明者】
【氏名】玉腰 武司
(72)【発明者】
【氏名】木村 守
(72)【発明者】
【氏名】田中 信太朗
(72)【発明者】
【氏名】井出 一正
(72)【発明者】
【氏名】宮部 昇三
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−205401(JP,A)
【文献】 特開2002−186259(JP,A)
【文献】 特開2002−315306(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/111208(WO,A1)
【文献】 特開2008−259282(JP,A)
【文献】 特開2013−110879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J1/00−1/16
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J9/00−11/00
H02M3/00−3/44
H02M7/42−7/98
B60R16/00−17/02
B60L1/00−3/12
B60L7/00−13/00
B60L15/00−15/42
B60L50/00−58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ラインから電力が供給される第1端子部と、
前記第1端子部からの電力が供給される第2端子部と、
前記第1端子部と前記第2端子部の接続を固定または解除する接続部と、
前記第2端子部からの電力を電力変換して電力負荷に電力を供給する電力供給装置と、
前記接続部の接続状態および前記電力供給装置の電力供給状態を監視して制御する第1制御部と、
前記電力ラインと前記第1端子部との間に接続される第1開閉部と、
前記第1開閉部と前記第1端子部との間に接続される電流検出部および電圧検出部と、
それらを制御する中央制御装置を有し、
前記中央制御装置は、前記第1端子部と前記第2端子部とを開放する指令が入力された場合に、前記第1制御部により前記電力供給装置の電力供給を停止させたのちに前記電力ラインの電流値を検出させ、前記電流値が所定の電流値よりも小さくなると前記第1開閉部を開放し、前記第1開閉部の開放後に前記第1制御部により放電させ、前記第1制御部による放電後に前記電圧検出部の電圧値を検出し、前記電圧値が所定の電圧値よりも小さくなると前記接続部が解除可能と判定する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
ユーザに情報を報知する報知部を更に備え、
前記中央制御装置は、前記電圧値が所定の電圧値よりも小さくなると、前記報知部により前記接続部が解除可能である旨を報知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
ユーザに情報を報知する報知部を更に備え、
前記中央制御装置は、前記接続部を解除すると共に、前記報知部により、前記電力供給装置が取り外し可能である旨を報知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記第1開閉部と前記電流検出部および前記電圧検出部との間に接続される充電部を有し、
前記充電部は、充電抵抗と第2開閉部を有し、
前記中央制御装置は、前記第1端子部と前記第2端子部を接続する指令が入力された場合に、前記第1開閉部が開放され、前記電圧検出部の電圧値が所定電圧値以下であり、前記第2開閉部が開放されているならば、前記接続部を接続させる信号を前記第1制御部に送り、
前記接続部の接続後に、前記第1開閉部を接続することで、前記電力ラインと前記電力供給装置が前記充電部の前記充電抵抗を介して接続され、前記電力供給装置の充電後に前記電圧検出部の電圧値が所定の範囲内ならば、前記第2開閉部を投入して前記充電部の前記充電抵抗をバイパスさせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項5】
ユーザに情報を報知する報知部を更に備え、
前記中央制御装置は、前記第2開閉部を投入すると共に、前記報知部により、前記電力供給装置の取り付けが完了した旨を報知する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記電流検出部および前記電圧検出部の信号に基づき前記第1開閉部と前記充電部を制御する第2制御部、
を有することを特徴とする請求項4または5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記電力ラインから電力供給を受けて前記電力供給装置を冷却する冷却部、
を有することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の電力供給システム。
【請求項8】
DC電力の供給を行う複数台のDC電力供給装置と、
前記DC電力供給装置に接続され、それぞれの前記DC電力供給装置から入力されたDC電力を合成し、分配する電力合成/分配装置と、
前記電力合成/分配装置に接続される複数台のDC/ACコンバータと、
前記電力合成/分配装置に接続される複数台のDC/DCコンバータと、
一方が前記DC/ACコンバータに接続され、他方がAC電力を需給するAC機器が接続されるAC機器接続部と、
一方が前記DC/DCコンバータに接続され、他方がDC電力を需給するDC機器が接続されるDC機器接続部と、
前記電力合成/分配装置、前記DC/ACコンバータ、前記DC/DCコンバータのいずれかを制御することで、DC電力の合成と、それぞれの前記AC機器接続部および前記DC機器接続部への電力の供給と分配と、を制御する中央制御装置と、
前記DC/ACコンバータ、前記DC/DCコンバータ、前記DC電力供給装置に含まれるAC/DCコンバータのいずれかを電力供給装置として、前記電力合成/分配装置に接続、または、接続を解除するための請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の電力供給システムとして機能する接続部、
を備えることを特徴とする電力需給システム。
【請求項9】
電力ラインから電力が供給される第1端子部と、
前記第1端子部からの電力が供給される第2端子部と、
前記第1端子部と前記第2端子部の接続を固定または解除する接続部と、
前記第2端子部からの電力を電力変換して電力負荷に電力を供給する電力供給装置と、
前記接続部の接続状態および前記電力供給装置の電力供給状態を監視して制御する第1制御部と、
前記電力ラインと前記第1端子部との間に接続される第1開閉部と、
前記第1開閉部と前記第1端子部との間に接続される電流検出部および電圧検出部と、
それらを制御する中央制御装置を有する電力供給システムの電力需給方法であって、
前記中央制御装置は、前記第1端子部と前記第2端子部とを開放する指令が入力された場合に、前記第1制御部により前記電力供給装置の電力供給を停止させたのちに前記電力ラインの電流値を検出させ、
前記電流値が所定の電流値よりも小さくなると前記第1開閉部を開放し、
前記第1開閉部の開放後に前記第1制御部により放電させ、
前記第1制御部による放電後に前記電圧検出部の電圧値を検出し、
前記電圧値が所定の電圧値よりも小さくなると前記接続部が解除可能と判定する、
ことを特徴とする電力供給システムの電力需給方法。
【請求項10】
前記電力供給システムは、前記第1開閉部と前記電流検出部および前記電圧検出部との間に接続される充電部を有し、
前記充電部は、充電抵抗と第2開閉部を有し、
前記中央制御装置は、前記第1端子部と前記第2端子部を接続する指令が入力された場合に、前記第1開閉部が開放され、前記電圧検出部の電圧値が所定電圧値以下であり、前記第2開閉部が開放されているならば、
前記接続部を接続させる信号を前記第1制御部に送り、
前記接続部の接続後に、前記第1開閉部を接続することで、前記電力ラインと前記電力供給装置が前記充電部の前記充電抵抗を介して接続され、
前記電力供給装置の充電後に前記電圧検出部の電圧値が所定の範囲内ならば、前記第2開閉部を投入して前記充電部の前記充電抵抗をバイパスさせる、
ことを特徴とする請求項9に記載の電力供給システムの電力需給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム、電力需給システムおよび電力需給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギの電力安定供給を目的とした電力補償設備、非常時の自家発電設備などを用途として内燃機関による発電装置(以下、内燃機関発電装置)の設置が拡大している。更に、管理された地域への電力供給を目的として、内燃機関発電装置等の交流(AC)電力供給装置だけではなく直流(DC)電力供給装置のニーズはますます高まるものと予想される。
【0003】
例えば、特許文献1には「交流電力を直流電力に変換する電力変換装置によって充電されるとともに前記電力変換装置からの直流電力が供給される第1の直流負荷に常時並列に接続され、前記電力変換装置へ供給される交流電力が瞬間的に電圧低下した際または瞬間的に停止した際に前記第1の直流負荷へバックアップのための最小限の直流電力を供給することが可能な第1の蓄電装置と、前記電力変換装置によって充電されるとともに前記第1の蓄電装置と前記第1の直流負荷に対して並列に接続可能であり、貯蔵した前記電力変換装置からの直流電力を第2の直流負荷に供給可能で前記第1の蓄電装置よりも容量が大である第2の蓄電装置と、前記電力変換装置と前記第2の蓄電装置とを接続する回路に設けられる第1のスイッチと、前記第2の蓄電装置と前記第2の直流負荷とを接続する回路に設けられる第2のスイッチと、前記交流電力の前記電力変換装置への供給停止を検出する停電検知手段と、前記第2の蓄電装置に貯蔵された直流電力を前記第2の直流負荷に供給する際には、前記第1のスイッチをオフにするとともに前記第2のスイッチをオンとし、前記停電検知手段により前記交流電力の前記電力変換装置への供給停止を検知した際には、優先的に前記第1のスイッチをオンにするとともに前記第2のスイッチをオフとする回路切替手段とを備える」直流給電システムの制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/082506号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において、第1のスイッチや第2のスイッチはDC電力の供給や遮断に必要な機能であるが、具体的な構成や制御手法が明示されておらず、DC電力の供給や遮断を安全に行えない可能性があった。
【0006】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、電力ラインへの機器の着脱制御を安全に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電力供給システムは、電力ラインから電力が供給される第1端子部と、前記第1端子部からの電力が供給される第2端子部と、前記第1端子部と前記第2端子部の接続を固定または解除する接続部と、前記第2端子部からの電力を電力変換して電力負荷に電力を供給する電力供給装置と、前記接続部の接続状態および前記電力供給装置の電力供給状態を監視して制御する第1制御部と、前記電力ラインと前記第1端子部との間に接続される第1開閉部と、前記第1開閉部と前記第1端子部との間に接続される電流検出部および電圧検出部と、それらを制御する中央制御装置を有し、前記中央制御装置は、前記第1端子部と前記第2端子部とを開放する指令が入力された場合に、前記第1制御部により前記電力供給装置の電力供給を停止させたのちに前記電力ラインの電流値を検出させ、前記電流値が所定の電流値よりも小さくなると前記第1開閉部を開放し、前記第1開閉部の開放後に前記第1制御部により放電させ、前記第1制御部による放電後に前記電圧検出部の電圧値を検出し、前記電圧値が所定の電圧値よりも小さくなると前記接続部が解除可能と判定することを特徴とする。
【0008】
本発明の電力需給システムは、DC電力の供給を行う複数台のDC電力供給装置と、前記DC電力供給装置に接続され、それぞれの前記DC電力供給装置から入力されたDC電力を合成し、分配する電力合成/分配装置と、前記電力合成/分配装置に接続される複数台のDC/ACコンバータと、前記電力合成/分配装置に接続される複数台のDC/DCコンバータと、一方が前記DC/ACコンバータに接続され、他方がAC電力を需給するAC機器が接続されるAC機器接続部と、一方が前記DC/DCコンバータに接続され、他方がDC電力を需給するDC機器が接続されるDC機器接続部と、前記電力合成/分配装置、前記DC/ACコンバータ、前記DC/DCコンバータのいずれかを制御することで、DC電力の合成と、それぞれの前記AC機器接続部および前記DC機器接続部への電力の供給と分配と、を制御する中央制御装置と、前記DC/ACコンバータ、前記DC/DCコンバータ、前記DC電力供給装置に含まれるAC/DCコンバータのいずれかを電力供給装置として、前記電力合成/分配装置に接続、または、接続を解除するための前記電力供給システムとして機能する接続部、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の電力供給システムの電力需給方法は、電力ラインから電力が供給される第1端子部と、前記第1端子部からの電力が供給される第2端子部と、前記第1端子部と前記第2端子部の接続を固定または解除する接続部と、前記第2端子部からの電力を電力変換して電力負荷に電力を供給する電力供給装置と、前記接続部の接続状態および前記電力供給装置の電力供給状態を監視して制御する第1制御部と、前記電力ラインと前記第1端子部との間に接続される第1開閉部と、前記第1開閉部と前記第1端子部との間に接続される電流検出部および電圧検出部と、それらを制御する中央制御装置を有する電力供給システムの電力需給方法である。前記中央制御装置は、前記第1端子部と前記第2端子部とを開放する指令が入力された場合に、前記第1制御部により前記電力供給装置の電力供給を停止させたのちに前記電力ラインの電流値を検出させ、前記電流値が所定の電流値よりも小さくなると前記第1開閉部を開放し、前記第1開閉部の開放後に前記第1制御部により放電させ、前記第1制御部による放電後に前記電圧検出部の電圧値を検出し、前記電圧値が所定の電圧値よりも小さくなると前記接続部が解除可能と判定することを特徴とする。
【0010】
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電流や電圧の検出によって電力ラインに接続される機器の状態を確認することで、電力ラインへの機器の着脱制御を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係るDC電力供給システムの構成を示す図である。
図2A】DC電力供給装置の接続解除処理のフローチャート(その1)である。
図2B】DC電力供給装置の接続解除処理のフローチャート(その2)である。
図3】第2の実施形態に係るDC電力供給システムの構成を示す図である。
図4A】DC電力供給装置の接続処理のフローチャート(その1)である。
図4B】DC電力供給装置の接続処理のフローチャート(その2)である。
図5】第3の実施形態に係るDC電力供給システムの構成を示す図である。
図6】第4の実施形態に係るDC電力供給システムの構成を示す図である。
図7】第5の実施形態に係るAC電力供給システムの構成を示す図である。
図8】第6の実施形態に係るDC電力供給システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るDC電力供給システムZ1の構成を示す図である。
[DC電力供給システムZ1]
DC電力供給システムZ1は、DC電力ライン101と、DC電力ライン101に接続される開閉部221、端子部201、DC電力供給装置Y1と、中央制御装置301、報知部302および入力部303を有している。端子部201は、DC電力供給装置Y1の端子部21に接続されるものであり、開閉部221に接続される。
【0014】
DC電力供給装置Y1は、端子部21と、電力変換装置51と、これらを制御する制御部61を備えている。中央制御装置301は、DC電力供給装置Y1の制御部61に取り付け/取り外し指令を伝達し、開閉部221に投入指令/開放指令を伝達する。
【0015】
DC電力供給システムZ1は更に、開閉部221と端子部201の間に電流検出部211と電圧検出部212を有している。中央制御装置301は、電流検出部211からDC電力ライン101に流れる電流値の情報を受信し、電圧検出部212からDC電力ライン101に印加される電圧値の情報を受信する。なお、開閉部221は、半導体装置または電磁接触器で構成される。
【0016】
DC電力供給装置Y1には、電力負荷401が接続され、電力供給あるいは電力受給を行う。なお、電力負荷401は交流電力または直流電力、またはその両方である。
【0017】
[DC電力供給装置Y1]
DC電力供給装置Y1は、端子部21と、電力変換装置51と、これらを制御する制御部61を備えている。端子部21は、端子部201に接続される。接続部11は、端子部201と端子部21との接続を固定または解除する。接続部11による端子部201と端子部21との接続の固定や解除は、アクチュエータ等によって自動で行われるが、手作業によって行われてもよい。
電力変換装置51は、端子部201に接続されてDC電力を電力変換して電力負荷401に変換電力を供給する。制御部61は、端子部21と電力変換装置51の電力供給状態を監視して制御する。
【0018】
また、電力変換装置51は、DC電力ライン101のDC電力を電力負荷401にあわせて、交流電力または直流電力、またはその両方に電力変換する。なお、DC電力供給装置Y1には、自身の電力を放電する放電回路511が搭載されている。
【0019】
[中央制御装置301]
中央制御装置301は、例えばCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を備えるコンピュータである。報知部302は、例えばディスプレイやスピーカや表示ランプなどである。入力部303は、例えばキーボードやスイッチやタッチパネルなどである。
【0020】
中央制御装置301は、入力部303から端子部201と端子部21を開放する指令が入力された場合に、以下の一連の処理を開始する。中央制御装置301は端子部201と端子部21を開放する指令を制御部61に伝達し、制御部61は電力変換装置51の電力供給を停止する。電力変換装置51の停止後に、中央制御装置301は、電流検出部211の電流量が所定電流値以下であることを確認する。中央制御装置301は、電流検出部211の電流量が所定電流値以下であることを確認した後に、開閉部221を開放する。中央制御装置301は、開閉部221の開放後に、制御部61の指令により、DC電力供給装置Y1に搭載された放電回路511によって、DC電力供給装置Y1の電力を放電する。DC電力供給装置Y1の放電後に、中央制御装置301は、電圧検出部212の電圧値が所定電圧値以下であることを確認し、その後、接続部11の接続を解除する信号を制御部61に送る。制御部61は、接続部11に接続を解除する信号を送る。
【0021】
[DC電力供給装置Y1の接続解除処理]
図2A図2Bは、第1の実施形態に係るDC電力供給装置Y1の接続解除処理を示すフローチャートである。
中央制御装置301は、端子部201と端子部21を開放する指令が入力されると、以下の接続解除処理を開始する。
中央制御装置301は、制御部61に、端子部201と端子部21とを開放する指令を入力する(S10)。制御部61は、電力変換装置51を停止させる信号を電力変換装置51に送る(S11)。電力変換装置51は、この停止信号を受信後、自身の動作の停止処理に移行する。この停止処理とは、例えば、電力変換装置51内の全素子をゲートブロックする処理である。
【0022】
制御部61は、電力変換装置51が停止するのに十分な時間が経過したのち(S12)、電力変換装置51の電力供給状況を確認する(S13)。電力変換装置51の電力供給状況が停止状態である場合(Yes)、ステップS14に進む。電力変換装置51の電力供給状況が停止状態でない場合(No)、制御部61は、中央制御装置301に「取り外しNG」の情報を伝達する(S25)。中央制御装置301は、報知部302により「取り外しNG」の情報をユーザに報知して(S27)、制御フローを停止する。ここで、報知部302による「取り外しNG」の情報の報知とは、例えばディスプレイに文字やアイコンで報知してもよく、スピーカから合成音声で報知してもよく、表示ランプの点滅で報知してもよく、限定されない。
【0023】
電力変換装置51の電力供給状況が停止状態であるステップS14において、中央制御装置301は、電流検出部211の電流量IDC1を検出する。電流検出部211の電流目標値をIM1とすると、IDC1<IM1を満足した場合、中央制御装置301は、ステップS15に進む。IDC1<IM1を満足しない場合(No)、中央制御装置301は、報知部302により「取り外しNG」の情報をユーザに報知して(S27)、制御フローを停止する。
【0024】
DC1<IM1を満足したステップS15において、中央制御装置301は、開閉部221を開放させる信号を開閉部221に送る。開閉部221は、開放信号を受信後、開放動作に移行する。開閉部221が開放するのに十分な時間が経過したのち(S16)、中央制御装置301は、開閉部221の開放状況を確認する(S17)。開閉部221が開放されている場合(Yes)、次のステップS18(図2B参照)に進む。開閉部221が開放されている場合(No)、中央制御装置301は、報知部302により「取り外しNG」の情報をユーザに報知して(S27)、制御フローを停止する。
【0025】
開閉部221が開放状態であるステップS18において、中央制御装置301は、電力変換装置51に搭載されている放電回路511により、電力変換装置51を放電させる指令を制御部61に伝達する。
【0026】
電力変換装置51が放電するのに十分な時間が経過したのち(S19)、中央制御装置301は、電圧検出部212の電圧値VDC1を検出する(S20)。電圧検出部212の電圧目標値をVM1とすると、VDC1<VM1を満足した場合(Yes)、中央制御装置301は、次のステップS21に進む。VDC1<VM1を満足しない場合(No)、中央制御装置301は、報知部302により「取り外しNG」の情報をユーザに報知して(S27)、制御フローを停止する。
【0027】
DC1<VM1を満足したステップS21において、中央制御装置301は、接続部11を解除可能と判定する。すなわち中央制御装置301は、接続部11を解除させる指令を制御部61に送る。制御部61は、接続部11を解除させる信号を接続部11に送る。接続部11は、解除指令を受信後、解除する動作に移行する。接続部11が解除するのに十分な時間が経過したのち(S22)、制御部61は、解除状況を確認する(S23)。接続部11が解除されている場合(Yes)、制御部61は、中央制御装置301に「取り外しOK」の情報を伝達する。中央制御装置301は、報知部302により「取り外しOK」の情報をユーザに報知する(S24)。
【0028】
接続部11が解除されていない場合(No)、制御部61は、中央制御装置301に「取り外しNG」の情報を伝達する(S26)。中央制御装置301は、報知部302により「取り外しNG」の情報をユーザに報知して(S27)、制御フローを停止する。
【0029】
なお、接続部11の解除が手作業で行われる場合、中央制御装置301は、中央制御装置301は、接続部11を解除可能と判定したならば、報知部302により、「接続の解除OK」の情報をユーザに報知してもよい。これにより中央制御装置301は、DC電力供給装置Y1の取り外しを安全に行わせることができる。
【0030】
以上、本実施形態によれば、電流検出により電力供給がなされていない状態を確認でき、また電圧検出により電圧印加がなされていない状態を確認できる。これにより、DC電力ライン101からのDC機器の取り外しを安全に行うことができる。
【0031】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、DC電力供給システムZ2において、DC電力ライン101にDC電力供給装置Y2を取り付ける制御に関する。
【0032】
[DC電力供給システムZ2]
図3は、第2の実施形態に係るDC電力供給システムZ2の構成を示す図である。
DC電力供給システムZ2は、DC電力ライン101と、DC電力ライン101に接続される開閉部221、充電部241、端子部201、DC電力供給装置Y2と、中央制御装置301、報知部302および入力部303を有している。端子部201は、DC電力供給装置Y2の端子部21に接続されるものであり、充電部241を介して開閉部221に接続される。
充電部241は、開閉部243と充電抵抗242が並列接続されて構成される。
【0033】
DC電力供給装置Y2は、端子部21と、電力変換装置51と、これらを制御する制御部61を備えている。中央制御装置301は、DC電力供給装置Y2の制御部61に取り付け/取り外し指令を伝達し、開閉部221に投入指令/開放指令を伝達する。
【0034】
DC電力供給システムZ2は更に、開閉部221と端子部201の間に電流検出部211と電圧検出部212を有している。中央制御装置301は、電流検出部211からDC電力ライン101に流れる電流値の情報を受信し、電圧検出部212からDC電力ライン101に印加される電圧値の情報を受信する。なお、開閉部221は半導体装置または電磁接触器で構成される。
【0035】
DC電力供給装置Y2には電力負荷401が接続され、電力供給あるいは電力受給を行う。なお、電力負荷401は交流電力または直流電力、またはその両方である。
【0036】
[DC電力供給装置Y2]
DC電力供給装置Y2は、第1の実施形態のDC電力供給装置Y1と同様に構成され、同様に動作する。
【0037】
[中央制御装置301]
中央制御装置301は、例えばCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を備えるコンピュータである。報知部302は、例えばディスプレイやスピーカなどである。入力部303は、例えばキーボードやスイッチなどである。
【0038】
中央制御装置301は、端子部201と端子部21を接続する指令が入力された場合に以下の接続処理を開始する。
中央制御装置301は、開閉部221の開放と、電圧検出部212の電圧値が所定電圧値以下であることと、充電部241の開閉部243の開放を確認する。これらの確認後、中央制御装置301は、制御部61に接続部11を接続させる信号を送る。制御部61は、接続部11に接続信号を送る。接続部11が接続した後、中央制御装置301は、開閉部221に、自身を投入させる信号を送る。開閉部221を投入後、充電部241の充電抵抗242を介して、DC電力ライン101からDC電力供給装置Y2および電力変換装置51に電力が供給され、不図示の線路やコンデンサなどが充電される。この充電後、中央制御装置301は、電圧検出部212の電圧値が所定範囲内の値であることを確認した後、充電部241の開閉部243を投入して充電抵抗242をバイパスする指令を伝達する。
【0039】
[DC電力供給装置Y2の接続処理]
図4A図4Bは、第2の実施形態に係るDC電力供給装置Y2の接続処理を示すフローチャートである。
中央制御装置301は、端子部201と端子部21を接続する指令が入力されると、ステップS40の処理を開始する。
中央制御装置301は、開閉部221が開放されていることを確認する(S40)。開閉部221の開放状況が開放である場合(Yes)、次のステップS41に進む。開閉部221の開放状況が開放でない場合(No)、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けNG」の情報を報知して(S56)、制御フローを停止する。
【0040】
中央制御装置301は、電圧検出部212の電圧検出値がVDC2を検出し、電圧検出部212の所定の電圧値をVM2とすると、VDC2<VM2を満足することを確認する(S41)。電圧検出部212の電圧検出値がVDC2<VM2を満足した場合(Yes)、次のステップS42に進む。VDC2<VM2を満足しない場合)(No)、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けNG」の情報をユーザに報知して(S56)、制御フローを停止する。
【0041】
次に中央制御装置301は、充電部241の開閉部243が開放されていることを確認する(S42)。開閉部243の開放状況が開放である場合(Yes)、次のステップS43)に進む。開閉部243の開放状況が開放でない場合、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けNG」の情報をユーザに報知して(S56)、制御フローを停止する。
【0042】
前述のステップS40〜S42は、順番が前後しても構わない。
次に中央制御装置301は、制御部61に、接続部11を接続させる信号を送る。制御部61は、接続部11に接続信号を送る(S43)。接続信号を受信後、接続部11は、接続する動作に移行する。制御部61は、接続部11が接続するのに十分な時間が経過したのち(S44)、接続部11の接続状況を確認する(S45)。接続部11が接続されていない場合(No)、制御部61は、中央制御装置301に「取り付けNG」の情報を伝達する(S55)。中央制御装置301は、報知部302により「取り付けNG」の情報をユーザに報知して(S56)、制御フローを停止する。
接続部11が接続されている場合(Yes)、中央制御装置301は、次のステップS46に進む。
【0043】
なお、接続部11の解除が手作業で行われる場合、中央制御装置301は、報知部302により、「接続OK」の情報をユーザに報知してもよい。これによりユーザは接続部11の接続を固定して、中央制御装置301は、次のステップS46の処理に進むことができる。
【0044】
中央制御装置301は、開閉部221を投入させる信号を開閉部221に送る(S46)。開閉部221は、投入信号を受信後、投入動作に移行する。開閉部221が投入するのに十分な時間が経過したのち(S47)、中央制御装置301は、開閉部221の投入状況を確認する(S48)。開閉部221が投入されている場合(Yes)、次のステップS49に進む。開閉部221が投入されていない場合(No)、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けNG」の情報をユーザに報知して(S56)、制御フローを停止する。
【0045】
開閉部221を投入後、DC電力ライン101から充電部241の充電抵抗242を介して、DC電力供給装置Y2および電力変換装置51の、不図示の線路や直流コンデンサが充電される。DC電力供給装置Y2および電力変換装置51が充電されるのに十分な時間が経過したのち(S49)、中央制御装置301は、電圧検出部212の電圧値VDC2を確認する。電圧検出部212の電圧目標値をVDC、所定の電圧値VM3に対して、|VDC2−VDC|<VM3を満足した場合(Yes)、中央制御装置301は、次のステップS51に進む。|VDC2−VDC|<VM3を満足しない場合(No)、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けNG」の情報をユーザに報知して(S56)、制御フローを停止する。
【0046】
|VDC2−VDC|<VM3を満足したステップS51において、中央制御装置301は、開閉部243を投入して充電抵抗242をバイパスする指令を充電部241に伝達する。接続信号を受信後、開閉部243は、投入動作に移行する。開閉部243が投入するのに十分な時間が経過したのち(S52)、中央制御装置301は、開閉部243の開閉状況を確認する。開閉部243の開閉状況が投入されていない場合(No)、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けNG」の情報をユーザに報知して(S56)、制御フローを停止する。
開閉部243が投入されている場合(Yes)、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けOK」の情報をユーザに報知して、図4A図4Bの処理を終了する。
【0047】
なお、ステップS51の開閉部243の投入動作において、中央制御装置301は、電流検出部211の電流量を検出してもよい。過電流が流れる場合、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けNG」の情報をユーザに報知して(S56)、制御フローを停止する。過電流が流れない場合、中央制御装置301は、報知部302により「取り付けOK」の情報をユーザに報知して、図4A図4Bの処理を終了する。
【0048】
以上、本実施形態によれば、電圧検出によりDC電力ライン101と接続される図示しない線路や直流コンデンサの充電状態を確認できる。更に、充電抵抗242を介して図示しない線路や直流コンデンサを充電したのちに、開閉部243を投入しているので、DC電力ライン101に大電流が流れることを抑止可能である。
これにより、DC電力供給装置Y2とDC電力ライン101との接続および接続解除を安全に行うことができる。
【0049】
[第3の実施形態]
[DC電力供給システムZ3]
図5は、第3の実施形態に係るDC電力供給システムZ3の構成を示す図である。
DC電力供給システムZ3は、DC電力ライン101と、DC電力ライン101に接続される開閉部221、充電部241、端子部201、DC電力供給装置Y3と、制御部231と、中央制御装置301、報知部302および入力部303を有している。端子部201は、DC電力供給装置Y3の端子部21に接続されるものであり、充電部241を介して開閉部221に接続される。
充電部241は、開閉部243と充電抵抗242が並列接続されて構成される。
【0050】
DC電力供給装置Y3は、端子部21と、電力変換装置51と、これらを制御する制御部61を備えている。中央制御装置301は、DC電力供給装置Y3の制御部61に取り付け/取り外し指令を伝達し、制御部231を介して、開閉部221に投入指令/開放指令を伝達する。
【0051】
DC電力供給システムZ3は更に、開閉部221と端子部201の間に電流検出部211と電圧検出部212を有している。制御部231は、電流検出部211からDC電力ライン101に流れる電流値の情報を受信し、電圧検出部212からDC電力ライン101に印加される電圧値の情報を受信する。なお、開閉部221は半導体装置または電磁接触器で構成される。
【0052】
制御部231は、中央制御装置301との間でデータの授受を行う。このとき制御部231は、電流検出データや電圧検出データをそのまま中央制御装置301に転送してもよいし、加工したデータを送受信してもよい。このように制御部231によって、中央制御装置301の計算負荷を削減したり、柔軟なデータ処理を行うことができる。
【0053】
DC電力供給装置Y3には電力負荷401が接続され、電力供給あるいは電力受給を行う。なお、電力負荷401は交流電力または直流電力、またはその両方である。
【0054】
[DC電力供給装置Y3]
DC電力供給装置Y3は、第1の実施形態のDC電力供給装置Y1と同様に構成され、同様に動作する。
【0055】
第3の実施形態と第1,第2の実施形態との相違として、新たな制御部231を有し、開閉部221、電流検出部211および電圧検出部212と中央制御装置301とは、制御部231を介して情報を伝達する。更に、複数のDC電力供給システムZ3がある場合には、制御部231を共通化して使用することができる。制御部231を共通化して使用することで、DC電力供給システムZ3が新たに追加にされた場合にも、制御部231の増加を低減し、中央制御装置301に接続される信号線の数を低減できる。これにより、DC電力供給システムZ3の構成を単純化することができる。
【0056】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、開閉部221を介してDC電力ライン101にDC電力供給装置Y4を接続する際の制御に関する。
【0057】
[DC電力供給システムZ4]
図6は、第4の実施形態に係るDC電力供給システムZ4の構成を示す図である。
第4の実施形態のDC電力供給システムZ4は、第2の実施形態のDC電力供給システムZ1と同様に構成されており、更にその内部に新たに冷却部71を有し、DC電力ライン101から電力供給を受けている。冷却部71は、中央制御装置301に「取り付けOK」の情報が伝達された後に、DC電力ライン101からの電力供給を受けて起動可能となる。
【0058】
[DC電力供給装置Y4]
DC電力供給装置Y4は、第1の実施形態のDC電力供給装置Y1と同様に構成され、同様に動作する。
冷却部71は、DC電力供給システムZ4の内部に設置されているが、とくにDC電力供給装置Y4の内部に設置されていてもよい。第4の実施形態によれば、電力供給がなされていない状態で安全にDC電力遮断を行うことができる。また、冷却部71がDC電力供給システムZ4あるいはDC電力供給装置Y4に内蔵できるので、冷却水の漏れなどがなく、電気的な遮断のみでDC電力供給システムZ4やDC電力供給装置Y4の取り外しが可能である。これにより、DC電力ライン101からのDC電力供給装置Y4の取り外しが容易化する。
【0059】
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、AC電力ライン102にAC電力供給装置Y5を接続する際の構成と制御に関する。
図7は、第5の実施形態に係るAC電力供給システムZ5の構成を示す図である。
[AC電力供給システムZ5]
AC電力供給システムZ5は、AC電力ライン102と、AC電力ライン102に接続される開閉部221、端子部201、AC電力供給装置Y5と、中央制御装置301、報知部302および入力部303を有している。端子部201は、AC電力供給装置Y5の端子部21に接続されるものであり、開閉部221に接続される。
【0060】
AC電力供給装置Y5は、端子部21と、電力変換装置52と、これらを制御する制御部61を備えている。中央制御装置301は、AC電力供給装置Y5の制御部61に取り付け/取り外し指令を伝達し、開閉部221に投入指令/開放指令を伝達する。
【0061】
AC電力供給システムZ5は更に、開閉部221と端子部201の間に電流検出部213と電圧検出部214を有している。中央制御装置301は、電流検出部213からAC電力ライン102に流れる交流の電流値の情報を受信し、電圧検出部214からAC電力ライン102に印加される交流の電圧値の情報を受信する。なお、開閉部221は、半導体装置または電磁接触器で構成される。
【0062】
AC電力供給装置Y5には、電力負荷401が接続され、電力供給あるいは電力受給を行う。なお、電力負荷401は交流電力または直流電力、またはその両方である。
【0063】
[AC電力供給装置Y5]
AC電力供給装置Y5は、端子部21と、電力変換装置52と、これらを制御する制御部61を備えている。端子部21は、端子部201に接続される。接続部11は、端子部201と端子部21との接続を固定または解除する。電力変換装置52は、端子部201に接続されてAC電力を電力変換して電力負荷401に変換電力を供給する。制御部61は、端子部21と電力変換装置52の電力供給状態を監視して制御する。
【0064】
また、電力変換装置52は、AC電力ライン102のAC電力を電力負荷402にあわせて、交流電力または直流電力、またはその両方に電力変換する。なお、AC電力供給装置Y5には、自身の電力を放電する放電回路512が搭載されている。
【0065】
[中央制御装置301]
中央制御装置301は、例えばCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を備えるコンピュータである。報知部302は、例えばディスプレイやスピーカなどである。入力部303は、例えばキーボードやスイッチなどである。
【0066】
中央制御装置301は、入力部303から端子部201と端子部21を開放する指令が入力された場合に、以下の一連の処理を開始する。中央制御装置301は端子部201と端子部21を開放する指令を制御部61に伝達し、制御部61は電力変換装置52の電力供給を停止する。電力変換装置52の停止後に、中央制御装置301は、電流検出部213の交流の電流量が所定電流値以下であることを確認する。中央制御装置301は、電流検出部213の電流量が所定電流値以下であることを確認した後に、開閉部221を開放する。
【0067】
中央制御装置301は、開閉部221の開放後に、制御部61の指令により、AC電力供給装置Y5に搭載された放電回路512によって、AC電力供給装置Y5の電力を放電する。AC電力供給装置Y5の放電後に、中央制御装置301は、電圧検出部214の電圧値が所定電圧値以下であることを確認し、その後、接続部11の接続を解除する信号を制御部61に送る。制御部61は、接続部11に接続を解除する信号を送る。接続部11が解除されると、中央制御装置301は、報知部302により取り外しOKであることを報知する。
【0068】
このように、DC電源ラインに限られず、AC電源ラインにおいても、電流や電圧の検出によって電力ラインに接続される機器の状態を確認することで、電力ラインへの機器の着脱制御を安全に行うことができる。
【0069】
[第6の実施形態]
[電力需給システムZ]
図8は、本発明の第6の実施形態に係る電力需給システムZの構成例を示す図であり、また電力需給システムZと電力系統(商用電力系統)側および需要家側の各負荷との接続関連の一例を示す図である。
【0070】
図8において、電力系統(L)側と、需要家側の需要家負荷Dおよび電力需給システムZとの間には、開閉器(スイッチ)SW1,SW2,SW3が設けられている。
開閉器SW3は、一方が電力系統(L)に接続され、他方が開閉器SW1,SW2に接続される。開閉器SW1は、一方が開閉器SW3に接続され、他方が電力需給システムZに接続される。開閉器SW2は、一方が開閉器SW3に接続され、他方が需要家側の需要家負荷Dに接続される。
【0071】
開閉器SW1,SW2,SW3がすべて閉(オン:ON)の場合には、電力系統(L)側から需要家側に電力が供給される。この場合を「系統連系時」と表記する。なお、系統連系時においても、電力需給システムZにおける電力需給設備E1〜Enに備えられたDC電力供給装置3は、一般的には稼働している。
【0072】
《電力需給システムZの構成》
図8において、電力需給システムZは、中央制御装置301と、電力合成/分配装置2と、n(nは自然数)台の電力需給設備E1〜Enとを備えている。以下、各電力需給設備E1〜Enを特に区別しないときには、単に電力需給設備Eと記載する。
【0073】
また、電力需給システムZにおけるそれぞれの電力需給設備E1〜Enは、電気自動車や、プラグインハイブリッド車等の外部からの電力を蓄電可能な蓄電装置Fを搭載した車両Vに接続されている。また、中央制御装置301は、n台の電力需給設備E(E1〜En)と、電力合成/分配装置2とを制御している。この中央制御装置301は、報知部302や入力部303に接続されている。
【0074】
《電力需給設備E》
電力需給設備Eは、それぞれDC電力供給装置3、DC/DCコンバータ4、DC/ACコンバータ5、DC機器接続部JD、AC機器接続部JAを有している。また、電力合成/分配装置2が、各電力需給設備E1〜Enに対して横断的に設置されている。
【0075】
また、電力需給設備Eには、DC電力供給装置接続部J41、DC/ACコンバータ接続部J11,J12、DC/DCコンバータ接続部J21,J22、AC接続部J31が備えられている。これら接続部J41,J11,J12,J21,J22,J31は、中央制御装置301によって制御される。
【0076】
開閉器SW1の他方は、AC接続部J31とAC機器接続部JAを介してDC/ACコンバータ5のAC端子に接続される。このとき、AC接続部J31は、開閉部221から端子部201までの各要素に相当する。DC/ACコンバータ5は、第5の実施形態のAC電力供給装置Y5(図7参照)として機能する。
【0077】
AC機器接続部JAの他端は、DC/ACコンバータ接続部J11を介してDC/ACコンバータ5のAC端子に接続される。このとき、DC/ACコンバータ接続部J11は、開閉部221から端子部201までの各要素に相当する。DC/ACコンバータ5は、第5の実施形態のAC電力供給装置Y5(図7参照)として機能する。
【0078】
DC/ACコンバータ5のDC端子は、DC/ACコンバータ接続部J11を介して電力合成/分配装置2に接続される。このとき、DC/ACコンバータ接続部J11は、開閉部221から端子部201までの各要素に相当する。電力合成/分配装置2は、第1〜第4の実施形態のDC電力供給装置Y1〜Y4として機能する。
【0079】
この電力合成/分配装置2には、DC電力供給装置接続部J41を介してDC電力供給装置3が接続されている。DC電力供給装置接続部J41は、開閉部221から端子部201までの各要素に相当する。電力合成/分配装置2は、第1〜第4の実施形態のDC電力供給装置Y1〜Y4として機能する。
【0080】
更に電力合成/分配装置2には、DC/DCコンバータ接続部J21を介してDC/DCコンバータ4の入力端子が接続されている。DC/DCコンバータ接続部J21は、開閉部221から端子部201までの各要素に相当する。DC/DCコンバータ4は、第1〜第4の実施形態のDC電力供給装置Y1〜Y4として機能する。
【0081】
DC/DCコンバータ4の出力端子には、DC/DCコンバータ接続部J22を介してDC機器接続部JDが接続されている。DC機器接続部JDには更に、車両Vに搭載された蓄電装置Fが接続されている。DC/DCコンバータ接続部J22は、開閉部221から端子部201までの各要素に相当する。DC/DCコンバータ4は、第1〜第4の実施形態のDC電力供給装置Y1〜Y4として機能する。
【0082】
これらの接続部J41,J11,J12,J21,J22,J31は、コネクタとしての機能を有している。例えば、DC/ACコンバータ接続部J11,J12は、DC/ACコンバータ5を交換する際に、取り外すことを可能とするためのコネクタである。同様に、DC/DCコンバータ接続部J21,J22は、DC/DCコンバータ4を交換する際に、取り外すことを可能とするためのコネクタである。DC/DCコンバータ接続部J22は、DC機器接続部JDを交換する際に、取り外すことを可能とするためのコネクタでもある。
【0083】
DC電力供給装置接続部J41は、DC電力供給装置3を交換する際に、取り外すことを可能とするためのコネクタである。AC接続部J31は、この電力需給設備Eを解列するためのコネクタである。
また、DC機器接続部JDとAC機器接続部JAは、開閉器(スイッチ)としての機能を有している。
【0084】
DC電力供給装置3は、DC電力を発生可能な発電装置である。例えば、内燃機関発電装置である場合には、内燃機関とジェネレータ装置と、AC/DCコンバータ等を備える。すなわちDC電力供給装置3は、内燃機関で熱エネルギを発生し、ジェネレータ装置で熱エネルギを交流電力(AC電力)に変換し、AC/DCコンバータでAC電力をDC電力(直流電力)に変換して出力する。
【0085】
DC電力供給装置3としての内燃機関発電装置は、例えば、ディーゼルエンジン発電装置、ガスタービンエンジン発電装置等である。なお、DC電力供給装置3(内燃機関発電装置等)は、DC電力供給装置接続部J41によって電力合成/分配装置2に接続している。
【0086】
電力合成/分配装置2は、各DC電力供給装置3が供給したDC電力を合成し、各DC/DCコンバータ接続部J21を介してDC/DCコンバータ4や、各DC/ACコンバータ接続部J11を介してDC/ACコンバータ5へ、DC電力を配分する。
【0087】
DC/DCコンバータ4は、一方をDC/DCコンバータ接続部J21を介して電力合成/分配装置2に接続され、他方をDC/DCコンバータ接続部J22とDC機器接続部JDとを介して車両V(電気自動車等)に搭載された蓄電装置Fに接続されている。DC/DCコンバータ4は、電力合成/分配装置2から配分された電力の電圧を、車両V(蓄電装置F)の充電電圧等に変換する。
【0088】
蓄電装置Fへの充電方法が、定電流定電圧による充電であれば、DC/DCコンバータ4は所定の充電電圧になるまでは定電流となるよう電力を変換する。なお、DC/DCコンバータ4の電流は、電力合成/分配装置2において、蓄電装置Fの定格値を超えないように予め制御されている。そして、充電電圧が所定の電圧になると、DC/DCコンバータ4は、充電電圧が定電圧となるように電力を変換する。
【0089】
DC/ACコンバータ5は、AC側がDC/ACコンバータ接続部J12とAC機器接続部JAと、AC接続部J31とを介して電力系統Lへ接続されている。
DC/ACコンバータ5は、電力合成/分配装置2から送られた直流電力を、需要家負荷Dや電力系統Lへの交流電力(例えば、100V、50Hz)に変換する。
この際、電力需給設備E1〜EnのそれぞれのDC/ACコンバータ5は、生成する交流電圧の位相が揃うよう交流電力を生成することが望ましい。生成する交流電圧の位相は、中央制御装置301からの制御情報に基づいて行われる。
【0090】
例えば、DC/ACコンバータ5が、PWM制御(Pulse Width Modulation:パルス幅制御)によるインバータ(直流交流変換)回路を有する場合、制御情報は、図示しないスイッチング素子、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などをオンとするパルスのデューティである。
【0091】
DC機器接続部JDには、車両Vに搭載された蓄電装置Fが接続されている。これに限られず、蓄電装置Fの代わりに、直流電力を需要とする他のDC機器が接続されてもよい。
また、AC機器接続部JAには、開閉器SW1、SW2を介して、需要家負荷Dが接続されている。更に、開閉器SW1と開閉器SW3とを介して、電力系統Lが接続されている。
【0092】
DC電力供給装置3に含まれるAC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ4、DC/ACコンバータ5には、第1の実施形態から第4の実施形態で述べたDC電力供給システムZ1〜Z4、および第5の実施形態で述べたAC電力供給システムZ5のうちいずれかの構成を適用することができる。これによって、電力需給設備E、あるいは電力需給設備Eが有するDC電力供給装置3、DC/DCコンバータ4、DC/ACコンバータ5の新規追加、入替、削除は状況に応じて可能である。したがって、既存設備の電源容量を柔軟に拡張、変更することが可能な電力需給システムZを提供できる。
【0093】
以上、本発明によれば、電流や電圧の検出によって電力ラインに接続される機器の状態を確認することで、電力ラインへの機器の着脱制御を安全に行うことができる。
【0094】
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0095】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0096】
101 DC電力ライン (電力ライン)
102 AC電力ライン (電力ライン)
11 接続部
2 電力合成/分配装置
201 端子部 (第1端子部)
21 端子部 (第2端子部)
211 電流検出部
212 電圧検出部
213 電流検出部
214 電圧検出部
221 開閉部 (第1開閉部)
243 開閉部 (第2開閉部)
241 充電部
242 充電抵抗
3 DC電力供給装置
301 中央制御装置
302 報知部
303 入力部
4 DC/DCコンバータ
401 電力負荷
5 DC/ACコンバータ
51,52 電力供給装置
511,512 放電回路
61 制御部 (第1制御部)
231 制御部 (第2制御部)
71 冷却部
Y1,Y2,Y3,Y4 DC電力供給装置
Z1,Z2,Z3,Z4 DC電力供給システム
D 需要家負荷 (AC機器、機器)
E,E1〜En 電力需給設備
F 蓄電装置 (DC機器、機器)
J11,J12 DC/ACコンバータ接続部 (コネクタ)
J21,J22 DC/DCコンバータ接続部 (コネクタ)
J31 AC接続部 (コネクタ)
J41 DC電力供給装置接続部
JA AC機器接続部 (開閉器)
JD DC機器接続部 (開閉器)
L 電力系統
SW1,SW2,SW3 開閉器
V 車両 (DC機器)
Z 電力需給システム
【要約】
【課題】電力ラインへの機器の着脱制御を安全に行う。
【解決手段】DC電力供給システムZ1は、DC電力ライン101から電力が供給される端子部201、21と、これらの接続を固定または解除する接続部11と、端子部21からの電力を電力変換して電力負荷に電力を供給する電力供給装置51と、接続部11および電力供給装置51を監視して制御する制御部61と、開閉部221と、電流検出部211および電圧検出部212と、それらを制御する中央制御装置301を有する。中央制御装置301は、端子部201,21を開放する指令が入力された場合に、制御部61により電力供給装置51の電力供給を停止させたのちにDC電力ライン101の電流値を検出させ、所定の電流値よりも小さくなると開閉部221を開放したのちに放電回路511により放電させ、放電後の電圧値が所定の電圧値よりも小さくなると接続部11の解除が可能なことを報知する。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8