【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の農作業機の実施例1における平面図を示す。
図2は、本発明の農作業機の実施例1における側面図を示す。
図3は、本発明の農作業機の実施例1におけるブロック図を示す。
図1ではトラクタ1に装着した農作業機2の図を示しており、トラクタ1の図は概略図となっている。
図2ではトラクタ1の図は後ろ半分の図を示しトラクタ側連結部8のトラクタ1に対する取り付けを概略的に記載している。
【0020】
トラクタ1と農作業機2の取付は、トラクタ1に有するトラクタ側連結部8(
図2に記載)に対して、農作業機2に有する作業機側連結部30を取り付けて行う。また、トラクタ側連結部8を介さず、トラクタ1のトップリンク5とロワーリンク6に直接作業機側連結部30を取り付ける構成でもよい。
【0021】
農作業機2には、農作業を行う作業部61を有する本体部60と、本体部60の前側(トラクタ1側)に本体部60に対して下部取付部34の回動支点を中心に回動可能に取り付けられる作業機側連結部30とを有する。さらに、本体部60と作業機側連結部30の間には、取付間の長さの調整が可能な姿勢調整部40を有しており、姿勢調整部40の取付間の長さを調整することで、本体部60の作業機側連結部30に対する前後方向の角度を調整することができる。これにより、トラクタ1に対して農作業機2(作業部61を有する本体部60)の作業姿勢を変更することができる。なお、姿勢調整部40として、取付間の長さを変化させて調整するものの他に作業機側連結部30と本体部60の相対角度を変えられる角度調整装置でもよい。
【0022】
図2では、トラクタ1側にトラクタ側連結部8が設けられ、トラクタ側連結部8に装着する作業機側連結部30が示されている。トラクタ側連結部8は、左右中央の上側と左右両方の下側の計3カ所に係合部を有しており、これらに、作業機側連結部30の上部係合部31と左右2つの下部係合部32が係合する。このことにより、トラクタ1に農作業機2が装着される。また、トラクタ側連結部8は作業機側連結部30を着脱可能な構成となっている。
【0023】
作業機側連結部30の上部係合部31は、例えば2つのプレート等で形成される上部部材36の前側に、これらを連結する軸等により形成される。また、上部部材36の後ろ側には、上部取付部33を設けることで、姿勢調整部40の一方との取付を可能とする。また、作業機側連結部30の下部係合部32は、例えばプレート等で形成される下部部材37の前側に設けられ、横方向外側に突出する軸等により形成される。また、下部部材37の後ろ側には、下部取付部34を設けることで、作業機側連結部30を農作業機2の本体部60側に対して回動可能に取付することを可能とする。上部部材36と2つの下部部材37の間は、フレーム部35等を介してそれぞれ接合される。
【0024】
農作業機2の本体部60の前方の上側には、トラクタ1の左右中心となる位置に、支持部材71を有しており、支持部材71は、本体部60に結合されているプレート部71aが上に延びて、上部近傍で姿勢調整部40の他方と取付を可能とする取付部71cを有している。プレート部71aは2つのプレートで構成することもでき、その間は、プレート結合部71b(
図6に記載)で結合してもよい。取付部71cは、例えば孔による形状とすることができる。
【0025】
農作業機2の本体部60の前方の下側には、トラクタ1の左右中心に対して一定距離を有する左右両側に、それぞれ取付部材72を有しており、取付部材72は、プレート部72aを介して、下部前方に取付部72bを有している。ここに、作業機側連結部30の下部取付部34と回動可能に取り付けることができる。これにより、本体部60は、左右方向に延びる中心軸X(
図1に記載)を中心に作業機側連結部30に対して回動させることができる。ここで、姿勢調整部40の取付間(作業機側連結部30の上部取付部33と支持部材71の取付部71c)の距離を短くすると本体部60は、中心軸Xを中心に回動して前側(後ろが上がる状態)へ傾き、姿勢調整部40の取付間の距離を長くすると本体部60は中心軸Xを中心に回動して後ろ側(後ろが下がる状態)へ傾く。
【0026】
実施例1では、農作業機2の本体部60には、受信部21、制御部22、作業姿勢検出部23、作業状態検出部24、移動検出部25、アクチュエータ26を有している。また、農作業機2に対して遠隔操作可能な操作ボックス10は、操作部11と送信部12を有しており、トラクタ1側の運転席近傍等に配置可能である。また、トラクタ1には、バッテリ3を有しており、これは、受信部21、制御部22、作業姿勢検出部23、作業状態検出部24、移動検出部25、アクチュエータ26の電源とすることができる。また、操作ボックス10の電源として電池等を使用できる。
【0027】
操作部11は、操作ボタン等の遠隔操作するためのスイッチを有している。具体例については後述する。
【0028】
送信部12は、操作部11での操作による操作信号を無線で送信するものである。必要に応じて、受信部21からの信号を受信して操作部11での表示や操作部11で必要な制御等を行ってもよい。
【0029】
受信部21は、送信部12からの無線による操作信号を受信する。必要に応じて、制御部22からの信号を送信部12に送信してもよい。
【0030】
制御部22は、受信部21で受信した操作部11の操作による操作ボックス10からの操作信号に基づきアクチュエータ26の制御を行う。制御部22で得られた情報は、受信部21から操作部11へ送信する構成としてもよい。制御部22では、作業姿勢検出部23、作業状態検出部24、移動検出部25からの情報を得て、作業姿勢、作業状態、移動距離を算出することもできる。制御部22は、制御のために必要な電子デバイス等で構成され、コントロールボックスとしてボックス内に格納して独立させることができる。一方、受信部21と一体に構成することも可能である。
【0031】
作業姿勢検出部23は、農作業機2の前後方向の作業姿勢を検出するためのものである。例えば、傾斜センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、角度センサ、ポテンショメータ等、農作業機2の本体部60の前後方向の傾きを検出できるものであればよい。
【0032】
作業状態検出部24は、農作業機2が作業状態か否かを検出するためのものである。例えば、振動センサ、加速度センサ、回転センサ、GPS等を使用することができる。振動センサであれば、実際の農作業による農作業機2の振動、もしくは、トラクタ1等から作業部61への動力伝達(例えば、トラクタ1のPTO動力による動力伝達)による農作業機2の振動を検出すれば作業状態であることを判断できる。また、加速度センサであれば、実際に農作業のために農作業機2が動き出したことを検出すれば作業状態であることを判断できる。また、回転センサであれば、トラクタ1等からの作業部61への動力伝達(例えば、トラクタ1のPTO動力による動力伝達)による伝動機構の回転を検知すれば、作業状態であることを判断できる。GPSであれば、位置の変化により実際に農作業のために農作業機2が動き出したことを検出すれば作業状態であることを判断できる。さらに、作業状態検出部24として、トラクタ1からの情報を取得してもよい。例えば、トラクタ1のPTOが回転していることの情報を得られれば作業状態であることを判断できる。また、速度等のトラクタ1が実際に農作業のために動き出したことの情報を得られれば作業状態であることを判断できる。また、これらの方式は、作業状態と判断することの精度を上げるために組み合わせて使用してもよい。
【0033】
移動検出部25は、農作業機2の移動距離を検出するためのものである。例えば、加速度センサ、GPS等を使用することができる。加速度センサであれば、加速度の変化により、速度を算出して農作業機2の移動距離を検出することができる。GPSであれば、位置の変化により移動距離を検出することができる。さらに、移動検出部25として、トラクタ1からの情報を取得してもよい。トラクタ1の速度の情報を得られれば移動距離を検出することができる。
【0034】
なお、作業姿勢検出部23、作業状態検出部24、移動検出部25において、使用するデバイスが同じ物同士の場合は一体として共用することも可能である。
【0035】
アクチュエータ26は、モータやシリンダ等であり、例えば、電動モータ、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ等が適用でき、少なくとも姿勢調整部40に使用するアクチュエータを含むものである。この具体例については後述する。また、この他にも農作業機2に必要なアクチュエータ(後述する第一シリンダ91や第二シリンダ92等)を設置することもできる。アクチュエータ26は制御部22により制御される。
【0036】
図1、2に示された農作業機2は、畦塗り作業を行う畦塗り機80が一例として示されている。畦塗り機80は、前方に装着部82を有しており、装着部82に、支持部材71と取付部材72を有している。支持部材71はトラクタ1の左右中心となる位置で装着部82の上部に設けられており、取付部材72は、装着部82の左右のそれぞれの下部に前側に突出する形で設けられている。そして、装着部82の前方には、上述した作業機側連結部30が取り付けられている。
【0037】
畦塗り機80へは、(図示を省略した)ジョイントを介する等して、トラクタ1からのPTO動力が入力される。入力された動力は、装着部82と畦塗り作業部85を連結する中間フレーム83内の伝動機構又は中間フレーム83下部のジョイントを介する等して畦塗り作業部85へ送られる。畦塗り作業部85は、前処理部86で前処理を行い、(耕耘爪を有する)耕耘部87の回転により旧畦の土を畦成形部であるディスク部88へ送り、ディスク部88の回転により新たな畦形状に成形する構成である。また、
図1の状態ではトラクタ1を前進させて畦塗り作業を行うが、作業後に第一シリンダ91を縮めることにより中間フレーム83及び畦塗り作業部85を装着部82に対して回動させて畦塗り作業部85を中央にオフセット移動することによって格納状態にできる。さらに、格納状態から第二シリンダ92を伸ばすことにより中間フレーム83に対して畦塗り作業部85を回動させて後進作業によるリターン作業を可能としている。その状態が
図4である。
【0038】
図4は、本発明の農作業機の実施例1のリターン作業時の状態における平面図を示す。リターン作業は、圃場の端に来たとき、トラクタ1の長さ分だけ、畦を形成することができない。そのため、第一シリンダ91及び第二シリンダ92を作用させて
図4の状態とする。ここで、トラクタを反転移動させて、圃場の端でトラクタ1をバックさせて後進作業を行う。このとき、前処理部86、耕耘部87、ディスク部88の配置順が
図1の前進作業時と比べて逆となり前方向(トラクタ1側)からディスク部88、耕耘部87、前処理部86の順となる。
【0039】
ここで、畦塗り機80において、上述した本体部60に対応する畦塗り機本体部81は、装着部82、中間フレーム83、畦塗り作業部85(前処理部86、耕耘部87、ディスク部88)、第一シリンダ91、第二シリンダ92が含まれる。また、受信部21、制御部22、作業姿勢検出部23は、装着部82上に設けられ、作業状態検出部24、移動検出部25は、中間フレーム83上に設けられる構成を例示している。アクチュエータ26としては、モータ41、第一シリンダ91、第二シリンダ92が該当する。
【0040】
図5は、本発明の農作業機の実施例1における姿勢調整部40の拡大側面図を示す。
図6は、本発明の農作業機の実施例1における姿勢調整部40の組立説明図を示す。
【0041】
姿勢調整部40は、モータ41、モータカバー42、リレー43、モータ取付部材44、回り止め板45、第1回動軸46、取付軸47、雄ねじカバー48、雄ねじ部材49、雌ねじ部材50、第2回動軸51等を有している。姿勢調整部40は、支持部材71の取付部71cよりも、後ろ側(農作業機2側)に設けられたモータ41を回転させることより、モータ41に連結されている雄ねじ部材49を回転させて、これとねじ接続する雌ねじ部材50を動かすことにより、取付間の長さを変更するものである。
【0042】
第1回動軸46は、支持部材71の平行する2つのプレート部71aに左右方向に貫通するようにそれぞれ設けられた取付部72bを形成する取付孔に回動可能に挿入されている。また、第1回動軸46は、中央に挿入孔46aを有している。さらに、第1回動軸46は、2つのプレート部71aより外側で止め輪52を結合して両側が抜け止めとなっている。さらにその外側の両端部では第1回動軸46が、回り止め板45の前側に形成された第一孔45aに挿入されている。回り止め板45の後ろ側では、第二孔45bを有しており、そこにネジ54を通し、2つの回り止め板45の間に配設されているモータ取付部材44のボス部44cに固定されている。ボス部44cには、孔44dを有しており、ここにブッシュ58を取り付けて、内部に取付軸47が通っている。モータ取付部材44のボス部44cと取付部44aの間は、結合部44bを介して形成されており、取付部44aは、モータカバー42内でモータ41の位置決めをすると共に、モータカバー42が固定されている。モータカバー42は、モータ41を覆い、後部にリレー43が固定されている。
【0043】
モータ41の減速機構を介して出力されるモータ回転軸41aは、キー55を介して取付軸47の一方に有するモータ取付孔47aに取り付けられる。取付軸47の他方には雄ねじ部材取付孔47bを有している。雄ねじ部材49の一方に設けられた取付軸49bは、第1回動軸46の挿入孔46aを貫通して取付軸47の雄ねじ部材取付孔47bに挿入すると共に、ロールピン53により(取付軸47のロールピン孔47cと雄ねじ部材49のロールピン孔49cを通して)共に固定される。雄ねじ部材49の他方は雄ねじ部49aとなっており、雌ねじ部材50の一方に設けられた雌ねじ部50aとねじ接続する。雌ねじ部材50の他方は、例えば、左右方向に形成されるパイプ状の取付部50bとなっており、ここに第2回動軸51が回動可能に取り付けられている。第2回動軸51は、作業機側連結部30の上部取付部33を形成する取付孔に対して回動可能に取り付けられており、止め輪等で抜け止めされている。また、雄ねじ部材49の取付軸49bの途中にはストッパ49dを有し、ここに、雄ねじカバー48の一端に設けられ中央に孔を有する取付端部48aが挿入されて係止される。そして、雄ねじカバー48の本体部48bで雄ねじ部材49の雄ねじ部49aを覆う。
【0044】
これにより、制御部22の制御によりリレー43を介してモータ41が回転すると、モータ回転軸41aと、取付軸47、雄ねじ部材49が共に回転する。一方、雌ねじ部材50は、作業機側連結部30の上部取付部33に取り付けられているので回転しない。このため、雄ねじ部材49に対する雌ねじ部材50の位置をねじによる係合を通して変更することができる。また、モータ41自体の回転は、モータカバー42、モータ取付部材44、回り止め板45、第1回動軸46、支持部材71を介して防止される。
【0045】
図7は、本発明の農作業機の実施例1における姿勢調整部を手動式に組み替えた場合の側面図を示す。
図5、6で上述した姿勢調整部40は、多くの部品を共通で使用して手動式に組み替えることが可能となっている。これは、手動式で供給した製品であっても、コストを安くして本発明の姿勢調整部40に入れ替えることを可能とするものである。
【0046】
具体的には、
図5、6の姿勢調整部40から、モータ41、モータカバー42、リレー43、モータ取付部材44、回り止め板45、取付軸47を取り外す。この取り外しは、回り止め板45のネジ54や、取付軸47のロールピン53を取り外す等して行うことができる。そして、雄ねじ部材49の取付軸49bに調整ハンドル56のボス部56aを挿入して、ロールピン53により(雄ねじ部材49のロールピン孔49cと調整ハンドル56のボス部56aに設けられたロールピン孔56bに通して)固定する。さらに、抜け止めナット57で取付軸49bの先端に設けたねじ部49eに固定することで確実な取付が可能となる。
【0047】
作業者は、調整ハンドル56のハンドル部56cを回せば、雄ねじ部材49が雌ねじ部材50に対して回転し、手動で取付間の長さの調整(作業姿勢の調整)をすることができる。
【0048】
図8は、本発明の農作業機の実施例1における操作ボックス10の正面図を示す。操作ボックス10の表面には、操作部11を有し、操作部11は、電源スイッチ11a、前作業スイッチ11b、格納スイッチ11c、後作業スイッチ11d、前傾スイッチ11e、後傾スイッチ11f、標準作業姿勢スイッチ11g、自動姿勢調整スイッチ11h、第1任意作業姿勢スイッチ11i、第2任意作業姿勢スイッチ11j、第3任意作業姿勢スイッチ11k、電源表示11p、動作不可能表示11q、動作可能表示11rで構成されている。これらのスイッチは、押しボタンスイッチを採用できる。送信部12は、操作ボックス10に内蔵されている。
【0049】
電源スイッチ11aは、操作ボックス10の電源をON(入)とするスイッチである。一定時間押すことで電源が入るようにしてもよい。もう一度押すと電源をOFF(切)とすることができる。
【0050】
前作業スイッチ11bは、
図1で示した前進作業位置にするスイッチである。例えば、このスイッチが押されたとき、格納状態であれば第一シリンダ91を伸ばして
図1の状態とすることができる。
【0051】
格納スイッチ11cは、畦塗り作業部85を格納状態にするスイッチである。例えば、このスイッチが押されたとき、
図1で示した前進作業位置であれば第一シリンダ91を縮めて、
図4で示したリターン状態(後進作業位置)であれば第二シリンダ92を縮めて、格納状態とすることができる。
【0052】
後作業スイッチ11dは、
図4で示した後進作業位置にするスイッチである。例えば、このスイッチが押されたとき、格納状態であれば第二シリンダ92を伸ばして
図4の状態とすることができる。
【0053】
前傾スイッチ11eは、モータ41を作用させて畦塗り機本体部81を前傾側に傾けるためのスイッチである。例えば、このスイッチを押している間だけ、姿勢調整部40を短くなる方向にモータ41を作用させる。これにより、畦塗り機本体部81は、中心軸Xを中心として前側に傾く方向に回動することができる。
【0054】
後傾スイッチ11fは、モータ41を作用させて畦塗り機本体部81を後傾側に傾けるためのスイッチである。例えば、このスイッチを押している間だけ、姿勢調整部40を長くなる方向にモータ41を作用させる。これにより、畦塗り機本体部81は、中心軸Xを中心として後ろ側に傾く方向に回動することができる。
【0055】
標準作業姿勢スイッチ11gは、後述する標準姿勢とするためのスイッチである。
【0056】
自動姿勢調整スイッチ11hは、後述する自動姿勢調整をするためのスイッチである。
【0057】
第1任意作業姿勢スイッチ11i、第2任意作業姿勢スイッチ11j、第3任意作業姿勢スイッチ11kは、後述する任意作業姿勢とするためのスイッチである。
【0058】
設定スイッチ11mは、それぞれの第1任意作業姿勢スイッチ11i、第2任意作業姿勢スイッチ11j、第3任意作業姿勢スイッチ11kに対応する任意作業姿勢を設定するため必要に応じて設けられるスイッチである。
【0059】
電源表示11pは、電源がONとなっているかOFFと成っているかを知らせる表示部であり、LED等の点灯や消灯、色替え等で知らせることができる。
【0060】
動作可能表示11r及び動作不可能表示11qは、操作ボックス10から操作可能な状態がどうかを、LED等の点灯や消灯、色替え等で知らせる。
【0061】
図9は、本発明の農作業機の実施例1における姿勢調整制御の全体のフローチャートを示す。ここでの処理は、制御部22で行われる。なお、スイッチ操作があるか否かは、操作ボックス10からのスイッチ操作による信号受信があるか否かにより判断する。
【0062】
まず、操作ボックス10の電源スイッチ11aが押されると電源が入りシステムが立ち上がり、それ以外のスイッチでは電源は入らない(S101〜S105)。ここでの電源は操作ボックス10や制御部22の電源とすることができる。そして、電源がONとなった後に、スイッチ操作があった場合(S106)、そのスイッチが電源スイッチ11aであれば、電源は再びOFF(切)となり(S107、S115)、その他のスイッチであればS108に進む。
【0063】
S108では、入力判断2が行われ、アクチュエータ駆動スイッチであるならば、操作されたスイッチ動作を開始し(S108、S110)、スイッチ操作が継続している間、動作が継続し、スイッチ操作の継続が中止になったら、操作されたスイッチ動作を中断し(S111、S112)、S113へ進む。ここで、アクチュエータ駆動スイッチは、アクチュエータを駆動させるためのスイッチであり、
図8で説明した操作ボックス10であれば、前作業スイッチ11b、格納スイッチ11c、後作業スイッチ11d、前傾スイッチ11e、後傾スイッチ11fが該当する。また、スイッチ操作の継続は、例えば、スイッチを押している間のこととすることができる。
【0064】
S108で姿勢調整スイッチと判断された場合は、S109の入力判断3に進む。ここで、姿勢調整スイッチは、姿勢調整制御を行うためのスイッチであり、
図8で説明した操作ボックス10であれば、標準作業姿勢スイッチ11g、自動姿勢調整スイッチ11h、第1任意作業姿勢スイッチ11i、第2任意作業姿勢スイッチ11j、第3任意作業姿勢スイッチ11kが該当する。
【0065】
S109の入力判断3で、標準作業姿勢スイッチが操作された(押された)場合はS200の標準作業姿勢処理を行い、自動姿勢調整『入/切』スイッチが操作された(押された)場合はS300の自動姿勢調整処理を行い、任意作業姿勢スイッチが操作された(押された)場合はS400の任意作業姿勢処理を行い、S113へ進む。これらの処理については後述する。ここで、
図8で説明した操作ボックス10であれば、標準作業姿勢スイッチは標準作業姿勢スイッチ11gが該当し、自動姿勢調整『入/切』スイッチは自動姿勢調整スイッチ11hが該当し、任意作業姿勢スイッチは、第1任意作業姿勢スイッチ11i、第2任意作業姿勢スイッチ11j、第3任意作業姿勢スイッチ11kが該当する。
【0066】
S113で、スイッチ操作があれば、入力判断1を行い(S114)、電源スイッチなら電源をOFFとし、その他のスイッチなら、S108へ戻る。
【0067】
図10は、本発明の農作業機の実施例1における標準作業姿勢処理のフローチャートを示す。
図11は、本発明の農作業機の実施例1における農作業機2を上げた状態の側面図を示す。
図10は、
図9のS200の標準作業姿勢処理に該当するものであり、
図9のそれ以外の箇所に該当する処理については説明を省略してある。
【0068】
まず、S109で標準作業姿勢スイッチの操作が選択された場合、S201における姿勢検出を行う。上述した
図2の状態では、農作業を行うため農作業機2を下ろした状態となっているが、農作業を行わない場合はトラクタ1及び農作業機2を移動させるために
図11のように農作業機2を持ち上げて移動させる。この場合、作業者はトラクタ1側でロワーリンク6を上に上げる操作により農作業機2を持ち上げることができる。しかし、この状態は、農作業機2が作業時よりも前傾となる。このため、この非作業状態で作業時の姿勢制御を行えば、姿勢調整部40は誤った制御をすることになる。
【0069】
そこで、S201の姿勢検出は、作業姿勢設定範囲内か作業姿勢設定範囲外かによる判断を行う。作業姿勢設定範囲は、予め設定して制御部22等に記憶しておく。そして
図2のように農作業機2を下ろして農作業する時に想定される姿勢の範囲内を作業姿勢設定範囲内とする。また、
図11のように農作業機2を上げた場合は非作業時であり、作業姿勢設定範囲外となる。ここで、作業姿勢設定範囲内の例として、前傾15°以下(前傾15°よりも後傾側の範囲)や前傾10°以下(前傾10°も後傾側の範囲)であることがあげられる。この判断は、作業姿勢検出部23で検出により前後方向の角度を判断することにより行う。そして、S201の姿勢検出で、作業姿勢設定範囲内であれば、S202へ進む。作業姿勢設定範囲外であれば、作業姿勢設定範囲内に入るまでは標準作業姿勢への調整を行わない。
【0070】
S202では、作業状態検出を行う。この作業状態検出は、作業状態である条件を有しているか否かを検出するものである。これは、上述した作業状態検出部24により検出した情報に基づき、農作業機2が作業状態であると判断されれば、S203へ進む。ここの作業状態検出の処理は、必要に応じて追加される。この判断があれば、非作業時は標準作業姿勢への調整が行われなくてよいことになる。
【0071】
S203では、標準作業姿勢への調整を開始する。この標準作業姿勢は、農作業機2の作業時における標準の作業姿勢を予め設定しておく。ここで、標準作業姿勢は、例えば実施例1の畦塗り機80であれば、0°(水平状態)を標準作業姿勢とすることができる。そして、標準作業姿勢への調整は、姿勢調整部40の取付間の長さを調整することにより行い、実施例1であれば、モータ41を制御部22で制御する。
【0072】
S203の標準作業姿勢への調整を開始した後、S204でスイッチ操作がなければ、標準作業姿勢となるまで、作業姿勢検出部23を用いて姿勢検出を行い、標準作業姿勢となったら、標準作業姿勢への調整を終了し(S205、S206)、S113へ進む。
【0073】
一方、S203の標準作業姿勢への調整を開始した後、操作ボックス10からのスイッチ操作があれば(S204)、標準作業姿勢への調整を中断する。(S207)、入力内容を判断(S208)して、S108で上述したアクチュエータ駆動スイッチであるならば、操作されたスイッチ動作を開始し(S209)、スイッチ操作が継続している間、動作が継続し(S210)、スイッチ操作の継続が中止になったら、操作されたスイッチ動作を中断し(S210、S211)、S113へ進む。これは、
図9のS110〜S112と同様である。また、S208でその他のスイッチであると判断されればそのままS113へ進む。
【0074】
標準作業姿勢処理では、例えば、標準作業姿勢スイッチ11gにより農作業機2を標準作業姿勢とすることで、適切な作業姿勢で農作業機2による農作業を行うことができる。そして、例えば、作業条件等により作業の途中で前傾スイッチ11e等の操作で作業姿勢を変えた場合でも、標準作業姿勢スイッチ11gにより標準作業姿勢に戻すことができ、遠隔で適切な操作が可能となる。また、作業姿勢設定範囲や作業状態の条件を加えることで、作業時をより正確に判断して標準作業姿勢調整を行うことができる。
【0075】
図12は、本発明の農作業機の実施例1における自動姿勢調整処理のフローチャートを示す。
図13は、本発明の農作業機の実施例1における圃場での作業時の説明図を示す。
図12は、
図9のS300の自動姿勢調整処理に該当するものであり、
図9のそれ以外の箇所に該当する処理については説明を省略してある。
【0076】
まず、S109で自動姿勢調整『入/切』スイッチの操作が選択された場合、S301における姿勢検出及びS302の作業状態検出を行う。これは、
図10で説明したS201の姿勢検出及びS202の作業状態検出と同様である。なお、S302の作業状態検出は、自動姿勢調整処理では行うことを前提としている。S301における姿勢検出で農作業機2が作業姿勢設定範囲内であって、S303の作業状態検出で作業状態であると判断されれば、S303に進む。
【0077】
S303では、自動姿勢調整モードを開始する。自動姿勢調整モード開始後にスイッチ操作がある場合はS315へ進むが、S304でスイッチ操作がない場合はS305の移動距離検出を行う。
【0078】
S305の移動距離検出は、上述した移動検出部25により行う。移動距離検出は、姿勢検出(S312)で作業姿勢設定範囲内であると判断され、作業状態検出(S313)で作業状態であると判断されている場合に移動距離の検出が行われる。ここでの姿勢検出(S312)はS301の姿勢検出と、作業状態検出(S313)はS302の作業状態検出と同様である。移動距離検出の最中に、作業姿勢設定範囲外となったり、作業状態以外となったりした場合は、自動姿勢調整モードを中断し(S314)、自動姿勢調整モードを終了する(S311)。
【0079】
農作業機2が圃場で農作業を始める場合、トラクタ1の前進を開始して行うが、最初は圃場の地表に下ろしている状態であり、正確には実際の作業時の作業姿勢とは異なる場合が多い(例えば、実際の作業姿勢よりも前傾となる)。そして、農作業をしながらトラクタ1を前進させて、一定距離進むと安定した作業姿勢となる。畦塗り機80であれば、圃場の端から作業を始める場合、耕耘部87を回転させて、耕耘土102をディスク部88に送りながら作業するため安定した作業姿勢に至るには、
図13に示すように、例えば畦101に沿ってLの距離が必要になる。この移動距離検出は、安定した作業姿勢になる距離を予め設定しておいて、その距離に至ることを判断してから、作業姿勢の調整を行うものである。設定距離として、例えば、畦塗り機であるなら2m以上や3m以上とすることができる。
【0080】
S305で、設定距離移動したと判断した場合は、S306でスイッチ操作がなければS307で標準作業姿勢に調整を実行する。ここでの標準作業姿勢やその調整方法は、
図10のS203で説明した標準作業姿勢と同様である。S307の標準作業姿勢への調整を開始した後、S308でスイッチ操作がなければ、標準作業姿勢となるまで作業姿勢検出部23を用いて姿勢検出を行い、標準作業姿勢となったら、標準作業姿勢への調整を終了し(S309、S310)、自動姿勢調整モードを終了して(S311)、S113へ進む。
【0081】
また、S304、S306、S308で操作ボックス10のスイッチ操作があれば、標準作業姿勢への調整を中断し(S315)、自動姿勢調整モードを中断する(S316)。そして、入力内容を判断(S317)して、S108で上述したアクチュエータ駆動スイッチであるならば、操作されたスイッチ動作を開始し(S318)、スイッチ操作が継続している間、動作が継続し(S319)、スイッチ操作の継続が中止になったら、操作されたスイッチ動作を中断し(S319、S320)、S113へ進む。これは、
図9のS110〜S112と同様である。また、S317でその他のスイッチであると判断されれば、自動姿勢調整モードを終了し(S311)、S113へ進む。
【0082】
自動姿勢調整処理では、作業時の一定の移動距離も考慮してから標準作業姿勢とすることで、さらに正確に作業時における標準作業姿勢とすることができる。
【0083】
図14は、本発明の農作業機の実施例1における任意作業姿勢処理のフローチャートを示す。
図14は、
図9のS400の任意作業姿勢処理に該当するものであり、
図9のそれ以外の箇所に該当する処理については説明を省略してある。
【0084】
ここで、S401〜S411に示される任意作業姿勢処理は、原則としてS201〜S211で示された標準作業姿勢処理について、標準姿勢への調整を任意作業姿勢への調整へおきかえたものとなっている。
【0085】
まず、S109で任意作業姿勢スイッチの操作が選択された場合、S401における姿勢検出を行う。これはS201の姿勢検出と同様である。次に、S402における、作業状態検出を行う。これはS202の作業状態検出と同様である。S402の作業状態検出の処理は、必要に応じて追加される。
【0086】
S403では、操作された任意作業姿勢スイッチに対応する任意作業姿勢への調整を開始する。この任意作業姿勢は、農作業機2の作業時における任意の作業姿勢を作業者により予め設定しておくものである。これは、農作業機2の前後方向の作業姿勢の調整を圃場の条件等により標準作業姿勢とは別に設定した場合を想定したものである。例えば、畦塗り機80であれば、標準作業姿勢よりも前傾側に設定すれば、ディスク部88に対して耕耘部87が深くなりそれだけ土の量を増やせることが期待でき、標準作業姿勢よりも後傾側に設定すれば、ディスク部88に対して耕耘部87が浅くなり土の量を減らせることが期待できる。
【0087】
任意作業姿勢は、任意作業姿勢スイッチごとに設定することができる。操作ボックス10であれば、第1任意作業姿勢スイッチ11i、第2任意作業姿勢スイッチ11j、第3任意作業姿勢スイッチ11kを有しており、これら3つのスイッチごとに任意作業姿勢を設定することができる。設定は、例えば、前傾スイッチ11eや後傾スイッチ11fを押す等して、農作業機2を所望の作業姿勢にした後、設定スイッチ11mを押しながら第1任意作業姿勢スイッチ11iを押したときの作業姿勢を、第1任意作業姿勢スイッチ11iが押されたときに調整される作業姿勢として制御部22等に記憶させることができる。他の任意作業姿勢スイッチ(11j、11k)でも同様である。この他に、設定スイッチ11mを長押しして設定モードとしてから、いずれかの任意作業姿勢スイッチ(11i、11j、11k)を押したときの作業姿勢をその押した任意作業姿勢スイッチに対応する任意作業姿勢として記憶する構成や、設定スイッチ11mを設けずに、記憶させたいいずれかの任意作業姿勢スイッチ(11i、11j、11k)を長押しした場合の作業姿勢をその押した任意作業姿勢スイッチに対応する任意作業姿勢として記憶する構成としてもよい。
【0088】
そして、任意作業姿勢への調整は、姿勢調整部40の取付間の長さを調整することにより行い、実施例1であれば、モータ41を制御部22で制御する。
【0089】
S403の任意作業姿勢への調整を開始した後、S404で操作ボックス10のスイッチ操作がなければ、任意作業姿勢となるまで、作業姿勢検出部23を用いて姿勢検出を行い、任意作業姿勢となったら、任意作業姿勢への調整を終了し(S405、S406)、S113へ進む。
【0090】
一方、S404の任意作業姿勢への調整を開始した後、操作ボックス10のスイッチ操作が有る場合の制御(S407〜S411)は、
図10のS207〜S211と同様である。
【0091】
任意作業姿勢処理では、予め設定した任意作業姿勢とすることで、圃場の条件等に応じた多様性のある姿勢制御を可能とする。