特許第6479587号(P6479587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000002
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000003
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000004
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000005
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000006
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000007
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000008
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000009
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000010
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000011
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000012
  • 特許6479587-作業機械の遠隔操作装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6479587
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】作業機械の遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20190225BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20190225BHJP
   G05G 7/02 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   E02F9/20 K
   E02F9/22 K
   G05G7/02
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-123343(P2015-123343)
(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公開番号】特開2017-8527(P2017-8527A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 啓範
(72)【発明者】
【氏名】廻谷 修一
(72)【発明者】
【氏名】冨田 邦嗣
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−252082(JP,A)
【文献】 特開2000−263479(JP,A)
【文献】 実開昭55−093484(JP,U)
【文献】 特開2015−028237(JP,A)
【文献】 特開2002−161546(JP,A)
【文献】 特開平09−328783(JP,A)
【文献】 特開平09−225864(JP,A)
【文献】 特開2015−047666(JP,A)
【文献】 特開2008−068046(JP,A)
【文献】 特開2004−278208(JP,A)
【文献】 特開2003−184132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/22
G05G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのフロント作業機を有する作業機械に対して操作信号を出力する作業機械の遠隔操作装置において、
前記作業機械の旋回を指示する旋回指示スイッチと、前記作業機械の右走行を指示する右走行指示スイッチと、前記作業機械の左走行を指示する左走行指示スイッチと、前記2つのフロント作業機のうち一方のフロント作業機の揺動を指示する第1操作アームと、前記2つのフロント作業機のうち他方のフロント作業機の揺動を指示する第2操作アームと、前記作業機械の受信機に前記操作信号を送信する送信機と、前記第1操作アームと前記第2操作アームとを支持するフレームとを備え、
前記操作信号は、前記旋回指示スイッチの操作に基づいて生成され前記作業機械を旋回させる信号と、前記右走行指示スイッチの操作に基づいて生成され前記作業機械の右走行モータを駆動させる信号と、前記左走行指示スイッチの操作に基づいて生成され前記作業機械の左走行モータを駆動させる信号と、前記第1操作アームの操作に基づいて生成され前記一方のフロント作業機を揺動させる信号と、前記第2操作アームの操作に基づいて生成され前記他方のフロント作業機を揺動させる信号とを有し、
前記旋回指示スイッチは、前記第1操作アームと前記第2操作アームの両方に設けられ、前記第1操作アームには、前記右走行指示スイッチが設けられ、前記第2操作アームには、前記左走行指示スイッチが設けられていることを特徴とする作業機械の遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械の遠隔操作装置において、
前記フレームに固定され、操作者の背中に当接される背当てと、
操作者の背中に前記背当てを固定する背負いベルトとを備えたことを特徴とする作業機械の遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2つのフロント作業機を有する作業機械に対して操作信号を出力する作業機械の遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物解体工事、廃棄物解体工事、土木建設工事等に使用される作業機械としては、走行体を備えた下部走行体に上部旋回体を旋回自在に取付け、この上部旋回体に多関節型のフロント作業機を上下回動自在に取付けたものが知られている。このような作業機械の一例として油圧ショベルがある。この油圧ショベルでは、上部旋回体にブーム・アームからなるフロント作業機を上下回動自在に連結し、アームの先端にバケットを上下回動自在に取付け、掘削、積込み、地均し等の作業を行う。また、バケットの代わりにブレーカ、クラッシャ、グラップル等を装着して、構造物解体工事、廃棄物解体工事等の作業を行えるようにしている。
【0003】
しかし、これら一般的な油圧ショベルでは、1台の作業機械に1台のフロント作業機しか取付けられていないため、例えば以下のような不自由がある。構造物解体作業においてブレーカやクラッシャ、鉄筋カッタ等を用いて構造物を破壊する際、フロント作業機が1台しか取付けられていないと、例えば構造物を破壊するものとしてフロント作業機を使用した場合、当該構造物をフロント作業機で把持することは当然できない。このため、ブレーカ等で構造物を破砕するたびに、破片が落下し、さらに落下したはずみで破片が周囲に飛散するため、破片を回収して破棄する必要があり、効率が悪い。また、解体対象に保存すべき部分がある場合には、それが落下しないようにあらかじめクレーン等で吊っておく必要があり、そのための操作、作業人員も必要となる。
【0004】
このことを解消する技術が開示された文献として、本出願人による特開2006−252224号公報(特許文献1)がある。
【0005】
特許文献1は、多関節型の第1フロント作業機を上部旋回体前部の左側に左右揺動自在に備え、多関節型の第2フロント作業機を上部旋回体前部の右側に左右揺動自在に備える双腕作業機械を開示している。特許文献1に示す双腕作業機械の操作装置は、運転席の左右に、1台ずつ、計2台設けてあり、それぞれが、第1、第2フロント作業機に対応している。以下、左側の操作装置を代表させて説明する。操作装置は、運転席の左側に設けられた操作アームブラケットと、この操作アームブラケットに左右揺動自在に取り付けられ、第1フロント作業機の左右の揺動を指示する操作アームと、この操作アームに一体に揺動するように取り付けられたアームレストとを備えている。
【0006】
ここで、特許文献1の双腕作業機械は、災害現場、階上解体、ビル解体といった、人間が作業を行う上では危険が生じる現場での稼働が主である。これらの現場では、操作者を保護し作業の安全性を向上させる一般的な手段として遠隔操作が良く知られている。
【0007】
作業機械を遠隔で操作するため用いる遠隔操作装置が開示された文献として、特開平7−203568号公報(特許文献2)がある。
【0008】
特許文献2の遠隔操作装置には、遠隔操作装置固定用の腰ベルトと肩ベルトが設けてある。特許文献2の遠隔操作装置は、操作者の腰部前方に設置し、腰ベルトを操作者の腰に巻き回し、肩ベルトを操作者の肩部に巻き回すことで、遠隔操作装置を操作者の体に固定する構造となっている。遠隔操作装置の筐体は、操作者の腰部横幅に収まる大きさである。また、遠隔操作装置の筐体の上面に、前後左右に揺動可能な操作レバーが上下方向に延在して複数本設けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−252224号公報
【特許文献2】特開平7−203568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、特許文献2に示した遠隔操作装置を、特許文献1に示す双腕作業機械の遠隔操作装置として適用することを想定する。
【0011】
特許文献2の遠隔操作装置は、操作者の腰部に取り付ける構造であることから、特許文献1に示す操作者が搭乗して操作する作業機械の操作レバーと比較して、より小型で軽量な操作レバーが設けられている。つまり、特許文献2の遠隔操作装置に設けられた操作レバーと、特許文献1の搭乗機に設けられた操作レバーとでは構造が異なるため、操作感覚も異なり操作性が悪化する。
【0012】
また、特許文献1に示す双腕作業機は、フロント作業機が根元部分から左右に揺動自在に設けてあり、それに対応して、操作席の左右に設けられた操作ブラケットに対して、操作アームが左右に揺動する構成となっている。この操作アームの左右の揺動で、フロント作業機の左右の揺動を指示する構成となっている。特許文献2に示す遠隔操作装置は、操作装置の筐体の上面に、上下方向に延在して操作レバーを配置する構成であり、特許文献1のように操作アームの左右揺動機構を設ける構成にはなっていない。したがって、フロント作業機の左右揺動の指示方法が、特許文献2の遠隔操作装置と特許文献1の搭乗機とでは異なり、この点でも操作性の観点で問題がある。
【0013】
そこで本発明は、2つのフロント作業機を備える作業機械の遠隔操作装置の操作性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、2つのフロント作業機を有する作業機械に対して操作信号を出力する作業機械の遠隔操作装置において、前記作業機械の旋回を指示する旋回指示スイッチと、前記作業機械の右走行を指示する右走行指示スイッチと、前記作業機械の左走行を指示する左走行指示スイッチと、前記2つのフロント作業機のうち一方のフロント作業機の揺動を指示する第1操作アームと、前記2つのフロント作業機のうち他方のフロント作業機の揺動を指示する第2操作アームと、前記作業機械の受信機に前記操作信号を送信する送信機と、前記第1操作アームと前記第2操作アームとを支持するフレームとを備え、前記操作信号は、前記旋回指示スイッチの操作に基づいて生成され前記作業機械を旋回させる信号と、前記右走行指示スイッチの操作に基づいて生成され前記作業機械の右走行モータを駆動させる信号と、前記左走行指示スイッチの操作に基づいて生成され前記作業機械の左走行モータを駆動させる信号と、前記第1操作アームの操作に基づいて生成され前記一方のフロント作業機を揺動させる信号と、前記第2操作アームの操作に基づいて生成され前記他方のフロント作業機を揺動させる信号とを有し、前記旋回指示スイッチは、前記第1操作アームと前記第2操作アームの両方に設けられ、前記第1操作アームには、前記右走行指示スイッチが設けられ、前記第2操作アームには、前記左走行指示スイッチが設けられていることとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、2つのフロント作業機の一方を動かしながら、本体旋回又は走行を同時に行うことが可能となり作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る作業機械の斜面図。
図2図1に示した作業機械の上面図。
図3図1に示した作業機械で使用される作業具の図。
図4図1に示した作業機械に搭載された操作装置を示す図。
図5図1に示した作業機械の制御系を示したブロック図。
図6図1に示した作業機械の遠隔操作用の操作装置の斜視図。
図7図6に示した操作装置の側面図。
図8図6に示した操作装置の上面図。
図9図6に示した操作装置の制御系を示したブロック図。
図10】本発明の実施の形態に係る遠隔操作用の操作装置の変形例の斜視図。
図11】本発明の実施の形態に係る遠隔操作用の操作装置の変形例の上面図。
図12】本発明の実施の形態に係る遠隔操作用の操作装置の変形例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
<第1実施形態>
本発明の第1の実施の形態に係る作業機械の遠隔操作システムは、複数の油圧アクチュエータを有する作業機械1(図1、2参照)と、当該複数の油圧アクチュエータに対して作業機械1から離れた場所から操作信号を出力する遠隔操作用の操作装置200(後述する図6参照)を備えている。
【0019】
図1は本実施の形態に係る作業機械1の斜視図であり、図2図1に示した作業機械1の上面図である。
【0020】
図1、2に示したように、本実施の形態に係る作業機械1は、油圧ショベルをベースとしたものであり、根元部分から左右揺動自在の多関節型の作業装置であるフロント作業機を旋回体4の前方に2本備えている。作業機械1は、左右一対の覆帯2a、2bを有する走行体3と、走行体3の上部に旋回可能に取り付けた旋回体4と、遠隔操作用の操作装置200から無線出力される操作信号を受信するための受信機151を備えている。
【0021】
覆帯2a、2bには、覆帯2a、2bを駆動させる走行モータ18a、18bが備えられている。旋回体4の中央部には、旋回体4を旋回させる旋回モータ19が備えられている。旋回体4の中央前方には運転室5が設置されている。運転室5の左右には、一本ずつ、計2本のフロント作業機A、Bが取り付けられている。
【0022】
運転室5内の運転席49に座った操作者からみて左側に位置するフロント作業機(左フロント作業機)Aは旋回体4の前部左側に設けられた第1ブラケット6aと、この第1ブラケット6aに縦軸周りに左右揺動自在に取り付けられたスイングポスト7aと、このスイングポスト7aに上下回動自在に取り付けられたブーム10aと、このブーム10aに上下回動自在に取り付けられたアーム12aと、このアーム12aに上下回動自在に取り付けられた作業具(アタッチメント)14aとを備えている。
【0023】
また、フロント作業機Aは、スイングポスト7aと旋回体4とに連結され、スイングポスト7aを縦軸周りに左右方向に揺動させるスイングポストシリンダ9aと、スイングポスト7bとブーム10aに連結され、ブーム10aを横軸回りに上下方向に回動させるブームシリンダ11aと、ブーム10aとアーム12aとに連結され、アーム12aを横軸回りに上下方向に回動させるアームシリンダ13aと、アーム12aと作業具14aとに連結され、作業具14aを横軸回りに上下方向に回動させる作業具シリンダ15aとを有している。すなわち、フロント作業機Aはこれら各シリンダ9a、11a、13a、15aにより駆動される。
【0024】
図3図1に示した作業機械1に係る作業具(アタッチメント)14aの構造例を示す。作業具14aはアーム12aの先端に取り付けられる把持装置本体141aと、先端側で対象物を把持できるように対向して設けられた一対の把持爪161a及び把持爪162aを開閉駆動する作業具爪シリンダ17aとを有する。なお、作業具14aは、作業機械1の作業内容に応じて、図中で示したグラップルの他に、カッタ、ブレーカ、バケット、その他の作業具のいずれか1つに任意に交換可能である。
【0025】
ところで、運転室5内の運転席49に座った操作者からみて右側に位置するフロント作業機(右フロント作業機)Bが、旋回体4の前部右側に取り付けられている。右フロント作業機Bは、左フロント作業機Aと同様に構成されており、同じ部材には符号の添字を「a」から「b」に変えて示すことにし、ここでは説明を省略する。
【0026】
図4図1に示した作業機械1の運転室5内に搭載された操作装置を示す図であり、図5図1に示した作業機械1の制御系を示したブロック図である。
【0027】
図4に示す作業機械1の操作装置において、運転席49の左側には左フロント作業機Aを操作するための左腕操作部50aと、運転席49の右側には右フロント作業機Bを操作するための右腕操作部50bが設けられている。
【0028】
左腕操作部50aは運転席49の左側に設けられた操作アームブラケット51aと、その操作アームブラケット51aに左右揺動自在に取り付けられ、左フロント作業機Aの左右の揺動を指示する操作アーム52aと、この操作アーム52aの上部に取り付けられたアームレスト53aとを備えている。
【0029】
アームレスト53aは、運転席49に着座した操作者の肘関節が位置することを想定した肘関節支持部77aを有している。肘関節支持部77aは操作アーム52aの揺動中心軸線73a上に位置している。操作アームブラケット51aは、操作者の体型に合わせて肘関節支持部77aの位置を調節するための肘関節調節装置78aを有している。
【0030】
また、左腕操作部50aは、操作アーム52aの先端部分に上下前後に回動自在に取り付けられ、左フロント作業機Aのブーム10a及びアーム12aの動作を指示する横置きの操作レバー54aと、この操作レバー54aの周囲に、操作レバーの回転中心軸線74a周りに回動自在に取り付けられ、作業具14aの回動を指示する作業具回動レバー55aと、操作レバー54aの先端部に上下方向へ回動自在に取り付けられ、作業具14aの駆動・停止を指示する作業具操作スイッチ56aとを備えている。
【0031】
また、図5に示すように、左腕操作部50aは、操作アームブラケット51aに設けられ、操作アーム52aの基準位置(図4に示した操作アーム52aの状態を基準位置とする)からの揺動変位量を検出して信号を発信する操作アーム用変位検出器57aと、操作アーム52aに設けられ、操作レバー54aの上下方向の変位量を検出して信号を発信する操作レバー用上下方向変位検出器581aと、操作アーム52aに設けられ、操作レバー54aの前後方向の変位量を検出して信号を発信する操作レバー用前後方向変位検出器582aと、操作アーム52aに設けられ、作業具回動レバー55aの回転変位量を検出して信号を発信する作業具回動レバー用変位検出器と59aと、作業具回動レバー55aに備えられ、作業具操作スイッチ56aの変位を検出して信号を発信する作業具操作スイッチ用変位検出器60aを有している。
【0032】
ところで、右腕操作部50bは運転席49の右側に設けられている。これは、左腕操作部50aと同様に構成されており、同じ部材には符号の添字を「a」から「b」に変えて示すことにし、ここでは説明を省略する。
【0033】
また、運転室5内には、運転席49の前方に、操作者の足によって操作される左走行指示装置80、右走行指示装置81および旋回指示装置82が備えられている。左走行指示装置80は、左側の走行モータ18aの駆動を制御するためのもので、運転席49の前後方向に回動可能である。右走行指示装置81は、右側の走行モータ18bの駆動を制御するためのもので、運転席49の前後方向に回動可能である。旋回指示装置82は、旋回体4を旋回させる旋回モータ19の駆動を制御するためのもので、運転席49の左右方向に回動可能である。
【0034】
図5に示すように、左走行指示装置80には、前後方向の変位量を検出して信号を発信する左走行指示装置用変位検出器83が備えられており、右走行指示装置81には、前後方向の変位量を検出して信号を発信する右走行指示装置用変位検出器84が備えられており、旋回指示装置82には、左右方向の変位量を検出して信号を発信する旋回指示装置用変位検出器85が備えられている。
【0035】
次に、図5を用いて、操作部50a、50b、左走行指示装置80、右走行指示装置81および旋回指示装置82の操作とアクチュエータの動作の関係について説明する。
【0036】
図5において、操作者が、操作アーム52a、52bを揺動させると、操作アーム用変位検出器57a、57bは制御装置90内の駆動信号生成部90Aへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Aは、スイングポストシリンダ駆動系92a、92bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたスイングポストシリンダ駆動系92a、92bは、スイングポストシリンダ9a、9bを伸縮させる。これによりスイングポスト7a、7bが揺動される。
【0037】
また、操作レバー54a、54bを上下方向に変位させると、操作レバー用上下方向変位検出器581a、581bは制御装置90内の駆動信号生成部90Bへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Bは、ブームシリンダ駆動系93a、93bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたブームシリンダ駆動系93a、93bは、ブームシリンダ11a、11bを伸縮させる。これによりブーム10a、10bが揺動される。
【0038】
また、操作レバー54a、54bを前後方向に変位させると、操作レバー用前後方向変位検出器582a、582bは制御装置90内の駆動信号生成部90Cへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Cは、アームシリンダ駆動系94a、94bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたアームシリンダ駆動系94a、94bは、アームシリンダ13a、13bを伸縮させる。これによりアーム12a、12bが揺動される。
【0039】
また、作業具回動レバー55a、55bを前後方向に変位させると、作業具回動レバー用変位検出器59a、59bは制御装置90内の駆動信号生成部90Dへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Dは、作業具シリンダ駆動系95a、95bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた作業具シリンダ駆動系95a、95bは、作業具シリンダ15a、15bを伸縮させる。これにより作業具14a、14bが揺動される。
【0040】
また、作業具操作スイッチ56a、56bを上下方向に変位させると、作業具操作スイッチ用変位検出器60a、60bは制御装置90内の駆動信号生成部90Eへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Eは、作業具爪シリンダ駆動系96a、96bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた作業具爪シリンダ駆動系96a、96bは、作業具爪シリンダ17a、17bを伸縮させる。これにより把持爪161a、162aと把持爪161a、162bが開閉される。
【0041】
また、左走行指示装置80を前後方向に変位させると、左走行指示装置用変位検出器83は制御装置90内の駆動信号生成部90Fへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Fは、左走行駆動系97に駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた左走行駆動系97は、走行モータ18aを駆動させる。これにより作業機械1の覆帯2aが駆動する。
【0042】
また、右走行指示装置81を前後方向に変位させると、右走行指示装置用変位検出器84は制御装置90内の駆動信号生成部90Gへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Gは、右走行駆動系98に駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた右走行駆動系98は、走行モータ18bを駆動させる。これにより作業機械1の覆帯2bが駆動する。
【0043】
また、旋回指示装置82を左右方向に変位させると、旋回指示装置用変位検出器85は制御装置90内の駆動信号生成部90Hへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Hは、旋回駆動系99に駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた旋回駆動系99は、旋回モータ19を駆動させる。これにより作業機械1の旋回体4が旋回する。
【0044】
切替えスイッチ152は、作業機械1の運転室50内に取り付けられており、駆動信号生成部90A〜90Hに入力される信号を切り替えることで作業機械1の操作方式を切り替えるスイッチである。具体的には、切替えスイッチ152を利用することで、作業機械1に搭載された操作装置(操作部50a,50b、走行指示装置80,81、旋回指示装置82)を介して操作者が操作(搭乗操作)する方式と、作業機械1から離れた位置の操作装置200(後述する図6参照)を介して操作者が操作(遠隔操作)する方式とに切り替えることができる。本実施の形態の切替えスイッチ152は、不用意に切替え操作される可能性を低減する観点から運転室50内に設置したが、その機能的な観点からは設置位置に特に限定はない。
【0045】
図6図1に示した作業機械1の遠隔操作用の操作装置200の斜視図であり、図7図6に示した操作装置200の側面図であり、図8図6に示した操作装置200の上面図である。なお、以下では、図6に示した、操作装置200に設定した3次元座標系に基づいて各方向を称することがある。
【0046】
これらの図に示した遠隔操作装置200は、背負子100と、背負子100の左側面に取り付けられ左フロント作業機Aを操作するための左腕操作部101aと、背負子100の右側面に取り付けられ右フロント作業機Bを操作するための右腕操作部101bと、操作装置200による操作信号を作業機械1の受信機151に対して送信する送信機150を備えている。
【0047】
送信機150は、操作装置200で作業機械1を遠隔操作する際に、操作装置200からの操作信号を受信機151に送信するもので、背負子100に固定されている。操作者が、切替えスイッチ152を図5に示した位置から切り替えると、作業機械1に搭載された操作装置(左腕操作部50a、右腕操作部50b)に係る各種検出器と制御装置90の接続が遮断される代わりに、受信機151と制御装置90の接続が確立され、操作装置200による作業機械1の遠隔操作が可能となる。
【0048】
背負子100は、複数のパイプ部材143a〜143eを結合して形成したフレーム143と、フレーム143の前方に固定され、操作者の背中に当接される背当て141と、背当て141の背当て面に取り付けられ、操作者の背中に背当て141を固定するための1対の背負いベルト142を備えている。本実施の形態では、背当て141を操作者の背中に当てながら、背負いベルト142で背負子100を操作者に括りつける要領で、遠隔用の操作装置200を操作者の身体に固定している。
【0049】
複数のパイプ部材143a〜143eは、互いに結合され背負子100の骨組みであるフレーム143を形成している。本実施の形態に係るパイプ部材143aは、背当て141の形状に合わせて逆U字状をしている。パイプ部材143aには、略水平方向に伸びる2本のパイプ部材143c、143eが架け渡されており、パイプ部材143aの下端部には、U字状をしたに折り曲げ加工されたパイプ部材143bが取り付けられている。パイプ部材143bには、略水平方向に伸びるパイプ部材143dが架け渡されている。
【0050】
パイプ部材143c、143d、143eの左側端部には、左腕操作部101aを背負子100に固定するための固定板111aが取り付けられており、パイプ部材143c、143d、143eの右側端部には、右腕操作部101bを背負子100に固定するための固定板111bが取り付けられている。
【0051】
左腕操作部101aは、複数の固定ボルト114a(図8参照)を介して位置調節可能に固定板111aに取り付けられた操作アームブラケット102aと、後側(一方側)の端部側で操作アームブラケットに揺動可能に取付けられた操作アーム103aと、操作アーム103aの前側(他方側)の端部(先端部分)に取付けられた操作レバー104aを備えている。
【0052】
操作アーム(第1アーム)103aは、前後方向に延び前側及び後側に端部を有する部材で形成されており、後側の端部において操作アームブラケット102aの下面に取付けられている。操作アーム103aは、前後方向軸および左右方向軸を含む平面上(背負子100に対して設定した水平面上)において、操作アームブラケット102aへの取付け位置123aを通過する縦軸(上下方向の軸)を中心として左右方向に揺動可能に構成されており、操作者の操作によって揺動されることで左フロント作業機Aの左右の揺動(スイングポストシリンダ9aの伸縮)を指示する操作信号を出力する。操作アーム103aの揺動中心を通過する上記縦軸は、前後方向軸および左右方向軸を含む平面に直交する。操作アーム103aから出力される操作信号は、取付け位置123aと同軸上に設けられた操作アーム用変位検出器107a(図9参照)によって検出される、図8に示した基準位置からの揺動量(揺動変位量)の大小に応じて生成される。すなわち、基準位置からの揺動量を大きくすると左フロント作業機Aの揺動速度が相対的に増加し、揺動量を小さくすると左フロント作業機Aの揺動速度は相対的に減少する。
【0053】
操作アーム103aの前側の端部には、操作レバー104aを取り付けるための操作レバーブラケット125aが取り付けられている。操作レバー104aは、その軸方向が左右方向と一致する姿勢で、操作アーム103aに対して略水平に操作レバーブラケット125aに取り付けられている。操作レバー104aは、操作アーム103aへの取付け位置を基点として上下前後に揺動自在に構成されている。操作レバー104aの揺動は、左フロント作業機Aのブーム10a及びアーム12aの動作を指示する操作信号を操作者による操作に応じて生成する。
【0054】
また、左腕操作部101aは、操作レバー104aの周囲に、操作レバー104aの回転中心軸線124a周りに回動自在に取り付けられ、作業具14aの回動を指示する作業具回動レバー105aと、操作レバー104aの先端部に上下に回動自在に取り付けられ、作業具14aの駆動・停止を指示する作業具操作スイッチ106aとを備えている。作業具回動レバー105aの回動は、作業具14aに回動を指示する操作信号を操作者による操作に応じて生成し、作業具操作スイッチ106aの回動は、作業具14aの駆動・停止を指示する操作信号を操作者による操作に応じて生成する。
【0055】
ところで、右腕操作部101bは、左腕操作部101aと左右対称に背負子100の右側に設けられている。そこで、右腕操作部101bにおいて左腕操作部101aの各部と同様に構成されている部分については、原則説明を省略して、符号の添字を「b」で示して左腕操作部101aに係る部分と区別して示す。
【0056】
左腕操作部101aに係る操作アーム103a先端の上部には、旋回体4を左右に旋回する旋回モータ19の駆動を制御するための旋回指示スイッチ132が基準位置を中心に前後方向に回動可能に設けられている。右腕操作部101bに係る操作アーム103b先端の上部には、左側の走行モータ18aの駆動を制御するための左走行指示スイッチ130と、右側の走行モータ18bの駆動を制御するための右走行指示スイッチ131とがそれぞれ基準位置を中心に前後方向に回動可能に設けられている。これら旋回指示スイッチ132、左走行指示スイッチ130および右走行指示スイッチ131の回動も、操作信号を生成する。
【0057】
なお、上記の旋回指示スイッチ132、左走行指示スイッチ130および右走行指示スイッチ131の構成は、その回動方向を含めて一例に過ぎず、旋回指示(左旋回/右旋回)及び左右の走行指示(前進/後退)が可能なものであれば他の構成でも良い。
【0058】
図9図6に示した操作装置200の制御系を示したブロック図である。なお、ここでは、簡略して、左腕操作部101aと右腕操作部101bに係る各部を一緒に説明するが、先と同様に、符号に添字「a」が付されたものが左腕操作部101aに係る部分を示し、符号に添字「b」が付されたものが右腕操作部101bに係る部分を示す(以下同様とする)。
【0059】
図9に示した各検出器107,1081,1082,109,110,133,134,135は検出対象の変位量に応じて、対応アクチュエータへ出力される操作信号を生成する操作信号生成器として機能している。まず、操作アーム用変位検出器107a、107bは、操作アームブラケット102a、102bに設けられており、操作アーム103a、103bの揺動変位量を検出して信号を発信する。操作レバー用上下方向変位検出器1081a、1081bは、操作アーム103a、103bに設けられており、操作レバー104a、104bの上下方向の変位量を検出して信号を発信する。操作レバー用前後方向変位検出器1082a、1082bは、操作アーム103a、103bに設けられており、操作レバー104aの前後方向の変位量を検出して信号を発信する。作業具回動レバー用変位検出器109a、109bは、操作レバー104a、104bに設けられており、作業具回動レバー105a、105bの回転変位量を検出して信号を発信する。作業具操作スイッチ用変位検出器110a、110bは、作業具回動レバー105a、105bに備えられており、作業具操作スイッチ106a、106bの変位量を検出して信号を発信する。
【0060】
また、図9において、左走行指示スイッチ用変位検出器133は、左走行指示スイッチ130に備えられており、左走行指示スイッチ130の変位量を検出して信号を発信する。右走行指示スイッチ用変位検出器134は、右走行指示スイッチ131に備えられており、右走行指示スイッチ131の変位量を検出して信号を発信する。旋回指示スイッチ用変位検出器135は、旋回指示スイッチ132に備えられており、旋回指示スイッチ132の変位量を検出して信号を発信する。
【0061】
本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムにおいて、操作装置200の操作アーム103a、103bを基準位置(図8に示した操作アーム103a,103bの位置を基準位置とする)から揺動させると、その基準位置からの揺動量に応じて操作アーム用変位検出器107a、107bは送信機150へ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた送信機150は、図5に示した受信機151へ検出信号を送信する。次に、この検出信号を受けた受信機151は制御装置90内の駆動信号生成部90Aへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Aは駆動信号を生成して、スイングポストシリンダ駆動系92a、92bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたスイングポストシリンダ駆動系92a、92bは、スイングポストシリンダ9a、9bを伸縮させる。これによりスイングポスト7a、7bが揺動する。なお、図5中には図示していないが、駆動信号生成部90Aは、操作アーム103aの揺動量(操作アーム用変位検出器107aの検出信号)からスイングポストシリンダ駆動系92aへの駆動信号を生成する第1駆動信号生成部と、操作アーム103bの揺動量(操作アーム用変位検出器107bの検出信号)からスイングポストシリンダ駆動系92bへの駆動信号を生成する第2駆動信号生成部を備えている。
【0062】
また、操作レバー104a、104bを基点(図6,8に示した位置)から上下方向に変位させると、その基点からの変位量に応じて操作レバー用上下方向変位検出器1081a、1081bは送信機150へ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた送信機150は、図5に示した受信機151へ検出信号を送信する。次に、この検出信号を受けた受信機151は制御装置90内の駆動信号生成部90Bへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Bは駆動信号を生成して、ブームシリンダ駆動系93a、93bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたブームシリンダ駆動系93a、93bは、ブームシリンダ11a、11bを伸縮させる。これによりブーム10a、10bが揺動する。
【0063】
また、操作レバー104a、104bを基点(図6,8に示した位置)から前後方向に変位させると、その基点からの変位量に応じて操作レバー用前後方向変位検出器1082a、1082bは送信機150へ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた送信機150は、図5に示した受信機151へ検出信号を送信する。次に、この検出信号を受けた受信機151は制御装置90内の駆動信号生成部90Cへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Cは駆動信号を生成して、アームシリンダ駆動系94a、94bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けたアームシリンダ駆動系94a、94bは、アームシリンダ13a、13bを伸縮させる。これによりアーム12a、12bが揺動する。
【0064】
また、作業具回動レバー105a、105bを基準位置から前後方向に回動させると、その基準位置からの変位量に応じて作業具回動レバー用変位検出器109a、109bは送信機150へ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた送信機150は、図5に示した受信機151へ検出信号を送信する。次に、この検出信号を受けた受信機151は制御装置90内の駆動信号生成部90Dへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Dは駆動信号を生成し、作業具シリンダ駆動系95a、95bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた作業具シリンダ駆動系95a、95bは、作業具シリンダ15a、15bを伸縮させる。これにより作業具14a、14bが揺動する。
【0065】
また、作業具操作スイッチ106a、106bを上下方向に変位させると、作業具操作スイッチ用変位検出器110a、110bは送信機150へ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた送信機150は、図5に示した受信機151へ検出信号を送信する。次に、この検出信号を受けた受信機151は制御装置90内の駆動信号生成部90Eへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Eは駆動信号を生成し、作業具爪シリンダ駆動系96a、96bに駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた作業具爪シリンダ駆動系96a、96bは、作業具爪シリンダ17a、17bを伸縮させる。これにより把持爪161a、161bと、把持爪162a、162bが開閉する。
【0066】
また、左走行指示スイッチ130を基準位置から前後方向に変位させると、その変位に応じて左走行指示スイッチ用変位検出器133は送信機150へ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた送信機150は、図5に示した受信機151へ検出信号を送信する。次に、この検出信号を受けた受信機151は制御装置90内の駆動信号生成部90Fへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Fは駆動信号を生成し、左走行駆動系97に駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた左走行駆動系97は、走行モータ18aを駆動させる。これにより作業機械1の覆帯2aが駆動する。
【0067】
また、右走行指示スイッチ131を基準位置から前後方向に変位させると、その変位に応じて右走行指示スイッチ用変位検出器134は送信機150へ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた送信機150は、図5に示した受信機151へ検出信号を送信する。次に、この検出信号を受けた受信機151は制御装置90内の駆動信号生成部90Gへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Gは駆動信号を生成し、右走行駆動系98に駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた右走行駆動系98は、走行モータ18bを駆動させる。これにより作業機械1の覆帯2bは駆動する。
【0068】
また、旋回指示スイッチ132を基準位置から前後方向に変位させると、その変位に応じて旋回指示スイッチ用変位検出器135は送信機150へ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた送信機150は、図5に示した受信機151へ検出信号を送信する。次に、この検出信号を受けた受信機151は制御装置90内の駆動信号生成部90Hへ検出信号を発信する。次に、この検出信号を受けた駆動信号生成部90Hは駆動信号を生成し、旋回駆動系99に駆動信号を発信する。さらに、この駆動信号を受けた旋回駆動系99は、旋回モータ19を駆動させる。これにより作業機械1の旋回体4が旋回する。
【0069】
<効果>
上記のように、本実施の形態では、操作アームブラケット102a,102aへの取付け位置123a,123bを中心として左右方向に揺動可能に構成された操作アーム103a,103bを遠隔用の操作装置200に備えた。そして、この操作アーム103a,103bを基準位置から左右に揺動することで、作業機械1に搭載されている操作装置(左腕操作部50a、右腕操作部50b)と同様に、フロント作業機A,Bの左右揺動を指示することが可能となった。したがって、本実施の形態によれば、作業機械に実際に搭乗して作業する場合と同等の作業効率を遠隔用の操作装置により得ることができる。
【0070】
また、上記の構成とすることで、背当て141と背負いベルト142を用いて遠隔用の操作装置200を操作者の背中に固定することができる。その結果、操作者は、作業機械1に搭載されているフロント作業機用の操作装置と形状および配置がほぼ同等である操作装置200の重量を支えつつ作業機械1を遠隔で操作することが可能となり、作業機械1に搭乗して作業を行う場合と同等の作業効率が得られる。
【0071】
<変形例:縦レバー>
ところで、上記の説明では、操作レバー104a、104bの軸方向が水平方向に保持されるように操作レバー104a、104bを配置したが(図6など参照)、操作レバー104a、104bの配置はこれだけに限らない。図10は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作用の操作装置200Aの変形例の斜視図である。この図に示す操作装置200Aは、前後左右に回動自在なジョイスティック型の操作レバー404a,404bを備えている。操作レバー404a、404bは、基準位置においてその軸方向が上下方向に保持されるように、操作アーム103a、103bの先端部に固定されている。
【0072】
操作装置200Aにおける左走行指示スイッチ130および右走行指示スイッチ131は、操作アーム103bの先端部における内側面から操作アーム103a側に突出したブラケット上に配置されている。また、旋回指示スイッチ132は、操作アーム103aの先端部における内側面から操作アーム103b側に突出したブラケット上に配置されている。なお、図6に示した場合と同様に、各スイッチ130、131、132の配置に特に限定は無い。
【0073】
<変形例:操作者が搭乗不能な作業機械での利用>
なお、本実施の形態は、操作者が搭乗可能な作業機械1の運転席49内に設けられた切替えスイッチ152を操作することで、搭乗操作と遠隔操作を切り替える構成となっているが、操作者が搭乗不可能な構造(例えば運転席49の無い構造)を作業機械1が備える場合には、遠隔でのみ作業機械1を操作する構成としても良い。
【0074】
<第2実施形態:スイング中心が背当ての背部に位置>
第1の実施の形態では、操作アーム103a,103bの操作アームブラケット102a,102aへの取付け位置123a,123bが、フレーム143の左右方向の端部の外側に位置した構成となっているが、これに代えて、取付け位置123a,123bがともにフレーム143の左右方向の両端部(左右外縁)よりも内側に位置した構成として良い。
【0075】
図11は、第2の実施の形態における遠隔操作用の操作装置200の上面図である。フレーム143の構成は第1実施形態と同様である。図11では、固定板111a,111bと操作アームブラケット102a,102bが、第1実施形態と比較してフレーム143の左右方向の両端部(左右外縁)の内側に設けてある。操作アーム103a,103bはともに一方の端部(後側の端部)側においてL字に屈曲した形状をしており、当該一方の端部がともに、背当て141の後側に配置されたアームブラケット102a,102bに接続されている。これにより、操作アーム103a,103bの揺動中心である操作アーム取付け位置(操作アーム取付け部)123a、123bがともに、フレーム143の左右外縁よりも左右方向における内側に位置し、かつ、背当て141の後側に位置している。つまり、操作アーム取付け位置123a,123bの左右方向における中心間距離L1と、フレーム143の左右方向における外幅L2とを比較すると、L1<L2となる。
【0076】
このような構成とすることで、操作アームブラケット102a,102bの左右方向の外側への張出し量を少なくすることが可能となり操作装置200がコンパクトになるので、遠隔操作装置200の装着時の操作者の移動性が向上する。
【0077】
<第3実施形態:旋回指示スイッチ及び走行指示スイッチの他の配置>
第1実施の形態では、左走行指示スイッチ130と、右走行指示スイッチ131を背負子100の右側の操作アーム103b先端の上部に配置し、旋回指示スイッチ132を左側の操作アーム103a先端の上部に配置したが、これらスイッチ130、131、132の配置に特に限定は無い。例えば、左右のスイッチ130,131,132の位置を入れ替えて、左走行指示スイッチ130と右走行指示スイッチ131を背負子100の左側の操作アーム103a先端の上部に配置し、旋回指示スイッチ132を右側の操作アーム103b先端の上部に配置する構成を採用してもよい。
【0078】
また、左走行指示スイッチ130、右走行指示スイッチ131および旋回指示スイッチ132を、左右の操作アーム103a、103bの先端部にそれぞれ配置してもよい。図12は、第3の実施の形態における遠隔操作用の操作装置200の斜視図である。
【0079】
図12の操作装置200は、左右の操作アーム103a、103bの前側の端部(他方側の端部)に位置する操作レバーブラケット125a,125bの上面にそれぞれ設けられた左走行指示スイッチ130、右走行指示スイッチ131および旋回指示スイッチ132を備えている。先述の例と同様に、左走行指示スイッチ130、右走行指示スイッチ131および旋回指示スイッチ132の変位量は、左走行指示スイッチ用変位検出器133、右走行指示スイッチ用変位検出器134および旋回指示スイッチ用変位検出器135で検出されて送信機150及び受信機151を介して制御装置90に出力され、制御装置90内の駆動信号生成部90F,90G,90Hにて各スイッチ操作に対応するアクチュエータ18a,18b,19への駆動信号が生成される。
【0080】
ところで、作業機械1を操作する際には、2つのフロント作業機A,Bの一方を操作しながら、走行あるいは本体旋回を同時に行いたい場合がある。例えば、フロント作業機Aまたはフロント作業機Bと旋回モータ19を同時に動かしたい場合を想定する。本実施形態では、左右の操作アーム103a,103bの両方に、旋回指示スイッチ132を設けてあることから、操作者が右腕操作部101bで右のフロント作業機Bを動かしている間に、左の操作アーム103aの先端にある旋回指示スイッチ132で旋回モータ19を動かすことができ、さらに、操作者が左腕操作部101aで左のフロント作業機Bを動かしている間に右の操作アーム103bの先端にある旋回指示スイッチ132で旋回モータ19を動かすことができる。なお、一方のフロント作業機と走行を同時操作する場合も同様である。
【0081】
したがって、上記のように走行指示及び旋回指示に係るスイッチ130,131,132を左右の操作アーム103a,103bの両方に備える操作装置200によれば、2つのフロント作業機A,Bの一方を動かしながら、本体旋回又は走行を同時に行うことが可能となり作業性が向上する。
【0082】
なお、上記の実施の形態では、操作レバーブラケット125a,125bの上面に各スイッチ130,131,132を設置したが、一方のフロント作業機を一方の手で操作中の操作者の他方の手が届く範囲であれば各スイッチ130,131,132の設置位置に限定は無い。
【0083】
上記の実施の形態では、走行可能な走行体3と旋回可能な旋回体4の双方を備える作業機械1を例に挙げて説明したため、走行指示及び旋回指示に係る3つのスイッチ130,131,132を左右の操作アーム103a,103bの両方に備える構成としたが、走行体と旋回体のいずれか一方を備える作業機械であれば、その一方の操作信号を生成可能なスイッチを左右の操作アーム103a,103bの両方に備える構成とすれば良い。
【0084】
上記の各実施の形態では、駆動信号生成部90A〜90Hを作業機械1に設置する場合について説明したが、これらを遠隔操作装置200に設置し、遠隔操作装置200側で生成した駆動信号を各アクチュエータの駆動系92〜99に無線で直接出力する構成を採用しても良い。
【0085】
本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば、本発明は、上記の各実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、ある実施の形態に係る構成の一部を、他の実施の形態に係る構成に追加又は置換することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…作業機械、3…走行体、4…旋回体、9a,9b…スイングポストシリンダ、11a,11b…ブームシリンダ、13a,13b…アームシリンダ、15a,15b…作業具シリンダ、17a,17b…作業具爪シリンダ、18a,18b…走行モータ、19…旋回モータ、49…運転席、100…背負子、101a,101b…操作部、102a,102b…操作アームブラケット、103a,103b…操作アーム(アーム)、104a,104b…操作レバー、105a,105b…作業具回動レバー、106a,106b…作業具操作スイッチ、107a,107b…操作アーム用変位検出器(第1、第2操作信号生成器)、111a,111b…固定板、114a,114b…固定ボルト、118a…固定穴、119a…固定ボルト、125a,125b…操作レバーブラケット、130…左走行指示スイッチ、131…右走行指示スイッチ、132…旋回指示スイッチ、141…背当て、142…背負いベルト、A,B…フロント作業機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12