特許第6479770号(P6479770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6479770キノリノトリアゾール誘導体および有機エレクトロルミネッセンス素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6479770
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月6日
(54)【発明の名称】キノリノトリアゾール誘導体および有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20190225BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20190225BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190225BHJP
【FI】
   C07D471/04 101
   C07D471/04CSP
   C09K11/06 640
   H05B33/22 B
   H05B33/14 B
【請求項の数】7
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-512759(P2016-512759)
(86)(22)【出願日】2015年4月8日
(86)【国際出願番号】JP2015061001
(87)【国際公開番号】WO2015156325
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2018年1月18日
(31)【優先権主張番号】特願2014-80812(P2014-80812)
(32)【優先日】2014年4月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】長岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】沼澤 成能
(72)【発明者】
【氏名】浅井 伸太朗
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 泰彰
(72)【発明者】
【氏名】草野 重
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6389461(JP,B2)
【文献】 特許第6294866(JP,B2)
【文献】 国際公開第2013/054764(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/107074(WO,A1)
【文献】 特表2007−518705(JP,A)
【文献】 特表2005−529172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
C09K 11/06
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される、キノリノトリアゾール誘導体。
【化1】
式中、
Arは、縮合多環芳香族基により置換された縮合多環芳香族基を表し、
〜Rは、同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩
素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、芳香族
炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表し、
W、X、Y、Zは炭素原子または窒素原子を表し、W、X、Y、Zは、そのいずれ
か1つのみが窒素原子であり、
pは、0または1の数であり、Wが炭素原子であるときは1であり、Wが窒素原子
であるときは0であり、
qは、0または1の数であり、Xが炭素原子であるときは1であり、Xが窒素原子
であるときは0であり、
rは、0または1の数であり、Yが炭素原子であるときは1であり、Yが窒素原子
であるときは0であり、
sは、0または1の数であり、Zが炭素原子であるときは1であり、Zが窒素原子
であるときは0であり、
Aは、下記構造式(2)で示される1価基を表す、
【化2】
式中、
Arは、ピリジル基を表し、
〜Rは、同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原
子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル
基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基また
は縮合多環芳香族基であって、互いに結合して環を形成してもよく、
mが1であり
Vは炭素原子である
【請求項2】
下記一般式(1−1)で表される、請求項1記載のキノリノトリアゾール誘導体。
【化3】
式中、
Ar、R〜R、W〜Z、p〜s及びAは、前記一般式(1)及び前記構造式
(2)に記載した通りの意味である。
【請求項3】
一対の電極とその間に挟まれた少なくとも一層の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、請求項1に記載のキノリノトリアゾール誘導体が、少なくとも1つの有機層の構成材料として用いられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記有機層が電子輸送層である、請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記有機層が正孔阻止層である、請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記有機層が発光層である、請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記有機層が電子注入層である、請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の表示装置に好適な自発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子に適した化合物と素子に関し、詳しくはキノリノトリアゾール誘導体と、該誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と呼ぶことがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は自己発光性素子であるため、液晶素子にくらべて明るく視認性に優れ、鮮明な表示が可能である。そのため、活発な研究がなされてきた。
【0003】
1987年にイーストマン・コダック社のC.W.Tangらは各種の役割を各材料に分担した積層構造素子を開発し、有機材料を用いた有機EL素子を実用的なものにした。彼らは電子を輸送することのできる蛍光体と正孔を輸送することのできる有機物とを積層し、両方の電荷を蛍光体の層の中に注入して発光させることにより、10V以下の電圧で1000cd/m以上の高輝度を得た。
【0004】
現在まで、有機EL素子の実用化のために多くの改良がなされてきた。例えば、各種の役割をさらに細分化して、基板上に順次、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極を設けた電界発光素子によって高効率と耐久性が達成されている。
【0005】
また発光効率の更なる向上を目的として三重項励起子の利用が試みられ、燐光発光性化合物の利用が検討されている。更にまた、熱活性化遅延蛍光(TADF)による発光を利用する素子も開発されている。熱活性化遅延蛍光材料を用いた素子によって5.3%の外部量子効率が実現されている。
【0006】
発光層は、一般的にホスト材料と称される電荷輸送性の化合物に、蛍光性化合物や燐光発光性化合物、遅延蛍光を放射する材料をドープして作製することもできる。有機EL素子における有機材料の選択は、その素子の効率や耐久性など諸特性に大きな影響を与える。
【0007】
有機EL素子においては、両電極から注入された電荷が発光層で再結合して発光が得られるが、正孔、電子の両電荷を如何に効率良く発光層に受け渡すかが重要であり、電子注入性を高め、その移動度を大きくすることで、正孔と電子が再結合する確率を向上させ、更には発光層内で生成した励起子を閉じ込めることによって、高発光効率を得ることができる。そのため、電子輸送材料の果たす役割は重要であり、電子注入性が高く、電子の移動度が大きく、正孔阻止性が高く、さらには正孔に対する耐久性が高い電子輸送材料が求められている。
【0008】
また、素子寿命の観点からは、材料の耐熱性やアモルファス性も重要である。耐熱性が低い材料では、素子駆動時に生じる熱により、低温でも熱分解が起こり、材料が劣化する。特に、アモルファス性が低い材料では、短時間でも薄膜の結晶化が起こり、素子が劣化する。そのため、使用する材料には耐熱性が高く、アモルファス性が良好な性質が求められる。
【0009】
代表的な発光材料であるトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)は電子輸送材料としても一般的に用いられる。しかし、Alqは、電子の移動度が遅く、また仕事関数が5.6eVなので正孔阻止性能が十分とは言えない。
【0010】
正孔の一部が発光層を通り抜けることを防ぎ、発光層での電荷再結合の確率を向上させる方策としては、正孔阻止層を挿入する方法がある。正孔阻止材料としてはこれまでに、バソクプロイン(BCP)や、アルミニウムの混合配位子錯体[アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナート)−4−フェニルフェノレート(BAlq)]などが提案されている。
【0011】
また、特許文献1には、正孔阻止性に優れた電子輸送材料として、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)が提案されている。
【0012】
TAZは仕事関数が6.6eVと大きく正孔阻止能力が高いので、真空蒸着や塗布などによって作製される蛍光発光層や燐光発光層の、陰極側に積層されて電子輸送性の正孔阻止層として使用され、有機EL素子の高効率化に寄与する。
【0013】
しかしTAZは、電子輸送性が低いので、より電子輸送性の高い電子輸送材料と組み合わせて有機EL素子を作製する必要があった。
【0014】
また、BCPも仕事関数が6.7eVと大きく正孔阻止能力が高いものの、ガラス転移点(Tg)が83℃と低いことから、薄膜の安定性に乏しく、正孔阻止層として十分に機能しているとは言えない。
【0015】
即ち、いずれの材料も膜安定性が不足しているか、或いは正孔を阻止する機能が不十分である。よって、有機EL素子の素子特性を改善するために、電子の注入・輸送性能と正孔阻止能力に優れ、薄膜状態での安定性が高い有機化合物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第2734341号公報
【特許文献2】WO2003/060956号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Aust.J.Chem.,45,371(1992)
【非特許文献2】Synth.Commun.,11,513(1981)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、高効率、高耐久性の有機EL素子用の材料として、電子の注入・輸送性能に優れ、正孔阻止能力を有し、薄膜状態での安定性が高く、優れた特性を有する有機化合物を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、この化合物を用いて、高効率、高耐久性の有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは上記目的を達成するために、電子親和性である芳香族複素環のヘテロ原子が金属に配位する能力を有していること、キノリノトリアゾール環構造が高い電子輸送能力を有していること、芳香族複素環、特にキノリノトリアゾール環構造が耐熱性に優れているということなどに着目して、キノリノトリアゾール環構造を有する化合物を設計して化学合成した。更に、該化合物を用いて種々の有機EL素子を試作し、素子の特性評価を鋭意行なった。その結果、本発明を完成するに至った。
【0021】
即ち、本発明によれば、下記一般式(1)で表されるキノリノトリアゾール誘導体が提供される。
【化1】
式中、
Arは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族
基を表し、
〜Rは、同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フ
ッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1
〜6のアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環
芳香族基を表し、
W、X、Y、Zは炭素原子または窒素原子を表し、W、X、Y、Z
は、そのいずれか1つのみが窒素原子であり、
pは、0または1の数であり、Wが炭素原子であるときは1であり、
Wが窒素原子であるときは0であり、
qは、0または1の数であり、Xが炭素原子であるときは1であり、
Xが窒素原子であるときは0であり、
rは、0または1の数であり、Yが炭素原子であるときは1であり、
Yが窒素原子であるときは0であり、
sは、0または1の数であり、Zが炭素原子であるときは1であり、
Zが窒素原子であるときは0であり、
Aは、下記構造式(2)で示される1価基を表す、
【化2】
式中、
Arは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳
香族基を表し、
〜Rは、同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子
、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素
原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、芳
香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基であって
、互いに結合して環を形成してもよく、
mは0、1または2の整数を表し、
Vは炭素原子または窒素原子を表し、Vが窒素原子である場合、
該窒素原子にはR〜Rで示される基は結合しておらず、且つ、
〜Rのいずれか一つは存在しないものとし、
mが2である場合、複数個存在するR〜RおよびVは相互に
同一でも異なっても良い。
【0022】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体においては、
1)下記一般式(1−1)で表されるキノリノトリアゾール誘導体であること、
【化3】
式中、
Ar、R〜R、W〜Z、p〜s及びAは、前記一般式(1)及
び前記構造式(2)に記載した通りの意味である。
2)前記構造式(2)におけるmが0であること、
3)前記構造式(2)におけるmが1であること、
4)前記構造式(2)におけるmが2であること、
5)前記構造式(2)におけるVが炭素原子であること、
6)前記構造式(2)においてVが炭素原子であり、且つmが1または2であること、
7)前記構造式(2)におけるArがピリジル基であること、
8)前記構造式(2)におけるArがキノリル基またはイソキノリル基であること、
が好ましい。
【0023】
また、本発明によれば、一対の電極とその間に挟まれた少なくとも一層の有機層を有する有機EL素子であって、前記キノリノトリアゾール誘導体が、少なくとも1つの有機層の構成材料として用いられていることを特徴とする有機EL素子が提供される。
【0024】
本発明の有機EL素子においては、前記有機層が、電子輸送層、正孔阻止層、発光層または電子注入層であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体は新規な化合物であり、下記物理的特性を有する。
(1)電子の注入特性が良い。
(2)電子の移動速度が速い。
(3)正孔阻止能力に優れる。
(4)薄膜状態が安定である。
(5)耐熱性に優れている。
【0026】
また、本発明の有機EL素子は、下記物理的特性を有する。
(6)発光効率および電力効率が高い。
(7)発光開始電圧が低い。
(8)実用駆動電圧が低い。
(9)素子寿命が長い。
【0027】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体は、従来の材料に比べて電子の注入・移動速度が高い。そのため、本発明のキノリノトリアゾール誘導体を用いて作成された電子注入層および/または電子輸送層を有する有機EL素子においては、電子輸送層から発光層への電子輸送効率が向上して、発光効率が向上すると共に、駆動電圧が低下して、有機EL素子の耐久性が向上する。
【0028】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体は、優れた正孔の阻止能力を有すると共に従来の材料よりも電子輸送性に優れ、かつ薄膜状態での安定性も高い。そのため、本発明のキノリノトリアゾール誘導体を用いて作製された正孔阻止層を有する有機EL素子は、高い発光効率を有しながら、駆動電圧が低く、電流耐性が改善され、最大発光輝度が向上している。
【0029】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体は、従来の材料に比べて電子輸送性に優れ、かつバンドギャップが広い。そのため、本発明の材料を発光層のホスト材料として用い、ドーパントと呼ばれる蛍光発光体や燐光発光体、遅延蛍光発光体を担持させて、発光層として用いることにより、駆動電圧が低下し、発光効率が改善された有機EL素子を実現できる。
【0030】
以上より、本発明のキノリノトリアゾール誘導体は、有機EL素子の電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層または発光層の構成材料として有用である。本発明の有機EL素子では、発光層内で生成した励起子を閉じ込めることができ、さらに正孔と電子が再結合する確率を向上させ、高発光効率を得ることができる。加えて、駆動電圧が低下して、高効率、高耐久性を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例1の化合物(化合物15)のH−NMRチャート図である。
図2】実施例1および比較例1で作製された有機EL素子の素子構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体は、キノリノトリアゾール環構造を有する新規な化合物であり、下記一般式(1)で表される。
【化4】
【0033】
<Ar
上記一般式(1)中、Arは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表している。
Arで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、スチリル基、ナフチル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、トリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基等を挙げることができる。
【0034】
Arで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又は縮合多環芳香族基は、無置換であってもよいが置換基を有してもよい。置換基としては、例えば以下のものが挙げられる。
重水素原子;
シアノ基;
トリフルオロメチル基;
水酸基;
ニトロ基;
ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子;
炭素原子数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ter
t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、
n−ヘキシル基;
炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、例えばシクロペンチル基
、シクロヘキシル基;
炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、例えばメチルオキシ基、エ
チルオキシ基、プロピルオキシ基;
前記例示した炭素原子数1〜6のアルキル基(Arが有してもよ
い置換基のうち炭素原子数1〜6のアルキル基として例示したもの)
で置換されたジ置換アミノ基;
芳香族炭化水素基または縮合多環芳香族基、例えばフェニル基、ビ
フェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、スチリル
基、ナフチル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナント
レニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基;
芳香族複素環基、例えばピリジル基、ピリドインドリル基、キノリ
ル基、ベンゾチアゾリル基;
炭素原子数1〜6のアルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。これらの置換基は、さらに前記例示した置換基で置換されてもよい。
【0035】
<R〜R
上記一般式(1)中、R〜Rは、同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表している。
〜Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素原子数1〜6のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等を挙げることができる。
【0036】
〜Rで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、スチリル基、ナフチル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、トリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基等を挙げることができる。これらの基同士は単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0037】
〜Rで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基は、無置換でもよいが置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、水酸基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、スチリル基、ピリジル基、ピリドインドリル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基等を挙げることができる。
炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基および炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基におけるアルキル基部分としては、R〜Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基として例示される基と同じものが挙げられる。
炭素原子数1〜6のアルキル基および炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。これらの置換基はさらに、前記例示した置換基で置換されてもよい。また、置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0038】
<W〜Zおよびp〜s>
一般式(1)において、W、X、Y、Zは炭素原子または窒素原子を表す。これらW〜Zは、いずれか1つのみが窒素原子(残りの3つは炭素原子)である。さらに、p、q、rおよびsは、それぞれ、W〜Zに結合している基R〜Rの数を示し、0または1である。
即ち、一般式(1)から理解されるように、例えばWが窒素原子である場合には、その窒素原子には、Rは結合しておらず、その数を示すpはゼロとなる。X〜Zは炭素原子であり、その炭素原子には、R〜Rがそれぞれ結合しており、q〜sは1となる。Xが窒素原子の場合、Yが窒素原子の場合、Zが窒素原子の場合も同様である。
【0039】
<A>
一般式(1)において、一価の基Aは、下記構造式(2)で表される。
【化5】
【0040】
(Ar
構造式(2)において、Arは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表す。
Arで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、スチリル基、ナフチル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、トリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基等を挙げることができる。
【0041】
Arで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基は、無置換でもよいが置換基を有してもよい。置換基としては、例えば以下のものを挙げることができる。
重水素原子;
シアノ基;
トリフルオロメチル基;
水酸基;
ニトロ基;
ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子;
炭素原子数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ter
t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、
n−ヘキシル基;
炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、例えばシクロペンチル基
、シクロヘキシル基;
炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、例えばメチルオキシ基、エ
チルオキシ基、プロピルオキシ基;
前記例示した炭素原子数1〜6のアルキル基(Arが有してもよ
い置換基のうち炭素原子数1〜6のアルキル基として例示したもの)
で置換されたジ置換アミノ基;
芳香族炭化水素基または縮合多環芳香族基、例えばフェニル基、ビ
フェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、スチリル
基、ナフチル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナント
レニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基;
芳香族複素環基、例えばピリジル基、ピリドインドリル基、キノリ
ル基、ベンゾチアゾリル基;
炭素原子数1〜6のアルキル基および炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。これらの置換基は、さらに前記例示した置換基で置換されてもよい。また、置換基同士は、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0042】
(R〜R
構造式(2)において、R〜Rは、同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基を表す。
〜Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数2〜6のアルケニル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基などを挙げることができる。
【0043】
〜Rで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基、スチリル基、ナフチル基、アントラセニル基、アセナフテニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、トリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基等を挙げることができる。
【0044】
〜Rで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基は、無置換でもよいが置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、水酸基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、スチリル基、ピリジル基、ピリドインドリル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基等を挙げることができる。
炭素原子数1〜6のアルキル基および炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基におけるアルキル基部分としては、R〜Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基として例示される基と同じものを挙げることができる。
炭素原子数1〜6のアルキル基および炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。これらの置換基は、さらに前記例示した置換基で置換されても良い。隣り合う置換基同士は各々独立して結合し、縮合環を形成しても良い。
【0045】
〜Rは互いに結合して環を形成してもよく、具体的には、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。更に、このR〜Rが互いに結合して環を形成する態様には、後述の化合物16〜24、26〜30、39〜41、48〜53および56〜60から理解されるように、構造式(2)においてmが1または2であり且つVが炭素原子であるという条件下、構造式の見かけ上、R〜Rのうち隣り合う二つの基がどちらもビニル基であり、この2つのビニル基が単結合を介して連結して縮合環を形成する態様も含まれる。この場合、m=1であれば、化合物48〜53のように、Arは1個のナフタレン環、アントラセン環またはフェナントレン環に結合することとなる。m=2であれば、Arは、2個のナフタレン環が単結合を介して連結した構造、2個のアントラセン環が単結合を介して連結した構造または2個のフェナントレン環が単結合を介して連結した構造に結合するか、或いは、化合物16〜24、26〜30、39〜41および56〜60のように、ベンゼン環とナフタレン環の組み合わせ、ベンゼン環とアントラセン環の組み合わせまたはベンゼン環とフェナントレン環の組み合わせに結合することとなる。かかるR〜Rが互いに結合して縮合環を形成する態様は、本発明のキノリノトリアゾール誘導体により優れた素子特性を付与する観点からは好ましいが、合成時の操作が複雑であるので、合成上の観点からは好ましくない。
【0046】
(m、V)
構造式(2)において、mは0、1または2の整数を表す。Vは炭素原子または窒素原子を表す。Vが窒素原子である場合、この窒素原子にはR〜Rで示される基は結合しておらず、且つ、R6〜のいずれか一つは存在しない。また、mが2である場合、複数個存在するR、R、R、RおよびVは相互に異なっていても良い。例えば、基A中にベンゼン環(V=C)とピリジン環(V=N)とが混在してもよい。
【0047】
<好適な態様>
本発明のキノリノトリアゾール誘導体においては、キノリノトリアゾール骨格中のベンゼン環で、ArがZに対してオルト位で結合していることが好ましく、下記一般式(1−1)で示されるように、ArがZに対してオルト位で結合し、且つ、RがArに対してオルト位で結合していることが特に好ましい。
【化6】
式中、
Ar、R〜R、W〜Z、p〜s及びAは、前記した通りの意味
である。
【0048】
Arとしては芳香族炭化水素基または縮合多環芳香族基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基がより好ましい。Arとしては置換基を有する態様が好ましい。Arが有する置換基としては芳香族炭化水素基または縮合多環芳香族基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基がより好ましい。
【0049】
〜Rとしては、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基が好ましく、水素、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素が最も好ましい。
【0050】
本発明においては、Xが窒素原子であり、W、YおよびZが炭素原子であることが好ましい。この場合、qはゼロであり、即ち、基Rはキノリノトリアゾール骨格中のピリジン環に結合していない。
【0051】
構造式(2)において、mは1または2であることが好ましい。
【0052】
Vは炭素原子であることが好ましく、特に、下記構造式(2−1)または(2−2)で表されるように、Vが炭素原子であり、且つmが1または2であることが好ましい。
【化7】
式中、
ArおよびR〜Rは前記した通りの意味である。
6a〜R9aは、同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、
フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素原子数
1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、芳香族炭化水
素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基であって、互いに結合し
て環を形成してもよい。
6a〜R9aで表される炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数
2〜6のアルケニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基および縮合
多環芳香族基の具体例としては、それぞれ、R〜Rで表される炭素
原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、芳香族
炭化水素基、芳香族複素環基および縮合多環芳香族基として例示したも
のと同じものを挙げることができる。炭素原子数1〜6のアルキル基と
炭素原子数2〜6のアルケニル基が直鎖状であっても分岐状であっても
よい点、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基が
無置換でもよいが置換基を有してもよい点、および、これらの基が互い
に結合して環を形成してもよい点も同様である。置換基としても、R
〜Rで表される芳香族炭化水素基等が有してもよい置換基の例と同じ
ものが挙げられる。
【0053】
Arとしては、単環または縮合環のいずれか一つ有する基が好ましく、言い換えると、隣り合う環同士が単結合でつながった構造を有する基(具体的には、ビフェニリル基、ターフェニリル基、テトラキスフェニル基)以外の基が好ましく、特に、単環または縮合環の何れか一つを有する芳香族複素環基が好ましい。単環または縮合環の何れか一つを有する芳香族複素環基としては、例えばトリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基が好ましく、特に、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基が好ましい。
【0054】
Arは置換基を有してもよいが、合成のしやすさの観点から、無置換であることが好ましい。
【0055】
〜Rは互いに結合して環を形成してもよいが、それぞれが独立して存在して環を形成しないほうが好ましい。環を形成する場合においては、本発明のキノリノトリアゾール誘導体に優れた素子特性を付与する観点から、例えば、化合物16〜24、26〜30、39〜41および56〜60のように、基Aが上記式(2−2)で示されるという条件の下、R〜Rはそれぞれが独立して存在しているが、R6a〜R9aは互いに結合して縮合環を形成しており、その結果、ナフタレン環、アントラセン環またはフェナントレン環が形成されていることが好ましい。
【0056】
<製造方法>
本発明のキノリノトリアゾール誘導体は新規な化合物であり、例えば以下の方法により合成できる。まず、7,8−ジアミノキノリン誘導体とニトロ基を有するアリール誘導体とを既知の方法によって反応させ、アミノアリールアゾキノリン誘導体を合成する。次に、このアミノアリールアゾキノリン誘導体に対し、ヨードベンゼンジアセテートによる酸化的環化反応(非特許文献1参照)を行い、2−アリールキノリノトリアゾール誘導体を合成する。あるいは、アミノキノリン誘導体とアリールジアゾニウム塩とのカップリングを行って、アミノアリールアゾキノリン誘導体を合成し、続いて、前記と同様にしてヨードベンゼンジアセテートによる酸化的環化反応を行い、2−アリールキノリノトリアゾール誘導体を合成する。
上記のどちらの工程を採用する場合においても、後述のカップリング反応においてキノリノトリアゾール環に置換基を導入するため、材料として用いられる7,8−ジアミノキノリン誘導体が臭素などのハロゲン原子を置換基として有しているとよい。材料として用いられる7,8−ジアミノキノリン誘導体がハロゲン原子を置換基として有さない場合には、2−アリールキノリノトリアゾール誘導体を合成した後に、別途、この2−アリールキノリノトリアゾール誘導体に対し、例えば、臭素やN−ブロモスクシンイミドなどによるブロモ化を行って、ブロモ基を導入する必要がある。
その後、2−アリールキノリノトリアゾール誘導体と種々のアリールボロン酸誘導体とのクロスカップリング反応、例えばSuzukiカップリング(非特許文献2参照)を行う。かくして、本発明のキノリノトリアゾール誘導体を合成することができる。
【0057】
得られた化合物の精製はカラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法、昇華精製法などによって行うことができる。化合物の同定は、NMR分析によって行なうことができる。測定すべき物性値としては、融点、ガラス転移点(Tg)と仕事関数が挙げられる。
【0058】
融点は蒸着性の指標となる。ガラス転移点(Tg)は薄膜状態の安定性の指標となる。融点とガラス転移点(Tg)は、例えば、粉体を用いて高感度示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス製、DSC3100S)によって測定することができる。
【0059】
仕事関数は正孔阻止能力の指標となる。仕事関数は、例えば、ITO基板の上に100nmの薄膜を作製し、イオン化ポテンシャル測定装置(住友重機械工業株式会社製、PYS−202型)を用いて測定することができる。
【0060】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体の中で、好ましい化合物の具体例を以下に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。尚、以下の具体例に示す化合物には、基Aを示す構造式(2)におけるmの値、および、W〜Zのうち窒素原子であるものを示している。化合物1および化合物2は欠番である。
【0061】
【化8】
(化合物3)
m=1
窒素:X
【0062】
【化9】
(化合物4)
m=1
窒素:X
【0063】
【化10】
(化合物5)
m=1
窒素:X
【0064】
【化11】
(化合物6)
m=1
窒素:X
【0065】
【化12】
(化合物7)
m=1
窒素:W
【0066】
【化13】
(化合物8)
m=1
窒素:X
【0067】
【化14】
(化合物9)
m=1
窒素:X
【0068】
【化15】
(化合物10)
m=1
窒素:X
【0069】
【化16】
(化合物11)
m=1
窒素:X
【0070】
【化17】
(化合物12)
m=1
窒素:W
【0071】
【化18】
(化合物13)
m=1
窒素:X
【0072】
【化19】
(化合物14)
m=1
窒素:X
【0073】
【化20】
(化合物15)
m=1
窒素:X
【0074】
【化21】
(化合物16)
m=2
窒素:X
【0075】
【化22】
(化合物17)
m=2
窒素:X
【0076】
【化23】
(化合物18)
m=2
窒素:W
【0077】
【化24】
(化合物19)
m=2
窒素:W
【0078】
【化25】
(化合物20)
m=2
窒素:W
【0079】
【化26】
(化合物21)
m=2
窒素:X
【0080】
【化27】
(化合物22)
m=2
窒素:X
【0081】
【化28】
(化合物23)
m=2
窒素:W
【0082】
【化29】
(化合物24)
m=2
窒素:X
【0083】
【化30】
(化合物25)
m=0
窒素:W
【0084】
【化31】
(化合物26)
m=2
窒素:X
【0085】
【化32】
(化合物27)
m=2
窒素:W
【0086】
【化33】
(化合物28)
m=2
窒素:X
【0087】
【化34】
(化合物29)
m=2
窒素:W
【0088】
【化35】
(化合物30)
m=2
窒素:W
【0089】
【化36】
(化合物31)
m=2
窒素:X
【0090】
【化37】
(化合物32)
m=2
窒素:X
【0091】
【化38】
(化合物33)
m=2
窒素:X
【0092】
【化39】
(化合物34)
m=1
窒素:X
【0093】
【化40】
(化合物35)
m=2
窒素:X
【0094】
【化41】
(化合物36)
m=2
窒素:X
【0095】
【化42】
(化合物37)
m=2
窒素:X
【0096】
【化43】
(化合物38)
m=2
窒素:X
【0097】
【化44】
(化合物39)
m=2
窒素:X
【0098】
【化45】
(化合物40)
m=2
窒素:W
【0099】
【化46】
(化合物41)
m=2
窒素:X
【0100】
【化47】
(化合物42)
m=1
窒素:X
【0101】
【化48】
(化合物43)
m=1
窒素:W
【0102】
【化49】
(化合物44)
m=1
窒素:X
【0103】
【化50】
(化合物45)
m=1
窒素:W
【0104】
【化51】
(化合物46)
m=1
窒素:X
【0105】
【化52】
(化合物47)
m=1
窒素:X
【0106】
【化53】
(化合物48)
m=1
窒素:X
【0107】
【化54】
(化合物49)
m=1
窒素:X
【0108】
【化55】
(化合物50)
m=1
窒素:X
【0109】
【化56】
(化合物51)
m=1
窒素:X
【0110】
【化57】
(化合物52)
m=1
窒素:X
【0111】
【化58】
(化合物53)
m=1
窒素:X
【0112】
【化59】
(化合物54)
m=0
窒素:W
【0113】
【化60】
(化合物55)
m=0
窒素:X
【0114】
【化61】
(化合物56)
m=2
窒素:X
【0115】
【化62】
(化合物57)
m=2
窒素:X
【0116】
【化63】
(化合物58)
m=2
窒素:X
【0117】
【化64】
(化合物59)
m=2
窒素:X
【0118】
【化65】
(化合物60)
m=2
窒素:X
【0119】
<有機EL素子>
上述した本発明のキノリノトリアゾール誘導体を用いて形成される有機層を備えた有機EL素子(以下、本発明の有機EL素子と呼ぶことがある。)は、例えば図2に示す層構造をしている。即ち、本発明の有機EL素子においては、例えば、基板1上に順次、陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、正孔阻止層6、電子輸送層7、電子注入層8、陰極9が設けられている。本発明の有機EL素子は、かかる構造に限定されるものではなく、例えば、正孔輸送層4と発光層5の間に電子阻止層(図示せず)を設けてもよい。また、有機層を何層か省略してもよく、例えば、陽極2と正孔輸送層4の間の正孔注入層3や、発光層5と電子輸送層7の間の正孔阻止層6、電子輸送層7と陰極9の間の電子注入層8を省略し、基板1上に順次に、陽極2、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層7、陰極9を有する構成とすることもできる。
【0120】
陽極2は、それ自体公知の電極材料で構成されてよく、例えばITOや金のような仕事関数の大きな電極材料が用いられる。
【0121】
正孔注入層3は、正孔注入性を有するそれ自体公知の材料で構成されてよく、例えば以下の材料を用いて形成することができる。
銅フタロシアニンに代表されるポルフィリン化合物;
スターバースト型のトリフェニルアミン誘導体;
トリフェニルアミン3量体および4量体、例えば分子中にトリフェニ
ルアミン構造を3個以上、単結合またはヘテロ原子を含まない2価基で
連結した構造を有するアリールアミン化合物;
アクセプター性の複素環化合物、例えばヘキサシアノアザトリフェニ
レン;
塗布型の高分子材料;
【0122】
正孔注入層3(薄膜)は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって形成することができる。以下に述べる各種の層も同様に、蒸着やスピンコート、インクジェットなどの公知の方法により成膜することができる。
【0123】
正孔輸送層4は、正孔輸送性を有するそれ自体公知の材料で構成されてよく、例えば以下の材料を用いて形成することができる。
ベンジジン誘導体、例えば
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン
(TPD)、
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)−ベンジジ
ン(NPD)、
N,N,N’,N’−テトラビフェニリルベンジジン;
1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン
(TAPC);
種々のトリフェニルアミン3量体および4量体;
上述の正孔輸送材料は、単独で成膜に用いられても良いが、他の材料と混合して成膜に用いられてもよい。また、正孔輸送層4は単層としても良いが、上記材料を1種または複数種用いて複数の層を形成し、このような層が積層された多層膜を正孔輸送層4としてもよい。
【0124】
また、本発明においては、正孔注入層3と正孔輸送層4とを兼ねた層を形成することもできる。このような正孔注入・輸送層には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)/ポリ(スチレンスルフォネート)(PSS)などの塗布型の高分子材料を用いることができる。
【0125】
また、正孔注入層3または正孔輸送層4を形成する際には、該層に通常使用される材料に加えて、更に、トリスブロモフェニルアミンヘキサクロルアンチモン、ラジアレン誘導体(例えばWO2014/009310参照)などをPドーピングしたものや、TPDの構造をその部分構造に有する高分子化合物などを用いることができる。
【0126】
電子阻止層(図示されていない)は、電子阻止作用を有する公知の化合物を用いて形成することができる。公知の電子阻止性化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
カルバゾール誘導体、例えば
4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン
(TCTA)、
9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]フルオ
レン、
1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP)、
2,2−ビス(4−カルバゾール−9−イルフェニル)アダマンタ
ン(Ad−Cz);
トリフェニルシリル基とトリアリールアミン構造を有する化合物、例
えば
9−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−9−[4−(
トリフェニルシリル)フェニル]−9H−フルオレン;
上述の電子阻止性材料は、単独で成膜に用いられても良いが、他の材料と混合して成膜してもよい。また、電子阻止層は単層としても良いが、上記材料を1種または複数種用いて複数の層を形成し、このような層が積層された多層膜を電子阻止層としてもよい。
【0127】
発光層5は、本発明のキノリノトリアゾール誘導体のほか、公知の材料を用いて形成することができる。公知の材料としては、例えば以下のものを挙げることができる。
Alqをはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体;
各種の金属錯体;
アントラセン誘導体;
ビススチリルベンゼン誘導体;
ピレン誘導体;
オキサゾール誘導体;
ポリパラフェニレンビニレン誘導体;
【0128】
発光層5は、ホスト材料とドーパント材料とで構成しても良い。ホスト材料としては、本発明のキノリノトリアゾール誘導体および前記発光材料に加え、チアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体等を用いることができる。
ドーパント材料としては、キナクリドン、クマリン、ルブレン、ペリレンおよびそれらの誘導体;ベンゾピラン誘導体;ローダミン誘導体;アミノスチリル誘導体;等を用いることができる。
【0129】
発光層5も、1種あるいは2種以上の発光材料を用いて形成することができる。また、発光層5は、単層構成とすることもできるし、複数の層を積層した多層構造とすることもできる。
【0130】
また、発光材料として燐光性の発光材料を使用することも可能である。燐光性の発光材料としては、イリジウムや白金などの金属錯体の燐光発光体を使用することができ。具体的には、
緑色の燐光発光体、例えばIr(ppy)
青色の燐光発光体、例えばFIrpic、FIR
赤色の燐光発光体、例えばBtpIr(acac);
等が用いられる。この場合のホスト材料のうち正孔注入・輸送性ホスト材料としては、
カルバゾール誘導体、例えば
4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)、
TCTA、
mCP;
が挙げられる。電子輸送性ホスト材料としては、以下のものが挙げられる。
p−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(UGH2);
2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)−トリス(1−フェ
ニル−1H−ベンズイミダゾール)(TPBI);
本発明のキノリノトリアゾール誘導体;
【0131】
燐光性の発光材料のホスト材料へのドープは濃度消光を避けるため、発光層全体に対して1〜30重量パーセントの範囲で、共蒸着によってドープすることが好ましい。
【0132】
また、発光材料としてPIC−TRZ、CC2TA、PXZ−TRZ、4CzIPNなどのCDCB誘導体などの遅延蛍光を放射する材料を使用することも可能である。
【0133】
正孔阻止層6は、本発明のキノリノトリアゾール誘導体のほか、正孔阻止性を有する公知の化合物を用いて形成することができる。正孔阻止性を有する公知の化合物としては、例えば以下のものを挙げることができる。
フェナントロリン誘導体、例えばバソクプロイン(BCP);
キノリノール誘導体の金属錯体、例えばBAlq;
各種の希土類錯体;
オキサゾール誘導体;
トリアゾール誘導体;
トリアジン誘導体;
正孔阻止層6も単層または多層の積層構造とすることができ、各層は、上述の正孔阻止作用を有する化合物の1種または2種以上を用いて成膜される。
【0134】
上記の正孔阻止性を有する材料は、以下に述べる電子輸送層7の形成にも使用することができる。即ち、上記の正孔阻止性を有する材料を用いることにより、正孔阻止層6兼電子輸送層7である層を形成することができる。
【0135】
電子輸送層7は、本発明のキノリノトリアゾール誘導体のほか、電子輸送性を有する公知の化合物を用いて形成される。電子輸送性を有する公知の化合物としては、例えば以下のものを挙げることができる。
Alq、BAlqをはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体;
各種金属錯体;
トリアゾール誘導体;
トリアジン誘導体;
オキサジアゾール誘導体;
ピリジン誘導体;
ピリミジン誘導体;
ベンズイミダゾール誘導体;
チアジアゾール誘導体;
アントラセン誘導体;
カルボジイミド誘導体;
キノキサリン誘導体;
ピリドインドール誘導体;
フェナントロリン誘導体;
シロール誘導体;
電子輸送層7も単層或いは多層の積層構造とすることができ、各層は、上述した電子輸送作用を有する化合物の1種又は2種以上を用いて成膜される。
【0136】
電子注入層8は、本発明のキノリノトリアゾール誘導体のほか、それ自体公知の材料、例えば以下のものを用いて形成することができる。
アルカリ金属塩、例えばフッ化リチウム、フッ化セシウム;
アルカリ土類金属塩、例えばフッ化マグネシウム;
キノリノール誘導体の金属錯体、例えばリチウムキノリノール;
金属酸化物、例えば酸化アルミニウム;
電子注入層8は、電子輸送層と陰極の好ましい選択においては、省略することもできる。
【0137】
さらに、電子輸送層7または電子注入層8においては、これらの層に通常使用される材料に加え、さらにセシウム等の金属、トリアリールホスフィンオキシド誘導体(例えば、国際公開第2014/195482号参照)等をNドーピングしたものを用いることができる。
【0138】
陰極9には、アルミニウムのような仕事関数の低い電極材料や、マグネシウム銀合金、マグネシウムインジウム合金、アルミニウムマグネシウム合金のような、より仕事関数の低い合金が電極材料として用いられる。
【実施例】
【0139】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0140】
<実施例1:化合物15の合成>
5−{9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル}−2−{4−(ピリジン−3−イル)フェニル}−2H−[1,2,3]−[4,5,h]キノリノトリアゾールの合成;
【化66】
(化合物15)
m=1
窒素:X
窒素置換した反応容器に、
1−ブロモ−4−ニトロベンゼン 50g、
3−ピリジンボロン酸 31.9g、
2M炭酸カリウム水溶液 309ml、
トルエン 200ml、
エタノール 40ml及び
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0) 11.0g
を加え、攪拌しながら14時間加熱還流した。反応液を濃縮し、析出する結晶をろ過によって採取した。イソプロパノールで分散洗浄することによって、3−(4−ニトロフェニル)ピリジンの灰色の粉末状結晶43.5g(収率88.8%)を得た。
【0141】
以下を窒素置換した反応容器に加え、攪拌しながら7時間加熱還流した。
得られた3−(4−ニトロフェニル)ピリジン 3.5g、
5−ブロモ−7,8−ジアミノイソキノリン 4.0g、
苛性ソーダ 1.4g及び
トルエン 50ml
その後、トルエン100mlを加えて抽出し、減圧下濃縮した後、カラムクロマトグラフによって精製して、5−ブロモ−7−{4−(ピリジン−3−イル)フェニルアゾ}−8−アミノイソキノリンの赤色の粉末状結晶2.14g(収率30.3%)を得た。
【0142】
以下を窒素置換した反応容器に加えて加熱し、92℃で1時間攪拌した。
得られた5−ブロモ−7−{4−(ピリジン−3−イル)フェニルア
ゾ}−8−アミノイソキノリン 2.0g、
ヨードベンゼンジアセテート 2.6g及び
トルエン 20ml
有機層を分液操作によって採取し、減圧下濃縮した後、カラムクロマトグラフによって精製して、5−ブロモ−2−{4−(ピリジン−3−イル)フェニル}−2H−[1,2,3]−[4,5,h]キノリノトリアゾールの白色の粉末状結晶1.2g(収率60.6%)を得た。
【0143】
以下を窒素置換した反応容器に加え、攪拌しながら9.0時間加熱還流した。
得られた5−ブロモ−2−{4−(ピリジン−3−イル)フェニル}
−2H−[1,2,3]−[4,5,h]キノリノトリアゾール
4.0g、
{9、10−ジ(ナフタレン−2イル)アントラセン−2−イル}ボ
ロン酸 3.8g、
2M炭酸カリウム水溶液 15ml、
トルエン 40ml、
エタノール 16ml及び
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0) 0.1g
有機層を分液操作によって採取し、減圧下濃縮した後、カラムクロマトグラフによって精製して、5−{9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル}−2−{4−(ピリジン−3−イル)フェニル}−2H−[1,2,3]−[4,5,h]キノリノトリアゾール(化合物15)の淡黄色粉体4.18g(収率67.0%)を得た。
【0144】
得られた淡黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。H−NMR測定結果を図1に示した。H−NMR(CDCl)で以下の33個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=9.97(1H)、
8.92(1H)、
8.67(1H)、
8.66(1H)、
8.63(1H)、
8.48(2H)、
8.15(1H)、
8.09(1H)、
8.06(2H)、
8.04(2H)、
7.97(1H)、
7.95−7.90(5H)、
7.80−7.36(14H)
【0145】
<融点とガラス転移点の測定>
実施例1で得られた化合物について、高感度示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス製、DSC3100S)を用いて融点とガラス転移点を求めた。
融点 ガラス転移点
実施例1(化合物15) 338℃ 206℃
本発明の化合物は100℃以上、特に200℃以上のガラス転移点を有している。このことは、本発明の化合物において薄膜状態が安定であることを示す。
【0146】
<仕事関数の測定>
実施例1で得られた化合物を用いて、ITO基板の上に膜厚100nmの蒸着膜を作製し、イオン化ポテンシャル測定装置(住友重機械工業株式会社製、PYS−202型)を用いて仕事関数を測定した。
仕事関数
実施例1の化合物 5.93eV
本発明の化合物はNPD、TPDなどの一般的な正孔輸送材料がもつ仕事関数5.4eVより大きい値を有し、大きな正孔阻止能力を有している。
【0147】
<有機EL素子としたときの発光特性の測定>
ガラス基板1上に透明陽極2としてITO電極を予め形成したものの上に、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、正孔阻止層6兼電子輸送層7{実施例1の化合物(化合物15)}、電子注入層8、陰極(アルミニウム電極)9の順に蒸着して、図2に示す構造の有機EL素子を作製した。
【0148】
具体的には、膜厚150nmのITOを成膜したガラス基板1を有機溶媒で洗浄した後に、酸素プラズマ処理にて表面を洗浄した。その後、このITO電極付きガラス基板を真空蒸着機内に取り付け0.001Pa以下まで減圧した。続いて、透明陽極2を覆うように正孔注入層3として、下記構造式のHIM−1を蒸着速度6nm/minで膜厚20nmとなるように形成した。この正孔注入層3の上に、正孔輸送層4として下記構造式のHTM−1を蒸着速度6nm/minで膜厚40nmとなるように形成した。この正孔輸送層4の上に、発光層5として下記構造式のEMD−1と下記構造式のEMH−1を、蒸着速度比がEMD−1:EMH−1=5:95となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚30nmとなるように形成した。この発光層5の上に、正孔阻止層6兼電子輸送層7として実施例1の化合物(化合物15)を蒸着速度6nm/minで膜厚30nmとなるように形成した。この正孔阻止層6兼電子輸送層7の上に、電子注入層8としてフッ化リチウムを蒸着速度0.6nm/minで膜厚0.5nmとなるように形成した。最後に、アルミニウムを膜厚150nmとなるように蒸着して陰極9を形成した。
【0149】
【化67】
【化68】
【化69】
【化70】
【0150】
作製した有機EL素子に、大気中、常温で直流電圧を印加し、このときの発光特性を測定した。測定結果は表1に示した。
【0151】
<比較例1>
正孔阻止層6兼電子輸送層7の材料として実施例1の化合物(化合物15)に代えて下記構造式のETM−1(特許文献2参照)を用いた点以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子に、大気中、常温で直流電圧を印加し、このときの発光特性を測定した。測定結果は表1に示した。
【化71】
【0152】
【表1】
【0153】
表1に示す様に、比較例1の駆動電圧は5.95Vであるのに対し、実施例1では5.32Vであり、低電圧化した。また、比較例1の電力効率は4.19lm/Wであるのに対し、実施例1では5.05lm/Wであり、大きく向上した。このように本発明の有機EL素子は、一般的な電子輸送材料が用いられている比較例1の有機EL素子と比較して、実用駆動電圧の顕著な低下が達成でき、さらに発光効率および電力効率を大きく向上できることがわかった。
【0154】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体を用いた有機EL素子における顕著な駆動電圧の低下から、本発明のキノリノトリアゾール誘導体の電子移動の速度は、一般的な電子輸送材料として用いられている前記ETM−1より各段に速いものと予測される。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明のキノリノトリアゾール誘導体は、電子の注入特性が良く、正孔阻止能力に優れており、薄膜状態が安定であるため、有機EL素子用の材料として優れている。本発明のキノリノトリアゾール誘導体を用いて有機EL素子を作製することにより、高い発光効率および電力効率を得ることができると共に、実用駆動電圧を低下させることができ、耐久性を改善させることができる。例えば、家庭電化製品や照明の用途への展開が可能となった。
【符号の説明】
【0156】
1 ガラス基板
2 透明陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
図1
図2