(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本開示の情報処理装置、および情報処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行なう。
1.再生パス解析に基づく出所追跡処理の概要について
2.不正流通コンテンツから確実な出所解析を実現する構成について
3.サーバの指定する再生パスの設定例について
4.不正流通コンテンツの出所追跡処理について
5.情報処理装置のハードウェア構成例について
6.本開示の構成のまとめ
【0023】
[1.再生パス解析に基づく出所追跡処理の概要について]
本発明の構成についての説明の前に、まず、既存の再生パス解析に基づく出所追跡処理の概要について説明する。
【0024】
図1は、再生装置に応じたコンテンツの再生パス設定例について説明する図である。
図1には、以下の各図を示している。
(1)再生装置Aの再生パスA
(2)再生装置Bの再生パスB
【0025】
図に示すAV000,AV001,AV002・・・これらは、例えばある映画コンテンツを構成するあるシーンの画像データである。例えば数秒間の画像フレームによって構成されるコンテンツを構成する画像データである。
図の左から右に示す時間軸(time)に従って、順次再生されるシーンに対応する画像データを示している。
例えば、最初のシーンがAV000である。
【0026】
最初のシーンAV000の次のデータとして、AV001〜AV0016の16個の画像データが設定されている。
これらは、同一のシーンであるが、AV001〜AV0016の16個の画像データは、それぞれ異なる鍵(セグメント鍵)で暗号化されている。
各再生装置は、自装置に格納された鍵で利用可能な1つのデータを選択して、再生することができる。
【0027】
このように複数のデータの中から1つのデータを選択再生可能な画像データ区間をセグメント、あるいはセグメント領域と呼ぶ。
セグメント領域以外の1つのデータのみ用意されている区間は、単一データ領域と呼ぶ。例えばAV000、AV017等の再生区間は1つのデータのみが設定されており、すべての再生装置は、この1つのデータのみを再生する。このような区間を単一データ領域と呼ぶ。
【0028】
図1に示す例では、コンテンツ中に16個のセグメント領域(セグメント1〜16)が設定されている。
また、各セグメント1〜16の各々には、16個の異なる鍵で暗号化されたデータ(=異なる鍵で復号可能なデータ)が設定されている。セグメント領域に設定される異なる鍵で復号可能な複数のデータの各々をバリエーションデータと呼ぶ。
また、バリエーションデータの復号用の鍵をセグメントキーと呼ぶ。セグメントキーは、各バリエーションデータに応じて異なる鍵として設定される。
【0029】
図1(1)に示す例は、再生装置Aの再生パスを示している。
再生装置Aは、以下の各データを、順次、再生する。
AV000→[AV016]→AV017→[AV019]→AV034→[AV036]・・・・→AV238→[AV240]→AV255
これが、再生装置Aの再生パスAである。
なお、上記の再生データ中[AVxxx]のように、[ ]で囲んで示したデータが各セグメント領域に設定されたバリエーションデータである。
【0030】
再生装置Aは、セグメント領域に設定された16個のバリエーションデータ(暗号化データ)から再生装置Aの復号可能なデータを選択して再生を行なう。
[ ]で囲まれていないデータは、セグメント領域以外のデータであり、すべての再生装置において共通に再生されるデータである。
【0031】
一方、
図1(2)に示す再生装置Bは、以下の各データを、順次、再生する。
AV000→[AV002]→AV017→[AV020]→AV034→[AV050]・・・・→AV238→[AV239]→AV255
これが、再生装置Bの再生パスBである。
【0032】
上記の再生データ中[AVxxx]のように、[ ]で囲んで示したデータがバリエーションデータであり、再生装置Bは、セグメント領域に設定された16個のバリエーションデータ(暗号化データ)から再生装置Bの復号可能なデータを選択して再生を行なう。
[ ]で囲まれていないデータは、セグメント領域以外のデータであり、すべての再生装置において共通に再生されるデータである。
【0033】
再生装置Aの再生パスAと、再生装置Bの再生パスBを比較すると、セグメント領域以外の単一データ領域の再生データは共通する。しかしセグメント領域において再生するバリエーションデータは、異なるデータとなっている。
【0034】
各再生パス中のセグメント領域に設定されるバリエーションデータには、どのバリエーションデータであるかの識別子、すなわち[AVxxx]等のバリエーションデータ識別子が埋め込まれている。
すなわち、再生画像データを解析することで、どのバリエーションデータが再生されたかを判別することができる。
【0035】
図2を参照して、各再生装置による再生画像データと、再生画像データに対する画像解析処理について説明する。
図2に示す情報記録媒体(ディスク)10には、
図1を参照して説明したセグメント領域と単一データ領域から構成されるコンテンツが格納されている。
再生装置A21は、
図1(1)を参照して説明した再生パスAに従ってコンテンツ再生を実行する。
再生装置B21は、
図1(2)を参照して説明した再生パスBに従ってコンテンツ再生を実行する。
【0036】
再生画像A,31は、1つのセグメント領域から選択されたバリエーションデータであり、再生パスAに含まれるバリエーションデータ[AV016]である。
再生画像B,32は、同じセグメント領域から選択された異なるバリエーションデータであり、再生パスBに含まれるバリエーションデータ[AV002]である。
これら2つの再生画像A,Bは、いずれも例えば映画コンテンツの同一シーンの画像であり、視聴者には区別なく鑑賞される画像である。
【0037】
しかし、再生画像A,31は、再生パスAに含まれるバリエーションデータ[AV016]であり、この再生画像A,31には、バリエーションデータ[AV016]であることを示す識別情報(バリエーションデータ識別子)が埋め込まれている。例えば電子透かし(watermark)等の技術により識別情報が埋め込まれている。
なお、このように再生データに埋め込まれた識別情報はフォレンジックマーク(Forensic mark)、あるいはフォレンジックウォーターマーク(Forensic watermark)と呼ばれる。
【0038】
一方の再生画像B,32は、再生パスBに含まれるバリエーションデータ[AV002]であり、この再生画像B,32には、バリエーションデータ[AV002]であることを示す識別情報(バリエーションデータ識別子)が埋め込まれている。
【0039】
図1に示すコンテンツには、15個のセグメント領域が設定されている。
例えばネットワーク上から、不正流通したコピーコンテンツが発見された場合、この不正流通コンテンツに含まれる15個のセグメント領域における再生画像が、どのバリエーションデータであるかを判別すれば、そのコンテンツの再生パスが明らかになる。
【0040】
例えば、不正に流通しているコピーコンテンツが、
図1に示す再生パスAからなるコンテンツであれば、そのコピーコンテンツは、
図2に示す再生装置Aによって復号されたコンテンツが元データであり、再生装置Aが不正コピーコンテンツの出所であると判断することができる。
【0041】
また、例えば、不正に流通しているコピーコンテンツが、
図1に示す再生パスBからなるコンテンツであれば、そのコピーコンテンツは、
図2に示す再生装置Bによって復号されたコンテンツが元データであり、再生装置Bが不正コピーコンテンツの出所であると判断することができる。
【0042】
しかし、このような再生パス解析に基づく出所判定処理における弱点として、複数の復号コンテンツを混在させて1つのコンテンツを生成した場合に、出所判定が困難になるという問題がある。
この問題について、
図3を参照して説明する。
【0043】
図3(1)には、先に
図1(1)を参照して説明したと同様、再生装置Aによって再生される再生パスAを示している。
図3(2)には、先に
図1(2)を参照して説明したと同様、再生装置Bによって再生される再生パスBを示している。
【0044】
これら2つの再生パスに従って再生される復号コンテンツを混合させて1つの復号コンテンツを生成することができる。
例えば
図3(3)に示す混合コンテンツである。混合コンテンツの再生パスは以下の設定である。
AV000→[AV016]→AV017→[AV020]→AV034→[AV035]・・・・→AV238→[AV239]→AV255
これが、
図3(3)に示す混合コンテンツの再生パスである。
【0045】
上記の再生データ中[AVxxx]のように、[ ]で囲んで示したデータがバリエーションデータである。
この(3)混合コンテンツでは、バリエーションデータとして、再生パスAを構成するバリエーションデータ:[AV016],[AV035]と、再生パスBを構成するバリエーションデータ:[AV020],[AV239]が混在している。
【0046】
この(3)混合コンテンツが不正にコピーされて流通した場合、この混合コンテンツの再生パスに基づいて出所を判断することはできない。この混合コンテンツに偶然一致する再生パスXを再生する再生装置Xが存在した場合、その再生装置Xを不正コピーコンテンツの出所であると誤って判定する可能性がある。
【0047】
このように、再生装置に応じて設定する再生パスを利用した構成では、複数の復号コンテンツを混在させた混合コンテンツを生成されてしまうと、正しい出所追跡ができなくなるという問題がある。
【0048】
[2.不正流通コンテンツから確実な出所解析を実現する構成について]
次に、不正流通コンテンツから確実な出所解析を実現する構成について説明する。
【0049】
図4は、本開示の処理例を示すシーケンス図である。
図4には、左から再生対象コンテンツ103を格納した情報記録媒体100、情報記録媒体100を装着してコンテンツ再生を実行する再生装置200、再生装置200と通信を行うサーバ300を示している。
なお、再生装置200には、例えばディスクプレーヤ等のディスク再生専用機器(CE機器)や、スマートホンやタブレット端末等の様々なタイプの再生装置が含まれる。
【0050】
なお、
図4には情報記録媒体100としてディスク型の情報記録媒体の例を示しているが、情報記録媒体100は、ディスクの他、例えばSDカード等のフラッシュメモリ等であってもよい。
情報記録媒体100に格納された再生対象となるコンテンツ103は、異なる鍵(セグメントキー)で復号可能な複数のバリエーションデータからなるセグメント領域を含むコンテンツである。
【0051】
情報記録媒体100には、コンテンツ103の他コンテンツ識別子であるコンテンツID102が記録されている。
また、情報記録媒体の識別情報であるメディアID101が記録されている。メディアIDは、例えば、ディスクに書き換え困難な物理的記録処理によって記録されるPMSN(Prerecordede) Media Serial Number)等である。
【0052】
再生装置200は、この情報記録媒体100を装着してコンテンツ103の再生を実行する。
再生処理には、コンテンツ103の構成データであるバリエーションデータの復号用の鍵(セグメントキー)が必要である。
本実施例において、セグメントキーは、情報記録媒体100には記録されておらず、サーバ300から提供される。
【0053】
図4に示すシーケンス図を参照して、再生装置200がサーバからセグメントキーを取得して情報記録媒体100に格納されたコンテンツ103を再生するまでのシーケンスについて説明する。
【0054】
(ステップS101)
情報記録媒体100を装着した再生装置200は、まず、ステップS101において、サーバ300との認証処理を実行する。
例えば公開鍵暗号方式に従った相互認証を実行する。
再生装置200は、自装置のメモリに格納した公開鍵証明書(Device Cert)をサーバ300に送信する。
サーバ300もサーバの公開鍵証明書(Server Cert)を再生装置200に提供する。
これらの公開鍵証明書の交換を伴う処理によって、双方の正当性を確認する相互認証処理が実行される。
【0055】
なお、この相互認証処理に際して、あるいは相互認証処理の成立後、再生装置200は、装着した情報記録媒体100から読み取ったメディアID101、またはコンテンツID102をサーバ300に送信する。
これは、情報記録媒体100に格納されたコンテンツ103を特定するためのデータとして利用される。
サーバ300は、メディアID101、またはコンテンツID102に基づいて再生対象コンテンツを特定し、その再生に適用するためのセグメントキーファイル、プレイリストファイルを再生装置200に提供する。
【0056】
ステップS101の相互認証処理が成立し、双方の機器の正当性が確認されると、ステップS102に進む。
なお、相互認証が不成立となった場合は、ステップS102の処理は実行されない。すなわち、再生装置200はサーバからセグメントキーファイル、プレイリストファイルを受信できず、コンテンツ再生を行うことができない。
【0057】
(ステップS102)
ステップS101の相互認証処理が成立し、双方の機器の正当性が確認されると、ステップS102に進む。
ステップS102では、サーバ300が再生装置200に対して、再生パスを通知する。すなわち、先に
図1、
図3等を参照して説明した再生パスである。
再生パスには再生パス個別の識別子、例えば再生パス番号が設定され、サーバ300は、この再生パス番号を再生装置200に通知する。
【0058】
さらに、この再生パスの通知に伴い、サーバ300は、再生装置200に対して、
a.セグメントキーファイル
b.プレイリストファイル
これら2つのファイルを再生装置200に送信する。
【0059】
a.セグメントキーファイルは、コンテンツ103のセグメント領域に設定されるバリエーションデータを復号するために必要となるセグメントキーを格納したファイルである。
なお、このセグメントキーファイルに格納されたセグメントキーは、暗号化されており、再生装置200の保持する鍵で復号することで、セグメントキーを取得することが可能な構成となっている。
【0060】
サーバ300から再生装置200に送信するセグメントキーファイルは、再生装置200に通知した再生パスに従って再生されるバリエーションデータの復号に必要となるセグメントキーのみからなるファイルとする。
あるいは、コンテンツを構成する全てのセグメント領域にあるすべてのバリエーションデータの復号に適用するセグメントキー全てを暗号化データとして含む設定としてもよい。ただし、この設定とする場合は、再生装置200に通知した再生パス上にある再生対象のバリエーションデータの復号に必要となるセグメントキーのみを、再生装置の有する鍵で復号可能な構成を持つセグメントキーファイルを生成して送信する。
【0061】
b.プレイリストファイルは、サーバ300が再生装置200に通知した再生パスに従ったコミンテンツ再生を実行するための再生制御情報である。
1つの再生パスに対して1つのプレイリストが対応づけられる。
すなわち、異なる再生パスのコンテンツ再生を行なうためには、異なるプレイリストを利用することが必要となる。
【0062】
図に示す例では、ステップS102においてサーバ300から再生装置200に1つの再生パスが通知され、この通知された再生パスに従ったコンテンツ再生を実行するためのプレイリストが、サーバ300から再生装置200に提供される。
【0063】
なお、サーバ300から再生装置200に提供するデータは、例えば、再生装置の公開鍵証明書(Device Cert)から取得される公開鍵によって暗号化して提供する構成とすることが好ましい。
【0064】
なお、本シーケンスでは、プレイリストファイルをサーバから再生装置に提供する設定として説明しているが、予め情報記録媒体100に記録されたプレイリストを利用する構成としてもよい。この場合、サーバからのプレイリストファイルの送信は省略可能である。
【0065】
(ステップS103)
サーバ300から再生パスについての通知を受領し、さらに、
通知された再生パスに設定されるバリエーションデータの復号に適用するセグメントキーを格納したセグメントキーファイルと、
通知された再生パスに従ったコンテンツ再生を行なうための再生制御情報であるプレイリストファイル、
これらの各データを受領した再生装置200は、これらを利用して、情報記録媒体100に格納されたコンテンツ103を復号して、再生する処理を実行する。
【0066】
情報記録媒体100に格納されたコンテンツ103は、例えば、以下の階層構成からなる。
(a)タイトル
(b)ムービーオブジェクト(再生制御プログラム)
(c)プレイリスト
(d)クリップ
【0067】
(a)タイトルは、再生コンテンツを指定するためのコンテンツタイトルである。
(b)ムービーオブジェクト(再生制御プログラム)は、コンテンツの再生制御プログラムである。
一般的なBlu−ray(登録商標)を利用したコンテンツ再生を行なう場合、再生対象コンテンツを指定するためのタイトルに従って、ムービーオブジェクトが再生パスに対応する1つの(c)プレイリストを選択する設定となっている。
ただし、本開示の処理では、プレイリストは、サーバ300から受信したものを使用すればよい。
【0068】
(d)クリップは、再生対象コンテンツを格納したクリップAVストリームファイルと、各クリップAVストリームファイルに対応付けられた再生制御情報ファイルであるクリップ情報ファイルによって構成される。
【0069】
プレイリストファイルに従ってクリップ情報ファイルが指定され、さらにクリップ情報ファイルに従って再生対象コンテンツを格納したクリップAVストリームファイルが選択されてコンテンツの再生が行われる。
なお、
図1を参照して説明したコンテンツは、クリップAVストームファイルの格納データによって構成される。すなわち、複数のバリエーションデータからなるセグメント領域と、1つの共通再生データからなる単一データ領域を有するコンテンツは、クリップAVストームファイルの格納データによって構成される。
【0070】
セグメント領域には、各々異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータが設定される。
再生装置200は、サーバ300から受信したセグメントキーファイルから、自装置のメモリに格納した鍵を適用して復号して得られるセグメントキーを利用して、各セグメント領域から選択される1つのバリエーションデータを復号して再生を実行する。
【0071】
なお、サーバ300から受信したプレイリストを適用した再生処理により、1つの再生パスが自動的に選択され、各セグメント領域から1つのバリエーションデータが、順次、選択される。再生装置200は、選択されたバリエーションデータを、セグメントキーファイルから取得したバリエーションデータ対応のセグメントキーで復号して再生を実行する。
【0072】
なお、この復号処理によって得られる画像等のバリエーションデータには、どのバリエーションデータであるかのバリエーションデータ識別情報(フォレンジックマーク(Forensic Mark))が埋め込まれている。
【0073】
図5に示すフローチャートを参照して、再生装置200の実行する処理のシーケンスについて説明する。
図5に示すフローに従った処理は、例えば、再生装置200のプログラム実行機能を持つCPUを有するデータ処理部において、再生装置200の記憶部に格納されたプログラムに従って実行される。
【0074】
(ステップS151)
情報記録媒体100を装着した再生装置200は、まず、ステップS151において、サーバ300との認証処理を実行する。
前述したように、例えば公開鍵暗号方式に従った相互認証を実行する。
【0075】
(ステップS152)
ステップS152において認証が成立したか否かを判定し、不成立の場合は、処理を終了する。この場合は、コンテンツ再生は実行されない。
一方、認証成立と判定した場合は、ステップS153に進む。
【0076】
(ステップS153)
ステップS151の相互認証処理が成立し、双方の機器の正当性が確認されると、再生装置200は、ステップS153において、サーバ300から、以下のデータを受信する。すなわち、
*再生パス情報
*セグメントキーファイル
*プレイリストファイル
これらのデータをサーバ300から受信する。
なお、再生パス情報はプレイリストファイルに含む設定としてもよい。
【0077】
再生パス情報は、再生装置200が再生するコンテンツ103の再生セグメント列に対応する再生パス情報である。
セグメントキーファイルは、コンテンツ103のセグメント領域のデータを復号するために必要となるセグメントキーを格納したファイルである。
プレイリストファイルは、サーバ300が再生装置200に通知した再生パスに従ったコミンテンツ再生を実行するための再生制御情報である。
1つの再生パスに対して1つのプレイリストが対応づけられる。
【0078】
なお、前述したように、プレイリストファイルは、予め情報記録媒体に記録されたプレイリストを利用する構成としてもよい。この場合、サーバからプレイリストファイルを受信する処理は省略可能である。
【0079】
(ステップS154)
サーバ300から再生パスについての通知を受領し、さらに、セグメントキーファイルと、通知された再生パス対応のプレイリストファイルを受領した再生装置200は、ステップS154において、これらを利用して、情報記録媒体100に格納されたコンテンツ103の復号、再生処理を実行する。
【0080】
サーバ300から受信したプレイリストファイルに従って、サーバ300から通知された再生パスに従ったコンテンツ再生が実行される。
この再生パスに含まれるセグメント領域には、各々異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータが設定されている。
【0081】
再生装置200は、サーバ300から受信したセグメントキーファイルから、自装置のメモリに格納した鍵を適用して復号して得られるセグメントキーを利用して、各セグメント領域から選択される1つのバリエーションデータを復号して再生を実行する。
【0082】
なお、サーバ300から受信したプレイリストによって、1つの再生パスが自動的に選択され、各セグメント領域から1つのバリエーションデータが、順次、選択されるので、再生装置200は、選択されたバリエーションデータを、セグメントキーファイルから取得されるセグメントキーで復号して再生を行なう。
【0083】
なお、この復号処理によって得られるバリエーションデータには、どのバリエーションデータであるかの識別情報(フォレンジックマーク(Forensic Mark))が埋め込まれている。
【0084】
なお、前述したように再生パスに従った再生を行なうためのプレイリストファイルは、コンテンツ1103を格納した情報記録媒体100に予め記録しておく設定としてもよい。すなわち、複数の再生パスに対応するコンテンツ再生を実行するための複数のプレイリストファイルを情報記録媒体100に予め記憶しておく。再生装置200は、サーバ300から受信する再生パス情報に応じて、その再生パスを再生するためのプレイリストファイルを情報記録媒体100から選択して利用する。
このように、プレイリストファイルが情報記録媒体100に記録され、これを利用した再生を行なう場合は、再生パス情報をサーバ300から受信し、受信した再生パスに従った再生を行なうためのプレイリストファイルを情報記録媒体100から選択して再生処理を実行する。
【0085】
この場合、サーバ300から再生装置200に通知する再生パス情報は、その再生パスの再生に適用可能な1つのプレイリストファイルを指定するプレイリストファイル指定情報を含むものとする。
再生装置200は、サーバ300から受信するプレイリストファイル指定情報を含む再生パス指定情報に従って、情報記録媒体100に記録された多数のプレイリストから1つのプレイリストを選択し、選択したプレイリストに従ってコンテンツ再生を実行する。
【0086】
[3.サーバの指定する再生パスの設定例について]
図4、
図5を参照して説明したように、本開示の処理では、再生装置200の再生パスをサーバ300が決定して再生装置200に通知する。
再生装置200は、サーバ300から通知された再生パスに従ってコンテンツ再生処理を実行することになる。
【0087】
サーバ300の指定する再生パスの設定例と、サーバによる再生パス指定制御を実行することによる効果について、
図6以下を参照して説明する。
【0088】
サーバ300が再生装置200からのアクセスに応じて、再生パスを通知することのメリットは、サーバ300が、例えば、再生装置200の種類等を確認し、この確認した再生装置の種類等に応じて再生パスを決定できることにある。
再生装置200には、例えば、いわゆるCE(Consumer Electrnics)機器であるBDプレーヤ等のディスク再生専用機や、スマートホンやタブレット端末等が含まれる。
【0089】
これらの様々な機器において、スマートホンやタブレット端末は、ユーザが様々なアプリケーションプログラムをダウンロードして使用することが頻繁に行われる。
これらダウンロード可能なプログラムには不正なプログラムも多数、存在しており、これらの不正プログラムを利用してコンテンツのコピー処理が実行される可能性が高い。
一方、BDプレーヤ等のCE機器は、アプリケーションをダウンロードして利用する処理が行われる可能性は低く、不正プログラムによるコンテンツコピー処理が実行される可能性は低いと考えられる。
【0090】
サーバ300は、例えば上記の判断基準に従って、再生装置200を、以下の2つのグループに区分する。
(信頼度の高いグループ)不正コピーの出所となる可能性が低い信頼度の高い再生装置、
(信頼度の低いグループ)不正コピーの出所となる可能性が高い信頼度の低い再生装置、
【0091】
サーバ300は、
図4の処理シーケンス中の認証処理の段階で、再生装置200の種類を判別する。例えば再生装置200から受信する公開鍵証明書(Device Cert)に基づいて再生装置の種類等を判別することができる。
この機器種類判別により、再生装置200が、上記のグループ1,2のどちらのグループの機器であるかを判定する。
サーバ300は、この判定結果に応じて、以下の再生パス通知処理を行なう。
【0092】
信頼度の高いグループの再生装置については、予め規定した信頼度の高いグループ対応の再生パスを通知する。
一方、信頼度の低いグループの再生装置については、やはり予め規定した信頼度の低いグループ対応の再生パスを通知する。
例えば、信頼度が低いと判定されたグループの再生装置に対しては、予め選択した特定のバリエーションデータを含む再生パスを通知する。
なお、信頼度の高いグループ対応の再生パスと、信頼度の低いグループの再生パスは異なる再生パスである。
【0093】
具体的な再生パス設定例について、
図6を参照して説明する。
図6(1)は、情報記録媒体に格納されたコンテンツの構成例を示す図である。コンテンツは、複数のセグメント領域をし、各セグメントに、3つの異なるセグメントキーで復号することが可能な3つのバリエーションデータが設定されている。
各バリエーションデータは、復号結果からバリエーションデータ識別子を検出可能としたデータである。
【0094】
各セグメントには、3つのバリエーションデータ(Sk−1,Sk−2,Sk−3)が設定されている。kは1〜nのセグメントナンバーを示している。
これらの3つのセグメント中、
不正コピーの出所となる可能性が高い再生装置(=低信頼度の再生装置)に対しては、バリエーションデータ(Sk−1)または(Sk−2)からなる再生パスを通知する。
一方、不正コピーの出所となる可能性が低い再生装置(=高信頼度の再生装置)に対しては、バリエーションデータ(Sk−3)からなる再生パスを通知する。
【0095】
図6(2)に具体的な再生パス設定例を示す。
再生装置Aは、CE機器、すなわち、BDプレーヤ等のディスク再生専用機器であり不正コピーの出所となる可能性が低い「信頼度の高いグループ」の再生装置である。
サーバは、この信頼度の高いグループの再生装置Aに対しては、バリエーションデータ(Sk−3)を再生データとして設定した再生パスを通知する。
プレイリストを提供する場合は、このバリエーションデータ(Sk−3)を再生データとして設定した再生パスの再生に適用するプレイリストを提供する。
【0096】
再生装置Bは、スマートホンであり、不正コピーの出所となる可能性が高い「信頼度の低いグループ」の再生装置である。
サーバは、この信頼度の低いグループの再生装置Bに対しては、バリエーションデータ(Sk−1)を再生データとして設定した再生パスを通知する。
プレイリストを提供する場合は、このバリエーションデータ(Sk−1)を再生データとして設定した再生パスの再生に適用するプレイリストを提供する。
【0097】
再生装置Cは、タブレット端末であり、不正コピーの出所となる可能性が高い「信頼度の低いグループ」の再生装置である。
サーバは、この信頼度の低いグループの再生装置Cに対しては、バリエーションデータ(Sk−2)を再生データとして設定した再生パスを通知する。
プレイリストを提供する場合は、このバリエーションデータ(Sk−2)を再生データとして設定した再生パスの再生に適用するプレイリストを提供する。
【0098】
このように、
図4を参照して説明したシーケンスに従って、再生装置200からの要求に応じて再生装置に対して再生パスを通知する処理を行なうことで、サーバ300は、例えば再生装置200の種類に応じて自在に再生パスを設定することが可能となる。
【0099】
この結果、複数の再生装置の復号したコンテンツを混在させて生成した混合コンテンツが生成され、この混合コンテンツのコピーが不正に流通した場合であっても、その不正コピーコンテンツの出所を確実に特定することが可能となる。
この出所特定処理の例について、
図7を参照して説明する。
【0100】
例えば、
図7(a)に示すコンテンツが、ネットワークを介して流通している不正コピーコンテンツであるとする。この不正コピーコンテンツは、複数の再生装置において復号されたコンテンツを混在させて生成された混合コンテンツであるとする。
【0101】
コンテンツ管理を実行する、例えばサーバ300は、このコピーコンテンツ中に含まれるバリエーションデータを抽出して、バリエーションデータに含まれるバリエーションデータ識別子を解析する。
例えば、
図7(a)に示すコンテンツから、バリエーションデータS2−2からバリエーションデータ識別子(S2−2)を抽出する。
このバリエーションデータS2−2は、再生装置Bに対して通知した再生パスに含まれるバリエーションデータであり、サーバ300は、このコピーコンテンツの出所の少なくとも1つは、再生装置Bであると判断することができる。
【0102】
同様に、
図7(b)に示す不正コピーコンテンツも、複数の再生装置において復号されたコンテンツを混在させて生成された混合コンテンツである。
サーバ300は、このコピーコンテンツ中に含まれるバリエーションデータに含まれるバリエーションデータ識別子を解析する。図に示すように、バリエーションデータS3−3からバリエーションデータ識別子(S3−3)を抽出する。
このバリエーションデータS3−3は、再生装置Cに対して通知した再生パスに含まれるバリエーションデータであり、サーバ300は、このコピーコンテンツの出所の少なくとも1つは、再生装置Cであると判断することができる。
【0103】
このように、不正流通コンテンツが、複数の再生装置による復号、再生データの混合データであっても、その中に含まれる1つのバリエーションデータに基づいて、その混合コンテンツを構成するコンテンタの出所を間違いなく特定することが可能となる。
【0104】
また、
図4に示すシーケンスに従って、再生装置からのリクエストに応じてパス通知を行い、セグメントキーファイルやプレイリストファイルを再生装置に提供することによるメリットとして、設定可能なパスの種類および利用可能なプレイリストの数が制限されないというメリットがある。
【0105】
例えばBD−ROMのフォーマット規格に基づく制限として、BD―ROMに記録される1つのコンテンツに対応して設定可能なプレイリストファイル数は最大256個という制限がある。
しかし、
図4に示すシーケンスに従って実行するサーバ300から再生装置200に対する再生パス通知に併せて、その再生パスを再生するためのプレイリストファイルを提供する構成では、プレイリストファイルを情報記録媒体に格納する必要がない。従って、BD−ROMの規格によるプレイリストファイル最大数=256個の制限を超える多数の異なるプレイリストを利用可能であり、数100〜数1000以上の異なるプレイリストを各再生装置に提供することが可能となる。
【0106】
例えば、
図1を参照して説明したように、セグメント領域を15領域として、各セグメント領域に設定するバリエーションデータの種類を16データとした場合、理論上は、16
15の異なる再生パスが設定可能である。
しかし、情報記録媒体(BD−ROM)にプレイリストを記録する構成では、BD−ROMに記録可能なプレイリストの数が256個までであるため、実際には設定可能な再生パスの種類は、最大256に限定されてしまっていた。
【0107】
これに対して、
図4を参照して説明したシーケンスに従って、プレイリストをサーバから再生装置に提供する構成とすれば、BD−ROM規格の制限を受けないため、理論上可能な再生パスの数、例えば、16
15の異なる再生パスに応じたプレイリストを利用することが可能となる。
【0108】
この設定とすれば、例えば、再生装置の種類単位ではなく、再生装置1台単位で異なる再生パスとプレイリストを設定することも可能となる。
このような設定とすれば、不正コピーが流通した場合、その不正コピーコンテンツに含まれるバリエーションデータに基づいて、不正コピーコンテンツの出所を再生装置の種類単位のみならず、再生装置1台単位で追跡することも可能となる。
【0109】
なお、この処理を実行する場合、サーバは、各再生装置に再生パスの通知とプレイリスト提供を行う際、例えば、以下の対応データを管理データとして生成して保管する。
(a)再生装置固有の識別情報、
(b)再生パス情報(各セグメント領域の再生対象となるバリエーションデータの情報を含む)、
(c)プレイリストファイル識別情報、
不正流通コピーデータが発見された場合は、不正流通コピーデータに含まれるバリエーションデータに基づいて、そのバリエーションデータを含む再生パスを通知した再生装置を特定する。
【0110】
図6を参照して説明した例では、情報記録媒体格納コンテンツの各セグメント領域に設定するバリエーションデータの数は3としているが、このバリエーションデータ数は、任意の数に設定できる。
例えば
図8に示すように、各セグメント領域に設定するバリエーションデータをk+1個として、信頼度の低い再生装置に通知する再生パスに従って選択可能なセグメントをk個とするといった設定も可能である。
【0111】
なお、前述したように、プレイリストファイルをサーバから提供する構成とすることで、プレイリストファイル数の上限がなくなり、各セグメント領域に設定するバリエーションデータの数も、
図1を参照して説明した16以上の任意の数に設定することも可能である。
【0112】
図8に示す各セグメント領域の各バリエーションデータには、バリエーションデータ識別子が埋め込まれており、再生データ、例えば再生画像データからバリエーションデータ識別子を検出することができる。
具体例について、
図9を参照して説明する。
図9に示すように、例えば情報記録媒体100に格納されたコンテンツを構成する1つのセグメント領域[セグメント1]には、複数のバリエーションデータが設定されている。
【0113】
再生装置Xに対して通知された再生パスXは、セグメント1のバリエーションデータ[S1−1]を選択再生する再生パスであるとする。
再生装置Xによって復号された画像401からは、この画像がセグメント1のバリエーションデータ[S1−1]であることを示すバリエーションデータ識別子(Forensic mark)を検出することができる。
【0114】
また、再生装置Yに対して通知された再生パスYは、セグメント1のバリエーションデータ[Sk−1]を選択再生する再生パスであるとする。
再生装置Yによって復号された画像402からは、この画像がセグメント1のバリエーションデータ[Sk−1]であることを示すバリエーションデータ識別子(Forensic mark)を検出することができる。
【0115】
[4.不正流通コンテンツの出所追跡処理について]
次に、例えばサーバ等のコンテンツ管理装置が実行する不正流通コンテンツの出所追跡処理について、
図10以下を参照して説明する。
【0116】
図10は、先に
図4を参照して説明したシーケンスに従って、サーバから再生装置に再生パスの通知を実行する際に、サーバが生成する管理データの例を示す図である。
先に
図4を参照して説明したように、サーバは、再生装置からの要求に応じて再生装置の保持する情報記録媒体に格納されたセグメント領域を有するコンテンツの再生パスを通知し、併せて、通知した再生パスに属するバリエーションデータの復号に適用するセグメントキー、さらに再生パスの再生処理に適用するプレイリストファイルを再生装置に提供する。
【0117】
サーバは、再生装置にこれらのデータの提供を行った場合、例えば、
図10に示す管理データを生成してサーバ内の記憶部に格納する。
図10に示す管理データは、
(1)再生装置識別子
(2)信頼度
(3)通知した再生パス識別子
(4)通知した再生パスに含まれるバリエーションデータ
(5)通知した再生パスに従った再生を実行するために適用するプレイリスト識別子
これら(1)〜(5)の対応データである。
【0118】
サーバは、例えばネットワーク上、あるいは海賊版ディスク等から不正にコピーされた復号コンテンツが発見された場合、この管理データを用いて、発見された不正コピーコンテンツの出所を解析する。
【0119】
出所解析処理の処理シーケンスについて、
図11に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、
図11に示すフローに従った処理は、例えば、サーバの記憶部に格納されたプログラムに従って、プログラム実行機能を有するCPU等を備えたサーバのデータ処理部において実行される。
各ステップの処理について、順次、説明する。
【0120】
(S201)
サーバは、まず、ステップS201において、不正流通コンテンツからバリエーションデータを抽出する。
【0121】
(ステップS202)
次に、サーバは、ステップS202において、抽出したバリエーションデータからバリエーションデータ識別子を抽出する。
先に
図9等を参照して説明したように、各バリエーションデータには、どのバリエーションデータであるかを判別可能としたバリエーションデータ識別子が埋め込まれている。例えば電子透かし(Water mark)データとして埋め込まれており、この埋め込みデータの抽出を実行する。
【0122】
(ステップS203)
次に、サーバはステップS203において、抽出したバリエーションデータ識別子に対応するバリエーションデータを再生データとして設定した再生パスを通知した再生装置を特定する。
これは、先に
図10を参照して説明した管理データを参照して実行する。
管理データには、各再生装置に通知した再生パスと、その再生パスに含まれる再生データであるバリエーションデータが対応付けられて記録されている。
サーバはこの対応データに基づいて、ステップS202で抽出したバリエーションデータ識別子をもつバリエーションデータを含む再生パスを通知した再生装置を特定する。
【0123】
(ステップS204)
次に、サーバは、ステップS204において、ステップS203で特定した再生装置を不正流通コンテンツの出所と判定する。
【0124】
このように、本開示の処理では、不正流通コンテンツを構成するバリエーションデータから、その不正流通コンテンツの出所を確実に解析することが可能となる。
なお、不正流通コンテンツに1つの再生パス対応のバリエーションデータと異なるバリエーションデータが検出された場合は、各バリエーションデータについて、それぞれ、
図11に示すフローに従った出所判定処理を実行する。
この処理によって、複数の再生装置の復号コンテンツの混合コンテンツが流通した場合であっても、この混合コンテンツの作成に利用された元の複数の復号コンテンツを生成した複数の再生装置を確実に特定するこてが可能となる。
【0125】
なお、上述した実施例では、バリエーションデータに埋め込むバリエーションデータ識別子(Forensic Mark)に基づいて、再生装置を特定する例を説明したが、これは、
図10に示す管理データの設定に基づくものである。
すなわち、各再生装置の識別子と、各再生パスに含まれるバリエーションデータ対応付けた管理データに基づくものである。
【0126】
従って、各再生パスに含まれるバリエーションデータに対応付けて管理するデータとして、再生装置識別子以外のデータ、例えば、ユーザIDやディスク識別子を登録すれば、不正コピーコンテンツから検出されるバリエーションデータ識別子に基づいて、不正コピーの元となるコンテンツの再生装置を管理するユーザの特定や、元コンテンツを記録したディスクの特定も可能となる。
【0127】
バリエーションデータ識別子に対応付けるデータとして管理データに登録可能なデータの例を
図12に示す。
バリエーションデータ識別子に対応して管理するデータとしては、例えば、
図12に示すように、以下の各データがある。
(1)再生装置メーカー識別子
(2)再生装置モデル識別子
(3)再生装置固有識別子
(4)再生プログラム識別子
(5)ユーザID
(6)ディスクシリアルナンバー(情報記録媒体識別子)
例えばこれらのデータをバリエーションデータ識別子に対応付けて管理データとして登録することが可能である。
【0128】
(4)再生プログラム識別子は、コンテンツ再生を実行する再生アプリケーションやファームウェアの識別子、バージョン番号等である。
(5)ユーザIDは、再生装置を保有するユーザのIDである。(6)ディスクシリアルナンバーは、コンテンツを格納した情報記録媒体の識別子である。
【0129】
前述したように、本開示の構成では、各セグメント領域に設定するバリエーションデータの数の上限が設定されない。
上記の(3),(5),(6)等の数は、相当大きな数となるが、例えばコンテンツの1つのセグメント領域に、これら(3),(5),(6)の各識別子に対応する多数の異なるバリエーションデータを設定することが可能である。
【0130】
なお、例えば、(5)のユーザIDをバリエーションデータ識別子に対応付けて管理する場合、
図4に示すシーケンスに従った再生パス通知処理を実行する際に、サーバは、再生装置に対してユーザ情報を要求する。サーバは、再生装置から受信したユーザ情報(ユーザID)と、再生パスに含まれるバリエーションデータを対応付けて管理データとして登録する。
【0131】
この処理によって、その後、不正流通コンテンツが発見された場合、管理装置(サーバ)は、その不正流通コンテンツを構成するバリエーションデータから抽出したバリエーションデータ識別子に基づいて管理データの検索を行う。
管理装置(サーバ)は、抽出したバリエーションデータ識別子に対応するバリエーションデータを含むエントリに登録されたユーザIDを持つユーザを不正流通コンテンツの出所であると判定することができる。
【0132】
その他のデータも同様であり、サーバのデータ処理部は、管理データとして、再生装置に通知した再生パスに含まれるバリエーションデータの情報を含む管理データを生成する際、再生パス情報に対して、例えば、
図12に示すように再生装置識別子、またはユーザ識別子、または情報記録媒体識別子の少なくともいずれかの識別子を対応付けた管理データを生成する。
【0133】
サーバのデータ処理部は、不正流通コンテンツの出所追跡を実行する際、まず、不正流通コンテンツに含まれるバリエーションデータからバリエーションデータ識別子を抽出する。さらに、抽出したバリエーションデータ識別子に対応するバリエーションデータを含む再生パスの通知先として管理データ登録された再生装置識別子、またはユーザ識別子、または情報記録媒体識別子に基づいて不正流通コンテンツの出所追跡処理を実行する。
【0134】
さらに、サーバは、再生装置各々に対して通知する再生パスの設定を再生装置のある地域や国等に応じて決定する構成とすることも可能である。
例えば
図13に示すような設定である。
図13に示すように、以下のように、再生装置のある地域や国に応じて再生パスを割り当て、その再生パスに応じたプレイリストファイルを提供する。
(1)日本:再生パス000〜055、プレイリストファイル000〜055
(2)北米:再生パス100〜145、プレイリストファイル100〜145
(3)南米:再生パス200〜222、プレイリストファイル200〜222
(4)ヨーロッパ:再生パス300〜321、プレイリストファイル300〜321
(5)中国:再生パス400〜444、プレイリストファイル400〜444
(6)東南アジア:再生パス500〜521、プレイリストファイル500〜521
【0135】
サーバは、例えば、上記の設定に従って、再生装置のある地域等に応じて再生パスを通知し、その再生パスに対応したプレイリストファイルを提供する。
なお、再生装置の地域情報は、先に
図4を参照して説明したシーケンスの実行時に、再生装置から、地域情報を受信する設定としてもよいし、再生装置との通信時に再生装置に設定されたIPアドレスを解析して、再生装置の存在する地域をサーバが特定する構成としてもよい。
【0136】
サーバは、各再生装置に通知した再生パス情報に対応付けて生成する管理データ(
図10)に、再生装置の地域情報を対応付けて管理、保持する。
このように再生装置の位置を管理データに設定することで、例えば、不正流通コンテンツから抽出したバリエーションデータに基づいて、不正コピーの行われた地域を特定することが可能となる。
【0137】
[5.情報処理装置のハードウェア構成例について]
次に、上述した実施例において説明した再生装置やサーバ、管理装置として適用可能な情報処理装置のハードウェア構成例について、
図14を参照して説明する。
【0138】
CPU(Central Processing Unit)501は、ROM(Read Only Memory)502、または記憶部508に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行するデータ処理部として機能する。例えば、上述した実施例において説明したシーケンスに従った処理を実行する。RAM(Random Access Memory)503には、CPU501が実行するプログラムやデータなどが記憶される。これらのCPU501、ROM502、およびRAM503は、バス504により相互に接続されている。
【0139】
CPU501はバス504を介して入出力インタフェース505に接続され、入出力インタフェース505には、各種スイッチ、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部506、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507が接続されている。CPU501は、入力部506から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば出力部507に出力する。
【0140】
入出力インタフェース505に接続されている記憶部508は、例えばハードディスク等からなり、CPU501が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部509は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介したデータ通信の送受信部、さらに放送波の送受信部として機能し、外部の装置と通信する。
【0141】
入出力インタフェース505に接続されているドライブ510は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはメモリカード等の半導体メモリなどのリムーバブルメディア511を駆動し、データの記録あるいは読み取りを実行する。
【0142】
なお、データの符号化あるいは復号は、データ処理部としてのCPU501の処理として実行可能であるが、符号化処理あるいは復号処理を実行するための専用ハードウェアとしてのコーデックを備えた構成としてもよい。
【0143】
[6.本開示の構成のまとめ]
以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0144】
なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
(1) コンテンツ再生処理を実行するデータ処理部と、
サーバとの通信を実行する通信部を有し、
前記コンテンツは、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなるセグメント領域を有し、再生対象として選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツであり、
各バリエーションデータは、復号データからバリエーションデータ識別子を解析可能なデータであり、
前記データ処理部は、
前記通信部を介して前記サーバから再生の許容される再生パス情報を受信し、
前記サーバから受信した再生パス情報に従って、セグメント領域からバリエーションデータを選択してコンテンツ再生を実行する情報処理装置。
【0145】
(2)前記コンテンツは、情報記録媒体に格納されたコンテンツであり、
前記通信部は、
前記コンテンツのコンテンツ識別子、または前記情報記録媒体の識別子を前記サーバに送信し、
前記サーバから、前記コンテンツに対応して許容される再生パス情報を受信する前記(1)に記載の情報処理装置。
【0146】
(3)前記データ処理部は、
前記サーバから受信するセグメントキーファイルからセグメントキーを取得し、取得したセグメントキーを適用して前記バリエーションデータを復号する前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
【0147】
(4)前記データ処理部は、
前記サーバから受信するセグメントキーファイルから、暗号化セグメントキーを取得し、取得した暗号化セグメントキーの復号処理を実行して取得したセグメントキーを適用して前記バリエーションデータを復号する前記(1)〜(3)いずれかに記載の情報処理装置。
【0148】
(5)前記通信部は、
前記サーバから受信する再生パス情報に従った再生処理を実行するための再生制御情報ファイルであるプレイリストを前記サーバから受信し、
前記データ処理部は、
前記サーバから受信したプレイリストを適用して前記再生パス情報に従ったコンテンツ再生を実行する前記(1)〜(4)いずれかに記載の情報処理装置。
【0149】
(6)コンテンツ再生を実行する再生装置との通信を実行する通信部と、
前記再生装置に対する送信データの生成または取得処理を実行するデータ処理部を有し、
前記再生装置の再生するコンテンツは、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなるセグメント領域を有し、再生対象として選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツであり、
各バリエーションデータは、復号データからバリエーションデータ識別子を解析可能なデータであり、
前記データ処理部は、
前記通信部を介して前記再生装置に対して再生を許容する再生パス情報を通知し、
通知した再生パス情報と、通知先の再生装置の識別情報を対応付けた管理データを生成する情報処理装置。
【0150】
(7)前記管理データは、前記再生装置に通知した再生パスに含まれるバリエーションデータの情報を含む前記(6)に記載の情報処理装置。
【0151】
(8)前記データ処理部は、
再生装置に通知する再生パスを再生装置の種類に応じて変更する前記(6)または(7)に記載の情報処理装置。
【0152】
(9)前記データ処理部は、
再生装置に通知する再生パスを再生装置の信頼度に応じて変更する前記(6)〜(8)いずれかに記載の情報処理装置。
【0153】
(10)前記データ処理部は、
信頼度が低いと判定された再生装置に対して、予め選択した特定のバリエーションデータを含む再生パス情報を通知する前記(6)〜(9)いずれかに記載の情報処理装置。
【0154】
(11)前記データ処理部は、
再生装置に通知する再生パスを再生装置の存在位置に応じて変更する前記(6)〜(10)いずれかに記載の情報処理装置。
【0155】
(12)前記データ処理部は、
不正流通コンテンツに含まれるバリエーションデータからバリエーションデータ識別子を抽出し、
前記管理データに基づいて、抽出したバリエーションデータ識別子に対応するバリエーションデータを含む再生パスを通知した再生装置を不正流通コンテンツの出所であると判定する出所追跡処理を実行する前記(6)〜(11)いずれかに記載の情報処理装置。
【0156】
(13)前記データ処理部は、
前記管理データとして、前記再生装置に通知した再生パスに含まれるバリエーションデータの情報を含む管理データを生成し、
前記再生パス情報に対して、再生装置識別子、またはユーザ識別子、または情報記録媒体識別子の少なくともいずれかの識別子を対応付けた管理データを生成する前記(6)〜(12)いずれかに記載の情報処理装置。
【0157】
(14)前記データ処理部は、
不正流通コンテンツに含まれるバリエーションデータからバリエーションデータ識別子を抽出し、
抽出したバリエーションデータ識別子に対応するバリエーションデータを含む再生パスの通知先として管理データ登録された再生装置識別子、またはユーザ識別子、または情報記録媒体識別子に基づいて不正流通コンテンツの出所追跡処理を実行する前記(13)に記載の情報処理装置。
【0158】
(15)情報処理装置において実行する情報処理方法であり、
前記情報処理装置は、
コンテンツ再生処理を実行するデータ処理部と、
サーバとの通信を実行する通信部を有し、
前記コンテンツは、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなるセグメント領域を有し、再生対象として選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツであり、
各バリエーションデータは、復号データからバリエーションデータ識別子を解析可能なデータであり、
前記データ処理部が、
前記通信部を介して前記サーバから再生の許容される再生パス情報を受信し、
前記サーバから受信した再生パス情報に従って、セグメント領域からバリエーションデータを選択してコンテンツ再生を実行する情報処理方法。
【0159】
(16)情報処理装置において実行する情報処理方法であり、
前記情報処理装置は、
コンテンツ再生を実行する再生装置との通信を実行する通信部と、
前記再生装置に対する送信データの生成または取得処理を実行するデータ処理部を有し、
前記再生装置の再生するコンテンツは、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなるセグメント領域を有し、再生対象として選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツであり、
各バリエーションデータは、復号データからバリエーションデータ識別子を解析可能なデータであり、
前記データ処理部が、
前記通信部を介して前記再生装置に対して再生を許容する再生パス情報を通知し、
通知した再生パス情報と、通知先の再生装置の識別情報を対応付けた管理データを生成する情報処理方法。
【0160】
(17)情報処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
前記情報処理装置は、
コンテンツ再生処理を実行するデータ処理部と、
サーバとの通信を実行する通信部を有し、
前記コンテンツは、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなるセグメント領域を有し、再生対象として選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツであり、
各バリエーションデータは、復号データからバリエーションデータ識別子を解析可能なデータであり、
前記プログラムは、前記データ処理部に、
前記通信部を介して前記サーバから再生の許容される再生パス情報を受信する処理と、
前記サーバから受信した再生パス情報に従って、セグメント領域からバリエーションデータを選択してコンテンツ再生を行なう処理を実行させるプログラム。
【0161】
(18)情報処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
前記情報処理装置は、
コンテンツ再生を実行する再生装置との通信を実行する通信部と、
前記再生装置に対する送信データの生成または取得処理を実行するデータ処理部を有し、
前記再生装置の再生するコンテンツは、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなるセグメント領域を有し、再生対象として選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツであり、
各バリエーションデータは、復号データからバリエーションデータ識別子を解析可能なデータであり、
前記プログラムは、前記データ処理部に、
前記通信部を介して前記再生装置に対して再生を許容する再生パス情報を通知する処理と、
通知した再生パス情報と、通知先の再生装置の識別情報を対応付けた管理データを生成する処理を実行させるプログラム。
【0162】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0163】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。