(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。本発明は、複数のシートを綴じ合わせる綴じユニット(シート綴じ装置)Cとこれを用いた後処理装置B並びに画像形成システムAに関する。綴じユニットC、後処理装置B、画像形成システムAの順に説明する。
【0012】
[綴じユニット]
図1〜
図5に従って本発明に係わる綴じユニット(シート綴じ装置)Cについて説明する。綴じユニットCは束状に集積された複数のシートSを互いに噛み合うように加圧変形させて綴じ合わせる。このため綴じユニットCは、複数のシートSをクランプして変形させるクランプ機構で構成される。
【0013】
束状のシートSを表裏方向から挟圧する一対の加圧面31、41と、この加圧面を備えた一対の加圧部材30、40と、加圧部材の一方の加圧面をシートから離れた待機位置Wp(非加圧位置;以下同様)からシートを加圧する加圧位置Apに移動させる駆動機構(駆動手段)PMで構成される。
図1のクランプ機構は固定側の加圧面31を有する固定側加圧部材30と、可動側の加圧面41を有する可動側加圧部材40と、この可動側加圧面をシートSから離れた待機位置Wp(
図2(a))からシートSを加圧する加圧位置Ap(
図2(b))に移動する駆動機構PMで構成される。
【0014】
固定側加圧部材30(以下「固定部材」と云う)と可動側加圧部材40(以下「可動部材」と云う)とは、固定部材30の加圧面31(以下「固定面」と云う)の上に支持したシート束Sを可動部材40の加圧面41(以下「可動面」と云う)でクランプするように構成されている。このため可動部材40は支軸42を中心に揺動可能に軸支され、支軸42は固定部材30に固定されている。この支軸42は固定部材30に限らずユニットフレーム46など他の部材に固定しても良い。
【0015】
また固定部材30はユニットフレーム46に一体的に固定されている。そして固定面31と可動面41とは、支軸42を中心に可動部材40が揺動運動する動作で、シート束Sをクランプする加圧状態(加圧位置Ap;
図2(b)参照)と、シート束Sから離れた(離間した)非加圧状態(待機位置Wp;
図2(a)参照)の間で位置移動する。
【0016】
図1に示す装置は、固定部材30が断面コ字状(チャンネル形状)の枠部材(金属、強化樹脂など)で形成され、その側壁30a、30bの間に可動部材40が支軸42で揺動可能に支持されている。このように可動部材40は固定部材30の側壁30a、30bに案内され支軸42を中心に揺動運動する。そして可動部材40には待機位置側に付勢する復帰スプリング43が配置されている。この復帰スプリング43はユニットフレーム46(または固定部材30)との間に配置する。
【0017】
上記固定面31と可動面41とは、少なくとも一方は凹凸面(突起条溝)で構成され加圧したシートSを変形させる(
図2(a’)参照)。図示のものは固定面31と可動面41それぞれが凹凸面で形成され、その形状は凸部と凹部が互いに噛合するようにしてある。各凹凸面の形状は、加圧したときにシートSに損傷を与えない形状(特にエッジ形状)に配慮し、同時に重なり合うシート同士が噛み合うように変形する最適の形状に構成する。そしてこの凹凸面で挟圧されたシートSにはギャザ状(波形状)の変形が残り、重なり合うシート同士が結束される。
【0018】
上述の可動部材40の駆動機構について説明する。固定部材30に揺動可能に支持された可動部材40は、支軸42を境に先端部に可動面41が、基端部にカムフォロア44(以下「フォロアコロ」と云う)から構成されている。先端部の可動面41とフォロアコロ44とは、支軸42を介して梃子の作用(倍力機構)が働くレバー長さに形成してある。
【0019】
また、固定部材30の基端部にはカム部材33(図示のものは円筒カム)が配置されている。カム部材33はカム軸32に支持され、カム軸32は固定部材30に回転可能に軸支されていると共に、カム部材33とフォロアコロ44とは互いに係合する位置関係で配置されている。また、カム軸32には伝動手段35を介して駆動モータDCの回転が伝達され、駆動モータの正逆転でカム部材33が正逆転するように連結されている。
【0020】
図1に示すように駆動モータDCは、ユニットフレーム46にマウントされ、その駆動軸36の回転は、伝動手段35を構成する伝動歯車G2、G3、G4、G5でカム軸32に回転を伝達する。カム軸32に連結された歯車G1でカム部材33は
図1反時計方向に回転する。図示のものは駆動モータDCの正逆転でカム部材33は所定角度範囲で反時計方向回転(CCW)と時計方向回転(CW)を繰り返すように構成されている。そしてカム部材33のカム面33aは、支軸42を中心にフォロアコロ44及び、これと一体の可動部材40を揺動運動させる。
【0021】
図1の駆動機構では駆動モータDCを反時計方向に回転すると、可動部材40は支軸42を中心に反時計方向に揺動し、可動面41は待機位置Wpから加圧位置Apに移動する(
図1図示状態)。また、カム面33aには非係合部Cps(
図2(a)に示す)が形成してあり、この位置で可動部材40はカム面33aの作用を受けることなく復帰スプリング43の作用で待機位置Wpに付勢される。
【0022】
そこで駆動モータDCを時計方向に回転してカム面33aの非係合部cpsとフォロアコロ44が係合する位置で停止する。すると復帰スプリング43のバネ力で可動面41は加圧位置Apから待機位置Wpに移動し、その位置で停止する。
【0023】
カム面33aは
図2(a)に示す「Cps(CamPressStart)」位置では、フォロアコロ44に揺動する力を作用することなく可動面41を待機位置Wpに保持する。また
図2(b)に示す「Cpm」位置では、フォロアコロ44に可動部材40が反時計方向に揺動するような作用力を付与する。このCpm(CamPressMiddle)位置近辺(シート束の厚さによって異なる)で可動面41がシートSの加圧を開始する。そして
図2(c)に示す「Cpe(CamPressEnd)」では、その位置はシート束の束厚さによって異なるが最大加圧力をシートSに作用し、加圧動作を終了する。その後はカム部材33の時計方向回転によって「Cpe」「Cpm」「Cps」の順に復帰動作する。
【0024】
フォロアコロ44と係合するカム面位置が、「Cps」の状態では可動面41は
図2(a’)に示すように固定面31から距離を隔てて離れた待機位置に位置し、「Cpm」の状態では可動面41は
図2(b’)に示すようにシートSの加圧を開始する加圧開始位置に位置し、「Cpe」の状態では可動面41は
図2(c’)に示すようにシート束Sを変形させて加圧を終了する加圧終了位置に位置する。
【0025】
そしてカム面33aは、可動面41がシート束Sを加圧する初期位置(Cpm)から加圧終了位置(Cpe)の間で徐々に加圧力が増大する「ら線(helicoil)」形状に形成されている。これは固定面31と可動面41との間でシート束Sの厚さが異なっても、ほぼ同じ加圧力を作用させるためである。
【0026】
つまり、シート束Sの束厚さが薄いときにはカムの回転角度を大きく、束厚さが厚いときには回転角度を小さくすることによってシートSに付与する加圧力をほぼ均一にする。その角度制御は、例えば駆動モータDCを定トルク制御(定電流制御)すると良い。なお、本発明にあってカム部材33は、図示の円筒カムに限らず、板カムであっても良く、また、カム機構に換えて加圧バネなどの調力機構を用いても良い。
【0027】
図3、
図4に従って上記駆動機構PMの制御について説明する。
図3は可動面41の移動ストロークの説明図であり、(a)は可動面41が待機位置Wpから第1設定速度v1で移動する状態を、(b)は可動面41が第1設定速度v1から第2設定速度v2に減速された状態を、(c)は可動面41が第2設定速度v2でシートSと係合する状態を、(d)は可動面41がシートを加圧する初期状態を、(e)は可動面41がシートSを所定圧力(所定の負荷トルク)で加圧する状態を示す。
【0028】
この
図3に示すように可動面41は待機位置Wpに静止している状態から第1設定速度v1に達するまで加速し(
図3(a))、次いで予め設定された第2設定速度v2に減速する(
図3(b))。そして可動面41は減速された第2設定速度v2でシートSと係合する(
図3(c))。この第2設定速度v2は可動面41がシートSに付与する撃力に影響する。速度が速いときには撃力は大きく、速度が低いときには撃力は小さく作用する。
【0029】
そこで、第1設定速度v1は綴じ処理動作を迅速に実行するように比較的高速度に設定する。この第1設定速度v1で可動面41がシートSに係合すると大きな撃力でシートを変形させる。そしてこの撃力によるシート変形でバラツキが生ずる。
【0030】
つまり、あるシート束では可動面41と係合する上層部のシート数枚が変形し、あるシート束では可動面41と係合するシート1枚のみが変形するようにバラツキが生ずる。このため、その後の可動面41の加圧作用にバラツキが発生する。上記第2設定速度v2(v1>v2;速度v1は速度v2より十分小さい速度値)はこの可動面41の加圧作用にバラツキを生じさせない速度に設定してある。
【0031】
「可動加圧面のストローク」
図3(a)(b)に示すように可動面41は待機位置WpからシートSと係合する加圧位置Apに移動する。その最大ストロークdsは待機位置Wpに位置する可動面41と固定面31との間隔に設定されている。また、可動面41が第1設定速度v1から第2設定速度v2に減速するタイミングは予め設定(設計値)しておく。
【0032】
そのタイミングは、シート束の最大束厚さ位置(
図3(a);dy)に可動面41が到達するとき、速度v1から速度v2に減速されるように設定する。そしてこのタイミングは例えば、エンコーダEnからのエンコードパルスカウントによって減速動作を実行する。なお、
図3(a)においてdxは(ds−dy)で、可動面41が許容最大束厚さ位置に移動する移動量を示し、dδは綴じ処理可能な許容最小束厚さ位置を示している。
【0033】
次に可動面41は、
図3(d)の状態にシート束Sを徐々に加圧して変形させる。この変形は後述する駆動モータDCの定トルク制御によって実行される。後述するように駆動モータDCには予め設定した電流値(ピーク電流)が印加される。この駆動モータDCに所定の電流値が印加され続けると可動面41は
図3(e)のようにシートSを所定の形状に変形させて停止する。そして可動面41はシート束Sに所定の加圧力を付与した状態を維持する(加圧ホールド状態)。そして後述する制御手段50は可動面41が設定された加圧時間シート束Sを加圧すると、その設定時間Tの経過後に可動面41を加圧位置Apから待機位置Wpに移動する。
【0034】
図4は駆動モータDCの制御の説明図であり、(a)は可動面41の速度線図を、(b)は駆動モータDCの速度制御の概念図、(c)は駆動モータのトルク制御の概念図を示す。同図(a)において可動面41は待機位置Wpで加圧動作(綴じ処理動作)を開始(同
図Ta)し、可動面41を第1設定速度v1に立ち上げる(同
図Tb)。次いで予め設定された動作時間(Time1)に達すると可動面41の速度を第2設定速度v2に減速を開始する(同
図Tc)。可動面41の速度が第2設定速度v2に達すると(同
図Td)その速度を維持して可動面をシートSと係合させる。そして制御手段50から指定された時間、可動面41はシートSを加圧した状態を維持する(同
図Te)。
【0035】
そののち制御手段50は、後述する加圧時間が経過した後に駆動モータDCを逆転させる。すると可動面41は、先と反対方向(固定面から離間する方向)に移動を開始(同
図Tf)し、所定速度に到達したのち減速して待機位置Wpに停止する(同
図Tg)。
【0036】
次に制御手段50による駆動モータDCの制御について
図4(b)速度制御、
図4(c)トルク制御に従って説明する。駆動モータDCは直流モータで構成してある。後述する制御手段50はこの直流モータを、可動面41が待機位置WpからシートSと係合する位置に移動する間は第1制御モードMo1で可動面41の速度をコントロールし、可動面がシートSと係合したのちには、第2制御モードMo2で可動面41に伝達するトルクをコントロールする。
【0037】
[第1制御モード]の概念を説明すると、
図4(b)に示すように後述する制御手段50は予め設定され、記憶手段(RAM)54に記憶されている第1設定速度v1と第2設定速度v2を呼び出す。そして固定面31にシート束Sがセットされた信号を基準に駆動モータDCを起動し、第1設定速度v1に到達させる。これは駆動軸36の回転数を検出するエンコーダEn(回転量検出手段;以下同様)の検出値(単位時間当たりの変位量)と、速度基準値を比較し駆動モータDCに供給する電圧を制御する。この電圧制御として図示のものはPWM制御を示している。
【0038】
そして駆動モータDCに供給する電圧のデューティ比をエンコーダEnからの信号で異ならせて速度を制御する。これと異なる方法としてPWM制御することなく、モータに所定の電圧(速度v1、v2に相当する電圧)を印加する回路構成を採用することも可能である。この場合にはモータの電圧(電位差)を検出して基準値と比較する。以上説明した第1制御モードMo1の実行で「加圧面(可動面41)を設定速度(前記第2設定速度)v2でシートと係合させる第1の制御」を実行することとなる。
【0039】
[第2制御モード]の概念を説明すると、
図4(c)に示すように制御手段50は、予め設定され記憶手段(RAM)54に記憶されている加圧力Fp(負荷トルク)と加圧時間Tpを呼び出す。そしてシート束Sの情報から可動面41の加圧力Fpと加圧時間Tpを設定する。図示の装置は加圧力Fpを予め定めた設計値とし、加圧時間Tpは後述するパラメータで変更する場合と、この加圧力をシート束の束厚さ及び/又はシート材質に応じて大きい加圧力と小さい加圧力の複数段階に設定する場合と、オペレータが仕上品位から設定する場合がある。
【0040】
例えばシート束Sは所定厚さ以上のときには高い加圧力Fp1に設定し、所定厚さ以下のときには低い加圧力Fp2に設定する。またシート材質が腰の強い素材のときには高い加圧力p1に設定し、腰の弱い素材のときには低い加圧力Fp2に設定する。またオペレータがシート綴じ処理の仕上げ品位から強い綴じ合わせにするときには高い加圧力Fp1に設定し、剥がし易い綴じ合わせにするときには低い加圧力Fp2に設定する。
【0041】
そして制御手段50は、設定加圧力Fpに相当する基準電流値と駆動モータDCの逆起電力を検出する電流検出手段(回路)52からの検出値を比較してモータに設定電流値が供給されるように制御する。上記第2制御モードMo2の初期動作で「加圧面41がシートを設定したトルクで加圧させる第2の制御」が実行される。
【0042】
[加圧時間]
上記制御手段50は、綴じ処理するシート束Sの状態に応じて加圧時間Tpを設定する。これは複数のシートを加圧変形させて互いに噛み合うように綴じ合わせるとき、シートを塑性変形させるためには加圧するとき間が必要となる。加圧時間Tpを長く設定するとシート相互は確実に噛み合うように変形しその噛合状態が維持されるが、加圧時間Tpが短いとシートは噛み合うまでに変形しないか、或いは元の形状に復元してしまう。
【0043】
図示の装置は、綴じ処理するシートの(1)束厚さ、(2)シート枚数、(3)シート材質のいずれか少なくとも1つの条件で加圧時間を設定する。これはシート束が厚いときには(変形するシートの体積量の影響で)その厚さに比例してシートの変形量が少なくなり、シート枚数が多いときには(シート葉間の空気層の影響で)その枚数に比例してシートの変形量が少なくなる。またシート材質が腰の強いシートのときには弱いシートより変形量が少なくなる。そこで変形しづらい条件のときには加圧時間Tpを長く設定する。上記第2制御モードMo2の終期動作で「加圧面41がシートを所定の設定トルクで加圧し続ける第3の制御」が実行される。
【0044】
[制御構成]
図5に従って制御構成を説明する。同図(a)は制御構成を示すブロック図であり、制御手段(CPU)50は、駆動モータDMのモータドライバ51を制御する。その制御は前述の第1制御モードMo1を実行するためのモータの駆動軸36に配置されたエンコーダEnの検出値(エンコードセンサの出力値)を制御CPU50に伝送する。また、前述の第2制御モードMo2を実行するため、駆動モータDCの電流値を検出する電流検出回路52を備える。また制御CPU50には、ROM53とRAM54が備えられ、RAM54には下記のデータテーブルが記憶されている。
【0045】
図5(b)は、制御手段(CPU)50のRAM54に記憶されたデータテーブルの一例を示す。このメモリエリアには、シート束厚さ(X)、シート枚数(Y)、シート材質(Z)を段階的(セグメントA、セグメントB)に区分し、各条件でシート束を確実に綴じ合わせることができる加圧時間Tpを実験値から設定してある。
【0046】
そして加圧時間Tpをシート束厚さ、及び/又はシート枚数、及び/又はシート材質に応じて実際の実験位置から設定し、記憶手段(RAMなど)に記憶し、綴じ合わせるシートに応じて加圧時間を設定する。この場合、複数のパラメータのときにはワーストケース(複数の設定条件のうち、長い方の加圧時間で設定)で加圧時間を設定する。
【0047】
例えば、「シート束の束厚さ」で加圧時間Tpを設定するときには、(1)シート束の束厚さを検出する検出手段(センサ手段)を可動面41(可動面)の移動エリアに配置するか、(2)前記電流検出手段52からの出力値でシート束厚さを判別する。この方法は可動面41が待機位置WpからシートSと係合する電流検出位置までの移動量から、可動面41と固定面31との間隔を算出する。(3)また、シート束の枚数をカウントする手段を備えているときには、シート束の枚数から(枚数×単シート厚さ)で演算によって算出する。
【0048】
また、「シート束の枚数」で加圧時間Tpを設定するときには(1)シート束を集積する集積部でシートをカウントするか、(2)シートを繰り出す上流側の装置(例えば画像形成装置)などでオペレータが設定したシート枚数情報を取得する。また「シートの材質」で加圧時間を設定するときには(1)オペレータがシート材質を入力するか、(2)シート材質を予め、普通紙、コーティング紙、和紙など予め材質種別を設定しオペレータが使用するシートを指定するように構成する。
【0049】
[綴じ処理動作フロー]
図6に従って綴じ処理動作の手順を説明する。制御手段50は、綴じ位置にシート束Sが準備された状態を、例えばシート有無センサで検出し、綴じユニットCに処理信号を発信する。この信号を受信すると制御手段50は駆動モータDCを起動する(St01)。この駆動モータDCの起動制御は前述の第1制御モードMo1で実行する。直流モータDCに予め設定された第1設定速度v1に相当する電圧を印加する。次に制御手段50はエンコーダEnからのエンコード信号をカウントし(St02)、予め決められたカウント数に達したとき、駆動モータDCの供給電圧を低下させて減速させる(St03)。そして駆動モータDCが所定の第2設定速度v2に到達した状態でその回転を維持させる(St04)。
【0050】
次に制御手段50は可動面41がシート束Sと係合する位置に移動して加圧を開始したか否かを判断する。この判別は電流検出手段(回路)52からの検出値で判別する場合には検出値が上昇した変位点で判断する(St05)。
【0051】
可動面41がシート束Sと係合したのちには、制御手段50は駆動モータDCの電流値を制御する第2制御モードMo2(トルク制御)に移行する。すると駆動モータDCは駆動軸36に作用する負荷トルクが所定値に達するまで回転し、所定値に達した後はその位置に保持する(St06)。
【0052】
次に制御手段50は、可動面41がシートSに係合した判別(前記St05の判別)から加圧タイマ(計時手段;以下同様)を作動し時間を計測する(St07〜St16)。この計時手段は、例えばCPUクロックのカウントなどで構成し、その計測時間が前述の加圧時間Tp(
図4(b)のtime01〜06)と一致すると、駆動モータDCを反対方向に回転する(St17)。そして可動面41が待機位置(ホームポジション)Wpに復帰(St18)すると、ポジションセンサからの信号で駆動モータDCを停止し、綴じ動作を終了する(St19)。
【0053】
なお、上記動作のために駆動モータDCにはエンコーダEnと、電流検出回路52が配置されている。また加圧時間Tpは、複数段階(
図5seg;A,B)に設定する場合を示したが無段階で設定することも、また、演算により算出することも可能である。
【0054】
[後処理装置]
次に
図7及び
図8に示す後処理装置Bについて説明する。図示の後処理装置Bには綴じユニットCが内蔵され、後述する画像形成システムAの端末装置として構成されている。
【0055】
図8において後処理装置Bは装置ハウジング20と、このハウジングに配置されたシート搬送経路22と、その経路排紙口23の下流側に配置された処理トレイ24と、その下流側に配置されたスタックトレイ25で構成されている。
【0056】
処理トレイ24にはシートを搬入する搬入手段37と、搬入シートを集積するシート規制手段(規制ストッパ)26と整合手段27が配置されている。処理トレイ24にはシート束Sをステープル綴じするステープル綴じ手38と、シート束を針なし綴じする綴じユニットCが配置されている。
【0057】
上記装置ハウジング20には、
図8に示すように搬入口21と排紙口23を有するシート搬送経路22が配置され、図示のものは水平方向からシートを受け取って略水平方向に搬送して排紙口23から搬出するように構成されている。このシート搬送経路22にはシートを搬送する搬送機構(搬送ローラなど)が内蔵されている。
【0058】
上記搬送機構は、経路長に応じて所定間隔の搬送ローラ対で構成され、搬入口21の近傍に搬入ローラ対28が、排紙口23の近傍に排紙ローラ対29が配置されている。上記搬入ローラ対28と排紙ローラ対29とは、同一の駆動モータ(不図示)に連結され、同一周速度でシートを搬送する。またシート搬送経路22にはシートの先端と後端との少なくとも一方を検出するシートセンサSe1が配置されている。
【0059】
シート搬送経路22の排紙口23には、その下流側に段差dを形成して処理トレイ24が配置されている。この処理トレイ24は排紙口23から送られたシートを上方に積み重ねて束状に集積するため、シートの少なくとも一部を支持する紙載面24aを備えている。
【0060】
上記処理トレイ24は排紙口23から送られたシートを束状に集積して、所定姿勢に整合したのちに綴じ処理を施し、処理後のシート束Sを下流側のスタックトレイ25に搬出するように構成されている。
【0061】
上記排紙口23にはシート搬入機構37(パドル回転体)が配置され、シートを処理トレイ24の所定位置に搬送する。また処理トレイ24にはシート先端を規制手段26に案内する掻き込み搬送手段39が配置されている。
【0062】
掻き込み搬送手段37は、シート規制手段26の上流側に配置され、図示のものはリング形状のベルト部材で構成されている。このベルト部材は紙載面上の最上シートと係合するとともに規制ストッパ(シート規制手段)26に向けてシートを搬送する方向に回転する。
【0063】
処理トレイ24の先端部(シート排紙方向後端部)には、シートを位置決めするシート規制ストッパ(シート規制手段)26が設けられている。そして、排紙口23から掻き込み搬送手段39で搬入されたシートを突き当て規制する。この規制ストッパ26は処理トレイ上に集積されたシートを綴じ処理する綴じ位置に整合する。
【0064】
また処理トレイ24には、規制ストッパ26に位置決めされたシートの幅方向を基準ラインに位置決めするサイド整合手段27が配置されている。図示のサイド整合手段27は、排紙口23から送られ規制ストッパ26に位置決めされたシートを排紙直交方向に幅寄せ整合する。
【0065】
処理トレイ24には規制ストッパ26に突き当て規制され、サイド整合手段27で幅方向を位置決めされたシートを綴じ処理するステープル綴じ装置38(第1の綴じ手段)と、前述した綴じユニットC(第2の綴じ手段)が配置されている。
【0066】
ステープル綴じ装置38によるシート綴じ処理機構および綴じ処理動作は、既によく知られているのでその説明を省略する。また、綴じユニットCによる綴じ処理機構及び綴じ処理動作は
図1乃至
図5に基づいて説明した通りである。
【0067】
[画像形成システム]
次に
図7に示す画像形成システムAについて説明する。図示の画像形成システムは画像形成装置Aと前述の後処理装置Bで構成され、綴じユニットCは後処理装置に内蔵されている。以下画像形成装置について説明する。
【0068】
画像形成装置Aは、給紙部1と画像形成部2と排紙部3と信号処理部(不図示)で構成され装置ハウジング4に内蔵されている。給紙部1はシートを収納する複数のカセット5で構成され、異なるサイズのシートを収納可能に構成されている。各カセット5にはシートを繰出す給紙ローラ6と、シートを1枚ずつ分離する分離手段(分離爪、分離ローラなど;不図示)が内蔵されている。
【0069】
また、給紙部1には給紙経路7が設けられ各カセット5からシートを画像形成部2に給送する。この給紙経路7の経路端にはレジストローラ対8が設けられ各カセット5から送られたシートを先端揃えすると共に画像形成部2の画像形成タイミングに応じて給紙するまで待機させる。
【0070】
画像形成部2はシート上に画像形成する種々の画像形成機構が採用可能である。図示のものは静電式画像形成機構を示している。
図7に示すように装置ハウジング4に感光体(ホトコンダクタ)で構成されるドラム9が色成分に応じて複数配置されている。各ドラム9には発光器(レーザヘッドなど)10と現像器11が配置されている。そして各ドラム9に発光器10で潜画像(静電画像)を形成し、現像器11でトナーインクを付着する。この各ドラム上に付着されたたインク画像は、色成分毎に転写ベルト12に転写され画像合成される。
【0071】
このベルト上に形成された転写画像は給紙部1から送られたシートにチャージャ13で画像転写され、定着器(加熱ローラ)14で定着された後に排紙部3に送られる。排紙部3は、装置ハウジング4に形成された排紙空間15にシートを搬出する排紙口16と、この排紙口に画像形成部2からシートを案内するシート搬送経路17で構成されている。なお排紙部3には後述するデュープレックス経路18が連設され、表面に画像形成したシートを表裏反転して再び画像形成部2に給送するようになっている。
【0072】
図示Dは画像読取ユニットであり、プラテン19aと、このプラテンに沿って往復動する読取キャリッジ19bで構成されている。図示Fは原稿給送ユニットであり、給紙トレイ上にセットした原稿シートを1枚ずつプラテン19aに給送し、画像を読み取った後に排紙トレイに収納する搬送機構で構成されている。
【0073】
次に
図9に示す画像形成システムの制御構成について説明する。制御手段50は画像形成ユニットを制御する画像形成制御部45と後処理制御部50で構成される。画像形成制御部45は、モード選定手段48と、入力手段47で構成される。入力手段47は画像形成条件を設定し、同時に綴じ処理モードを設定する。綴じ処理モードは、第1綴じ手段(ステープル綴じ装置)38で綴じ処理を実行するか、第2綴じ手段(綴じユニット)Cで綴じ処理を実行するか選択する。
【0074】
後処理制御部50は、後処理制御CPUで構成され、ROM53に格納された実行プログラムを呼び出して後処理動作を実行する。またRAM54には前述の第2綴じ手段Cによる綴じ動作の加圧時間Tpなどの制御データが格納されている。
【0075】
制御CPU50は集積制御部50aと、綴じ処理制御部50b と、スタック制御部50cで構成されている。集積制御部50aは、画像形成ユニットAから送られシートを処理トレイ24上に部揃え集積する。綴じ処理制御部50bは、第1綴じ処理モードが選択されたときには、ステープラ綴じ出願38に綴じ動作させるように制御する。また第2綴じ処理モードが選択されたときには綴じユニットCに綴じ処理させるように制御する。
【0076】
なお、綴じユニットCによる加圧時間Tpは「シート束厚さ」「シート枚数」「シート材質」によって加圧時間を長短調整する場合について説明したが、この加圧時間Tpは入力手段47(オペレーションパネル)からオペレータが入力するように設定しても良い。
この場合には、オペレータが「シート材質」「仕上げ品位」等の条件から加圧時間Tpを例えば「長時間に設定する」か「短時間に設定するか」をオペパネ部で入力操作する。