(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の開閉装置の改修方法において、前記第2作業工程において、前記別の遅延装置が配置されている前記装置は、前記不動部材に取り付けられている既設の前記開閉機に配置されることを特徴とする開閉装置の改修方法。
請求項1又は2に記載の開閉装置の改修方法において、前記機械式結合装置を前記開閉体から取り外す第3作業工程と、前記機械式結合装置とは別の機械式結合装置を前記開閉体に配置する第4作業工程と、前記機械式制御装置をこの装置が配置されている既設の前記開閉機から取り外す第5作業工程と、含んでおり、
前記別の機械式結合装置から延びている前記紐状部材とは別の紐状部材は、中間装置を介して前記機械式制御装置とは別の機械式制御装置に連結されており、前記別の遅延装置が配置されている前記装置は、前記スライド部材とは別のスライド部材を有する前記別の機械式制御装置と、前記中間装置と、前記別の遅延装置とを複合的に組み合わせた複合装置となっており、この複合装置は1個のユニット化された装置となっていることを特徴とする開閉装置の改修方法。
請求項3〜5のいずれかに記載の開閉装置の改修方法において、前記開閉体が閉じ移動の途中で前記障害物に当接したときに、前記別の機械式結合装置が前記開閉体と前記別の紐状部材とを機械式に結合することによりこの別の紐状部材に緊張力が作用したことを検出するための検出手段を備えており、この検出手段は、前記中間装置に設けられていることを特徴とする開閉装置の改修方法。
請求項1〜7のいずれかに記載の開閉装置の改修方法において、改修後の前記開閉装置は、管理用開閉装置としての機能と防災用開閉装置としての機能の両方の機能を有しており、前記別の遅延装置は、前記防災用開閉装置としての機能だけのためのものとなっていることを特徴とする開閉装置の改修方法。
請求項9に記載の開閉装置の改修方法において、前記別の遅延装置が配置されている前記装置は、前記別の機械式制御装置と、前記中間装置と、前記別の遅延装置とを複合的に組み合わせた複合装置となっており、この複合装置は1個のユニット化された装置となっていることを特徴とする開閉装置の改修方法。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、管理及び防災の併用(言い換えると、兼用)シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、出入口等の開口部を開閉するためにシャッターカーテンが開閉移動する管理用シャッター装置としての機能と、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動することにより建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、を有している。
【0075】
また、本実施形態に係るシャッター装置は、具体的な説明を後述するが、開閉移動自在となっているシャッターカーテンと、オン、オフすることによりシャッターカーテンを停止、移動可能とするためのブレーキ装置を有する開閉機と、ブレーキ装置をオン、オフ切り替えるためにスライド自在となっているスライド部材を有し、開閉機を機械式に制御するための機械式制御装置と、シャッターカーテンに配置されていて、シャッターカーテンが閉じ移動の途中でこのシャッターカーテンの移動経路に存在する障害物に当接したときに、シャッターカーテンと紐状部材であるロック用ワイヤーとを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤーに、スライド部材をスライドさせてブレーキ装置をオンとするための緊張力をシャッターカーテンの自重により作用させる機械式結合装置を有していて、シャッターカーテンの閉じ移動を機械式に停止させるための機械式開閉体停止装置である機械式シャッターカーテン停止装置と、障害物の除去によりスライド部材がブレーキ装置をオンからオフに切り替えてシャッターカーテンが閉じ移動を再開することを、障害物の除去から時間遅れをもって開始させるための遅延装置と、を備えている。
【0076】
以下に説明するように、本実施形態は、上述した各装置を備えている後述する
図1〜
図22で示されているシャッター装置を、
図23〜
図42で示されているシャッター装置に改修するものとなっている。
【0077】
図1には本実施形態に係る改修される前(言い換えると、変更される前)のシャッター装置の全体が示されており、この
図1は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
【0078】
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、シャッターボックス8が配置されており、このシャッターボックス8は、
図1のS2−S2線断面図である
図2に示されているように、天井裏空間7に存在する下がり壁等の建物躯体9にボルト等の結合具10で結合されている。シャッターボックス8の内部には巻取軸11が水平に収納配置され、この巻取軸11は、シャッターボックス8の
図1で示されている左右の側面部8A,8Bに回転自在に支持されている。また、
図1に示されているように、巻取軸11の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段12を介して開閉機13が接続されている。巻取軸11を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機13は
図2でも示されており、開閉機13の駆動軸14の回転力は、この駆動軸14に取り付けられた駆動スプロケットホイール12Aと、巻取軸11の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール12Bと、これらのスプロケットホイール12A、12Bの間に架け渡された無端ローラチェーン12Cとによる駆動力伝達手段12を経て巻取軸11に伝達される。
【0079】
なお、本実施形態の開閉機13は、
図2に示されているように、シャッターボックス8の左右の側面部8A,8Bのうち、一方の側面部8Bに結合されたブラケット部材15に取り付けられている。
【0080】
図2から分かるように、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻回されているとともに、シャッターカーテン1の上端は巻取軸11の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン1における巻取軸11より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ16に設けられたスリット17を通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール6にスライド自在に挿入されている。開口部である出入口2の上辺を形成する上辺形成部材であるまぐさ等の不動部材まぐさ16は、互いに対向配置されたまぐさ部材16A,16Bにより形成され、これらのまぐさ部材16A,16Bの間がスリット17となっている。
【0081】
図3は、開閉機13の内部構造を示す断面図である。この
図3に示されているように、開閉機13は、直流又は交流の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸14は、電動モータ装置18の回転する回転子18Aの中心に固定配置された回転軸となっている。この駆動軸14におけるブレーキ装置19側の端部には、第1ブレーキ部材である円盤状のブレーキシュー20が結合されている。ブレーキ装置19には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸21が設けられ、このブレーキ軸21には、ブレーキシュー20と軸方向に対面する第2ブレーキ部材であるブレーキドラム22が結合されている。通常時のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、ばね23で電動モータ装置18側へ押圧されており、このため、ブレーキシュー20とブレーキドラム22との圧接によりブレーキ装置19はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置18の駆動軸14は、ブレーキ装置19の制動力によって回転しない。
【0082】
一方、ブレーキ装置19に配置されているソレノイド24に通電されたときには、このソレノイド24の磁力により、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22はばね23に抗して電動モータ装置18から離れる方向へスライドする。このため、ブレーキシュー20とブレーキドラム22との圧接が解除され、ブレーキ装置19はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置18の駆動軸14は、コイル25への通電により回転できることになる。
【0083】
このようにソレノイド24への通電によリ、ブレーキ装置19はオフとなり、この通電を停止すると、ブレーキ装置19はオンとなるため、このブレーキ装置19は電気的にオン、オフするブレーキ装置となっている。
【0084】
図1で示した左右の建物躯体3のうち、一方の建物躯体3には、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、停止させることとを行わせるための操作装置30が取り付けられている。この操作装置30には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。また、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸11に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板1Bとを有したものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。
【0085】
カーテン本体1Aは、本実施形態における開閉体本体となっており、座板1Bは、本実施形態におけるエンド部材となっている。
【0086】
座板1Bが前述の天井部材5に配置されたまぐさ16の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板1Bが
図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号を受ける制御装置27によりブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフとなる。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸11及び駆動軸14を正回転させて巻取軸11から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける
図1に示す制御装置27により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19はばね23」でオンに復帰する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板1Bが
図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号を受ける制御装置27によりブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフになるとともに、制御装置27により電動モータ装置18のコイル25に通電される。このため、駆動軸14は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段12を介して巻取軸11に伝達され、巻取軸11の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける制御装置27により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置27によりコイル25への通電が遮断される。
【0087】
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける制御装置27により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける制御装置27により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置27により電動モータ装置18のコイル25への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
【0088】
なお、リレー回路等の電気回路又はコンピュータによる制御装置27は、
図1に示されているように、開閉機13に取り付けられており、この制御装置27は、開閉機13の電動モータ装置18及びブレーキ装置19を電気的に制御するものである。なお、制御装置27は、開閉機13とは別の部材や手段、装置等に取り付けてもよく、その配置箇所は任意である。
【0089】
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、シャッターボックス8、さらにはまぐさ16等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、シャッターボックス8、まぐさ16等は、シャッターカーテン1に対する不動部材となっている。
【0090】
なお、以上のように正逆回転する巻取軸11に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
【0091】
また、
図3に示されているとおり、ブレーキ軸21における電動モータ装置18側とは反対側の端部にはレバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸21を貫通したものであって、ブレーキ軸21を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ装置18側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドする。このため、ソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
【0092】
このように第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、開閉機13に取り付けられている後述の自動閉鎖装置32によって行われる。この自動閉鎖装置32は、後述の説明で分かるように、シャッターカーテン1を駆動させる駆動装置になっている開閉機13を機械式に制御するための機械式制御装置となっている。
【0093】
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
【0094】
このように第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機13は、手操作によってもブレーキ装置19をオフにすることができるようになっている。なお、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
【0095】
図4は、シャッターカーテン1の閉じ移動中にシャッターカーテン1の座板1Bが
図1で示す障害物34に当接したときに、この障害物34を機械式に検知(言い換えると、感知)するための機械式障害物検知装置(言い換えると、機械式障害物感知装置)35を示す。機械式障害物検知装置35は、前述の不動部材となっているこのまぐさ16とシャッターカーテン1との間に架け渡された部分を有している架け渡し部材となっているロック用ワイヤー36と、可撓性を有するこのロック用ワイヤー36の一方の端部が結合され、この一方の端部を処理している第1処理装置37と、ロック用ワイヤー36の他方の端部が結合され、この他方の端部を処理している第2処理装置38と、ロック用ワイヤー36の長さの途中に配置され、シャッターカーテン1が障害物34に当接したときにロック用ワイヤー36を機械式にロックするための、言い換えると、シャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合した状態にするための機械式結合装置39と、を備えている。機械式結合装置39は、後述するように、シャッターカーテン1に取り付けられる。
【0096】
上述の架け渡し部材となっているロック用ワイヤー36は、本実施形態に係る改修前のシャッター装置における紐状部材でもあり、細長部材でもある。
【0097】
第1処理装置37と第2処理装置38と機械式結合装置39は、ロック用ワイヤー36で連結された状態になっており、したがって、これらの装置37〜39を構成要素とする機械式障害物検知装置35は、取り扱い等が容易なユニットとなっている。
【0098】
第1処理装置37には回転自在なリール40が設けられ、ロック用ワイヤー36の一方の端部が結合されているこのリール40にロック用ワイヤー36が巻回されている。リール40には、ぜんまいばね等による戻しばね41が連結されており、ロック用ワイヤー36がリール40を回転させてこのリール40から繰り出される際に、戻しばね41には戻し力が蓄圧される。また、ロック用ワイヤー36に弛みが生じたときには、戻しばね41に蓄圧された戻し力により、リール40はロック用ワイヤー36を巻き取る方向へ回転することになる。このため、第1処理装置37は、本実施形態に係る改修前のシャッター装置において、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置となっている。
【0099】
第2処理装置38には回動部材42が設けられており、この回動部材42に、ロック用ワイヤー36の他方の端部がコイルばね43を介して結合されている。
【0100】
また、第1処理装置37と第2処理装置38は、まぐさ16にボルト又は溶接等で固定配置されたベース部材44の上面に配置されており、このため、第1処理装置37と第2処理装置38はベース部材44で連結されたユニット構造物45となっている。したがって、ロック用ワイヤー36をまぐさ16とシャッターカーテン1との間に架け渡す作業等を行うために、第1処理装置37と第2処理装置38をまぐさ16に配置する作業は、ユニット構造物45をまぐさ16にボルト又は溶接等で固定設置する作業を行うだけで終了することができ、この作業を容易に行えるようになっている。
【0101】
また、上述したようにロック用ワイヤー36の他方の端部を、コイルばね43を介して第2処理装置38の回動部材42に結合するために、
図2に示されているように、ロック用ワイヤー36は前述の天井部材5に配置されたまぐさ16のスリット17に通されている。すなわち、ロック用ワイヤー36は、天井部材5の上下に跨る長さを有しており、また、ロック用ワイヤー36は、まぐさ16と接触せずにこのまぐさ16のスリット17に挿通されている。
【0102】
まぐさ16における第1処理装置37と第2処理装置38の配置位置は、シャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能となっている。これについて説明すると、
図4に示されているとおり、第1処理装置37の機枠46は、ベース部材44の側面部44Aに形成されている長孔47に挿入されたビス等の止着具48でこの側面部44Aに取り付けられている。このため、長孔47の長さ分だけ、ベース部材44における第1処理装置37の取付位置がシャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能となっている。さらに、第2処理装置38の機枠49の基板部49Aは、この基板部49Aに形成されている長孔50に挿入されたビス等の止着具51でベース部材44に取り付けられている。このため、長孔50の長さ分だけ、ベース部材44における第2処理装置38の取付位置がシャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能となっている。
【0103】
なお、まぐさ16における第1処理装置37と第2処理装置38の配置位置をシャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能する構造は、長孔47,50による方式のものに限定されず、例えば、ボルト等のねじ軸部材の回転を利用したねじ送り方式や、ガイド溝の途中に複数のストップ部材を配置したスライドアンドストップ方式等のものでもよい。
【0104】
図4で示されている機械式結合装置39のケース55は、
図4で示されている裏面部55A及び上面部55Bと、
図5で示されている正面部55Cとを有する。すなわち、
図4と
図5では、機械式結合装置39の表裏が逆となっている。
図6は、ケース55の内部に収納されている機械式結合装置39の構造を示す
図5の正断面図である。
図4に示されているように、ケース55の上面部55Bには、ロック用ワイヤー36が出入りする2個の孔56,57が形成され、また、
図6に示されているように、ケース55の内部には、ロック用ワイヤー36を案内する2個の回転自在なローラ58,59がシャッターカーテン1の幅方向に離れて配置されているとともに、これらのローラ58,59と共にロック用ワイヤー36を案内するためのピン等による複数のガイド部材60も配置されている。
【0105】
また、ケース55の内部には、ロック用ワイヤー36におけるローラ58とローラ59の間の部分(後述する折り返し部)36Aを上下から挟着するための挟着部材となっている第1レバー部材61と第2レバー部材62が配置され、これらのレバー部材61,62は、同一の支点軸63を中心に上下に揺動自在となっている。上側の第1レバー部材61には、ねじりコイルばね64による下向きの押圧力が作用しており、また、この第1レバー部材61には下向きに湾曲形成された凸部61Aが設けられ、この凸部61Aがロック用ワイヤー36の上記の部分36Aに当たることにより、支点軸63を中心とする第1レバー部材61の下向きの揺動限が規定されるようになっている。また、上記の部分36Aが弛緩しているときに第1レバー部材61が支点軸63を中心として下向きに大きく揺動することを防止できるようにするために、ケース55には、第1レバー部材61における支点軸63側とは反対側の端部を受けるためのピン等によるストップ部材65が固定されている。
【0106】
下側の第2レバー部材62における支点軸63側とは反対側の端部には、重り部材66が取り付けられており、この重り部材66の重量により、第2レバー部材62には支点軸63を中心とする下向きの揺動力が作用している。また、第2レバー部材62には、上向きに湾曲形成された凸部62Aが設けられている。
【0107】
また、上側の第1レバー部材61の下面と、下側の第2レバー部材62の上面には、言い換えると、これらのレバー部材61,62の互いに対面する面には、摩擦部材67,68が取り付けられている。これらの摩擦部材67,68は、第1レバー部材61と第2レバー部材62がロック用ワイヤー36の上記の部分36Aを挟着してロックするときに、この部分36Aとの間の摩擦力を大きくし、ロックを一層確実なものにするためのものである。そして、上側の第1レバー部材61には下向きの突片部61Bが形成され、この突片部61Bと、ケース55の裏面部55Aとにより、ロック用ワイヤー36における上記の部分36Aが2個のレバー部材61,62の間から外れることが防止されている。また、第2レバー部材62の凸部62Aは、この第2レバー部材62が支点軸63を中心に上向きに揺動することにより摩擦部材67,68がロック用ワイヤー36の上記の部分36Aを挟着、ロックする直前に、この部分36Aを上向きに押し上げることになり、これにより、摩擦部材67,68による上記の部分36Aを挟着、ロックをさらに一層確実に行えるようにしている。また、下側の第2レバー部材62には、下向きに湾曲形成された凸部62Bが設けられている。
【0108】
図7には、機械式結合装置39がシャッターカーテン1に取り付けられたときの正面図が示されている。
図8は、
図7のS8−S8線断面図であり、この
図8には、前述したシャッターカーテン1の座板1Bの内部構造が示され、また、
図8には、ロック用ワイヤー36及び機械式結合装置39が2点鎖線で示されている。シャッターカーテン1は、
図1で説明したように、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、本実施形態における開閉体本体となっているカーテン本体1Aと、
図8に示されているように、このカーテン本体1Aの下端部に設けられ、本実施形態におけるエンド部材となっている座板1Bとを有する。また、座板1Bは、カーテン本体1Aの下部に固定された固定部70Aと、この固定部70Aの下側に配置され、固定部70Aに対して上下方向に移動可能となっている可動部70Bとからなる。
【0109】
また、本実施形態に係る改修前のシャッター装置のシャッターカーテン1は、
図7で示されているように、カーテン主部71Aと、カーテン副部71Bとを有し、カーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部70Aとによって構成されており、カーテン副部71Bは、座板1Bのうちの可動部70Bによって構成されている。したがって、このカーテン副部71Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部71Aは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部71Bは、本実施形態における開閉体副部となっている。
【0110】
図8に示されているように、座板1Bの固定部70Aは、共に断面箱型となった内外の部材75,76で形成され、外部材75は、シャッターカーテン1の厚さ方向に分割配置された2個の分割部材75A,75Bで形成されており、これらの分割部材75A,75Bは、カーテン本体1Aの下端部にボルト、ナット等による結合具77で結合されている。このため、座板1Bは、カーテン本体1Aに対して取り付け、取り外し自在となっている。また、内外の部材75,76の下面は開口部78となっており、この開口部78から座板1Bの可動部70Bの立上り部79の上端が固定部70Aの内部空間に挿入されている。立上り部79の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部79A,79Bが形成され、これらの延出部79A,79Bが、固定部70Aの内部材76の下端に形成された突片部76A,76Bの上面に乗ることにより、固定部70Aに対する可動部70Bの下側への移動限が規定される。
【0111】
固定部70Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸80を中心に上下揺動自在となった揺動部材81が収納されている。この揺動部材81は、
図14で示されているように可動部70Bが固定部70Aに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が
図1で示した障害物34に当接したときには、可動部70Bの立上り部79の延出部79Aが揺動部材81の突出片81Aを押し上げることにより、揺動部材81は支点軸80を中心に上向きに揺動する。また、座板1Bを構成している固定部70Aと可動部70Bは、
図1で示した左右のガイドレール6まで延びる長さを有しており、揺動部材81も左右のガイドレール6まで延びる長さを有している。
【0112】
揺動部材81及び可動部70Bは、例えば、アルミ合金製等の押し出し成形品又は引き抜き成形品で形成されている。
図1で示した出入口2の左右幅寸法が大きく、このため、揺動部材81及び可動部70Bを、それぞれ一本の連続した押し出し成形品又は引き抜き成形品で形成することが困難である場合には、長さ方向(シャッターカーテン1の幅方向)に並べた複数の押し出し成形品又は引き抜き成形品により、揺動部材81及び可動部70Bが形成される。
【0113】
図11は、揺動部材81を、上記の長さ方向に並べた複数の成形品82により形成した場合を示す。この揺動部材81は、互いに隣接する2個の成形品82を、これらの成形品82の内部に圧入される部分83A,83Bが両端に設けられた連結部材83により連結したものとなっている。成形品82と連結部材83との結合は、上記の圧入でもよく、ビス等の止着具を用いたものでもよく、溶接でもよく、接着等でもよい。また、
図12は、可動部70Bを、上記の長さ方向に並べた複数の成形品84により形成した場合を示す。この可動部70Bは、複数の成形品84を単に上記の長さ方向に並べることによって形成されており、このため、成形品84同士は、揺動部材81の場合と異なり、連結されていない。
【0114】
このように成形品84同士を連結しないことで可動部70Bを形成し、これによって可動部70Bの構造を単純化してその製造を容易にしても、揺動部材81は左右のガイドレール6まで延びる連続した1本の状態となっているため、
図1で示した障害物34が左右のガイドレール6の間のどの位置に存在していても、シャッターカーテン1の閉じ移動中に、可動部70Bを形成している複数個の成形品84のうち、障害物34が当たる1個又は互いに隣接している2個の成形品84が固定部70Aに対して上昇することにより、揺動部材81を上向きに揺動させることができる。
【0115】
図4で説明した機械式結合装置39は、
図7で示されているように、座板1Bのうち、固定部70Aに組み込まれる。すなわち、機械式結合装置39は、シャッターカーテン1の前述したカーテン主部71Aを構成しているカーテン本体1Aと、座板1Bの固定部70Aとのうち、固定部70Aに配置される。
図13は、
図7のS13−S13線断面図であって、機械式結合装置39が配置された部分での座板1Bの断面図である。この
図13で示されているように、座板1Bの固定部70Aを形成している内外の部材75,76の上面部及び正面部には、機械式結合装置39の配置位置と対応する位置において、切欠加工による開口部90が形成されており、この開口部90に機械式結合装置39が上から挿入されて固定部70Aに結合されている。
【0116】
支点軸80を中心に上下方向に揺動自在となっている揺動部材81の突出片81Aには、
図6で示した下側の第2レバー部材62の下向きの凸部62Bと対応する位置において、押圧部材91が取り付けられている。このため、シャッターカーテン1の閉じ移動中に、この閉じ移動方向である下側に存在していた障害物34に座板1Bの可動部70Bが当接し、これにより、
図14で説明したように、可動部70Bの延出部79Aが揺動部材81を支点軸80を中心に上向きに揺動させたときには、凸部62Bを押圧する押圧部材91により、
図15に示されているように、第2レバー部材62は支点軸63を中心に上向きに揺動する。これにより、第2レバー部材62に取り付けられている摩擦部材68は、ロック用ワイヤー36におけるローラ58とローラ59の間の部分36Aを上側へ押し上げることになる。
【0117】
この押し上げにより、上側の第1レバー部材61は、この第1レバー部材61に取り付けられている摩擦部材67を介して支点軸63を中心に上向きに揺動することになり、この上向きの揺動によりねじりコイルばね64は圧縮されるため、ロック用ワイヤー36におけるローラ58とローラ59の間の部分36Aは、2個のレバー部材61,62の摩擦部材67,68により上下から大きな荷重で挟着され、この挟着により、ロック用ワイヤー36の部分36Aはロックされることになり、このロックにより、シャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とが機械式結合装置39で機械式に結合された状態となる。
【0118】
なお、
図13に示されているように、座板1Bの可動部70Bが固定部70Aに対して最下降位置に達しているときには、揺動部材81の突出片81Aが可動部70Bの延出部79Aに当たることにより、支点軸80を中心とする揺動部材81の下向きの揺動が規制されるようになっている。
【0119】
上述したように閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、2個のレバー部材61,62の摩擦部材67,68により、ロック用ワイヤー36の前記部分36Aが大きな荷重でロックされるようにするためには、シャッターカーテン1が障害物34に当接する前において、言い換えると、座板1Bの可動部70Bが固定部70Aに対して最下降位置に達しているときにおいて、揺動部材81の押圧部材91に対して機械式結合装置39が適切な上下方向の位置に配置されていることが重要である。機械式結合装置39を揺動部材81の押圧部材91に対して適切な上下方向の位置に配置することは、機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに取り付ける際に、この機械式結合装置39を固定部70Aにおける適切な上下方向の位置に取り付けることである。本実施形態には、機械式結合装置39を固定部70Aにおける適切な上下方向の位置に取り付けることができる工夫が施されている。
【0120】
次に、この工夫について説明する。
図4で示されているように、機械式結合装置39のケース55の両方の側面部には突片部55Dが形成され、これらの突片部55Dを利用して機械式結合装置39は座板1Bの固定部70Aに取り付けられる。これらの突片部55Dを利用した取付構造は同じであるため、一方の突片部55Dについての取付構造を
図9により説明する。
【0121】
固定部70Aの内部上面には、ベース部材92がリベット等の止着具93で結合され、このベース部材92には、固定部70Aを形成している前述の内外部材75,76に形成された孔94A,94Bを貫通して固定部70Aの上側へ突出しているねじ軸部材95が設けられている。このねじ軸部材95に1個又は複数個の座金96を挿入した後に、突片部55Dの孔55Eにねじ軸部材95を挿入する。ねじ軸部材95に挿入する座金96の枚数を変更したり、ねじ軸部材95に座金96を挿入しないことにより、固定部70Aにおける機械式結合装置39の上下方向の配置位置が調整されることになる。これにより、機械式結合装置39の配置位置を、揺動部材81の押圧部材91に対して適切な上下方向の位置に設定することができる。
【0122】
このように機械式結合装置39が揺動部材81の押圧部材91に対して適切な上下方向の位置に配置されているか否かを確認できるようにするために、
図7に示されているように、機械式結合装置39のケース55の正面部55Cには、窓孔55Fが形成されている。この窓孔55Fから、座板1Bの可動部70Bが固定部70Aに対して最下降位置に達しているときにおける前述した下側の第2レバー部材62の摩擦部材68と、ロック用ワイヤー36の前述した部分36Aとの間の上下方向の間隔を調べることができ、この上下方向の間隔が予め定められている適性範囲内の値になったときに、
図9に示されているナット97をねじ軸部材95に螺合して締め付ける。これにより、機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに固定する。そして、窓孔55Fをテープ等の遮蔽部材で遮蔽し、ケース55の内部に塵埃等が侵入することを防止する。
【0123】
これにより、機械式結合装置39は固定部70Aにおける適切な上下方向の位置に取り付けられることになり、この結果として、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときには、機械式結合装置39に設けられている2個のレバー部材61,62の摩擦部材67,68により、ロック用ワイヤー36の上記部分36Aを大きな荷重でロックできるようになる。
【0124】
上述のように機械式結合装置39の配置位置を揺動部材81の押圧部材91に対して適切な上下方向の位置に設定するための構造は、以上の方式による構造に限定されない。
【0125】
図10は、他の方式による構造を示している。この
図10の構造では、
図9の座金96の代わりにナット98が用いられている。このナット98は回転操作されることにより、ねじ軸部材95に沿って少しずつ上下動するため、ナット98の高さ位置により、機械式結合装置39の配置位置を揺動部材81の押圧部材91に対して一層適切な上下方向の位置に設定でき、また、固定部70Aにおける機械式結合装置39の高さ位置を微調整することもできる。
【0126】
ナット98は1個でもよい。しかし、
図10では、2個のナット98A,98Bが用いられており、これらのナット98A、98Bは、一方のナットを他方のナットに圧接できて、ねじ軸部材95におけるナット98A,98Bの高さ位置を固定できるダブルナットとなっている。このため、機械式結合装置39の配置位置を一層確実に固定することができることになる。
【0127】
なお、以上のように機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに取り付けるための作業は、本実施形態に係る改修前のシャッター装置のシャッターカーテン1を、本実施形態に係る改修前のシャッター装置を設置する建物の
図1に示す左右の建物躯体3に取り付けたガイドレール6に沿って上下に開閉移動自在とした後に行う。すなわち、
図4で説明した前述の機械式障害物検知装置35を除くシャッター装置自体の設置作業が先に行われ、この後に、機械式障害物検知装置35の設置作業が行われる。この機械式障害物検知装置35の設置作業には、前述したユニット構造物45をまぐさ16に取り付ける作業と、機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに取り付ける作業とが含まれ、ユニット構造物45をまぐさ16に取り付ける作業と、機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに取り付ける作業とのうち、どちらの作業を先に行ってもよく、これらの作業を同時(実質的に同時と言える場合を含む。)に行ってもよい。
【0128】
そして、このように機械式障害物検知装置35の設置作業を行う場合には、座板1Bの固定部70Aに機械式結合装置39を配置して取り付けるための前述の開口部90等を、予め工場において、形成しておくことが好ましい。
【0129】
本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、前述したようにロック用ワイヤー36と、第1処理装置37と、第2処理装置38と、機械式結合装置39とからなる機械式障害物検知装置35は、ユニット化されたものとなっているため、工場から本実施形態に係るシャッター装置が設置される建物へ搬送されたこの機械式障害物検知装置35についての設置作業を容易に行え、また、第1処理装置37と第2処理装置38はユニット構造物45となっていて、これらの第1処理装置37と第2処理装置38だけでもユニット化されているため、第1処理装置37と第2処理装置38をまぐさ16に取り付ける作業も容易に行える。
【0130】
以上のように機械式結合装置39が座板1Bの固定部70Aに取り付けられることにより、不動部材である前述のまぐさ16に設置された
図4の第1処理装置37と第2処理装置38に両端部が結合されたロック用ワイヤー36は、まぐさ16とシャッターカーテン1との間に架け渡されることになる。また、このロック用ワイヤー36は、機械式結合装置39で折り返されているため、
図1に示されているように、まぐさ16からシャッターカーテン1へと延びる第1部分36Bと、シャッターカーテン1からまぐさ16へと延びる第2部分36Cとを有するU字形となる。そして、ロック用ワイヤー36のうち、機械式結合装置39と対応している
図6や
図15で示された前記部分36Aは、U字形のロック用ワイヤー36の折り返し部となる。
【0131】
シャッターカーテン1が自重で閉じ移動したときは、ロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1の重量により第1処理装置のリール40を回転させて、このリール40から繰り出されることになり、これにより、第1部分36Bと第2部分36Cのそれぞれの長さが長くなる。また、シャッターカーテン1が、前述の開閉機13の駆動軸14の回転で上方へ開き移動したときには、ロック用ワイヤー36には弛みが生ずるため、前述した戻しばね41の戻し力で上記とは反対方向へ回転するリール40によりロック用ワイヤー36は巻き取られ、これにより、第1部分36Bと第2部分36Cのそれぞれの長さは短くなる。このため、ロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1の開閉移動に対して追従することになる。
【0132】
本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、
図1から分かるように、機械式結合装置39と、第1処理装置37及び第2処理装置38からなるユニット構造物45は、シャッターカーテン1の幅方向の中央位置Bに配置されておらず、前述した機械式障害物検知装置35を構成しているこれらの機械式結合装置39とユニット構造物45は、中央位置Bからシャッターカーテン1の幅方向のうちの一方の側へ変位している位置に配置されている。この変位している位置は、シャッターカーテン1を駆動させる駆動装置となっている前述の開閉機13が配置されている側の位置である。
また、
図1に示されているように、ロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cの延び方向は、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aに沿った鉛直方向(実質的に鉛直方向と言えるものを含む。)となっており、また、これらの第1部分36Bと第2部分36Cは、互いに平行(実質的に互いに平行と言えるものを含む。)となっている。
【0133】
また、
図2及び
図4に示されているように、ロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cは、まぐさ16におけるシャッターカーテン垂下用のスリット17の内部位置に配置されており、このため、第1部分36Bと第2部分36Cは、まぐさ16と干渉していない。言い換えると、まぐさ16の上面に配置された第1処理装置37及び第2処理装置38は、ロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cを垂下する部分の位置が、まぐさ16におけるシャッターカーテン垂下用のスリット17の内部位置の上側の位置となるように、まぐさ16に配置されている。
【0134】
さらに、
図13に示されているとおり、座板1Bの固定部70Aにおける機械式結合装置39の配置位置は、シャッターカーテン1の厚さ方向中央位置ではなく、この中央位置からシャッターカーテン1の厚さ方向のうちの一方の側へ変位している位置となっている。このため、ロック用ワイヤー36は、第1部分36Bと第2部分36Cの両方について、
図8に示されているように、シャッターカーテン1のうち、前述したカーテン本体1Aと干渉しない位置に、言い換えると、カーテン本体1Aからシャッターカーテン1の厚さ方向に離れた位置に配置されている。すなわち、前述したカーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部70Aとにより構成されているため、ロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cの両方は、機械式結合装置39が配置されている固定部70Aを除くカーテン主部71A(カーテン本体1A)からシャッターカーテン1の厚さ方向に離れた位置に配置されていることになる。
【0135】
機械式結合装置39が配置されている固定部70Aを除くカーテン主部71Aの部分はカーテン本体1Aであり、このカーテン本体1Aはシャッターカーテン1の大部分の面積を占める大きな部分である。このため、上述のように、ロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cの両方が、機械式結合装置39が配置されている固定部70Aを除くカーテン主部71Aからシャッターカーテン1の厚さ方向に離れた位置に配置されていて、カーテン主部71Aと干渉していないことにより、まぐさ16とシャッターカーテン1との間に架け渡された架け渡し部材となっていて、本実施形態における機械的部材となっているロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1の開閉移動を阻害しないことになる。
【0136】
また、前述したとおり、座板1Bの可動部70Bはカーテン副部71Bを形成するものとなっており、
図8に示されているとおり、この可動部70Bについてのシャッターカーテン1の厚さ方向寸法はW1である。また、前述したカーテン主部71Aの一部を構成するものとなっている座板1Bの固定部70Aについてのシャッターカーテン1の厚さ方向寸法はW2であり、このW2は、W1よりも小さい。ロック用ワイヤー36は、W1の範囲内であって、W2の範囲内に配置されている。可動部70Bは、カーテン副部71Bを形成するものとなっているため、ロック用ワイヤー36は、このカーテン副部71Bのシャッターカーテン厚さ方向寸法W1内に配置されていることになり、そしてW1は、シャッターカーテン1の全体の厚さ寸法を規定する寸法にもなっているため、ロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1の全体の厚さ寸法内に配置されていることになる。
【0137】
したがって、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aに沿ってロック用ワイヤー36を配置し、これにより、このロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cをカーテン本体1Aと干渉しない位置に配置しても、このロック用ワイヤー36を含むシャッターカーテン1の全体の厚さ寸法が大きくなることを抑制することができる。
【0138】
なお、W1をW2と等しいとした場合(多少の差がある場合であって、実質的に等しいと言うことできる場合を含む。)にも、ロック用ワイヤー36を含むシャッターカーテン1の全体の厚さ寸法が大きくなることを抑制することができる。
【0139】
また、本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、
図4で説明したように、まぐさ16における第1処理装置37と第2処理装置38の配置位置は、長孔47,50によりシャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能となっているため、ロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cの両方を、機械式結合装置39が配置されている固定部70Aを除くカーテン主部71Aからシャッターカーテン1の厚さ方向に離れた位置に一層確実に配置できるようになっている。また。まぐさ16における第1処理装置37と第2処理装置38の配置位置の調整作業を、第1処理装置37と第2処理装置38について個別に行うことにより、第1部分36Bと第2部分36Cを、機械式結合装置39が配置されている固定部70Aを除くカーテン主部71Aからシャッターカーテン1の厚さ方向に同じ距離だけ離すための作業も行える。
【0140】
図16は、第2処理装置38の内部構造を示している。この第2処理装置38には、前述したように、ロック用ワイヤー36の端部がコイルばね43を介して結合された回動部材42が設けられている。この回動部材42の回動方向は、水平な中心軸42Aを中心とする上下方向である。また、回動部材42の背後には、ぜんまいばね等による戻しばね100が配置されている。この戻しばね100の戻し力は、回動部材42をC方向へ回動させるように、すなわち、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cを引き上げる方向に回動部材42を回動させるように、回動部材42に作用している。回動部材42には、中心軸42Aを中心とする円弧状の長孔42Bが形成され、この長孔42Bには、第2処理装置38の機枠49に取り付けられたストップ部材101が挿入され、このストップ部材101により回動部材42の回動量が一定量に規制されている。
【0141】
回動部材42の外周部の一部にはギヤ歯42Cが形成されており、このため、回動部材42は、一部にギヤ歯42Cが形成されたセクターギヤとなっている。このギヤ歯42Cは、回動部材42におけるシャッターカーテン1の厚さ方向の側(実質的に厚さ方向の側と言えるものを含む。以下同じ。)に設けられている。また、第2処理装置38には2個のロータリー式のダンパー102が配置され、これらのダンパー102は、回動部材42のギヤ歯42Cと噛み合うピニオンギヤ103を備えている。ピニオンギヤ103の回転中心軸104には、ワンウェイクラッチを介してダンパー102の内部に配置された複数のブレードが取り付けられており、回動部材42がC方向に回動することでピニオンギヤ103及び中心軸104がE方向に回転した場合には、ワンウェイクラッチを介してそれぞれのブレードが、ダンパー102の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により回動部材42は、C方向へ低速で回動することになる。一方、回動部材42がC方向とは逆のD方向に回動し、ピニオンギヤ103及び中心軸104がF方向に回転した場合には、この方向への回転は、ワンウェイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、回動部材42は、D方向へは高速で回動することができる。
【0142】
なお、ダンパー102は1個でもよい。しかし、本実施形態のようにダンパー102の個数を複数個とすることにより、回動部材42をC方向へ低速で回動させる上記の抵抗力を大きくでき、これにより、回動部材42のC方向への速度を所望する速度まで遅くすることができる。
【0143】
また、回動部材42を、一部にギヤ歯42Cが形成されたセクターギヤとすることにより、回動部材42を全周にギヤ歯が形成されたギヤとした場合よりも、回動部材42の全体の上下寸法を小さくすることができる。これにより、第2処理装置38の上下寸法を、延いては、第1処理装置37と第2処理装置38で構成されている前述のユニット構造物45の上下寸法を小さくできるため、
図2に示されているように、まぐさ16と前述のシャッターボックス8との間の上下寸法が小さいスペースにユニット構造物45を有効に配置することができるようになる。
【0144】
さらに、回動部材42を一部にギヤ歯42Cが形成されたセクターギヤとし、このギヤ歯42Cを、上述のように回動部材42におけるシャッターカーテン1の厚さ方向の側に設けることにより、第2処理装置38における回動部材42の配置位置を高い位置とすることが可能となるため、シャッターカーテン1を、回動部材42が座板1Bと干渉することをなくして、全開位置まで開き移動させることができるようになる。
【0145】
また、ギヤ歯42Cは、回動部材42におけるシャッターカーテン1の側とは反対側に形成され、回動部材42におけるシャッターカーテン1と同じ側には、ギヤ歯42Cが形成されていない凹部42Dが形成されているため、これによっても、シャッターカーテン1の全開時において、回動部材42が座板1Bと干渉することをなくすことができ、また、シャッターカーテン1が開閉移動しているときには、回動部材42がカーテン本体1Aと干渉することをなくすことができる。
【0146】
また、本実施形態では、
図4に示されているように、コイルばね43とロック用ワイヤー36の第2部分36Cとの連結部N1が、回動部材42とコイルばね43との連結部N2に対してシャッターカーテン1の側へずれている。このため、シャッターカーテン1が全開位置に達しても、コイルばね43がカーテン本体1Aを形成しているスラットと接触することをなくすことができ、また、コイルばね43が回動部材42とコイルばね43との連結部N2を中心にシャッターカーテン1の側へ揺動することを抑制できるため、この抑制により、コイルばね43がカーテン本体1Aを形成しているスラットと接触することも防止できる。
【0147】
また、
図16に示されているとおり、第2処理装置38の機枠49の上部には、接触式スイッチ手段であるマイクロスイッチ170が固定配置されている。このマイクロスイッチ170には、ばねでマイクロスイッチ170から突出する方向へ付勢されている作動部材(アクチュエータ)171が設けられており、このマイクロスイッチ170は、まぐさ16に配置された第2処理装置38の機枠49に、作動部材171が下向きに突出するように固定配置されている。マイクロスイッチ170のリード線172は、前述の制御装置27に接続されている。一方、回動部材42におけるギヤ歯42Cが形成されていない部分の外周面42Dには、ドグ部材173が取り付けられている。
【0148】
マイクロスイッチ170の作動部材171は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物に当接しない限り、回動部材42の外周面42Dに接触した状態となっている。一方、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物に当接し、機械式結合装置39の作動で回動部材42がD方向に回動することにより、作動部材171は、ドグ部材173に当接するようになっている。
【0149】
このため、本実施形態では、電気スイッチであるマイクロスイッチ170は、機械式結合装置39の作動でロック用ワイヤー36に緊張力が作用したことを回動部材42を介して検出する緊張力検出手段となっており、ロック用ワイヤー36は、緊張力作用部材となっている。そして、本実施形態では、機械式障害物検知装置35とマイクロスイッチ170とで、シャッターカーテン1の閉じ移動中にシャッターカーテン1の座板1Bが
図1で示す障害物34に当接したときに、この障害物34を電気式に検知するための電気式障害物検知手段である電気式障害物検知装置を構成するものとなっている。
【0150】
このように、機械式結合装置39は、シャッターカーテン1が全開位置に達している状態からシャッターカーテン1が全閉位置に達するまでの間(言い換えると、常時)、マイクロスイッチ170よりもシャッターカーテン1の閉じ移動方向側、すなわち、下側に位置するようになっている。
【0151】
なお、マイクロスイッチ170は、
図2に示すように、巻取軸11から繰り出されるシャッターカーテン1の厚さ方向(前後方向)中央位置を基準として、この中央位置よりも巻取軸11側、すなわち、制御装置27側に配置されている。すなわち、マイクロスイッチ170は、シャッターカーテン1の厚さ方向中央位置を基準として制御装置27と同じ側に配置されている。このため、マイクロスイッチ170及び制御装置27の修理、交換等のメンテナンス作業が容易となっている。
【0152】
図17は、
図1〜
図3で示されている前述の自動閉鎖装置32の内部構造を示す正面図であり、
図18は、この自動閉鎖装置32の内部構造を示す平面図である。自動閉鎖装置32は、火災等の災害の発生時において、
図1〜
図3で示されている前述の開閉機13を機械式に制御することにより、全開位置に達していたシャッターカーテン1を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び/又は防火性を有しているシャッターカーテン1により
図1の出入口2を閉鎖するためのものである。自動閉鎖装置32は、この自動閉鎖装置32の機枠110に設けられている
図17のブラケット部110Aにより、開閉機13に取り付けられている。また、
図18に示されているように、自動閉鎖装置32まで、この自動閉鎖装置32を制御するための第1制御用ワイヤー111、第2制御用ワイヤー112、第3制御用ワイヤー113のそれぞれの端部が延設されている。これらの制御用ワイヤー111〜113は、前述のロック用ワイヤー36と同じく、可撓性を有する紐状部材となっていて、細長部材ともなっている。
【0153】
また、これらの制御用ワイヤー111〜113は、可撓性を有するアウターケーブル114〜116の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー111〜113はアウターケーブル114〜116により保護されている。
【0154】
図16に示されているように、第1制御用ワイヤー111は第2処理装置38まで延びており、この第1制御用ワイヤー111の端部は、第2処理装置38の回動部材42に連結されている。また、
図2に示されているように、第1制御用ワイヤー111及びこの第1制御用ワイヤー111が内部に挿通されたアウターケーブル114は、第2処理装置38が一部の構成要素となっている前述のユニット構造物45と開閉機13とが配置されている天井裏空間7において配線されているとともに、この天井裏空間7に存在する物体117を避けて、言い換えると、物体117を迂回して、第1制御用ワイヤー111とアウターケーブル114とが配線可能なスペースにおいて配線されている。なお、このスペースは、予め存在しているものでもよく、第1制御用ワイヤー111とアウターケーブル114の配線時において、物体117の一部を切欠したり、物体117に孔を設けたりすることにより、形成したものでもよい。
【0155】
そして、このように第1制御用ワイヤー111とアウターケーブル114を物体117と干渉しないで配線することは、第1制御用ワイヤー111とアウターケーブル114が可撓性を有しているために可能である。なお、物体117は、本実施形態のシャッター装置が設置される建物自体に関係したものでよく、本実施形態のシャッター装置の一部、例えば、前述したシャッターボックス8に関係したものでもよい。
【0156】
また、
図16に示されているように、第1制御用ワイヤー111及びアウターケーブル114は、第2処理装置38の近くでは、第2処理装置38に対して斜めの向きとなっている。これにより、第1制御用ワイヤー111及びアウターケーブル114が、
図2で示されているまぐさ16のまぐさ部材16Aとシャッターボックス8とを結合している結合部材26と干渉しないようになっている。
【0157】
以上のことから、本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、機械式結合装置39からシャッターカーテン1の開き移動方向に延びているロック用ワイヤー36は、中間装置(言い換えると、中継装置)である第2処理装置38、さらには、第1制御用ワイヤー111を介して自動閉鎖装置32に連結されている。
【0158】
図17及び
図18に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、互いに対向する2個の立上り部110B、110Cが設けられており、これらの立上り部110B、110Cに形成された孔110D,110Eに、2個の立上り部110B、110Cに跨る長さを有している板状のスライド部材120がスライド自在に挿入されている。このスライド部材120の外周にはばね121が巻回されており、このばね121のばね力により、スライド部材120には立上り部110B側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、
図3で説明した開閉機13に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31AをA方向へ移動させる方向である。
【0159】
図3及び
図17に示されているとおり、スライド部材120の前端に下向きに折曲形成された折曲部120Aには、作動部材122が取り付けられており、また、レバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材123が立設結合されている。スライド部材120がばね121のばね力によって前進した場合には、作動部材122が被作動部材123に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに
図3で示したA方向への荷重が作用するようになっている。
図17に示されているように、本実施形態では、作動部材122はボルト124の頭部124Aとなっているため、この頭部124Aを回転操作してボルト124をスライド部材120の折曲部120Aに対して進退させることにより、作動部材122と被作動部材123との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト124に螺合させておいたロックナット125を回転操作し、このロックナット125を折曲部120Aに圧接させることにより、被作動部材123に対する作動部材122の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
【0160】
図18に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、ソレノイド126が取り付けられており、このソレノイド126のプランジャ127には、ばね128のばね力がプランジャ127をソレノイド126から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ127の先端には、中心軸129Aを中心に回動自在となっているL字形の屈曲レバー部材129の一方の端部がスライド式の連結部129Bで連結されており、トリガーレバー部材となっているこの屈曲レバー部材129の他方の端部には、ローラ130が回転自在に設けられている。
【0161】
このローラ130と対面するスライド部材120の部分には凹部120Bが形成されている。この凹部120Bにおけるスライド部材120の後退側の部分は、傾斜面120Cとなっている。また、自動閉鎖装置32には、屈曲レバー部材129に中心軸129Aを中心とするG方向への回動力を付与するためのばね131と、プランジャ127を前述のばね128と共にソレノイド126から突出させる方向へ付勢し、かつ屈曲レバー部材129を中心軸129Aを中心にG方向へ回動させるばね132とが設けられており、これらのばね128,131,132のばね力により、通常時のローラ130は、
図18に示されているように、凹部120Bに嵌合しており、この嵌合により、前述したばね121によるスライド部材120の前進は止められている。このように凹部120Bに嵌合したローラ130で前進が止められているときにおけるスライド部材120の前端の位置は、
図18で示す3個の位置H,I,Jのうち、H位置である。
【0162】
図18に示されているとおり、自動閉鎖装置32には、マイクロスイッチ135が配置され、このマイクロスイッチ135には、ばねでマイクロスイッチ135から突出する方向へ付勢されている作動部材136が設けられている。また、スライド部材120には、凹部120Bと反対側の部分において、ドグ部材137が取り付けられており、作動部材136はこのドグ部材137に当接している。
【0163】
スライド部材120には、第1連結部138Aと第2連結部138Bが設けられた連結部材138が結合されており、ソレノイド126のプランジャ127の先端には連結部材140が結合されており、前述したばね132の一方の端部は、この連結部材140に連結されている。
図4で示した第2処理装置38の回動部材42に一方の端部が連結されている前述の第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、スライド部材120の連結部材138の第1連結部138Aに連結され、第2制御用ワイヤー112の端部は、プランジャ127に結合された連結部材140に連結され、第3制御用ワイヤー113の端部は、スライド部材120の連結部材138の第2連結部138Bに連結されている。
【0164】
また、アウターケーブル115の内部に挿通された第2制御用ワイヤー112は、
図1で示されている操作装置30まで延びており、アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の端部には、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。さらに、アウターケーブル116の内部に挿通された第3制御用ワイヤー113は、自動閉鎖装置32が配置された前述の天井裏空間7から、建物内における手動で操作できる位置まで延びている。この位置は、本実施形態では、
図1に示されているように、天井裏空間7からまぐさ16のスリット17を通過した出入口2の上部の位置となっており、アウターケーブル116から突出している第3制御用ワイヤー113の端部には、手動で第3制御用ワイヤー113を引っ張り操作できる手動操作部材141が結合されており、この手動操作部材141は、本実施形態ではリング部材となっている。
【0165】
本実施形態に係る改修前のシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン1が全開となっているときに、火災等の災害が発生すると、この災害を検知したセンサからの信号が入力した制御装置27により、自動閉鎖装置32のソレノイド126は通電され、このソレノイド126が励磁されるため、このソレノイド126のプランジャ127は、ばね128のばね力に抗して後退する。これにより、屈曲レバー部材129は、ばね131,132のばね力に抗して中心軸129Aを中心に
図18のG方向とは逆方向に回動することになる。このときの状態が
図19で示されている。屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心にG方向とは逆方向に回動すると、屈曲レバー部材129のローラ130はスライド部材120の凹部120Bから脱出するため、スライド部材120はばね121のばね力で前進し、この前進は、連結部材138の前端が自動閉鎖装置32の機枠110の前述の立上り部110Bに当接することにより停止する。このときにおけるスライド部材120の前端の位置は、
図18で示した3個の位置H,I,Jのうち、
図19に示されているように、最前位置であるI位置である。
【0166】
また、スライド部材120が前進すると、マイクロスイッチ135の作動部材136は、スライド部材120に取り付けられているドグ部材137の位置から外れるため、作動部材136がばねの付勢力で突出移動することによるマイクロスイッチ135からの信号により、制御装置27はソレノイド126への通電を停止する。
【0167】
このソレノイド126への通電の停止により、プランジャ127はばね128のばね力でソレノイド126から突出移動し、屈曲レバー部材129はばね131,132のばね力で中心軸129Aを中心に
図18のG方向へ回動する。このときのスライド部材120は、このスライド部材120の前端がI位置まで達している移動限まで前進しているため、屈曲レバー部材129のローラ130は、
図20に示されているように、スライド部材120の前述した傾斜面120Cに当たる。このため、プランジャ127の突出移動、及び中心軸129Aを中心とする屈曲レバー部材129のG方向への回動は、途中で停止する。
【0168】
以上のようにして自動閉鎖装置32のスライド部材120が前進すると、このスライド部材120の前端に設けられている作動部材122が、
図3で示されている被作動部材123を介して開閉機13のレバー部材31の第1部分31Aを
図3のA方向に押圧するため、前述したように、この第1部分31Aがレバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置19は、オフとなる。このため、全開となっていたシャッターカーテン1は、巻取軸11よりも下側の部分の座板1B等の自重により、前述した巻取軸11を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機13の前述した駆動軸14も駆動力伝達手段12を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉となることにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
【0169】
また、火災等の災害が発生したことを人が発見した場合には、この人が、
図1で示した操作装置30に配置されていて、前述した第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作する。これにより、ソレノイド126のプランジャ127は後退するため、ソレノイド126が通電、励磁される前であっても、ソレノイド126が通電、励磁されたときと同じく、屈曲レバー部材129は中心軸129Aを中心に
図18のG方向とは逆方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130はスライド部材120の凹部120Bから脱出し、スライド部材120はばね121のばね力で前進することになる。
【0170】
このため、本実施形態によると、第2制御用ワイヤー112を利用した手動操作でも、開閉機13のブレーキ装置19をオフにし、全開となっていたシャッターカーテン1を閉じ移動させて全閉とすることができる。
【0171】
このように、本実施形態では、第2制御用ワイヤーと、この第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材は、火災等の災害が発生したとき、手動で全開となっていたシャッターカーテン1を閉じ移動(閉鎖動作)させるための手動閉鎖装置を構成するものとなっている。
【0172】
そして、本実施形態では、
図1に示されているように、操作装置30は、左右の壁等の建物躯体3のうち、開閉機13及び自動閉鎖装置32に近い位置となっている一方の建物躯体3Aに配置されているため、自動閉鎖装置32と操作装置30との間に架け渡されている第2制御用ワイヤー112の長さを短くできることになる。このため、他方の建物躯体3に操作装置30を配置した場合よりも、上述のレバー部材等の手動操作部材により第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作したときの引っ張り力を自動閉鎖装置32に瞬時に入力させることができ、これにより、シャッターカーテン1の閉じ移動を迅速に開始させることができる。
【0173】
シャッターカーテン1が全閉位置に達し、そして、火災等の災害が解消したときには、前述した第3制御用ワイヤー113の端部を、
図1で示されている手動操作部材141の操作により引っ張る。これにより、第3制御用ワイヤー113は自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結されているため、このスライド部材120はばね121のばね力に抗して後退することになる。このため、スライド部材120は、
図20に示されている位置から、前端が
図18のH位置となる初期位置へ復帰することになる。また、スライド部材120がこの初期位置へ復帰するときに、屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心としてばね131,132のばね力で
図18のG方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130は、
図18に示されているように、スライド部材120の凹部120Bに嵌合することになり、スライド部材120は、スライド部材120の前端がH位置に達した状態で停止する。これにより、自動閉鎖装置32は、火災等の災害が発生する前の初期状態に戻る。
【0174】
また、スライド部材120が初期位置へ復帰すると、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は
図3の前述したばね23でA’方向とは逆方向へ移動するため、ブレーキ装置19はオンに復帰する。この後に、操作装置30に設けられている前述の「開」ボタンを操作することにより、シャッターカーテン1は、前述したとおり、全開位置まで開き移動する。
【0175】
本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、ロック用ワイヤー36と第1制御用ワイヤー111は、第1紐状部材であり、自動閉鎖装置32には、引っ張り操作されることにより、オンとなっていたブレーキ装置19を手動によりオフとするための第2紐状部材である第2制御用ワイヤー112が接続されている。また、自動閉鎖装置32には、引っ張り操作されることにより、自動閉鎖装置32を初期状態に戻すための第3紐状部材である第3制御用ワイヤー113が接続されている。
【0176】
なお、
図16で示されているロック用ワイヤー36の第2部分36Cの上端に、この上端をコイルばね43に連結するためのループ部36Eを形成するための結合具36Fを設ける場合において、この結合具36Fを押し潰し加工等することにより、結合具36Fの水平断面を、シャッターカーテン1の厚さ方向に細長くなった細長形状としておくことが好ましい。これによると、
図4で示す機械式結合装置39を収納するためのケース55の上面部55Bに形成されていて、第2部分36Cが出入する孔57は、結合具36Fの細長方向と直交するシャッターカーテン1の幅方向に長い長孔になっているため、上述したようにシャッターカーテン1が全開位置まで開き移動した際に、結合具36Fの下面が、長孔57の外側部分となっているケース55の上面部55Bに当接することにより、結合具36Fの下面が長孔57の内部に侵入してシャッターカーテン1が所定以上に開き移動することを防止できる。
【0177】
前述したように、火災等の災害を検知したセンサからの信号が入力した制御装置27により自動閉鎖装置32のソレノイド126が通電、励磁され、あるいは、第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により第2制御用ワイヤー112が引っ張り操作され、これにより、開閉機13のブレーキ装置19がオフとなって、シャッターカーテン1が全開位置から下向きに閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置32が
図20で示した状態になっているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン1の下側に
図1で示す障害物34が存在している場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン1の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部71Bが、言い換えると、シャッターカーテン1の座板1Bの下側部分を形成している前述の可動部70Bが障害物34に当接し、この可動部70Bの下降が停止する。
【0178】
可動部70Bの下降が停止しても、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの前述した固定部70Aとで構成される前述のカーテン主部71Aは、下降するため、この下降で生ずるカーテン主部71Aに対するカーテン副部71Bの相対的な上昇により、
図15等で説明したように、前述した機械式結合装置39の第1レバー部材61と第2レバー部材62は、摩擦部材67,68において、ロック用ワイヤー36の前述した折り返し部36Aを挟着し、この挟着によりロック用ワイヤー36をロックする。これにより、シャッターカーテン1と、本実施形態に係る架け渡し部材となっているロック用ワイヤー36とが、機械式結合装置39により機械式に結合された状態となる。
【0179】
それまでのロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1の閉じ移動に追従して前述の第1処理装置37のリール40から繰り出されており、ロック用ワイヤー36の折り返し部36Aが摩擦部材67,68で挟着され、ロック用ワイヤー36がロックされると、障害物34のへこみ変形に基づき、折り返し部36Aで折り返された状態になっているロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cには、カーテン副部71Bよりも上側のシャッターカーテン1の部分の重量、すなわち、カーテン主部71Aの重量が作用するため、ロック用ワイヤー36には、特に、第2部分36Cには、大きな緊張力が作用する。
【0180】
そして、ロック用ワイヤー36の折り返し部36Aは、
図15に示されているように、第1レバー部材61と第2レバー部材62に設けられた摩擦力が大きい摩擦部材67,68で挟着、ロックされるため、これらの摩擦部材67,68により、ロック用ワイヤー36が第1レバー部材61と第2レバー部材62に対して滑り移動することを阻止することができる。また、本実施形態では、第1レバー部材61と第2レバー部材62の揺動中心軸となっている前述の軸63は、第1レバー部材61と第2レバー部材62について共通化されているため、部材点数の削減により機械式結合装置39の構造を簡単化できるとともに、摩擦部材67,68同士の位置関係を適切に設定できることになり、このため、ロック用ワイヤー36の上記の折り返し部36Aを摩擦部材67,68で一層確実に挟着、ロックできるようになっている。
【0181】
さらに、障害物34へのシャッターカーテン1の当接が、前述の機械式結合装置39が配置された位置の下側で行われず、この機械式結合装置39の配置位置の下側からシャッターカーテン1の幅方向にずれた位置で行われ、このため、シャッターカーテン1における機械式結合装置39が配置された部分がシャッターカーテン1の閉じ方向へ少し移動しようとした場合には、第1処理装置37のリール40から繰り出されているロック用ワイヤー36は、摩擦部材67,68で挟着されている箇所が第1部分36B側から第2部分36C側へ移行するための移動を行おうとするが、この移動方向とは反対方向へ摩擦部材67,68の間隔は次第に小さくなっているため、ロック用ワイヤー36が第1レバー部材61と第2レバー部材62に対して滑り移動することを一層有効に阻止することができる。
【0182】
また、本実施形態では、ロック用ワイヤー36の折り返し部36Aが摩擦部材67,68で挟着、ロックされるときには、
図15で示されているように、折り返し部36Aには、前述した複数個のガイド部材60のうちの1個のガイド部材60Aや、第2レバー部材62により、直線状となっていない迂回部36Gが形成されるようになっている。このため、障害物34がへこみ変形しない又は殆どへこみ変形しない硬質の物体であっても、ロック用ワイヤー36に迂回部36Gが形成されることにより、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cを引っ張ることができ、これにより、この第2部分36Cに大きな緊張力を作用させることができる。
【0183】
以上のようにして、ロック用ワイヤー36が第1レバー部材61と第2レバー部材62に対して滑り移動することが摩擦部材67,68により阻止されて、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cに大きな緊張力が作用すると、
図16で示した第2処理装置38の回動部材42は、この緊張力により、前述した戻しばね100に抗して
図16のD方向に回動し、この回動量は、前述のストップ部材101が挿入されている円弧状の長孔42Bの長さに応じたものとなる。このときの回動は、ロータリー式のダンパー102のピニオンギヤ103をF方向に回転させるが、このF方向へのピニオンギヤ103の回転では、前述したとおり、ダンパー102に粘性流体による抵抗力は発生しない。このため、第2部分36Cに作用した緊張力により回動部材42は高速でD方向へ回動することになり、この回動部材42に一方の端部が連結されている第1制御用ワイヤー111は引っ張られることになる。
【0184】
なお、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cは回動部材42に直接連結されておらず、これらの第2部分36Cと回動部材42との間には衝撃荷重緩衝用弾性部材となっている前述のコイルばね43が介設されているため、第2部分36Cに上述の大きな緊張力が瞬間的に作用しても、この緊張力が回動部材42に直接作用することはなく、緊張力を緩和させて回動部材42に作用させることができる。
【0185】
また、回動部材42のD方向への回動量が円弧状の長孔42Bに挿入されているストップ部材101で規定される限界値に達したときにも、コイルばね43による衝撃荷重緩衝作用により、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cと回動部材42との間で大きな衝撃荷重が伝播をすることを防止することができる。
【0186】
上述のように第1制御用ワイヤー111が引っ張られると、この第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、
図20で示されているスライド部材120に連結されているため、スライド部材120はばね121に抗しながら後退する。第1制御用ワイヤー111が引っ張られる量及びスライド部材120が後退する量は、
図16で示した回動部材42の長孔42Bの長さで規定されている量であるため、前端が
図18及び
図20で示すI位置まで達していたスライド部材120は、スライド部材120の前端の位置が
図18のH位置となる後退限まで後退せず、前端の位置がJ位置となる位置、すなわち、H位置とI位置との中間の位置で停止する。このときの状態が
図21に示されている。このときの屈曲レバー部材129のローラ130が当接しているスライド部材120位置は、
図20のときよりも、スライド部材120のスライド方向であるスライド部材120の長さ方向へ移動しているが、ローラ130は、前述した傾斜面120Cにまだ当接している。
【0187】
また、このときのスライド部材120の前端の位置は、I位置からJ位置へ後退しているため、このスライド部材120の作動部材122によって
図3及び
図17のレバー部材31の第1部分31Aが
図3のA方向に押圧されていた荷重は、解除されることになる。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オフからオンに切り替えられることになる。そして、このブレーキ装置19のオンにより、開閉機13の前述の駆動軸14は回転できないため、シャッターカーテン1の上端が結合されている巻取軸11も回転することはできない。
【0188】
したがって、障害物34に当接したシャッターカーテン1は、その当接位置で閉じ移動を停止することになる。この停止は、ロック用ワイヤー36を摩擦部材67,68でロックする第1レバー部材61と第2レバー部材62を備えた前述の機械式結合装置39や、同じく機械式となっている第2処理装置38、さらには機械式にスライドする自動閉鎖装置32の部材となっているスライド部材120、機械式にオンとなる開閉機13のブレーキ装置19等により構成されている機械式構造によって行われる。このため、シャッターカーテン1が閉じ移動を開始した後に、火災等の災害の発生を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物が停電になっても、閉じ移動中に障害物34に当接したシャッターカーテン1を停止させることができる。
【0189】
また、本実施形態では、
図1で説明したように、前述した機械式障害物検知装置35を構成している機械式結合装置39とユニット構造物45は、シャッターカーテン1の幅方向の中央位置Bに配置されておらず、この中央位置Bから、シャッターカーテン1の幅方向のうち、開閉機13及び自動閉鎖装置32が配置されている一方の側へ変位している位置に配置されている。このため、第2処理装置38と自動閉鎖装置32との間に配線されている第1制御用ワイヤー111の長さを短くすることができる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときには、第1制御用ワイヤー111に作用する前述の緊張力を瞬時に自動閉鎖装置32に入力させることができ、これにより、開閉機13のブレーキ装置19を迅速にオンにすることができる。
【0190】
以上説明したように、本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、機械式結合装置39は、シャッターカーテン1に配置された一対の挟着部材となっている第1及び第2レバー部材61,62を備え、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに一対の第1及び第2レバー部材61,62が紐状部材であるロック用ワイヤー36を挟着することにより、このロック用ワイヤー36に、スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力が作用する。
【0191】
なお、例えば、ユニット構造物45と自動閉鎖装置32との間に大きな物体が存在するなどの理由により、当該箇所に第1制御用ワイヤー111を配線できる充分なスペースがなく、このため、ユニット構造物45の第2処理装置38と自動閉鎖装置32との間に、長さを短くした第1制御用ワイヤー111を配線することが不可能又は困難である場合には、まぐさ16におけるユニット構造物45を配置する位置を上記の位置から変更し、これにより、第2処理装置38と自動閉鎖装置32との間で第1制御用ワイヤー111を、この第1制御用ワイヤー111を配線できるスペースを通すことにより、配線するようにしてもよい。これによってユニット構造物45が配置されるまぐさ16における位置を、シャッターカーテン1の幅方向の中央位置Bから、シャッターカーテン1の幅方向のうち、開閉機13及び自動閉鎖装置32が配置されている上記の一方の側とは反対側の位置へ移行させ、ユニット構造物45等で構成されている上述の機械式障害物検知装置35の配置位置を、シャッターカーテン1の幅方向の中央位置Bに対して
図1で示されている位置とは反対の位置、言い換えると、開閉機13及び自動閉鎖装置32から中央位置Bよりもさらに遠い位置としてもよい。
【0192】
以上のようにして閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接し、開閉機13のブレーキ装置19がオンになった後に、障害物34が除去されると、シャッターカーテン1のカーテン副部71Bが下降するため、機械式結合装置39の第1レバー部材61と第2レバー部材62の摩擦部材67,68によるロック用ワイヤー36の挟着、ロックは解除され、機械式結合装置39によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との機械式結合状態も解除される。これにより、ロック用ワイヤー36の緊張力は消滅し、このため、
図16の戻しばね100による戻し力が作用している第2処理装置38の回動部材42は、
図16のC方向に回動し、この回動により、第1制御用ワイヤー111によって後退方向へ引っ張られていた自動閉鎖装置32のスライド部材120は、前端の位置が
図21で示すJ位置から
図20で示すI位置へ移行する前進をばね121により行う。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オンからオフへ再度切り替られ、シャッターカーテン1は閉じ移動を再開することとなる。
【0193】
また、第2処理装置38の回動部材42が
図16のC方向に回動するときには、ロータリー式のダンパー102のピニオンギヤ103はE方向に回転し、このE方向についてはダンパー102に粘性流体による抵抗力が生ずる。このため、スライド部材120の前端の位置が
図21で示すJ位置から
図20で示すI位置へ移行すること、及びこの移行により開閉機13のブレーキ装置19がオンからオフへ切り替られることは、ダンパー102の遅延作用により、瞬時に行われない。したがって、障害物34の除去によりシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することは、障害物34の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、障害物34の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。
【0194】
この説明で分かるように、第2処理装置38に配置されている2個のロータリー式のダンパー102は、上述の遅延を生じさせるための遅延装置となっている。
【0195】
すなわち、本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、ダンパー102は、中間装置となっている第2処理装置38の作動、すなわち、第2処理装置38の回動部材42の回動を遅延させるものとなっている。
【0196】
なお、この遅延装置のダンパー102からの粘性流体の漏れがあっても、この粘性流体が
図4で示すユニット構造物45から落下することを防止するために、例えば、ユニット構造物45のベース部材44の周囲に立ち上り壁を設けることにより、このベース部材44を皿形状としてもよい。
【0197】
また、この遅延装置は、ダンパー102の代わりに、例えば、ぜんまい式タイマーを含む機械式手段を採用したものとしてもよい。この機械式手段によると、粘性流体式ダンパー102と異なり、環境温度に影響されることなく遅延時間をより正確に設定することができる。
【0198】
そして、シャッターカーテン1が全閉となった後において、第3制御用ワイヤー113を、
図1で示した手動操作部材141で引っ張ることにより、自動閉鎖装置32のスライド部材120は、前端の位置が
図18のH位置に戻る復帰移動を行うため、自動閉鎖装置32の全体は
図18の初期状態に復帰する。
【0199】
なお、第3制御用ワイヤー113を
図1で示した操作装置30まで延長することにより、第3制御用ワイヤー113の端部を、操作装置30に配置されたレバー部材等の手動操作部材、又は操作装置30に配置されたスイッチ操作式の電動モータで回転する回転部材であって、第3制御用ワイヤー113を繰り出し自在に巻き取るための巻取部材に連結してもよい。これにより、第3制御用ワイヤー113を上記手動操作部材又は上記電動モータで回転する上記巻取部材で引っ張ることができるようにしてもよい。
【0200】
以上説明した本実施形態では、前述したように、ロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cの両方が、機械式結合装置39が配置されている固定部70Aを除くカーテン主部71Aからシャッターカーテン1の厚さ方向に離れた位置に配置されていて、カーテン主部71Aと干渉していないため、まぐさ16とシャッターカーテン1との間に架け渡された架け渡し部材となっていて、本実施形態における機械的部材となっているロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1が開閉移動しているときに、この開閉移動を阻害することはなく、この開閉移動を円滑に行わせることができる。
【0201】
また、本実施形態では、ロック用ワイヤー36が、第1部分36Bと第2部分36Cの両方について、シャッターカーテン1の固定部70Aを除くカーテン主部71Aから離れているため、シャッターカーテン1が開閉移動しても、ロック用ワイヤー36の全体が固定部70Aを除くカーテン主部71Aに対して擦れることはなく、このため、ロック用ワイヤー36の全体と、固定部70Aを除くカーテン主部71Aとが、損傷することを防止することができる。
【0202】
また、本実施形態によると、
図2で説明したように、シャッターカーテン1は天井部材5に配置されたまぐさ16のスリット17を通って天井部材5の下側に垂下され、ロック用ワイヤー36の第1及び第2部分36B,36Cは天井部材5の上下に跨る長さを有しているとともに、これらの第1及び第2部分36B,36Cは、まぐさ16と接触せずにこのまぐさ16のスリット17に挿通されているため、シャッターカーテン1が開閉移動しているときに、まぐさ16に対するロック用ワイヤー36の円滑な移動を保障することができる。
【0203】
さらに、ロック用ワイヤー36の第1及び第2部分36B,36Cは、まぐさ16と干渉しないため、ロック用ワイヤー36とまぐさ16の両者が損傷することを防止することができる。
【0204】
以上の説明は、本実施形態に係る改修前のシャッター装置が防災用シャッター装置として機能する場合におけるシャッター装置の動作の説明であった。
【0205】
次に、本実施形態に係る改修前のシャッター装置が管理用シャッター装置として機能する場合におけるシャッター装置の動作の説明をする。
【0206】
通常時において、全開となっているシャッターカーテン1を閉じ移動させるためには、
図1で示した操作装置30の「閉」ボタンを操作することにより、電動によりシャッターカーテン1を閉じ移動させる。一方、全閉となっているシャッターカーテン1を開き移動させるためには、操作装置30の「開」ボタンを操作することにより、電動によりシャッターカーテン1を開き移動させる。このように、本実施形態に係る改修前のシャッター装置が、出入口2を開閉するための管理用(開口部用)シャッター装置として動作する場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動は、操作装置30の「閉」ボタンの操作で行われるものであり、前述した自動閉鎖装置32の作動や、前述した第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材による第2制御用ワイヤー112の引っ張り操作等では行われない。このため、通常時(言い換えると、平常時)、シャッターカーテン1が閉じ移動を開始したときの自動閉鎖装置32の状態は、
図17及び
図18に示されている状態となる。
【0207】
閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接した場合には、前述した非常時の場合と同じく、機械式結合装置39の第1レバー部材61と第2レバー部材62は、摩擦部材67,68において、ロック用ワイヤー36の部分36Aを挟着、ロックするため、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cには、下向きの緊張力が作用することになる。
【0208】
これにより、シャッターカーテン1の閉じ移動は、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cに作用する緊張力で停止することになる。また、これにより、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cの端部がコイルばね43を介して結合されている第2処理装置38の回動部材42が、
図16に示すD方向に回動することになる。前述したように、回動部材42に一方の端部が連結されている第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、スライド部材120の連結部材138の第1連結部138Aに連結されているため(
図18参照)、回動部材42がD方向に回動することにより、第1制御用ワイヤー111は引っ張られることになる。
図18に示されているように、第1制御用ワイヤー111が引っ張られる前のスライド部材120の幅広部120Dの後端部120Eと、屈曲レバー部材129のローラ130との間には、隙間176が形成されている。このため、第1制御用ワイヤー111が引っ張られることにより、スライド部材120は、隙間176分だけ後退可能となっている。前述したように、回動部材42の回動量は、ストップ部材101が挿入されている円弧状の長孔42Bの長さに応じたものとなっており、スライド部材120の後退距離(移動量)は、回動部材42の回動量と略一致している。このため、スライド部材120の後退は、幅広部120Dの後端部120Eがローラ130に当接した直後に停止する。したがって、スライド部材120がローラ130を押圧する力はほとんどなく、このローラ130がスライド部材120の後退によって損傷するおそれはない。
【0209】
前述したように、
図16は、シャッターカーテン1が障害物34に当接していないときの第2処理装置38を示す図であるが、このとき、第2処理装置38の機枠49の上部に固定配置されているマイクロスイッチ170の作動部材171は、回動部材42の外周面42Dに接触した状態、すなわち、マイクロスイッチ170が作動していない状態となっている。一方、
図22は、シャッターカーテン1が障害物34に当接することにより、回動部材42がD方向に回動したときの第2処理装置38を示す図である。この
図22に示されているように、回動部材42がD方向に回動することにより、マイクロスイッチ170の作動部材171は、回動部材42に取り付けられているドグ部材173に当接する(乗り上げる)。このため、ばねの付勢力で下向きに突出していたこの作動部材171は没入することになり、マイクロスイッチ170が作動した状態となる。すなわち、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cに緊張力が作用したことを検出した状態、言い換えると、障害物34を電気的に検知した状態となる。
【0210】
このため、本実施形態に係る改修前のシャッター装置には、前述したように、機械式障害物検知装置35の他に、この機械式障害物検知装置35とマイクロスイッチ170とにより、シャッターカーテン1の電動による閉じ移動中における障害物34の検知を電気式に行う電気式障害物検知装置が備えられている。すなわち、この電気式障害物検知装置174は、通常時におけるシャッターカーテン1の電動降下中の障害物34との当接の検知を行う通常時障害物検知手段となっている。これに対して、機械式障害物検知装置35は、非常時におけるシャッターカーテン1の自重降下中の障害物34との当接の検知を行う非常時障害物検知手段となっている。また、マイクロスイッチ170は、緊張力作用部材であるロック用ワイヤー36に緊張力が作用したことを検出する緊張力検出手段となっている。
【0211】
マイクロスイッチ170は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接した後から、このシャッターカーテン1の閉じ移動が機械式シャッターカーテン停止装置により停止されるまでの間には作動するようになっている。
【0212】
なお、マイクロスイッチ170は、
図1に示すシャッターカーテン1の幅方向(左右方向)の中央位置Bに配置されておらず、中央位置Bからシャッターカーテン1の幅方向のうちの一方の側へ変位している位置、すなわち、開閉機13が配置されている側の位置に配置されている。
【0213】
マイクロスイッチ170が作動することにより、このマイクロスイッチ170のリード線172が接続されている図示しない前述の制御装置27には、障害物34を検知した旨の障害物検知信号が入力される。これにより、シャッターカーテン1に当接した障害部34との当接(衝突)を回避するための制御装置27による以下の制御が行われる。
【0214】
まず、開閉機13の電動モータ装置18のコイル25の通電を遮断する制御が行われ、これにより、電動モータ装置18の正駆動は停止する。この後、開閉機13のブレーキ装置19のソレノイド24の通電を遮断する制御が行われ、これにより、ブレーキ装置19がオンにされる。この結果、シャッターカーテン1は電動による降下を停止する。
【0215】
この後、開閉機13のブレーキ装置のソレノイド24を再度通電する制御が行われると共に、開閉機13の電動モータ装置18のコイル25を再度通電する制御が行われる。これにより、電動モータ装置18は逆駆動(逆回転)する。この結果、シャッターカーテン1は電動による上昇(開き移動)、言い換えると、反転上昇を行う。
【0216】
シャッターカーテン1が電動上昇している途中で、図示しない全開リミットスイッチが作動した場合には、開閉機13の電動モータ装置18のコイル25の通電を遮断する制御(電動モータ手段装置の逆駆動を停止する制御)が行われるとともに、開閉機13のブレーキ装置19のソレノイド24の通電を遮断する制御(ブレーキ装置19をオンにする制御)が行われる。この結果、シャッターカーテン1は電動による上昇を停止する。
【0217】
一方、シャッターカーテン1が電動上昇している途中で、全開リミットスイッチが作動していない場合には、シャッターカーテン1の電動上昇を開始してから第1所定時間T1が経過するまで、シャッターカーテン1の電動上昇は継続される。シャッターカーテン1の電動上昇を開始してから第1所定時間T1が経過したかどうかは、制御装置27に備えられている図示しないタイマー回路によりカウントされる時間で判定される。
【0218】
シャッターカーテン1の電動上昇を開始してから第1所定時間T1が経過した場合には、開閉機13の電動モータ装置18のコイル25の通電を遮断する制御が行われ、これにより、電動モータ装置18の逆駆動は停止する。この後、開閉機13のブレーキ装置19のソレノイド24の通電を遮断する制御が行われ、これにより、ブレーキ装置19がオンにされる。この結果、シャッターカーテン1は電動による上昇を停止する。
【0219】
本実施形態では、シャッターカーテン1の電動上昇を停止させた後、第2所定時間T2が経過した後に、再び電動降下を開始させるようになっている。すなわち、シャッターカーテン1の電動上昇が停止してから第2所定時間T2が経過するまでは、シャッターカーテン1の停止が継続される。一方、シャッターカーテン1の電動上昇が停止してから第2所定時間T2が経過した場合には、前述したシャッターカーテン1を電動降下させる制御が行われる。なお、シャッターカーテン1が電動上昇を停止してから第2所定時間T2が経過したかどうかは、前記タイマー回路によりカウントされる時間で判定される。
【0220】
本実施形態において、タイマー回路によりカウントされる第1及び第2所定時間T1,T2は任意に設定することができ、T1とT2が同じとなるようにしてもよい。
【0221】
なお、障害物34に当接したシャッターカーテン1が電動上昇することにより、カーテン副部71Bは障害物34から離れていくため、カーテン副部71Bがカーテン主部71Aに対して相対的に下降する。これにより、
図22に示された状態にあった回動部材42は、戻しばね100による戻し力によりC方向に回動するため、回動部材42に取り付けられているドグ部材173との当接で没入していた第2処理装置38のマイクロスイッチ170の作動部材171は、再び突出した状態となる(
図16参照)。この結果、マイクロスイッチ170の作動は解除されることになる。すなわち、電気式障害物検知装置174の障害物検知状態は解除されることになる。
【0222】
電動上昇させたシャッターカーテン1を再び電動降下させたときにおいて、障害物34がまだ除去されていない場合には、第2処理装置38のマイクロスイッチ170が再度作動することになるので、制御装置27による前述したシャッターカーテン1を電動上昇させる制御が行われる。
【0223】
以上説明したように、本実施形態に係る改修前のシャッター装置が管理用シャッター装置として機能する場合には、シャッターカーテン1が全開となっているときに、
図1で示した操作装置30の「閉」ボタンが操作されることによりシャッターカーテンが閉じ移動を開始し、この閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接した場合にも、機械式結合装置39の第1レバー部材61と第2レバー部材62は、摩擦部材67,68において、ロック用ワイヤー36の折り返し部36Aを挟着、ロックし、機械式結合装置39がシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合するため、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cには、下向きの緊張力が作用することになる。
【0224】
そして、このようにシャッターカーテン1の閉じ移動を、操作装置30の「閉」ボタンを操作されることにより行った場合には、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cの緊張力は、第2処理装置38の回動部材42と、第1制御用ワイヤー111とを介して自動閉鎖装置32のスライド部材120に作用することになる。このときのスライド部材120の凹部120Bには、前述の屈曲レバー部材129のローラ130が嵌合されているため、シャッターカーテン1の閉じ移動を、シャッターカーテン1が障害物34のへこみ変形等で少し下降した後に、停止させることができる。
【0225】
以上説明したように、本実施形態に係る改修前のシャッター装置は、管理用シャッター装置としての機能と防災用シャッター装置としての機能の両方の機能を有しており、遅延装置となっているダンパー102は、防災用シャッター装置としての機能だけのためのものとなっている。
【0226】
また、本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、このシャッター装置が管理用シャッター装置として機能しているとき、ロック用ワイヤー36に緊張力が作用したことを検出するための検出手段であるマイクロスイッチ170が設けられており、このマイクロスイッチ170は、第2処理装置38に配置されているダンパー102の近傍に設けられている。
【0227】
以上説明したように、
図1〜
図22に示されている本実施形態に係る改修前(言い換えると、変更前)のシャッター装置は、開閉移動自在となっているシャッターカーテン1と、オン、オフすることによりシャッターカーテン1を停止、移動可能とするためのブレーキ装置19を有する開閉機13と、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えるためにスライド自在となっているスライド部材120を有し、開閉機13を機械式に制御するための機械式制御装置である自動閉鎖装置32と、シャッターカーテン1に配置されていて、シャッターカーテン1が閉じ移動の途中でこのシャッターカーテン1の移動経路に存在する障害物34に当接したときに、シャッターカーテン1と紐状部材であるロック用ワイヤー36とを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤー36に、スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させる機械式結合装置39と、障害物34の除去によりスライド部材120がブレーキ装置19をオンからオフに切り替えてシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することを、障害物34の除去から時間遅れをもって開始させるための遅延装置であるダンパー102と、を備えたものとなっている。
【0228】
次に、本実施形態に係る改修後のシャッター装置について説明する。
図23は、前述した
図1〜
図22に示されているシャッター装置を改修したシャッター装置、すなわち、本実施形態に係る改修後のシャッター装置の全体を示す
図1と同様の図である。なお、以下の説明で用いる
図23〜
図42において、改修前のシャッター装置に用いられていた部材、装置等のうち、改修後のシャッター装置においてもそのまま使用する部材、装置等については、同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0229】
本実施形態に係る改修後のシャッター装置は、改修前のシャッター装置と同様に、管理及び防災の併用(兼用)シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係る改修後のシャッター装置は、管理用シャッター装置としての機能と、防災用シャッター装置としての機能と、を有している。
【0230】
上述したように、
図23には本実施形態に係る改修後のシャッター装置の全体が示されており、この
図23は、前述の
図1と同様に、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右一対のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
【0231】
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、シャッターボックス8が配置されており、このシャッターボックス8は、
図23のS24−S24線断面図である
図24に示されているように、天井裏空間7に存在する下がり壁等の建物躯体9にボルト等の結合具10で結合されている。シャッターボックス8の内部には巻取軸11が水平に収納配置され、この巻取軸11は、シャッターボックス8の
図23で示されている左右の側面部8A,8Bに回転自在に支持されている。また、
図23に示されているように、巻取軸11の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段12を介して開閉機13が接続されている。巻取軸11を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機13は
図24でも示されており、開閉機13の駆動軸14の回転力は、この駆動軸14に取り付けられた駆動スプロケットホイール12Aと、巻取軸11の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール12Bと、これらのスプロケットホイール12A、12Bの間に架け渡された無端ローラチェーン12Cとによる駆動力伝達手段12を経て巻取軸11に伝達される。
【0232】
なお、本実施形態の開閉機13は、
図24に示されているように、シャッターボックス8の左右の側面部8A,8Bのうち、一方の側面部8Bに結合されたブラケット部材15に取り付けられている。
【0233】
図24から分かるように、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻回されているとともに、シャッターカーテン1の上端は巻取軸11の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン1における巻取軸11より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ16に設けられたスリット17を通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール6にスライド自在に挿入されている。まぐさ16は、互いに対向配置されたまぐさ部材16A,16Bにより形成され、これらのまぐさ部材16A,16Bの間がスリット17となっている。
【0234】
図25は、開閉機13の内部構造を示す断面図である。この
図25に示されているように、開閉機13は、直流又は交流の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸14は、電動モータ装置18の回転する回転子18Aの中心に配置された回転軸となっている。この駆動軸14におけるブレーキ装置19側の端部には、円盤状のブレーキシュー20が結合されている。ブレーキ装置19には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸21が設けられ、このブレーキ軸21には、ブレーキシュー20と軸方向に対面するブレーキドラム22が結合されている。通常時のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、ばね23で電動モータ装置18側へ押圧されており、このため、ブレーキシュー20とブレーキドラム22との圧接によりブレーキ装置19はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置18の駆動軸14は、ブレーキ装置19の制動力によって回転しない。
【0235】
一方、ブレーキ装置19に配置されているソレノイド24に通電されたときには、このソレノイド24の磁力により、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22はばね23に対抗して電動モータ装置18から離れる方向へスライドする。このため、ブレーキシュー20とブレーキドラム22との圧接が解除され、ブレーキ装置19はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置18の駆動軸14は、コイル25への通電により回転できることになる。
【0236】
図23で示した左右の建物躯体3A,3Bのうち、一方の建物躯体3Aには、前述の改修前のシャッター装置に備えられていた操作装置30と同様に、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、移動停止させることとを行わせるための操作装置230が取り付けられている。改修前のシャッター装置の操作装置30を改修したもの(言い換えると、操作装置30の大部分を流用したもの)となっているこの操作装置230は、改修前のシャッター装置の操作装置30の「開」ボタン、「閉」ボタン及び「停」ボタンをそのまま使用するものであり、これらのボタンの機能は、改修前のシャッター装置の操作装置30における機能と同じである。また、シャッターカーテン1は、前述のカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板201Bとを有したものとなっており、この座板201Bは、改修前のシャッター装置の座板1Bと同じ又は略同じ形状、構造を有するものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。
【0237】
カーテン本体1Aは、改修前のシャッター装置と同様に、本実施形態に係る改修後のシャッター装置における開閉体本体となっており、座板201Bは、このカーテン本体1Aにおけるシャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置された本実施形態に係る改修後のシャッター装置におけるエンド部材となっている。
【0238】
座板201Bが前述の天井部材5に配置されたまぐさ16の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板201Bが
図23に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、操作装置230の「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号が入力する制御装置27の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフとなる。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸11及び駆動軸14を正回転させて巻取軸11から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置27の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19はばね23でオンに復帰する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板201Bが
図23に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号が入力する制御装置27の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフになるとともに、制御装置27の制御により電動モータ装置18のコイル25に通電される。このため、駆動軸14は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段12を介して巻取軸11に伝達され、巻取軸11の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置27の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置27の制御によりコイル25への通電が遮断される。
【0239】
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置27の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置27の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置27の制御により電動モータ装置18のコイル25への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
【0240】
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、シャッターボックス8、このシャッターボックス8に結合されたブラケット部材15、さらには、まぐさ16等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、シャッターボックス8、ブラケット部材15、まぐさ16等は、シャッターカーテン1に対する不動部材となっている。
【0241】
なお、シャッターカーテン1の下向きの閉じ移動をシャッターカーテン1の自重だけで行わせるのではなく、この自重と、電気モータ装置18の駆動による駆動軸14の正回転とにより、シャッターカーテン1を閉じ移動させるようにしてもよい。
【0242】
また、前述のように正逆回転自在となっている巻取軸11に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
【0243】
本実施形態では、
図25に示されているとおり、ブレーキ軸21における電動モータ装置18側とは反対側の端部にはレバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸21を貫通したものであって、ブレーキ軸21を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ装置18側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドする。このため、ソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
【0244】
このため、ブレーキ装置19は、第1部分31AへのA方向の荷重の作用と、この荷重が解除されたときのばね23とにより、オン、オフする機械的のブレーキ装置にもなっている。
【0245】
図24は、
図23のS24−S24線断面図であり、前述の
図2と同様の図である。また、
図25は、開閉機13の内部構造を示す断面図であり、前述の
図3と同様の図である。
【0246】
図25に示されているブレーキ装置19のレバー部材31の第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、改修後のシャッター装置では、開閉機13に取り付けられている
図24や
図25に示す複合装置300の一部の構成装置となっている後述の自動閉鎖装置232によって行われる。この自動閉鎖装置232は、後述の説明で分かるように、シャッターカーテン1の駆動装置となっている開閉機13のブレーキ装置19を機械式に制御するための機械式制御装置である。
【0247】
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
【0248】
このように第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機13は、手操作によってもブレーキ装置19をオフにすることができるようになっている。なお、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
【0249】
図26は、
図23で示されているシャッターカーテン1の座板201Bの部分の構造を示す
図23のS26−S26線断面図である。本実施形態に係る改修後のシャッター装置のシャッターカーテン1は、前述したようにカーテン本体1Aと座板201Bとを有し、座板201Bは、固定部270Aと可動部270Bとからなる。また、シャッターカーテン1は、改修前のシャッター装置のカーテン主部71Aと、カーテン副部271Bとを有し、カーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板201Bのうちの固定部270Aとによって構成されており、カーテン副部271Bは、座板201Bのうちの可動部270Bによって構成されている。したがって、このカーテン副部271Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部71Aは、本実施形態に係る改修後のシャッター装置における開閉体主部となっており、カーテン副部271Bは、本実施形態に係る改修後のシャッター装置における開閉体副部となっている。
【0250】
また、
図26に示されているように座板201Bのうち、カーテン本体1Aと結合されている固定部270Aは、共に断面箱型となった内外の部材275,276で形成され、この固定部270Aに対して可動部270Bは上下動自在となっている。
図26から分かるように、固定部270Aを形成している内外の部材275,276の下面は開口部278となっており、この開口部278から可動部270Bの立上り部279の上端が固定部270Aの内部空間に挿入されている。立上り部279の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部279A,279Bが形成され、これらの延出部279A,279Bが、固定部270Aの内部材276の下端に形成された突片部276A,276Bの上面に乗ることにより、固定部270Aに対する可動部270Bの下側への移動限が規定される。なお、座板201Bは、前述の座板1Bと同様に、カーテン本体1Aの下端部にボルト、ナット等による結合具77で結合されている。このため、座板201Bは、カーテン本体1Aに対して取り付け、取り外し自在となっている。
【0251】
固定部270Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸280を中心に上下揺動自在となった揺動部材281が収納されている。
図27で示されているように、可動部270Bが固定部270Aに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が
図23で示した障害物34等に当接したときには、可動部270Bの立上り部279の延出部279Aが揺動部材281を押し上げることにより、揺動部材281は支点軸280を中心に上向きに揺動する。
【0252】
図26及び
図27に示されているように、座板201Bの固定部270Aには、
図23にも示されているケース233が取り付けられており、このケース233の内部は
図28及び
図30に示されている。
図30に示されているように、ケース233の内部には、外周部に多数の歯部235Aが円周方向に等間隔で形成されたラチェットホール式の歯車となっている回転部材235と、巻取りリール237とが、後述するようにケース233に固定された固定軸となっている軸241を中心に回転自在に収納され、回転中心軸が軸241となっていることで同軸的となっているこれらの回転部材235と巻取りリール237は、後述するように結合一体化されている。また、巻取りリール237には、ロック用ワイヤー236の下端が結合され、前述のまぐさ16の部分から下方へ延びているこのロック用ワイヤー236の下側部分は、ケース233の内部に回転中心軸229Aを中心に回転自在に収納されているガイドローラ229を経て、巻取りリール237に巻き取られており、ロック用ワイヤー236の上側部分は、ケース233の上面から上方へ延びている。そして、ロック用ワイヤー236の上端は、
図23、
図24及び
図36に示されている方向変換装置238へと延びている。
【0253】
以上において、下側部分が巻取りリール237に繰り出し自在に巻き取られているロック用ワイヤー236は、可撓性を有する紐状部材である。そして、シャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときには、
図30の軸241を中心にY方向に回転する巻取りリール237からロック用ワイヤー236が繰り出されながら、シャッターカーテン1は閉じ移動することになる。
【0254】
図29には、回転部材235や巻取りリール237、ガイドローラ229が内部に収納されているケース233の全体正面図が示されており、
図32には、この
図29のS32−S32線断面図が示されている。この
図32に示されているように、外周部にロック用ワイヤー236を巻き取るための溝237Bが形成されている巻取りリール237の内部には、戻しばね収納空間237A(
図30も参照)が形成されており、この戻しばね収納空間237Aに、
図30では一部が省略されて示されている戻しばね239が収納され、回転部材235と巻取りリール237との回転中心軸である軸241の外周に巻回された状態となっているこの戻しばね239は、ぜんまいばねである。このため、戻しばね239は、軸241が中心部に挿通されている渦巻きばねとなっている。
【0255】
戻しばね239の一方の端部である内端部は、ケース233に固定されてこのケース233側の部材となっている軸241に連結され、他方の端部である外端部は、後述するように、回転部材235及び巻取りリール237に連結されている。このため、回転部材235及び巻取りリール237が
図30のY方向に回転してシャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときに、戻しばね239には、ロック用ワイヤー236を繰り出すために回転する巻取りリール237によって戻しばね力が蓄圧され、シャッターカーテン1が上方へ開き移動するときに、戻しばね239に蓄圧された戻しばね力によって回転部材235及び巻取りリール237がY方向とは逆のZ方向に回転することにより、ロック用ワイヤー236は巻取りリール237に巻き取られるようになっている。
【0256】
このため、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、巻取りリール237と戻しばね239により、ロック用ワイヤー236を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置240が構成されている。また、シャッターカーテン1が開閉移動するときには、ロック用ワイヤー236により回転部材235及び巻取りリール237は回転する。
【0257】
本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、ぜんまいばねによる渦巻きばねとなっている戻しばね239は、巻取りリール237の内部に形成された空間237Aに収納されているため、ケース233についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法が小さくても、
図28から分かるように巻取りリール237についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法を充分に大きくすることができ、これにより、巻取りリール237によるロック用ワイヤー236の巻取り長さが充分に長くなり、シャッターカーテン1の開閉移動距離が長いシャッター装置にも対応できるようになっている。
【0258】
図30に示されているように、ケース233の内部には、このケース233に設けられた軸256を中心に上下方向に回動自在となったロック部材250が収納されている。本実施形態のロック部材250は、ラチェットホイール式の歯車となっている回転部材235の歯部235Aに係合可能となっている歯部253を有していない主部材252と、シャッターカーテン1の幅方向への長さを有しているこの主部材252に締結され、歯部253を有している副部材251とからなる。このようにロック部材250を、それぞれ別部品となっている副部材251と主部材252をシャッターカーテン1の厚さ方向に重ね合わせた組み合わせ構造体とすることにより、回転部材235の歯部235Aに係合する歯部253が形成されている副部材251を焼入れ処理等することで、ロック部材250全体を焼入れ処理等しなくても、歯部253に、回転部材235の歯部235Aと同様に、大きな強度を付与することができる。また、副部材251を主部材252よりも硬質の超硬金属製等とすることにより、ロック部材250全体を高価な硬質の材料で形成しなくてもよくなる。
【0259】
なお、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、ロック部材250の歯部253として、
図35に示されているように、軸256を中心とするロック部材250の回動方向に離れた複数個の歯部が設けられ、本実施形態に係る改修後のシャッター装置におけるこれらの歯部253は、第1歯部253Aと第2歯部253Bと第3歯部253Cになっており、これらの歯部253A,253B,253Cは、ロック部材250の回動の中心部となっている軸256を中心とする円弧上又は略円弧上に設けられている。
【0260】
また、
図26に示されているように、前述した座板201Bの固定部270A(カーテン主部71A)の内部に支点軸280を中心に上下揺動自在となって配置されている揺動部材281には、押圧部材254が取り付けられている。
【0261】
図30から分かるように、ロック部材250にはねじりコイルばね257が設けられている。
図35に示されているように、コイル部257Aが軸256の大径部256Bの外周に巻回されているこのねじりコイルばね257の一方の端部257Bは、主部材252と副部材251とに形成された長孔250Aに挿入されることにより、ロック部材250に係止されており、また、他方の端部257Cは、
図28に示されているケース233の両方の側面部233B,233Cのうち、
図29で示されている側面部233Cの下端に形成された屈曲部233Dの孔に挿入されることにより、ケース233に係止されている。このため、ねじりコイルばね257は、軸256及びロック部材250とケース233との間に設けられているとともに、ロック部材250は、
図30において、ねじりコイルばね257のばね力により軸256を中心にW方向に回動付勢されている。これにより、ロック部材250の一部が、シャッターカーテン1に設けられた押圧部材254に、すなわち、シャッターカーテン1のカーテン主部71Aに設けられた支点軸280を中心に上下揺動自在な揺動部材281に配置されている押圧部材254に当接するようになっている。
【0262】
このため、シャッターカーテン1及びロック部材250には、後述の説明で分かるように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、ロック部材250を
図30のW方向とは反対方向のX方向に回動させるために互いに当接するシャッターカーテン側当接部258とロック部材側当接部259とが設けられていることになる。そして、シャッターカーテン側当接部258は、押圧部材254によるものであり、ロック部材側当接部259は、ロック部材250の主部材252において、第1ロック部材側当接部259Aと第2ロック部材側当接部259Bとして2個存在している。これらの第1ロック部材側当接部259Aと第2ロック部材側当接部259Bは、ロック部材250の長さ方向であるシャッターカーテン1の幅方向に離れている。
【0263】
このような第1ロック部材側当接部259Aと第2ロック部材側当接部259Bをロック部材250に設けることは、
図30及び
図35に示されているように、ロック部材250を構成する主部材252のうち、副部材251と重複していない部分をL字又は略L字の形状とすることにより、実現することができる。
【0264】
なお、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、ロック部材側当接部259のうち、第1ロック部材側当接部259Aは、主部材252に結合された板ばね260によって形成されており、このため、第1ロック部材側当接部259Aは弾性変形可能となった弾性部となっている。
【0265】
また、
図28及び
図30に示されているように、ロック部材250の主部材252には、シャッターカーテン1の厚さ方向であるロック部材250の厚さ方向両側に延びる長さを有する延伸部材263が設けられており、この延伸部材263は、主部材252を貫通する棒状部材によって形成されている。
図28に示されているように、ケース233の側面部233Cの下端には、屈曲形成されたストップ部233Eが設けられており、このため、ロック部材250等が内部に収納配置されたケース233がシャッターカーテン1の座板201Bの固定部270Aに取り付けられる前に、ロック部材250がねじりコイルばね257のばね力により軸256を中心に
図30のW方向に回動付勢されていても、ストップ部233Eに延伸部材263の端部が当接することにより、ロック部材250のW方向への回動限が規定され、これにより、ロック部材250の第1ロック部材側当接部259Aが大きくケース233の下面開口部から突出することをなくすことができる。
【0266】
閉じ移動中のシャッターカーテン1の座板201Bが
図23に示されている障害物34に当接するなどにより、
図27に示されているように、シャッターカーテン1の座板201Bの固定部270A(カーテン主部71A)に対して可動部270B(カーテン副部271B)が相対的に上昇したときには、支点軸280を中心に揺動部材281が上向きに揺動するため、押圧部材254により、ロック部材250は、
図30において、軸256を中心にX方向に回動する。これにより、ロック部材250の歯部253は、
図31に示されているように、回転部材235の歯部235Aに係合し、この係合により、回転部材235と、この回転部材235と結合一体化されている巻取りリール237は、シャッターカーテン1が閉じ方向へ移動しているときの回転方向(
図30のY方向)へは回転できなくなり、このため、回転部材235と巻取りリール237は、ロック部材250によりロックされて回転不能となる。
【0267】
このため、このときには、一部が巻取りリール237に巻き取られているロック用ワイヤー236と、巻取りリール237が配置されているシャッターカーテン1とが機械式に結合されたことになる。したがって、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、回転部材235やロック部材250等により、紐状部材であるロック用ワイヤー236とシャッターカーテン1とを機械式に結合するための機械式結合装置255が構成されていることになる。
【0268】
本実施形態では、前述した
図1〜
図22に示す改修前のシャッター装置における機械式結合装置39は、改修後のシャッター装置においては、機械式結合装置255に変更されており、この機械式結合装置255は、外周部に複数の歯部235Aが設けられていて、シャッターカーテン1の移動時にロック用ワイヤー236により回転する回転部材235と、この回転部材235の歯部235Aに係合可能となっている係合部である歯部253を備え、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに運動(回動)し、この運動(回動)によって歯部253が歯部235Aに係合して回転部材235を回転不能とするロック部材250と、を含んで構成されている。
【0269】
このため、本実施形態では、改修前のシャッター装置における機械式結合装置39は、変更される前の機械式結合装置(言い換えると、第1機械式結合装置)となっており、改修後のシャッター装置における機械式結合装置255は、変更された後の機械式結合装置(言い換えると、第2機械式結合装置)となっている。
【0270】
前述したようにロック部材250は、シャッターカーテン1の幅方向の長さを有している主部材252と、副部材251とをシャッターカーテン1の厚さ方向に重ねることにより構成されており、また、
図35に示されているように、副部材251は、主部材252に回動中心軸261を中心に回動自在に取り付けられる。主部材252には、回動中心軸261を中心とする円弧状の長孔252Aが形成され、この長孔252Aに、副部材251の丸孔から挿入された締結用のねじ部材となっているボルト262の軸部が挿入されており、長孔252Aから突出したボルト262の軸部の端部を、主部材252に回り止めされかつ長孔252Aに沿って移動自在に配置されたナットに螺入し、ボルト262を締め付けることにより、副部材251は主部材252にボルト262及びナットで締結される。また、ボルト262を緩めると、主部材252に対して副部材251を、ボルト262の軸部を案内する長孔252Aにより、回動中心軸261を中心に回動させることができ、この回動後にボルト262を締め付けると、主部材252に対する位置が変更、調整された副部材251をボルト262及びナットで主部材252に再度締結することができる。
【0271】
このため、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、ナットに軸部が螺合されているボルト262は、主部材252と副部材251とを締結、締結解除するための締結部材となっている。
【0272】
そして、主部材252に対して副部材251を、回動中心軸261を中心に回動させることができるようにするために、主部材252の丸孔に前述の軸256の小径部256Aが挿入されているとともに、この小径部256Aを挿入するために副部材251に形成されている孔251Aは、
図35に示されているように、回動中心軸261を中心とする円弧状の長孔となっている。なお、前述のねじりコイルばね257のコイル部257Aは、軸256の大径部256Bの外周に巻回されている。
【0273】
本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、回動中心軸261と、ナットが軸部に螺合されているボルト262とにより、主部材252に対する副部材251の位置を、より具体的には、回動中心軸261を中心とする主部材252に対する副部材251の位置を調整するための
図35で示す位置調整手段264が構成されている。
【0274】
この位置調整手段264により、主部材252に対する副部材251の位置を、回動中心軸261を中心に調整すると、
図35から分かるように、ロック部材250の歯部253の先端と、回転部材235の歯部235Aの先端との間の隙間265の大きさが変化し、調整されるため、位置調整手段264は、この隙間265の大きさを調整することができる隙間調整手段266にもなっており、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、この隙間調整手段266はロック部材250に設けられていることになる。
【0275】
また、本実施形態に係る改修後のシャッター装置において、隙間調整手段266で隙間265の大きさを調整できるようにするために、回動中心軸261の位置は、ロック部材250全体の回動の中心軸となっている前述の軸256の位置から、ロック部材250の長さ方向であるシャッターカーテン1の幅方向にずれており、このずれている方向は、
図35から分かるように、回動中心軸261の位置が、軸256に対して回転部材235とは反対側となる方向である。
【0276】
ロック部材250全体の回動の中心軸となっている軸256の両端部は、
図28で示されているケース233の両方の側面部233B,233Cに形成されている孔に挿入されている。これらの孔は、
図29及び
図35において、長孔267として示されている。この長孔267の長さ方向は、回転部材235に向かう方向である。すなわち、ケース233に軸256の両端部を挿入、支持させるために形成されている孔267は、回転部材235の側へ長くなっている長孔となっている。このため、ロック部材250及び軸256は、回転部材235に対して接近、離間方向に移動自在となっている。
【0277】
そして、コイル部257Aが軸256の外周に巻回されていて、ケース233と軸256及びロック部材250との間に設けられているねじりコイルばね257は、ばね力により軸256及びロック部材250を
図35の矢印Xで示す回転部材235側へ常時付勢しており、ねじりコイルばね257は、このような付勢力を有している弾性部材となっている。この弾性部材の弾性付勢力により、軸256が長孔267における回転部材235側の端部に押圧されることにより、隙間265の大きさは、隙間調整手段266で設定された大きさとなる。
【0278】
シャッターカーテン1の座板201Bの固定部270Aに取り付けられていて、内部に前述の機械式結合装置255が収納されているケース233は、
図28、
図29及び
図30から分かるようにケース本体285と、このケース本体285に被せられる蓋部材286とを有するものとなっている。
図29及び
図30で示すビス等の結合具284によりシャッターカーテン1の座板201Bの固定部270Aに結合されているケース本体285は、
図28に示されているように、シャッターカーテン1の厚さ方向に蓋部材286と対向している主部285Aと、この主部285Aの全体の外縁部のうち、適所から主部285Aに対して直角にシャッターカーテンの厚さ方向に屈曲した屈曲部285Bとからなり、
図30に示されている屈曲部285Bに設けられた舌片部285Cには、ねじ孔285Dが形成されている。
図29に示されている蓋部材286の孔にビス等の止着具287の軸部を挿入し、この軸部をねじ孔285Dに螺入することにより、蓋部材286をケース本体285に取り付けることができる。また、止着具287を取り外すことにより、蓋部材286をケース本体285から分離することができる。
【0279】
すなわち、蓋部材286は、ケース本体285に対して取り付け、取り外し可能となっている。
【0280】
図29に示されているように、蓋部材286には、ケース233の内部を視認できる窓孔286Aが形成されており、この窓孔286Aにより、
図35の隙間調整手段266で調整された隙間265の大きさを確認する作業を行うことができる。この確認作業は、回転部材235の歯部235Aとロック部材250の歯部253との間に、例えば、すきまゲージ等の検査具を窓孔286Aから挿入することにより行い、これにより、隙間265の大きさが不適切と判断された場合には、蓋部材286を取り外し、この後に、
図35で説明したボルト262を緩めて、ロック部材250の主部材252に対する副部材251の位置を、回動中心軸261を中心に調整することにより、隙間265の大きさを適切な大きさに調整することができる。
【0281】
なお、隙間265の調整作業後に、ケース本体285に取り付けた蓋部材286の窓孔286Aを粘着シート等の塞ぎ部材により塞いでもよい。
【0282】
また、ケース233の内部を視認できる窓孔は、蓋部材286だけではなく、ケース本体285にも設けてもよい。これによると、ケース233をシャッターカーテン1の座板201Bの固定部270Aに取り付ける前に、蓋部材286に設けられた窓孔から挿入した前述の検査具により隙間265の大きさを確認できるとともに、ケース本体285に設けられた窓孔から挿入した検査具によっても隙間265の大きさを確認することができるようになり、さらに、検査具がシャッターカーテン1の厚さ方向に長いものであっても、この検査具を、ケース本体285と蓋部材286の両方に設けられた窓孔に貫通させることにより、隙間265の大きさを確認できるようになる。
【0283】
また、前述の説明と異なり、ロック部材250の主部材252と副部材251とを同じ材料で形成し、副部材251の歯部253を、例えば、硬質クロムメッキ等の硬質表面被覆処理することにより、この歯部253に必要される硬度を付与するようにしてもよい。
【0284】
本実施形態のケース233は、上述したようにケース本体285と蓋部材286とを有するものとなっていて、ケース本体285は、蓋部材286とシャッターカーテン1の厚さ方向に対向している主部285Aを備えているため、
図28と、
図29のS32−S32線断面図である
図32から分かるように、この主部285Aが、ケース233の前述した側面部233B,233Cのうち、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aに近い側面部233Bを形成していて、蓋部材286が、カーテン本体1Aから遠い側面部233Cを形成しており、これらの側面部233B,233Cは、シャッターカーテン1の厚さ方向に対向している。
【0285】
また、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、
図32に示されているように、ケース本体285の主部285Aの上下方向途中箇所には、シャッターカーテン1の厚さ方向への段差を形成している段差部285Eが設けられており、この段差部285Eの上下は、主部285Aの第1面部288と第2面部289になっている。上側の第1面部288は、主部285Aのうち、蓋部材286に近い箇所となっており、下側の第2面部289は、主部285Aのうち、蓋部材286から遠い箇所となっている。
【0286】
図32に示されているとおり、前述の回転部材235と巻取りリール237は、ビス等の結合具242により結合一体されており、この結合一体化は、軸241を回転部材235と巻取りリール237の共通の回転中心軸として同軸的に行われている。そして、巻取りリール237の内部に戻しばね239を収納するために設けられている前述の戻しばね収納空間237Aは、巻取りリール237の軸方向に貫通した貫通空間となっている。このため、ぜんまいばねによる渦巻きばねとなっている戻しばね239についての幅寸法を、巻取りリール237の軸方向寸法(巻取りリールの厚さ寸法)と同じ程度の大きな寸法とすることが可能となり、このため、戻しばね239を、シャッターカーテン1の閉じ移動時に大きな戻しばね力を蓄圧できて、シャッターカーテン1の開き移動時に、この戻しばね力によって巻取りリール237にロック用ワイヤー236を一層確実に巻き取らせることができるばね力の大きいばねとすることができる。
【0287】
本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、戻しばね収納空間237Aの軸方向両側の開口部のうち、シャッターカーテン1のカーテン本体1A側の開口部は、回転部材235により塞がれているとともに、シャッターカーテン1のカーテン本体1A側と反対側の開口部は、閉塞部材243により閉塞されている。この閉塞部材243は、回転部材235と軸方向に対向する閉塞部材本体243Aと、この閉塞部材本体243Aの円周縁部の略全体にリング状に形成されたフランジ部243Bとを有するカップ状となっており、フランジ部243Bが戻しばね収納空間237Aに圧入されているとともに、フランジ部243Bの先端が回転部材235に当接している。回転部材235と巻取りリール237の共通の回転中心軸となっている軸241は、巻取りリール237の内部の戻しばね収納空間237Aを通過して、回転部材235と閉塞部材本体243Aとに形成された孔に挿通されており、ケース本体285の主部285Aと蓋部材286とに形成された孔から両端部がケース233の外部に突出した軸241の一方の端部には、抜け止め部材244が取り付けられている。
【0288】
図32に示されているように、蓋部材286には、軸241を中心に回転自在となっている巻取りリール237の軸方向位置を規定するための巻取りリール軸方向位置規定部245が、軸241を中心とする戻しばね収納空間237Aの外側において設けられている。この巻取りリール軸方向位置規定部245は、
図32で分かるように、巻取りリール237に向かって突設されていて、
図29で分かるように、軸241を中心とする円周方向に複数個設けられた突起となっている。このような巻取りリール軸方向位置規定部245は、板金製の蓋部材286に半抜き加工を行うことにより形成することができる。
【0289】
そして、このように巻取りリール軸方向位置規定部245を、巻取りリール237に向かって突設されていて、軸241を中心とする円周方向に複数個設けられた突起とすることにより、巻取りリール軸方向位置規定部245と巻取りリール237との接触面積及び回転摩擦抵抗が小さくなるため、巻取りリール237を軸241を中心に円滑に回転させることができる。
【0290】
また、蓋部材286には、軸241を中心に回転自在となっている閉塞部材243の軸方向位置を規定するための閉塞部材軸方向位置規定部246が設けられている。この閉塞部材軸方向位置規定部246は、
図32で分かるように閉塞部材243に向かって突設されていて、
図29で分かるように、中心部に軸241が挿通されている円形状の突部となっている。この閉塞部材軸方向位置規定部246も、板金製の蓋部材286に半抜き加工や絞り加工等を行うことにより形成することができる。
【0291】
これらの巻取りリール軸方向位置規定部245と閉塞部材軸方向位置規定部246を蓋部材286に設けることにより、
図32で示されているように、回転部材235がケース本体285の主部285Aの内面に接していることと併せて、軸241の軸方向における回転部材235と巻取りリール237の位置を規定できることになる。言い換えると、戻しばね239を収納するために巻取りリール237の内部に設ける戻しばね収納空間237Aを、前述のように軸方向に貫通する貫通空間としても、蓋部材286に設けられた巻取りリール軸方向位置規定部245と閉塞部材軸方向位置規定部246により、軸241の軸方向における回転部材235と巻取りリール237の位置を規定できることになり、これにより、ロック部材250の歯部253を回転部材235の歯部235Aに一層確実に係合させることが可能となる。
【0292】
図32に示されているように、軸241には、蓋部材286側の端部から切り込まれた割り溝241Aが形成され、この割り溝241Aに、ぜんまいばねによる渦巻きばねとなっている戻しばね239の一方の端部である内端部239Aが、挿入、係止されており、これにより、この内端部239Aは、軸241に連結されている。また、戻しばね239の他方の端部である外端部には、ループ部239Bが形成されている(
図30も参照)。
【0293】
図32から分かるように、板状の部材となっている回転部材235には、切り起こし加工により挿入部235Bが形成され、この挿入部235Bはループ部239Bの内部に挿入されている。また、閉塞部材243にも挿入部243Cが形成され、この挿入部243Cは、
図30で分かるように、閉塞部材243の前述のフランジ部243Bが欠けている箇所に設けられており、この挿入部243Cも、ループ部239Bの内部に挿入されている。これにより、戻しばね239の外端部となっているループ部239Bは、回転部材235と、この回転部材235に結合具242で結合された巻取りリール237と、閉塞部材243とに連結されていることになる。このため、前述したようにシャッターカーテン1が下方へ閉じ移動して、回転部材235及び巻取りリール237が
図30のY方向に回転するときには、戻しばね239には、ロック用ワイヤー236を繰り出すために回転する巻取りリール237によって戻しばね力が蓄圧され、シャッターカーテン1が上方へ開き移動するときに、戻しばね239に蓄圧された戻しばね力によって回転部材235及び巻取りリール237がY方向とは逆のZ方向に回転することにより、ロック用ワイヤー236は巻取りリール237に巻き取られることになる。
【0294】
なお、戻しばね239のループ部239Bには、回転部材235の挿入部235Bと閉塞部材243の挿入部243Cとが挿入され、これにより、回転部材235と閉塞部材243はループ部239Bを介して連結されていることになるため、閉塞部材243を巻取りリール237にビス等で結合しなくても、あるいは、閉塞部材243のフランジ部243Bを巻取りリール237の戻しばね収納空間237Aに大きな圧入力で圧入しなくても、あるいは、圧入せずに単に挿入するだけでも、回転部材235と閉塞部材243を、軸241を中心とする回転方向に連結することができる。
【0295】
図32に示されているように、軸241の両端部のうち、ケース本体285の主部285A側の端部は、この主部285Aから突出し、この突出端部に、スペーサ247と、回転部材である回転板248と、抜け止め部材249とが取り付けられ、回転板248は、軸241と結合一体化されている。
図33は、
図32のS33矢視図であり、この
図33に示されているように、中心部に軸241が貫通固定された円板状となっている回転板248には、軸241を中心する円周方向に複数個の孔248Aが等間隔で設けられている。また、
図32に示されているとおり、ケース本体285の前述の段差部285Eには、回転板248の下部を挿通させるための開口部285Fが形成されている。
【0296】
ケース本体285の主部285Aのうち、段差部285Eよりも下側の第2面部289には、切り曲げ加工等により、回転板248側へ突出した突出部285Gが設けられ、この突出部285Gに形成されたねじ孔285Hにピン状部材であるボルト301の軸部が螺入されているとともに、この軸部は、回転板248の孔248Aに挿入可能となっている。この挿入を行うことにより、回転板248と、この回転板248が結合されている軸241は、ケース233に回転不能に固定されたことになる。
【0297】
また、ボルト301の回転操作によりこのボルト301の軸部を孔248Aから抜いた後に、回転板248の回転操作を行うことにより、又は軸241に設けた係合溝241Bに係合する工具で軸241の回転操作を行うことにより、軸241をケース233に対して回転させることができる。この回転が行われると、内端部239Aが軸241に連結されていてこの軸241の外周に巻回されている戻しばね239は、内端部239Aが戻しばね239の円周方向に回転移動するため、軸241の回転方向に応じて巻き締められたり、巻き締めが緩和されたりするため、ぜんまいばねによる渦巻きばねとなっている戻しばね239のばね力が調整されることになり、この調整後に、ボルト301の軸部を、この軸部と対向している箇所に達している回転板248の孔248Aに挿入することにより、軸241は、ケース233に回転不能に再度固定される。
【0298】
このため、軸241や回転板248、さらには、ケース233のねじ孔285Hに配置されていて、回転板248の孔248Aに挿抜可能のピン状部材となっているボルト301等により、戻しばね239のばね力の大きさを調整するためのばね力調整手段302が構成されている。このばね力調整手段302は、軸241を回転させることにより、戻しばね239の内端部を回転させる形態となっている手段である。
【0299】
そして、ピン状部材となっているボルト301は、回転板248に軸241を中心に円周方向に複数形成されている孔248Aのうちの1個の孔248Aと、ケース233に形成されているねじ孔285Hとに挿入されることにより、軸241を中心とする回転後の回転板248とケース233とを連結するための連結部材となっている。
【0300】
このばね力調整手段302によると、シャッターカーテン1の繰り返しの開閉移動や経年劣化等により戻しばね239のばね力が変化しても、ロック用ワイヤー236を巻取りリール237に巻き取るために戻しばね239に蓄圧される戻しばね力の大きさを適正値に調整することができる。
【0301】
また、このばね力調整手段302は、戻しばね239のばね力を、例えば、
図23で示すシャッターカーテン1の上下の開閉移動ストロークに応じた大きさに調整するためや、シャッターカーテン1が前述のまぐさ16の位置に達しているシャッターカーテン全開時に適切な大きさに調整するためにも用いることができる。
【0302】
さらに、本実施形態のばね力調整手段302において、戻しばね239のばね力を調整することは、回転板248を回転操作したり、軸241に設けた係合溝241Bに工具を係合し、この工具で軸241を回転させることに行われるため、回転板248の箇所や、軸241の係合溝241Bが設けられた箇所は、ばね力調整手段302における操作される操作箇所となっている。本実施形態では、
図26に示されているように、この操作箇所と、巻取りリール237が内部に収納されているケース233とは、シャッターカーテン1の厚さ方向に並設されているとともに、操作箇所は、ケース233と、シャッターカーテン1における前述したカーテン本体1Aとの間に配置されている。
【0303】
これによると、ばね力調整手段302が予め組み付けられたケース233をシャッターカーテン1の座板201Bの固定部270Aに取り付けた後は、ばね力調整後に、作業者等が誤って又は他者がこの操作箇所を操作してしまうことを防止できる。したがって、ケース233をシャッターカーテン1の座板201Bの固定部270Aに取り付けた後は、戻しばね239のばね力を、調整された大きさに維持することができる。
【0304】
なお、ケース233を固定部270Aに取り付けた後も、作業者等がばね力調整手段302を操作できるようにするために、ばね力調整手段302の操作箇所を、ケース233のうち、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aとは反対側の箇所に設けてもよい。
【0305】
また、
図32の二点鎖線で示されているように、前述したロック部材250を構成している部材のうち、主部材252’を、副部材251を越えて回転部材235の側面まで延長された部分を有するものとしてもよい。これによると、回転部材235のうち、ケース本体285の主部285Aの第2面部289と対面している箇所が、この箇所と第2面部289との間に空間部が存在しているために、回転部材235及び巻取りリール237の回転中に第2面部289の側へ変位することを主部材252’の延長部分によって防止できることになり、これにより、回転部材235の歯部235Aとロック部材250の副部材251の歯部253との係合を一層確実に実現できるようになる。
【0306】
また、このように主部材252’に延長された部分を設ける場合には、前述したようにケース233の蓋部材286やケース本体285にすきまゲージ等の検査具を挿入するために設けた窓孔286Aと同様の孔を、この延長された部分にも設けてよい。
【0307】
さらに、本実施形態によると、巻取りリール237と戻しばね239は、ケース233の内部に収納されてシャッターカーテン1の前述したエンド部材となっている座板201Bに配置されているため、これらの巻取りリール237と戻しばね239を、シャッターカーテン1の開閉移動時等において、外力等から有効に保護することができる。そして、前述した機械式結合装置255も、ケース233の内部に収納されてシャッターカーテン1の座板201Bに配置されているため、機械式結合装置255も、シャッターカーテン1の開閉移動時等において、外力等から有効に保護することができる。
【0308】
図30に示されているように、ケース233には、前述のロック用ワイヤー236を案内するためのガイド部材303が配置されている。合成樹脂で形成されているこのガイド部材303は、ケース233の内部において、前述したガイドローラ229の一部の外周と対向している第1ガイド部303Aと、ロック用ワイヤー236がケース233の内外に出入する箇所に配置されていて、一部がケース233の外部に露出し、他の部分がケース233の内部に収納されている第2ガイド部303Bとを有し、この第2ガイド部303Bの内部に、ロック用ワイヤー236が上下に挿通する孔303Cが、シャッターカーテン1の幅方向に長い長孔として形成されている。
【0309】
第1ガイド部303Aは、ガイドローラ229と、このガイドローラ229よりも下側に配置されているロック部材250との間において、ガイドローラ229の外周面に近い位置に配置されている。このため、ケース233をシャッターカーテン1に取り付ける作業を行う前等において、ロック用ワイヤー236が緩むことがあっても、この緩み箇所がロック部材250に達することを第1ガイド部303Aによって防止することができる。また、シャッターカーテン1の上下の開閉移動時に、ガイドローラ229に掛け回されているロック用ワイヤー236の箇所の緊張力が消滅するときがあっても、この箇所がロック部材250に接触することを第1ガイド部303Aによって防止し、シャッターカーテン1が正常に開閉移動することを保障できる。すなわち、ガイド部材303の第1ガイド部303Aにより、ロック用ワイヤー236がロック部材250に絡みつくなどの事態が生ずることを防止できる。
【0310】
図34は、
図29のS34−S34線断面図である。この
図34に示されているように、ロック部材250の主部材252に、このロック部材250の厚さに貫通して固定されている前述の延伸部材263の両端部は、ケース233におけるシャッターカーテン1の厚さ方向に互いに対向している前述の2個の側面部233B,233Cの内面に接触し、又は、これらの側面部233B,233Cの内面と僅かな隙間をあけて対面している。この延伸部材263が配置されているロック部材250の箇所は、このロック部材250全体の回動中心軸となっている前述の軸256から、シャッターカーテン1の幅方向であるロック部材250の長さ方向に離れた箇所となっている。このため、前述したように閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することにより、ロック部材250が軸256を中心に
図30のX方向へ回動するときに、あるいは、W方向へ回動するときに、ロック部材250が軸256を中心にロック部材250の厚さ方向(シャッターカーテン1の厚さ方向であって、前述の回転部材235の厚さ方向)に振れることは、延伸部材263により阻止される。
【0311】
このため、
図28から分かるように、回転部材235が厚さ寸法の小さい板材で形成されていて、この回転部材235の歯部235Aに係合する歯部253を有するロック部材250の副部材251も、回転部材235と同程度の厚さを有する板状の材料で形成されていても、延伸部材263により、ロック部材250が軸256を中心にロック部材250の厚さ方向に振れることが阻止されるため、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することでロック部材250が軸256を中心に
図30のX方向へ回動したときに、ロック部材250の副部材251の歯部253を回転部材235の歯部235Aに一層確実に係合させることができる。
【0312】
このため、延伸部材263は、ロック部材250が軸256を中心にロック部材250の厚さ方向、言い換えると、軸256の軸方向であって、回転部材235の厚さ方向に振れることを止めるためのロック部材振れ止め手段となっている。
【0313】
なお、ロック部材250が軸256を中心にロック部材250の厚さ方向に振れることは、軸256が挿通されているロック部材250の孔の大きさや、軸256の両端部が挿入されているケース233の孔の大きさが正確な所定値となっておらず、この所定値よりも大きくなっているときに生ずる。このため、本実施形態によると、ロック部材250に延伸部材263を設けることにより、これらの孔の大きさを正確な所定値とすることが不要になり、これらの孔加工を容易に行えるようになる。
【0314】
また、本実施形態の延伸部材263は、金属よりも摩擦係数が小さい、例えば、硬質の合成樹脂製である。このため、延伸部材263の両端部が、金属で形成されているケース233の側面部233B,233Cの内面に接触しても、軸256を中心とするロック部材250の上下の円滑な回動を保障することができる。
【0315】
図36には、
図23及び
図24で示されている方向変換装置238の具体的構造が示されている。この方向変換装置238は、シャッターカーテン1の前述のケース233から鉛直上向き又は略鉛直上向きに延びている可撓性の紐状部材となっているロック用ワイヤー236の向きを、シャッターカーテン1の厚さ方向である水平方向又は略水平方向に変換するためのものである。方向変換装置238の本体238Aは、
図24で説明したまぐさ16を構成する部材のうち、まぐさ部材16Aの上下途中部又は上面に水平又は略水平に形成された段部16Cに載置固定されている。この本体238Aには、複数個のガイドローラ290が回転自在に設けられている。
【0316】
本実施形態では、ガイドローラ290は5個290A〜290Eあり、第1ガイドローラ290Aは、シャッターカーテン1に最も近い位置に配置され、この第1ガイドローラ290Aの上側に設けられている第2ガイドローラ290Bは、シャッターカーテン1に2番目に近い位置に配置され、この第2ガイドローラ290Bの上側に設けられている第3ガイドローラ290Cは、シャッターカーテン1に3番目に近い位置に配置され、この第3ガイドローラ290Cと高さ位置が同じ又は略同じとなっている第4ガイドローラ290Dは、シャッターカーテン1から最も遠い位置に配置されている。そして、第5ガイドローラ290Eは、第3ガイドローラ290Cの上側に配置されている。
【0317】
ケース233から鉛直上向き又は略鉛直上向きに延びているロック用ワイヤー236は、第1〜第4ガイドローラ290A〜290Dで案内されて、かつ第3ガイドローラ290Cと第5ガイドローラ290Eとで上下に挟まれて、シャッターカーテン1の厚さ方向である水平方向又は略水平方向に向きが変換され、この変換後のロック用ワイヤー236は、筒状の案内部材291の内部にスライド自在に挿通されている。
【0318】
案内部材291は、本体238Aに形成された屈曲部238Bと、まぐさ部材16Aの段部16Cから立ち上がっている立上り部16Dと、支持部材292の2個の下方延出部292A,292Bのうち、まぐさ部材16Aに近い下方延出部292Aとに挿通固定されており、ロック用ワイヤー236の端部はこの案内部材291の端部から突出している。
【0319】
なお、支持部材292は、
図24から分かるように、前述のシャッターボックス8にまぐさ部材16Aを取り付けるために、これらのシャッターボックス8とまぐさ部材16Aとの間に介在されている中間部材となっている前述の結合部材26に結合されている。
【0320】
そして、本実施形態では、
図30に示されているように、下端部が巻取りリール237に結合されているロック用ワイヤー236を、直接的に巻取りリール237からケース233の外部に延ばすのではなく、ガイドローラ229を経てケース233の外部に延ばし、また、
図30に示されているように、ガイドローラ229の回転中心軸229Aの高さ位置を、巻取りリール237の回転中心軸241の高さ位置よりも低い位置としたり、ガイドローラ229の直径を巻取りリール237の直径よりも小さくしたりすることにより、
図36に示されているように、シャッターカーテン1が全開位置まで開き移動したときに、言い換えると、シャッターカーテン1の座板201Bの下面の位置が、まぐさ16の下面の位置と一致又は略一致したときに、ロック用ワイヤー236の向きを、開閉移動するシャッターカーテン1に対して不動部材となっているまぐさ部材16Aの段部16Cに配置された方向変換装置238により、所定の水平方向又は略水平方向に変換できるようにしている。
【0321】
これを言い換えると、方向変換装置238を配置する高さ位置を、ケース233の上面の高さ位置よりも低い位置とすることにより、方向変換装置238を、開閉移動するシャッターカーテン1に対して不動となっている不動部材であるまぐさ部材16Aの段部16Cに配置することができる。
【0322】
以上説明したように、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、機械式結合装置255からシャッターカーテン1の開き移動方向に延びているロック用ワイヤー236の向きは、方向変換装置238によりシャッターカーテン1の開き移動方向と角度をなす向きに変換される。
【0323】
なお、本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、
図16に示す第2処理装置38は、機械式結合装置39からシャッターカーテン1の開き移動方向に延びているロック用ワイヤー36の向きを、シャッターカーテン1の開き移動方向と角度をなす向きに変換するための方向変換装置にもなっている。
【0324】
このため、本実施形態では、改修前のシャッター装置における方向変換装置にもなっている第2処理装置38は、改修後のシャッター装置において、方向変換装置38に変更されていることなる。そして、本実施形態では、改修前のシャッター装置における第2処理装置38は、変更される前の方向変換装置(言い換えると、第1方向変換装置)となっており、改修後のシャッター装置における方向変換装置238は、変更された後の方向変換装置(言い換えると、第2方向変換装置)となっている。
【0325】
図23〜
図25に示されているように、開閉機13の上部には複合装置300が載置固定されている。
図37は、この複合装置300の内部構造を示す正面図であり、
図38は、複合装置300の内部構造を示す平面図である。複合装置300は、自動閉鎖装置232と、中間装置400と、遅延装置500とを複合的に組み合わせた装置であり、本実施形態に係る改修後のシャッター装置の機械式制御装置となっている自動閉鎖装置232は、火災等の災害の発生時において、開閉機13のブレーキ装置19を機械式に制御することにより、全開位置又は開閉方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び/又は防火性を有しているシャッターカーテン1により
図23の出入口2を閉鎖するためのものである。
【0326】
複合装置300は、この複合装置300の機枠310に設けられている
図37のブラケット部310Aにより、開閉機13の上部に取り付けられている。この状態は
図24でも示されている。また、
図38に示されているように、複合装置300まで、この複合装置300を制御するための第1制御用ワイヤー311、第2制御用ワイヤー112、第3制御用ワイヤー313のそれぞれの端部が延伸されている。これらの制御用ワイヤー111〜113は、前述のロック用ワイヤー236と同じく、可撓性を有する紐状部材となっていて、細長部材ともなっている。
【0327】
また、これらの制御用ワイヤー111〜113は、可撓性を有するアウターケーブル314〜316の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー111〜113はアウターケーブル314〜316により保護されている。
【0328】
図23、
図24及び
図36に示されているように、第1制御用ワイヤー311は複合装置300から方向変換装置238の近くまで延びており、この第1制御用ワイヤー311の端部は、
図36に示されているとおり、ロック用ワイヤー236に連結部材294を介して連結されている。また、第1制御用ワイヤー311のアウターケーブル314の端部は、支持部材292の2個の下方延出部292A,292Bのうち、下方延出部292Bに結合されている。
【0329】
なお、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、ロック用ワイヤー236と第1制御用ワイヤー311は、連結部材294により連結された別部材となっているが、ロック用ワイヤー236を複合装置300まで延長し、第1制御用ワイヤー311を省略してもよい。
【0330】
図37及び
図38に示されているように、それぞれが複合装置300の一部の構成要素となっている上述の自動閉鎖装置232と中間装置400は、複合装置300の機枠310に配置されている。言い換えると、自動閉鎖装置232が配置されている機枠と中間装置400が配置されている機枠は、同じ機枠310であり、この機枠310において、自動閉鎖装置232と中間装置400が互いに隣接配置されている。また、後述する説明で明らかになるように、機枠310には、前述の遅延装置500も配置されている。このため、自動閉鎖装置232と中間装置400と遅延装置500は、1個のユニット化された装置となっており、このため、これらの自動閉鎖装置232と中間装置400と遅延装置500についての工場からシャッター装置設置現場への搬送等の取り扱い作業や、メンテナンス作業等を容易に行えるようになっている。
【0331】
このように、改修後のシャッター装置では、開閉機13には、変更された後の機械式制御装置である自動閉鎖装置232と、変更された後の中間装置400と、変更された後の遅延装置500と、を複合的に組み合わせた複合装置300が載置されており、この複合装置300は1個のユニット化された装置となっている。
【0332】
また、自動閉鎖装置232と中間装置400と遅延装置500のうち、中間装置400と遅延装置500は機枠310の内部の上部に配設されており、これらの中間装置400と遅延装置500の平面図は、
図39(A)に示されている。また、自動閉鎖装置232は機枠310の内部の下部に配設されており、この自動閉鎖装置232の平面図は、
図39(B)に示されている。
【0333】
そして、中間装置400は、
図30及び
図31で示した前述の機械式結合装置255にロック用ワイヤー236を介して連結されている第1制御用ワイヤー311と、自動閉鎖装置232との間に配置された装置になっている。言い換えると、中間装置400は、紐状部材である第1制御用ワイヤー311と自動閉鎖装置232とを直接接続するための接続装置になっている。
【0334】
次に、自動閉鎖装置232について説明する。
【0335】
図37及び
図38に示されているように、複合装置300の機枠310には、互いに対向する2個の立上り部310B,310Cが設けられており、これらの立上り部310B,310Cに形成された
図38の孔310D,110Eに、2個の立上り部310B,310Cに跨る長さを有している
図39(B)の板状の第1スライド部材320がスライド自在に挿入されている。この第1スライド部材320の外周にはばね321が巻回されており、このばね321のばね力により、第1スライド部材320には立上り部310B側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、
図25で説明した開閉機13に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31AをA方向へ移動させる方向である。
【0336】
図25及び
図37に示されているとおり、第1スライド部材320の前端に下向きに折曲形成された折曲部320Aには、作動部材322が取り付けられており、また、
図25のレバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材323が立設結合されている。第1スライド部材320がばね321のばね力によって前進したときには、作動部材322が被作動部材323に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに
図25で示したA方向への荷重が作用するようになっている。
図37に示されているように、本実施形態の作動部材322はボルト324の頭部324Aとなっているため、この頭部324Aを回転操作してボルト324を第1スライド部材320の折曲部320Aに対して進退させることにより、作動部材322と被作動部材323との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト324に螺合させておいたロックナット325を回転操作し、このロックナット325を折曲部320Aに圧接させることにより、被作動部材323に対する作動部材322の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
【0337】
図39(B)に示されているように、複合装置300の機枠310には、ソレノイド326が取り付けられており、このソレノイド326のプランジャ327には、ばね328のばね力がプランジャ327をソレノイド326から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ327の先端には先端部材340が取り付けられ、この先端部材340には、中心軸329Aを中心に回動自在となっているL字形の屈曲レバー部材329の一方の端部が接触している。
図37から分かるように、逆L字形状となっている先端部材340には、屈曲レバー部材329の上記一方の端部が接触している面とは反対側の面において、起倒部材341が接触しており、この起倒部材341は、
図39(B)で示されているブラケット342の立上り部に設けられたビスによる中心軸342A(
図37も参照)が挿通している下部を中心に起倒自在となっている。
【0338】
そして、トリガーレバー部材となっている屈曲レバー部材329の他方の端部には、
図39(B)に示されているように、ローラ330が回転自在に設けられている。このローラ330と対面する第1スライド部材320の部分には凹部320Bが形成されており、この凹部320Bにおける第1スライド部材320の後退側の部分は、傾斜面320Cとなっている。
【0339】
図39(B)に示されているとおり、自動閉鎖装置232には第1電気スイッチ335が設けられ、機枠310に取り付けられているこの第1電気スイッチ335は、ばねで第1電気スイッチ335から突出する方向へ付勢されている揺動自在なアクチュエータ336を有する。また、第1スライド部材320には、凹部320Bと反対側の部分において、突起部材337が取り付けられており、アクチュエータ336はこの突起部材337に当接している。
【0340】
第1スライド部材320には、連結部338Aを備えている連結部材338が取り付けられている。前述の第3制御用ワイヤー313の他方の端部は、この連結部338Aに連結されており、また、第2制御用ワイヤー112の端部は、上述の起倒部材341の上部に連結されている(
図37も参照)。
【0341】
図39(B)に示されているとおり、自動閉鎖装置232には、屈曲レバー部材329に中心軸329Aを中心とするU方向への回動力を付与するためのばね331と、第2制御用ワイヤー112の端部が連結されている起倒部材341が中心軸342Aを中心にソレノイド326側へ倒れたときに、起倒部材341を直立状態に戻すためのばね332とが設けられており、ばね331のばね力により、屈曲レバー部材329の上述の他方の端部に設けられている通常時のローラ330が、
図39(B)に示されているように、第1スライド部材320の凹部320Bに嵌合するようになっている。
【0342】
また、ローラ330が凹部320Bに嵌合することにより、前述したばね321による第1スライド部材320の前進は止められている。このように凹部320Bに嵌合したローラ330で前進が止められているときにおける第1スライド部材320の前端の位置は、
図38及び
図39(B)で示す3個の位置H,I,Jのうち、H位置である。
【0343】
起倒部材341に端部が連結されていて、アウターケーブル315の内部に挿通された第2制御用ワイヤー112は、
図23で示した操作装置230まで延びており、アウターケーブル315から突出している第2制御用ワイヤー112の端部には、操作装置230に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。さらに、第1スライド部材320に端部が連結されていて、アウターケーブル316の内部に挿通された第3制御用ワイヤー313も、操作装置230まで延びており、アウターケーブル316から突出している第3制御用ワイヤー313の端部にも、操作装置230に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。
【0344】
以上の説明から分かるように、自動閉鎖装置232は、凹部320Bが形成された第1スライド部材320や、ソレノイド326、ローラ330を備えた屈曲レバー部材329、第1電気スイッチ335等により構成されており、そして、機枠310に対して直線的に往復動自在の往復動部材となっている第1スライド部材320は、後述の説明から分かるように、前述のブレーキ装置19を機械的にオン、オフ切り替えるために作動する切替部材となっている。
【0345】
次に、
図39(A)に示されている中間装置400について説明する。
【0346】
複合装置300の前述の機枠310には、
図39(A)に示されているように、中心軸401Aを中心に回動自在の第1回動部材401と、中心軸402Aを中心に回動自在の第2回動部材402とが設けられ、これらの回動部材401,402は水平方向に回動する。また、中心軸401A,202Aの下端は機枠310の底部310Fで支持され、中心軸401A,202Aの上端は、
図38で示されているとおり、機枠310に結合されているブラケット403で支持されている。
図39(A)に示されているとおり、第1回動部材401には、中心軸401Aを中心とする扇形状となっている扇形状部401Bが水平に設けられ、前述した第1制御用ワイヤー311のうち、機枠310の内部に挿入されている部分は、この扇形状部401Bの外周面に接触、分離可能に巻き付いた状態となっており、この第1制御用ワイヤー311の端部は、結合具404により第1回動部材401に結合されている。
【0347】
そして、本実施形態では、
図39(A)に示されているように、扇形状部401Bから機枠310の外側へ延びている第1制御用ワイヤー311の延伸方向は、扇形状部401Bの接線方向と一致又は略一致している。
【0348】
第1回動部材401には、扇形状部401Bの下側において、中心軸401Aを中心とする円周方向の長さを有しているカム部401Cが水平に形成されており、扇形状部401Bよりも中心軸401Aからの半径方向への長い突出長さを有しているこのカム部401Cの外周面は、中心軸401Aを中心とする円弧状の面となっている。また、中心軸401Aの外周には、ねじりコイルばね405のコイル部が巻回され、このばね405の一方の端部は、機枠310に取り付けられた係止部材406に係止され、他方の端部は、第1回動部材401に設けられた凸部401Eに係止されている。このため、第1回動部材401は、ばね405により中心軸401Aを中心に
図39(A)のO方向へ常時回動付勢されており、このO方向への第1回動部材401の回動限は、機枠310に取り付けられ、カム部401Cの一方の側面が当接するストップ部材407により規定されている。
【0349】
第2回動部材402には、中心軸402Aを中心とする扇形状部402Bが設けられ、この扇形状部402Bは、中心軸402Aから突出状態で水平に形成されている突出部402Cの一部となっており、この突出部402Cの上面に凸部408が設けられている。本実施形態におけるこの凸部408は、ローラベアリング等による回転自在のローラである。そして、凸部408には、第1回動部材401のカム部401Cの側面401Dが当接している。このため、この側面401Dは、言い換えると、第1回動部材401のカム部401Cにおけるストップ部材407に当接している上記側面とは反対側になっている側面401Dは、第1回動部材401における第2回動部材402と当接している当接部となっており、また、凸部408は、第2回動部材402における第1回動部材401と当接している当接部になっている。
【0350】
図38に示されているように、複合装置300の機枠310の2個の立上り部310B,310Cには、孔310G,110Hが形成され、これらの孔310G,110Hに、2個の立上り部310B,310Cに跨る長さを有している
図39(A)の板状の第2スライド部材410がスライド自在に挿入されている。この第2スライド部材410は、第1スライド部材320と同じ方向へ直線的に往復動自在の往復動部材となっている。また、第2スライド部材410には開口孔410Aが形成され、この開口孔410Aの内部に第2回動部材402の突出部402Cの下面に設けられ凸部411が挿入されている。本実施形態におけるこの凸部411は、ローラベアリング等による回転自在のローラである。
【0351】
また、第2スライド部材410には、機枠310と第2スライド部材410との間に架設されたばね412のばね力により、前進方向への付勢力が付与されており、この前進方向は、第1スライド部材320の前進方向と同じ方向である。そして、第2スライド部材410の前進限は、開口孔410Aの端部に第2回動部材402の凸部411が当接し、第2回動部材402の凸部408が第1回動部材401のカム部401Cの側面401Dに当接し、この側面401Dとは反対側のカム部401Cの側面がストップ部材407に当接することにより、規定されている。
【0352】
図37に示されているとおり、中間装置400の構成部材となっている第2スライド部材410は、自動閉鎖装置232の構成部材となっている第1スライド部材320よりも上側の高さ位置において、機枠310に配置されている。また、
図39(A)に示されているように、第2スライド部材410には、第1スライド部材320に設けられている前述の連結部材338の連結部338Aに対して、第1及び第2スライド部材320,410の前進側において、これらのスライド部材320,410の前後進方向に対向して形成されている段差面410Bが設けられている。連結部338Aは、
図37に示されているように、上側へ延びる長さを有しており、この連結部338Aと段差面410Bは、
図39(A)(B)で示す通常時において、第1及び第2スライド部材320,410の移動方向の大きな間隔を開けて対向している。そして、
図40(A)(B)及び
図41(A)(B)で示すように、第1スライド部材320が前進することによって連結部338Aが段差面410Bに当接又は僅かな隙間を開けて対向した後に、
図42(A)に示すように、第2スライド部材410が後退すると、段差面410Bによる連結部338Aの押圧作用により、
図42(B)に示すように、第1スライド部材320も後退するようになっている。
【0353】
以上の説明から分かるように、前述の第1制御用ワイヤー311と自動閉鎖装置232とを直接接続するための接続装置になっている中間装置400は、第1回動部材401や、第2回動部材402、第2スライド部材410等により構成されており、そして、第1回動部材401と第2回動部材402のうち、第1回動部材401は、紐状部材である第1制御用ワイヤー311の側の部材となっているとともに、第2回動部材402は、自動閉鎖装置232の前述の切替部材となっている第1スライド部材320の側の部材となっている。また、第1回動部材401は、前述の側面401Dが第2回動部材402の凸部408に当接しているため、回動式の当接部材となっており、これに対して第2回動部材402も、この当接部材が当接している回動式の被当接部材となっている。
【0354】
前述したように、第2回動部材402には、中心軸402Aを中心とする扇形状部402Bが設けられており、
図39(A)に示されているように、この扇形状部402Bの外周面には多数の歯部402Dが形成されている。これらの歯部402Dには、前述した遅延装置500の回転自在の中心軸500Aに結合されたピニオンギヤ300Bが噛合している。遅延装置500はロータリー式のダンパーであり、遅延装置500の内部には、ワンウェイクラッチを介して中心軸500Aと連結されている複数のブレードが取り付けられており、第2回動部材402が中心軸402Aを中心にS方向に回動して、ピニオンギヤ300B及び中心軸500AがQ方向に回転した場合には、ワンウェイクラッチの接続作用により、それぞれのブレードが遅延装置500の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により第2回動部材402はS方向へ低速で回動することになる。一方、第2回動部材402がS方向とは逆のT方向に回動し、ピニオンギヤ300B及び中心軸500AがR方向に回転した場合には、この方向への回転は、ワンウェイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、第2回動部材402はT方向へ高速で回動することができる。
【0355】
なお、以上のように作動する遅延装置500は、
図37及び
図38に示されているとおり、前述したブラケット403に下面に取り付けられていることにより、複合装置300の機枠310の内部に配置されている。
【0356】
このように、改修後のシャッター装置では、第2機械式結合装置となっている機械式結合装置255からシャッターカーテン1の開き移動方向に延びているロック用ワイヤー236は、連結部材294により紐状部材である第1制御用ワイヤー311に連結されており、この第1制御用ワイヤー311は、中間装置400を介して自動閉鎖装置232に連結されている。すなわち、ロック用ワイヤー236は、中間装置400を介して自動閉鎖装置232に連結されている。また、遅延装置500は、中間装置400の作動、すなわち、中間装置400の第2回動部材402の回動を遅延させるものとなっている。
【0357】
また、
図39(A)に示されているように、機枠310には第2電気スイッチ420が取り付けられ、この第2電気スイッチ420は、ばねで第2電気スイッチ420から突出する方向へ付勢されている揺動自在なアクチュエータ421を有する。また、第1回動部材401には突起部材422が設けられており、アクチュエータ421はこの突起部材422に当接している。
【0358】
次に、本実施形態に係る改修後のシャッター装置の作動について説明する。
【0359】
本実施形態に係る改修後のシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン1が全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止しているときに、火災等の災害が発生すると、この災害を検知したセンサからの信号が入力する図示しないリレー回路等の電気回路又はコンピュータによる制御装置(この制御装置は、
図23の制御装置27が兼ねていてもよい。)の制御により、
図39(B)で示す自動閉鎖装置232のソレノイド326は通電され、このソレノイド326が励磁されるため、このソレノイド326のプランジャ327は、ばね328のばね力に抗して後退する。これにより、前述の先端部材340に一方の端部が当接している屈曲レバー部材329は、ばね331のばね力に抗して中心軸329Aを中心に
図39(B)のU方向とは逆方向のV方向に回動することになる。このときの状態が
図40(B)で示されている。屈曲レバー部材329が中心軸329Aを中心にV方向に回動すると、屈曲レバー部材329のローラ330は第1スライド部材320の凹部320Bから脱出するため、第1スライド部材320はばね321のばね力で前進し、この前進は、第1スライド部材320に設けられている連結部材338の前端が機枠310の前述の立上り部310Bに当接することにより停止する。すなわち、本実施形態の連結部材338は、第1スライド部材320の前進限を規定するための第1スライド部材320における前進限規定部ともなっている。
【0360】
また、このときにおける第1スライド部材320の前端の位置は、
図38及び
図39(B)で示した3個の位置H,I,Jのうち、
図40(B)に示されているように、最前位置であるI位置である。
【0361】
また、以上のように第1スライド部材320が前進すると、第1電気スイッチ335のアクチュエータ336は、第1スライド部材320に取り付けられている突起部材337から外れるため、これによって第1電気スイッチ335から発生する信号により、上述の制御装置はソレノイド326への通電を停止する。
【0362】
このソレノイド326への通電の停止により、プランジャ327はばね328のばね力でソレノイド326から突出移動し、屈曲レバー部材329はばね331のばね力で中心軸329Aを中心に
図39(B)のU方向へ回動する。このときの第1スライド部材320は、この第1スライド部材320の前端がI位置まで達している移動限まで前進しているため、屈曲レバー部材329のローラ330は、
図41(B)に示されているように、第1スライド部材320の前述した傾斜面320Cに当たる。このため、中心軸329Aを中心とする屈曲レバー部材329のU方向への回動は、途中で停止する。
【0363】
以上のようにして第1スライド部材320が前進すると、この第1スライド部材320の前端に設けられている
図25の作動部材322が、被作動部材323を介して開閉機13のレバー部材31の第1部分31Aを
図25のA方向に押圧する。このため、前述したようにこの第1部分31Aが、レバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置19は、オフとなる。このため、全開又は開閉移動方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1は、巻取軸11よりも下側の部分の座板201B等の自重により、前述した巻取軸11を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機13の前述した駆動軸14も駆動力伝達手段12を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉となることにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
【0364】
また、火災等の災害が発生したことを人が発見した場合には、この人が、
図23で示した操作装置230に配置されていて、前述した第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作する。第2制御用ワイヤー112の他方の端部は、
図39(B)で説明したように、前述の起倒部材341に連結されているため、第2制御用ワイヤー112が引っ張り操作されることにより、この起倒部材341が中心軸342Aを中心にソレノイド326の側へ倒れ回動し、起倒部材341の押圧作用により、前述の先端部材340及びプランジャ327は後退する。これにより、ソレノイド326が通電、励磁される前であっても、ソレノイド326が通電、励磁されたときと同じく、屈曲レバー部材329は、起倒部材341からの押圧力により先端部材340を介して、中心軸329Aを中心に
図39(B)のV方向へ回動するため、屈曲レバー部材329のローラ330は第1スライド部材320の凹部320Bから脱出し、第1スライド部材320はばね321のばね力で前進することになる。
【0365】
このため、第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材を操作することによっても、シャッターカーテン1は全閉となり、このシャッターカーテン1により防災区画を形成することができる。
【0366】
なお、以上のように第1スライド部材320が前進限まで移動したときには、この第1スライド部材320の連結部材338に設けられている連結部338Aは、
図40(A)及び
図41(A)に示されているように、第2スライド部材410の前述の段差面410Bに当接又はこの段差面410Bに近づく。このため、第1スライド部材320が
図40(B)及び
図41(B)で示す前進限まで移動しても、第2スライド部材410は、
図40(A)及び
図41(A)で示されているように、
図39(A)で示した位置に停止したままとなっている。したがって、この第2スライド部材410が構成部材となって構成され、
図40(A)及び
図41(A)で示されている中間装置400は、
図39(A)のときと同じ状態を維持する。
【0367】
前述のようにしてシャッターカーテン1が全閉位置に達し、そして、火災等の災害が解消したときには、操作装置230に配置されていて、前述した第3制御用ワイヤー313の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第3制御用ワイヤー313を引っ張り操作する。これにより、第3制御用ワイヤー313は、第1スライド部材320の連結部材338の連結部338Aに連結されているため、この第1スライド部材320はばね321のばね力に抗して後退することになる。このため、第1スライド部材320は、
図41(B)に示されている位置から、第1スライド部材320の前端が
図38及び
図39(B)のH位置となる初期位置へ後退復帰することになる。また、第1スライド部材320がこの初期位置へ復帰するときに、屈曲レバー部材329が中心軸329Aを中心としてばね331のばね力で
図39(B)のU方向へ回動するため、屈曲レバー部材329のローラ330は、第1スライド部材320の凹部320Bに嵌合することになり、これにより、ばね321のばね力が作用している第1スライド部材320は、第1スライド部材320の前端がH位置に達して停止する。これにより、自動閉鎖装置232は、火災等の災害が発生する前の初期状態に戻る。
【0368】
なお、第3制御用ワイヤー313を上述のようにレバー部材等の手動操作部材により引っ張り操作したときに、連結部材338の連結部338Aが
図38で示されているブラケット403に当接するようにし、これにより、レバー部材等の手動操作部材により第3制御用ワイヤー313を過大な操作力で引っ張り操作した場合に、この過大な操作力が連結部材338及び第1スライド部材320に作用することをブラケット403で防止するようにしてもよい。
【0369】
上述のように第1スライド部材320が初期位置へ復帰すると、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は
図25の前述したばね23でA’方向とは逆方向へ移動するため、ブレーキ装置19はオフからオンに復帰する。この後に、操作装置230に設けられている前述の「開」ボタンを操作することにより、シャッターカーテン1は、前述したとおり、全開位置まで開き移動する。
【0370】
本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、ロック用ワイヤー236と第1制御用ワイヤー311は、第1紐状部材であり、自動閉鎖装置232には、引っ張り操作されることにより、オンとなっていたブレーキ装置19を手動によりオフとするための第2紐状部材である第2制御用ワイヤー112が接続されている。また、自動閉鎖装置232には、引っ張り操作されることにより、自動閉鎖装置232を初期状態に戻すための第3紐状部材である第3制御用ワイヤー313が接続されている。
【0371】
以上説明したように火災等の災害の発生が前述のセンサで検出されたり、火災等の災害の発生を発見した人が第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作することにより、シャッターカーテン1が防災区画を形成するために全閉位置まで閉じ移動するときは、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときである。これに対して前述したように、操作装置230の「開」「閉」「停」のそれぞれのボタン操作により、シャッターカーテン1の開閉移動、移動停止を行わせているときが、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときである。
【0372】
本実施形態に係る改修後のシャッター装置が防災用シャッター装置となってシャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置232が
図41(B)で示す状態に、また、中間装置400が
図41(A)で示す状態にそれぞれなっていて、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン1の下側に
図23で示す障害物34が存在している場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン1の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部271Bが、言い換えると、シャッターカーテン1の座板201Bの下側部分を形成している
図26の可動部270Bが障害物34に当接することになり、この可動部270Bの下降が停止する。
【0373】
可動部270Bの下降が停止しても、カーテン本体1Aと、座板201Bのうち、
図26の固定部270Aとで構成される前述のカーテン主部71Aは、
図26の状態から下降するため、この下降で生ずるカーテン主部71Aに対するカーテン副部271B(可動部270B)の相対的な上昇により、
図27に示されているように、固定部270Aの内部に配置されている揺動部材281が支点軸280を中心に上向きに揺動する。これにより、揺動部材281に設けられている押圧部材254により、前述した機械式結合装置255を構成しているロック部材250は、
図30のX方向に回転することで
図31の状態となり、ロック部材250の歯部253は回転部材235の歯部235Aに係合する。
【0374】
これにより、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに
図30のY方向へ回転していた回転部材235及び巻取りリール237は、このY方向に回転できなくなり、すなわち、回転部材235及び巻取りリール237は回転不能となり、シャッターカーテン1と、巻取りリール237から繰り出されていたロック用ワイヤー236とが、回転部材235とロック部材250を構成要素とする機械式結合装置255によって結合されたことになる。このため、ロック用ワイヤー236には、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部270Bを除く重量、すなわち、カーテン主部71Aの重量による下向きの緊張力が作用する。
【0375】
閉じ移動しているシャッターカーテン1が上述のように障害物34に当接して、ロック用ワイヤー236に、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部270Bを除く重量による下向きの緊張力が作用した後に、障害物34がへこみ変形すると、機械式結合装置255でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー236は、このへこみ変形分だけ下方へ引っ張られることになる。
【0376】
また、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものであっても、揺動部材281の押圧部材254によりロック部材250が
図30のX方向に回動すると、
図35に示されているように、このロック部材250に歯部253として設けられている第1歯部253Aと第2歯部253Bと第3歯部253Cのうち、初めに第1歯部253Aが回転部材235の歯部235Aに係合し、次いで第2歯部253B、第3歯部253Cが回転部材235の歯部235Aに係合する。これらの係合のうち、少なくとも第1歯部253Aの歯部235Aへの係合は、
図30に示されているように、ロック部材250に、このロック部材250の長さ方向に離れてロック部材側当接部259として2個設けられている第1ロック部材側当接部259Aと第2ロック部材側当接部259Bのうち、ロック部材250の回動中心軸となっている軸256から遠い箇所にある第1ロック部材側当接部259Aが、シャッターカーテン側当接部258となっている押圧部材254により押し上げられることにより行われる。
【0377】
そして、第1歯部253Aと第2歯部253Bと第3歯部253Cの間隔寸法は、回転部材235に等間隔で多数形成されている歯部235A同士の間隔寸法(歯ピッチ)と同じ寸法もしくは略同じ寸法、又は歯部235A同士の間隔寸法の2以上の整数倍の寸法もしくは略整数倍の寸法となっている。このため、第1歯部253Aが歯部235Aに係合することにより、第2歯部253B及び第3歯部253Cも歯部235Aに係合するようになっている。
【0378】
また、上述のように第1ロック部材側当接部259Aが押圧部材254により押し上げられると、次に、
図31に示されているように、ロック部材250の第2ロック部材側当接部259Bが押圧部材254に当接し、この第2ロック部材側当接部259Bが押し上げられることになる。すなわち、押圧部材254によるロック部材250のロック部材側当接部259の押し上げは、第1ロック部材側当接部259Aから第2ロック部材側当接部259Bへと移行して行われ、2段階でこの押し上げが行われることになる。
【0379】
このため、ロック部材250の
図30で示されているX方向への回動は、2段階となって継続されることになり、これにより、ロック部材250の第1歯部253Aが回転部材235の歯部235Aとの係合から外れても、第2歯部253Bや第3歯部253Cが回転部材235の歯部235Aとの係合を継続し、これらの第2歯部253B及び第3歯部253Cが回転部材235を
図30のZ方向へ少し回転させる。このZ方向への回転は、巻取りリール237がロック用ワイヤー236を巻き取る方向への回転であって、このロック用ワイヤー236を下方へ引っ張る方向である。
【0380】
そして、このようにして第2歯部253B及び第3歯部253Cが回転部材235をZ方向へ回転させることは、ロック部材250の回動中心となっている軸256からの距離が第1ロック部材側当接部259Aよりも短い第2ロック部材側当接部259Bが押圧部材254によって押し上げられることにより行われるため、第2歯部253B及び第3歯部253Cによる回転部材235のZ方向へ回転量は大きくなる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときのカーテン主部71Aに対するカーテン副部271Bの相対的上昇量が一定量となっていても、障害物34がへこみ変形した場合と同様に、ロック用ワイヤー236の下方への引っ張り量を充分に確保することができる。
【0381】
このため、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものである場合にも、機械式結合装置255でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー236を、障害物34がへこみ変形したときのように、充分に下方へ引っ張ることができる。
【0382】
なお、本実施形態では、ロック部材250に設ける歯部253の個数を3個としたが、この個数を4個以上としてもよい。
【0383】
また、シャッターカーテン1が障害物34に当接すると、前述したようにシャッターカーテン側当接部258となっている押圧部材254によりロック部材250の第1ロック部材側当接部259Aが押し上げられ、これにより、
図30の軸256を中心にX方向に回動するロック部材250の第1歯部253Aが回転部材235の歯部235Aに係合しようとするが、ロック部材250の回動タイミングや回転部材235の回転タイミングにより、第1歯部253Aの先端と歯部235Aの先端とが当接してしまい、これにより、ロック部材250と回転部材235が突き当て状態となって、これらのロック部材250と回転部材235がいわばデッドロック状態になるおそれがある。
【0384】
しかし、本実施形態では、
図35で説明したように、ロック部材250及びこのロック部材250の回動中心軸となっている軸256は、前述のケース233に形成された長孔267により、回転部材235に対して接近、離間方向に移動自在となっていて、弾性部材であるねじりコイルばね257の弾性付勢力により、回転部材235側であるAA方向へ常時付勢されているため、上述のデッドロック状態が生じた場合には、ロック部材250及び軸256は、回転部材235からの反力により、回転部材235から後退する方向に少し移動してデッドロック状態が解消するとともに、ねじりコイルばね257の弾性付勢力により回転部材235側へ前進し、これにより、ロック部材250の第1歯部253Aが、回転を継続している回転部材235の歯部235Aに係合することになる。
【0385】
このため、本実施形態によると、ロック部材250の第1歯部253Aの先端と回転部材235の歯部235Aの先端とが当接してロック部材250と回転部材235がデッドロック状態となることを回避することができ、このデッドロック状態が生じたときにロック部材250等に発生する過大な荷重をなくすことができる。
【0386】
また、本実施形態では、ロック部材250に設けられている前述の第1ロック部材側当接部259Aは、板ばね260による弾性部となっているため、上述のデッドロック状態が生じた場合には、回転部材235からの反力によってこの弾性部が弾性変形することにより、ロック部材250は、軸256を中心に
図30のW方向に少し回動した後に、X方向に回動するため、これによってもデッドロック状態を解消することができる。
【0387】
前述したように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接してロック用ワイヤー236が下方へ引っ張られると、ロック用ワイヤー236の緊張力が
図36で示した連結部材294を介して第1制御用ワイヤー311に作用し、この第1制御用ワイヤー311も引っ張られることになる。
【0388】
そして、第1制御用ワイヤー311が引っ張られると、この第1制御用ワイヤー311の他方の端部は、前述したように
図41(A)の状態になっている中間装置400の構成部材である第1回動部材401に連結されているため、この第1回動部材401は、
図39(A)のP方向へ回動し、この回動により、第1回動部材401のカム部401Cの側面401Dに凸部408が当接している第2回動部材402は
図39(A)のT方向へ回動する。これにより、第2回動部材402の凸部411が開口孔410Aに挿入されている第2スライド部材410は、凸部411からの押圧力により、
図42(A)に示されているように、ばね412のばね力に抗して後退する。
【0389】
これにより、第2スライド部材410は、段差面410Bによって第1スライド部材320の連結部材338の連結部338Aを押圧することになり、このため、第1スライド部材320も後退し、この後退により、前述のブレーキ装置19はオフからオンに切り替わる。このため、閉じ移動中に
図23の障害物34に当接したシャッターカーテン1は、閉じ移動を停止する。このときの自動閉鎖装置232の状態が
図42(B)に示されており、このときの第1スライド部材320の前端の位置は、
図38及び
図39で示すJ位置である。
【0390】
また、上述したように第1制御用ワイヤー311が引っ張られることにより、後退する第2スライド部材410の段差面410Bが第1スライド部材320の連結部材338の連結部338Aを押圧することにより、第1スライド部材320が後退するため、段差面410Bは、第1スライド部材320を押圧するための第2スライド部材410の押圧部になっており、連結部338Aは、第2スライド部材410からの押圧力を受けるための第1スライド部材320の被押圧部となっている。
【0391】
また、以上の作動において、上述したように第2回動部材402が
図39(A)のT方向に回動したときには、遅延装置500のピニオンギア500BはR方向に回転するが、このR方向にピニオンギア500Bが回転したときには、前述したように、遅延装置500のワンウェイクラッチの切断作用が機能するため、ピニオンギア500BはR方向へ高速で回転し、第2回動部材402もT方向へ高速で回動することができる。言い換えると、このときの遅延装置500には遅延作用が生じない。
【0392】
また、上述のように第1制御用ワイヤー311が引っ張られることにより、第1回動部材401が
図39(A)のP方向へ回動して第2回動部材402がT方向へ回動したときに、これらの第1回動部材401及び第2回動部材402が行う運動は、回動する運動であるため、第1制御用ワイヤー311の引っ張られる長さが長くなっていても、第1回動部材401の全部の回動量が、第2回動部材402に伝達されることはない。
【0393】
すなわち、本実施形態では、前述したように、障害物34がへこみ変形しない又はへこみ変形が小さい硬質のものである場合のことを考慮してロック部材250に3個の歯部253A,253B,253C設け、これらの歯部253A,253B,253Cの作用により第1制御用ワイヤー311が引っ張られる長さを長くしていても、第1回動部材401の全部の回動量のうち、第1回動部材401のカム部401Cの側面401Dが第2回動部材402の凸部408に当接しているときだけ、第1回動部材401のP方向への回動が第2回動部材402に、この第2回動部材402のT方向への回動として伝達されることになる。そして、第1回動部材401のカム部401Cの側面401Dが第2回動部材402の凸部408に当接しなくなった後に、第1回動部材401がP方向へ回動しても、この回動は、いわば空振りの回動となり、この空振りの回動を第1回動部材401が行っているときの第2回動部材402は停止している。
【0394】
このため、第1制御用ワイヤー311が引っ張られる長さが長くなっていて、第1回動部材401の回動量が大きくなっていても、第1スライド部材320が後退する距離は長くならず、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、第1スライド部材320が後退する位置は、この第1スライド部材320の前端が、
図42(B)に示されているように、
図38及び
図39(B)で示した3個の位置I,J,Hのうち、J位置に達する位置となる。このJ位置は、初期位置であるH位置よりも前側の位置であって、ブレーキ装置19を第1スライド部材320により機械的にオフからオンに切り替えることができる位置であるとともに、
図39(B)で示されている屈曲レバー部材329のローラ330が、
図41(B)と同様に、第1スライド部材320の凹部320Bから脱出している状態を維持している位置である。このようにローラ330が凹部320Bから脱出している状態を維持していることは、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときを示している
図42(B)に示されている。
【0395】
以上の説明から分かるように、火災等の発生によりシャッターカーテン1が閉じ移動を開始した後に、火災等を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物が停電になっても、シャッターカーテン1が閉じ移動中に障害物34に当接したときには、自動閉鎖装置232の第1スライド部材320が開閉機13のブレーキ装置19をオフからオンに切り替えることにより、このシャッターカーテン1を電気を用いることなく機械的に停止させることができる。
【0396】
上述したように、前述のブレーキ装置19がオフからオンに切り替わり、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が停止した後に、障害物34が除去されると、シャッターカーテン1のカーテン副部271Bが下降するため、機械式結合装置255によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー236との結合は解除される。これにより、ロック用ワイヤー236及び第1制御用ワイヤー311に作用していた緊張力は消滅するため、第1回動部材401は、ばね405により
図39(A)のO方向の回動を行い、第2回動部材402は、第2スライド部材410がばね412で前進することにより、
図39(A)のS方向へ回動し、第2スライド部材410が前進することにより、自動閉鎖装置232の第1スライド部材320は、ばね321のばね力により、前端の位置が
図42(B)のJ位置から
図38及び
図39(B)で示すI位置へ移行する前進を行う。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オンからオフへ機械的に再度切り替られ、シャッターカーテン1は閉じ移動を再開することになる。
【0397】
また、このときに、第2回動部材402が
図39(A)のS方向へ回動することにより、遅延装置500のピニオンギア500BはQ方向へ回転し、このピニオンギア500BのQ方向へ回転については、前述したように、ロータリ式ダンパーとなっている遅延装置500には、粘性流体による抵抗力が生ずることになる。このため、第1スライド部材320の前端の位置が、
図42(B)のJ位置から
図38及び
図39(B)のI位置へ移行すること、及びこの移行により開閉機13のブレーキ装置19がオンからオフへ切り替られることは、遅延装置500の遅延作用のために瞬時に行われず、この切替時期は遅延することになる。したがって、障害物34の除去によりシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することは、障害物34の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、障害物34の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。
【0398】
以上において、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに第1スライド部材320が後退する距離が、この第1スライド部材320の前端がJ位置よりも後側の位置となる長い距離である場合には、屈曲レバー部材329のローラ330は、第1スライド部材320の凹部320Bに嵌合してしまうことになる。このような事態が生じた場合には、閉じ移動中のシャッターカーテン1が当接した障害物34の除去が行われても、ローラ330のストッパー作用により、第1スライド部材320は、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替えることできるI位置まで前端が達する前進を行うことができない。
【0399】
すなわち、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替える切替部材となっている自動閉鎖装置232の第1スライド部材320の作動可能範囲には、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在していることになる。
【0400】
しかし、本実施形態によると、前述から明らかなように、第1制御用ワイヤー311の側の当接部材となっている第1回動部材401と、自動閉鎖装置232の第1スライド部材320の側の被当接部材となっている第2回動部材402は、中心軸401A,202Aを中心に回動する部材となっているため、第1回動部材401の全部の回動量のうち、一部の回動量だけが第2回動部材402に伝達されることになり、このため、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに第1スライド部材320が後退する距離は、この第1スライド部材320の前端がJ位置よりも後側の位置となる長い距離とはならない。このため、第1スライド部材320を、前端の位置がJ位置となる後退距離で停止させることができ、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が当接した障害物34が除去された後に、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替えることが可能となる。
【0401】
このため、本実施形態によると、第1回動部材401や第2回動部材402等により、第1スライド部材320を上述の切り替え不能の範囲まで作動させない作動範囲制限手段430が構成されていることになる。
【0402】
そして、本実施形態では、
図30及び
図31で示されている機械式結合装置255の構成部材となっているロック部材250には、
図35で説明したように、ロック部材250の歯部253の先端と、回転部材235の歯部235Aの先端との間の隙間265の大きさを調整するための隙間調整手段266が設けられているため、シャッターカーテン1が障害物に当接していない通常時において、この隙間265の大きさを適正値に設定することができる。このため、隙間265の大きさが適正値よりも大きくなっている場合に生ずる問題点、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、直ちにロック部材250の歯部253が回転部材235歯部235Aに係合しないことにより、障害物感知が遅れて、シャッターカーテン1を瞬時に停止させることが難しくなるという問題点を解決することができ、また、通常時における隙間265の大きさが適正値よりも小さい場合に生ずる問題点、すなわち、シャッターカーテン1が障害物34に当接していないときでも、例えば、回転部材235やロック部材250が振動等したときに、歯部253が歯部235Aに接触したり係合したりしてしまう問題点を解決することができる。
【0403】
なお、以上説明した第1制御用ワイヤー311、第2制御用ワイヤー112、第3制御用ワイヤー313は、それぞれ、本実施形態に係る改修後のシャッター装置における第1紐状部材、第2紐状部材、第3紐状部材となっている。
【0404】
以上の説明は、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときのことであった。このシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときに、すなわち、シャッターカーテン1が前述の操作装置230の操作で閉じ移動しているときに、シャッターカーテン1が障害物34に当接したときにも、第1制御用ワイヤー311には緊張力や引っ張り力が作用するため、中間装置400の第1回動部材401は
図39(A)のP方向へ回動し、この回動により、第2回動部材402を介して第2スライド部材410は後退するが、このときの第1スライド部材320は、前端の位置がH位置となっている後退限まで後退しているため、
図39(A)に示されているように、第2スライド部材410の段差面410Bと第1スライド部材320の連結部材338の連結部338Aとの間には大きな間隔があり、このため、第2スライド部材410が後退しても、この後退は第1スライド部材320に影響を与えない。
【0405】
言い換えると、本実施形態に係る改修後のシャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接しても、第1スライド部材320が構成部材となっている自動閉鎖装置232が作動することはなく、この自動閉鎖装置232は、
図39(B)で示されている状態を維持する。
【0406】
そして、本実施形態では、改修後のシャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物に当接して第1制御用ワイヤー311の緊張力や引っ張り力により、中間装置400の第1回動部材401がP方向へ回動すると、前述の第2電気スイッチ420のアクチュエータ421は、第1回動部材401の突起部材422から外れる作動を行うため、この第2電気スイッチ420からの信号で
図23の制御装置27が開閉機13の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを電気的に駆動制御することにより、シャッターカーテン1は、障害物に当接した位置から所定高さ位置まで開き移動して停止する反転上昇を行う。すなわち、管理用シャッター装置のシャッターカーテン1は、障害物への当接後に、この障害物から離れた高さ位置まで開き移動して停止する。
【0407】
以上説明したように、本実施形態に係る改修後のシャッター装置は、前述した本実施形態に係る改修前のシャッター装置と同様に、管理用シャッター装置としての機能と防災用シャッター装置としての機能の両方の機能を有しており、遅延装置500は、防災用シャッター装置としての機能だけのためのものとなっている。
【0408】
また、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、このシャッター装置が管理用シャッター装置として機能しているとき、ロック用ワイヤー236に緊張力が作用したことを検出するための検出手段である第2電気スイッチ手段420が設けられており、この第2電気スイッチ手段は、遅延装置500の近傍である中間装置400に設けられている。
【0409】
次に、
図1〜
図22で示されているシャッター装置を、
図23〜
図42で示されているシャッター装置に改修するための作業手順、すなわち改修方法について説明する。
【0410】
最初に、
図1〜
図22で示されている改修前のシャッター装置から、
図23〜
図42で示されている改修後のシャッター装置で使用されない(言い換えると、不要な)装置、部材を取り外す作業(これらを現場(改修場所)から撤去する作業を含む)について説明する。
【0411】
まず、カーテン本体1Aに座板1Bを結合するための結合具77を取り外し、この座板1Bをカーテン本体1Aから取り外す(言い換えると、分離する)作業を行う(言い換えると、実施する)。なお、この既存の座板1Bを取り外す作業を行うにあたって、操作装置30の「閉」ボタン又は「開」ボタンを操作して、作業者が座板1Bの取り外し作業をし易くなる位置(例えば、床4の上に座って作業する場合には全閉位置又は略全閉位置、床4の上に立って作業する場合には座板1Bの高さ位置が立ち姿勢の作業者の腰より上の位置)までシャッターカーテン1を閉じ移動又は開き移動させた後、「停」ボタンを操作して停止させる作業を行う。
【0412】
前述したように、ロック用ワイヤー36は、両端部が第1処理装置37と第2処理装置38に結合されているとともに、座板1Bに取り付けられた機械式結合装置39で折りされてしてU字形となっているため、座板1Bをカーテン本体1Aから取り外した状態では、座板1Bと、第1処理装置37と、第2処理装置38とは、ロック用ワイヤー36を介して連結された状態となっている。
【0413】
このため、カーテン本体1Aから取り外した座板1Bを現場から迅速に撤去できるようにするために、ロック用ワイヤー36を機械式結合装置39から分離する(切り離す)作業を行う。
【0414】
このロック用ワイヤー36を機械式結合装置39から分離するための方法は、任意なものでよく、その第1の例は、
図1で示されているロック用ワイヤー36のうち、まぐさ16からシャッターカーテン1へと延びる第1部分36Bと、シャッターカーテン1からまぐさ16へと延びる第2部分36Cのいずれかを切断することである。また、ロック用ワイヤー36を機械式結合装置39から分離するための方法の第2の例は、
図16で示されているロック用ワイヤー36の第2部分36Cの上端部36Dに、この上端部36Dをコイルばね43に連結するためのループ部36Eを形成するための結合具36Fを取り外すことである。さらに、ロック用ワイヤー36を機械式結合装置39から分離するための方法の第3の例は、ロック用ワイヤー36のうち、機械式結合装置39のケース55の正面部55Cに形成されている窓孔55Fから露出している折り返し部36A(
図5や
図7参照)を切断することである。また、ロック用ワイヤー36を機械式結合装置39から分離するための方法の第4の例は、ロック用ワイヤー36の第1部分36Bの図示されない上端部を、第1処理装置37のリール40から取り外すことである。
【0415】
以上の作業により、座板1Bは、カーテン本体1A、第1処理装置37及び第2処理装置38から分離された(切り離された)状態となる。
【0416】
この後、座板1Bを斜めにするなどしてこの座板1Bの両端部を左右のガイドレール6から抜き取るとともに現場から撤去する(あるいは、この後の作業の邪魔にならない場所へ移動する)作業を行う。
【0417】
次に、
図4に示す第2処理装置38を覆うカバー部材を取り外す作業を行い、
図16で示されているように第2処理装置38の内部が露出された状態にする。
【0418】
また、
図2や
図3に示す自動閉鎖装置32の側部と上部を覆う図示しないカバー部材を取り外す作業を行い、
図17や
図18で示されているように自動閉鎖装置32の内部が露出された状態にする。
【0419】
この後、第1制御用ワイヤー111の両端部のうちの
図16に示す第2処理装置38側(自動閉鎖装置32側とは反対側)の端部111Dを、第2処理装置38の回動部材42から取り外す(分離する)作業を行う。具体的には、アウターケーブル114から突出している第1制御用ワイヤー111の端部111Dに、この端部111Dを回動部材42に連結するためのループ部111Eを形成するための結合具111Fを取り外す作業を行う。また、アウターケーブル114の両端部のうちの
図16に示す第2処理装置38側(自動閉鎖装置32側とは反対側)の端部114Bを、第2処理装置38の機枠49から取り外す(分離する)作業も行う。
【0420】
これらの作業により、第1制御用ワイヤー111と、この第1制御用ワイヤー111が内部に挿通されたアウターケーブル114は、第2処理装置38から分離された状態となる。
【0421】
なお、上述した作業に加えて、第1制御用ワイヤー111の両端部のうちの
図18に示す自動閉鎖装置32側の端部111Aを、自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結された第1連結部138Aから取り外す(分離する)作業、具体的には、アウターケーブル114から突出している第1制御用ワイヤー111の端部111Aに、この端部111Aを自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結された第1連結部138Aに連結するためのループ部111Bを形成するための結合具111Cを取り外す作業と、アウターケーブル114の両端部のうちの自動閉鎖装置32側の
図18に示す端部114Aを、自動閉鎖装置32の機枠110から取り外す作業を行ってもよい。これらの作業により、第1制御用ワイヤー111と、この第1制御用ワイヤー111が内部に挿通されたアウターケーブル114は、第2処理装置38と自動閉鎖装置32の両方から分離された状態となる。
【0422】
なお、本実施形態では、第1制御用ワイヤー111とアウターケーブル114は、現場から撤去するものであり、他の現場で再利用されるものでない場合には、上述した作業を行わずに、
図2に示す天井裏空間7に配置されている第1制御用ワイヤー111の途中部をアウターケーブル114とともに切断するようにしてもよい。
【0423】
この後、
図2に示すアウターケーブル114の両端部のうちの第2処理装置38側(自動閉鎖装置32側とは反対側)の端部114Bを支持していたまぐさ部材16Eを、まぐさ16から取り外す作業を行う。
【0424】
また、第2制御用ワイヤー112の両端部のうちの自動閉鎖装置32側(操作装置30側とは反対側)の
図18に示す端部112Aを、ソレノイド126のプランジャ127に結合された連結部材140から取り外す(分離する)作業、具体的には、アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の端部112Aに、この端部112Aを自動閉鎖装置32のソレノイド126のプランジャ127に結合された連結部材140に連結するための
図18に示すループ部112Bを形成するための結合具112Cを取り外す作業を行う。また、アウターケーブル115の両端部のうちの自動閉鎖装置32側の
図18に示す端部115Aを、自動閉鎖装置32の機枠110から取り外す作業を行う。なお、本実施形態では、第2制御用ワイヤー112とアウターケーブル115は、改修後も使用するため、撤去せずにそのまま残した状態とする。
【0425】
次に、第1処理装置37と第2処理装置38がベース部材44で連結されたユニット構造物45をまぐさ16から取り外す作業を行う。なお、第2処理装置38に配置されている
図16に示すマイクロスイッチ170のリード線172の図示しない終端部は、
図1に示す制御装置27に接続されているため、ユニット構造物45をまぐさ16から取り外す作業の前に、マイクロスイッチ170のリード線172の終端部を制御装置27から取り外す(分離する)作業を行う。
【0426】
なお、上述したユニット構造物45をまぐさ16から取り外す作業は、第1制御用ワイヤー111とアウターケーブル114を、自動閉鎖装置32から分離しない状態で行うようにしてもよい。
【0427】
また、自動閉鎖装置32を開閉機13から取り外す作業を行う。
【0428】
なお、本実施形態では、図に示す第3制御用ワイヤー113、アウターケーブル116及び手動で第3制御用ワイヤー113を引っ張り操作するための
図1に示す手動操作部材141は、改修後のシャッター装置では使用しない。
【0429】
このため、第3制御用ワイヤー113の両端部のうちの自動閉鎖装置32側(手動操作部材141側とは反対側)の
図18に示す端部113Aを、自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結された第2連結部138Bから取り外す(分離する)作業、具体的には、第3制御用ワイヤー113の端部113Aに、この端部113Aを自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結された第2連結部138Bに連結するための
図18に示すループ部113Bを形成するための結合具113Cを取り外す作業と、アウターケーブル116の両端部のうちの自動閉鎖装置32側の端部116Aを、自動閉鎖装置32の機枠110から取り外す作業は、必ずしも行う必要はない。
【0430】
すなわち、第3制御用ワイヤー113の端部113Aと、アウターケーブル116の端部116Aを、自動閉鎖装置32に連結したままの状態で、自動閉鎖装置32を開閉機13から取り外す作業を行うようにしてもよい。
【0431】
以上説明した作業により、
図1〜
図22で示されているシャッター装置から、座板1B、ユニット構造物45、自動閉鎖装置32、第1及び第3制御用ワイヤー111,113、アウターケーブル114,116及びまぐさ部材16Eが取り外された後、現場から撤去されることになる。
【0432】
なお、ロック用ワイヤー36が他の現場で再利用されるものとなっている場合には、まず、座板1Bをカーテン本体1Aから取り外す作業を行った後、この座板1Bから機械式結合装置39を取り外す作業を行うようにしてもよい。これにより、座板1Bは、カーテン本体1A、機械式結合装置39、第1処理装置37及び第2処理装置38から分離された(切り離された)状態となり、また、機械式結合装置39は
図4に示す状態となる。この結果、座板1Bのみを先に現場から撤去することができるようになる。
【0433】
なお、この場合には、前述したように第1制御用ワイヤー111とアウターケーブル114を第2処理装置38から分離する作業を行い、この後、
図4に示すように機械式結合装置39とロック用ワイヤー36を介して連結された状態となっているユニット構造物45を、まぐさ16から取り外す作業を行った後、これらの機械式結合装置39、ロック用ワイヤー36及びユニット構造物45を現場から撤去する作業を行う。なお、これ以降は、前述した自動閉鎖装置32、第2及び第3制御用ワイヤー112,113についての作業を行えばよい。
【0434】
次に、取り外し、撤去されたこれらの装置、部材に代わる新たな装置、部材を設置する作業手順について説明する。
【0435】
まず、前述した改修前のシャッター装置の座板1Bに代わる座板201Bを斜めにするなどして、この座板201Bの両端部を左右のガイドレール6に挿入する作業を行った後、
図26に示すように、座板1Bと同様に、カーテン本体1Aに座板201Bを結合具77で結合する作業を行う。
【0436】
次に、座板201Bの固定部270Aに、内部に機械式結合装置255が収納されたケース233を取り付ける作業を行う。なお、
図26に示す座板201Bの固定部270Aを形成している内外の部材275,276の上面部及び正面部には、座板1Bと同様に、機械式結合装置255の配置位置と対応する位置において、切欠加工による開口部が形成されている。このため、機械式結合装置255の座板201Bの固定部270Aへの取り付けは、上記開口部に機械式結合装置255のケース277を上から挿入して固定部70Aに結合することにより行う。なお、内外の部材275,276の上面部及び正面部の上記開口部は、工場で予め形成する作業を行うようにしてもよく、現場で形成する作業を行うようにしてもよい。
【0437】
また、方向変換装置238を、
図36に示すように、まぐさ部材16Aの段部16Cに載置固定する作業を行う。
【0438】
さらに、
図23〜
図25に示すように、複合装置300を開閉機13の上部に載置固定する作業を行う。なお、この作業の前あるいは後、複合装置300を覆っているケースを取り外し、自動閉鎖装置232、中間装置400及び遅延装置500が露出した状態にしておく。
【0439】
以上の作業の後、アウターケーブル314から突出している第1制御用ワイヤー311の両端部のうちの一方の端部である複合装置300側に配置する
図38に示す端部311Aを、複合装置300の機枠310の立上り部310Cまで延ばすとともにこの立上り部310Cに挿通した後、この端部311Aを、中間装置400の第1回動部材401まで延ばしてこの回動部材401に結合具404により結合する作業を行う。
【0440】
また、内部に第1制御用ワイヤー311が挿通されているアウターケーブル314の両端部のうちの一方の端部である複合装置300側に配置する
図38に示す端部314Aを、複合装置300に機枠310の立上り部310Cに挿通固定する作業を行う。
【0441】
次に、支持部材292を、
図24に示すまぐさ16のまぐさ部材16Aとシャッターボックス8とを結合している結合部材26(
図36も参照)に結合する作業を行う。
【0442】
この後、第1制御用ワイヤー311の両端部のうちの他方の端部である方向変換装置238側に配置する
図36に示す端部311Dを、支持部材292の下方延出部292Bに挿通するとともにこの下方延出部292Aと下方延出部292Bとの間まで延ばす作業を行う。
【0443】
また、第1制御用ワイヤー311が突出しているアウターケーブル314の両端部のうちの他方の端部である方向変換装置238側に配置する
図36に示す端部314Bを、支持部材292の下方延出部292Bに挿通固定する作業を行う。
【0444】
そして、案内部材291を、
図36で示されているように、方向変換装置238の本体238Aの屈曲部238Bと、まぐさ部材16Aの段部16Cから立ち上がっている立上り部16Dと、支持部材292の2個の下方延出部292A,292Bのうち、まぐさ部材16Aに近い下方延出部292Aとに挿通固定する作業を行う。
【0445】
ロック用ワイヤー236の両端部のうちの一方の端部である
図36に示す上端部236Aを、方向変換装置238のガイドローラ290まで延ばすとともにこのガイドローラ290を通過させた後、さらに、この上端部236Aを、案内部材291まで延ばしてこの案内部材291に挿通するとともに支持部材292の下方延出部292Aと下方延出部292Bとの間まで延ばす作業を行う。
【0446】
図36で示されているように、第1制御用ワイヤー311の両端部の他方の端部である方向変換装置238側に配置する端部311Dと、ロック用ワイヤー236の両端部のうちの一方の端部である上端部326Aと、を連結部材294で連結する作業を行う。
【0447】
アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の両端部のうちの一方の端部である
図38に示す上端部112Aを、複合装置300の機枠310の立上り部310Cまで延ばすとともにこの立上り部310Cに挿通した後、さらに、この上端部112Aを、起倒部材341まで延ばしてこの起倒部材341の上部に連結する作業を行う。第2制御用ワイヤー112の上端部112Aの起倒部材341の上部への連結は、この第2制御用ワイヤー112の上端部112Aに、この上端部112Aを起倒部材341の上部に連結するためのループ部112Bを形成する結合具112Cを設けることにより行う。
【0448】
また、第2制御用ワイヤー112の上端部112Aが突出しているアウターケーブル115の両端部のうちの一方の端部である
図38に示す上端部115Aを、複合装置300の機枠310の立上り部310Cに挿通固定する作業を行う。
【0449】
なお、手動閉鎖装置は、改修前の操作装置30に備えられていた既存のものを使用する。第2制御用ワイヤー112とアウターケーブル115もそのまま使用する。
【0450】
図38に示すように、起倒部材341に上端部112Aが連結されていて、アウターケーブル115の内部に挿通された第2制御用ワイヤー112の両端部のうちの他方の端部である図示しない下端部は、
図1で示した操作装置30まで延びており、アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の上記下端部には、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。また、第2制御用ワイヤー112の上記下端部が突出しているアウターケーブル115の他方の端部である下端部は、改修前の操作装置30の図示しないケースに挿通固定されている。
【0451】
第3制御用ワイヤー313の両端部のうちの一方の端部である
図38に示す上端部313Aを、複合装置300の機枠310の立上り部310Cまで延ばすとともにこの立上り部310Cに挿通した後、さらに、この上端部313Aを、複合装置300の第1スライド部材320まで延ばしてこの第1スライド部材320に設けられている連結部材338の連結部338Aに連結する作業を行う。この第3制御用ワイヤー313の上端部313Aの連結部材338の連結部338Aへの連結は、この第3制御用ワイヤー313の上端部313Aに、この上端部313Aを連結部材338の連結部338Aに連結するためのループ部313Bを形成する結合具313Cを設けることにより行う。また、第3制御用ワイヤー313の上端部313Aが突出しているアウターケーブル316の両端部のうちの一方の端部である上端部316Aを、複合装置300の機枠310の立上り部310Cまで延ばすとともにこの立上り部310Cに挿通固定する作業を行う。
【0452】
第3制御用ワイヤー313の両端部のうちの他方の端部である図示しない下端部が連結されるレバー部材等の手動操作部材を、
図23に示す改修後の操作装置230の図示しないケースの内部に設ける作業、すなわち、手動復帰装置を操作装置230に設ける作業を行う。なお、自動閉鎖装置232を初期状態に戻すためこの手動復帰装置は、第3制御用ワイヤー313と、この第3制御用ワイヤー313の端部に連結されている上記手動操作部材と、を含んで構成されるものである。
【0453】
アウターケーブル316から突出している第3制御用ワイヤー313の上記下端部を、操作装置230の上記ケースまで延ばすとともにこのケースに挿通した後、内部に配置した上記手動操作部材に連結する作業を行う。また、第3制御用ワイヤー313の上記下端部が突出しているアウターケーブル316の両端部のうちの他方の端部である図示しない下端部を、操作装置230の上記ケースまで延ばすとともにこのケースに挿通固定する作業を行う。
【0454】
また、
図39(A)に示されている中間装置400に配置されている第2電気スイッチ420の図示しないリード線の終端部を、
図23に示す制御装置27まで延ばすとともにこの制御装置27に接続する作業を行う。
【0455】
以上説明した配線作業が終了した後、取り外していた複合装置300のケースを再び取り付けて、この複合装置300の自動閉鎖装置232、中間装置400及び遅延装置500がケースで覆われるようにする。
【0456】
なお、以上説明したそれぞれの制御用ワイヤー及びアウターケーブルの配線作業の順序は任意であり、複数の作業者で配線作業を行う場合には、それぞれの配線作業を同時並行に行うものでもよい。
【0457】
また、改修作業のうち、制御用ワイヤー及びアウターケーブルの配線作業以外の作業、すなわち、各部材、装置の設置作業の順序も任意であり、複数の作業者で設置作業を行う場合には、それぞれの設置作業を同時並行に行うものでもよい。
【0458】
この後は、操作装置230を操作してこの改修後のシャッター装置の動作試験を行い、問題がなければ、操作装置230の「開」ボタンを操作してシャッターカーテン1を全開位置まで開き移動させる。以上で、改修作業は終了する。
以上説明したように、本実施形態では、
図23〜
図42に示されているシャッター装置は、
図1〜
図22に示されているシャッター装置を改修したものとなっている。
【0459】
以上説明したように、
図1〜
図22に示されている本実施形態に係る改修前(言い換えると、変更される前)のシャッター装置は、開閉移動自在となっているシャッターカーテン1と、オン、オフすることによりシャッターカーテン1を停止、移動可能とするためのブレーキ装置19を有する開閉機13と、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えるためにスライド自在となっているスライド部材120を有し、開閉機13を機械式に制御するための機械式制御装置である自動閉鎖装置32と、シャッターカーテン1に配置されていて、シャッターカーテン1が閉じ移動の途中でこのシャッターカーテン1の移動経路に存在する障害物34に当接したときに、シャッターカーテン1と紐状部材であるロック用ワイヤー36とを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤー36に、スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させる機械式結合装置39と、障害物34の除去によりスライド部材120がブレーキ装置19をオンからオフに切り替えてシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することを、障害物34の除去から時間遅れをもって開始させるための遅延装置であるダンパー102と、を備えたものとなっている。
【0460】
一方、
図23〜
図42に示されている本実施形態に係る改修後(言い換えると、変更された後)のシャッター装置は、開閉移動自在となっているシャッターカーテン1と、オン、オフすることによりシャッターカーテン1を停止、移動可能とするためのブレーキ装置19を有する開閉機13と、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えるためにスライド自在となっているスライド部材である第1スライド部材320を有し、開閉機13を機械式に制御するための機械式制御装置である自動閉鎖装置232と、シャッターカーテン1に配置されていて、シャッターカーテン1が閉じ移動の途中でこのシャッターカーテン1の移動経路に存在する障害物34に当接したときに、シャッターカーテン1と紐状部材であるロック用ワイヤー236とを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤー236に、第1スライド部材320をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させる機械式結合装置255と、障害物34の除去により第1スライド部材320がブレーキ装置19をオンからオフに切り替えてシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することを、障害物34の除去から時間遅れをもって開始させるための遅延装置500と、を備えたものとなっている。
【0461】
本実施形態では、
図1〜
図22に示されているシャッター装置の座板1B、機械式結合装置39、ロック用ワイヤー36、自動閉鎖装置32、遅延装置であるダンパー102、中間装置である第2処理装置38は、改修作業により、座板201B、機械式結合装置255、ロック用ワイヤー236、自動閉鎖装置232、遅延装置500、中間装置400に変更されている(言い換えると、交換されている)。
【0462】
このため、改修前のシャッター装置の座板1B、機械式結合装置39、ロック用ワイヤー36、自動閉鎖装置32、遅延装置であるダンパー102、中間装置である第2処理装置38は、それぞれ、変更される前の座板、変更される前の機械式結合装置、変更される前の機械式制御装置、変更される前の遅延装置、変更される前の中間装置となっており、改修後のシャッター装置の座板201B、機械式結合装置255、ロック用ワイヤー236、自動閉鎖装置232、遅延装置500、中間装置400は、それぞれ、変更された後の座板、変更された後の機械式結合装置、変更された後の機械式制御装置、変更された後の遅延装置、変更された後の中間装置となっている。
【0463】
前述したように、
図1〜
図22で示されているシャッター装置の外部環境に変化が生じた場合(例えば、シャッター装置がさらされている環境が劣悪なものに変化した場合や、シャッター装置の設置場所の構造、レイアウト等が変更された場合等)や、
図1〜
図22で示されているシャッター装置に経年変化が生じた場合(例えば、年月が経つうちに、シャッター装置に備えられているシャッターカーテン1、開閉機13、自動閉鎖装置32、機械式結合装置39等の品質・性能が変化した場合等)には、
図1〜
図22で示されているシャッター装置を外部環境の変化や経年変化に適応させる必要が生じる。
【0464】
本実施形態では、これらの変化に適応させるために、
図1〜
図22で示されているシャッター装置に備えられている部材、装置のうち、少なくとも一つの部材、装置が変更されている。
【0465】
このため、本実施形態によると、
図1〜
図22で示されているシャッター装置を、外部環境の変化や経年変化に適応させることができるようになる。
【0466】
なお、本実施形態において、上述した「部材、装置が変更されている」の「変更」には、既設の部材、装置(一部でもよく、全部でもよい)をこの既設の部材、装置とは異なる形式、構造のもの(装置)に変更することのほか、既設の部材、装置(一部でもよく、全部でもよい)を修理すること(新品のもの(部材、装置)と交換することを含む)や、既設の部材、装置(一部でもよく、全部でもよい)をこの既設の部材、装置が設けられていた場所から別の場所に単に移動する(言い換えると、移設する)こと等が含まれる。
【0467】
なお、上述した「既設の部材、装置をこの既設の部材、装置とは異なる形式、構造のものに変更すること」や「既設の部材、装置を修理すること」には、移動が伴うものであってもよく、なくてもよい。また、上述した「既設の部材、装置をこの既設の部材、装置が設けられていた場所から別の場所に単に移動すること」には、既設の部材、装置のメンテナンス(例えば、点検、修理、整備などの保守)や改変(例えば、機能の追加、変更、削除)が伴うものであってもよく、なくてもよい。
【0468】
また、本実施形態では、遅延装置は、改修前のシャッター装置と改修後のシャッター装置の両方において(言い換えると、機械式結合装置と機械式結合装置の変更の前と変更の後との両方において)備えられており、改修前のシャッター装置に備えられていた遅延装置であるダンパー102は、まぐさ16に載置されていた中間装置である第2処理装置38に配置されており、このダンパー102は、改修後のシャッター装置においては、開閉機13に載置されている複合装置300の中間装置400に配置された遅延装置500に変更されている。
【0469】
すなわち、本実施形態では、前述したように、改修前のシャッター装置におけるダンパー102は、自動閉鎖装置32から離間した箇所であるまぐさ16に配置されていた変更される前の遅延装置となっており、改修後のシャッター装置における遅延装置500は、まぐさ16よりも、自動閉鎖装置32から変更された自動閉鎖装置232に近い箇所に配置された変更された後の遅延装置となっている。
【0470】
前述したように、遅延装置であるダンパー102は、自動閉鎖装置32(さらにはブレーキ装置19を有する開閉機13)と密接に連動する装置となっており、このため、ダンパー102のメンテナンス作業は、自動閉鎖装置32のメンテナンス作業とともに行われることが多く、ダンパー102は、自動閉鎖装置32に近い箇所に配置されていたほうが、ダンパー102のメンテナンス作業と自動閉鎖装置32のメンテナンス作業を一緒に行うことができて効率的である。
【0471】
上述したように、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、変更された後の遅延装置である遅延装置500は、変更される前の遅延装置であるダンパー102よりも、自動閉鎖装置32から変更された自動閉鎖装置232に近い箇所に配置されるようになっている。
【0472】
このため、本実施形態に係る改修後のシャッター装置によると、遅延装置500のメンテナンス作業が、改修前、すなわち、ダンパー102を変更する前と比較して、自動閉鎖装置232のメンテナンス作業とともに効率的に行えるようになる。
【0473】
また、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、中間装置400や遅延装置500は、天井裏空間7の上部(言い換えると、上方)に配置されるようになっている。
【0474】
このため、本実施形態に係る改修後のシャッター装置によると、中間装置400や遅延装置500が、改修前と比較して、まぐさ16に設けられたスリット17から流入してくる塵や埃の影響を受けにくくなるという効果が得られる。
【0475】
また、以上説明した本実施形態では、開閉移動自在となっているシャッターカーテン1と、オン、オフすることによりシャッターカーテン1を停止、移動可能とするためのブレーキ装置19を有する開閉機13と、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えるためにスライド自在となっているスライド部材120を有し、開閉機13を機械式に制御するための自動閉鎖装置32と、シャッターカーテン1に配置されていて、シャッターカーテン1が閉じ移動の途中でこのシャッターカーテン1の移動経路に存在する障害物34に当接したときに、シャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合することにより、このロック用ワイヤー36に、スライド部材120をスライドさせてブレーキ装置19をオンとするための緊張力をシャッターカーテン1の自重により作用させる機械式結合装置39と、障害物34の除去によりスライド部材120がブレーキ装置19をオンからオフに切り替えてシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することを、障害物34の除去から時間遅れをもって開始させるための遅延装置であるダンパー102と、を備えている
図1〜
図22に示されているシャッター装置の改修方法は、座板1B、機械式結合装置39、ロック用ワイヤー36、自動閉鎖装置32、遅延装置であるダンパー102、中間装置である第2処理装置38を無機能化する、すなわち、取り外すとともに現場から撤去する第1作業工程と、無機能化した座板1B、機械式結合装置39、ロック用ワイヤー36、自動閉鎖装置32、ダンパー102、第2処理装置38とは別の部材、装置である座板201B、機械式結合装置255、ロック用ワイヤー236、自動閉鎖装置232、遅延装置500、中間装置400に変更する第2作業工程と、を含んでいるものである。
【0476】
なお、前述したように、本実施形態に係る改修前のシャッター装置では、このシャッター装置が管理用シャッター装置として機能しているとき、ロック用ワイヤー36に緊張力が作用したことを検出するための検出手段であるマイクロスイッチ170が設けられている。そして、このマイクロスイッチ170は、本実施形態に係る改修後のシャッター装置では、このシャッター装置が管理用シャッター装置として機能しているとき、ロック用ワイヤー236に緊張力が作用したことを検出するための検出手段である第2電気スイッチ手段420に変更されている。
【0477】
このため、マイクロスイッチ170は、本実施形態に係る改修前のシャッター装置が管理用シャッター装置として機能しているとき、ロック用ワイヤー36に緊張力が作用したことを検出するための変更される前の検出手段(言い換えると、第1検出手段)となっており、第2電気スイッチ手段420は、本実施形態に係る改修前のシャッター装置が管理用シャッター装置として機能しているとき、ロック用ワイヤー236に緊張力が作用したことを検出するための変更された後の検出手段(言い換えると、第2検出手段)となっている。
【0478】
なお、改修後のシャッター装置における検出手段は、改修前のシャッター装置における検出手段であるマイクロスイッチ170を移動してそのまま使用するようにしてもよい。
【0479】
なお、本実施形態では、
図1〜
図22で示されているシャッター装置を、
図23〜
図42で示されているシャッター装置に改修するにあたって、カーテン本体1Aは、交換せずに既存のもの使用するようになっていたが、改修作業の際に、このカーテン本体1Aも、新しいカーテン本体1Aと交換するようにしてもよい。
【0480】
また、本実施形態では、
図1〜
図22で示されているシャッター装置を、
図23〜
図42で示されているシャッター装置に改修するにあたって、左右のガイドレール6も、交換せずに既存のもの使用するようになっていたが、改修作業の際に、このガイドレール6も、新しいガイドレール3と交換するようにしてもよい。
【0481】
なお、本実施形態では、
図1〜
図22で示されているシャッター装置を、
図23〜
図42で示されているシャッター装置に改修するものであったが、これとは反対に、
図23〜
図42で示されているシャッター装置を、
図1〜
図22で示されているシャッター装置に改修するものでもよい。
【0482】
なお、以上説明した本実施形態では、まぐさ16に載置された第2処理装置38に配置された遅延装置であるダンパー102を備えている
図1〜
図22で示されているシャッター装置を、開閉機13に載置された複合装置300に配置された遅延装置500を備えている
図23〜
図42で示されているシャッター装置に改修するものとなっていたが、
図1〜
図22で示されているシャッター装置において、遅延装置であるダンパー102の配置箇所を、まぐさ16に載置された第2処理装置38から、開閉機13に載置されている自動閉鎖装置32に変更するようにしてもよい。
【0483】
言い換えると、
図1〜
図22で示されているシャッター装置において、遅延装置であるダンパー102を、まぐさ16に載置された第2処理装置38から、開閉機13に載置されている自動閉鎖装置32に移動するようにしてもよい。
【0484】
これによると、
図1〜
図22で示されているシャッター装置を、
図23〜
図42で示されているシャッター装置に改修する大掛かりな作業が必要なくなる。すなわち、
図1〜
図22に示されているシャッター装置の座板1B、機械式結合装置39、ロック用ワイヤー36、自動閉鎖装置32、遅延装置であるダンパー102、中間装置である第2処理装置38を、座板201B、機械式結合装置255、ロック用ワイヤー236、自動閉鎖装置232、遅延装置500、中間装置400に変更する(言い換えると、交換する)作業が必要なくなる。
【0485】
なお、この実施形態では、移動前のダンパー102が、変更される前の遅延装置となり、移動後のダンパー102が変更された後の遅延装置となる。すなわち、この実施形態では、変更される前の遅延装置と変更された後の遅延装置は同じもの(同一のもの)となる。
【0486】
また、この実施形態において、ダンパー102を自動閉鎖装置32に固定配置する箇所(場所)は、任意な箇所でよく、例えば、
図18に示す自動閉鎖装置32におけるスライド部材120や、このスライド部材120に結合されている第1連結部138Aと第2連結部138Bが設けられた連結部材138と接触する箇所である。この場合には、スライド部材120や連結部材138にギヤ歯を形成し、前進、後退する(スライドする)スライド部材120や連結部材138のギヤ歯にダンパー102のピニオンギヤ103が噛み合うように配置する。そして、スライド部材120がブレーキ装置19をオフからオンする方向に後退するときには、ダンパー102の内部に充填されている粘性流体の抵抗力が発生しないようにし、スライド部材120がブレーキ装置19をオンからオフする方向に前進するときには、ダンパー102の内部に充填されている粘性流体の抵抗力が発生するように、このダンパー102を固定配置する。
【0487】
なお、以上説明した実施形態における遅延装置は、まぐさ16等の不動部材に設けられているものであったが、遅延装置は、開閉体であるシャッターカーテン1(例えば、座板)に設けられているものでもよい。
【0488】
なお、機械式制御装置である自動閉鎖装置、機械式結合装置、遅延装置の形式、構造は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、任意な形式、構造のものでよい。また、シャッター装置を構成する各部材、装置の形式、構造や、シャッター装置に備えられる各部材、装置の形式、構造についても、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、任意な形式、構造のものでよい。