(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(出力電圧の検出を用いて消費電力の低減制御を行う場合の例)
2.変形例
変形例1(合算出力電流の検出を用いて消費電力の低減制御を行う場合の例)
変形例2(単独出力電流の検出を用いて消費電力の低減制御を行う場合の例)
3.その他の変形例
【0012】
<1.実施の形態>
[概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置(画像形成装置1)の概略構成例を模式的に表したものである。画像形成装置1は、例えば普通用紙等からなる記録媒体に対して、電子写真方式を用いて画像(この例ではカラー画像)を形成するプリンタ(この例ではカラープリンタ)として機能するものである。
【0013】
この画像形成装置1は、
図1に示したように、4つの画像形成部11C,11M,11Y,11Kと、用紙カセット(給紙トレイ)121と、ホッピングローラ(供給ローラ)122と、レジストローラ(搬送ローラ)131a,131bと、用紙検出センサ132とを備えている。画像形成装置1はまた、転写ベルト141と、転写ベルト駆動ローラ142aと、転写ベルト従動ローラ142bと、転写ベルトクリーナ容器143と、定着器(定着装置)15と、用紙ガイド161と、排出トレー162とを備えている。なお、これらの各部材は、
図1に示したように、開閉可能な上部カバー等(図示せず)を有する所定の筺体10内に収容されている。また、各画像形成部11C,11M,11Y,11Kは一体的に構成されており、画像形成装置1に対して着脱自在に装着されている。
【0014】
用紙カセット121は、記録媒体を積層した状態で収納する部材であり、画像形成装置1内の下部に着脱自在に装着されている。
【0015】
ホッピングローラ122は、用紙カセット121に収納されている記録媒体をその最上部から1枚ずつ分離して取り出し、レジストローラ131a,131bの方向へ繰り出す部材(給紙機構)である。
【0016】
レジストローラ131a,131bは、ホッピングローラ122から繰り出された記録媒体を挟持して搬送すると共に、その際に記録媒体の斜行を修正して転写ベルト141側へ搬送する部材である。
【0017】
用紙検出センサ132は、レジストローラ131a,131bから搬送された記録媒体(用紙)の通過を、接触あるいは非接触にて検知するセンサである。
【0018】
(画像形成部11C,11M,11Y,11K)
画像形成部11C,11M,11Y,11Kは、
図1に示したように、記録媒体の搬送方向(搬送路)dに沿って並んで配置されている。具体的には、この搬送方向dに沿って(上流側から下流側へ向かって)、画像形成部11K,11Y,11M,11Cの順に配置されている。なお、この搬送路dは、
図1に示したように、この例では全体としてS字状の経路となっている。
【0019】
これらの画像形成部11C,11M,11Y,11Kは、互いに異なる色のトナー(現像剤)を用いて、記録媒体上に画像(トナー像)を形成するものである。具体的には、画像形成部11Cは、シアン(C:Cyan)トナーを用いてシアン色のトナー像を形成し、画像形成部11Mは、マゼンダ(M:Magenta)トナーを用いてマゼンダ色のトナー像を形成する。同様に、画像形成部11Yは、イエロー(Y:Yellow)トナーを用いて黄色のトナー像を形成し、画像形成部11Kは、ブラック(K:blacK)トナーを用いて黒色のトナー像を形成する。
【0020】
このような各色のトナーはそれぞれ、例えば、所定の着色剤、離型剤、帯電制御剤および処理剤等を含んで構成されており、これらの各成分が適宜混合され、あるいは表面処理されることによって製造されるようになっている。これらのうち、着色剤、離型剤および帯電制御材はそれぞれ、内部添加剤として機能する。外部添加剤としては、例えばシリカや酸化チタン等が用いられ、結着樹脂としては例えばポリエステル樹脂等が用いられる。
【0021】
また、着色剤としては、染料や顔料等を単独、もしくは、複数種併用して使用することができる。具体的には、このような着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、パーマネントブラウンFG、ピグメントグリーンB、ピグメントブル一15:3、ソルベントブルー35、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、キナクリドン、カーミン6B、ナフトール、又はジスアゾイエロー、イソインドリン等などを用いることができる。
【0022】
ここで、画像形成部11C,11M,11Y,11Kは、上記したように互いに異なる色のトナーを用いてトナー像(現像剤像)を形成する点を除き、同じ構成を有している。したがって、以下では、これらのうちの画像形成部11Cを用いて代表して説明する。
【0023】
図1に示したように、この画像形成部11Cは、トナーカートリッジ110(現像剤収容容器)、感光ドラム111(像担持体)、帯電ローラ112(帯電部材)、現像ローラ113(現像剤担持体)、供給ローラ114(供給部材)、転写ローラ115(転写部材)、クリーニングブレード116(クリーニング部材)および露光ヘッド117(露光装置)を有している。
【0024】
トナーカートリッジ110は、上記した各色のトナーが収容されている容器である。すなわち、この画像形成部11Cの例では、トナーカートリッジ110内にはシアントナーが収容されている。同様に、画像形成部11Mにおけるトナーカートリッジ110内にはマゼンダトナーが収容され、画像形成部11Yにおけるトナーカートリッジ110内にはイエロートナーが収容され、画像形成部11Kにおけるトナーカートリッジ110内にはブラックトナーが収容されている。
【0025】
感光ドラム111は、静電潜像を表面(表層部分)に担持する部材であり、感光体(例えば有機系感光体)を用いて構成されている。具体的には、感光ドラム111は、導電性支持体と、その外周(表面)を覆う光導電層とを有している。導電性支持体は、例えば、アルミニウムからなる金属パイプにより構成されている。光導電層は、例えば、電荷発生層および電荷輸送層を順に積層した構造を有している。なお、このような感光ドラム111は、所定の周速度で回転するようになっている。
【0026】
帯電ローラ112は、感光ドラム111の表面(表層部分)を帯電させる部材であり、感光ドラム111の表面(周面)に接するように配置されている。この帯電ローラ112は、例えば、金属シャフトと、その外周(表面)を覆う半導電性ゴム層(例えば、半導電性エピクロロヒドリンゴム層)とを有している。なお、このような帯電ローラ112は、例えば感光ドラム111とは逆方向に回転するようになっている。
【0027】
現像ローラ113は、静電潜像を現像するトナーを表面に担持する部材であり、感光ドラム111の表面(周面)に接するように配置されている。この現像ローラ113は、例えば、金属シャフトと、その外周(表面)を覆う半導電性ウレタンゴム層とを有している。なお、このような現像ローラ113は、所定の周速度にて、例えば感光ドラム111とは逆方向に回転するようになっている。
【0028】
供給ローラ114は、トナーカートリッジ110内に収容されているトナーを現像ローラ113に対して供給するための部材であり、現像ローラ113の表面(周面)に接するように配置されている。この供給ローラ114は、例えば、金属シャフトと、その外周(表面)を覆う発泡性のシリコーンゴム層とを有している。なお、このような供給ローラ114は、例えば現像ローラ113と同じ方向に回転するようになっている。
【0029】
転写ローラ115は、各画像形成部11C,11M,11Y,11K内で形成されたトナー像を、記録媒体上に静電的に転写するための部材である。この転写ローラ115は、各画像形成部11C,11M,11Y,11K内において、後述する転写ベルト141を介して感光ドラム111と対向配置されている。なお、このような転写ローラ115は、例えば、発泡性の半導電性弾性ゴム材により構成されている。
【0030】
クリーニングブレード116は、感光ドラム111の表面(表層部分)に残留するトナーを掻き取って除去(クリーニング)するための部材である。このクリーニングブレード116は、感光ドラム111の表面に対してカウンタで当接する(感光ドラム111の回転方向に対して逆向きで突出する)ようにして配置されている。このようなクリーニングブレード116は、例えば、ポリウレタンゴム等の弾性体により構成されている。
【0031】
露光ヘッド117は、照射光を感光ドラム111の表面に照射して露光することにより、この感光ドラム111の表面(表層部分)に静電潜像を形成する装置である。この露光ヘッド117は、筺体10における上部カバー(図示せず)によって支持されている。露光ヘッド117は、例えば、照射光を発する複数の光源と、この照射光を感光ドラム111の表面に結像させるレンズアレイとを含んで構成されている。なお、これらの各光源としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザ素子等が挙げられる。
【0032】
転写ベルト141は、レジストローラ131a,131b等から搬送された記録媒体を静電吸着することにより、その記録媒体を搬送方向dに沿って搬送するベルトである。また、転写ベルト駆動ローラ142aおよび転写ベルト従動ローラ142bはそれぞれ、この転写ベルト141を動作させるための部材である。転写ベルトクリーナ容器143は、クリーニングブレード116によって掻き取られたトナーを収容するための容器である。
【0033】
定着器15は、転写ベルト141から搬送された記録媒体上のトナー(トナー像)に対して熱および圧力を付与して定着させるための装置である。この定着器15は、例えば、記録媒体の搬送路dを介して互いに対向配置された、定着ベルトユニットおよび加圧ローラ(図示せず)を含んで構成されている。なお、定着器15は、例えば、画像形成装置1に対して一体的に装着されているか、あるいは、画像形成装置1に対して着脱可能に装着されている。
【0034】
用紙ガイド161は、定着器15によってトナーが定着された記録媒体を画像形成装置1の外部へ排出する際の案内部材である。具体的には、この例では
図1に示したように、用紙ガイド161を介して排出された記録媒体は、筺体10の上部カバー(図示せず)上の排出トレー162へ向けて、フェースダウンにて排出されるようになっている。なお、この排出トレー162は、画像が形成(印刷)された記録媒体を集積する部分である。
【0035】
[制御機構等の構成]
ここで、
図1に加えて
図2および
図3を参照して、画像形成装置1の制御機構について説明する。
図2は、このような画像形成装置1の制御機構の一例を、その制御対象とともにブロック図で表したものである。
【0036】
図2に示したように、この例では画像形成装置1の制御機構として、以下のものが設けられている。すなわち、ホストインタフェース部20、コマンド/画像処理部21、露光ヘッドインタフェース部22、印刷制御部23、高圧発生部24、前述した用紙検出センサ132、および低圧電源部26が設けられている。
【0037】
ホストインタフェース部20は、コマンド/画像処理部21との間でデータの送受信を行うものである。具体的には、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置(外部機器)から通信回線を介して供給される印刷データ(印刷ジョブ,印刷命令等)を、コマンド/画像処理部21へ供給する機能を有している。なお、このような印刷データは、例えばPDL(Page Description Language)等によって記述されるようになっている。
【0038】
コマンド/画像処理部21は、ホストインタフェース部20から供給される印刷データに対して所定の処理を行うものである。これにより、露光ヘッドインタフェース部22に対して画像データ(例えばビットマップ形式の画像データ)が供給されると共に、印刷制御部23に対してコマンドデータが供給されるようになっている。
【0039】
露光ヘッドインタフェース部22は、
図2に示したように、印刷制御部23からの制御に従って、各画像形成部11C,11M,11Y,11K内の露光ヘッド117の動作(発光動作)を制御するものである。
【0040】
(印刷制御部23)
印刷制御部23は、画像形成装置1全体を制御する機能を有している。具体的には、印刷制御部23は、画像形成装置1内の各部を制御して印刷処理等を実行させる機能等を有している。具体的には
図2に示したように、印刷制御部23は、高圧発生部24、各種の駆動機構等(この例では、後述するホッピングモータ251、レジストモータ252、ベルトモータ253、定着器ヒータモータ253、ドラムモータ255および結露防止用除湿ヒータ256)および低圧電源部26の各動作を制御する機能を有している。また、印刷制御部23は、詳細は後述するが、低圧電源部26を介して定着器15内のハロゲンヒータ150a,150bの動作(加熱動作)を制御する機能を有している。
【0041】
このような印刷制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等を用いたマイクロコンピューターを用いて構成されている。なお、この印刷制御部23および後述する低圧電源部26内の電圧検出回路265が、本発明における「制御部」の一具体例に対応している。
【0042】
高圧発生部24は、印刷制御部23からの制御に従って、各画像形成部11C,11M,11Y,11K内の部材(帯電ローラ112、現像ローラ113、供給ローラ114および転写ローラ115等)に対して高電圧(バイアス)を印加するための電源部である。また、印刷制御部23からの制御によって、これらの高電圧の大きさ(絶対値)等が適宜制御されるようになっている。
【0043】
ホッピングモータ251は、ホッピングローラ122を駆動するためのモータである。レジストモータ252は、レジストローラ131a,131bをそれぞれ駆動するためのモータである。ベルトモータ253は、転写ベルト141(転写ベルト駆動ローラ142a等)を駆動するためのモータである。定着器ヒータモータ254は、定着器15内の後述するハロゲンヒータ150a,150bを駆動するためのモータである。ドラムモータ255は、各画像形成部11C,11M,11Y,11K内の感光ドラム111を駆動するためのモータである。結露防止用除湿ヒータ256は、画像形成装置1の筺体10内での結露を防止するための除湿ヒータである。なお、この結露防止用除湿ヒータ256は、本発明における「1または複数のヒータ」および「結露防止用ヒータ」の一具体例に対応する。
【0044】
低圧電源部26は、外部(例えば後述する商用電源8)から供給される電圧に基づいて各種の電圧を生成する電源部である。この低圧電源部26はまた、詳細は後述するように、印刷制御部23からの制御に従って、定着器15内の後述するハロゲンヒータ150a,150bの動作を制御するようになっている。
【0045】
図3は、
図2に示したハロゲンヒータ150a,150bおよびその制御機構(印刷制御部23および低圧電源部26)の詳細構成例を、回路図を用いて模式的に表したものである。なお、これらの印刷制御部23および低圧電源部26が、本発明における「ヒータ制御装置」の一具体例に対応する。
【0046】
(ハロゲンヒータ150a,150b)
この
図3に示したように、定着器15内には、複数種類のヒータ(この例では2種類のハロゲンヒータ150a,150b)が設けられている。
図4は、このような2種類のハロゲンヒータ150a,150bの概略構成例を、模式的に表したものである。
【0047】
図4に示したように、この例では、ハロゲンヒータ150aには、A3サイズの用紙(記録媒体)における縦送り時の用紙幅に対応した発熱長Laを有する、フィラメント(発熱体)30aが実装されている。一方、ハロゲンヒータ150bには、A4サイズの用紙における縦送り時の用紙幅に対応した発熱長Lb(<La)を有する、フィラメント30bが実装されている。これらのハロゲンヒータ150a,150bは、
図4中に一例として示したように、互いに消費電力が異なるヒータとなっている。すなわち、ハロゲンヒータ150aにおける消費電力は、この例では1000Wとなっており、ハロゲンヒータ150bにおける消費電力は、この例では700Wとなっている。なお、これらのハロゲンヒータ150a,150bは、本発明における「1または複数のヒータ」および「定着器用ヒータ」の一具体例に対応する。
【0048】
ここで、これら2種類のハロゲンヒータ150a,150bの動作は、前述した印刷制御部23による制御に従って、例えば定着器15の正常動作時(後述する正常期間ΔT0)には、例えば以下のようにして制御されるようになっている。すなわち、ハロゲンヒータ150a,150bの個々の消費電力の大きさや、印刷対象となる用紙のサイズ、画像形成装置1全体で使用可能な最大電力等を考慮して、ハロゲンヒータ150a,150bのうちの一方のみまたは双方が動作する(加熱動作を行う)ように制御される。具体的には、例えば、これらの一方のみが動作状態となると共に他方が動作停止状態になったり、双方が動作状態となったり、一方が他方の補助的役割で動作したりするようになっている。
【0049】
図3に示したように、印刷制御部23には、タイマ230が内蔵されている。このタイマ230は、低圧電源部26内の後述する電圧検出回路265による電圧(後述する交流入力電圧Vacinおよび直流電圧Vdc1)の検出タイミングに対して、所定の時間(待機時間)の遅延を持たせるための回路である。
【0050】
(低圧電源部26)
また、
図3に示したように、低圧電源部26は、力率改善回路261、DC−ACインバータ262、DC−DCコンバータ263、電解コンデンサ264および電圧検出回路265を有している。
【0051】
力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路261は、外部(この例では商用電源8)から供給される入力電圧(この例では、商用電圧としての交流入力電圧Vacin)に基づいて、直流電圧Vdc1を生成する回路(電圧変換回路)である。交流入力電圧Vacinは、例えば100V〜230V程度の交流電圧であり、直流電圧Vdc1は、例えば390V程度の直流電圧である。なお、この力率改善回路261は、本発明における「第1の電圧変換部」の一具体例に対応し、交流入力電圧Vacinは、本発明における「外部入力電圧」の一具体例に対応し、直流電圧Vdc1は、本発明における「第1の電圧」および「(第1の電圧変換部の)負荷変動」の一具体例に対応する。
【0052】
DC−ACインバータ262は、力率改善回路261から出力される直流電圧Vdc1に基づいて、上記した定着器15内のハロゲンヒータ150a,150bに対して個別に電力供給(交流電力供給)を行うための交流電圧Vac2a,Vac2bをそれぞれ生成する回路(電圧変換回路)である。なお、生成された交流電圧Vac2aは、
図3に示したように、ハロゲンヒータ150aに対して電力供給を行うために利用され、交流電圧Vac2bは、ハロゲンヒータ150bに対して電力供給を行うために利用されるようになっている。このようなDC−ACインバータ262は、
図3に示したように、1または複数のスイッチング素子を含むスイッチング部262aと、このスイッチング部262aにおける各スイッチング素子のオン・オフ動作を制御するスイッチング制御部262bとを有している。なお、このときのオン・オフ動作の制御は、例えば、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)を用いてなされるようになっている。ここで、このDC−ACインバータ262は、本発明における「第2の電圧変換部」の一具体例に対応し、交流電圧Vac2a,Vac2bはそれぞれ、本発明における「第2の電圧」の一具体例に対応する。
【0053】
DC−DCコンバータ263は、力率改善回路261から出力される直流電圧Vdc1に基づいて、この例では2種類の直流電圧Vdc3H,Vdc3Lをそれぞれ生成する回路(電圧変換回路)であり、この例では降圧型のDC−DCコンバータとなっている。直流電圧Vdc3Hは、例えば24V程度の直流電圧であり、
図2に示した各種の駆動機構等(ホッピングモータ251、レジストモータ252、ベルトモータ253、定着器ヒータモータ253、ドラムモータ255および結露防止用除湿ヒータ256)へ供給されるようになっている。一方、直流電圧Vdc3Lは、例えば5V程度の直流電圧であり、
図3中に示したように、例えば各種の論理回路(印刷制御部23等)におけるロジック電圧として利用されるようになっている。また、これらの直流電圧Vdc3H,Vdc3Lはそれぞれ、この例では
図3に示したように、DC−ACインバータ262内のスイッチング制御部262bにも供給されると共に、直流電圧Vdc3Hについては力率改善回路261にも供給されるようになっている。このようなDC−DCコンバータは、例えば、スイッチング素子およびトランス等を含んで構成された、一般的な自励式のフライバックコンバータからなる。なお、このDC−DCコンバータ263は、本発明における「第3の電圧変換部」の一具体例に対応し、直流電圧Vdc3Hは、本発明における「第3の電圧」(1または複数のヒータを駆動する際に用いられる電圧,1または複数のヒータへの印加電圧)の一具体例に対応する。
【0054】
電解コンデンサ264は、
図3に示したように、力率改善回路261と、DC−ACインバータ262およびDC−DCコンバータ263と、の間の経路に電気的に接続されている(この例では、上記経路上に配置されている)。具体的には、この例では、力率改善回路261の出力端子と接続点P1(DC−ACインバータ262の入力端子とDC−DCコンバータ263の入力端子との接続点)との間の経路(直流電圧Vdc1の出力経路)と、接地(グランド)との間に挿入配置されている。この電解コンデンサ264は、交流入力電圧Vacinが低下したとき(後述する瞬低状態または瞬断状態になったとき)の対策用のコンデンサである。なお、この電解コンデンサ264は、本発明における「容量素子」の一具体例に対応する。
【0055】
電圧検出回路265は、前述した交流入力電圧Vacinおよび直流電圧Vdc1をそれぞれ随時検出する回路(電圧検出部)であり、例えば抵抗分圧器等を用いた一般的な電圧検出回路により構成されている。この電圧検出回路265での交流入力電圧Vacinおよび直流電圧Vdc1の検出結果信号はそれぞれ、
図3に示したように、印刷制御部23内の前述したタイマ230へ出力されるようになっている。
【0056】
(印刷制御部23および電圧検出回路265による動作制御)
ここで本実施の形態では、前述した印刷制御部23および電圧検出回路265が、所定の条件を満たす場合に、少なくともハロゲンヒータ150a,150bにおける消費電力を低減させる動作制御等を行う機能を有している。
【0057】
具体的には、印刷制御部23は、まず、電圧検出回路265によって検出された交流入力電圧Vacinが、後述する所定の閾値電圧Vth1以下、かつ、後述する所定の閾値電圧Vth2超過の範囲にまで低下した(Vth2<Vacin≦Vth1を満たす:後述する瞬低時)か否かを判定する。次いで、印刷制御部23は、電圧検出回路265によって検出された直流電圧Vdc1が、後述する所定の閾値電圧Vth3未満となっている(Vdc1<Vth3を満たす:力率改善回路261の負荷変動が小さくなった)か否かを判定する。
【0058】
そして、印刷制御部23は、このような瞬低の状態となった場合において、力率改善回路261の負荷変動が小さくなったときには、DC−ACインバータ262の動作(交流電圧Vac2a,Vac2bの生成動作)を停止させると共に、後述する所定のシャットダウン処理を行うようになっている。
【0059】
なお、このような印刷制御部23および電圧検出回路265による制御動作(瞬低時・小負荷等の制御処理)の詳細については、後述する(
図7〜
図9)。
【0060】
[作用・効果]
(A.画像形成装置1全体の基本動作)
この画像形成装置1では、以下のようにして、記録媒体に対して画像(画像層)が形成される。換言すると、
図2に示したように、前述した上位装置から通信回線等を介して印刷制御部23に対して印刷ジョブが供給されると、印刷制御部23はこの印刷ジョブに基づいて、画像形成装置1内の各部材が以下のような動作を行うように、印刷処理を実行する。
【0061】
すなわち、
図1に示したように、まず、用紙カセット121に収納されている記録媒体が、ホッピングローラ122によって最上部から1枚ずつ分離して取り出され、レジストローラ131a,131bの方向へ繰り出される。次いで、ホッピングローラ122から繰り出された記録媒体は、レジストローラ131a,131bによってその斜行が修正された後、転写ベルト141側へ搬送される。このようにして搬送された記録媒体は、転写ベルト141によって搬送方向dに沿って搬送されつつ、以下のようにして各画像形成部11C,11M,11Y,11Kおいて形成されるトナー像が、この搬送方向dに沿って記録媒体上に順次転写される。
【0062】
ここで、これらの画像形成部11C,11M,11Y,11Kではそれぞれ、以下の電子写真プロセスによって、各色のトナー像が形成される。
【0063】
すなわち、まず、感光ドラム111は、高圧発生部24から印加電圧が供給される帯電ローラ112によって、その表面(表層部分)が一様に帯電させられる。次いで、この感光ドラム111の表面に向けて露光ヘッド117から照射光が照射されて露光されることで、前述した印刷ジョブにより規定される印刷パターンに応じた静電潜像が、感光ドラム111上に形成される。
【0064】
一方、高圧発生部24から印加電圧が供給される供給ローラ114は、同じく高圧発生部24から印加電圧が供給される現像ローラ113と当接し、供給ローラ114および現像ローラ113はそれぞれ、所定の周速度にて回転する。これにより、現像ローラ113の表面に、供給ローラ114からトナーが供給される。
【0065】
続いて、現像ローラ113上のトナーは、この現像ローラ113に当接しているトナー規制部材(図示せず)との摩擦等により帯電される。ここで、現像ローラ113上のトナー層の厚は、現像ローラ113に対する印加電圧、供給ローラ114に対する印加電圧、およびトナー規制部材の押し圧力(上記トナー規制部材に対する印加電圧)等により定まる。
【0066】
また、現像ローラ113は感光ドラム111に当接しているため、この現像ローラ113に対して高圧発生部24から印加電圧が供給されることで、感光ドラム111上の静電潜像に対して、現像ローラ113からトナーが付着される。
【0067】
その後、この感光ドラム111上のトナー(トナー像)は、転写ローラ115との間の電界によって、記録媒体上に転写される。なお、この感光ドラム111の表面に残留したトナーは、クリーニングブレード116によって掻き取られて転写ベルトクリーナ容器143に収容されることで、除去される。
【0068】
このようにして、各画像形成部11C,11M,11Y,11Kにおいて各色のトナー像が形成され、前述した搬送方向dに沿って記録媒体上に順次転写される。
【0069】
具体的には、
図1に示したように、各画像形成部11C,11M,11Y,11Kにおいて、対応する各色のトナー(シアントナー、マゼンダトナー、イエロートナーおよびブラックトナー)を用いて、各色のトナー像からなる層(画像層)が形成される。
【0070】
続いて、
図1に示したように、定着器15によって、転写ベルト141から搬送された記録媒体上のトナーが、熱および圧力が付与されることで定着させられる。具体的には、搬送方向dにて搬送されている記録媒体が、例えば定着ベルト(図示せず)と加圧ローラ(図示せず)との間に形成されるニップ部(図示せず)に挟まれつつ熱および圧力が付与されることで、定着動作がなされる。
【0071】
そして、このようにして定着動作がなされた記録媒体は、用紙ガイド161を介して画像形成装置1の外部(この例では排出トレー162上)へと排出される。以上により、画像形成装置1における画像形成動作が完了となる。
【0072】
(B.低圧電源部26の基本動作)
また、このような画像形成動作の際に、
図2および
図3に示した低圧電源部26は、以下のようにして動作する。
【0073】
すなわち、まず、商用電源8から交流入力電圧Vacinが供給されると、力率改善回路261は、この交流入力電圧Vacinに基づいて直流電圧Vdc1を生成する。次いで、DC−ACインバータ262は、このようにして生成された直流電圧Vdc1に基づいて、交流電圧Vac2a,Vac2bをそれぞれ生成する。すると、定着器15内のハロゲンヒータ150a,150bはそれぞれ、これらの交流電圧Vac2a,Vac2bが供給されることで、上記した定着動作の際の加熱動作を行う。
【0074】
一方、DC−DCコンバータ263は、上記した直流電圧Vdc1に基づいて、2種類の直流電圧Vdc3H,Vdc3Lをそれぞれ生成する。このようにして生成された直流電圧Vdc3H(例えば24V程度)は、
図2に示した各種の駆動機構等(ホッピングモータ251、レジストモータ252、ベルトモータ253、定着器ヒータモータ253、ドラムモータ255および結露防止用除湿ヒータ256)へ供給される。一方、直流電圧Vdc3L(例えば5V程度)は、
図3中に示したように、例えば各種の論理回路(印刷制御部23等)におけるロジック電圧として利用される。なお、これらの直流電圧Vdc3H,Vdc3Lはそれぞれ、
図3に示したように、DC−ACインバータ262内のスイッチング制御部262bにも供給される。また、直流電圧Vdc3Hについては、力率改善回路261にも供給される。
【0075】
また、このとき電圧検出回路265では、低圧電源部26へ入力する交流入力電圧Vacinと、この低圧電源部26内の力率改善回路261から出力される直流電圧Vdc1とがそれぞれ、随時検出される。そして、この電圧検出回路265での交流入力電圧Vacinおよび直流電圧Vdc1の検出結果信号はそれぞれ、
図3に示したように印刷制御部23内のタイマ230へ供給され、後ほど詳述する消費電力低減の動作制御等に利用される。
【0076】
(C.瞬低・瞬断時の制御処理)
ところで、このようにして低圧電源部26へ入力する交流入力電圧Vacinは、状況に応じて、例えば以下のように低下してしまうケースがあり得る。
【0077】
すなわち、例えば
図5(A)に示したように、この交流入力電圧Vacinが、正常期間ΔT0における値を基準(100%)として、多少(この例では約20%)低下してしまうケースがあり得る。その場合、例えば
図5(B)に示したように、この交流入力電圧Vacinに基づいて力率改善回路261により生成される直流電圧Vdc1もまた、この例では約20%低下してしまうことになる。このような交流入力電圧Vacinの多少の低下(後述する閾値電圧Vth1以下への低下)を、以降では「瞬低」状態と呼ぶものとし、
図5中に示したようにこの瞬低状態の期間を、瞬低期間ΔT1と定義する。
【0078】
また、例えば
図6(A)に示したように、この交流入力電圧Vacinが、正常期間ΔT0における値を基準(100%)として、更に極端に(この例では約100%)低下してしまう(ほぼ0Vとなってしまう)ケースがあり得る。その場合、例えば
図6(B)に示したように、この交流入力電圧Vacinに基づいて力率改善回路261により生成される直流電圧Vdc1もまた、この例では約100%低下してしまうことになる。このような交流入力電圧Vacinの更なる低下(後述する閾値電圧Vth2以下への低下)を、以降では「瞬断」状態と呼ぶものとし、
図6中に示したようにこの瞬断状態の期間を、瞬断期間ΔT2と定義する。
【0079】
ここで、本実施の形態の画像形成装置1では、以下詳述するように、印刷制御部23および電圧検出回路265において、このような瞬低時や瞬断時に、以下のような動作制御を行う。すなわち、印刷制御部23および電圧検出回路265は、所定の条件を満たす場合に、少なくともハロゲンヒータ150a,150bにおける消費電力を低減させる動作制御を行う。
【0080】
具体的には、印刷制御部23は、まず、瞬低の状態であるのか否かを判定する。次いで、印刷制御部23は、力率改善回路261の負荷変動が小さい(小負荷の状態である)のか否かを判定する。そして、印刷制御部23は、瞬低の状態となった場合において、力率改善回路261の負荷変動が小さくなったときには、DC−ACインバータ262の動作を停止させると共に、後述する所定のシャットダウン処理を行う。
【0081】
このような動作制御を行うことにより、本実施の形態では、以下の作用が得られる。すなわち、交流入力電圧Vacinが瞬低の状態となった場合において、力率改善回路261の負荷変動が小さくなったときに、少なくともハロゲンヒータ150a,150bでの消費電力が低減する。
【0082】
(D.具体的な制御処理)
続いて、
図7〜
図9を参照して、このような瞬低時や瞬断時等における印刷制御部23および電圧検出回路265による具体的な制御処理(消費電力を低減させる動作制御)について、より詳細に説明する。
【0083】
図7は、本実施の形態に係るこのような制御処理の一例を、流れ図で表したものある。
【0084】
なお、この
図7において、閾値電圧Vth1は、交流入力電圧Vacinが正常状態であるのか瞬低状態であるのかの境界を示す閾値であり、この例では正常期間ΔT0における交流入力電圧Vacinの値を基準(100%)として、約80%の値としている。また、閾値電圧Vth2は、交流入力電圧Vacinが瞬低状態であるのか瞬断状態であるのかの境界を示す閾値であり、この例では正常期間ΔT0における交流入力電圧Vacinの値を基準(100%)として、約20%の値としている。つまり、閾値電圧Vth1>閾値電圧Vth2となっている。なお、これらの閾値電圧Vth1,Vth2の値はそれぞれ、例えば設計段階で任意に変更(調整)することが可能となっている。また、閾値電圧Vth1は、本発明における「第1の閾値」の一具体例に対応し、閾値電圧Vth2は、本発明における「第2の閾値」の一具体例に対応している。
【0085】
また、
図7において、閾値電圧Vth3は、力率改善回路261の負荷変動が小さい(小負荷の状態である)のか否かの境界を示す閾値であり、例えば、DC−DCコンバータ263が動作することが可能な上限電圧値に対応している。なお、この閾値電圧Vth3は、本発明における「第3の閾値」の一具体例に対応する。
【0086】
また、
図8および
図9はそれぞれ、
図7に示した制御動作の際における、低圧電源部26およびハロゲンヒータ150a,150bの動作状態の一例を、回路図で模式的に表したものである。なお、これら
図8および
図9において、ブロック全体を破線で囲むと共にそのブロック内を空白にて示したブロックは、その動作が停止状態となっていることを模式的に示している。また、
図8および
図9において、「×(バツ)」で示した部分についても、そのブロックへの電力供給(この例では交流電圧Vac2a,Vac2bの供給)が停止されていることを模式的に示している。
【0087】
(瞬断の判定処理)
この制御処理では、まず、電圧検出回路265において、交流入力電圧Vacinおよび直流電圧Vdc1がそれぞれ検出される(
図7のステップS101)。そして、印刷制御部23は、検出された交流入力電圧Vacinが、前述した閾値電圧Vth2以下であるのか否か(Vacin≦Vth2を満たすのか否か)を判定する(ステップS102)。すなわち、印刷制御部23は、この交流入力電圧Vacinが、前述した瞬断状態であるのか否かを判定する。ここで、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth2以下ではない(Vacin≦Vth2を満たさない)、すなわち、瞬断状態には該当しないと判定された場合には(ステップS102:N)、後述するステップS104(瞬低の判定処理)へと進む。
【0088】
(瞬断時の動作制御)
一方、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth2以下である(Vacin≦Vth2を満たす)、すなわち、瞬断状態に該当すると判定された場合(ステップS102:Y)、次に印刷制御部23は、以下説明する瞬断時の動作制御を行う。
【0089】
具体的には、印刷制御部23は、低圧電源部26内のDC−ACインバータ262の動作を停止させる制御を行う(ステップS103)。より具体的には、印刷制御部23は、例えば、スイッチング部262aによるスイッチング制御を利用して、あるいは、スイッチング制御部262bの動作自体を停止させることにより、そのようなDC−ACインバータ262の動作停止制御を行う。
【0090】
このようにして、例えば
図8に示したように、DC−ACインバータ262の動作が停止することから、ハロゲンヒータ150a,150bへ電力供給がなされなくなる。すなわち、交流電圧Vac2a,Vac2bがそれぞれハロゲンヒータ150a,150bへ供給されなくなり、その結果、ハロゲンヒータ150a,150bの動作が停止される。
【0091】
また、DC−ACインバータ262の動作が停止することになるため、このDC−ACインバータ262の動作用の電荷を、電解コンデンサ264に蓄えておく必要がなくなる。つまり、DC−DCコンバータ263の動作用の電荷を蓄えておけば済むようになり、大部分を占める、ハロゲンヒータ150a,150bへの電力供給用の電荷の蓄えが不要となる。その結果、本実施の形態では、電解コンデンサ264の容量が小さくて済むようになる。
【0092】
なお、この場合、これで
図7に示した一連の制御処理が終了となる。
【0093】
(瞬低の判定処理)
一方、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth2以下ではない(Vacin≦Vth2を満たさない)、すなわち、瞬断状態には該当しないと判定された場合には(ステップS102:N)、次に印刷制御部23は、この交流入力電圧Vacinが前述した瞬低状態であるのか否かを判定する。具体的には、印刷制御部23は、交流入力電圧Vacinが前述した閾値電圧Vth1以下であるのか否か(Vacin≦Vth1(>Vth2)を満たすのか否か)を判定する(ステップS104)。ここで、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth1以下でない(Vacin≦Vth1も満たさない)、すなわち、瞬低状態にも該当しないと判定された場合には(ステップS104:N)、正常期間ΔT0であると判定され、最初のステップS101へと戻ることになる。
【0094】
(小負荷の判定処理)
一方、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth1以下である(Vacin≦Vth1を満たす)、すなわち、瞬低状態に該当すると判定された場合(ステップS104:Y)、次に印刷制御部23は、力率改善回路261の負荷変動が小さい(小負荷の状態である)のか否かを更に判定する。具体的には、印刷制御部23は、ステップS101において検出された直流電圧Vdc1が、前述した閾値電圧Vth3未満であるのか否か(Vdc1<Vth3を満たすのか否か)を判定する(ステップS105)。ここで、直流電圧Vdc1が閾値電圧Vth3未満でない(Vdc1<Vth3を満たさない)、すなわち、瞬低状態ではあるが小負荷状態には該当しないと判定された場合には(ステップS105:N)、正常期間ΔT0であると判定され、最初のステップS101へと戻ることになる。
【0095】
(瞬低・小負荷時の動作制御)
一方、直流電圧Vdc1が閾値電圧Vth3未満である(Vdc1<Vth3を満たす)、すなわち、瞬低状態かつ小負荷状態であると判定された場合には(ステップS105:Y)、次に印刷制御部23は、以下説明する瞬低・小負荷時の動作制御(ステップS106〜S108)を行う。
【0096】
具体的には、印刷制御部23は、まず、低圧電源部26内のDC−ACインバータ262の動作を停止させる制御を行う(ステップS106)。この場合も印刷制御部23は、例えば、スイッチング部262aによるスイッチング制御を利用して、あるいは、スイッチング制御部262bの動作自体を停止させることにより、そのようなDC−ACインバータ262の動作停止制御を行う。
【0097】
このようにして、例えば
図9に示したように、DC−ACインバータ262の動作が停止することから、ハロゲンヒータ150a,150bへ電力供給がなされなくなる。すなわち、交流電圧Vac2a,Vac2bがそれぞれハロゲンヒータ150a,150bへ供給されなくなり、その結果、ハロゲンヒータ150a,150bの動作が停止される。このようにして、消費電力の大きいハロゲンヒータ150a,150bの動作が停止することから、画像形成装置1全体としての低消費電力化が図られる。
【0098】
次に、上記した動作制御によってDC−ACインバータ262の動作が停止した後に、例えば
図9中の矢印P2にて示したように、電解コンデンサ264に蓄えられていた電荷(蓄積電荷)が、DC−DCコンバータ263に対して供給される。したがって、DC−DCコンバータ263は、この蓄積電荷を利用して動作するようになる(ステップS107)。
【0099】
このようにして、この場合も、ハロゲンヒータ150a,150bへの電力供給用とDC−DCコンバータ263の動作用との双方の電荷を、電解コンデンサ264に蓄えておく必要がなくなる(DC−DCコンバータ263の動作用の電荷だけを、電解コンデンサ264に蓄えておけば済むようになる)。したがって前述したように、電解コンデンサ264の容量が小さくて済むようになる。
【0100】
続いて、印刷制御部23は、上記した蓄積電荷を利用して動作するDC−DCコンバータ263から供給される電力(直流電圧Vdc3L)に基づいて、画像形成装置1のシャットダウン処理を行う(ステップS108)。このシャットダウン処理とは、具体的には、例えば印刷ジョブや印刷設定等の各種情報を保存しておくための処理である。これにより、このような各種情報を保持しておくことが可能となる。
【0101】
以上で、
図7に示した一連の制御処理が終了となる。
【0102】
以上のように本実施の形態では、印刷制御部23および電圧検出回路265において、上記した所定の条件を満たす場合に、少なくともハロゲンヒータ150a,150bにおける消費電力を低減させる動作制御を行うようにしたので、以下のようになる。すなわち、交流入力電圧Vacinが瞬低の状態となった場合において、力率改善回路261の負荷変動が小さくなったときに、少なくともハロゲンヒータ150a,150bでの消費電力が低減する。よって、消費電力の大きいハロゲンヒータ150a,150bの動作が少なくとも停止することから、画像形成装置1全体としての低消費電力化を図ることが可能となる。
【0103】
また、前述したように、電解コンデンサ264の容量が小さくて済むことから、この電解コンデンサ264の実装面積を削減したり、電解コンデンサ264の部品コストを低減したりすることも可能になる。
【0104】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0105】
[変形例1]
(構成)
図10は、変形例1に係るハロゲンヒータ150a,150bおよびその制御機構(印刷制御部23Aおよび低圧電源部26A)の詳細構成例を、回路図を用いて模式的に表したものである。なお、これらの印刷制御部23Aおよび低圧電源部26Aは、本発明における「ヒータ制御装置」の一具体例に対応している。
【0106】
低圧電源部26Aは、
図3に示した実施の形態に係る低圧電源部26において、電圧検出回路265の代わりに、電圧検出回路265Aおよび電流検出回路266Aを設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的に同様となっている。
【0107】
電圧検出回路265Aは、交流入力電圧Vacinおよび直流電圧Vdc1をそれぞれ随時検出する電圧検出回路265とは異なり、
図10に示したように、交流入力電圧Vacinのみを随時検出する回路(電圧検出部)となっている。この電圧検出回路265Aもまた、例えば抵抗分圧器等を用いた一般的な電圧検出回路により構成されている。電圧検出回路265Aでの交流入力電圧Vacinの検出結果信号は、
図10に示したように、印刷制御部23A内のタイマ230へ出力されるようになっている。
【0108】
電流検出回路266Aは、
図10に示したように、力率改善回路261からDC−ACインバータ262およびDC−DCコンバータ263へそれぞれ出力される電流である、合算出力電流Iaを随時検出する回路(電流検出部)である。この合算出力電流Iaは、具体的には、力率改善回路261からDC−ACインバータ262へ流れる出力電流(単独出力電流Ib)と、力率改善回路261からDC−DCコンバータ263へ流れる出力電流(単独出力電流Ic)とを合算した電流(Ia=Ib+Ic)を意味している。このような電流検出回路266Aは、例えばカレントトランス等を用いた一般的な電流検出回路により構成されている。なお、合算出力電流Iaは、本発明における「(第1の電圧変換部の)負荷変動」の一具体例に対応している。
【0109】
印刷制御部23Aは、実施の形態で説明した印刷制御部23と同様に、所定の条件を満たす場合に、少なくともハロゲンヒータ150a,150bにおける消費電力を低減させる動作制御等を行う機能を有している。なお、この印刷制御部23Aと、上記した低圧電源部26A内の電圧検出回路265Aおよび電流検出回路266Aが、本発明における「制御部」の一具体例に対応している。
【0110】
この印刷制御部23Aは、具体的には、まず、電圧検出回路265Aによって検出された交流入力電圧Vacinが、閾値電圧Vth1以下かつ閾値電圧Vth2超過の範囲にまで低下した(Vth2<Vacin≦Vth1を満たす:瞬低時)か否かを判定する。次いで、印刷制御部23Aは、電流検出回路266Aによって検出された合算出力電流Iaが、後述する所定の閾値電流Ith3a未満となっている(Ia<Ith3aを満たす:力率改善回路261の負荷変動が小さくなった)か否かを判定する。
【0111】
そして、印刷制御部23Aは、このような瞬低の状態となった場合において、力率改善回路261の負荷変動が小さくなったときには、後述する省エネルギーモードへと移行する動作制御を行うことで、上記した消費電力低減の動作制御を行うようになっている。
【0112】
(作用・効果)
続いて、本変形例の印刷制御部23Aおよび低圧電源部26Aにおける作用・効果について説明する。なお、基本的な動作については実施の形態と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0113】
図11は、本変形例に係る制御処理(瞬低時や瞬断時等における、印刷制御部23A、電圧検出回路265Aおよび電流検出回路266Aによる、消費電力を低減させる動作制御)の一例を、流れ図で表したものある。
【0114】
なお、この
図11において、閾値電流Ith3aは、力率改善回路261の負荷変動が小さい(小負荷の状態である)のか否かの境界を示す閾値である。この閾値電流Ith3aは、例えば、ヒータ電流とモータ電流との合算値を用いて規定されるようになっている。ヒータ電流とは、例えば、ハロゲンヒータ150a,150bや結露防止用除湿ヒータ256等に流れる電流を意味している。また、モータ電流とは、前述した各種のモータ(ホッピングモータ251、レジストモータ252、ベルトモータ253、定着器ヒータモータ253およびドラムモータ255等)に流れる電流を意味している。この閾値電流Ith3aは、詳細は後述するが、交流入力電圧Vacinの大きさに応じて変更可能に設定されるようになっている。なお、この閾値電流Ith3aは、本発明における「第3の閾値」の一具体例に対応している。
【0115】
この制御処理では、まず、電圧検出回路265Aにおいて交流入力電圧Vacinが検出されると共に、電流検出回路266Aにおいて合算出力電流Iaが検出される(
図11のステップS201)。次いで、印刷制御部23Aは、検出された合算出力電流Iaに基づいて、DC−ACインバータ262およびDC−DCコンバータ263における消費電力の合算値である、合算消費電力Paを求める(ステップS202)。
【0116】
そして、印刷制御部23Aは、実施の形態(
図7のステップS102)と同様にして、検出された交流入力電圧Vacinが、閾値電圧Vth2以下であるのか否か(Vacin≦Vth2を満たすのか否か)を判定する(ステップS203)。すなわち、印刷制御部23Aは、この交流入力電圧Vacinが瞬断状態であるのか否かを判定する。ここで、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth2以下ではない(Vacin≦Vth2を満たさない)、すなわち、瞬断状態には該当しないと判定された場合には(ステップS203:N)、後述するステップS205(瞬低の判定処理)へと進む。
【0117】
一方、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth2以下である(Vacin≦Vth2を満たす)、すなわち、瞬断状態に該当すると判定された場合(ステップS203:Y)、次に印刷制御部23Aは、実施の形態(
図7のステップS103)と同様にして、瞬断時の動作制御を行う。具体的には、印刷制御部23Aは、低圧電源部26A内のDC−ACインバータ262の動作を停止させる制御を行う(ステップS203)。なお、この場合、これで
図11に示した一連の制御処理が終了となる。
【0118】
一方、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth2以下ではない(Vacin≦Vth2を満たさない)、すなわち、瞬断状態には該当しないと判定された場合には(ステップS203:N)、次に印刷制御部23Aは、この交流入力電圧Vacinが瞬低状態であるのか否かを判定する。具体的には、印刷制御部23Aは、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth1以下であるのか否か(Vacin≦Vth1(>Vth2)を満たすのか否か)を判定する(ステップS205)。ここで、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth1以下でない(Vacin≦Vth1も満たさない)、すなわち、瞬低状態にも該当しないと判定された場合には(ステップS205:N)、正常期間ΔT0であると判定され、最初のステップS201へと戻ることになる。
【0119】
一方、交流入力電圧Vacinが閾値電圧Vth1以下である(Vacin≦Vth1を満たす)、すなわち、瞬低状態に該当すると判定された場合(ステップS205:Y)、次に印刷制御部23Aは、力率改善回路261の負荷変動が小さい(小負荷の状態である)のか否かを更に判定する。具体的には、印刷制御部23Aは、ステップS201において検出された合算出力電流Iaが、前述した閾値電流Ith3a未満であるのか否か(Ia<Ith3aを満たすのか否か)を判定する(ステップS206)。ここで、合算出力電流Iaが閾値電流Ith3a未満でない(Ia<Ith3aを満たさない)、すなわち、瞬低状態ではあるが小負荷状態には該当しないと判定された場合には(ステップS206:N)、正常期間ΔT0であると判定され、最初のステップS201へと戻ることになる。
【0120】
一方、合算出力電流Iaが閾値電流Ith3a未満である(Ia<Ith3aを満たす)、すなわち、瞬低状態かつ小負荷状態であると判定された場合には(ステップS206:Y)、次に印刷制御部23Aは、以下説明する瞬低・小負荷時の動作制御(ステップS207)を行う。
【0121】
なお、このときの閾値電流Ith3aは、前述したように、交流入力電圧Vacinの大きさに応じて変更可能に設定されるようになっている。具体的には、一例として、前述したヒータ電流の最大値とモータ電流の最大値との合算値(最大合算値)=3Aの場合、交流入力電圧Vacinの大きさに応じて、例えば以下のようにして、閾値電流Ith3aが設定されるようになっている。
90V<Vacin …3A×1.00=3.00A(ヒータ定格1000W制御)
80V<Vacin≦90V …3A×0.90=2.70A(上限900W制御)
70V<Vacin≦80V …3A×0.80=2.40A(上限800W制御)
20V<Vacin≦70V …3A×0.15=0.45A(上限100W制御)
【0122】
ここで、このステップS207では、印刷制御部23Aは、省エネルギーモードへと移行する動作制御を行うことで、前述した消費電力低減の動作制御を行う。この省エネルギーモードでは、ハロゲンヒータ150a,150bへの印加電圧(交流電圧Vac2a,Vac2b)と、画像形成装置1における印刷速度(
図2において説明した各種の駆動機構等への印加電圧)とを、それぞれ低下させる制御(低下制御)がなされるようになっている。また、この際に印刷制御部23Aは、ステップS202において求められた合算消費電力Paに基づいて、そのような低下制御を行うようになっている。
【0123】
具体的には、例えば、合算消費電力Pa=1000Wである場合において、この合算消費電力Pa=900Wまで低下させる場合には、印刷制御部23Aは、以下のようにして低下制御を行う。すなわち、例えば、印刷品質を保持するために、搬送する記録媒体における単位面積当たりのトナー帯電量や定着動作の際の加熱量等を維持しつつ、ハロゲンヒータ150a,150bへの印加電圧を10%低下させると共に、前述したモータ電流(モータ電力)を10%低下させて印刷速度を10%低下させるようにする。
【0124】
以上で、
図11に示した一連の制御処理が終了となる。
【0125】
以上のように本変形例では、印刷制御部23A、電圧検出回路265Aおよび電流検出回路266Aにおいて、上記した所定の条件を満たす場合に、少なくともハロゲンヒータ150a,150bにおける消費電力を低減させる動作制御を行うようにしたので、以下のようになる。すなわち、本変形例においても、交流入力電圧Vacinが瞬低の状態となった場合において、力率改善回路261の負荷変動が小さくなったときに、少なくともハロゲンヒータ150a,150bでの消費電力が低減する。よって、本変形例においても実施の形態と同様に、画像形成装置1全体としての低消費電力化を図ることが可能となる。
【0126】
また、特に本変形例では、合算出力電流Iaおよび合算消費電力Paを利用して、そのような消費電力を低減させる動作制御を行うようにしたので、以下説明する変形例2と比較して、例えば以下の効果を得ることも可能となる。すなわち、本変形例では、DC−DCコンバータ263の分も考慮した、大まかな判定および動作制御を行うことができ、簡易な処理を実現することが可能となる。
【0127】
[変形例2]
(構成)
図12は、変形例2に係るハロゲンヒータ150a,150bおよびその制御機構(印刷制御部23Bおよび低圧電源部26B)の詳細構成例を、回路図を用いて模式的に表したものである。なお、これらの印刷制御部23Bおよび低圧電源部26Bは、本発明における「ヒータ制御装置」の一具体例に対応している。
【0128】
低圧電源部26Bは、
図3に示した実施の形態に係る低圧電源部26において、電圧検出回路265の代わりに、電圧検出回路265Aおよび電流検出回路266Bを設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的に同様となっている。なお、電圧検出回路265Aは、変形例1で説明したものと同じであるため、説明を省略する。
【0129】
電流検出回路266Bは、
図12に示したように、力率改善回路261からDC−ACインバータ262のみへ出力される電流である、単独出力電流Ibを随時検出する回路(電流検出部)である。このような電流検出回路266Bもまた、例えばカレントトランス等を用いた一般的な電流検出回路により構成されている。なお、この単独出力電流Ibは、本発明における「(第1の電圧変換部の)負荷変動」の一具体例に対応している。
【0130】
印刷制御部23Bは、これまでに説明した印刷制御部23,23Aと同様に、所定の条件を満たす場合に、少なくともハロゲンヒータ150a,150bにおける消費電力を低減させる動作制御等を行う機能を有している。なお、この印刷制御部23Bと、上記した低圧電源部26B内の電圧検出回路265Aおよび電流検出回路266Bが、本発明における「制御部」の一具体例に対応している。
【0131】
この印刷制御部23Bは、具体的には、まず、電圧検出回路265Aによって検出された交流入力電圧Vacinが、閾値電圧Vth1以下かつ閾値電圧Vth2超過の範囲にまで低下した(Vth2<Vacin≦Vth1を満たす:瞬低時)か否かを判定する。次いで、印刷制御部23Bは、電流検出回路266Bによって検出された単独出力電流Ibが、後述する所定の閾値電流Ith3b未満となっている(Ib<Ith3bを満たす:力率改善回路261の負荷変動が小さくなった)か否かを判定する。
【0132】
そして、印刷制御部23Bは、このような瞬低の状態となった場合において、力率改善回路261の負荷変動が小さくなったときには、変形例1と同様に後述する省エネルギーモードへと移行する動作制御を行うことで、上記した消費電力低減の動作制御を行うようになっている。
【0133】
(作用・効果)
続いて、本変形例の印刷制御部23Bおよび低圧電源部26Bにおける作用・効果について説明する。なお、基本的な動作については実施の形態と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0134】
図13は、本変形例に係る制御処理(瞬低時や瞬断時等における、印刷制御部23B、電圧検出回路265Aおよび電流検出回路266Bによる、消費電力を低減させる動作制御)の一例を、流れ図で表したものある。
【0135】
なお、この
図13において、閾値電流Ith3bは、変形例1における閾値電流Ith3aと同様に、力率改善回路261の負荷変動が小さい(小負荷の状態である)のか否かの境界を示す閾値である。この閾値電流Ith3bは、閾値電流Ith3aとは異なり、例えば、前述したヒータ電流を用いて規定されるようになっている。。なお、この閾値電流Ith3bは、本発明における「第3の閾値」の一具体例に対応している。
【0136】
また、この閾値電流Ith3bは、閾値電流Ith3aと同様に、交流入力電圧Vacinの大きさに応じて変更可能に設定されるようになっている。具体的には、一例として、上記したヒータ電流の最大値=2.6Aの場合、交流入力電圧Vacinの大きさに応じて、例えば以下のようにして、閾値電流Ith3bが設定されるようになっている。
90V<Vacin …2.6A×1.00=2.60A(ヒータ定格1000W制御)
85V<Vacin≦90V …2.6A×0.90=2.34A(上限900W制御)
75V<Vacin≦85V …2.6A×0.80=2.08A(上限800W制御)
20V<Vacin≦70V …2.6A×0.05=0.13A(上限100W制御)
【0137】
ここで、
図13に示した一連の制御処理(ステップS301〜S307)はそれぞれ、変形例1において前述した一連の制御処理(
図11のステップS201〜S207)と、基本的には同様の制御処理となっているため、詳細な説明は省略する。変形例1と本変形例とで異なっているのは、以下の点である。すなわち、まず、本変形例では、変形例1における合算出力電流Iaの代わりに、前述した単独出力電流Ibを用いている。また、それに伴って本変形例では、変形例1における合算消費電力Pa(DC−ACインバータ262およびDC−DCコンバータ263における消費電力の合算値)の代わりに、DC−ACインバータ262単独の消費電力である、単独消費電力Pbを用いている。更に、本変形例では、変形例1における閾値電流Ith3aの代わりに、上記した閾値電流Ith3bを用いている。
【0138】
なお、
図13に示した本変形例の省エネルギーモード(ステップS307)では、例えば、単独消費電力Pb=1000Wである場合において、この単独消費電力Pb=900Wまで低下させる場合には、印刷制御部23Bは、以下のようにして低下制御を行う。すなわち、例えば、印刷品質を保持するために、搬送する記録媒体における単位面積当たりのトナー帯電量や定着動作の際の加熱量等を維持しつつ、ハロゲンヒータ150a,150bへの印加電圧を10%低下させると共に、そのときに減少した熱量に併せて、印刷速度を10%低下させるようにする。なお、更に印刷速度を低下させる分に併せて、前述したモータ電流(モータ電力)を10%低下させるようにしてもよい。
【0139】
以上のように本変形例では、印刷制御部23B、電圧検出回路265Aおよび電流検出回路266Bにおいて、上記した所定の条件を満たす場合に、少なくともハロゲンヒータ150a,150bにおける消費電力を低減させる動作制御を行うようにしたので、以下のようになる。すなわち、本変形例においても実施の形態および変形例1と同様にして、画像形成装置1全体としての低消費電力化を図ることが可能となる。
【0140】
また、特に本変形例では、単独出力電流Ibおよび単独消費電力Pbを利用して、消費電力を低減させる動作制御を行うようにしたので、前述した変形例1と比較して、例えば以下の効果を得ることも可能となる。すなわち、DC−ACインバータ262における消費電力の分が相対的に大きいことから、本変形例では判定精度を高めることができ、より精密な動作制御が可能(定着性能を詳しく確認することが可能)となる。
【0141】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0142】
例えば、上記実施の形態等では、画像形成装置における各部材の構成(形状、配置、個数等)を具体的に挙げて説明したが、各部材におけるこれらの構成については、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の形状や配置、個数等であってもよい。また、上記実施の形態等で説明した各種パラメータの値や大小関係等についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の値や大小関係に制御するようにしてもよい。
【0143】
具体的には、例えば、上記実施の形態等では、ヒータがハロゲンヒータである場合を例に挙げて説明したが、ヒータの構成はこれには限られず、他の構成としてもよい。すなわち、例えば、セラミックヒータ等の他の構成からなるヒータであってもよい。また、ヒータの種類や個数についても、上記実施の形態等で説明した例(2種類,2つ)には限られず、例えば、1種類あるいは消費電力が互いに異なる3種類以上であったり、1つあるいは3つ以上であってもよい。
【0144】
更に、外部から低圧電源部への入力電圧としても、商用電源から供給される交流入力電圧(商用電圧)には限られず、例えば、他の外部電圧(交流電圧または直流電圧)を入力電圧としてもよい。加えて、低圧電源部内における各電圧(直流電圧Vdc1、交流電圧Vac2a,Vac2bおよび直流電圧Vdc3H,Vdc3L)についても、上記実施の形態等で説明した直流または交流の種別には限られず、どちらであってもよい。
【0145】
また、上記実施の形態等では、瞬低時や瞬断時等における制御処理の例を具体的に挙げて説明したが、本発明における制御処理としてはこれには限られず、他の制御処理を行うようにしてもよい。具体的には、例えば、力率改善回路261の負荷変動として、直流電圧Vdc1と、合算出力電流Iaまたは単独出力電流Ibとの双方をそれぞれ検出し、これら双方を組合せて利用することで、消費電力を低減させる動作制御を行うようにしてもよい。すなわち、実施の形態で説明した制御処理の手法と、変形例1または変形例2で説明した制御処理の手法とを、組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0146】
更に、低圧電源部の回路構成(各電圧変換部等の構成)についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の回路構成としてもよい。
【0147】
加えて、上記実施の形態等では、画像形成部が複数(画像形成部11C,11M,11Y,11Kの4つ)設けられている場合を例に挙げて説明したが、これには限られない。すなわち、画像層を形成する画像形成部の数や、それらに用いるトナーの色の組み合わせ等については、用途や目的用に応じて任意に設定することが可能である。また、場合によっては、画像形成部の数を1つだけにして、画像層をモノクロ(単色)画像としてもよい。つまり、画像形成装置をモノクロプリンタとして機能させるようにしてもよい。
【0148】
また、上記実施の形態等では、記録媒体の一例として普通用紙を挙げて説明したが、記録媒体としてはこれには限られず、他の媒体を用いるようにしてもよい。具体的には、例えば、OHP(OverHead Projector)シート、カード、葉書、厚紙(例えば250g/m
2相当以上の秤量を有するもの)、封筒、熱容量が大きいコート紙等の、特殊用紙であってもよい。
【0149】
更に、上記実施の形態等では、本発明における「画像形成装置」の一具体例として、プリンタとして機能する画像形成装置を挙げて説明したが、これには限られない。すなわち、例えば、ファクシミリや複写機、複合機等として機能する画像形成装置についても、本発明を適用することが可能である。