特許第6480413号(P6480413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6480413
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】車体用シル
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20190304BHJP
   B62D 29/04 20060101ALI20190304BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B62D25/20 F
   B62D29/04 Z
   B62D21/15 B
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-503583(P2016-503583)
(86)(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公表番号】特表2016-512799(P2016-512799A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】EP2014053054
(87)【国際公開番号】WO2014146841
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年2月16日
(31)【優先権主張番号】102013004852.4
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514309479
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】THYSSENKRUPP STEEL EUROPE AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】キャプテン,ヘルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ズンケル,ラルフ
【審査官】 中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−312535(JP,A)
【文献】 特開2007−237944(JP,A)
【文献】 特開2003−137129(JP,A)
【文献】 特開2012−111246(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102005041894(DE,A1)
【文献】 米国特許第06217109(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0086238(US,A1)
【文献】 特許第3496751(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B62D 21/15
B62D 29/04
B62D 25/02
B62D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
属および/またはプラスチックの中空外形として構成された細長い補強部品(7)であって、少なくとも2つの個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)の群から構成された補強部品(7)を有する車体用シル(1)において、
前記個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)がそれぞれ、矩形の中空外形を形成するように互いに接合されており、
前記個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)の群が、閉鎖型の断面外形を有する少なくとも1つの個々の外形(7.2)と、開放型の断面外形を有する少なくとも1つの個々の外形(7.1)を有していることを特徴とするシル。
【請求項2】
請求項1に記載のシルにおいて、断面を見たときに、前記個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)の少なくとも2つが同一の外側外形寸法を有していることを特徴とするシル。
【請求項3】
請求項1に記載のシルにおいて、断面を見たときに、前記補強部品(7)の全ての個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)が同一の外側外形寸法を有していることを特徴とするシル。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシルにおいて、前記個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)が、正方形の中空外形を形成するように互いに接合されていることを特徴とするシル。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のシルにおいて、前記個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)の少なくとも1つが、少なくとも1200MPaの引張強さを有する鋼から製造されることを特徴とするシル。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のシルにおいて、前記個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)の少なくとも2つが、局所的に相互接続されていることを特徴とするシル。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のシルにおいて、前記個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)の少なくとも2つが、長手方向軸に沿って連続的に相互接続されていることを特徴とするシル。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のシルにおいて、前記個々の外形(7.1、7.2、7.3、7.4、7.5)の少なくとも2つは、断面形状、壁厚および/または引張強さに関して互いに異なっていることを特徴とするシル。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のシルにおいて、前記金属が、鋼を含むことを特徴とするシル。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のシルにおいて、前記プラスチックが、繊維強化プラスチックを含むことを特徴とするシル。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のシルにおいて、前記開放型の断面外形が、C型外形を含むことを特徴とするシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空外形として構成された、金属、好適には鋼、および/またはプラスチック、好適には繊維強化プラスチックによる細長い補強部品を有する車体用シルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のシルは重要な構造であり、一体的な車体の支持要素である。このシルは、車両の両側面にあるドア開口部の下方に長手方向となるように、ホイールアーチ間に配置される。シルは通常、側壁(側部)と、補強部品と、補強ウェブパネルと、シルの中空空間を閉鎖する内側部とから構成される。フロアパネルは内側部に接合される。
【0003】
シルに不可欠な機能は、特に正面から衝撃があった場合に負荷を吸収することである。側方から衝撃があった場合(横方向の衝突)、シルは衝撃エネルギを放散し、嵌入速度を減速させることを意図している。特に、横方向の車両衝突が生じた場合、シルは乗客キャビン内への嵌入に対して堅固なバリアを示すことを意図している。
【0004】
既知のシルの補強要素は実質的に、車両のドアシルの領域に配置された長手状の支柱またがプレス鋼部分から構成される。このような補強要素は車体の剛性を高め、横方向の衝突があった場合に変形によって衝撃エネルギを吸収する。
【0005】
シル補強要素の構造における共通の目的は、シル補強要素の重量をできる限り減少させて、できる限り高い曲げ剛性およびねじれ剛性、ならびに、できる限り高い衝撃エネルギの吸収能力を実現することである。
【0006】
シル補強要素を向上させる様々な試みが既に提案されてきた。ここで、多くの既知のシル補強要素は複数の部分から構成されている。例えば、ドイツ特許公報第10028716B4号は、閉鎖型のシル断面の内側に配置された外側および内側のシル補強部を有するシル構造を記載している。内側シル補強部はウェブ形状に構成され、シルの外側サイドパネルと内側サイドパネルの締結フランジに溶接される。外側シル補強部は帽子形の断面形状を有し、前者と後者とが互いに内側が閉鎖型のチャンバ断面を規定するように内側シル補強部に溶接される。この閉鎖型のチャンバ断面では、車体の長手方向に特定の方法で間隔が空くように、支持要素として機能する複数の補剛材が配置される。しかしながら、横方向の衝突があったときに乗客キャビン内への嵌入を最小限にすることに関するかぎり、このようなシル構造は未だ改善の余地がある。
【0007】
シルの補強を向上させるための更なる提案が、ドイツ特許公開公報第10248846A1号に記載されている。ここには、少なくとも2つのチャンバを有し、様々な高さの幅を有する中空形状をした、一つなぎの押出成形されたアルミニウム外形からなるシル補強要素が記載されている。この構造の場合、シル外形の部分は主に、側方の衝撃力を吸収するように構成されているが、その幅と高さの比率により、車体の全体的な剛性に対しては比較的寄与が少ないため不利である。結局のところ、後者のためには、シル補強要素の幅に対して垂直な平面にも高い曲げ剛性が要求される。
【0008】
そこから前進させて、本発明は、先に述べた種類のシルを改善するという目的に基づき、安価な構成要素のコストで、ひいては車体の重量を減少させることを可能にしながら、従来のシルと比較して、側方に衝撃があった場合に車両内への高い耐嵌入性を可能にする。
【発明の概要】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1に記載の特徴を有するシルが提案されている。
【0010】
本発明による好適かつ有利な設計のシルの実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明によるシルには、金属、好適には鋼、および/またはプラスチック、好適には繊維強化プラスチックの細長い補強部品が設けられ、当該補強部品は、互いに位置合わせされて延在する少なくとも2つ、好適には少なくとも3つの個々の外形の群から構成された中空外形として構成される。
【0012】
本発明によるシルの補強部品が互いに位置合わせされて延在する少なくとも2つ、好適には少なくとも3つの個々の外形から組み立てられることにより、補強部分を車体のシルに関する要求仕様のセットに最適に適合させることができる。できる限り高い側方衝撃力の吸収能力、更にはできる限り高い曲げ剛性およびねじれ剛性の双方の点で適応した構造を実現することができる。
【0013】
補強部品の個々の外形は、互いに平行、あるいは実質的に互いに平行となるように延在することが好ましい。垂直方向に互いに重なって、および/または水平方向に互いに隣り合って配置されるように、個々の外形が互いに対して延在する。
【0014】
本発明による補強部品の有利な実施形態の1つは、個々の外形が壁厚および/または引張強さに関して互いに異なる点にある。
【0015】
本発明によるシルは特に、安価な部材および製造コストを提供しながら、側方の衝撃があった場合に車両内への高い耐嵌入性を調整できるようにする。この向上した衝撃に対するバリア効果により、他の車体領域のパネル厚さの減少、ひいては車両重量の減少を可能にする。
【0016】
本発明によるシルの補強部品を構成する個々の外形は、何れの場合も鋼から製造されることが好ましい。鋼は、特に冷間成形に関して優れた能力を示し、安価な溶接について試験適正を有する。さらに、材料としての鋼は、例えば、アルミニウムとは対照的に高い強度値を実現する可能性をもたらす。例えばマンガンボロン鋼といった熱処理鋼からなる個々の外形を使用することも考えられる。シル補強部品の個々の外形は全体にわたって焼き戻しされてもよく、あるいは異なる強度を有する領域を有してもよい。
【0017】
金属製の個々の外形の代替に、あるいはそれと組み合わせて、プラスチック、好適には繊維強化プラスチックを使用してもよい。特に、繊維強化プラスチック、好適には炭素繊維強化プラスチックの場合は、繊維の方向を選択することで耐屈曲性または耐変形性をそれぞれ高めることができる。さらに、繊維強化要素は一般に、金属、特に鋼からなる対応する要素よりも軽量である。
【0018】
断面を見たときに個々の外形の少なくとも2つが同一の外側外形の寸法を有する、本発明によるシルの好適な実施形態の1つが提供される。特に、断面を見たときに、補強部品の全ての個々の外形がさらに、同一の外側外形の寸法を有してもよい。これにより、製造および補強部品の組み立てに関する費用の利点を実現することができる。
【0019】
本発明によるシルの更なる好適な実施形態の1つは、補強部品の個々の外形が、実質的に矩形の中空外形を形成するよう互いに接合される点を特徴とする。特に、個々の外形は実質的に正方形の中空外形を形成するように互いに接合してもよい。このような実施形態により、製造および補強部品の組み立てに関する費用の利点もまた実現することができる。
【0020】
できる限り高い曲げ剛性およびねじれ剛性を目的として、本発明によるシルの更なる実施形態により、補強部品の個々の外形の少なくとも1つについて、少なくとも1200MPa、好適には少なくとも1400MPaの引張強さを有する鋼から製造することが有利である。
【0021】
要求仕様に応じて、および比較的軽量にすることを目的として、補強部品の個々の外形に様々な品質の材料および/または壁厚を使用することができる。特に、少なくとも780MPaの引張強さを有する種類の鋼を使用することにより、例えば、最大壁厚を有する個々の外形よりも壁厚が少なくとも10%少ない薄い壁厚を有するように、個々の外形の少なくとも1つを製造することができる。少なくとも1200MPaの引張強さを有する種類の鋼を使用する場合、例えば、最大壁厚を有する個々の外形よりも壁厚が少なくとも20%、好適には少なくとも30%少ない壁厚のように、個々の外形それぞれの壁厚を更に減少させることができる。
【0022】
シル補強部品の個々の外形の少なくとも2つが局所的に相互接続された、本発明によるシルの更なる好適な実施形態の1つが提供される。これにより、補強部品の耐変形性もまたさらに高めることができる。ここで、個々の外形の局所的な結合は1または複数のスポット溶接によって形成することが好ましい。シルの耐変形性を最適にするために、補強部品の全ての個々の外形もまた、局所的に相互接続してもよい。
【0023】
個々の外形の少なくとも2つが長手方向軸に沿って連続的に相互接続された、本発明によるシルの更なる実施形態の1つが提供される。これにより、補強部品の耐変形性もまたさらに高めることができる。個々の外形の連続的な結合は、溶接シームあるいは接着層によって形成することができる。シルの耐変形性を最適にするために、補強部品の全ての個々の外形もまた、長手方向軸に沿って連続的に相互接続してもよい。
【0024】
本発明によるシルの高い耐変形性を実現するために、補強部品の個々の外形は、いずれの場合も閉鎖型の断面外形を有していることが好ましい。
【0025】
しかしながら、代替的に、個々の外形の群は、閉鎖型の断面外形を有する少なくとも1つの個々の外形と、開放型の断面外形、好適にはC型外形を有する少なくとも1つの個々の外形を有してもよい。開放型の断面外形を有する1つまたは複数の個々の外形を使用すると、この場合では、溶接ガンなどの溶接器具を後述する開口部により個々の外形内へと導入することができるため、溶接による個々の外形の結合を簡易化することができる。
【0026】
本発明によるシルの更なる有利な実施形態の1つは、個々の外形の少なくとも2つが断面形状に関して互いに異なることを特徴とする。これにより、補強部品、ひいてはシルの耐変形性を高める、および/またはその重量を減少させることができる。
【0027】
本発明によるシルの更なる有利な実施形態の1つは、シル補強部品が端部でシルの外側の本体サイドパネルあるいは内側のシルサイドパネルのいずれかに接続され、その中心あるいは中央の長手方向部分で、それぞれ対向するパネル、すなわち、内側のシルサイドパネルあるいは外側の本体サイドパネルに連結されるように、長手方向のシル補強部品が湾曲して、あるいは屈曲するように構成されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、複数の例示的な実施形態を概略的に示す図面により、更に詳細に以下に説明される。
図1図1は、一体型補強部品を有する本発明によるシルの垂直断面図を示している。
図2図2は、第2の実施形態における、一体型補強部品を有する本発明によるシルの垂直断面図を示している。
図3図3は、第3の実施形態における、一体型補強部品を有する本発明によるシルの垂直断面図を示している。
図4図4は、第2の実施形態における、一体型補強部品を有する本発明によるシルの垂直断面図を示している。
図5図5は、第3の実施形態における、一体型補強部品を有する本発明によるシルの垂直断面図を示している。
図6図6は、車体のシルに係る本発明による補強部品の様々な例示的な実施形態を示している。
図7図7は、車体のシルに係る本発明による補強部品の様々な例示的な実施形態を示している。
図8図8は、車体のシルに係る本発明による補強部品の様々な例示的な実施形態を示している。
図9図9は、車体のシルに係る本発明による補強部品の様々な例示的な実施形態を示している。
図10図10は、車体のシルに係る本発明による補強部品の様々な例示的な実施形態を示している。
図11図11は、車体のシルに係る本発明による補強部品の様々な例示的な実施形態を示している。
図12図12は、車体のシルに係る本発明による補強部品の様々な例示的な実施形態を示している。
図13図13は、車体のシルに係る本発明による補強部品の様々な例示的な実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1の断面に図示されている車体、特に乗客用車体のシル1は、外側本体部のサイドパネル2と内側シルサイドパネル3によって形成されている。2つのパネル2、3は、閉鎖断面あるいは細長い中空空間4をそれぞれ規定している。この2つのパネル2、3は、互いに割り当てられた締結フランジ2.1、2.2、3.1、3.2を有している。締結フランジ2.1、2.2、3.1、3.2の連結は、例えば、溶接あるいはリベット結合として実施される。フロアパネル6はシル1の内側またはシルサイドパネル3にそれぞれ固定される。
【0030】
本発明によるシル補強部品7は、内側シルサイドパネル3に固定される。このシル補強部品7は複数、少なくとも2つ、好適には少なくとも3つの個々の外形7.1、7.2、7.3から構成され、互いに位置合わせされて延びている。ここで、個々の外形7.1、7.2、7.3は連続して互いに重なって配置されている。
【0031】
ここには図示されていないが、長手方向の少なくとも2つ、好適には少なくとも3つの個々の外形から構成されるシルの補強部品7は、シル補強部品7が端部で本体サイドパネル2または内側シルサイドパネル3の何れかに接続され、その中心または中央の長手方向部分で、それぞれ反対側のパネル、すなわち、シルサイドパネル3または本体サイドパネル2に接続されるように、湾曲あるいは屈曲させてもよい。これにより、耐変形性を高めることができる。
【0032】
個々の外形7.1、7.2、7.3は、好適には少なくとも1200MPaの引張強さを有する鋼、例えば熱処理鋼から作られることが好ましく、何れの場合にも実質的に矩形断面の外形を有することが好ましい。個々の外形7.1、7.2、7.3は、壁厚および/または引張強さに関して互いに異なっている。例えば、上側の個々の外形7.3は、その他の個々の外形7.1、7.2よりも引張強さが著しく高い、あるいは低い。これは、本発明によるシル強化部材が使用される車両のタイプ(例えば、小型車またはSUV)に応じて、垂直方向の耐屈曲性について有益な効果を有しうる。
【0033】
個々の外形7.1、7.2、7.3は、内側シルサイドパネル3に溶接、接着結合、リベットおよび/またはねじ留めされる。さらに、個々の外形7.1、7.2、7.3もまた、溶接、接着結合、リベットおよび/またはねじによって互いに相互接続されることが好ましい。ここで、溶接結合は、複数の局所的な溶接ポイントあるいは連続した1つの溶接シームから構成することができる。
【0034】
図2に示す例示的な実施形態は、シル補強部品7が様々な外形形状および様々な外形高さの個々の外形7.1、7.2、7.3から組み立てられている点で、図1の実施形態と相違している。ここで、個々の外形7.1、7.2 7.3は互いに接合され、例えば、実質的に四角形の中空外形といった、実質的に矩形の中空外形を形成する。したがって、このシル補強部品7は、垂直方向に互いに重なって配置された個々の外形7.2、7.3と、水平方向に互いに隣り合って配置された個々の外形7.1および7.2、7.3から組み立てられている。個々の外形7.1、7.2、7.3は、例えば溶接またはリベットによって互いに相互接続されている。溶接スポットあるいはリベットを取り付けるために、溶接あるいはリベット器具(図示せず)を導入するための開口部8を個々の外形に構成してもよい。
【0035】
図2に示す例示的な実施形態はさらに、シル補強部品7が本体サイドパネル2に固定されている点で図1の実施形態と相違している。補強部品7の本体サイドパネル2への連結は、同様に、溶接あるいはリベット結合として、または代替的に、接着またはねじ結合として、実施することができる。
【0036】
図3に示す例示的な実施形態は、シル1が押出成形された外形1’、例えば、押出成形された軽量合金外形、特に、押出成形されたアルミニウム外形から構成されている点で、図1および2に示す例とは相違している。この押出成形された外形1’は、その内側に補強部品7を固定するように機能する突出したウェブまたは突出部1.1を有している。ここでも、補強部品7は複数の個々の外形、例えば、鋼および/または繊維強化プラスチック、好適には炭素繊維強化プラスチックの少なくとも3つの個々の外形7.1、7.2、7.3から組み立てられており、個々の外形7.1、7.2、7.3は壁厚および/または引張強さに関して互いに異なっている。
【0037】
図4および5に示す例示的な実施形態は、シル1がウェブ状のシル補強部5を有している点で、図1および2に示す例と相違している。このシル補強部5は、シルの細長い中空空間4の内部に配置されている。シル補強部5は、本体部のサイドパネル2とシルの内側サイドパネル3の締結フランジ2.1、2.2、3.1、3.2の間に配置され、フランジ2.1、2.2、3.1、3.2に堅く連結されている。ウェブ状のシル補強部5は実質的に垂直を向いており、車体の長手方向軸と平行に延びている。ウェブ状のシル補強部5は、シル1に対して垂直平面に高い曲げ剛性を与える。ここでも、フロアパネル6はシル1の内側またはシルサイドパネル3に固定されている。本発明によるシル補強部品7は、ウェブ状のシル補強部5に固定される。
【0038】
本発明によるシル補強部品7の様々な例示的な実施形態が、図6乃至13に略図として示されている。何れの場合でも、補強部品7は、互いに平行に延びた少なくとも2つ、好適には少なくとも3つの個々の外形7.1、7.2、7.3、7.4、および/または7.5の群から構成されている。
【0039】
図6乃至10に示す例示的な実施形態は何れの場合も、一列に互いに重なって、あるいは互いに隣り合ってそれぞれ配置された、個々の外形7.1、7.2;7.1、7.2、7.3または7.1、7.2、7.3、7.4を有する。ここで、個々の外形7.1、7.2、7.3、および/または7.4は、閉鎖型の断面外形を有する個々の外形(図6乃至8参照)、および/または開放型の断面外形を有する個々の外形(図9参照)から構成される。
【0040】
補強部品7は特に、閉鎖型の断面外形を有する少なくとも1つの個々の外形、および開放型の断面外形、好適にはC型外形(図9参照)を有する少なくとも1つの個々の外形を有しうる。本発明による補強部品7の閉鎖型の個々の外形は、シームがない中空外形あるいは長手方向にシーム溶接された中空外形であってもよく、長手方向にシーム溶接された中空外形は、突き合わせジョイントあるいは重複ジョイントを有する(図10)。さらに、本発明による補強部品7の閉鎖型の個々の外形はさらに、長手方向の溶接シームを有さない筒状の中空外形から構成されてもよい(図10参照)。
【0041】
実質的に矩形の断面外形を有する個々の外形7.1、7.2、7.3、および/または7.4は、互いに隣り合って近接して配置され、例えば、溶接、接着、リベット、あるいはねじ結合によって相互接続されている。
【0042】
図11乃至13は、個々の外形7.1、7.2、7.3、7.4、および/または7.5の組み合わせの様々な例を示している。ここで、本発明による補強部品7は3つ、4つ、あるいは5つの個々の外形から組み立てられ、それぞれの補強部品7の少なくとも2つの個々の外形は、断面形状あるいは幅と高さの比率に関して、それぞれ互いに異なっている。
【0043】
本発明の実施形態は、図面に示す例示的な実施形態に限定されるものではない。むしろ、図示された例示的な実施形態から逸脱した設計で添付の請求項に記載されるような発明を利用する様々なバリエーションが考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13