(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
太陽電池と、太陽電池を保持するフレームとを有する太陽電池モジュールにおいて、フレームは少なくとも間隔を空けて配置される二辺を有し、太陽電池モジュールのフレームの一辺と、他の太陽電池モジュールのフレームの一辺とを隣り合うように配置して縦並び配置又は横並び配置にすることが可能であり、
太陽電池モジュールのフレームの二辺のうちの少なくとも一方には規制部があり、複数の太陽電池モジュールを縦並び配置又は横並び配置にしたとき、太陽電池モジュールの厚さ方向であって少なくともその一方側への相対移動が、規制部によって規制されるものであり、
規制部の少なくとも一部は、前記フレームのフレーム本体からの取り外しが可能であり、且つ、前記フレーム本体からの取り外しにおいて、太陽電池モジュールの受光面側となる正面側からの取り外しが可能であり、
前記二辺のそれぞれに規制部があり、規制部の一方は、突起物が形成される突起形成部であり、規制部の他方は、凹部が形成される凹部形成部であって、
複数の太陽電池モジュールを縦並び配置又は横並び配置にしたとき、前記突起物が前記凹部に嵌まり込んだ状態のまま、前記突起形成部及び前記凹部形成部を上下又は左右の太陽電池モジュールの間から引き抜くことが可能であることを特徴とする太陽電池モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、高層建築物の壁面に太陽電池モジュールを固定し、太陽光発電システムを形成する場合がある。ここで、高層建築物に風が吹き付けた場合、地上よりも上空の方が風圧が強くなる。このため、高層建築物の壁面に太陽電池モジュールを固定するとき、高位置での固定作業時に風が吹いてしまうと、取り付けようとする太陽電池モジュールが強い風に煽られてしまうという問題が生じてしまう。すなわち、強風に煽られた太陽電池モジュールが不安定に動いてしまい、固定作業が困難となってしまうという問題である。
【0010】
そこで本発明は、建築物の壁面に太陽電池モジュールを取り付ける際、固定作業を簡易化することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、太陽電池と、太陽電池を保持するフレームとを有する太陽電池モジュールにおいて、フレームは少なくとも間隔を空けて配置される二辺を有し、太陽電池モジュールのフレームの一辺と、他の太陽電池モジュールのフレームの一辺とを隣り合うように配置して縦並び配置又は横並び配置にすることが可能であり、太陽電池モジュールのフレームの二辺のうちの少なくとも一方には規制部があり、複数の太陽電池モジュールを縦並び配置又は横並び配置にしたとき、太陽電池モジュールの厚さ方向であって少なくともその一方側への相対移動が、規制部によって規制されるものであり、規制部の少なくとも一部は、前記フレームのフレーム本体からの取り外しが可能であり、且つ、前記フレーム本体からの取り外しにおいて、太陽電池モジュールの受光面側となる正面側からの取り外しが可能で
あり、前記二辺のそれぞれに規制部があり、規制部の一方は、突起物が形成される突起形成部であり、規制部の他方は、凹部が形成される凹部形成部であって、複数の太陽電池モジュールを縦並び配置又は横並び配置にしたとき、前記突起物が前記凹部に嵌まり込んだ状態のまま、前記突起形成部及び前記凹部形成部を上下又は左右の太陽電池モジュールの間から引き抜くことが可能であることを特徴とする太陽電池モジュールである。
【0012】
本発明の太陽電池モジュールは、複数の太陽電池モジュールを縦並び配置したとき、太陽電池モジュールの厚さ方向への移動を規制する規制手段を備えた構成となっている。このため、すでに固定された太陽電池モジュールの上方又は下方に新たな太陽電池モジュールを固定しようとするとき、この新たな太陽電池モジュールが固定される前であっても、固定位置に配するだけでその移動を規制することができる。
このことから、これから新たに固定しようとする太陽電池モジュールを固定位置に配した状態で、この太陽電池モジュールが強風に煽られたとしても、その移動が規制され、不安定に動いたりすることがない。このことから太陽電池モジュールの姿勢を安定させつつ固定作業を実施できるので、固定作業の簡易化が可能となる。
【0013】
本発明に関連する関連発明は、太陽電池と、太陽電池を保持するフレームとを有する太陽電池モジュールにおいて、フレームは少なくとも間隔を空けて配置される二辺を有し、太陽電池モジュールのフレームの一辺と、他の太陽電池モジュールのフレームの一辺とを隣り合うように配置して縦並び配置又は横並び配置にすることが可能であり、太陽電池モジュールのフレームの二辺のうちの少なくとも一方には規制部があり、複数の太陽電池モジュールを縦並び配置又は横並び配置にしたとき、太陽電池モジュールの厚さ方向であって少なくともその一方側への相対移動が、規制部によって規制されるものであり、規制部は2以上の規制部形成部材によって構成され、少なくとも1つの規制部形成部材が他の規制部形成部材から取り外し可能であり、且つ、他の規制部形成部材からの取り外しにおいて、太陽電池モジュールの受光面側となる正面側からの取り外しが可能であることを特徴とする太陽電池モジュールである。
【0014】
この関連発明の太陽電池モジュールは、複数の太陽電池モジュールを横並び配置したとき、太陽電池モジュールの厚さ方向への移動を規制する規制手段を備えた構成となっている。
この場合もまた、太陽電池モジュールが固定される前であっても、固定位置に配するだけでその移動を規制することが可能となる。すなわち、太陽電池モジュールを新たに固定しようとするとき、太陽電池モジュールが不安定に動いたりすることがないので、固定作業の簡易化が可能となる。
【0015】
本発明は、前記二辺のそれぞれに規制部があり、規制部の一方は、突起物が形成される突起形成部であり、規制部の他方は、凹部が形成される凹部形成部であって、複数の太陽電池モジュールを縦並び配置又は横並び配置にしたとき、前記突起物が前記凹部に嵌まり込んだ状態のまま、前記突起形成部及び前記凹部形成部を上下又は左右の太陽電池モジュールの間から引き抜くことが可能
である。
また、
本発明の関連発明は、規制部は凹部及び凸部であり、フレームの少なくとも一辺に凹部があり、フレームの他辺に少なくとも凸部があり、複数の太陽電池モジュールを縦並び配置又は横並び配置にしたとき、上下又は左右の太陽電池モジュールのフレームの凹部及び凸部が合致することを特徴とする
、上記の太陽電池モジュールである。
【0016】
本発明の他の関連発明は、規制部は段部であり、複数の太陽電池モジュールを縦並び配置又は横並び配置にしたとき、上下又は左右の太陽電池モジュールの段部が合致する
、上記の太陽電池モジュールである。
【0017】
太陽電池モジュールが備える規制部は、このような構成
が考えられる。
【0018】
本発明の他の関連発明は、規制部は突起であり、フレームの少なくとも一辺には平面部があり、平面部の幅方向の端部に前記突起があり、複数の太陽電池モジュールを配置にしたとき、一方の太陽電池モジュールの前記突起と他方の太陽電池モジュールのフレームの辺とが、太陽電池モジュールの厚さ方向で並列した状態となることを特徴とする
、上記の太陽電池モジュールである。
【0019】
かかる構成によると、突起を形成するだけの簡単な構造で規制部が形成可能であり、好ましい。
【0020】
ところで、複数の太陽電池モジュールを建築物の壁面等に敷き詰めて配置して太陽光発電システムを構築し、運用すると、一部の太陽電池モジュールにメンテナンスが必要となる場合がある。このとき、複数の太陽電池モジュールのうちで一部のものだけを壁面等から取り外す必要が生じることがある。
ここで、太陽電池モジュールの移動が規制部によって規制されている場合、太陽電池モジュールを壁面等から取り外す際に取り外し作業が煩雑化しまうことが考えられる。例えば、取り外しの対象となる太陽電池モジュールが、上方に位置する太陽電池モジュールの規制部によってその移動を規制されている場合、まず上方に位置する太陽電池モジュールを取り外してから、その規制を解除し、取り外しの対象となる太陽電池モジュールを取り外す必要がある。すなわち、取り外し対象となる太陽電池モジュールだけでなく、取り外し対象となる太陽電池モジュールの付近に配される他の太陽電池モジュールも取り外す必要が生じてしまい、取り外し作業が煩雑化してしまう。
【0021】
かかる知見に基づいて完成された上記請求項1に記載の発明は、フレームは、フレーム本体と規制部から形成されるものであり、規制部の少なくとも一部がフレーム本体から取り外し可能である。
【0022】
かかる構成によると、フレーム本体から規制部を取り外し可能であるので、太陽電池モジュールを取り外す必要が生じたとき、取り外し対象となる太陽電池モジュールの移動を規制する規制部の取り外しが可能となる。このため、敷き詰めた複数の太陽電池モジュールの中から取り外す必要のあるものだけを取り外すことが可能となり、取り外し作業の簡易化を図ることができる。
【0023】
また、
上記関連発明は、規制部は2以上の規制部形成部材によって構成され、少なくとも1つの規制部形成部材が他の規制部形成部材から取り外し可能である。
【0024】
かかる構成によると、規制部を構成する規制部形成部材の少なくとも1つを他の規制部形成部材から取り外し可能となっている。すなわち、規制部を分解することが可能となっており、分解によって規制部による太陽電池モジュールの移動規制を解除可能となっている。このことから、敷き詰めた複数の太陽電池モジュールの中から、所定の太陽電池モジュールを取り外す必要が生じたとき、取り外し対象となる太陽電池モジュールの移動規制を解除できる。すなわち、上記の場合と同様に、敷き詰詰めた複数の太陽電池モジュールの中から取り外す必要のあるものだけを取り外すことが可能となり、取り外し作業の簡易化を図ることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明は、建屋の側面側に取り付けられた縦材及び/又は横材からなる固定部材と、
請求項1に記載の太陽電池モジュールを有する太陽電池付き建屋であって、太陽電池モジュールは、縦並び配置又は横並び配置された状態で固定部材に固定され、上下又は左右の少なくとも一方にある太陽電池モジュールのフレームの規制部が、他方の太陽電池モジュールの移動を規制していることを特徴とする太陽電池付き建屋である。
【0026】
本発明の太陽電池付き建屋は、上記した太陽電池モジュールを有しており、固定作業の簡易化が可能となる。
【0027】
請求項3に記載の発明は、建屋の壁面に
請求項1に記載の太陽電池モジュールを設置する太陽電池モジュールの設置方法であって、建屋の壁面に太陽電池を固定する固定部材を設ける工程と、少なくとも一つの太陽電池モジュールを締結要素によって固定部材に固定する工程と、固定された太陽電池モジュールのフレームと、他の太陽電池モジュールのフレームと隣接させ、これらの太陽電池モジュールの相対移動を前記規制部によって規制した状態とする仮置き工程と、フレームに載置された太陽電池モジュールを締結要素によって前記固定部材に固定する工程を実施することを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法である。
【0028】
本発明の太陽電池モジュールの設置方法では、太陽電池モジュールの相対移動を規制部によって規制した状態とする仮置き工程を実施する。このことにより、上記したように、新たに固定しようとする太陽電池モジュールを固定位置に配するだけで、この太陽電池モジュールの移動を規制させ、不安定に動いたりすることがない状態とすることが可能となる。このことから、太陽電池モジュールの姿勢を安定させつつ、太陽電池モジュールを固定部材に固定する工程を実施可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、建築物の壁面に太陽電池モジュールを取り付ける際、太陽電池モジュールを固定位置に配するだけで、その移動を規制することができる。このため、太陽電池モジュールの姿勢を安定させつつ固定作業を実施可能となり、固定作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池付き建屋を示す斜視図である。
【
図2】
図1の太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図3】
図1の太陽電池モジュールを示す斜視図であり、下側からみた様子を示す。
【
図6】高層建築物の壁面に
図1の太陽電池モジュールを取り付けていく様子を示す説明図であり、壁面にレール部材を固定した状態を示す。
【
図7】高層建築物の壁面に
図1の太陽電池モジュールを取り付けていく様子を示す説明図であり、レール部材に太陽電池モジュールを固定する様子を示す。
【
図8】高層建築物の壁面に
図1の太陽電池モジュールを取り付けていく様子を示す説明図であり、すでに固定された太陽電池モジュールの上に太陽電池モジュールを載置する様子を示す。
【
図9】高層建築物の壁面に
図1の太陽電池モジュールを取り付けていく様子を示す説明図であり、すでに固定された太陽電池モジュールの上に太陽電池モジュールを載置した状態を示す。
【
図10】
図9で示される状態において、上下方向で並列する太陽電池モジュールの境界部分を模式的に示す断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、下側からみた様子を示す。
【
図13】第2実施形態の太陽電池モジュールを取り付けていく様子を示す説明図であり、すでに固定された太陽電池モジュールの側方に太陽電池モジュールを配置する様子を示す。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、下側からみた様子を示す。
【
図16】本発明の第4実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図17】本発明の第4実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、下側からみた様子を示す。
【
図18】本発明の第5実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図19】本発明の第5実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、下側からみた様子を示す。
【
図20】本発明の第6実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図21】本発明の第6実施形態に係る太陽電池モジュールを縦並び配置したとき、上下方向で並列する太陽電池モジュールの境界部分を模式的に示す断面図である。
【
図22】本発明の第7実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図23】本発明の第7実施形態に係る太陽電池モジュールを示す側面図である。
【
図24】本発明の第7実施形態に係る太陽電池モジュールを縦並び配置したとき、上下方向で並列する太陽電池モジュールの境界部分を模式的に示す断面図である。
【
図25】本発明の第8実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図26】本発明の第8実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、下側からみた様子を示す。
【
図27】本発明の第8実施形態に係る太陽電池モジュールを示す分解斜視図である。
【
図28】本発明の第8実施形態に係る太陽電池モジュールを取り付けていく様子を示す説明図であり、すでに固定された太陽電池モジュールの上に太陽電池モジュールを載置する様子を示す。
【
図29】本発明の第8実施形態に係る太陽電池モジュールをレール部材に固定した後、突起形成部と凹部形成部を取り外す様子を示す説明図である。
【
図30】
図29で示される状態から、上下方向で並列する太陽電池モジュールのうち、太陽電池モジュールの間に固定されていた太陽電池モジュールを取り外す様子を示す説明図である。
【
図31】本発明の第9実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図32】本発明の第9実施形態に係る太陽電池モジュールを取り付けていく様子を示す説明図であり、すでに固定された太陽電池モジュールの上に太陽電池モジュールを載置する様子を示す。
【
図33】本発明の第10実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、上側からみた様子を示す。
【
図34】本発明の第10実施形態に係る太陽電池モジュールを示す斜視図であり、下側からみた様子を示す。
【
図35】本発明の第10実施形態に係る太陽電池モジュールにおいて、溝部形成部を分離する様子を示す説明図である。
【
図36】
図1とは異なる建築物に太陽電池モジュールを取り付ける様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の第1実施形態に係る太陽電池付き建屋1について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、前後方向、上下方向、並びに左右方向は、特に断りのない限り
図1で示される通常の設置状態を基準として説明する。
【0032】
本実施形態の太陽電池付き建屋1は、
図1で示されるように、高層建築物の壁面に太陽電池モジュール2を固定して形成されたものである。より詳細には、高層建築物の壁面にレール部材3(固定部材)を固定し、レール部材3に対して太陽電池モジュール2を固定して形成されるものである。
【0033】
太陽電池モジュール2は、
図2で示されるように、平板状の太陽電池パネル10(太陽電池)にフレーム11を一体に取り付けて形成されている。
【0034】
太陽電池パネル10は、集積型太陽電池であり、略長方形平板状に形成されている。この太陽電池パネル10には、例えば、ガラス基板に導電膜や半導体膜を積層して形成されるような所謂薄膜型と称される太陽電池を採用してもよく、また、カバーガラスと背面ガラスの間に結晶シリコンを封入して形成されるような所謂結晶型と称される太陽電池を採用してもよい。
【0035】
フレーム11は、太陽電池パネル10の縁部分を囲むように取付けられている。このフレーム11は、太陽電池パネル10の上端側に位置する上側部15、下端側に位置する下側部16、左端側に位置する左側方部17、右端側に位置する右側方部18によって構成されている。
【0036】
上側部15には、
図2で示されるように、その上面から上方に向かって突出する突条部20(規制部、凸部)が設けられている。この突条部20は、その断面形状が略長方形状となっており、左右方向に沿って延びている。
【0037】
より詳細に説明すると、突条部20は、上方に向かって突出する第1立壁部20aと、第1立壁部20aと太陽電池モジュール2の厚さ方向で間隔を空けて配される第2立壁部20bと、第1立壁部20aと第2立壁部20bの上端部分同士をつなぐ平板部20cとで形成されている。そして、この突条部20は、太陽電池モジュール2の左端近傍から右端近傍に至るまで、太陽電池モジュール2の幅方向に沿って略直線状に延びた状態となっている。
【0038】
下側部16には、
図3で示されるように、上方に窪む溝部25(規制部、凹部)が形成されている。この溝部25は、断面形状が略長方形状であり、太陽電池モジュール2の左端近傍から右端近傍に至るまで略直線状に延びた溝である。
【0039】
左側方部17と右側方部18には、
図2、
図3で示されるように、平板状の耳部30が設けられている。この耳部30は、側方外側に突出するように形成されており、その厚さ方向が太陽電池モジュール2の厚さ方向と同じ方向となっている。
【0040】
この耳部30には、2つの取付用孔31がそれぞれ上下方向で離れた位置に設けられている。この取付用孔31は、耳部30を厚さ方向に貫通する貫通孔となっている。
【0041】
レール部材3は、
図4で示されるように、断面形状が略「工」字状で延びる長尺状の部材となっている。すなわち、レール部材3は、離間対向する長方形平板状の第1固定用板35及び第2固定用板36と、その間に位置する連結板37によって構成されている。
第1固定用板35と第2固定用板36は、幅方向の長さが異なっており、第1固定用板35が第2固定用板36よりも長くなっている。連結板37もまた、第1固定用板35と第2固定用板36のそれぞれと略直交した状態となっている。
【0042】
ここで、第1固定用板35には、複数の固定用孔40が設けられている。この固定用孔40は、第1固定用板35を厚さ方向に貫通する貫通孔となっている。この固定用孔40は、複数設けられており、上下方向に所定間隔を空けて並列した状態となっている。より詳細に説明すると、第1固定用板35には、
図5で示されるように、幅方向の片側端部よりもやや中心よりの位置と、他方端部よりもやや中心よりの位置のそれぞれに、上下方向に固定用孔40が並んだ貫通孔の列が形成されている。
【0043】
第2固定用板36には、複数のモジュール固定用孔41が設けられている。このモジュール固定用孔41は、第2固定用板36を厚さ方向に貫通する貫通孔となっている。このモジュール固定用孔41もまた、複数設けられており、上下方向に所定間隔を空けて並列した状態となっている。すなわち、第2固定用板36には、
図5で示されるように、幅方向の片側端部よりもやや中心よりの位置と、他方端部よりもやや中心よりの位置のそれぞれに、上下方向にモジュール固定用孔41が並んだ貫通孔の列が形成されている。
【0044】
続いて、本実施形態の太陽電池モジュール2を建築物の壁面に固定する際の手順について説明する。
【0045】
太陽電池モジュール2の取り付けに先立って、
図6で示されるように、高層建築物の壁面に対してレール部材3を固定する。すなわち、第1固定用板35を壁面に接触させ、固定用孔40(
図5参照)にボルト等の締結要素を挿通し、壁面とレール部材3とを一体に固定する。より詳細には、レール部材3が上下方向に沿って延びた状態となるように、壁面とレール部材3とを一体に固定する。
なお、締結要素とは、ボルト、釘、鋲、ネジといった各部材、各部品を繋いだり、止めたりするものとする。
【0046】
次に、レール部材3に対して太陽電池モジュール2を固定する。このとき、上下方向で並列する太陽電池モジュール2を下から順に取り付けていく。したがって、まず、レール部材3のうち、下方側に位置する部分に太陽電池モジュール2を固定する。
【0047】
このとき、
図7で示されるように、レール部材3の第2固定用板36と、太陽電池モジュール2の耳部30とを重ね合わせ、第2固定用板36のモジュール固定用孔41と、耳部30の取付用孔31に締結要素を挿通し、第2固定用板36と耳部30とを一体に固定する。このことにより、レール部材3と太陽電池モジュール2とを一体に固定した状態とする。
【0048】
続いて、レール部材3に固定した太陽電池モジュール2の上側に、別の太陽電池モジュール2を固定する。
【0049】
まず、
図8、
図9で示されるように、新たな太陽電池モジュール2bをレール部材3に対して固定する前に、この太陽電池モジュール2bをすでに固定した太陽電池モジュール2aの上に載置する仮固定工程を実施する。
【0050】
上記したように、太陽電池モジュール2のフレーム11のうち、上側部15に突条部20が設けられており、下側部16に溝部25が設けられている(
図2及び
図3参照)。このため、すでに固定した太陽電池モジュール2aの上にこれから固定する太陽電池モジュール2bを載置すると、
図10で示されるように、下側に位置する太陽電池モジュール2aの突条部20が、上側に位置する太陽電池モジュール2bの溝部25に入り込んだ状態となる。
【0051】
詳細に説明すると、突条部20の形状は、溝部25の内周壁の内側に形成される空間の形状と略同じ形状となっている。言い換えると、突条部20は、溝部25に略丁度嵌り込む形状となっている。このことから、突条部20を溝部25に挿入すると、突条部20の外面と溝部25の内周面とが密着した状態、又は、これらの間に殆ど隙間がない状態となる。
【0052】
このことにより、上側の太陽電池モジュール2bは、下側の太陽電池モジュール2aに対し、太陽電池モジュール2の厚さ方向(
図10の矢印で示される方向)での相対的な移動が規制された状態となる。つまり、上側の太陽電池モジュール2bが太陽電池モジュール2の厚さ方向に移動しようとしても、突条部20に当接することにより、その移動が阻止される。このことにより、上側の太陽電池モジュール2bが強風に煽られたとしても、太陽電池モジュール2bが不安定に動いたりすることがなく、安定した状態を維持することができる。
【0053】
上記した仮固定工程に続いて、上側に位置する太陽電池モジュール2bをレール部材3に対して固定する工程を実施する。そして、以下同様に、すでに固定した太陽電池モジュール2の上側に新たな太陽電池モジュール2を固定していく。
上記したように、本実施形態では、すでに固定した太陽電池モジュール2aの上に載置した太陽電池モジュール2bが不安定に動いたりすることがないので、太陽電池モジュール2bの取付用孔31に締結要素を挿通する作業が容易となり、太陽電池モジュール2bの固定作業が容易となる。
【0054】
上記した実施形態では、太陽電池パネル10として、所謂薄膜型と称される太陽電池や結晶型と称される太陽電池を採用した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。本実施形態の太陽電池パネル10として採用される太陽電池は、薄膜型や結晶型を含む各種の太陽電池を適宜選択してよい。
例えば、結晶型である結晶シリコン太陽電池の他、GaAs等のシリコン以外の半導体基板が用いられる太陽電池、非晶質シリコン系薄膜や結晶質シリコン系薄膜のpin接合あるいはpn接合上に透明電極層が形成されたシリコン系薄膜太陽電池、CIS,CIGS等の化合物半導体太陽電池、色素増感太陽電池や有機薄膜(導電性ポリマー)等の有機薄膜太陽電池のような各種の太陽電池であってもよい。
【0055】
上記した実施形態では、上側部15に上方に突出する突条部20を設け、下側部16に上方に窪んだ溝部25を設けたが本発明はこれに限るものではない。例えば、上側部15に下方に窪んだ溝部を設けると共に、下側部16に下方に突出する突条部を設けた構成であってもよい。
【0056】
続いて、上記した第1実施形態とは異なる各実施形態について、それぞれ説明する。なお、上記した第1実施形態と同様の部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
第2実施形態の太陽電池モジュール52は、
図11、
図12で示されるように、フレーム11の上側部15に上方へ突出する耳部30が設けられており、下側部16には下方へ突出する耳部30が設けられている。そして、左側方部17には、太陽電池モジュール52の幅方向外側に向かって突出する突条部70(規制部、凸部)が設けられており、右側方部18には幅方向の中心側に向かって窪んだ状態となる溝部75(規制部、凹部)が設けられている。
【0058】
そして、突条部70と溝部75は、いずれも上下方向に沿って延びた状態となっている。すなわち、突条部70は、断面形状が略長方形状で上下方向(縦方向)に延びており、溝部75もまた、断面形状で上下方向に延びる溝となっている。
【0059】
ここで、上記した第1実施形態の太陽電池モジュール2は、複数の太陽電池モジュール2を上下方向に並列させて配置していく縦並び配置が可能であるのに対し、本実施形態の太陽電池モジュール52は、複数の太陽電池モジュール52を左右方向に並列させて配置していく横並び配置が可能となっている。すなわち、本実施形態の太陽電池モジュール52は、
図13で示されるように、左右方向の一端側から他方端側へ向かって順に取り付けていく際に特に好適な構造となっている。
【0060】
次に、本実施形態の太陽電池モジュール52を建築物の壁面に固定する際の手順について説明する。
【0061】
まず、高層建築物の壁面に対してレール部材3固定する。このとき、レール部材3が左右方向に沿って延びた状態となるように、レール部材3を壁面に固定する。
【0062】
そして、太陽電池モジュール52を左右方向の一端側(図では左端側)から順に取り付けていく。すなわち、レール部材3の一端側近傍に太陽電池モジュール52aを固定し、固定した太陽電池モジュール52aの側方に太陽電池モジュール52bを固定する。
【0063】
ここでも、新たな太陽電池モジュール52bを固定するとき、レール部材3に対して固定する前に、仮固定工程を実施する。本実施形態の仮固定工程では、これから固定する太陽電池モジュール52bの側端部分(図では左端部分)が、すでに固定した太陽電池モジュール52aの側端部分(図では右端部分)と隣合うようにして配置する。より具体的には、これらが接触した状態となるように配置する。
【0064】
すなわち、すでに固定した太陽電池モジュール52aの溝部75に、新たに固定する太陽電池モジュール52bの突条部70が嵌り込んだ状態とする。このことにより、新たに固定する太陽電池モジュール52bは、すでに固定した太陽電池モジュール52aに対し、厚さ方向での相対的な移動が制限された状態となる。すなわち、太陽電池モジュール52bの厚さ方向への移動しようとしても、突条部70が溝部75の内壁に衝突し、その移動が阻止されることとなる。
【0065】
そして、本実施形態においても、仮固定工程に続いて、太陽電池モジュール52bをレール部材3に対して固定する工程を実施する。以下同様に、すでに固定した太陽電池モジュール52の側方に新たな太陽電池モジュール52を固定していく。
【0066】
本実施形態では、左側方部17に突条部70を設け、右側方部18に溝部75を設けたが、本発明はこれに限るものではなく、左側方部17に溝部75を設け、右側方部18に突条部70を設けてもよいことは当然である。
【0067】
上記した実施形態では、1つの突条部が1つの溝部に嵌り込むことで太陽電池モジュールの移動を規制する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、突条部や溝部は複数設けてもよい。
【0068】
第3実施形態の太陽電池モジュール102は、
図14で示されるように、上側部15に3つの突条部120(規制部、凸部)が設けられている。
3つの突条部120は、いずれも上方に向かって突出しており、断面形状が略長方形状で左右方向(太陽電池モジュール102の幅方向)に沿って延びている。この3つの突条部120は、太陽電池モジュール102の厚さ方向で所定間隔を空けて並列するよう設けられている。
【0069】
また、
図15で示されるように、本実施形態では、下側部16に3つの溝部125(規制部、凹部)が設けられている。この溝部125もまた、いずれも上方に窪んでおり、断面形状が略長方形状であって、太陽電池モジュール102の左右方向に延びている。すなわち、3つの溝部125は、いずれも突条部120が略丁度嵌り込む形状となっている。そして、この3つの溝部125もまた、太陽電池モジュール102の厚さ方向で所定間隔を空けて並列するよう設けられている。
【0070】
このように、突条部120と溝部125を複数ずつ設ける構成によると、それぞれ別の溝部125に嵌り込んだ各々の突条部120が太陽電池モジュール102の移動を阻止する。すなわち、複数個所で移動を規制することとなり、太陽電池モジュール102の移動をより確実に規制することが可能となる。
【0071】
第4実施形態の太陽電池モジュール152は、
図16で示されるように、上側部15に2つの突条部170(規制部、凸部)が設けられている。また、
図17で示されるように、下側部16には、3つの溝部175が設けられている。このように、太陽電池モジュール152に形成する突条部170や溝部175の数は2つであってもよい。すなわち、突条部や溝部の数は1つであってもよく、2以上であってもよい。
【0072】
上記した実施形態では、断面形状が略長方形状で延びる突条部20を溝部25に嵌め込んで太陽電池モジュール2の移動を規制する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、突条部は、断面形状が略台形状であってもよく、断面形状が略半円状となっていてもよい。すなわち、突条部は、断面形状が多角形であってもよく、断面形状が円弧状の部分を有する形状であってもよい。
【0073】
第5実施形態の太陽電池モジュール202では、
図18で示されるように、上側部15に外形が略六角形状で延びる突条部220(規制部、凸部)が設けられている。この突条部220の上端側の部分には、太陽電池モジュール202の厚さ方向における両端部分のそれぞれに、外側に向かって下り勾配となる傾斜面220a,220bが形成されている。そして、これら傾斜面220a,220bの間には平面220cが位置した状態となっている。
【0074】
太陽電池モジュール202の下側部16には、
図19で示されるように、上方に窪む溝部225(規制部、凹部)が形成されている。この溝部225は、断面形状が略台形状であり、太陽電池モジュール202の左端近傍から右端近傍に至るまで略直線状に延びた溝である。すなわち、この溝部225は、下方に向かうにつれて溝幅が広くなる溝となっている。
【0075】
そして、本実施形態の太陽電池モジュール202を縦並び配置していくとき、下側に位置する太陽電池モジュール202の突条部220の上側部分を、上側に位置する太陽電池モジュール202の溝部225に嵌め込むことが可能となっている。このとき、突条部220の上側部分は溝部225に略丁度嵌り込んだ状態となる。このことにより、太陽電池モジュール202の厚さ方向における相対的な移動を規制することが可能となる。
【0076】
第6実施形態の太陽電池モジュール252は、
図20で示されるように、上側部15に突条部270(規制部、凸部)が設けられており、この突条部270が上側部15の上面から上方に向かって突出した状態となっている。そして、この突条部270は、断面形状が略半円状となっており、左右方向に沿って延びた状態となっている。
また、
図20では図示を省略するが、下側部16には、上記した第1実施形態と同様に、溝部25が設けられている。
【0077】
そして、本実施形態の太陽電池モジュール252は、
図21で示されるように、縦並び配置していくときに突条部270を溝部25に嵌め込むことが可能となっている。より詳細には、突条部270と溝部25の内壁の間に隙間が形成された状態で、突条部270が溝部25の内側に位置した状態となる。このことにより、太陽電池モジュール252の厚さ方向における相対的な移動を規制することが可能となる。
【0078】
すなわち、突条部270を溝部25の内部に挿入したとき、溝部25の内側に隙間が形成される構成であってもよい。しかしながら、第1実施形態のように、突条部20が溝部25に丁度嵌り込む(又は略丁度嵌り込む)構成とすると、突条部20が溝部25から誤って外れにくくなり、太陽電池モジュール2の移動をより確実に規制することが可能となるので、好ましい。
【0079】
上記した実施形態では、対になる突条部と溝部からなる規制部を設け、突条部を溝部に挿入する例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。フレーム11の上側部15の上端部分を加工し、この上端部分の形状を突条部と同じ形状として、上側部15の上端部分を直接溝部に挿入する構成であってもよい。すなわち、上側部15の上端部分を溝部に嵌め込むことを可能な構成とし、上側部15を突条部のように機能させることを可能としてもよい。
【0080】
また、上記した第1実施形態では、上側部15と下側部16のそれぞれに突条部20と溝部25を設け、太陽電池モジュール2の突条部20が他の太陽電池モジュール2の溝部25に嵌り込むことを可能とする例を示した。すなわち、太陽電池モジュール2の対向する二辺のそれぞれに、外側に向かって凸となる部分と、内側に向かって窪んだ部分とを設ける例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、太陽電池モジュールの対向する二辺のそれぞれに、外側に向かって凸となる部分を設けてもよい。すなわち、以下で説明する第7実施形態のような構成であってもよい。
【0081】
第7実施形態の太陽電池モジュール302では、
図22、
図23で示されるように、上側部15に第1段部322(段部)を設けており、下側部16に第2段部323(段部)を設けている。第1段部322と第2段部323はいずれも外側に向かって凸となる部分となっている。
【0082】
第1段部322は、太陽電池パネル10の受光面側(
図23における右側)に向かうにつれて高さが高くなっていく段部となっている。すなわち、第1段部322は、垂直壁面と、上方に空間が位置する水平面とが段状に連続して形成される部分であり、太陽電池パネル10の受光面側に最も高位置にある水平面が位置した状態となっている。
【0083】
第2段部323は、太陽電池パネル10の裏面側(
図23における左側)になるにつれて、その突出長さが長くなっていく段部となっている。すなわち、第2段部323は、垂直壁面と、下側に空間が位置する水平面とが段状に連続して形成される部分であり、太陽電池パネル10の裏面側に最も低位置にある水平面が位置した状態となっている。
【0084】
このことから、太陽電池モジュール302の上側に他の太陽電池モジュール302を配すると、
図24で示されるように、下側に位置する太陽電池モジュール302aの第1段部322と、上側に位置する太陽電池モジュール302bの第2段部323とが重合した状態となる。すなわち、下側に位置する第1段部322の各水平面と、上側に位置する第2段部323の各水平面とが接触し、第1段部322の各垂直面と第2段部323の各垂直面とが接触した状態となる。
【0085】
このことから、本実施形態の太陽電池モジュール302を縦並び配置していくとき、すでに固定した太陽電池モジュール302aの上側に太陽電池モジュール302bを配すると、太陽電池モジュール302bの受光面側への移動を規制することが可能となる。すなわち、太陽電池モジュール302bの厚さ方向のうち、受光面側へ向かう移動(
図24の右側へ向かう方向への移動)を規制することが可能となる。
【0086】
上記した実施形態では、新たに固定する太陽電池モジュール302bを、すでに固定した太陽電池モジュール302aの上側に配したとき、下側に位置する太陽電池モジュール302aの第1段部322と、上側に位置する太陽電池モジュール302bの第2段部323とが密着する構成としたが本発明はこれに限るものではない。
例えば、新たに固定する太陽電池モジュール302bを、すでに固定した太陽電池モジュール302aの上側に配したとき、第1段部322の各水平面と第2段部323の各水平面の間に僅かに隙間が形成されてもよく、第1段部322の各垂直面と第2段部323の各垂直面の間に僅かに隙間が形成されてもよい。すなわち、太陽電池モジュール302bが受光面側へ移動しようとしたとき、第1段部322と第2段部323とが当接し、太陽電池モジュール302bの移動が規制されればよい。
【0087】
上記した実施形態では、フレーム11の上側部15と突条部20を一体に形成し、下側部16と溝部25とを一体に形成した例を示した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。仮固定工程で太陽電池モジュールの移動を規制するための部分は、太陽電池モジュールの固定時に取り外し可能な構成であってもよい。すなわち、以下で説明する第8実施形態、第9実施形態、第10実施形態のような構成であってもよい。
【0088】
第8実施形態の太陽電池モジュール352は、
図25、
図26で示されるように、フレーム11の上側部15に突起形成部370(規制部)を取り付けており、下側部16に凹部形成部375(規制部)を取り付けた構成となっている。
【0089】
突起形成部370は、本体部371と、本体部371と一体に形成された取付片部372を備えている。
【0090】
本体部371は、左右方向(太陽電池モジュール352の幅方向)に延びる長板状の部分である。本体部371の天面には、上方に丸みを帯びて凸となる半球突起373が複数形成されている。この半球突起373は、外形が略半球状の突起物となっている。
なお、図面を見易くするため一部の半球突起373にのみ符号を付すものとする。
【0091】
取付片部372は、本体部371の長手方向(太陽電池モジュール352の幅方向)で離れた位置にそれぞれ1つずつ設けられており、いずれも本体部371の前面(太陽電池モジュール352の受光面側に位置する面)に形成された片状体を垂下折曲して形成されている。すなわち、取付片部372は、本体部371の前側に位置する垂下片であり、下方に向かって延設されている。
【0092】
この取付片部372には、
図27で示されるように、取付片部372を厚さ方向に貫通する取付用孔374が設けられている。言い換えると、この取付用孔374は、取付片部372を太陽電池モジュール352の厚さ方向に貫通する貫通孔となっている。
【0093】
凹部形成部375もまた、
図26で示されるように、本体部376と、本体部376と一体に形成された取付片部377を備えた構造となっている。
【0094】
本体部376は、左右方向(太陽電池モジュール352の幅方向)に延びる長板状の部分である。本体部376の下面には、上方に窪んだ凹部378が複数形成されている。この凹部378は、略半球状の窪みとなっている。
なお、図面を見易くするため一部の凹部378にのみ符号を付すものとする。
【0095】
取付片部377は、本体部376の長手方向(太陽電池モジュール352の幅方向)で離れた位置にそれぞれ1つずつ設けられており、いずれも本体部376の前面(太陽電池モジュール352の受光面側に位置する面)に形成された片状体を上方に折曲して形成されている。すなわち、取付片部377は、本体部376の前側に位置する立上片であり、上方に向かって延設されている。
【0096】
この取付片部377には、
図27で示されるように、取付片部377を厚さ方向に貫通する取付用孔374が設けられている。言い換えると、この取付用孔374は、取付片部377を太陽電池モジュール352の厚さ方向に貫通する貫通孔となっている。
【0097】
続いて、本実施形態の太陽電池モジュール352を建築物の壁面に固定する際の手順について説明する。
【0098】
本実施形態においても、
図28で示されるように、すでに固定した太陽電池モジュール352bの上側に新たに固定する太陽電池モジュール352cを配することで、仮固定工程が可能となっている。
【0099】
すなわち、太陽電池モジュール352bの上側に太陽電池モジュール352cを配すると、下側に位置する太陽電池モジュール352bの突起形成部370の上面と、上側に位置する太陽電池モジュール352cの凹部形成部375の下面とが接触した状態となる。
【0100】
これにより、突起形成部370に形成されたそれぞれの半球突起373が、凹部形成部375に形成されたそれぞれの凹部378に略丁度嵌り込んだ状態となる。このことにより、上側の太陽電池モジュール352cは、太陽電池モジュール352の厚さ方向での移動を制限された状態となる。
【0101】
本実施形態では、複数の太陽電池モジュール352を縦並び配置して固定した後、下側に位置する太陽電池モジュール352の突起形成部370と、上側に位置する太陽電池モジュール352の凹部形成部375とを取り外し可能となっている。
【0102】
すなわち、太陽電池モジュール352が固定された状態において、正面側から突起形成部370を固定する締結要素と、凹部形成部375を固定する締結要素を取り外す。すなわち、突起形成部370の取付片部372に形成された取付用孔374と、凹部形成部375の取付片部377に形成された取付用孔374のそれぞれに挿通されていた締結要素を外した状態とする。このことにより、
図28、
図29で示されるように、突起形成部370と凹部形成部375を上下方向で並列する太陽電池モジュール352の間から引き抜くことが可能となり、突起形成部370と凹部形成部375を取り外すことができる。
【0103】
そして、突起形成部370と凹部形成部375を取り外した状態とすると、
図30で示されるように、縦並び配置された太陽電池モジュール352のうち、下側の太陽電池モジュール375aと、上側の太陽電池モジュール357cの間に位置する太陽電池モジュール375bを取り外すことが可能となる。
【0104】
具体的に説明すると、複数の太陽電池モジュール352を縦並び配置した状態で運用すると、太陽電池モジュール352の一部が故障してしまうことがある。この場合、故障した太陽電池モジュール352だけを取り外してメンテナンスを実施すればよいが、突起形成部370と凹部形成部375が上側部15や下側部16から取り外せない場合、太陽電池モジュール352を上側から外していく必要が生じてしまう。
【0105】
すなわち、耳部30の取付用孔31とレール部材3のモジュール固定用孔41に挿通されている締結要素を取り外し、故障した太陽電池モジュール352をレール部材3から取り外し可能な状態としても、故障した太陽電池モジュール352の突起形成部370と凹部形成部375が太陽電池モジュール352の動きを規制することにより、太陽電池モジュール352の取り外しができなくなってしまう。
そのため、縦並び配置した太陽電池モジュール352を上から順に取り外していき、故障した太陽電池モジュール352の上側に太陽電池モジュール352が配されていない状態としてから、故障した太陽電池モジュール352を取り外す必要がある。このような方法によると、最も上側に固定した太陽電池モジュール352が故障した場合であれば問題ないが、他の太陽電池モジュール352の間に固定した太陽電池モジュール352が故障した場合は、大変な手間である。
【0106】
そこで、本実施形態では、太陽電池モジュール352の厚さ方向(取り外し方向)の動きを規制する突起形成部370や凹部形成部375を、太陽電池モジュール352の固定後に取り外し可能な構成としている。このことにより、縦並び配置した太陽電池モジュール352のいずれの太陽電池モジュール352が故障した場合であっても、故障した太陽電池モジュール352だけをレール部材3から取り外し可能であり、メンテナンス作業等を容易に実施することが可能となる。
【0107】
上記した実施形態では、新たに固定する太陽電池モジュール352cを、すでに固定した太陽電池モジュール352bの上側に配したとき、下側に位置する太陽電池モジュール352bの突起形成部370の上面と、上側に位置する太陽電池モジュール352cの凹部形成部375の下面とが密着する構成としたが本発明はこれに限るものではない。
例えば、新たに固定する太陽電池モジュール352cを、すでに固定した太陽電池モジュール352bの上側に配したとき、突起形成部370の上面と凹部形成部375の下面との間に僅かに隙間が形成されてもよい。突起形成部370に形成された半球突起373の少なくとも一部が、凹部形成部375に形成された凹部378の内側に入り込み、太陽電池モジュール352の移動が規制されればよい。
【0108】
第9実施形態の太陽電池モジュール402は、
図31で示されるように、フレーム11の上側部15の前側に規制板部420(規制部、突起)を取り付けた構成となっている。
【0109】
規制板部420は、正面視が略長方形状となる立板状の部材である。この規制板部420の下端部側には、規制板部420を厚さ方向に貫通する貫通孔である固定用孔424が設けられており、長手方向の片側端部よりの位置と、他方端部よりの位置にそれぞれ1つずつ形成されている。
【0110】
そして、規制板部420は、その下端側の部分が上側部15の前面に位置しており、上端側の部分が上側部15の上面(平面部)よりも上方に突出している。すなわち、規制板部420の上側部分は、上側部15の受光面側の端部で上方に突出する突起物となっている。
【0111】
本実施形態の太陽電池モジュール402もまた、新たに固定する太陽電池モジュール402bを、すでに固定した太陽電池モジュール402aの上側に配したとき、太陽電池モジュール402bの動きを規制することが可能となっている。
すなわち、新たに固定する太陽電池モジュール402bを太陽電池モジュール402aの上側に配すと、
図32で示されるように、上側の太陽電池モジュール402bの下側部16の前方に、下側の太陽電池モジュールの402aの規制板部420が位置した状態となる。このことにより、上側の太陽電池モジュール402bは、太陽電池モジュール402の厚さ方向のうち、受光面側へ向かう方向への移動が規制された状態となる。
【0112】
また、本実施形態においても上下方向で隣接する2つの太陽電池モジュール402a,402bの固定後に規制板部420を取り外し可能な構成となっている。
【0113】
すなわち、太陽電池モジュール402が固定された状態において、正面側から規制板部420を固定する締結要素を取り外す。すなわち、規制板部420の固定用孔424に挿通されていた締結要素を外した状態とする。このことにより、規制板部420を上側部15から取り外すことが可能となる。
【0114】
第10実施形態の太陽電池モジュール452は、
図33、
図34で示されるように、フレーム11の上側部15に溝部形成部475(規制部、凹部)が設けられ、下側部16に突条部470(規制部、凸部)が設けられた構造となっている。
【0115】
溝部形成部475は、
図33で示されるように、断面形状略「凹」字状で左右方向に延びる部分であり、三方を壁面で囲まれた溝を形成している。この溝部形成部475は、第1形成片476と第2形成片478とを備えた構成となっており、これらを一体に固定することで形成される部分である。
【0116】
第1形成片476は、断面形状が略「L」字状で左右方向に沿って延びた長尺状の部材である。
図35で示されるように、この第1形成片476のうち、前端下側に位置して左右方向に延びる平面476aには、締結要素を挿入可能な固定用孔479が設けられている。この固定用孔479は、長手方向の片側端部から中心側に所定距離だけ離れた位置と、他方端部から中心側に所定距離だけ離れた位置とに、それぞれ1つずつ形成されている(一方については図示を省略する)。
【0117】
第2形成片478は、面視が略長方形状となる立板状の部材である。この第2形成片478の下端部側には、第2形成片478を厚さ方向に貫通する貫通孔である固定用孔474が設けられている。この固定用孔474は、長手方向の片側端部から中心側に所定距離だけ離れた位置と、他方端部から中心側に所定距離だけ離れた位置とに、それぞれ1つずつ形成されている(一方については図示を省略する)。
【0118】
突条部470は、
図34で示されるように、下側部16の下面から下方に向かって突出しており、断面形状が略長方形状で左右方向に沿って延びた長尺状の部分となっている。
【0119】
本実施形態においても、すでに固定した太陽電池モジュール452の上側に新たに固定する太陽電池モジュール452を配したとき、太陽電池モジュール452の動きを規制することが可能となっている。
すなわち、上側に位置する太陽電池モジュール452の突条部470を、下側に位置する太陽電池モジュール452の溝部形成部475によって形成される溝部分に挿入することにより、これらの太陽電池モジュール452は、互いに厚さ方向への相対移動を規制された状態となる。
【0120】
また、本実施形態では、隣接する2つの太陽電池モジュール452の固定後において、第2形成片478を第1形成片476から取り外すことにより、太陽電池モジュール452に対する移動の規制を解除することができる。
すなわち、太陽電池モジュール452が固定された状態において、
図35で示されるように、第1形成片476の固定用孔479と、第2形成片478の固定用孔474に挿通された締結要素を正面側から取り外す。このことにより、第2形成片478を取り外した太陽電池モジュール452の上側に位置する太陽電池モジュール452は、受光面側への移動が規制されない状態となる。すなわち、上側に位置する太陽電池モジュール452の取り外しが可能となる。
【0121】
上記した各実施形態では、高層建築物の壁面にレール部材3を固定し、このレール部材3に対して太陽電池モジュールを固定する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、
図36で示されるように、高層建築物の壁面に予め太陽電池モジュール502を固定するための設置領域503を形成しておき、この設置領域503に太陽電池モジュール502を固定する構造であってもよい。
【0122】
また、太陽電池モジュール502を固定するときには、複数の太陽電池モジュール502を金具等の部材を介して一体に固定することでユニット505を形成し、このユニットを壁面に固定する構成であってもよい。このとき、ユニット505を構成する太陽電池モジュール502のうち、少なくとも1つの太陽電池モジュール502に規制部が形成されていればよい。
【0123】
また、太陽電池モジュール502を固定するときには、レール部材3を介さず、太陽電池モジュール502を直接壁面に固定してもよい。すなわち、太陽電池モジュール502に形成した耳部30等の締結要素を挿通するための部分を直接壁面に接触させ、太陽電池モジュール502を固定してもよい。
【0124】
上記した各実施形態では、太陽電池モジュールの長辺が左右方向に沿って延び、短辺が上下方向に沿って延びるように太陽電池モジュールを固定したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、長辺が上下方向に沿って延び、短辺が左右方向に沿って延びるように固定してもよい。