(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、数値範囲等を表す「a〜b」等の表記は、特に断りのない限りa及びbをその数値範囲に含むものであり、「a以上、b以下」と同義である。
【0011】
[洗浄用組成物]
本発明の洗浄用組成物は、目的タンパク質及び不純物を含む混合液から目的タンパク質を分離精製するプロセスに用いる洗浄用組成物であって、以下の成分(A)、成分(B)及び成分(C)から選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とするものである。
(A)炭素数5以上の有機基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、及び炭素数5以上の有機基を有するアミン塩型カチオン性界面活性剤から選ばれるカチオン性界面活性剤
(B)ヒドロキシ酸エステル
(C)アミド系溶媒
【0012】
(成分(A):カチオン性界面活性剤)
成分(A)のカチオン性界面活性剤は、炭素数5以上の有機基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、及び炭素数5以上の有機基を有するアミン塩型カチオン性界面活性剤から選ばれるものである。上記アミン塩型カチオン性界面活性剤は、第1級〜第3級アミン塩型のいずれでもよい。
【0013】
上記カチオン性界面活性剤としては、殺菌性、保存安定性、不純物除去性能の観点や、目的タンパク質を効率よく回収する観点から、炭素数5以上の有機基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が好ましく、下記式(1)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤(以下、カチオン性界面活性剤(1)とも称する)がより好ましい。
【0015】
〔式(1)中、
R
1は、炭素数5以上の有機基を示し、
R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、有機基を示し、
nは1以上の整数を示し、
Z
n-はn価のアニオンを示す。〕
【0016】
式(1)中、R
1は、炭素数5以上の有機基を示す。ここで、R
1で示される有機基が、2種以上の炭素数の有機基である場合、その炭素数は平均炭素数を意味とするものとする。平均炭素数は、カチオン性界面活性剤(1)に該当する全分子のR
1の炭素数の総和を求めて、炭素数を1分子あたりに換算することで算出できる(全分子のR
1の炭素数の総和/分子の数)。
【0017】
上記R
1で示される有機基としては、炭素数5〜30の炭化水素基、炭素数5〜30のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された総炭素数5〜30の基、平均付加モル数が10以下であり炭素数が5以上であるポリオキシアルキレン基、平均付加モル数10以下のポリオキシアルキレン基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された総炭素数5〜30の基が好ましい。
【0018】
R
1における炭素数5〜30の炭化水素基の炭素数としては、不純物除去性能の観点や、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点から、好ましくは6〜24、より好ましくは8〜22、更に好ましくは9〜20、更に好ましくは10〜18、特に好ましくは10〜16である。
【0019】
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基が挙げられる。
上記アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0020】
R
1におけるヒドロキシアルキル基の炭素数は5〜30であるが、不純物除去性能の観点や、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、好ましくは6〜24、より好ましくは8〜22、更に好ましくは9〜20、更に好ましくは10〜18、特に好ましくは10〜16である。ヒドロキシアルキル基に含まれるアルキル基としては、上記アルキル基と同様のものが挙げられる。
【0021】
R
1における平均付加モル数が10以下であり炭素数が5以上であるポリオキシアルキレン基としては、−(CH
2CH
2O)
pH(pは3〜10の整数を示すが、不純物除去性能の観点や、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、好ましくは5〜8の整数である)で表されるポリオキシエチレン基が好ましい。
【0022】
R
1におけるヒドロキシアルキル基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された基、及び平均付加モル数10以下のポリオキシアルキレン基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された基の総炭素数は、5〜30であるが、不純物除去性能の観点や、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、好ましくは8〜26、より好ましくは9〜25、更に好ましくは12〜24、更に好ましくは14〜22、特に好ましくは16〜20である。また、上記ポリオキシアルキレン基としては、−(CH
2CH
2O)
qH(qは1〜10の整数を示すが、好ましくは1〜7の整数、より好ましくは1〜4の整数、更に好ましくは1又は2である)で表されるポリオキシエチレン基が好ましい。
【0023】
また、ヒドロキシアルキル基及びポリオキシアルキレン基に置換された炭化水素基の置換位置としては、ヒドロキシアルキル基又はポリオキシエチレン基に含まれる水酸基中の水素原子が好ましい。また、上記炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基が好ましく、アルキルアリール基がより好ましい。当該アルキルアリール基としては、炭素数7〜20のアルキルアリール基が好ましく、炭素数10〜18のアルキルフェニル基がより好ましく、炭素数12〜16のアルキルフェニル基が更に好ましい。例えば、(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル基等が挙げられる。
平均付加モル数10以下のポリオキシアルキレン基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された基としては、下記式で示されるものが挙げられる。なお、式中のqは前記と同義である。
【0025】
また、式(1)中、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、有機基を示す。
R
2、R
3及びR
4としては、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された総炭素数2以上の基、平均付加モル数が10以下であるポリオキシアルキレン基、平均付加モル数10以下のポリオキシアルキレン基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された総炭素数2以上の基が好ましい。
【0026】
R
2における炭素数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基が挙げられる。
【0027】
R
2におけるアルキル基の炭素数としては、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜3が更に好ましく、1又は2が特に好ましい。また、上記アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0028】
R
2におけるアルケニル基の炭素数としては、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、2〜12が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2又は3が更に好ましい。また、上記アルケニル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基等が挙げられる。
【0029】
R
2におけるアラルキル基の炭素数としては、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましく、7又は8が更に好ましい。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0030】
R
2におけるヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜30であるが、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜3が更に好ましく、1又は2が特に好ましい。ヒドロキシアルキル基に含まれるアルキル基としては、上記R
2で示されるアルキル基と同様のものが挙げられる。
また、ヒドロキシアルキル基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された基に含まれるヒドロキシアルキル基としては、上記ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0031】
R
2における平均付加モル数が10以下であるポリオキシアルキレン基としては、−(CH
2CH
2O)
rH(rは1〜10の整数を示すが、好ましくは1〜7の整数、より好ましくは1〜4の整数、更に好ましくは1又は2である)で表されるポリオキシエチレン基が好ましい。
また、平均付加モル数10以下のポリオキシアルキレン基の水素原子の一部が炭化水素基で置換された基に含まれるポリオキシアルキレン基としては、上記ポリオキシアルキレン基と同様のものが挙げられる。
【0032】
また、R
2において、ヒドロキシアルキル基及びポリオキシアルキレン基に置換された炭化水素基の置換位置としては、ヒドロキシアルキル基又はポリオキシエチレン基に含まれる水酸基中の水素原子が好ましい。また、上記炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基が好ましく、アルキルアリール基がより好ましい。当該アルキルアリール基としては、炭素数7〜20のアルキルアリール基が好ましく、炭素数10〜18のアルキルフェニル基がより好ましく、炭素数12〜16のアルキルフェニル基が更に好ましい。例えば、(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル基が挙げられる。
【0033】
上記R
2の中でも、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点、不純物除去性能の観点や、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点から、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のヒドロキシアルキル基、平均付加モル数が10以下であるポリオキシアルキレン基が好ましく、炭素数1〜30の炭化水素基がより好ましく、アルキル基、アラルキル基が特に好ましい。
【0034】
また、R
3及びR
4としては、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましい。R
3及びR
4における炭化水素基の炭素数としては、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜3が更に好ましく、1又は2が特に好ましい。
また、R
3及びR
4における炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。また、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0035】
また、R
1〜R
4の炭素数の関係は、不純物除去性能の観点や、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点からは、R
2の炭素数≧R
3の炭素数、且つR
2の炭素数≧R
4の炭素数であり、R
1とR
2との炭素数の合計が10以上であるのが好ましい。当該R
1とR
2との炭素数の合計は、上記と同様の観点から、好ましくは10〜26であり、より好ましくは12〜24であり、特に好ましくは12〜22である。
【0036】
また、式(1)中、nは、対アニオンとなる原子又は原子団の価数を意味し、1以上の整数を示す。nは好ましくは1である。
【0037】
また、式(1)中、Z(原子又は原子団)としては、具体的には、ハロゲン原子、CH
3SO
4、CH
3CH
2SO
4、OHの他、アミノ酸に由来する原子団、脂肪酸に由来する原子団、炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するリン酸エステルに由来する原子団、ホスホン酸エステルに由来する原子団、スルホン酸エステルに由来する原子団、硫酸エステルに由来する原子団、重合度3以上のスチレンスルホン酸を有するか又は置換基として炭化水素基を有することがある多環式芳香族化合物のスルホン化物のホルマリン縮合物を含有するアニオン性オリゴマー又はポリマーに由来する原子団が挙げられる。
これらの中でも、Zとしては、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
【0038】
上記カチオン性界面活性剤(1)の中でも、不純物除去性能の観点から、下記式(2)又は(3)で表されるものが好ましい。このうち、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点や安全性の観点からは、式(2)で表されるものがより好ましい。
【0040】
〔式(2)中、
R
5は、炭素数5〜30の炭化水素基又は
【0042】
で表わされる基を示し、
R
6及びR
7は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基を示し、
n及びZ
n-は前記と同義である。〕
【0044】
〔式(3)中、
R
8は、炭素数9〜30のアルキル基を示し、
R
9〜R
11は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基を示し、
n及びZ
n-は前記と同義である。〕
【0045】
式(2)中、R
5としては、不純物除去性能の観点から、炭素数5〜30の炭化水素基が好ましい。ここで、R
5で示される炭化水素基が、2種以上の炭素数の炭化水素基である場合、その炭素数は平均炭素数を意味とするものとする。平均炭素数は、カチオン性界面活性剤(2)に該当する全分子のR
5の炭素数の総和を求めて、炭素数を1分子あたりに換算することで算出できる(全分子のR
5の炭素数の総和/分子の数)。
上記R
5で示される炭化水素基の炭素数は、不純物除去性能の観点や、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、好ましくは6〜24、より好ましくは8〜22、更に好ましくは9〜20、更に好ましくは10〜18、特に好ましくは10〜16である。
また、上記炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0046】
式(2)中、R
6及びR
7は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基を示す。当該炭化水素基の炭素数としては、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、1〜3が好ましく、1又は2が特に好ましい。
また、R
6及びR
7で示される炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0047】
式(3)中、R
8は、炭素数9〜30のアルキル基を示す。当該アルキル基の炭素数は、不純物除去性能の観点や、本発明の洗浄用組成物で洗浄された固相の再利用を容易にする観点、回収した目的タンパク質への洗浄用組成物の混入を低レベルに抑える観点から、好ましくは6〜24、より好ましくは8〜22、更に好ましくは9〜20、更に好ましくは10〜18、更に好ましくは10〜16であり、更に好ましくは10〜14であり、特に好ましくは11〜13である。
また、R
8で示されるアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0048】
式(3)中、R
9〜R
11は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基を示す。当該炭化水素基としては、式(2)中のR
6と同様のものが挙げられる。
【0049】
上記カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
これら中でも、静脈又は筋肉内投与が可能な医薬品添加物であり、ヒトに対する安全性が担保されているという観点からは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムが好ましい。この中でも、安全性と不純物除去性能との両立の観点から、塩化ベンザルコニウムが特に好ましい。
なお、塩化ベンザルコニウムは、式(1)において、R
1=平均炭素数が10〜15の範囲内のアルキル基、R
2=ベンジル基、R
3=R
4=メチル基、Z
n-=Cl
-の化合物である。
【0050】
また、上記カチオン性界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
上記カチオン性界面活性剤を用いる場合、その濃度としては、不純物除去性能の観点から、本発明の洗浄用組成物中、好ましくは0.01%(w/v)以上、より好ましくは0.05%(w/v)以上、更に好ましくは0.1%(w/v)以上、更に好ましくは0.5%(w/v)以上、特に好ましくは1%(w/v)以上であり、また、分離精製する際の圧力上昇を抑える観点から、本発明の洗浄用組成物中、好ましくは20%(w/v)以下、より好ましくは10%(w/v)以下、更に好ましくは8%(w/v)以下、更に好ましくは6.5%(w/v)以下、更に好ましくは5%(w/v)以下、更に好ましくは3.5%(w/v)以下、特に好ましくは2%(w/v)以下である。
カチオン性界面活性剤の濃度を上記のような範囲とすることにより、分離精製する際の圧力上昇が大幅に抑えられ、且つ優れた不純物除去性能が得られる。
【0052】
(成分(B):ヒドロキシ酸エステル)
ヒドロキシ酸エステルとしては、1〜3個のヒドロキシ基及び1〜3個のエステル結合を分子内に有するヒドロキシ酸エステルが好ましく、1又は2個のヒドロキシ基及び1又は2個のエステル結合を分子内に有するヒドロキシ酸エステルが好ましい。
また、ヒドロキシ酸エステルとしては、1〜3個のヒドロキシ基及び1〜3個のカルボキシ基を分子内に有するヒドロキシ酸に由来するヒドロキシ酸エステルが好ましく、1又は2個のヒドロキシ基及び1又は2個のカルボキシ基を分子内に有するヒドロキシ酸に由来するヒドロキシ酸エステルがより好ましい。
【0053】
また、上記ヒドロキシ酸エステルとしては、グリコール酸エステル、乳酸エステル、タルトロン酸エステル、グリセリン酸エステル、ヒドロキシ酪酸エステル、リンゴ酸エステル、酒石酸エステル、クエン酸エステル等が挙げられる。
ヒドロキシ酸エステルの中でも、α−ヒドロキシ酸エステルが好ましく、グリコール酸、乳酸エステルがより好ましく、乳酸エステルがさらに好ましい。
【0054】
また、ヒドロキシ酸エステルは、ヒドロキシ酸アルキルエステルであることが好ましい。上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。また、アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0055】
上記のようなヒドロキシ酸エステル中でも、静脈内投与又は筋肉内投与が可能な医薬品添加物であり、ヒトに対する安全性が担保されていることから、乳酸エチルが特に好ましい。
【0056】
なお、上記ヒドロキシ酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0057】
上記ヒドロキシ酸エステルを用いる場合、その濃度としては、不純物除去性能の観点から、本発明の洗浄用組成物中、好ましくは1%(v/v)以上、より好ましくは5%(v/v)以上、更に好ましくは10%(v/v)以上、特に好ましくは15%(v/v)以上であり、また、好ましくは40%(v/v)以下、より好ましくは30%(v/v)以下、更に好ましくは20%(v/v)以下である。具体的には1〜40%(v/v)が好ましく、5〜30%(v/v)がより好ましく、10〜20%(v/v)がさらに好ましく、15〜20%(v/v)が特に好ましい。
【0058】
(成分(C):アミド系溶媒)
アミド系溶媒としては、下記式(4)で表される溶媒が好ましい。
【0060】
〔式(4)中、R
21は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
22及びR
23は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はアリール基を示し、R
21とR
22がともに炭素数1〜4のアルキル基の場合には、互いに結合して環構造を形成していてもよい。〕
【0061】
R
21としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、R
22及びR
23としては、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基が好ましい。
また、R
21、R
22及びR
23で示される炭素数1〜4のアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R
22及びR
23で示されるアリール基としては、炭素数6〜12のアリール基が好ましい。具体的にはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R
21及びR
22で示される炭素数1〜4のアルキル基が互いに結合して形成する環としては、2−ピロリドン環、2−ピペリドン環、2−カプロラクタム(ε−カプロラクタム)環等が挙げられる。
【0062】
上記アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N−メチル−N−エチルアセトアミド、N−ブチル−N−フェニルアセトアミド、N,N−ジメチルプロパンアミド、N,N−ジエチルプロパンアミド、N−メチル−N−エチルプロパンアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−カプロラクタム、N−エチル−2−カプロラクタム等が挙げられる。
これらの中でも、静脈内投与又は筋肉内投与が可能な医薬品添加物であり、ヒトに対する安全性が担保されていることから、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
【0063】
なお、上記アミド系溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
【0064】
上記アミド系溶媒を用いる場合、その濃度としては、不純物除去性能の観点から、本発明の洗浄用組成物中、好ましくは1%(v/v)以上、より好ましくは5%(v/v)以上、更に好ましくは10%(v/v)以上、特に好ましくは15%(v/v)以上であり、また、好ましくは40%(v/v)以下、より好ましくは30%(v/v)以下、更に好ましくは20%(v/v)以下である。具体的には1〜40%(v/v)が好ましく、5〜30%(v/v)がより好ましく、10〜20%(v/v)がさらに好ましく、15〜20%(v/v)が特に好ましい。
【0065】
本発明の洗浄用組成物において、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)は、これらの成分のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせた場合、不純物除去性能が更に向上する。
これら成分の組み合わせとしては、成分(A)と成分(B)の組み合わせ、成分(A)と成分(C)の組み合わせ、成分(B)と成分(C)の組み合わせ、成分(A)と成分(B)と成分(C)の組み合わせが挙げられる。斯様な組み合わせを含有する洗浄用組成物の中でも、不純物除去性能の観点から、成分(A)を少なくとも含み、更に成分(B)及び成分(C)から選ばれる1種以上を含有する洗浄用組成物が好ましい。
【0066】
また、上記各成分のうち成分(A)と成分(B)をともに用いる場合、成分(A)と成分(B)との含有割合〔(A)/(B)〕は、0.01〜10(w/v)が好ましく、0.05〜1(w/v)がより好ましく、0.05〜0.5(w/v)がさらに好ましい。
【0067】
また、上記各成分のうち成分(A)と成分(C)をともに用いる場合、成分(A)と成分(C)との含有割合〔(A)/(C)〕は、0.01〜10(w/v)が好ましく、0.05〜1(w/v)がより好ましく、0.05〜0.5(w/v)がさらに好ましい。
【0068】
(その他の成分)
本発明の洗浄用組成物中には、上記成分の他に、水;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩;アミノ酸;糖等を含んでいてもよい。なお、これらその他の成分は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
また、上記無機塩の濃度としては、不純物除去性能の観点からは、洗浄用組成物中、1〜1500mMが好ましく、5〜1000mMがより好ましく、10〜750mMが更に好ましく、200〜750mMが特に好ましい。
【0070】
本発明の洗浄用組成物の23℃におけるpHは、目的タンパク質の安定性の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは7以上であり、また、好ましくは9以下、より好ましくは8以下である。
また、本発明の洗浄用組成物の23℃における粘度としては、0.8〜2.0mPa・sが好ましく、0.8〜1.6mPa・sがより好ましい。
また、本発明の洗浄用組成物は、洗浄用液状組成物であるのが好ましい。
【0071】
本発明の洗浄用組成物は、目的タンパク質及び不純物を含む混合液から目的タンパク質を分離精製するプロセスに用いられるものである。例えば、目的タンパク質が結合したリガンドが固定された固相をカラム容器に充填し、洗浄用組成物を通液する等して使用される。
(分離精製プロセス)
分離精製プロセスとしては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどが挙げられ、選択性に優れ、高純度な目的タンパク質が得られることから、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい。
特に、本発明の洗浄用組成物は、プロテインAをリガンドとして用いたアフィニティークロマトグラフィーによる抗体精製に適し、当該抗体精製における中間洗浄用の組成物として特に有用である。斯様な洗浄に本発明の洗浄用組成物を用いた場合、不純物が非常に効果的に除去され、且つ、プロテインAから抗体が解離しにくいため、抗体を極めて効率よく回収することができる。
中間洗浄とは、抗体などの目的タンパク質の分離精製プロセスにおいて、不純物を洗浄除去するために、リガンドに目的タンパク質を保持させた状態で固相を洗浄することをいう。
【0072】
(目的タンパク質)
目的タンパク質としては、抗体が好ましく、Fc領域(CH2/CH3領域(CH2領域及びCH3領域))を含むIgG型の抗体がより好ましい。また、Fc融合タンパク質、組換えタンパク質を用いてもよい。なお、抗体には、動物細胞で産生された抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体が含まれる。
【0073】
[タンパク質精製方法]
本発明のタンパク質精製方法は、
固相上に固定されたリガンドと、目的タンパク質及び不純物を含む混合液とを接触させ、前記リガンドと前記混合液中のタンパク質とを結合させる結合工程、
本発明の洗浄用組成物で、前記タンパク質が結合したリガンドが固定された固相を洗浄して不純物を除去する洗浄工程、並びに
溶出バッファーを用いて、前記洗浄工程で洗浄した固相から目的タンパク質を回収する回収工程、
を含むことを特徴とするものである。
以下、各工程について説明する。
【0074】
(結合工程)
本発明における結合工程とは、固相上に固定されたリガンドと、目的タンパク質及び不純物を含む混合液とを接触させ、前記リガンドと前記混合液中のタンパク質とを結合させる工程である。
【0075】
固相の材質は、本発明の洗浄用組成物は種々の材質の固相を用いた精製に利用できるため特に限定されるものではなく、合成高分子、天然高分子の他、シリカ、ガラスなどが挙げられる。
これらの中でも、合成高分子、天然高分子が好ましい。合成高分子としては、ポリスチレン樹脂、メタクリレート樹脂が挙げられ、天然高分子としては、アガロース、デキストラン、セルロース等の多糖類で構成されるものが挙げられる。この中でも、アガロース、メタクリレート樹脂が好ましく、カラムへの充填やスケールアップが容易であることから、メタクリレート樹脂がより好ましい。
【0076】
固相の形状としては、粒子、中空繊維、不織布、フィルター、モノリスが挙げられるが、粒子が好ましい。
【0077】
リガンドは、目的タンパク質との親和性を考慮して選択すればよい。例えば、プロテインA、プロテインG、アビジン、Hisタグ、GSTタグ等のタンパク質が挙げられる。
これらの中でも、抗体医薬の製造において用いることが可能であることから、プロテインAが特に好ましい。本発明の洗浄用組成物は、プロテインAから抗体を解離させにくいため、本発明の洗浄用組成物を用いてプロテインAをリガンドとする固相の洗浄をした場合、抗体を極めて効率よく回収することができる。
【0078】
目的タンパク質及び不純物を含む混合液としては、例えば、不純物を含むCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣タンパク質)の培養液、不純物を含むハイブリドーマの培養液、遺伝子組換え大腸菌の細胞破砕液が挙げられる。CHO細胞の培養液には、不純物の他に、CHO細胞が産生したFc領域を含むIgG型の抗体が含まれる。
【0079】
リガンドと混合液中の目的タンパク質とを結合させる方法は特に限定されないが、例えば、リガンドが固定化された粒子状の担体をカラム容器に充填し、混合液をカラムに添加し、目的タンパク質とリガンドとを接触させることで結合させる方法が挙げられる。
【0080】
(洗浄工程)
本発明における洗浄工程とは、本発明の洗浄用組成物で、前記タンパク質が結合したリガンドが固定された固相を洗浄して不純物を除去する工程である。
洗浄工程は、本発明の洗浄用組成物を用いること以外は常法の中間洗浄と同様にして行えばよく、例えば、リガンドに抗体が保持された状態のまま本発明の洗浄用組成物をカラムに通液させることで固相を洗浄して不純物を除去すればよい。
【0081】
不純物としては、HCP(Host Cell Protein)、DNA、脂質、培地由来成分などが挙げられる。HCPには、CHO細胞等の抗体産生細胞の細胞片由来のタンパク質が含まれる。
【0082】
本発明の洗浄用組成物の使用量は、カラムを用いる場合は、通常1〜10カラム容量であるが、3〜5カラム容量が好ましい。
洗浄温度は、通常0〜50℃であるが、5〜35℃が好ましく、常温がより好ましい。
【0083】
なお、本洗浄工程の前後に、リン酸ナトリウムやトリス塩酸緩衝液などの中性緩衝液に塩化ナトリウムや硫酸ナトリウムなどの無機塩を添加した洗浄液などを用いて、更に固相を洗浄してもよい。
【0084】
(回収工程)
本発明における回収工程とは、溶出バッファーを用いて、前記洗浄工程で洗浄した固相から目的タンパク質を回収する工程である。例えば、溶出バッファーで目的タンパク質を溶出させ、クロマトグラフィーシステムのフラクションコレクターを用いて目的タンパク質を回収する方法が挙げられる。
【0085】
溶出バッファーとしては、リガンドがプロテインA等の場合は酸性緩衝液、リガンドがHisタグ等の場合はイミダゾール含有緩衝液、リガンドがGSTタグ等の場合はグルタチオン含有緩衝液などが挙げられる。
【0086】
目的タンパク質は上記と同様に、抗体が好ましく、Fc領域(CH2/CH3領域(CH2領域及びCH3領域))を含むIgG型の抗体がより好ましい。また、Fc融合タンパク質、組換えタンパク質を用いてもよい。
【0087】
なお、分離精製した目的タンパク質を含む溶液中に成分(A)〜(C)が含まれる場合、回収工程の後、成分(A)〜(C)を除去してもよい。除去方法としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー用担体、疎水性相互作用クロマトグラフィー用担体又はマルチモーダルクロマトグラフィー用担体を用いて、吸着挙動の差異により目的タンパク質から成分(A)〜(C)を分離除去する方法が挙げられる。
【実施例】
【0088】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例1〜16
、20〜22及び24は参考例である。
【0089】
(参考例1)
カラム容器(GE Healthcare社製Tricorn10/50 column)に、国際公開第2012/086660号の実施例に記載のタンパク質リガンド(プロテインA)を固定化させたメタクリレート樹脂を主成分とするアフィニティークロマトグラフィー担体JX02−PB2を充填高さ約5cmで充填してカラムを作製した。得られたカラムをGE Healthcare社製AKTA Prime Plusに接続し、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を5カラム容量(カラム容積の5倍)、流速1mL/分にて通液し、平衡化させた。
次いで、モノクローナル抗体Trastuzumabのバイオシミラーを含有するCHO細胞培養上清を、約24g抗体/mL担体の負荷量で、流速1mL/分にてカラムに通液した。
次いで、洗浄液1として、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を5カラム容量、流速1mL/分にてカラムに通液した。
次いで、洗浄液2として、20mMリン酸ナトリウム/1M塩化ナトリウムバッファー(pH7.5)を5カラム容量、流速1mL/分にてカラムに通液した。
次いで、洗浄液3として、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を5カラム容量、流速1mL/分にてカラムに通液した。
その後、100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)を5カラム容量、流速1mL/分にてカラムに通液し、カラム内に捕捉されていたモノクローナル抗体を溶出させ、Abs.280>100mAuの溶出フラクションを回収した。
そして、Cygnus Technologies社製 CHO HCP ELISA kit,3Gを用い、回収したフラクション中に含有されるHost Cell Protein(HCP)濃度を測定した。結果を表2に示した。
また、分光光度計(Bio−Rad Laboratories製SmartSpecPlus)を用い、回収したフラクション中に含有される抗体濃度を測定し、回収液量を乗ずることで抗体回収量を算出し、さらに添加抗体量で除することにより、抗体回収率を測定した。結果を表2に示した。
【0090】
(参考例2)
メタクリレート樹脂担体(JX02−PB2)を、アガロース担体(MabSelect SuRe(商標))に変更する以外は参考例1と同様の処理を行い、HCP濃度と抗体回収率の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0091】
(実施例1〜10及び比較例1〜2)
参考例1における洗浄液1を、表1に記載の各洗浄液にそれぞれ変更した以外は、参考例1と同様の処理を行い、HCP濃度と抗体回収率の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0092】
(実施例11)
参考例2における洗浄液1を、表1に記載の洗浄液A−2に変更した以外は、参考例2と同様の処理を行い、HCP濃度と抗体回収率の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
(参考例3)
モノクローナル抗体Trastuzumabのバイオシミラーを含有するCHO細胞培養上清(約24g抗体/mL担体の負荷量)を、モノクローナル抗体Etanerceptのバイオシミラーを含有するCHO細胞培養上清(約6.5g抗体/mL担体の負荷量)に変更する以外は参考例1と同様の処理を行い、HCP濃度と抗体回収率の評価を実施した。結果を表3に示した。
【0096】
(実施例12〜13及び比較例3)
参考例3における洗浄液1を、表1に記載の洗浄液A−2(実施例12)、洗浄液A−4(実施例13)、洗浄液B−1(比較例3)にそれぞれ変更した以外は、参考例3と同様の処理を行い、HCP濃度と抗体回収率の評価を実施した。結果を表3に示した。
【0097】
【表3】
【0098】
上記表2及び3に示すように、洗浄液A−1〜A−10を用いることによって、HCPを効率的に洗浄除去できた。
【0099】
(参考例4)
カラム容器(GE Healthcare社製Tricorn5/200 column)に、国際公開第2012/086660号の実施例に記載のタンパク質リガンド(プロテインA)を固定化させたメタクリレート樹脂を主成分とするアフィニティークロマトグラフィー担体JX02−PB2を充填高さ約20cmで充填してカラムを作製した。得られたカラムをGE Healthcare社製AKTA Prime Plusに接続し、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を5カラム容量(カラム容積の5倍)、流速1mL/分にて通液し、平衡化させた。その後、GE Healthcare社製AKTA Prime Plusからカラムを取り外した。
次いで、20mMリン酸ナトリウム/500mM塩化ナトリウムバッファー(pH7.5)(以下、測定液11とも称する)を5カラム容量、流速1mL/分にてAKTA Prime Plusに通液し、カラム未接続時の圧力値を測定した。
次にカラムを接続し、再度、測定液11を5カラム容量、流速1mL/分にてAKTA Prime Plusに通液し、カラム接続時の圧力値を測定した。当該カラム接続時の圧力値からカラム未接続時の圧力値を差し引き、測定液11を通液した際の圧力損失値とした。結果を表5に示した。
なお、カラム未接続時の圧力値とカラム接続時の圧力値は、AKTA Prime Plusに付属の圧力計により測定した。
【0100】
(実施例14〜16及び比較例4〜5)
参考例4における測定液11を、表4に記載の各測定液にそれぞれ変更した以外は、参考例4と同様の処理を行い、圧力損失値の評価を実施した。結果を表5に示した。
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
(実施例17〜22)
参考例1における洗浄液1を、表6に記載の洗浄液A−21〜A23、A31〜A33にそれぞれ変更した以外は、参考例1と同様の処理を行い、HCP濃度と抗体回収率の評価を実施した。結果を表7に示した。
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】
【0106】
(実施例23及び24)
参考例1における洗浄液1を、表8に記載の洗浄液A−41、A−42にそれぞれ変更した以外は、参考例1と同様の処理を行い、HCP濃度と抗体回収率の評価を実施した。結果を表9に示した。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】