特許第6480913号(P6480913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6480913
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】美容器
(51)【国際特許分類】
   A61H 15/00 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   A61H15/00 320A
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-505130(P2016-505130)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(86)【国際出願番号】JP2015053421
(87)【国際公開番号】WO2015129435
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2017年9月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-39965(P2014-39965)
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−103086(JP,A)
【文献】 特開2012−217516(JP,A)
【文献】 特開2004−321814(JP,A)
【文献】 特開2004−016584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
該本体に支持されているとともに、上記本体から先広がり状に延びている少なくとも4本の支持軸と、
該各支持軸の軸線を中心にして回動可能に該各支持軸に支持されているローラと、
上記本体から延設されているハンドルと、
を備え
上記ハンドルは、実質的に剛体からなることを特徴とする美容器。
【請求項2】
上記ローラは、互いに隣接する第1の一対のローラと、互いに隣接する第2の一対のローラとを含んでおり、上記第1の一対のローラの配列方向から見て、上記各ローラに接する仮想平面に垂直な仮想垂線に対する上記第1の一対のローラの軸線の傾斜角度が、上記仮想垂線に対する上記第2の一対のローラの軸線の傾斜角度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
上記各支持軸は、上記本体及び上記ローラに覆われて露出していないことを特徴とする請求項1又は2に記載の美容器。
【請求項4】
上記ハンドルが延びている側から見て、上記本体における上記支持軸が設けられる側の面である支持軸設置面は上記ハンドルよりも幅広に形成されているとともに、上記各支持軸は上記支持軸設置面上に所定間隔をおいて設けられており、上記ローラは上記支持軸設置面よりも上記各支持軸の延びる側に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容器。
【請求項5】
上記支持軸は、上記本体に回動可能に支持されており、上記ローラは、上記支持軸と一体的に回動可能なように上記支持軸に支持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌をローラによって押圧等してマッサージ効果を奏する美容器が種々提案されている。このような美容器の例として、非特許文献1には、本体に4個のローラが備えられた美容器が開示されている。当該本体は、上面側から見た平面視形状が、長四角形の両長辺を内側に緩やかに窪ませるとともに、両短辺を外側に緩やかに膨出させた形状となっている。そして、本体の平面視中央部はその上面が緩やかに膨出しているとともに、下面側には4カ所の隅部にそれぞれローラが配設されている。各ローラの軸線は先広がり状に延びている。当該美容器は、本体の両長辺の窪みに指を沿わせて本体が直接把持される。そして、各ローラを肌面に接触させた状態で、長辺方向又は短辺方向に移動させることにより、先行する2個のローラで肌を押圧し、後行する2個のローラで肌を摘み上げることにより、マッサージ効果を奏する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】”ReFa for Body”、[online]、株式会社MTG、[平成25年12月18日検索]、インターネット<URL:http://www.mtg.gr.jp/products/beauty/product/refa_for_body/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に開示されている美容器はローラが配設された本体が直接把持されて使用されるため、顔のように様々な方向に湾曲する部分に当該美容器を使用する場合、各ローラを当該部分の肌に沿わせて移動させる際に、肌の湾曲に沿わせて本体を把持している手の向きを大きく変えたり、手首を大きく捻ったりする必要がある。そのため、使い勝手が悪く、各ローラを肌に対して適正な角度を維持したまま移動させることが難しいため、十分なマッサージ効果が得られない場合がある。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、顔のように様々な方向に湾曲する部分をマッサージするのに適した美容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様は、本体と、
該本体に支持されているとともに、上記本体から先広がり状に延びている少なくとも4本の支持軸と、
該各支持軸の軸線を中心にして回動可能に該各支持軸に支持されているローラと、
上記本体から延設されているハンドルと、
を備え
上記ハンドルは、実質的に剛体からなることを特徴とする美容器にある。
【発明の効果】
【0007】
上記美容器において、本体にはハンドルが設けられている。これにより、ハンドルが把持されて使用されることにより、顔のように様々な方向に湾曲する部分に対して、各ローラを当該部分の肌に沿わせて移動させる際に、ハンドルを把持している手の向きを過度に大きく変えたり、手首を過度に大きく捻ったりする必要がない。その結果、本体を直接把持する場合に比べて使い勝手が良くなり、顔のように様々な方向に湾曲する部分に対して各ローラを肌に対して適正な角度を維持したまま移動させやすくなるため、十分なマッサージ効果が得られる。
【0008】
以上のごとく、本発明によれば、顔のように様々な方向に湾曲する部分をマッサージするのに適した美容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における、美容器の正面図。
図2】実施例1における、美容器の右側面図。
図3】実施例1における、美容器の背面図。
図4図1における、IV-IV線位置断面図。
図5図2における、V-V線位置断面図。
図6図2における、VI-VI線位置断面図。
図7】実施例1における、美容器の使用状態を説明する上面図。
図8】実施例1における、美容器の使用状態を説明する下面図。
図9】実施例1における、美容器の使用状態を説明する側面図。
図10】実施例1における、美容器の使用状態を説明する正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記ハンドルは接続部を介して上記本体に接続されており、該接続部は括れていることとすることができる。この場合には、本体とハンドルとの間の接続部が括れているため、ハンドルを把持する際に、接続部の括れに指が沿うように誘導されることから、ハンドルを把持しやすい。そのため、顔のように様々な方向に湾曲する部分に対して使用する際に、ハンドルを把持している手の向きを変えても、ハンドルを十分に把持できるため、使用感が向上する。
【0011】
上記美容器において、「上記本体と上記ハンドルとの接続部が括れている」とは、接続部が本体側からハンドル側に向かって、細くなった後に太くなるように形成されていることをいう。換言すると、接続部は、本体側からハンドル側に向かう方向に垂直な断面において、その断面位置を本体側からハンドル側にずらしていくと、当該断面の外形の面積が、本体側からハンドル側に向かうにしたがって小さくなった後、さらにハンドル側に向かうち大きくなっていることをいう。
【0012】
上記ローラは、互いに隣接する第1の一対のローラと、互いに隣接する第2の一対のローラとを含んでいるとともに、上記第1の一対のローラと上記第2の一対のローラとが上記ハンドルが延設される方向に沿って並んでおり、上記接続部は、上記第1の一対のローラの配列方向から見て、上記支持軸が先広がり状に延びている側と反対側の面はなだらかに形成され、上記支持軸が先広がり状に延びている側の面は凹むように形成されて括れていることが好ましい。この場合は、ハンドルを把持する際に、各ローラが手のひら側に位置するように誘導されることとなるため、各ローラを肌に対して適正な角度を維持しやすくなる。これにより、使い勝手が向上する。
【0013】
上記ローラは、互いに隣接する第1の一対のローラと、互いに隣接する第2の一対のローラとを含んでおり、上記第1の一対のローラの配列方向から見て、上記各ローラに接する仮想平面に垂直な仮想垂線に対する上記第1の一対のローラの軸線の傾斜角度が、上記仮想垂線に対する上記第2の一対のローラの軸線の傾斜角度よりも小さいことが好ましい。この場合には、当該美容器を、上記第1の一対のローラ及び上記第2の一対のローラを肌面に当接させた状態で、第2の一対のローラから第1の一対のローラに向かう方向に往復動作させて使用した場合には、湾曲する部分の肌面に対しても、先行する一対のローラによって肌面を適度に押圧する効果が得られるとともに、後行する一対のローラによって、肌を適度に摘み上げる効果が得られる。
【0014】
さらに、当該美容器は以下のように使用することができる。まず、上記第2の一対のローラが肌面から離隔した状態で上記第1の一対のローラを肌面に当接させて、当該美容器を第2の一対のローラから第1の一対のローラに向かう方向に移動させつつ第2の一対のローラを肌面に当接させる(第1段階)。その後、第1の一対のローラ及び第2の一対のローラが肌面に当接した状態で、第2の一対のローラから上記第1の一対のローラに向かう方向に移動させる(第2段階)。さらに第2の一対のローラから第1の一対のローラに向かう方向に移動させつつ第1の一対のローラを肌面から離隔させる(第3段階)。
【0015】
当該美容器を、上述の如く使用すれば、まず、第1段階において、肌面に当接している第1の一対のローラによって肌面を適度に摘み上げる効果が得られる。さらに、第2段階において、先行する第1の一対のローラによる肌の摘み上げが維持されるとともに、後行する第2の一対のローラによって肌面を適度に摘み上げる効果が得られる。その後、第3段階において、第1の一対のローラによる肌の摘み上げが解除されるとともに、後行する第2の一対のローラによって引き続き肌を適度に摘み上げる効果が得られる。そして、第1の一対のローラの配列方向から見て、上記各ローラに接する仮想平面に垂直な仮想垂線に対する上記第1の一対のローラの軸線の傾斜角度が、上記仮想垂線に対する上記第2の一対のローラの軸線の傾斜角度よりも小さい場合には、第1の一対のローラによる肌の摘み上げ量よりも第2の一対のローラによる摘み上げ量が多くなることから、上記第1段階及び第2段階における第1の一対のローラによる摘み上げ効果が比較的弱く奏されるとともに、上記第2段階及び第3段階における第2の一対のローラによる摘み上げ効果が比較的強く奏されることとなる。これにより、肌の摘み上げ効果に強弱が付与されるため、マッサージ効果が一層向上する。また、強弱2種類の摘み上げ効果が奏されることによって、使用者に肌が摘み上げられていることをより強く認識させることができるため、使用感の向上が図られる。
【0016】
上記ハンドルは、上記第1の一対のローラから上記第2の一対のローラに向かう方向に向けて延びていることが好ましい。この場合には、ハンドルを把持して、美容器を第1の一対のローラから第2の一対のローラに向かう方向に往復動作させることが容易となる。その結果、第1の一対のローラ及び第2の一対のローラのうち、先行する一対のローラによる肌の押圧効果と、後行する一対のローラによる摘み上げ効果とを容易に発揮させることができ、美容器の操作性が向上する。
【0017】
上記本体は、上記支持軸が延びている側から見て上記接続部よりも幅広に形成されていることが好ましい。この場合には、本体の剛性を高めることができる。当該美容器は、本体から延設されたハンドルを把持した状態で、本体に先広がり状に設けられた各支持軸に取り付けられた各ローラを肌に当接させるため、使用時において本体には支持軸を介してローラを互いに離隔させる方向に負荷がかかるとともに延設されたハンドルとの接続部にも負荷がかかる。しかし、上述の如く本体の剛性が高められることから、これらの負荷に対して本体が撓んだりすることが抑制される。これにより、ローラを確実に肌面に当接させることができるため、湾曲する部分に使用する場合にも高いマッサージ効果が得られる。また、本体が耐久性に優れるため、様々な方向に湾曲する部分に使用するのに適した美容器となる。
【0018】
上記各支持軸は、上記本体及び上記ローラに覆われて露出していないことが好ましい。この場合には、使用時において、各支持軸に肌や髪等が触れることが防止されるため、使用者に対して余計な負荷をかけることを防止でき、使用感が向上する。
【0019】
上記ローラの直径は20〜40mmとすることができ、好ましくは25〜35mm、より好ましくは28〜32mmである。これにより、ローラが過度に大きくなることや過度に小さくなることが防止され、顔のように様々な方向に湾曲する部分に対して適度な肌の押圧効果と摘み上げ効果が奏される。また、ハンドルに対してローラが配設される本体が過度に大きくなることや過度に小さくなるが防止されて適度な大きさとなる。そのため、全体の重量バランスがよく、操作性に優れる。
【0020】
上記ハンドルが延びている側から見て、上記本体における上記支持軸が設けられる側の面である支持軸設置面は上記ハンドルよりも幅広に形成されているとともに、上記各支持軸は上記支持軸設置面上に所定間隔をおいて設けられており、上記ローラは上記支持軸設置面よりも上記各支持軸の延びる側に位置していることが好ましい。この場合には、本体の剛性を確保しつつ、隣り合うローラを所定間隔に配置することができる。そのため、ハンドルを把持してローラを顔のように様々な方向に湾曲する部分の肌面に押し当てても、隣り合うローラを所定間隔に保った状態とすることができる。これにより、湾曲する部分に対して適度な肌の押圧効果と摘み上げ効果を一層効果的に奏することができるため、様々な方向に湾曲する部分に使用するのに適した美容器となる。
【0021】
上記ハンドルは、実質的に剛体からなることが好ましい。この場合には、ハンドルが撓みにくくなるため、ハンドルに付与した力を各ローラへ忠実に伝達できる。そのため、ハンドルへ付与する力加減を変化させることにより、マッサージする部位に適した強さで押圧及び摘み上げを容易に行うことができ、高いマッサージ効果が得られる。なお、「実質的に剛体」とは、当該美容器の通常の使用状態においてハンドルに付与される力によって、ほとんど撓まない程度の剛性を有するものをいう。
【0022】
上記支持軸は、上記本体に回動可能に支持されており、上記ローラは、上記支持軸と一体的に回動可能なように上記支持軸に支持されていることとすることができる。この場合には、本体に支持軸を回動可能にするための構造を設ければよく、ローラ内部に、ローラを回動可能にするための構造を設ける必要がなくなることから、ローラの設計自由度が向上する。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
本例の実施例に係る美容器につき、図1図10を用いて説明する。
図1に示すように、本例の美容器1は、本体10と、4本の支持軸40a〜40dと、ローラ20と、ハンドル11とを備える。
支持軸40a〜40dは、本体10に支持されているとともに、本体10から先広がり状に延びている。
ローラ20として、第1ローラ20a、第2ローラ20b、第3ローラ20c及び第4ローラ20dの4個が備えられ、各支持軸40a〜40dの軸線La〜Ldを中心にして回動可能に該各支持軸40a〜40dに支持されている。
ハンドル11は、本体10から延設されている。
そして、本体10とハンドル11との接続部12が括れている。
【0024】
以下、本例の美容器1について、詳述する。
本体10は、ABS樹脂製であって、クロムメッキが施されている。図4に示すように、本体10は、本体基部10a、上側本体カバー10b及び下側本体カバー10cを備える。本体基部10aにはシャフトホルダ17がねじ止めされている。本体基部10aは上側本体カバー10bにねじ止めされている。図5図6に示すように、本体基部10aと上側本体カバー10bとの間には、本体基部10aと上側本体カバー10bとの当接部には樹脂製のガスケット10dが介設されている。ガスケット10dにより、本体基部10aと上側本体カバー10bとの間がシールされている。本体10の内部には後述の太陽電池パネル30が備えられている。そして、本体10の中央には後述の窓部13が設けられている。
【0025】
さらに、図4に示すように、本体基部10aの上側本体カバー10bと反対側には、下側本体カバー10cが設けられている。下側本体カバー10cには図示しない係合爪が形成されており、当該係合爪が、本体基部10aに形成された図示しない係合溝に嵌合することにより、下側本体カバー10cが本体基部10aに固定されている。
なお、本体10の長手方向をYとし、本体基部10a、上側本体カバー部10b及び下側本体カバー10cの重ね合わせ方向(厚さ方向)をZとし、長手方向Yと厚さ方向Zに垂直な方向(幅方向)をXとする。
【0026】
図1に示すように、本体10は長手方向Yの第1方向(Y1方向)側から反対側の第2方向(Y2方向)側に延びる平面視楕円状を成している。図3に示すように、本体10は、支持軸40a〜40dが延びている側から見て後述の接続部12の幅W4よりも幅広に形成されている。すなわち、本体10の幅方向Xの長さW0が接続部12の幅W4よりも大きい。W0は、30〜70mmとすることができ、本例では46mmである。W4は、15〜30mmとすることができ、本例では20mmである。
【0027】
図3に示すように、本体10における下側本体カバー10c側(厚さ方向Zの第1方向Z1側)の面は、支持軸40a〜40dが所定間隔をおいて設けられる支持軸設置面10eとなっている。そして、本体10は、図2に示すように、支持軸40a〜40dが延びる側に凸状に湾曲して突出している。そして、図3に示すように、支持軸40a〜40dが延びている側から見て4個のローラ20a〜20bの中心位置と重なる位置Oにおいて、図2に示すように、本体10は支持軸40a〜40dが延びている側に最も突出している。
【0028】
図1に示すように、ハンドル11は、本体10からY2方向に向けて延設されている。本体10とハンドル11とは一体的に形成されている。本例では、ハンドル11は、実質的に剛体からなる。「実質的に剛体」とは、美容器1の通常の使用状態においてハンドルに付与される力によって、ほとんど撓まない程度の剛性を有することをいうものであって、本例では、ハンドル11の形成材料は、実質的に剛体とするために、本体10と同様にABS樹脂からなる。なお、ハンドル11の形成材料は、実質的に剛体とするために、ABS樹脂の他、強化プラスチック、木材、石材、セラミック材、ステンレス等多種多様の材料を採用することもできる。ハンドル11は平面視において略棒状であって、図2に示すように、ハンドル11の中央部11cにおいて下側本体カバー10c側(厚さ方向Zの第1方向Z1側)に膨出している。そして、第1端部11aとその反対側の第2端部11bに向かって縮径している。そして、第1端部11aにおいて、本体10につながっており、接続部12が形成されている。これにより、ハンドル11は本体10に対して、下側本体カバー10c側(厚さ方向Zの第1方向Z1側)に若干傾斜している。
【0029】
図2に示すように、側方から見てハンドル11の最も太い部分の厚さK1は25〜45mmとすることができ、本例では30mmである。また、ハンドル11の最も細い部分(第1端部11a)の厚さK2は15〜30mmとすることができ、本例では20mmである。また、本体10において、側方から見て最も太い部分の厚さK3は25〜45mmとすることができ、本例では30mmである。そして、接続部12は、後述する第1の一対のローラ(第1ローラ20aと第2ローラ20b)の配列方向(幅方向X、図3参照)から見て、上記支持軸40a〜40bが先広がり状に延びている側と反対側(Z2側)の面12aはなだらかに形成され、支持軸40a〜40bが先広がり状に延びている側(Z1側)の面12bは凹むように形成されて括れている。すなわち、接続部12は括れるように形成されている。そして、本例では、接続部12は、支持軸40a〜40dが延びている側から反対側(Z2方向)に向かって凹むように括れている。
【0030】
図4図6に示すように、本体基部10a及び下側カバー10cには、4個の支持筒16a〜16dが一体形成されている。支持筒16a〜16dには、支持軸40a、40b、40c、40dが挿通されている。図3に示すように、支持軸40a〜40dはそれぞれ、略円柱状を成しており、その軸方向の略中央部には径方向外側に突出して形成された鍔部41a〜41dが設けられている。支持軸40a〜40dはいずれも、真鍮製であって、クロムメッキが施されており、導電性を有している。支持軸40a〜40dは、本体10の本体基部10aから厚さ方向Zの第1方向Z1側に先広がり状に延びている。すなわち、図3に示すように、下側本体カバー10c側(厚さ方向Zの第1方向Z1側)から見て互いに離隔するように放射状に延びている。図5図6に示すように、支持軸40a〜40dは、本体10及びローラ20に覆われて露出していない。なお、支持軸40a〜40dはいずれも、真鍮製に限らず、ステンレス製とすることもできる。
【0031】
図5図6に示すように、支持軸40a〜40dにおける本体10側の第1端部42a、42b、42c、42dにはネジ溝が形成されており、フランジナット31が取り付けられている。フランジナット31の外径は本体基部10aの支持筒16a〜16dの内径よりも大きいため、フランジナット31が取り付けられることにより、支持軸40a〜40dの支持筒16a〜16dに対する抜け止めがなされている。なお、フランジナット31の内部にはリング状のナイロン樹脂部材が設けられており、フランジナット31の緩みの発生が抑制されている。
【0032】
そして、支持軸40a〜40dの第1端部42a、42b、42c、42dは、本体10の内部に配設されているシャフトホルダ17に接続されている。シャフトホルダ17はABS樹脂製である。シャフトホルダ17には、後述の太陽電池パネル30に電気的に接続されているリード線(図示しない)が設けられており、当該リード線により支持軸40a〜40dと太陽電池パネル30とが電気的に接続されている。なお、リード線を用いることに替えて、ABS樹脂製のシャフトホルダ17に金属をメッキすることによって導電性を付与するとともに、当該シャフトホルダ17を介して支持軸40a〜40dと太陽電池パネル30とが電気的に接続されるようにしてもよい。
【0033】
支持軸40a〜40dにおける本体10とは反対側の第2端部43a〜43dには、円筒状の軸受部材19が嵌合されている。軸受部材19は筒状の合成樹脂製ベアリングであって、内外周にクロムメッキが施されている。支持軸40a〜40dの第2端部43a〜43dは軸受部材19から突出しており、Cリング25が嵌め込まれている。これにより、支持軸40a〜40dが軸受部材19から抜けることが防止されている。また、軸受部材19の外周には、弾性変形可能な一対の係止爪19aが突設されている。なお、軸受部材19にクロムメッキを施すことに替えて、軸受部材19を導電性材料により形成してもよい。
【0034】
軸受部材19には、ローラ20a〜20dが挿通されて回動可能に支持されている。ローラ20a〜20dの形状は球状に形成されている。なお、本明細書において「球状」とは、厳密な球形に限らず、厳密には球形ではなくとも、球形を扁平させた楕円球形や、球形を所定方向に引き伸ばした形状などの略球形と認識できるものを含む広い概念であるものとする。また、ローラの表面に微細な溝や突起が形成されている場合であっても、ローラ全体として略球形であるものも本明細書において「球状」に含むものとする。本例では、ローラ20a〜20dの形状は球形を本体10側に若干引き伸ばした形状を成している。また、ローラ20a〜20dは中空であって、本体10に対向する部分が開口している。ローラ20a〜20dは、ABS樹脂製のローラコア26と、該ローラコア26の先端内周に嵌着されたPC樹脂製のキャップ27と、ローラコア26の外周に被覆成形された合成樹脂よりなるローラ被覆部28とを有する。
【0035】
ローラ被覆部28には、導電部としてのプラチナメッキが施され、軸受部材19のクロムメッキと電気的に接続されている。ローラコア26の内周には軸受部材19の係止爪19aに係合可能な段差部26aが形成されている。そして、ローラ20a〜20dが軸受部材19に挿通された状態で、係止爪19aが段差部26aに係合され、ローラ20a〜20dが軸受部材19に対して保持されている。これにより、ローラ20a〜20dは軸受部材19を介して、支持軸40a〜40dのそれぞれの軸線La、Lb、Lc、Ldを中心にしてそれぞれ回動可能に取り付けられている。また、図3に示すように、各ローラ20a〜20dの外周面21a〜21dには、多数の三角形の平面が連続的に形成されたいわゆるダイヤカットが施されている。
【0036】
図5図6に示すように、下側本体カバー10cとローラ20a〜20dとの間にはそれぞれ、絶縁カラー15が設けられている。絶縁カラー15は、絶縁性を有する樹脂製の環状部材である。絶縁カラー15は支持軸40a〜40dに挿通されており、支持軸40a〜40dの中央に形成された鍔部41a〜41dに当接しているとともに、下側本体カバー10cにも当接している。これにより、下側本体カバー10cの4個の支持筒16a〜16dと支持軸40a〜40dとの間がシールされている。さらに、支持軸40a〜40dのがたつきの発生が防止されている。さらに、下側本体カバー10cの外表面とローラ20a〜20dの外周面21a〜21dとの導電部間の電気絶縁性が確保されている。
【0037】
図3に示すように、本例では、4個のローラ20a〜20dはそれぞれの中心が仮想矩形Tの頂点位置に位置するように配設されている。当該仮想矩形Tは長手方向Yに長い矩形状を成している。したがって、4個のローラ20a〜20dのうち、第1の一対のローラ(第1ローラ20aと第2ローラ20b)の配列方向と、第2の一対のローラ(第3ローラ20cと第4ローラ20d)の配列方向とは平行となっている。そして、4個のローラ20a〜20dのうち、第1の一対のローラ(第1ローラ20aと第2ローラ20b)の配列方向は幅方向Xと一致しており、第2の一対のローラ(第3ローラ20cと第4ローラ20d)の配列方向も幅方向Xと一致している。そして、第1の一対のローラと第2の一対のローラとは、ハンドル11が延設される方向(Y2方向)に沿って並んでいる。
【0038】
図1に示すように、第1ローラ20a及び第2ローラ20bの軸線La、Lbは長手方向Yの第1方向Y1側に傾斜している。図2に示すように、幅方向Xから見たときの第2ローラ20bの軸線Lbと、4個のローラ20a〜20dに接する仮想平面Sに垂直な仮想垂線Rとのなす角(すなわち、側方投影角)α1は0〜40°とすることができ、本例では15°である。第1ローラ20aの軸線Laと仮想垂線Rとのなす角(側方投影角)についてもα1と同様に設定されている。
【0039】
一方、第3ローラ20c及び第4ローラ20dの軸線Lc、Ldは長手方向Yの第2方向Y2側に傾斜している。図2に示すように、幅方向Xから見たときの第3ローラ20cの軸線Lcと仮想平面Sの仮想垂線Rとのなす角(すなわち、側方投影角)α2は20〜65°とすることができ、本例では30°である。第4ローラ20dの軸線Ldと仮想垂線Rとのなす角(側方投影角)についてもα2と同様に設定されている。
【0040】
すなわち、第1の一対のローラ(第1ローラ20aと第2ローラ20b)の配列方向(幅方向X)から見て、仮想垂線Rに対する第1の一対のローラの軸線La、Lbの傾斜角度α1は、仮想垂線Rに対する第2の一対のローラの軸線Lc、Ldの傾斜角度α2よりも小さい。
【0041】
そして、図1に示すように、第1の一対のローラ(第1ローラ20aと第2ローラ20b)を支持している一対の支持軸40a、40bは第1の一対のローラの配列方向(幅方向X)に広がるように延びている。すなわち、支持軸40aと支持軸40bの幅方向X(第1の一対のローラの配列方向)における間隔は、先端(本体10と反対側の端部)に向かうにつれて広がっている。同様に、第2の一対のローラ(第3ローラ20cと第4ローラ20d)を支持している一対の支持軸40c、40dは第2の一対のローラの配列方向(幅方向X)に広がるように延びている。すなわち、支持軸40cと支持軸40dの幅方向X(第2の一対のローラの配列方向)における間隔は、先端(本体10と反対側の端部)に向かうにつれて広がっている。
【0042】
図5に示すように、第1ローラ20aの軸線Laと第2ローラ20bの軸線Lbとのなす角β1は60〜80°とすることができ、好ましくは65〜75°とすることができ、本例では70°である。なお、軸線Laと軸線Lbとのなす角β1は、軸線La、Lbを含む平面の法線方向から見たときの両者のなす角をいうものとする。
【0043】
一方、図6に示すように、第3ローラ20cの軸線Lcと第4ローラ20dの軸線Ldとのなす角β2は60〜80°とすることができ、好ましくは65〜75°とすることができ、本例では70°である。なお、軸線Lcと軸線Ldとのなす角β2は、軸線Lc、Ldを含む平面の法線方向から見たときの両者のなす角をいうものとする。
【0044】
図3に示すように、4個のローラ20a〜20dの直径Dはいずれも20〜40mmとすることができ、好ましくは25〜35mmとすることができ、本例では30mmである。そして、第1ローラ20aの外周面21aと第2ローラ20bの外周面21bとの間の距離W1は8〜12mmとすることができ、好ましくは8.5〜10mmとすることができ、本例では9mmである。なお、第3ローラ20cの外周面21cと第4ローラ20dの外周面21dとの間の距離もW1と同一である。
【0045】
また、第2ローラ20bの外周面21bと第3ローラ20cの外周面21cとの間の距離W2は、12mm〜20mmとすることができ、好ましくは14〜18mmとすることができ、本例では15mmである。なお、第1ローラ20aの外周面21aと第4ローラ20dの外周面21dとの間の距離もW2と同一である。
【0046】
また、図8に示すように、ハンドル11が延びている側から見て、支持軸設置面10eは、ハンドル11よりも幅広に形成されている。すなわち、支持軸設置面10eの幅(すなわち、本体10の幅方向Xの長さW0)は、ハンドル11の幅W5よりも大きくなっている。そして、図2図4に示すように、ローラ20は支持軸設置面10eよりも各支持軸40a〜40dの延びる側に位置している。
【0047】
図1に示すように、本体10の正面側中央部には、窓部13が形成されている。窓部13にはレンズ14がはめ込まれている。そして、レンズ14の裏面側(本体10の内部側)には太陽電池パネル30が配設されている。太陽電池パネル30は、レンズ14を介して受光可能となっている。
【0048】
太陽電池パネル30は、図示しない端子等を介して、導電性のプラチナメッキが施された4個のローラ20a〜20d及び導電性のクロムメッキが施された本体10に電気的に接続されている。これにより、美容器1の使用時にローラ20a〜20dの外周面21a〜21dが肌に接触することにより、ローラ20と本体10とが人体を介して電気的に接続されることとなる。そして、太陽電池パネル30が窓部13のレンズ14を介して受光して発電することにより、ローラ20a〜20dの外周面21a〜21dと肌との間に微弱電流が流れる。その結果、肌への刺激が増し、マッサージ効果が一層高まる。
【0049】
次に、美容器1の使用態様を説明する。
まず、この美容器1を、使用者がハンドル11を把持した状態で、4個のローラ20a〜20dの各外周面21a〜21dを顔のように様々な方向に湾曲する部分の肌面50(図2参照)に押し当てて接触させながら美容器1を長手方向Yの第1方向Y1(矢印Pの方向)へ移動させる。これにより、図3に示すように、第1ローラ20aは矢印Paの方向に回転させられ、第2ローラ20bは矢印Pbの方向に回転させられる。そして、第1ローラ20a及び第2ローラ20bにより肌面50(図2参照)が押圧される。さらに、図8に示すように、第3ローラ20cは矢印Pcの方向に回転させられ、第4ローラ20dは矢印Pdの方向に回転させられる。これによって、第3ローラ20c及び第4ローラ20dとの間に位置する肌面50が、第3ローラ20c及び第4ローラ20dによって両者の回転に伴って巻き上げられるようにして摘み上げられる。
【0050】
そして、元に戻すように美容器1を図2図3の長手方向Yの第2方向Y2(矢印Qの方向)へ移動させると、第1ローラ20aは矢印Qaの方向に回転させられ、第2ローラ20bは矢印Qbの方向に回転させられる。これにより、図7に示すように、第1ローラ20a及び第2ローラ20b間に位置する肌面50が、第1ローラ20a及び第2ローラ20dによって両者の回転に伴って巻き上げられるようにして摘み上げられる。さらに、図3に示すように、第3ローラ20cは矢印Qcの方向に回転させられ、第4ローラ20dは矢印Qdの方向に回転させられ、第3ローラ20c及び第4ローラ20dにより肌面50(図2参照)が押圧される。
【0051】
さらに、図2に示すように、使用者がハンドル11を把持した状態で、4個のローラ20a〜20dの各外周面21a〜21dを顔のように様々な方向に湾曲する部分の肌面50に押し当てて接触させながら美容器1を幅方向Xの第1方向X1(U方向)へ移動させる。これにより、図3に示すように、第1ローラ20aは矢印Paの方向に回転させられ、第4ローラ20cは矢印Qdの方向に回転させられることにより、肌面50が押圧される。さらに、第2ローラ20bは矢印Pbの方向に回転させられ、第3ローラ20cは矢印Qcの方向に回転させられる。これによって、図示しないが、第2ローラ20bと第3ローラ20cとの間に位置する肌面50が第2ローラ20b及び第3ローラ20cによって両者の回転に伴って巻き上げられるようにして摘み上げられる。
【0052】
そして、元に戻すように美容器1を幅方向Xの第2方向X2(V方向)へ移動させると、第1ローラ20aは矢印Qaの方向に回転させられ、第4ローラ20cは矢印Pdの方向に回転させられることにより、肌面50が押圧される。さらに、第2ローラ20bは矢印Qbの方向に回転させられ、第3ローラ20cは矢印Pcの方向に回転させられる。これによって、図示しないが、第1ローラ20aと第4ローラ20dとの間に位置する肌面50が第1ローラ20a及び第4ローラ20dによって両者の回転に伴って巻き上げられるようにして摘み上げられる。
【0053】
さらに、美容器1は以下のように使用することができる。まず、図9(a)に示すように、第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)が肌面から離隔した状態で第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)を肌面に当接させて、当該美容器1を第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)から第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)に向かう方向(移動方向P)に移動させつつ、図9(b)に示すように、第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)を肌面に当接させる(第1段階)。その後、第1ローラ20a、第2ローラ20b、第3ローラ20c及び第4ローラ20dが肌面50に当接した状態で、移動方向Pに移動させる(第2段階)。さらに移動方向Pに移動させつつ、図9(c)に示すように、第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)を肌面50から離隔させる(第3段階)。
【0054】
本例の美容器1を、上述の如く使用すれば、まず、第1段階において、肌面50に当接している第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)によって肌面50を適度に摘み上げる効果が得られる。さらに、第2段階において、先行する第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)による肌の摘み上げが維持されるとともに、後行する第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)によって肌面50を適度に摘み上げる効果が得られる。その後、第3段階において、第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)による肌の摘み上げが解除されるとともに、後行する第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)によって引き続き肌面50を適度に摘み上げる効果が得られる。
【0055】
そして、本例では、第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)の配列方向から見て、図2に示すように各ローラが肌面50に接した状態における、なす角α1がなす角α2よりも小さいため、第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)による肌の摘み上げ量よりも第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)による摘み上げ量が多くなることから、上記第1段階及び第2段階における第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)による摘み上げ効果が比較的弱く奏されるとともに、上記第2段階及び第3段階における第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)による摘み上げ効果が比較的強く奏されることとなる。これにより、肌の摘み上げ効果に強弱が付与されるため、マッサージ効果が一層向上する。また、強弱2種類の摘み上げ効果が奏されることによって、使用者に肌が摘み上げられていることをより強く認識させることができるため、使用感の向上が図られる。
【0056】
さらに、美容器1は以下のように使用することができる。まず、図10(a)に示すように、第2ローラ20b及び第3ローラ20cが肌面50から離隔した状態で第1ローラ20a及び第4ローラ20dを肌面50に当接させて、美容器1を第2ローラ20bから第1ローラ20aに向かう方向(移動方向U)に移動させつつ、図10(b)に示すように、第2ローラ20b及び第3ローラ20cを肌面50に当接させる(第4段階)。その後、第1ローラ20a、第2ローラ20b、第3ローラ20c及び第4ローラ20dが肌面50に当接した状態で、移動方向Uに移動させる(第5段階)。さらに移動方向Uに移動させつつ、図10(c)に示すように、第1ローラ20a及び第4ローラ20dを肌面50から離隔させる(第6段階)。
【0057】
この使用態様によれば、上記第4段階において、先行する第1ローラ20aと第4ローラ20dとによって肌面50を適度に摘み上げる効果が得られる。その後、第5段階において、先行する第1ローラ20aと第4ローラ20dとによる肌面50の摘み上げが維持されつつ後行する第2ローラ20b及び第3ローラ20cによって肌面50を適度に摘み上げる効果が得られる。そして、第6段階において、第1ローラ20a及び第4ローラ20dによる肌面50の摘み上げが解除されて、後行する第2ローラ20b及び第3ローラ20cによって引き続き肌面50を適度に摘み上げる効果が得られる。
【0058】
次に、本例の美容器1の作用効果を説明する。
本例の美容器1では、本体10にはハンドル11が設けられている。これにより、ハンドル11が把持されて使用されることにより、顔のように様々な方向に湾曲する部分に対して、各ローラを当該部分の肌に沿わせて移動させる際に、ハンドル11を把持している手の向きを過度に大きく変えたり、手首を過度に大きく捻ったりする必要がない。その結果、本体10を直接把持する場合に比べて使い勝手が良くなり、顔のように様々な方向に湾曲する部分に対して各ローラ20を肌に対して適正な角度を維持したまま移動させやすくなるため、十分なマッサージ効果が得られる。
【0059】
さらに、本例では、本体10とハンドル11との接続部12が括れているため、ハンドル11を把持する際に、接続部12の括れに指が沿うように誘導されるため、ハンドル11を把持しやすい。そのため、顔のように様々な方向に湾曲する部分に対して使用する際に、ハンドル11を把持している手の向きを変えても、ハンドル11を十分に把持できるため、使用感が向上する。
【0060】
また、本例では、接続部12は、図2に示すように、第1の一対のローラ(第1ローラ20aと第2ローラ20b)の配列方向(幅方向X、図3参照)から見て、支持軸40a〜40bが先広がり状に延びている側と反対側(Z2側)の面12aはなだらかに形成され、支持軸40a〜40bが先広がり状に延びている側(Z1側)の面12bは凹むように形成されて括れている。すなわち、支持軸40a〜40bが延びている側から反対側(Z2方向)に向かって凹むように括れている。これにより、ハンドル11を把持する際に、各ローラ20が手のひら側に位置するように誘導されることとなるため、各ローラ20を肌に対して適正な角度を維持しやすくなる。これにより、使い勝手が向上する。
【0061】
本例の美容器1によれば、第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)の配列方向(幅方向X)から見て、仮想垂線Rに対する第1の一対のローラの軸線La、Lbの傾斜角度α1が、仮想垂線Rに対する第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)の軸線Lc、Ldの傾斜角度α2よりも小さい。これにより、湾曲する部分の肌面50に対しても、後行する一対のローラにより肌を適度に摘み上げる効果が得られる。さらに、第1ローラ20a及び第2ローラ20bによる肌の摘み上げ量よりも、第3ローラ20c及び第4ローラ20dによる肌の摘み上げ量が多いこととなる。これにより、肌の摘み上げ効果に強弱が付与されるため、マッサージ効果が一層向上する。また、強弱2種類の摘み上げ効果が奏されることによって、使用者に肌が摘み上げられていることをより強く認識させることができるため、使用感の向上が図られる。
【0062】
また、本例では、軸線La(Lb)と仮想垂線Rとのなす角(側方投影角)α1、軸線Lc(Ld)と仮想垂線Rとのなす角(側方投影角)α2、軸線Laと軸線Lbとのなす角β1、軸線Lcと軸線Ldとのなす角β2のそれぞれが上述のごとく設定されている。これにより、顔のように様々な方向に湾曲する部分に対して、4個のローラ20a〜20dのうち、後行する一対のローラによる肌の摘み上げ効果及び先行する一対のローラにより押圧効果が強すぎたり弱すぎたりせずに適度に発揮されることとなっている。そのため、美容器1によって、これらの部分に対して効果的にマッサージ効果が奏されることとなる。
【0063】
また、本例では、4個のローラ20a〜20dはいずれも球状に構成されているとともに、各ローラ20a〜20dの軸線La〜Ldは互いに傾斜している。これにより、各ローラ20a〜20dを肌に押し当てなくとも、各ローラ20a〜20dが肌面50に接触されている状態で往復動作されることにより、互いに隣接するローラ20a〜20dとの間で後行する一対のローラによる肌の摘み上げ効果が効果的に奏される。
【0064】
なお、4個のローラ20a〜20dの形状は、楕円球形、これらの形状を組み合わせた形状を採用してもよい。また、各ローラ20a〜20dの外周面21a〜21dに、種々の形状による凹凸や突起を設けてもよい。また、外周面21a〜21dは平滑面の他、梨地状の面としてもよい。各ローラ20a〜20dはそれぞれ単一の部材から構成されていてもよいし、2以上の部材を組み合わせて構成されていてもよい。
【0065】
また、本例では、ハンドル11は、本体10に、第1の一対のローラ(第1ローラ20a及び第2ローラ20b)から第2の一対のローラ(第3ローラ20c及び第4ローラ20d)に向かう方向に向けて本体10から延びている。これにより、ハンドル11を把持して、美容器1を第1の一対のローラから第2の一対のローラに向かう方向Yに往復動作させることが容易となる。その結果、第1の一対のローラ及び第2の一対のローラのうち、先行する一対のローラによる肌の押圧効果及び後行する一対のローラによる摘み上げ効果を容易に発揮させることができ、美容器1の操作性が向上する。
【0066】
また、4本の支持軸40a〜40dは先広がり状に延びているため、美容器1を一方向へ移動することによって先行する一対のローラによる肌の押圧と肌の後行する一対のローラによる摘み上げの両方が行われるとともに、美容器1を一方向のみならず、複数方向(本例では、PQ方向とUV方向)に往復運動させることによっても、マッサージ効果が奏される。これにより、顔のように様々な方向に湾曲する部分に使用する際の操作性が向上する。
【0067】
また、ハンドル11は本体10から支持軸40a〜40dと異なる方向に延びているため、ハンドル11を把持する際に手とローラ20a〜20dとの干渉が抑制されて、ハンドル11を把持しやすくなる。その結果、ローラ20a〜20dを顔のように様々な方向に湾曲する部分に沿わせて美容器1を移動させることが容易となり、操作性が向上する。
【0068】
本例では、ハンドル11は第1の一対のローラから第2の一対のローラに向かう方向に向けて直線状に延びることとしたが、これに限らず、ハンドル11は第1の一対のローラから第2の一対のローラに向かう方向に向けて延びるとともに厚さ方向Z又は幅方向Xに湾曲していてもよい。また、本例では、ハンドル11は本体10の長手方向Yの端部から延設されていることとしたが、これに限らず、例えば、ハンドル11は本体10の略中央から延設されていてもよい。また、本体10とは別部材によって構成したハンドル11を本体10から延設されるように取り付けてもよい。また、ハンドル11は1個に限らず、複数のハンドルが備えられていてもよい。なお、複数のハンドルが備えられている場合には、複数のハンドルは互いに異なる方向に延設されていることとしてもよい。
【0069】
また、ハンドル11は平面視において略棒状であって、その中央部11cが膨出しているとともに、接続部12が括れるようにして本体10につながっている。これにより、ハンドル11が把持されやすくなるとともに、ハンドル11を把持している手が本体10に設けられたローラ20a〜20dに干渉することが防止されて、操作性が一層向上する。また、本体10は図2に示すように側方から見て、ハンドル11と本体10との接続部12が括れており、ハンドル11は本体10に対して、本体基部10a側に若干傾斜している。これにより、ハンドル11を把持した状態で、ローラ20a〜20dを顔のように様々な方向に湾曲する部分の肌面50に接触させやすくなるため、操作性に優れる。
【0070】
さらに、本体10は、支持軸40a〜40dが延びている側から見て接続部12よりも幅広に形成されている。これにより、本体10の剛性を高めることができることから、使用時にローラ20やハンドル11から本体10に対して生じる負荷によって本体が撓んだりすることが抑制される。これにより、ローラ20を確実に肌面50に当接させることができるため、湾曲する部分をマッサージする場合にも高いマッサージ効果が得られる。また、これにより、本体10が耐久性に優れるため、様々な方向に湾曲する部分に使用するのに適した美容器1となる。
【0071】
さらに、支持軸40a〜40dは、本体10及びローラ20に覆われて露出していない。これにより、使用時において、支持軸40a〜40dに肌や髪等が触れることが防止されるため、使用者に対して余計な負荷をかけることを防止でき、使用感が向上する。
【0072】
また、本例では、4個のローラ20a〜20dの径D、外周面21a、21b間(21c、21d間)の距離W1、外周面21b、21c間(21a、21d間)の距離W2が上述のごとく設定されている。これにより、顔のように様々な方向に湾曲する部分に使用する場合において、4個のローラ20a〜20dが接触させることができる領域が広すぎたり、狭すぎたりせず、適切な大きさになるため、当該美容器1はかかる部分に使用されるのに適している。また、ローラ20a〜20dが適度な大きさとなっているため、全体の重量バランスがよく、操作性に優れる。
【0073】
本例では、図8に示すように、ハンドル11が延びている側から見て、本体10における支持軸40a〜40dが設けられる側の面である支持軸設置面10eはハンドル11よりも幅広に形成されているとともに、各支持軸40a〜40dは支持軸設置面10e上に所定間隔をおいて設けられており、各ローラ20は支持軸設置面10eよりも各支持軸40a〜40dの延びる側に位置している。これにより、本体10の剛性を確保しつつ、隣り合うローラ20を所定間隔に配置することができる。そのため、ハンドル11を把持してローラ20を顔のように様々な方向に湾曲する部分の肌面に押し当てても、隣り合うローラ20を所定間隔に保った状態とすることができる。これにより、湾曲する部分に対して適度な肌の押圧効果と摘み上げ効果を一層効果的に奏することができるため、様々な方向に湾曲する部分に使用するのに適した美容器1となる。
【0074】
本例では、ハンドル11は、実質的に剛体からなる。これにより、ハンドル11が撓みにくくなるため、ハンドル11に付与した力を各ローラ20へ忠実に伝達できる。そのため、ハンドル11へ付与する力加減を変化させることにより、マッサージする部位に適した強さで押圧及び摘み上げを容易に行うことができ、高いマッサージ効果が得られる。
【0075】
本例では、4本の支持軸40a〜40dが備えられているが、少なくとも4本の支持軸が備えられていればよく、5本以上の支持軸が備えられていてもよい。5本以上の支持軸が備えられている場合においても、本例の場合と同等の作用効果を奏することができる。
【0076】
本例では、4本の支持軸40a〜40dはいずれも、第1端部42a〜42dにおいて本体10に固定され、第2端部43a〜43dにおいてローラ20a〜20dを回動可能に支持している。これに替えて、4本の支持軸40a〜40dの一部又は全部は、第2端部43a〜43dにローラ20a〜20dが固定され、第1端部42a〜42dにおいて本体10に回動可能に取り付けられることにより、当該支持軸40a〜40dがローラ20a〜20dと一体的に回動可能なように、ローラ20a〜20dを支持することとしてもよい。この場合には、本体10に支持軸40a〜40dを回動可能にするベアリング等を設ければよく、ローラ20a〜20d内部に、ローラ20a〜20dを回動可能にするためのる必要がなくなることから、ローラ20a〜20dの設計自由度が向上する。なお、この場合にも本例の場合と同等の作用効果を奏することができる。
【0077】
以上のごとく、本例によれば、顔のように様々な方向に湾曲する部分をマッサージするのに適した美容器1を提供することができる。
【0078】
(実験例)
次に、軸線La(Lb)と仮想垂線Rとのなす角(側方投影角)α1、軸線Lc(Ld)と仮想垂線Rとのなす角(側方投影角)α2の大きさを変更した場合に得られる使用感について、評価を行った。
試験方法は、側方投影角α1を0〜70°まで5°間隔で変更し、側方投影角α2を0〜80°まで5°間隔で変更した美容器1を被験者の顔の頬に対して使用した。なお、被験者は日本人成人男性1名とした。
評価は、使用感を4段階(とても良い:◎、良い:○、あまり良くない:△、悪い:×)で表した。評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1に示すように、側方投影角α1については、15°が最も良く、0〜40°で好ましいことが示された。また、側方投影角α2については、30°が最も良く、20〜65°で好ましいことが示された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10