(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6480946
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】直接接触型衝撃波変換器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/225 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
A61B17/225
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-551170(P2016-551170)
(86)(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公表番号】特表2017-505672(P2017-505672A)
(43)【公表日】2017年2月23日
(86)【国際出願番号】IB2015051155
(87)【国際公開番号】WO2015121845
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】14/181,747
(32)【優先日】2014年2月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596174411
【氏名又は名称】モシェ・エイン−ガル
【氏名又は名称原語表記】Moshe Ein−Gal
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】モシェ・エイン−ガル
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/012724(WO,A1)
【文献】
特表平05−509240(JP,A)
【文献】
特開平01−181858(JP,A)
【文献】
特開2001−170068(JP,A)
【文献】
米国特許第04526168(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/225
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織(18)に圧力パルスを印加するために前記組織(18)の表面に付着可能なシステム(10)であって、
衝撃波発生部(14)、および、患者の組織(18)に直接接触するように配置された固体の変換器接合面(16)を含む衝撃波変換器(12)であって、前記衝撃波発生部(14)が、圧力波のパルスを発生させるように動作可能な電気−衝撃波エネルギー変換器を含み、前記変換器接合面(16)が、前記圧力波のパルスにより生成される衝撃波を前記衝撃波発生部(14)から前記組織(18)へ伝達するように構成された電気的に安全で生物適合性のある材料を含む、衝撃波変換器(12)と、
前記衝撃波発生部(14)において磁界を誘導するように動作可能な磁石(30)と、
前記衝撃波発生部(14)に電流パルスを送達するように動作可能なパルサー(22)であって、前記衝撃波発生部(14)が前記磁界および前記電流パルスに応答して衝撃波を発生させる、パルサー(22)と
を特徴とし、
前記変換器接合面(16)が、前記組織(18)の音響インピーダンス以上かつ前記衝撃波発生部(14)の音響インピーダンス以下の音響インピーダンスを有する、
システム(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記変換器接合面(16)の前記音響インピーダンスが、前記組織(18)および前記衝撃波発生部(14)の音響インピーダンスの幾何平均の20%の範囲内である、システム(10)。
【請求項3】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記衝撃波発生部(14)が、導電性材料で作成された膜(14)を含む、システム(10)。
【請求項4】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記衝撃波発生部(14)が、導電性コイルを備えた膜(14)を含む、システム(10)。
【請求項5】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記変換器接合面(16)の厚さが10mmを超えない、システム(10)。
【請求項6】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記磁石(30)が、前記衝撃波発生部(14)の外側表面と平行に前記磁界を誘導するように動作可能である、システム(10)。
【請求項7】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記電流パルスが、前記衝撃波発生部(14)の外側表面と平行にかつ前記磁界と非平行に配向される、システム(10)。
【請求項8】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記衝撃波発生部(14)が、少なくとも部分的に凹状、平面状、または凸状である、システム(10)。
【請求項9】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記パルサー(22)が、誘導により前記電流パルスを送達するように動作可能である、システム(10)。
【請求項10】
請求項1に記載のシステム(10)において、光エネルギー、超音波エネルギー、RFエネルギー、磁気エネルギー、マイクロ波エネルギー、および機械的エネルギーのうちの少なくとも1つである追加的なエネルギーを送達するように動作可能な少なくとも1つの追加的なエネルギー変換器(28)をさらに備え、前記追加的なエネルギーの送達が、前記パルサー(22)によって送達される前記電流パルスと同期される、システム(10)。
【請求項11】
請求項1に記載のシステム(10)において、請求項1に記載の衝撃波変換器(12)のアレイを備え、前記パルサー(22)が、前記圧力波が共通の焦点領域に同時に到着するように、制御されたトリガ時間において前記電流パルスを前記衝撃波変換器(12)に送達するように動作可能であり、ここで、
Tz=前記焦点領域におけるそれぞれの波の同時到着時刻であり、
Ti=ithの変換器に関連付けられた作動パルスの時刻であり、
Di=前記ithの変換器と前記焦点領域との間の距離であり、
Ci=前記ithの変換器に関連付けられた前記波の平均伝搬速度であり、
Tiが、Ti=Tz−Di/Ciによって与えられる、システム(10)。
【請求項12】
患者の組織(18)に圧力パルスを印加するために前記組織(18)の表面に付着可能なシステム(10)であって、
衝撃波変換器(12)のアレイを備え、各変換器が、衝撃波発生部(14)と患者の組織(18)に直接接触するように配置された固体の変換器接合面(16)とを含み、前記衝撃波発生部(14)が、圧力波のパルスを発生させるように動作可能な電気−衝撃波エネルギー変換器を含み、前記変換器接合面(16)が、前記圧力波のパルスにより生成される衝撃波を前記衝撃波発生部(14)から前記組織(18)へ伝達するように構成された電気的に安全で生体適合性のある材料を含み、
前記変換器接合面(16)が、前記組織(18)の音響インピーダンス以上かつ前記衝撃波発生部(14)の音響インピーダンス以下の音響インピーダンスを有し、
前記衝撃波発生部(14)が、圧電衝撃波変換器(12)を含み、前記変換器が、それぞれの衝撃波が共通の焦点領域に同時に到着するように制御され、ここで、
Tz=前記焦点領域におけるそれぞれの波の同時到着時刻であり、
Ti=ithの変換器に関連付けられた作動パルスの時刻であり、
Di=前記ithの変換器と前記焦点領域との間の距離であり、
Ci=前記ithの変換器に関連付けられた前記波の平均伝搬速度であり、
Tiが、Ti=Tz−Di/Ciによって与えられる、システム(10)。
【請求項13】
請求項11に記載のシステム(10)において、前記アレイがリングとして配置される、システム(10)。
【請求項14】
請求項12に記載のシステム(10)において、前記アレイがリングとして配置される、システム(10)。
【請求項15】
前記組織(18)に圧力パルスを印加するための方法であって、請求項1におけるような衝撃波変換器(12)を患者の前記組織(18)に付着させるステップであり、前記患者が人間以外の動物であるステップと、前記衝撃波発生部(14)を使用して、前記変換器接合面(16)を通って前記組織(18)に至る衝撃波を発生させるステップと、を含み、前記変換器接合面(16)が、前記組織(18)の音響インピーダンス以上かつ前記衝撃波発生部(14)の音響インピーダンス以下の音響インピーダンスを有する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記衝撃波変換器(12)のアレイを使用するステップと、それぞれの衝撃波が共通の焦点領域に同時に到着するように前記変換器を制御するステップとを含み、ここで、
Tz=前記焦点領域におけるそれぞれの波の同時到着時刻であり、
Ti=ithの変換器に関連付けられた作動パルスの時刻であり、
Di=前記ithの変換器と前記焦点領域との間の距離であり、
Ci=前記ithの変換器に関連付けられた前記波の平均伝搬速度であり、
Tiが、Ti=Tz−Di/Ciによって与えられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝搬液を使用することなしに衝撃波発生器(変換器)が患者の身体の一部と直接接触する、衝撃波発生および衝撃波処置のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
砕石術、病的な組織状態の処置等のような医療目的ための電磁衝撃波システムが、よく知られている。例えば、Rattnerへの米国特許第5233972号は、固定要素との電磁相互作用によって駆動される可動要素により衝撃波が生成される、電磁気的または電気力学的な衝撃波システムを説明している。衝撃波源は、コイル配列を有し、このコイル配列は、固定要素として機能し、また、衝撃波源の絶縁部材に取り付けられる。導電性材料の膜が、可動要素として用いられ、固定コイル配列の向かい側に配置される。コイル配列に高電圧パルスが与えられると、膜内に、コイル配列を流れる電流の方向とは反対の方向に電流が誘導される。コイル配列および膜でのそれぞれの電流の流れに起因して生じる正反対の磁界の結果として、膜は、膜をコイルから突然かつ急速に引き離す反発力を受ける。
【0003】
Ratnerは、圧力波の衝撃波への変換について、このように説明している:「それにより、圧力パルスが、膜に隣接して配置された音響伝搬媒体に導入される。この圧力パルスは、伝搬媒体の非線形の圧縮特性の結果として、伝搬媒体を通過するその経路の間に増大して衝撃波を形成する」。
【0004】
非線形効果は、ピーク圧力の高まりとともに増大する。したがって、衝撃波形成は、波のピーク圧力に反比例する形成距離にわたって生じる。形成距離は、波を集束させること、およびピーク圧力を高めることによって短縮される。例えば、腎臓結石の破砕は、一般に集束波によって行われ、衝撃波形成は、水中で始まって(水等価の)組織で完了する。典型的な衝撃波形成距離(反発する膜から焦点域まで)は、10〜30cmの範囲内である。
【0005】
「衝撃波」という用語に関して、Rattnerはこのように述べている:「話を簡単にするために、伝搬媒体中の波は、本明細書においては常に衝撃波と見なされ、また、この用語は、圧力パルスの形態をした初期衝撃波を含む」。
【0006】
従来技術の電磁衝撃波変換器(発生器)の別の例が、Buchholtzらへの米国特許第5230328号に見られる。圧力パルスが、「キロボルト範囲、例えば20kVの振幅を持つ高電圧パルスをコイルに与える高電圧パルス発生器に接続された端子を有する渦巻コイル配列を使用して膜を駆動させることによって生成される。そのような高電圧は、例えば、キャパシタ放電によって発生され得る。渦巻コイル配列にそのような高電圧パルスが与えられると、渦巻コイル配列は、極めて迅速に磁界を生成する。それと同時に、膜、または少なくとも膜の導電性領域において、コイルを流れる電流とは反対の方向に向けられた電流が誘導される。したがって、膜の電流は反対向きの磁界を作り出し、それにより、膜は渦巻コイル配列から急速に引き離される。好ましくは水などの液体である音響伝搬媒体中に生じた圧力パルスは、圧力パルスが加えられるべき対象に適切な形で導入される。必要に応じて、例えば音響レンズにより、圧力パルスが対象に到達する前に圧力パルスの集束が行われてもよい」。
【0007】
Hasslerへの米国特許第5374236号もまた、音響結合のための液体媒体で満たされる柔軟な結合枕を使用して患者の身体表面に印加される圧力パルスを発生させるための電磁コイルシステムを説明している。「結合枕の柔軟性の結果として、圧力パルスの焦点が処置すべき領域内に位置するように、結合枕と身体表面との接触を維持しながら、身体表面からの圧力パルス源の間隔を設定することができる」。
【0008】
衝撃波はまた、圧電素子の自己収束アレイによって生成および集束される。その例には、Kurtzeらへの米国特許第4721106号、およびJaggyらへの米国特許第5111805号が含まれる。この場合もやはり、波は、患者に到達する前に、液体音響伝搬媒体を通って伝搬する。
【0009】
電磁変換器のフェーズドアレイによる衝撃波の集束が、Joleszらへの米国特許第5131392号、およびGelbartらへの米国特許出願第20090275832号で説明されている。この場合もやはり、波は、患者に到達する前に、液体音響伝搬媒体を通って伝搬する。
【0010】
したがって、従来技術の電磁衝撃波変換器および圧電衝撃波変換器は、典型的には水である伝搬媒体中に圧力波を生じさせるように構成される。十分な伝搬距離が、衝撃波の集束および形成を可能にする。変換器および集束手段は、全体的に環状に対称であり、全体的に球状の収束波を作り出すように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以下でより詳細に説明されるように、砕石術、整形外科学、病的な組織状態の処置等のような、しかしそれに限定されない多くの医学的用途、特に軟組織への応用において使途を有する新規な圧力波処置のシステムおよび方法を提供することを図るものである。「衝撃波」という用語に対するRattnerの用語体系が採用され、「衝撃波」という用語は、本明細書において、長い立ち上がり時間を有する波を含めて、圧力波のパルスと互換可能に使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの非限定的な実施形態では、圧力波のパルスを生成し、成形し、少なくとも1つの変換器を患者の身体の一部分に直接接触させることによりその圧力波のパルスを患者に結合するためのデバイスおよび方法が提供され、したがって、伝搬液の使用が回避される。伝搬液を使用する代わりに、変換器は、伝搬媒体として固体の接合面を組み込む。そのようなごく接近した位置での変換器の患者への結合は、電気的に安全で生体適合性のある接点、ならびに患者および変換器のそれぞれの音響インピーダンスの機械的に効率的な整合を得て実施される。単一の変換器から発する波は、必ずしも集束されない。集束は、膜を杯状にすること、固体の接合面をレンズとして成形すること、または所望の焦点領域におけるそれぞれの変換器からの波の同時到着を確実とするように時限シーケンスに従って各変換器がそれぞれ作動されるフェーズドアレイとして複数の変換器を構成することなどの、様々な方法によって得られる。
【0013】
1つの実施形態では、変換器は、電磁変換器である。変換器の膜は、患者の身体の一部分に適合して付着されるように構成される。
膜における磁界と電流のパルスの相互作用が、膜を反発させて患者の内部に圧力波を伝達させる。
【0014】
別の実施形態によれば、膜は、用途に応じて成形され、かつ、発散波、平行波、または収束波を提供するように曲げられる。
別の実施形態は、フェーズドアレイとして患者の身体に付着される多数の電磁変換器または圧電変換器を説明する。電磁変換器は、膜を含むことができ、圧電変換器は、圧電性結晶を含むことができる。各変換器は、電流パルスまたは電圧パルスにより、それぞれ別々に作動される。
【0015】
別の実施形態は、同心のリングとして構成される複数の変換器を説明する。そのようなリングは、連続的なものであっても、別個の変換器で作成されたものであってもよい。変換器は、例えば電磁変換器または圧電変換器であってもよい。患者に面するリングの面は、平面状または円錐状であってもよい。集束は、焦点領域における波の同時到着を実現するように、処置される領域からの各変換器のそれぞれの距離に応じて各変換器を個別に作動させる(トリガする)ことによって得られる。
【0016】
本発明は、図面と併せ以下に詳細に説明することから、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に従って構成されて作動する、圧力波の発生または処置のためのシステムの簡略化された断面図である。
【
図2】本発明の別の実施形態に従って構成されて作動し、かつ、変換器のフェーズドアレイを使用する、圧力波の発生または処置のためのシステムの簡略化された断面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態に従って構成されて作動し、かつ、変換器のリング配列を使用する、圧力波の発生または処置のためのシステムの簡略化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明の非限定的な実施形態に従って構成されて動作可能な、衝撃波発生または衝撃波処置のためのシステム10を示す
図1を参照する。
システム10は、衝撃波発生部14と、患者の組織18に接触するように配置された固体の(非流体の)変換器接合面(結合接合面)16とを含む、衝撃波変換器12を備える。衝撃波変換器12の衝撃波発生部14は、限定されることなしに、衝撃波(音響圧力パルス)を発生させる電気−衝撃波エネルギー変換器(electrical−to−shockwave energy converter)(例えば、電気流体式、電磁式、または圧電式のもの)を含み得る。変換器接合面16は、患者および変換器のそれぞれの音響インピーダンスの機械的で効率的な整合を呈示する、電気的に安全で生体適合性のある材料で作成されることが好ましい。結合接合面16は、組織18の音響インピーダンス以上かつ衝撃波発生部14の音響インピーダンス以下の音響インピーダンスを有することが好ましく、それら2つの音響インピーダンスの幾何平均に近い(20%の範囲内の)音響インピーダンスを有することが最も好ましい。
【0019】
材料の音響インピーダンス(Z)は、その密度(ρ)と音響速度(V)との積として定義され、すなわち、Z=ρ*Vである。
音響インピーダンス(Z)は、レール(kg/(sec・m
2)]で測定されるか、より好都合にはメガレール(MRayls)で測定される。典型的な生物学的材料のZ値は、MRaylsで測定した場合、以下の通りである(2010年4月9日にオンラインで公開され、http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/9780470561478.appl/pdfで見られる、「Basics of Biomedical Ultrasound for Engineers」からの引用):
水 1.48
血液 1.66
脂肪 1.38
肝臓 1.69
腎臓 1.65
脳 1.60
心臓 1.64
筋肉(繊維に沿った) 1.68
筋肉(繊維を横切った) 1.69
皮膚 1.99
眼球(水晶体) 1.72
眼球(硝子体液) 1.54
骨の軸上(縦波) 7.75
骨の軸上(横波) 5.32
歯(象牙質) 7.92
歯(エナメル質) 15.95
一部のアルミニウム合金は、17のZ値を有し、銅合金は、約44のZ値を有する(これらの値は、http://www.ondacorp.com/images/Solids.pdfから引用された)。結合接合面16に使用可能な材料は、限定されることなしに、ガラスの類(10〜14MRaylsの範囲内のZ値)、ECCOSORBの類(Emerson&Cumingから入手可能;5〜12MRaylsの範囲内のZ値)、チタン(約27のZ値)、プラスチックおよび炭化ホウ素(約26のZ値)を含む。
【0020】
結合接合面は、結合接合面において適切な波動伝搬を提供するようにそれぞれの音響インピーダンスをそれぞれの層が取り入れている、複数の縦列の層を包含することができる。患者に接触する層は、患者の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを取り入れ、それにより、患者との接触面における波の反射と、関連する患者の皮膚への損傷とを最小限に抑える。
【0021】
本発明の1つの非限定的な実施形態では、衝撃波発生部14は、導電性材料(例えば、銅またはアルミニウムの合金)で作成された膜であるか、または、導電性コイルを含む膜である。変換器接合面16は、膜の外側表面に取り付けられた結合接合面の薄い層である。変換器12の表面は、組織18の表面からの膜14の距離が数ミリメートル(例えば2〜20mm)を超えないように、組織18の表面に付着可能である。
【0022】
衝撃波発生部(膜)14は、膜14の外側表面と平行に膜14内に磁界を誘導する磁石20と連絡するように構成される。衝撃波発生部(膜)14はまた、パルサー(電気パルス発生器)22と連絡するように構成される。パルサー22は、電流のパルスを送達する。電流の向きは、衝撃波発生部(膜)14の外側表面に平行であり、かつ、一般に膜14内の磁界に非平行である。衝撃波発生部(膜)14は、膜14での磁界と電流パルスとの間の相互作用に応答して反発して結合接合面16に圧力パルスを送達するように構成される。
【0023】
膜14は平坦であってもよいが、本発明はこの形状に限定されるものではなく、一般に、膜14は、少なくとも部分的に凹状、平面状、または凸状であってもよい。
磁石20は、少なくとも1つの電磁石誘導コイル24を含む電磁石であってもよい。1つの実施形態では、パルサー22は、少なくとも1つのパルサー誘導コイル26からの誘導により、膜14に電流パルスを送達する。別の実施形態では、1つまたは複数の共通の誘導コイル(24または26)が存在し、パルサー22は、この共通の誘導コイルからの誘導により、膜14に電流パルスを送達する。誘導コイル(24もしくは26、または共通の誘導コイル)は、1つまたは複数のプリント回路基板の1つまたは複数の層内のコイルであってもよい。
【0024】
本発明の1つの非限定的な実施形態では、システム10は、衝撃波変換器12と、例えば光エネルギー、超音波エネルギー、RFエネルギー、磁気エネルギー、マイクロ波エネルギーの発生器、および/または機械的エネルギー発生器(例えば、ばね、または振動マス)であるがこれらに限定されない、エネルギーを送達するための1つまたは複数の他の変換器28とを組み合わせる。追加的なエネルギーの送達は、変換器(圧電変換器の場合は制御装置)と連絡しているパルサー22または制御装置(シーケンサ)23(
図2)によって送達される電流パルスと同期される。組織への衝撃波の送達を画像化するために、撮像装置30が設けられてもよい。
【0025】
次に
図2を参照する。
図1の実施形態では、単一の変換器12から発する衝撃波は、必ずしも集束されない。
図2の実施形態では、フェーズドアレイとして構成された複数の変換器12により、集束が得られる。各変換器12は、所望の焦点領域におけるそれぞれの変換器からの波の同時到着を確実とするように、時限シーケンスに従ってそれぞれ作動される。言い換えれば、パルサー12は、制御されたトリガ時間において衝撃波変換器12に電流パルスを送達する。
【0026】
次に
図3を参照する。この実施形態では、複数の変換器12が、連続的なリングであるかまたは別個の変換器から作成された同心のリングとして配置される。変換器は、例えば、電磁変換器または圧電変換器であってもよい。患者に面するリングの面は、平面状または円錐状であってもよい。
【0027】
図2または3のフェーズドアレイのための集束は、焦点領域における波の同時到着を実現するように、処置される領域からのそれぞれの変換器の距離に従って変換器を個別に作動させる(トリガする)ことによって得ることができる。
【0028】
以下のパラメータが定義される:
T
z=焦点領域におけるそれぞれの波の同時到着時刻であり、
T
i=i
thの変換器に関連付けられた作動パルスの時刻であり、
D
i=i
thの変換器と焦点領域との間の距離であり、
C
i=i
thの変換器に関連付けられた波の平均伝搬速度である。
【0029】
それゆえT
iは、
T
i=T
z−D
i/C
iによって与えられる。
瞬間的な伝搬速度は、波が伝搬する組織に応じて伝搬中に変動し得る。距離D
i、および(平均伝搬速度C
iを計算するための)関連する組織は、例えば、患者の3D画像化から、または変換器と処置される領域との間の距離を音響的に測定することにより、特定可能である。
【0030】
図3はまた、固体の結合接合面を杯状にするかもしくは曲げることにより、または結合接合面をレンズ(例えば、凹面または凸面)のように成形することにより集束を得ることができることを示す。
[形態1]
患者の組織(18)に圧力パルスを印加するために前記組織(18)の表面に付着可能なシステム(10)であって、
衝撃波発生部(14)、および、患者の組織(18)に直接接触するように配置された固体の変換器接合面(16)を含む衝撃波変換器(12)であって、前記衝撃波発生部(14)が、圧力波のパルスを発生させるように動作可能な電気−衝撃波エネルギー変換器を含み、前記変換器接合面(16)が、前記衝撃波を前記衝撃波発生部(14)から前記組織(18)へ伝達するように構成された電気的に安全で生物適合性のある材料を含む、衝撃波変換器(12)と、
前記衝撃波発生部(14)において磁界を誘導するように動作可能な磁石(30)と、
前記衝撃波発生部(14)に電流パルスを送達するように動作可能なパルサー(22)であって、前記衝撃波発生部(14)が前記磁界および前記電流パルスに応答して衝撃波を発生させる、パルサー(22)と
を特徴とする、システム(10)。
[形態2]
形態1に記載のシステム(10)において、前記変換器接合面(16)が、前記組織(18)の音響インピーダンス以上かつ前記衝撃波発生部(14)の音響インピーダンス以下の音響インピーダンスを有する、システム(10)。
[形態3]
形態1に記載のシステム(10)において、前記変換器接合面(16)の前記音響インピーダンスが、前記組織(18)および前記衝撃波発生部(14)の音響インピーダンスの幾何平均の20%の範囲内である、システム(10)。
[形態4]
形態1に記載のシステム(10)において、前記衝撃波発生部(14)が、導電性材料で作成された膜(14)を含む、システム(10)。
[形態5]
形態1に記載のシステム(10)において、前記衝撃波発生部(14)が、導電性コイルを備えた膜(14)を含む、システム(10)。
[形態6]
形態1に記載のシステム(10)において、前記変換器接合面(16)の厚さが10mmを超えない、システム(10)。
[形態7]
形態1に記載のシステム(10)において、前記磁石(30)が、前記衝撃波発生部(14)の外側表面と平行に前記磁界を誘導するように動作可能である、システム(10)。
[形態8]
形態1に記載のシステム(10)において、前記電流パルスが、前記衝撃波発生部(14)の外側表面と平行にかつ前記磁界と非平行に配向される、システム(10)。
[形態9]
形態1に記載のシステム(10)において、前記衝撃波発生部(14)が、少なくとも部分的に凹状、平面状、または凸状である、システム(10)。
[形態10]
形態1に記載のシステム(10)において、前記パルサー(22)が、誘導により前記電流パルスを送達するように動作可能である、システム(10)。
[形態11]
形態1に記載のシステム(10)において、光エネルギー、超音波エネルギー、RFエネルギー、磁気エネルギー、マイクロ波エネルギー、および機械的エネルギーのうちの少なくとも1つである追加的なエネルギーを送達するように動作可能な少なくとも1つの追加的なエネルギー変換器(28)をさらに備え、前記追加的なエネルギーの送達が、前記パルサー(22)によって送達される前記電流パルスと同期される、システム(10)。
[形態12]
形態1に記載のシステム(10)において、形態1に記載の衝撃波変換器(12)のアレイを備え、前記パルサー(22)が、前記圧力波が共通の焦点領域に同時に到着するように、制御されたトリガ時間において前記電流パルスを前記衝撃波変換器(12)に送達するように動作可能であり、ここで、
T
z=前記焦点領域におけるそれぞれの波の同時到着時刻であり、
T
i=i
thの変換器に関連付けられた作動パルスの時刻であり、
D
i=前記i
thの変換器と前記焦点領域との間の距離であり、
C
i=前記i
thの変換器に関連付けられた前記波の平均伝搬速度であり、
Tiが、T
i=T
z−D
i/C
iによって与えられる、システム(10)。
[形態13]
患者の組織(18)に圧力パルスを印加するために前記組織(18)の表面に付着可能なシステム(10)であって、
衝撃波変換器(12)のアレイを備え、各変換器が、衝撃波発生部(14)と患者の組織(18)に直接接触するように配置された固体の変換器接合面(16)とを含み、前記衝撃波発生部(14)が、圧力波のパルスを発生させるように動作可能な電気−衝撃波エネルギー変換器を含み、前記変換器接合面(16)が、前記衝撃波を前記衝撃波発生部(14)から前記組織(18)へ伝達するように構成された電気的に安全で生体適合性のある材料を含み、
前記衝撃波発生部(14)が、圧電衝撃波変換器(12)を含み、前記変換器が、それぞれの衝撃波が共通の焦点領域に同時に到着するように制御され、ここで、
T
z=前記焦点領域におけるそれぞれの波の同時到着時刻であり、
T
i=i
thの変換器に関連付けられた作動パルスの時刻であり、
D
i=前記i
thの変換器と前記焦点領域との間の距離であり、
C
i=前記i
thの変換器に関連付けられた前記波の平均伝搬速度であり、
Tiが、T
i=T
z−D
i/C
iによって与えられる、システム(10)。
[形態14]
形態12に記載のシステム(10)において、前記アレイがリングとして配置される、システム(10)。
[形態15]
形態13に記載のシステム(10)において、前記アレイがリングとして配置される、システム(10)。
[形態16]
前記組織(18)に圧力パルスを印加するための方法であって、形態1におけるような衝撃波変換器(12)を患者の前記組織(18)に付着させるステップと、前記衝撃波発生部(14)を使用して、前記変換器接合面(16)を通って前記組織(18)に至る衝撃波を発生させるステップと、を含む方法。
[形態17]
形態16に記載の方法において、形態12に記載の衝撃波変換器(12)のアレイを使用するステップと、それぞれの衝撃波が共通の焦点領域に同時に到着するように前記変換器を制御するステップとを含み、ここで、
T
z=前記焦点領域におけるそれぞれの波の同時到着時刻であり、
T
i=i
thの変換器に関連付けられた作動パルスの時刻であり、
D
i=前記i
thの変換器と前記焦点領域との間の距離であり、
C
i=前記i
thの変換器に関連付けられた前記波の平均伝搬速度であり、
T
iが、T
i=T
z−D
i/C
iによって与えられる、方法。