(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6480948
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】熱撮像を使用したプロセス導管異常検知
(51)【国際特許分類】
G01N 25/72 20060101AFI20190304BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
G01N25/72 K
G05B23/02 302T
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-558794(P2016-558794)
(86)(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公表番号】特表2017-510803(P2017-510803A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】US2015011958
(87)【国際公開番号】WO2015147972
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】14/224,814
(32)【優先日】2014年3月25日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ルッド,ジェイソン・ハロルド
【審査官】
北川 創
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−015056(JP,A)
【文献】
特開2012−037519(JP,A)
【文献】
特開平11−189603(JP,A)
【文献】
特表2013−533570(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0220331(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/009715(WO,A1)
【文献】
特開昭62−179647(JP,A)
【文献】
特開2011−209033(JP,A)
【文献】
特開2011−185926(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0294478(US,A1)
【文献】
特表2006−522396(JP,A)
【文献】
特表2010−506259(JP,A)
【文献】
特開平05−107116(JP,A)
【文献】
特開昭56−138243(JP,A)
【文献】
特開平06−138003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00 − 25/72
G05B 23/02
G01J 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業プロセスのプロセス流体を伝達するプロセス導管の状態を検知する診断フィールドデバイスであって、
プロセス導管からの赤外線を受け、応答して複数のピクセル出力を提供するように構成された複数のピクセルを含んだ赤外線検知装置であり、複数のピクセルの第1のピクセルが、プロセス導管上の第1の場所から赤外線を受けるように構成され、複数のピクセルの第2のピクセルが、プロセス導管上の第2の場所から赤外線を受けるように構成され、第3のピクセルが、プロセス導管上の第3の場所から赤外線を受け、応答して出力を提供するように構成された赤外線検知装置と、
工業プロセスの通常作動の間の第1、第2及び第3のピクセルからの出力に関連づけられた熱プロファイル情報を包含するメモリと、
第1、第2及び第3のピクセルからの出力からメモリに包含される熱プロファイル情報を減算することによって、第1、第2及び第3のピクセルからの出力を正規化するように構成されたマイクロプロセッサであって、さらに第1、第2及び第3のピクセルからの正規化された出力間の非線状関係並びに熱プロファイル情報に基づいて、プロセス導管の状態に関連づけられたプロセス異常を識別するように構成されたマイクロプロセッサと、
識別されたプロセス異常を指示する診断出力を提供するように構成された出力電気回路と、
を含む診断フィールドデバイス。
【請求項2】
赤外線検知装置が、ピクセルのアレイを含む、請求項1に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項3】
第1の場所の画像が第1の複数のピクセルを使用して得られ、第2の場所の画像が第2の複数のピクセルを使用して得られる、請求項2に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項4】
異常検知が、第1の複数のピクセルからの出力の第1の平均及び第2の複数のピクセルからの出力の第2の平均に基づく、請求項3に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項5】
導管上の第3の場所の画像を得るように配列された第3の複数のピクセルを含み、異常検知が更に、第3の複数のピクセルからの出力の平均の関数である、請求項4に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項6】
第1、第2、及び第3の複数のピクセルが、導管の画像スライスを得るように配列される、請求項5に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項7】
診断出力が、導管の切迫した故障に関連した情報を含む、請求項1に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項8】
診断出力が、プロセス導管がメンテナンスを必要とすることを指示する情報を含む、請求項1に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項9】
プロセス異常が、第1及び第2のピクセルからの出力間の相対変化レートに基づいて検知される、請求項1に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項10】
診断出力が、プロセス流体の流速の変化が生じたことを指示する情報を含む、請求項9に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項11】
診断出力が、導管内の材料の蓄積が生じたことを指示する情報を含む、請求項9に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項12】
導管がプロセス配管を含む、請求項9に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項13】
診断出力が、プロセス制御ループ上に提供される、請求項9に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項14】
出力電気回路が、受けた赤外線に基づいて導管の温度を指示する出力を更に提供する、請求項1に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項15】
出力電気回路が、プロセス制御ループ上に出力を提供する、請求項1に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項16】
プロセス制御ループが、無線プロセス制御ループを含む、請求項15に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項17】
固定場所に診断フィールドデバイスを取り付けるために取り付け部を含む、請求項1に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項18】
継続的にプロセス導管を監視するように構成される、請求項1に記載の診断フィールドデバイス。
【請求項19】
診断フィールドデバイスを使用して産業プロセスのプロセス流体を伝達するプロセス導管の状態を検知する方法であって、
プロセス導管からの赤外線を受け、応答して複数のピクセル出力を提供するように構成された複数のピクセルを有した赤外線検知装置で赤外線を受ける工程であり、複数のピクセルの第1のピクセルが、プロセス導管上の第1の場所から赤外線を受けるように構成され、複数のピクセルの第2のピクセルが、プロセス導管上の第2の場所から赤外線を受けるように構成され、第3のピクセルが、プロセス導管上の第3の場所から赤外線を受け、応答して出力を提供するように構成された工程と、
工業プロセスの通常作動の間の第1、第2及び第3のピクセルからの出力に関連づけられた熱プロファイル情報をメモリから検索する工程と、
第1、第2及び第3のピクセルからの出力から熱プロファイル情報を減算することによって、第1、第2及び第3のピクセルからの出力を正規化する工程と、
第1、第2及び第3のピクセルからの正規化された出力間の非線状関係並びに熱プロファイル情報に基づいて異常を識別する工程と、
プロセス異常を指示する診断出力を提供する工程と、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、プロセス制御の診断及び産業プロセスにおいて使用されるタイプの監視システムに関する。より詳細には、本発明は、産業プロセスにおける熱撮像に基づく診断に関する。
【0002】
背景
産業プロセスは、種々のプロセス流体の製造及び移動の際に使用される。このような設備では、配管は、収容器又は他の容器などの、種々の場所の間でプロセス流体を伝送するために使用される。配管、収容器、並びに他のタイプの容器が、プロセス導管の例である。
【0003】
プロセス流体を伝達する産業プロセス内で使用される種々の導管は、時間とともに劣化する傾向にある。この劣化の1つの原因は、過剰な温度に曝されることによる。このような過剰な温度は、赤外線表面温度測定値を得るために携帯型熱撮像カメラを携行した、産業プラントを実際に歩くオペレータによって識別され得るプロセスの温度勾配となる。オペレータは、温度が所定の範囲外にあるかを決定するために、画像情報を手動で解読しなければならない。これは、時間がかかり、プロセス内の限界点の継続的な監視を提供しない。
【0004】
概要
プロセス導管の状態を検知する診断フィールドデバイスは、プロセス導管からの赤外線を受け、応答して複数のピクセル出力を提供するように構成された複数のピクセルを含んだ赤外線検知装置を含む。複数のピクセルの第1のピクセルは、プロセス導管上の第1の場所から赤外線を受けるように構成される。複数のピクセルの第2のピクセルは、プロセス導管上の第2の場所から赤外線を受けるように構成される。メモリは、第1のピクセルからの出力を第1の場所の第1の温度に関連づけ、第2のピクセルからの出力を第2の場所の第2の温度に関連づける熱プロファイル情報を包含する。マイクロプロセッサは、第1及び第2のピクセルからの出力に基づいてプロセス異常を識別する。出力電気回路は、識別されたプロセス異常を指示する診断出力を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】診断フィールドデバイスを含む産業プロセスを示した簡略図である。
【
図2A】プロセス異常を示したプロセス導管の側方熱画像である。
【
図2B】
図2Aの熱画像における複数のスライスの温度プロファイルである。
【
図3】
図1のプロセスフィールドデバイスを示した簡略ブロック図である。
【
図4】
図3に示されるフィールドデバイスで使用される赤外線検知装置の一構成例を例示した簡略概略図である。
【
図5】プロセス異常を検知する例示的なステップを示した簡略ブロック図である。
【
図6】
図3に示されるフィールドデバイスで使用される赤外線検知装置の別の構成例を例示した簡略概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
背景のセクションにおいて述べられたように、プロセス導管の赤外線表面測定は、典型的に、オペレータが携帯型熱撮像デバイスを携行して産業プラントを実際に歩くことを必要とする。オペレータは、プロセスの限界点から手動でデータを収集するために熱撮像デバイスを使用する。これらの限界点が継続的に監視されない場合には、温度は、導管を製作するために使用された材料の限界を超え、プラントの早期シャットダウンにつながる故障の原因となることがあり得る。より詳細に下で説明されるように、産業プロセスの要素に物理的に結合する温度センサを利用することよりも熱撮像に基づいて、産業プロセスにおいて使用されるプロセス導管の異常を識別することができる診断デバイスが提供される。これは、プロセスの自動化された監視を可能にし、オペレータが実際にプロセスを検査することを必要としない。例示的な一実施形態では、赤外線アレイが、産業プロセスの熱画像を得るために使用される。診断電気回路は、熱画像を監視することによって診断を実行する。熱画像の変動は、故障している導管に相関し得る。
【0007】
図1は、本発明の一実施形態を例示するプロセス診断デバイス12を含む産業プロセス10を示した簡略図である。デバイス12は、独立型デバイスなどの任意のタイプのプロセスデバイス、又はプロセス変数トランスミッタ若しくは制御装置であり得る。デバイス12は、二線式プロセス制御ループ18でプロセス制御室16などの別の場所に結合する。例えば、ループ18は、ループ18に接続されたデバイスに電力を供給するために同様に使用され得る4〜20mAの電流ループを含むことができる。データは、無線通信技術を含む任意の適切なプロトコル、例えば、4mAと20mAとの間を変化するアナログ電流レベル、デジタル情報が4〜20mAの電流に変調されるHART(登録商標)通信プロトコル、FieldBus又はProfibus通信プロトコル、などに従ってループ18で伝達され得る。無線通信技術の一例は、IEC 62591に従ったWireless HART(登録商標)通信プロトコルである。標準イーサネット(登録商標)、光ファイバ接続、又は他の通信チャンネルもまた、ループ18を実施するために使用され得る。制御室16は、より詳細に下で述べられる任意のディスプレイ19を備える。
【0008】
図1に例示されるように、プロセスデバイス12は、例えば導管32から、赤外線104を受けるように構成された赤外線検知装置100を含む。検知装置100は、赤外線熱撮像カメラを含むことができる。導管32は、タンクとして例示されるが、プロセス配管を含むプロセス流体を伝達する任意の容器を含むことができる。検知装置100は、赤外線センサアレイを含むことができる。より詳細に下で説明されるように、プロセスデバイス12は、赤外線104を監視することによって導管32内の異常を検知することが可能である。
【0009】
図2Aは、導管32の側面熱画像図であり、プロセス流体の流れを例示する。
図2Aはまた、導管32のプロセス導管外板温度42の異常40を例示する。異常40は、周囲エリアより高い温度を指示する図の暗い領域によって示される。この局所的加熱の領域は、任意の数の原因による。例えば、流れ中の熱物体が導管の壁の近くに位置する、導管の壁が薄層化し構造的完全性を失った、プロセス中の熱源が導管に影響を及ぼしているなど、である。異常40が上昇した温度の領域として例示されるが、プロセス異常はまた、局所的冷却を識別することによって検知されてもよい。検知された異常は、切迫した故障を指示するか、又は故障が既に発生していることを指示することができる。異常40は、導管32上のホット又はコールドスポットに対する監視をするために
図1に示される赤外線検知装置100を使用して検知され得る。
【0010】
異常検知は、任意の数の技術によるものであり得る。例えば、プロセス動態に起因した導管32の常温特性及び固有の温度変動が学習され得る。熱検知装置100が熱撮像デバイスである場合には、導管32の熱画像が、表面異常を識別するためにデータの相対的な動向を観察するようにピクセルレベルで監視され得る。ピクセルのグループが熱画像の他のピクセルに対して時間とともに段階的に変化する特性を有する場合に、異常が検知され得る。警報が、導管32の表面上のどこに異常40が観察されたかを指示する情報と共にオペレータに提供され得る。
【0011】
熱画像の評価は、多数の手法で実行され得る。例えば、画像の個々のスライスが監視され得る。「スライス」は、複数のピクセルからなる熱画像の一部分の一例である。スライスは、導管32の表面の横断面に沿って取られたピクセルから構成される。
図2Aは、スライス44の一例を示す。各々のスライスの平均温度は、スライスを構成するピクセルに基づいて決定され得る。
図2Bは、導管32の長さに沿って取った熱画像対温度の個々のスライスのグラフである。この例では、導管32は、一般的に線状の常温プロファイルを有する。異常40は、このプロファイルの非線状領域として、
図2Bに現れる。プロファイルは、学習サイクルを使用することによって通常のプロセス作動の一部である任意の変動を考慮するために、正規化され得る。常温又は想定温度値が、このような変動を考慮するために、測定された温度プロファイルから減算され得る。
【0012】
図3は、本発明の一実施形態によるプロセスデバイス12の簡略ブロック図である。プロセスデバイス12は、独立型診断デバイスとして、又はプロセス変数トランスミッタ若しくは制御装置として構成され得る。デバイス12は、クロック28によって決定されたレートでメモリ26に保存された命令に従って作動するマイクロプロセッサ24を含む。通信電気回路(I/O)30が、プロセス制御ループ18上で通信するために使用される。いくつかの実施形態では、I/O電気回路30はまた、デバイス12に電力を提供する。
【0013】
図3は、処理電気回路102に結合された赤外線検知装置100を例示する。赤外線検知装置100は、赤外線104を受けて熱画像を出力するように構成される。処理電気回路102は、画像をマイクロプロセッサ24に提供する前に、検知された赤外線画像の任意の前処理を提供する。
図2はまた任意のプロセス変数インタフェースエレメント20及びインタフェース電気回路22を例示することに留意されたい。インタフェースエレメント20は、プロセス変数センサ又は制御装置であり得る。
【0014】
検知装置100は、
図1に示されるプロセス導管32から赤外線104を受けるように配列される。検知された赤外線は、プロセス導管32の熱又は赤外線画像を形成する。画像は、導管32の異なる領域に対応する複数のサブセクション又は部分によって形成される。赤外線検知装置100は、好ましくは、指向性で、より詳細に下で説明されるように、複数の個々の赤外線センサ(「ピクセル」)を含む。これらのセンサは、別個のエレメントであっても、又は単一のデバイスに製作されてもよい。赤外線検知装置100からの出力は、処理された出力をマイクロプロセッサ24に提供する
図3に例示された処理電気回路102に提供される。例えば、処理電気回路102としては、増幅電気回路、ノイズ低減電気回路、アナログデジタル変換器、比較電気回路、などを挙げることができる。処理電気回路102からの出力は、デジタル形式でマイクロプロセッサ24に提供される。
【0015】
例示的な一構成では、赤外線検知装置100は、
図4に例示されるように、少なくとも2つの個々の赤外線センサ120A及び120Bから形成される。
図4では、赤外線検知装置100は、赤外線センサ120A及び120Bによって形成された2つのピクセルだけを含む赤外線(又は熱)画像を形成するように構成される。これらの2つのピクセルの各々は、赤外線画像のサブセクション又は部分、及びプロセス導管32上の2つの場所106A、106Bから検知された赤外線に対応する。場所106A,Bは、導管32の部分又は「スライス」の例である。各々のピクセルは、上で述べられたように導管32の画像の部分又は「スライス」を視認することができる。
図4は、2つのピクセルだけで形成される画像の一例である。しかしながら、典型的な実施形態は、画像を形成するために大多数のピクセルを使用することができる。赤外線センサ120A及び120Bは、それぞれ任意の赤外線レンズ、フィルタ、又は他のエレメント130A、Bを通過する赤外線104A、Bを受けるように配列される。
図4に示される構成では、センサ120A及び120Bは、抵抗器122A及び122Bを通って電気接地に結合する赤外線感光性トランジスタ132A及び132Bを使用してそれぞれ形成される。しかしながら、本発明は、サーモパイル、フォトダイオード、又はその他を含む任意のタイプの熱センサを使用して実施されてもよい。トランジスタ132A及び132Bは、正電源電圧に結合され、トランジスタ132A,132Bを「オン」にするために十分な赤外線104A、Bを受けるとすぐに
図3に示される処理電気回路102に出力を提供する。
図4はトランジスタを使用して実施されるように赤外線センサを例示するが、任意の適切なタイプの赤外線検出技法が使用されてもよい。例としては、赤外線感光性ダイオード、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス、又はその他が挙げられる。
図4の実施形態では、2つの個々のセンサが示される。しかしながら、センサは、一次元又は二次元アレイ又はマトリックスで形成されてもよい。したがって、取り込まれる熱画像は、各々のセンサが画像内のサブセクション若しくは領域に対応するただ2つの個々の赤外線センサを使用して得られるか、又は大きなマトリックス若しくはアレイを形成するために多数の個々のセンサを使用して形成され得る。
【0016】
作動中、赤外線センサ120A及び120Bは、導管32上の異なる場所106A及び106Bから赤外線104A及び104Bを受けるように方向付けられる(目標を定められる)。場所106A、Bの具体的な形状及びサイズは、検知装置100とプロセス導管32との間のセンサ120A、B、レンズ130A、Bの特性、並びに間隔及び相対的な配向に左右される。センサ120A、Bからの出力は、処理電気回路102に提供される。例えば、処理電気回路102は、センサ120A、Bからの出力をデジタル化し、デジタル信号をマイクロプロセッサ24に提供することができる。
【0017】
図5は、例示的な一実施形態に従って
図3に示されるマイクロプロセッサ24によって実行されるステップを示した簡略ブロック
図150である。
図150に示されるステップは、メモリ26に保存されたプログラム命令で具現化され得る。プロセスは、ブロック152から開始される。ブロック154で、導管32の部分からの赤外線104が、検知装置100を使用して収集され、処理電気回路102によってデジタル化され、マイクロプロセッサ24に提供される。ブロック156で、受けた光線に関連する情報が、プロセスの通常作動の間のプロセス導管32のための熱プロファイル情報としてメモリ26に保存される。この情報は、導管32の一部分及びその平均常温を識別する形態であり得る。これは、プロセスの通常作動の間に光線104が発生した導管32の種々の部分106の温度特性設定又はプロファイルを得るために使用される。ブロック158で、学習プロセスが完了しなかった場合には、制御がブロック154に返される。ブロック154及び156は、通常のプロセス作動が観察され得る学習期間又はフェーズを提供する。学習期間は、所望によりブロック158で終了する。例えば、これは、一定の時間の後、指令を受けるとすぐに、又はいくつかの他の出来事に基づくことができる。学習期間の完了後、監視期間又はフェーズが、赤外線が検知装置100によって再び検出されるブロック160から始まる。ブロック162で、検出された光線が正規化される。学習期間の間にメモリ26に保存された情報が検索され、常温値が、監視されている導管32の場所ごとの現在温度から減算される。ブロック164で、正規化された温度情報が、線状プロファイルを提供するか又は
図2Bに例示されるような温度異常による非線状かを決定するために、分析される。このプロファイルは、典型的に、導管32に沿った隣接する場所に対する正規化された温度値に基づいて形成される。プロファイルが線状かを決定するために、導管32に沿った少なくとも3つの場所の温度が監視されなければならない。更に、温度プロファイルが直線からずれる絶対又は相対量を提供することによって、感度が調整され得る。プロファイルが線状である場合には、制御はブロック160に返され、監視期間が継続する。非線形が検知される場合には、制御はブロック166に移り、アラームが提供される。これは、例えば
図3に示されるI/O電気回路30を使用してプロセス制御ループ18上に、出力され、検知された異常の場所及び異常の強さに関連した情報を含むことができる。
【0018】
図6は、赤外線検知装置100の別の例示的態様の簡略ブロック図である。
図6の実施形態では、赤外線検知装置100は、赤外線センサ120−1〜120−Nのアレイによって形成される。このアレイは、例えば、一次元線状アレイであり得る。別の構成では、検知装置100は、例えば熱撮像システムにおいて見いだされるような、二次元アレイ又はマトリックスである。熱撮像システムの一例は、Optrix PI-160熱撮像カメラである。
図6は、それぞれの熱放射出力104A〜Dを有する4つの部分又はスライス106A、106B、106C、及び106Dを例示する。赤外線104A〜Dは、センサ100上の異なる場所に方向付けられ、それにより異なるセンサ120を活動させる。処理電気回路102は、センサ120の各々によって受けられた熱放射の強さに関連した情報を受ける。この情報は、アナログデジタル変換器を含む処理電気回路102を通ってマイクロプロセッサ24に提供される。この情報に基づいて、マイクロプロセッサ24は、上で述べられたようにプロセス異常の場所を識別することができる。
【0019】
赤外線検知装置100及び/又は処理電気回路102は、デバイス12から遠隔に配設され、データ接続で通信することができる。データ接続は、有線技術、例えばUSB接続、並びにWirelessHART(登録商標)、BlueTooth(登録商標)などを含む無線通信技術を含んだ任意の適切なタイプの接続であり得る。更に、赤外線検知装置100及び/又は処理電気回路102は、デバイス12のハウジングに固着されても、又はデバイス12のハウジングと一体的に形成されてもよい。一構成では、赤外線検知装置100の方向は、設置の間に、オペレータによって所望の場所に向くように調整され得る。別の例示的な実施形態では、パン及び/又はチルトアクチュエータが提供され、赤外線検知装置100を作動の間に移動させることができる。一構成では、携帯型デバイスなどが、設置の間に使用され、それにより赤外線検知装置100が確実に所望通りに向くように検知装置100からの熱出力が設置者によって観察され得る。
【0020】
本発明が好ましい実施形態を参照にして説明されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細において変更がなされ得ることを当業者は認識するであろう。プロセス異常は、上で述べられたように検知され得る。単純な比較及び閾値が使用されても、又は、例えばニューラルネットワーク若しくは他の論理を含む、より複雑な構成が実施されてもよい。追加的に、プロセス異常検知は、プロセス変数などのいくつかの追加的な入力に基づくことができる。検知は、更に、現在時刻、検出されたプロセス変数、プロセスの特定の状態、周囲温度などの関数であり得る。正規化された温度プロファイルの動向がまた、異常検知のために観察及び使用され得る。本明細書において説明される診断電気回路は、ハードウェア又はソフトウェアで実施され、アナログ及びデジタルの両方の態様を含む。例えば、処理電気回路102及びマイクロプロセッサ24の一方又は両方が、診断電気回路を実施することができる。別の例示的な実施形態では、熱画像情報は、診断電気回路がある別の場所に発信される。熱プロファイル情報はまた、製造の間にロードされるか又はデバイスのコミッショニングの間にロードされ得る。プロファイルは、上で述べられたように学習される必要はなく、多数の正規化されたプロファイルから選択されるか又はモデル化情報に基づくことができる。ホット又はコールド異常が検知される場合には、デバイス12は切迫した故障を予測するために使用され、これによりメンテナンスを所望の時刻に予定することができる。導管内の材料の過剰な蓄積により導管を清浄にしなければならないことを指示する出力が、提供され得る。導管の種々のエリアの他のエリアに対する温度変化のレートは、流速の変化又は材料の蓄積などの、プロセス動態の変化の指示を提供することができる。個々のスポットセンサが、上に説明されたアレイに加えて使用されてもよい。収集された熱情報は、より詳細な評価のために制御室などの別の場所に発信されてもよい。他の技術が、プロセス異常を検知するために使用されてもよい。本明細書において使用されるとき、用語「決定する」は、検知すること及び/又は診断することを含む。診断出力に加えて、受けた赤外線に基づいてプロセス導管の温度を表現する温度出力がまた、提供され得る。複数のピクセル出力間の非線状関係を識別するプロセスは、情報をメモリに保存することを含むことに留意されたい。この文脈において、非線状関係を識別するために使用される保存された情報は、「熱プロファイル情報」である。メモリに保存される熱プロファイル情報は、常温レベルに関連した情報であっても、プロセス作動の間に変化する動的な情報であっても、又はいくつかの他のタイプであってもよい。典型的に、プロセスデバイス12は、固定場所に取り付けられた据え置き型フィールドデバイスである。デバイスは、継続的にプロセス導管を監視するように構成され得る。