特許第6480972号(P6480972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6480972ポータブルQPCR及びQRT−PCR装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6480972
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】ポータブルQPCR及びQRT−PCR装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20190304BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   C12M1/34 B
   C12M1/00 A
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-64564(P2017-64564)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-176177(P2017-176177A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】62/315,660
(32)【優先日】2016年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/470,918
(32)【優先日】2017年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516067494
【氏名又は名称】クレド バイオメディカル ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】王・▲温▼斯頓・二世
(72)【発明者】
【氏名】高 章▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 盈達
(72)【発明者】
【氏名】陳 明發
(72)【発明者】
【氏名】陳 致融
【審査官】 吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00504435(EP,A1)
【文献】 国際公開第02/072267(WO,A1)
【文献】 特開2013−167641(JP,A)
【文献】 特開2016−025854(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0267127(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0216725(US,A1)
【文献】 Microelectronic Engineering,2002年,Vol.61-62,p.921-925
【文献】 Anal. Chem.,2004年,Vol.76,p.6254-6265
【文献】 Anal. Chem.,2004年,Vol.76,p.3707-3715
【文献】 Biotechnol. J.,2012年,Vol.7,p.662-666
【文献】 Biotechniques,2011年,Vol.50,p.52-57
【文献】 Modern Physics Letters B,2004年,Vol.18, No.16,p.775-784
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット核酸及び蛍光色素を含む混合試薬中において、変性、アニーリング及び伸長プロセスを含む、一方向対流qPCR又はqRT−PCRを実施するためのポータブル装置であって、
当該装置は、
一方向対流qPCR又はqRT−PCRを行うための、前記ターゲット核酸及び前記蛍光色素を有する前記混合試薬を収容するための非対称循環可能容器であって、少なくとも1つの開口と、閉ループ系と、前記混合試薬が1サイクルで非対称循環可能容器の異なるゾーンを通って流れることを可能にする端部から端部へ接続された経路とを含む非対称循環可能容器と、
熱を供給するための熱源及び前記熱源の状態を検出する温度センサを備えて、前記非対称循環可能容器の内部の温度を所望の反応温度及び流動場分布のために調整するように構成された温度制御ユニットであって、前記温度制御ユニットは前記非対称循環可能容器内の特定の領域に配置されて接触し、前記非対称循環可能容器の前記接触の領域の近傍の前記混合試薬が、前記非対称循環可能容器の内部の浮力と重力の差によって一方向循環を形成するために、まず加熱される、温度制御ユニットと、
qPCR又はqRT−PCRが開始されたときに、蛍光信号を放出させるために前記混合試薬中の前記蛍光色素を励起する光源であって、特定領域に配置された光源と、
前記蛍光信号を電子信号に変換する光検出器と、
前記非対称循環可能容器と前記光検出器との間に配置され、前記光検出器に前記蛍光信号を方向づけるための光学素子と、
前記光学素子と前記光検出器との間に配置された、前記光源の非所定の波長をフィルタリングして除去するためのフィルタと、
温度制御ユニット及び光検出器から検出された電気信号を受信及び分析するためのプロセッサであって、前記プロセッサ内にリアルタイムでPCR又はRT−PCRを定量化するためのプログラムされたアルゴリズムが組み込まれているプロセッサと、
を備え、
前記循環可能容器の前記接触の領域の温度が変性反応温度へ上昇すると、前記混合試薬の一方向循環が始まり、PCR又はRT−PCR反応が開始され、前記温度制御ユニットの前記温度センサは、前記光源を開始させ前記蛍光色素を励起して前記蛍光信号を放出させるために、温度状態を前記プロセッサに伝送し、前記蛍光信号は前記光学素子によってフィルタリングされ、前記光検出器によって検出されて前記電気信号に変換され、PCR又はRT−PCR生成物をリアルタイムで定量化するためのプログラムされたアルゴリズムによって分析される、
装置。
【請求項2】
前記非対称循環可能容器がU字形のループである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記非対称循環可能容器は、U字形ループであり、前記U字形ループは、左ゾーン、右ゾーン、連結ゾーン及び下部ゾーンを含み、前記連結ゾーンは、前記左ゾーンから前記右ゾーンに非対称の高さで接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記U字形ループの内径が0.6mm〜1.6mmであり、前記U字形ループに含まれる前記混合試薬の総体積が30〜150μlである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
循環速度が.7〜6mm/sである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記光学素子は、レンズ又は光ファイバーである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記光検出器は、光電子増倍管ゾーン、フォトダイオード、又は光検出器アレイである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記光検出器アレイは、CCD又はCMOSである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記光源は、LEDライト、レーザーダイオードライト、又はハロゲンライトである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ターゲット核酸及び蛍光色素を含む混合試薬内において、変性、アニーリング及び伸長プロセスを含む、一方向対流qPCR又はqRT−PCRを実施するためのポータブル装置であって、
当該装置は、
一方向対流qPCR又はqRT−PCRを実施するための、前記ターゲット核酸及び前記蛍光色素を含む前記混合試薬を収容するための循環可能容器であって、前記循環可能容器は、少なくとも1つの開口と、閉ループ系と、前記混合試薬が前記循環可能容器の異なるゾーンを1サイクルで流れることを可能にする、端から端まで接続された経路と、を備えた循環可能容器と、
各温度制御ユニットが熱を供給するための熱源及び熱源の状態を検出する温度センサを備えて、前記循環可能容器の内部の温度を所望の反応温度及び流動場分布のために調整するように構成された、複数の温度制御ユニットであって、前記複数の温度制御ユニットは、前記循環可能容器内の特定の領域に配置されて接触し、前記循環可能容器内において、相対的に高い温度領域に到達するように前記循環可能容器の下部に熱を供給する第1の温度制御ユニットが、下方の高さに配置され、相対的に低い温度領域に到達するように前記循環可能容器の上部に熱を供給する第2の温度制御ユニットが、上方の高さに配置され、前記第1の温度制御ユニットの近傍の前記混合試薬は、前記第2の温度制御ユニットの近傍の前記混合試薬よりも相対的に高い温度に到達することにより、前記循環可能容器内の浮力と重力の差によって、一方向対流を形成する複数の温度制御ユニットと、
qPCR又はqRT−PCRが開始されたときに、蛍光信号を放出させるために混合試薬中の蛍光色素を励起する光源であって、特定領域に配置された光源と、
前記蛍光信号を電子信号に変換する光検出器と、
前記循環可能容器と前記光検出器との間に配置され、前記光検出器に前記蛍光信号を方向づけるための光学素子と、
前記光学素子と前記光検出器との間に配置された、前記光源の非所定の波長をフィルタリングして除去するためのフィルタと、
温度制御ユニット及び光検出器から検出された電気信号を受信及び分析するためのプロセッサであって、前記プロセッサ内にリアルタイムでPCR又はRT−PCRを定量化するためのプログラムされたアルゴリズムが組み込まれている、プロセッサと、
を備え、
前記循環可能容器の前記接触の領域の温度が変性反応温度へ上昇すると、前記混合試薬の一方向循環が始まり、PCR又はRT−PCR反応が開始され、前記第1の温度制御ユニット及び前記第2の温度制御ユニットの両温度センサは、前記光源を開始させ前記蛍光色素を励起して前記蛍光信号を放出させるために、温度状態を前記プロセッサに伝送し、前記蛍光信号は前記光学素子によってフィルタリングされ、前記光検出器によって検出されて前記電気信号に変換され、PCR又はRT−PCR生成物をリアルタイムで定量化するためのプログラムされたアルゴリズムによって分析される、
装置。
【請求項11】
前記循環可能容器は、非対称循環可能容器又は対称循環可能容器である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記非対称循環可能容器は、U字形ループであり、前記U字形ループは、左ゾーン、右ゾーン、連結ゾーン及び下部ゾーンを含み、前記連結ゾーンは、前記左ゾーンから前記右ゾーンに非対称の高さで接続されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記対称循環可能容器は、U字形ループであり、前記U字形ループは、左ゾーン、右ゾーン、連結ゾーン及び下部ゾーンを含み、前記連結ゾーンは、前記左ゾーンから前記右ゾーンに対称の高さで接続されている、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記U字形ループの内径が0.6mm〜1.6mmであり、前記U字形ループに含まれる前記混合試薬の総体積が30〜150μlである、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
循環速度が.7〜6mm/sである、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項16】
前記光学素子は、レンズ又は光ファイバーである、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記光検出器は、光電子増倍管ゾーン、フォトダイオード、又は光検出器アレイである、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記光検出器アレイは、CCD又はCMOSである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記光源は、LEDライト、レーザーダイオードライト、又はハロゲンライトである、請求項10に記載の装置。
【請求項20】
前記循環可能容器は、前記熱源及び前記温度センサと接触する突出ゾーンを備え、前記突出ゾーンは前記循環可能容器の下部ゾーンの片側に設けられている、請求項10記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向対流循環による定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(以下、qPCR)及び定量的逆転写リアルタイムPCR(以下、qRT−PCR)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(以下、qPCR)及び定量的逆転写リアルタイムPCR(以下、qRT−PCR)は、試験中及び試験後の時間0におけるターゲットを定量化する必要性に基づいて開発された。反応後の生成物濃度を検出する従来のPCRと比較して、qPCR及びqRT−PCRはそれをリアルタイムで検出する。qPCR及びqRT−PCRは両方とも、反応中の生成物濃度を検出及び定量するために蛍光を使用するため、従来のPCRよりも、より時間効果的である。さらに、qPCR及びqRT−PCRの両方は、1つの試験ゾーン内で完全な反応及び検出を可能にする。したがって、qPCR及びqRT−PCRの利点は、リアルタイムで生成物を定量化し、PCR生産物がゲル電気泳動によって分析される場合のDNA汚染の可能性を最小化することである。
【0003】
様々なターゲットの迅速かつ効率的な増幅のために、多くの装置及び方法が開発された。これらの装置及び方法の開発原理は、依然として基本的なPCR法則に従っている。市販のPCRキット、方法及び関連装置では、試料は、ターゲットDNA、ターゲットDNAの特定領域に相補的な一対のオリゴヌクレオチドプライマー、熱安定性のDNAポリメラーゼ、及びデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を含む。ターゲットDNAは、試料の加熱温度を連続的に変化させる所定の温度サイクルを繰り返すことによって増幅される。温度サイクルは3つの異なる温度設定を含み、温度設定は以下のステップで設定される。
【0004】
第1のステップは、温度が約90〜95℃であるいわゆる「変性」である。二本鎖DNA(以下、dsDNA)を一本鎖DNA(以下、ssDNA)にするために、試料は比較的高温で加熱される。第2のステップは、いわゆる「アニーリング」であり、ここでは、温度を相対的に低い温度、すなわち約45〜65℃に低下させ、プライマーを一本鎖DNAに結合させてプライマー‐ssDNA複合体を形成させる。最後のステップは、いわゆる「伸長」であり、ここでは、温度が安定した温度、すなわち72°に加熱され又は維持され、プライマー−ssDNA複合体のプライマーをDNAポリメラーゼの作用によって伸長させ、ターゲットDNAの鋳形に相補的な新しいssDNAを生成し、新しいdsDNA生成物を生成する。理論的には、この3ステップを約20〜40回繰り返すことにより、ターゲットDNAは、何百万以上のコピー数で増幅することができる。
【0005】
qPCR又はqRT−PCRにおいて、dsDNA蛍光色素の添加は通常通りに行われる。次いで、反応をqPCR装置で行い、各サイクルの後、蛍光の強度が光検出器で測定される。PCR又はRT−PCR生成物をリアルタイムで定量するための2つの一般的な方法は、(1)任意のdsDNAとインターカレーションする非特異的蛍光色素、及び(2)プローブのその相補的配列とのハイブリダイゼーション後にのみ検出を可能にする蛍光レポーターで標識されたオリゴヌクレオチドからなる配列特異的DNAプローブプローブである。qPCR又はqRT−PCRのいずれも、少なくとも1つの特定波長の光ビームで各試料を照射し、励起されたフルオロフォアによって発せられる蛍光を検出する作用を有する反復温度サイクルにおいて実施される。
【0006】
PCRに添加された非特異的蛍光色素がdsDNAに結合すると、PCR中の生成物の増加は、各サイクルで測定される蛍光強度の増大をもたらすであろう。しかしながら、SYBR(登録商標)GreenのようなdsDNA色素は、非特異的PCR産物(プライマー二量体など)を含むすべてのdsDNAPCR生成物に結合する。これは、PCR生成物の定量化の精度を妨げる可能性がある。配列特異的DNAプローブをPCRに添加すると、蛍光レポータープローブはプローブに相補的な配列を含むDNAのみを検出する。従って、配列特異的蛍光色素の使用は特異性を顕著に増加させ、他のdsDNAの存在下であっても技術の実施を可能にする。配列特異的蛍光色素の利点は、プライマー二量体によって引き起こされる測定の妨害を防ぐことができることである。
【0007】
典形的には、qPCR及びqRT−PCRは、ターゲットDNAセグメントの変性、アニーリング及び伸長を可能にする3つの異なる温度範囲を通して循環する機構を必要とするため、qPCR及びqRT−PCR装置は長い反応時間(1時間以上)を必要とする大きなベンチトップシステムである。そのような要求を達成するために、qPCR及びqRT−PCR装置は、かなりの重量及びサイズであり、かなりの量の試験時間を必要とし、そのような装置はその可搬性を排除する。
【発明の概要】
【0008】
この問題を解決するために、本発明は、熱対流による循環可能容器内においてq−PCR反応及びqRT−PCR反応を可能にする可搬性の一方向循環液流を開示する。本発明は、少なくとも1つの熱源と1つの温度センサと、循環可能容器と、光源と、光検出器と、フィルタと、1組の光学素子と、プロセッサとを含む、少なくとも1つの温度制御ユニットを備える。前述の構成要素は、特定の構成又は順序に限定されない。
【0009】
循環可能容器は、少なくとも1つの開口と、閉ループ系と、前記混合試薬が前記循環可能容器の異なるゾーンを1サイクルで流れることを可能にする、端から端まで接続された経路と、を備える。
【0010】
反応が開始し、循環可能容器が配置され、特定の領域で熱源に接触させられると、qPCR及びqRT−PCR試薬が循環可能容器に注がれる。循環可能容器は、対称であっても非対称であってもよい。循環可能容器の接触領域の温度が変性反応温度へ向けて上昇すると、接触領域に近い混合試薬が先に加熱され、熱源から遠い混合試薬がその後加熱される。熱源に近い混合試薬の密度は、熱源から遠い方の混合試薬の密度よりも低くなり、重力及び浮力の影響により、連続的な一方向循環流が生成される。循環可能容器内の温度が前述の熱対流によって反応点に到達すると、PCR反応が開始される。本発明は、3つの異なる反応温度のために熱デバイスの加熱及び/又は冷却に時間を費やすことなく、少なくとも1つの加熱を伴う循環可能容器内のPCRの変性、アニーリング及び伸長を可能にする3つの異なる温度ゾーンの実施形態を開示するものであり、従って反応時間と装置サイズを同時に節約することができる。
【0011】
この概要は、本明細書の下記でさらに説明される本開示のいくつかの態様を簡潔に特定するために提供される。この概要は、本開示の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものでもなく、また請求項の範囲を限定することも意図していない。
【0012】
「態様」という用語は、「少なくとも1つの態様」として解釈されるべきである。本明細書に記載される本開示の態様及び他の態様は、例として示され、添付の図面に限定されるものではない。
【0013】
本開示のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示のqPCR及びqRT−PCRの第1の構成を例示する概略図である。
図2】第1の構成のU字形ループを示す概略図である。
図3】第1の構成の反応中のU字形ループ内部の温度勾配を示す概略図である。
図4】本開示のqPCR及びqRT−PCRの第2の構成を示す概略図である。
図5】第2の構成のU字形ループを示す概略図である。
図6】本開示のqPCR及びqRT−PCRの第3の構成を例示する模式図である。
図7】第3の構成のU字形ループを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、少なくとも1つの熱源と1つの温度センサと、循環可能容器と、光源と、光検出器と、フィルタと、1組の光学素子と、プロセッサとを含む少なくとも1つの温度制御ユニットを備えている。前述の構成要素は、特定の構成又は順序に限定されない。
【0016】
循環可能容器は、少なくとも1つの開口と、閉ループシステムと、混合試薬が非対称循環可能容器の異なるゾーンを1サイクルで流れることを可能にする、端部から端部に接続された経路とを備える。循環可能容器は、実験的要求に基づいて非対称又は対称であり得る。循環可能容器は、U字形のループ、立方体、又は他の構造であり得る。
【0017】
温度制御ユニットは、熱を供給するための熱源と、熱源の状態を検出するための温度センサとを含む。温度制御ユニットは、循環可能容器内の特定の領域に配置されて接触する。温度制御ユニットは、循環可能容器の内部の温度を反応温度及び流動場分布について調整するように構成されている。異なる条件で1つ以上の温度制御ユニットを使用することが可能である。
【0018】
循環可能容器の対称性は、重力及び浮力の影響によって一方向の循環液体流を駆動及び開始させる重要なファクターであり、循環可能容器と熱源との接触領域も同様である。熱源の数も重要なファクターである。それぞれが循環可能容器内で一方向循環を独立して又は協働して引き起こす可能性がある。
【0019】
他の方向よりも1つの流れの方向を好む熱的条件及び浮力の条件を制御するために、特定の領域に1つ以上の熱源を配置することによって、循環可能容器内の液体の流れの方向をさらに制限することができる。
【0020】
例えば、底部に1つの熱源を使用する代わりに、中心から離れた領域で容器を加熱することができる。以下に説明する一実施形態では、循環可能容器の底部から異なる高さに配置された2組の温度制御ユニットを使用することにより、同じ結果に達することもできる。
【0021】
光源は、LED、レーザーダイオード、又はハロゲン光のような特定の波長の光システムである。蛍光は、光源を吸収した物質による発光である。物質はこのような光を吸収し、反応状態をモニタリングするために用いられる蛍光信号を放出することができる。光検出器は、光信号を電気信号に変換するように構成される。光検出器は、光電子増倍管ゾーン(以下、PMTと称する)、フォトダイオード、若しくは、例えば、電荷結合素子(以下、CCD)又は相補形金属酸化物半導体)のような光検出器アレイでありうる。
【0022】
プロセッサは、温度センサ、光検出器又は光検出器アレイから転送された電子信号を受信及び分析するように構成される。フィルタは、光源のこれらの非所定の波長を濾波して取り除き、所定の波長がフィルタを通過するように構成される。レンズ又は光ファイバーなどの1つ又は複数の光学素子を使用して、フィルタリングされた又はフィルタリングされていない蛍光信号を光検出器に送ることができる。
【0023】
本発明は、熱対流による循環可能容器内での反応のためにPCR又はRT−PCRを可能にする一方向の循環液体流を連続的に提供する。このような循環可能容器は、1サイクルで異なる熱ゾーンを通って試薬が流れることを可能にし、予測可能な反応効率のために可能な流路を制限する、端から端まで接続された経路を提供することによって一方向の液体流を促進する。液体の熱対流は、浮力及び重力によって引き起こされる。循環可能容器内の温度が、前述の熱対流により反応点に上昇すると、液体の流れが開始されてPCR反応が開始される。そして、温度センサは、次のプロセスを開始するためにこの状態をプロセッサに伝送する。PCR生成物の存在は、蛍光色素と相互作用し、蛍光信号が放出され、光検出器によって検出される。プログラムされたアルゴリズムは、リアルタイムでPCR又はRT−PCRを定量するために蛍光信号を分析するためにプロセッサに内蔵されている。
【0024】
後述する一実施形態では、循環可能容器の端部から端部に接続された非対称経路を設計することによって、流路の方向をさらに制限することが可能である。経路の一方の端部の角度は、他方の端部の角度と異なり、これらの2つの端部の間の垂直方向の高さが異なる。温度制御ユニットが接触領域に熱を供給し始めると、接触領域に近い混合試薬の密度は、接触領域から離れた混合試薬よりも低くなり、試薬内部の浮力ギャップを導き、重力と浮力の影響によって一方向の循環液体流を生成する。
【0025】
以下は、本開示の原理を単に例示するに過ぎない。したがって、当業者は、本明細書に明示的に記載又は図示されていないが、本開示の原理を具現化し、その思想及び範囲内に含まれる様々な構成を考案できることが理解されよう。
【0026】
さらに、本明細書に列挙された全ての実施例及び条件の記述は、技術の促進のために発明者らによって示された本開示及びコンセプトの原理を読者が理解するために教示する目的だけを明確に主に意図するものであり、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。
【0027】
さらに、本開示の原理、態様、及び実施形態、並びにその特定の例を記載する本明細書におけるすべての記述は、その構造的及び機能的等価物の両方を包含するように意図されている。さらに、そのような均等物は、現在知られている均等物及び将来開発される均等物の両方、すなわち構造にかかわらず同じ機能を果たす後に開発される任意の要素を含むことが意図される。
【0028】
本明細書で明示的に特定しない限り、図面は原寸に比例して描かれていない。
【0029】
本発明者らは、生物学的又は生化学的分析で使用される材料を調製する混合装置及び関連する方法の操作面を示すいくつかの非限定的な例示的な実施例を提供する。
【0030】
本明細書で使用される、「水平」、「垂直」、「近位」、「遠位」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内側」、「外部」、「内部」及び「外部」のような方向を示す用語は、一般的なユーザの視点からの開示された装置の向きに関連し、装置の恒常的な固有の特徴又は特性を特定しない。
【0031】
以下の3つの実施形態で使用されるように、循環可能容器は、U字形のループによって統合化される。
【0032】
「前置」、「後置」、「前方」及び「後方」などの本明細書で使用され得る位置関係及び関連用語は、本発明の各実施形態の開示された装置の要素間を伝搬する反射光ビームの到達順序に関する。例えば、U字形のループは、光ビームを反射する第1の要素であり、U字形のループは、開示されたそれぞれの装置の最後方位置に配置される。
【0033】
実施例1
図1に示すように、q−PCR及びqRT−PCR装置1は、本実施形態では熱源及び温度センサ12である温度制御ユニットと、本実施形態ではU字形ループ11である循環可能容器を備える。また、図1には、光源13、光検出器16、フィルタ15、レンズ14、及びプロセッサ17が示されている。
【0034】
図2に示すように、非対称循環可能容器は、U字形ループ11であり、ループ経路を形成するU字形ループ11の両端間の異なる垂直高さに経路を有している。U字形ループ11は、左ゾーン111、右ゾーン112、連結ゾーン113、及び下部ゾーン114を有する。左及び右ゾーン111,112は地面に対して垂直であり、左ゾーン111の上には開口がある。連結ゾーン113は、左及び右ゾーン111,112を所定の角度で接続している。この実施形態では、連結ゾーン113の左端は右端よりも高い。さらに、左ゾーン111は、左上ゾーン111a及び左下ゾーン111bとして、左接合部115と区別されうる。右ゾーン112は、右上ゾーン112a及び右下ゾーン112bとして、右接合部116と区別されうる。左ゾーン111及び右ゾーン112に接続する下部ゾーン114は、対称形状及び所定の曲率半径を有する曲げゾーンである。U字形ループ11の下部ゾーン114は、熱源及び温度センサ12がU字形ループ11の表面に接触するところであり、U字形ループ11は地面に対して実質的に垂直である。本発明では、U字形ループ11の左ゾーン111、右ゾーン112、連結ゾーン113、及び下部ゾーン114の内径は、0.6mm〜1.6mmであり、U字形ループ11の内側は溶液を収容する接続空間である。この実施形態では、U字形ループ11の内径は1.6mmであり、U字形ループ11内の溶液の全体積は150μlである。熱源及び温度センサ12がU字形ループ11に熱を供給し、U字形ループ11の温度を所定の反応温度にする場合、U字形ループ11の構造は、その中の溶液を一方向に流れさせ流れ場を形成する。
【0035】
熱源及び温度センサ12が熱を供給し始めると、下部ゾーン114の液体が最初に加熱される。左ゾーン111と右ゾーン112との両方は、ループの下部から上部へと加熱される。左接合部115の高さが右接合部116の高さよりも短いため、左接合部115の温度は右接合部116の温度よりも低くなる。したがって、左接合部115の密度は、右接合部116の密度より高くなる。左接合部115の液体は、浮力の作用によって右接合部116に流れ、したがって、右接合部116の液体は、下方へ押され、左接合部115に戻され、時計周りに一方向性の循環流が始まる。温度差は図3のようになり、U字形ループ11内の高温領域は左下ゾーン111bとなり、U字形ループ11内の低温領域は右下ゾーン112bとなる。本実施形態では、熱源と温度センサ12を90〜110℃の範囲に設定している。反応中の温度分布は、次の通りである。左上ゾーン111aの温度が30〜40℃、左下ゾーン111bの温度が90〜100℃、右上ゾーン112aは30〜40℃であり、右下ゾーン112bの温度は45〜60℃であり、下部ゾーン114の温度は60〜90℃である。一方向循環流の速度は約1.7〜6mm/sであり、1サイクルで10〜33秒かかる。
【0036】
150μlの溶液は、30μlのプライマー(Canine−GAPDH_7−2−F’−GTGGATCTGACCTGCCGCCTGGAGAAAGCT−、0.5μM、15μL)、75μlの2×マスターミックス(dNTPs、DNA polymerase、SYBRTMGreenを含む、SensiFAST SYBRTMNo−ROX)、3μlのプラスミドDNA(3×103コピー)、及び、42μlのセカンダリー滅菌水を含む。SYBRTMGreenは蛍光物質の一種である。この実施形態では、U字形ループに装填される蛍光物質は、アンプリコンと相互作用し、光源によって励起されると蛍光信号を放出する。この蛍光信号を測定することにより、リアルタイムでアンプリコンの濃度を測定することができる。
【0037】
LEDライト、レーザーダイオードライト、又はハロゲンライトなどの光源13は、蛍光励起のために所定の波長を有する光ビームを放出することができる。光源13が配置される領域は、U字形ループ11に対して所定の距離及び俯角を有する。左ゾーン111、右ゾーン112、連結ゾーン113及び下部ゾーン114は、実質的に同じ照射強度を有する。また、蛍光物質は、光ビームを受けて励起状態に入り、蛍光を発することで励起状態を出る。この実施形態では、光源13はLEDライトであり、その波長は450〜490nmであり、SYBRTMGreenは波長450〜490nmの光源によって励起される最大蛍光値が510〜530nmである。
【0038】
レンズ14は、U字形ループ11の前方に、所定の距離をおいて、U字形ループ11に対して光源13と同じ側に配置されている。レンズ14はU字形ループ11から反射される光ビームを受光するように構成されている。また、レンズ14と左ゾーン111、右ゾーン112、連結ゾーン113、及び下部ゾーン114との間の距離の各々は、実質的に同じである。レンズ14は光ビームを屈折させ、光ビームを感光ユニット上に集束させてU字形ループ11の像を形成するように構成される。
【0039】
フィルタ15は、レンズ14からの光ビームを受光するために、レンズ14の前方に所定の間隔で配置されている。換言すると、レンズ14は、フィルタ15とU字形ループ11との間に配置されている。
【0040】
光検出器16は、収集された光信号をフィルタ15から受信する電気信号に変換するように構成される。電気信号は、分析のためにプロセッサによって処理される。本発明では、光検出器16は、光電子増倍管やフォトダイオードなどの単一素子とすることができる。光検出器16は、電荷結合素子又は相補形金属酸化物半導体などのアレイであってもよい。本実施形態では、光検出器16はCCDである。
【0041】
実施例2
図4及び図5を参照すると、q−PCR及びqRT−PCR装置2は、本実施形態では熱源及び温度センサ22である温度制御ユニットと、U字形ループ21である循環可能容器とを含む。図4及び図5には、光源23、光検出器26、レンズ24、フィルタ25、及びプロセッサ27も示されている。光源23、光検出器26、レンズ24、フィルタ25及びプロセッサ27の接続及び領域は、図1で説明したのと実質的に同じである。しかし、U字形ループ21と熱源及び温度センサ22との接続及び領域は、図1と異なる。
【0042】
熱源及び温度センサ22がU字形ループ21に熱を供給するとき、U字形ループ21の非対称構造は、その中の溶液を一方向に流れさせ、流れ場を形成する。図5に示すように、U字形ループ21は、左ゾーン211、右ゾーン212、連結ゾーン213、下部ゾーン214、及び下部ゾーン214に接続された突出ゾーン217を有する。左及び右ゾーン211,212は地面に垂直であり、左ゾーン211の上に開口218がある。連結ゾーン213は左及び右ゾーン211,212を連結している。さらに、連結ゾーン213の左接合部215と右接合部216との両方の角度は地面に対して平行である。本実施形態では、連結ゾーン213の左端は、その右端と同じ高さにある。さらに、左ゾーン211は、左上ゾーン211a及び左下ゾーン211bとして、左接合部215から区別することができる。右ゾーン212は、右上ゾーン212a及び右下ゾーン212bとして、右接合部216から区別することができる。左ゾーン211と右ゾーン212との間に接続された下部ゾーン214は、対称形状であり、かつ、所定の曲率半径を有する曲げゾーンである。U字形ループ21の突出ゾーン217は、熱源及び温度センサ22がU字形ループ21と接触する箇所である。突出ゾーン217は、熱源及び温度センサ22からの熱を、反応中にU字形ループ21に伝達する。この実施形態では、突出ゾーン217は、下部ゾーン214の右側に配置される。直径、溶液体積、及び、溶液内容物は、図1で説明したものと実質的に同じである。
【0043】
熱源及び温度センサ22が熱を提供し始めると、突出ゾーン217が最初に加熱され、次いで熱が左ゾーン211及び右ゾーン212に伝達される。温度は、左ゾーン211よりも右ゾーン212において早く上昇する。熱源及び温度センサ22と突出ゾーン217が右ゾーン212により近いからである。右ゾーン212の下部近傍の溶液が加熱されると、溶液の体積が膨張して密度が低下する。加熱された液体は、浮力の作用によって右接合部216の近くへ上昇し、空いた容積は周囲の液体によって補充される。補充された液も浮力の作用によって上昇すると、右接合部216に近い液体は左接合部215に流れ、右ゾーン212の下部に戻り、反時計回りの一方向循環流が開始される。U字形ループ21内の高温領域は左下ゾーン211bであり、U字形ループ21内の低温領域は211bである。本実施形態では、熱源及び温度センサ22を90〜110℃の範囲に設定している。反応中の温度分布は、次の通りである。左上ゾーン211aの温度が30〜40℃、左下ゾーン211bの温度が45〜60℃、右上ゾーン212aの温度が30〜40℃、右下ゾーン212bの温度は90〜100℃、下部ゾーン214の温度は60〜90℃である。一方向循環流の速度は約1.7〜6mm/sであり、1サイクルで10〜33秒かかる。
【0044】
核酸増幅が行われるにつれて、U字形ループ内に装填される蛍光物質は、アンプリコンと相互作用し、光源によって励起されると蛍光信号を放出する。蛍光は、レンズ24によって集束され、次いで、フィルタ25を通して、非所定の波長を濾波して取り除く。この実施形態では、510〜530nmの波長を有する放出された蛍光信号がCCD26によって検出され、次に光信号が電子信号に変換される。プロセッサ27は、電子信号を分析する。したがって、本発明は、生成物濃度をリアルタイムでモニタリングすることができる。
【0045】
実施例3
図6及び図7を参照すると、q−PCR及びqRT−PCR装置3は、本実施形態では熱源及び温度センサ32a,32bである2つの温度制御ユニットと、U字形ループ31、光源33、光検出器36、レンズ34、フィルタ35、及びプロセッサ37である循環可能容器とを含む。光源33、光検出器36、レンズ34、フィルタ35及びプロセッサ37の接続および領域は、図1で説明したのと実質的に同じである。しかしながら、U字形ループ31と熱源及び温度センサ32a,32bとの接続及び領域は、図1とは異なっている。
【0046】
熱源及び温度センサ32a,32bは、相対的に高い熱源及び温度センサ32aならびに相対的に低い熱源及び温度センサ32bとして定義することができる。両方の好ましい配置は、相対的に高い熱源及び温度センサ32aの高さが相対的に低い熱源及び温度センサ32bの高さよりも低いことである。相対的に高い熱源及び温度センサ32aの所定の温度は90〜120℃であり、相対的に低い熱源及び温度センサ32bについては5〜30℃の間である。この実施形態では、相対的に高い熱源及び温度センサ32aが左ゾーン311と下部ゾーン314の接合部に配置され、相対的に低い熱源及び温度センサ32bが右ゾーン312に配置され、相対的に高い熱源及び温度センサ32aの高さは、相対的に低い熱源及び温度センサ32bの高さよりも低い。
【0047】
相対的に高い熱源及び温度センサ32aと比較的低い熱源及び温度センサ32bとが加熱を開始すると、U字形ループ31の接触面が最初に加熱される。左ゾーン311では、右ゾーン312よりも速く温度が上昇する。U字形ループ31と比較的高い熱源及び温度センサ32aとの接触面近傍の溶液が加熱されると、溶液の体積が膨張し、濃度が低下する。加熱された液体は、浮力の作用によって左接合部315近傍へ上昇し、空いた体積は、より低い温度及びより高い密度を有する周囲の液体によって補充される。補充された液も浮力の作用によって上昇すると、左接合部315近傍の液体は右接合部316に流れ、左ゾーン311の下部に戻り、時計回りの一方向循環流が開始される。
【0048】
核酸増幅が行われるにしたがって、U字形ループ内に装填された蛍光物質はアンプリコンと相互作用し、光源によって励起されると蛍光シグナルを発する。蛍光は、レンズ34によって集束され、次いで、フィルタ35を通過して非所定の波長が濾波され除去される。この実施形態では、放出された510〜530nmの波長を有する蛍光信号がCCD36によって検出され、次に光信号が電気信号に変換される。プロセッサ37は、電子信号を分析する。したがって、本発明は、生成物濃度をリアルタイムでモニタリングすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7