特許第6481025号(P6481025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6481025アブレーション形成印を持つ電気光学素子およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481025
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】アブレーション形成印を持つ電気光学素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/15 20190101AFI20190304BHJP
   G02F 1/155 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   G02F1/15 505
   G02F1/155
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-516336(P2017-516336)
(86)(22)【出願日】2015年9月23日
(65)【公表番号】特表2017-530407(P2017-530407A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】US2015051637
(87)【国際公開番号】WO2016049129
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年4月21日
(31)【優先権主張番号】62/054,580
(32)【優先日】2014年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500115826
【氏名又は名称】ジェンテックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】カメンガ デイヴィッド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハインツェルマン アダム アール
(72)【発明者】
【氏名】ギアーリングス カーティス エル
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0212189(US,A1)
【文献】 特表2007−534981(JP,A)
【文献】 特開2006−127081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15 − 1/163
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学素子であって、
第一の基材であって、
第一の表面と、
その上に配置された第一の導電部分と第二の導電部分とを含む第二の表面と、前記第二の導電部分から分離し、かつ前記第一の導電部分を電気的に隔離する第一の分離エリアと、を含む第一の基材と、
第二の基材であって、
第三の表面と、
第四の表面と、
少なくとも前記第三の表面上に配置された第三の導電部分と、
を含む第二の基材と、
前記第二と前記第三の表面の間のプライマリシールであって、前記シールならびに前記第二および前記第三の表面が空洞を画定するプライマリシールと、
前記空洞内に配置された電気光学媒体と、を含み、
前記第二の表面が、その上の前記電気光学媒体と前記第二の表面との間に配置された少なくとも一つの印をさらに含む電気光学素子。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学素子であって、
スペクトルフィルターをさらに含み、前記スペクトルフィルターおよび前記少なくとも一つの印が同じ材料を含み、
前記第二の基材が、第四の導電部分と、及び前記第二の導電部分から分離しかつ前記第四の導電部分を電気的に隔離する第二の分離エリアと、をさらに含む、電気光学素子。
【請求項3】
前記少なくとも一つの印がバーコード印である、請求項1および2のいずれか一項に記載の電気光学素子。
【請求項4】
前記印が前記第一の導電部分および前記第二の表面によって実質的に被包されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学素子。
【請求項5】
前記第一の導電部分が前記印と前記第二の表面との間に位置付けられている、請求項1に記載の電気光学素子。
【請求項6】
前記印が前記スペクトルフィルターに少なくとも部分的に接続されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の電気光学素子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気光学素子であって、
少なくとも二つの印をさらに含み、前記第一の導電部分が前記少なくとも二つの印の間に配置されている電気光学素子。
【請求項8】
電気光学素子であって、
第一の表面および第二の表面を含む第一の基材を提供する工程と、
第三の表面および第四の表面を含む第二の基材を提供する工程と、
前記第二の表面の少なくとも一部分の上方に導電部分を形成する工程と、
前記第三の表面の少なくとも一部分の上方に他の導電部分を形成する工程と、
前記第二の表面の少なくとも一部分の上方にスペクトルフィルターを形成する工程と、
前記スペクトルフィルターの部分をレーザーでアブレーションして、前記電気光学素子の可視部分および前記可視部分内の少なくとも一つの印を画定する工程と、
前記第二の表面の少なくとも一部分の上方に形成された前記スペクトルフィルター及び導電部分の部分をレーザーでアブレーションして、前記第二の表面の少なくとも一部分上に形成された前記導電部分を第一の導電部分と第二の導電部分に分離し、かつ前記第二の表面の少なくとも一部分上に形成された前記スペクトルフィルターを第一のスペクトルフィルターと第二のスペクトルフィルターに分離する分離エリアを形成する工程と、
前記第二の表面と前記第三の表面との間にプライマリシールを提供して、空洞を画定する工程と、
前記空洞に電気光学媒体を充填して電気光学素子を形成する工程と、を含むプロセスによって準備される電気光学素子。
【請求項9】
前記スペクトルフィルターが前記導電部分の上方に配置されるように、前記第二の表面の少なくとも一部分上に前記導電部分を形成する工程が、前記第二の表面の少なくとも一部分上に前記スペクトルフィルターを形成する工程の前に実施され、かつ前記スペクトルフィルターの部分をレーザーでアブレーションして、前記電気光学素子の可視部分および前記可視部分内の少なくとも一つの印を画定する工程及び前記第二の表面の少なくとも一部分の上方に形成された前記スペクトルフィルター及び導電部分の部分をレーザーでアブレーションして、前記第二の表面の少なくとも一部分上に形成された前記導電部分を第一の導電部分と第二の導電部分に分離し、かつ前記第二の表面の少なくとも一部分上に形成された前記スペクトルフィルターを第一のスペクトルフィルターと第二のスペクトルフィルターに分離する分離エリアを形成する工程がレーザーアブレーションの1つの連続工程の中で生じる、請求項8に記載の前記プロセスによって準備される電気光学素子。
【請求項10】
前記導電部分が前記スペクトルフィルターの上方に配置されるように、前記第二の表面の少なくとも一部分上に前記導電部分を形成する工程が、前記第二の表面の少なくとも一部分の上方に前記スペクトルフィルターを形成する工程の後に実施され、
前記スペクトルフィルターの部分をレーザーでアブレーションして、前記電気光学素子の可視部分および前記可視部分内の少なくとも一つの印を画定する工程が、前記第二の表面の少なくとも一部分上に前記導電部分を形成する工程の前に生じる、請求項8に記載の前記プロセスによって準備される電気光学素子。
【請求項11】
前記印が、前記第二の表面の少なくとも一部分上に形成された前記導電部分および前記第二の表面によって実質的に被包されている、請求項10に記載の前記プロセスによって準備される電気光学素子。
【請求項12】
前記スペクトルフィルターおよび前記印がそれぞれ金属を含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載の前記プロセスによって準備される電気光学素子。
【請求項13】
前記印が前記スペクトルフィルターに少なくとも部分的に接続されている、請求項8〜12のいずれか一項に記載の前記プロセスによって準備される電気光学素子。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか一項に記載の前記プロセスによって準備される電気光学素子であって、
少なくとも二つの印をさらに含み、前記第二の表面の少なくとも一部分上に形成された前記導電部分の一部分が前記少なくとも二つの印の間に配置されている電気光学素子。
【請求項15】
電気光学素子であって、
第一の表面および第二の表面を持つ第一の基材であって、前記第二の表面が第一の導電部分、第二の導電部分及び前記第一の導電部分を前記第二の導電部分から電気的に隔離する第一の分離エリアを含む第一の基材と、
第三の表面および第四の表面を持つ第二の基材であって、前記第三の表面が第三の導電部分を持つ第二の基材と、
前記第二と前記第三の表面の間に配置されたシールであって、前記シールならびに前記第二および前記第三の表面が空洞を画定するプライマリシールと、
前記空洞内に配置された電気光学媒体とを含み、
前記第二の表面が、(i)プライマリシールと前記第二の表面との間に配置されたスペクトルフィルターおよび(ii)その上の前記電気光学媒体と前記第二の表面との間に配置された少なくとも一つの印をさらに含み、前記少なくとも一つの印が前記スペクトルフィルターと物理的に接触している電気光学素子。
【請求項16】
前記スペクトルフィルターおよび前記印が同じ材料を含む、請求項15に記載の電気光学素子。
【請求項17】
前記印が前記第二の表面と前記第一の導電部分との間に位置付けられている、請求項15および16のいずれか一項に記載の電気光学素子。
【請求項18】
請求項15および16のいずれか一項に記載のいずれかの電気光学素子であって、
少なくとも二つの印をさらに含み、前記電気光学媒体が前記少なくとも二つの印の間に配置されている電気光学素子。
【請求項19】
前記第一の導電部分が前記印と前記第二の表面との間に位置付けられている、請求項15および16のいずれか一項に記載の電気光学素子。
【請求項20】
請求項15〜19のいずれか一項に記載の電気光学素子であって、
少なくとも二つの印をさらに含み、少なくとも一つの印が、前記スペクトルフィルターと物理的に接触しており、前記少なくとも一つの印が前記スペクトルフィルターと接触していない電気光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、後方視野表示装置、可変透過ウィンドウおよびその他の用途に用いることができる電気光学素子および組立品に一般的に関連する。
【背景技術】
【0002】
電気光学素子および組立品は、例えば、後方視野表示装置および可変透過ウィンドウ内など、さまざまな車両および建築用途に使用されている。これらの組立品のさまざまな用途での使用は、費用、ならびに審美的および機能的な配慮によって限定される可能性がある。従って、新しい電気光学素子および組立品のデザインおよび構成、ならびにそれらの製造方法が、特に、材料および処理費用の低減、審美性の改善および/または機能性の向上の点から必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様によると、第一の表面を持つ第一の基材、およびその上に配置された第一の導電部分持つ第二の表面を含む第一の電気光学素子が提供されている。素子は、第三の表面、第四の表面、および少なくとも第三の表面上に配置された第二の導電部分を持つ第二の基材も含む。プライマリシールが第二と第三の表面の間にあり、シールならびに第二および第三の表面が空洞を画定する。電気光学媒体は空洞内に配置されている。さらに、第二の表面は、その上の電気光学媒体と第二の表面との間に配置された少なくとも一つの印をさらに含む。
【0004】
本開示の別の態様によると、第一の表面および第二の表面を持つ第一の基材を提供する工程と、第三の表面および第四の表面を含む第二の基材を提供する工程と、第二の表面の少なくとも一部分の上方に第一の導電部分を形成する工程と、第三の表面の少なくとも一部分の上方に第二の導電部分を形成する工程とを含むプロセスによって準備される電気光学素子が提供されている。プロセスには、第二の表面と第三の表面との間にプライマリシールを提供して空洞を画定する工程と、第二の表面の少なくとも一部分の上方の第二の表面とプライマリシールとの間にスペクトルフィルターを形成する工程と、スペクトルフィルターのレーザー部分でアブレーションして電気光学素子の可視部分および可視部分に少なくとも一つの印を画定する工程と、空洞に電気光学媒体を充填して電気光学素子を形成する工程も含む。
【0005】
本開示のまた別の態様によると、第一の表面および第二の表面を持つ第一の基材を持つ電気光学素子であって、第二の表面が第一の導電部分を持つ電気光学素子が提供されている。第二の基材は第三の表面および第四の表面を持ち、第三の表面は第二の導電部分を持つ。シールは第二の表面と第三の表面との間に配置される。シールならびに第二および第三の表面が空洞を画定し、電気光学媒体が空洞内に配置されている。第二の表面は、(i)プライマリシールと第二の表面との間に配置されたスペクトルフィルターおよび(ii)その上の電気光学媒体と第二の表面との間に配置された少なくとも一つの印をさらに含み、少なくとも一つの印はスペクトルフィルターと物理的に接触している。
【0006】
一部の実施では、電気光学素子は、スペクトルフィルターが第一の導電部分の上方に配置されるように、第一の導電部分を形成する工程が、スペクトルフィルターを形成する工程の前に実施されるプロセスによって準備される。特定の実施では、素子は、第一の導電部分がスペクトルフィルターの上方に配置されるように、第一の導電部分を形成する工程が、スペクトルフィルターを形成する工程の後に実施されるプロセスによって準備される。
【0007】
本発明のこれらおよびその他の特徴、利点、および目的は、以下の明細書、特許請求の範囲、および添付図面を参照することにより、当業者によってさらに理解および認識される。
【0008】
本開示は、詳細な説明および添付図面から、より完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による、二つの電気光学素子の平面図である。
図2A】本開示の態様による、図1に示された素子の一つの断面図である。
図2B】本開示のさらなる態様による、図1に示されたもう一方の素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図示した本発明の実施形態は、導電シールを持つ電気光学組立品に関する、さまざまな装置構成要素、およびそれらの製造方法の組み合わせに、主として属する。したがって、装置構成素子および方法ステップが説明されており、必要に応じて図中の慣習的な符号により、本開示の実施形態の理解に関係のある特定の詳細のみを示すことで、当業者が容易に理解して本明細書中の説明の利益を得るであろう詳細な開示が不明瞭にならないようにする。さらに、説明および図面にある同様の数字は同様の要素を表す。
【0011】
この明細書では、関連する用語、例えば、第1および第2、上および下などは、1つの構成素子または動作を他の構成素子または動作と区別するために、単独で用いられるもので、そのような複数の構成素子または動作の間での実際の相互関係または順序を必ずしも要求または包含するものではない。用語「含む(“comprises”、“comprising”)」またはその用語の他のバリエーションは、列挙される複数の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素のみを含むものではなく、はっきりと列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置にとって固有のものではない他の要素を含んでもよいように、非排他的包含を範囲とすることを意図している。「1つの・・・を含む」が前に付く要素は、それ以上の制約なしに、その要素を含むプロセス、方法、物品、または装置の追加的な同一要素の存在を除外しない。
【0012】
図1、2Aおよび2Bを参照すると、電気光学素子が参照識別子100a、100bで一般的に示されている。図1は、シール178を見えなくするかまたはマスクするために、スペクトルフィルター部分196が観察者とプライマリシール178との間に位置付けられている、平面図の第一の基材102に向かって見た電気光学素子100a、100bを示す。一部の実施形態では、素子100a、100bは、スペクトルフィルター部分196を含まない場合がある。素子100a、100bは図1にも示されており、印101が素子の可視部分にある。素子100a、100bの可視部分は、スペクトルフィルター部分196によって取り囲まれたエリアを実質的に含む。印101は、光が素子を透過する時、および素子が照射されていないかまたはバックライトが付いていない時に目に見える。図示された実施形態では、一つの印101(矢印)は、スペクトルフィルター部分196と物理的に接触しているか、またはそれによって画定されており、二つの印101(星および識別子)はそうでない。電気光学素子100a、100bは、示されるよりも多いまたは少ない印101を含む場合があり、印101のすべて、または一部のみがスペクトルフィルター部分196から理解されるべきである。本明細書で使用される場合、プライマリシール178は、素子100a、100b内に電気光学媒体110が充填された後に用いられるプラグを含む場合がある。同様に、素子100a、100bは、観察者とプライマリシール175との間に位置付けられたスペクトルフィルター部分124、136を含むことができる(図2Aおよび2Bを参照)。電気光学媒体110は、当業者によって理解されるように、少なくとも一つの溶媒、少なくとも一つの陽極材料、および少なくとも一つの陰極材料を含むことができる。特定の態様では、陽極材料および陰極材料は、両方とも電気活性材料であり、また、それらの少なくとも一つはエレクトロクロミック酸化反応または還元反応によって特徴付けられる。さらに、ラミネート基材間の間隔を制御する非導電および導電間隔媒体が、(例えば、シール材料が電気光学素子100a、100b内に分配される前または後に)プライマリシール175、178の中に配置される場合がある。
【0013】
図2A、2Bは、より詳細を提供するために図1に示された素子の拡大断面図として、例示的電気光学素子100a、100bを示す。素子100a、100bはそれぞれ、第一の表面104および第二の表面106を持つ第一の基材102を含む。ほとんどの態様では、基材102は実質的に透明である。一態様では、図2Aおよび2Bに示されるように、第一の導電部分108および第二の導電部分130が第二の表面106に適用され、第一の分離エリア140によって実質的に、お互いから電気的に絶縁されている。少なくとも一つの実施形態では、分離エリア140は、導電部分108および118の上またはその間にあって、電気的に分離しており、したがって導電部分108、118がお互いに電気的に接触するのを防ぐように配置することができる。このように、第一の分離エリア140は、第二の表面106上の電極材料の部分を除去して、または除去することなく画定または作ることができる。分離エリア140および第二の導電部分130は本開示のすべての態様で必要なわけではないことも理解されるべきである。例えば、第一の導電部分108を一方に、導電材料148および第一の電気クリップ163をもう一方に配置すると、それらがお互いに電気的に接触しなくなり、分離エリア140の必要性をなくすことができる。スペクトルフィルター部分196、およびスペクトルフィルター部分124、136は、導電部分108を導電部分118から電気的に分離するために、電気的絶縁材料も含むことができる。
【0014】
図2Aおよび2Bに示された例示的電気光学素子100a、100bでは、第一の分離エリア140の一部分が、その中心の近くに位置するプライマリシール175の一部分内に平行に延長していることが示されている。本明細書で使用される場合、プライマリシール175は、電気光学媒体110が素子100a、100b内に導入された後に導入されるプラグも含む場合があることが理解されるべきである。分離エリア140のこの部分は、観察者がスペクトルフィルター部分124、136の間の線に簡単に気付かないように置くことができる。例えば、分離エリア140の一部分は、スペクトルフィルター部分124の内側縁と実質的に整列する場合がある。分離エリア140の任意の部分がプライマリシール175の内側に位置する時、電気光学媒体110の色の断続および/または除去が観察される場合があることが理解されるべきである。主観的に見た目が良い要素をもたらすために、この動作特性を操作することができる。分離エリア140は、目で簡単に見えるものより小さな寸法(例えば、幅10μm未満)であってもよい。
【0015】
図2Aおよび2Bをさらに参照すると、例示的電気光学素子100a、100bは、第三の表面116および第四の表面114を持つ第二の基材112を含むことが示されている。図2Aおよび2Bに示されるように、第一の基材102は、組立品の周囲の少なくとも一部分に沿ってオフセットを作るために、第二の基材112よりも大きい場合がある。同様に、第二の基材112は第一の基材102と同じサイズであるか、または大きい可能性がある。一部の態様では、米国特許出願第第2014/0055836号(これは本出願内での参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)に詳述されるように、第一の基材102は、第二の基材112を隠すまたはマスクするように(例えば、連続的に精密な形状を持つ縁を伴って)成形することができる。
【0016】
さらに、例示的電気光学素子100a、100bの特定用途は、ウィンドウ用途など、実質的に透明な第二の基材112を持つことが望ましい場合がある。第三および第四の導電部分118、187はそれぞれ、第三の表面116に隣接して示されており、第二の分離エリア186で実質的に電気的に絶縁されている。第二の分離エリア186の一部分は、その中心の近くに位置するプライマリシール178の一部分内に平行に延長することが示されている。さらに、第二の分離エリア186この部分は、観察者がスペクトルフィルター材料内の線に簡単に気付かないように置くことができる。例えば、第二の分離エリア186の一部分は、スペクトルフィルター部分196の内側縁197と実質的に整列する場合がある。一部の実施では、分離エリア186は、第四の導電部分187を排除するような方法で第二の基材112の外向き縁へと延長する場合がある。その他の実施では、第二の分離エリア186および第四の導電部分187は存在しない場合がある。例えば、第三の導電部分118を一方に、導電材料148および第二の電気クリップ184をもう一方に配置すると、それらがお互いに電気的に接触しなくなり、第二の分離エリア186の必要性をなくすことができる。図2Aおよび2Bにさらに示されるように、選択的反射材料120を、オーバーコート122(これも選択的)と第三の導電部分118との間に適用してもよい。
【0017】
図2Aおよび2Bに示される例示的電気光学素子100a、100bをさらに参照すると、第一の分離エリア140はプライマリシール175の一部分と連携して、それぞれが第一の導電部分108および第一のスペクトルフィルター部分124から実質的に電気的に絶縁された、第二の導電部分130および第二のスペクトルフィルター材料部分136を画定する。この構成は、プライマリシール175と接触している第一の電気クリップ163が、導電材料148、第三の導電部分118、第二の導電部分130、および電気光学媒体110とさらに電気通信するように、導電材料148(例えば、銀含有導電性エポキシ)をプライマリシール175に隣接して配置することを可能にする。第三の導電部分118および導電材料148を形成する材料、または材料の組成物は、クリップ163と電気光学媒体110につながる材料との間に持続的な電気通信を促進するように選択されることが好ましい。
【0018】
さらに図2Aおよび2Bを参照すると、例示的電気光学素子100a、100bの第二の分離エリア186はプライマリシール178の一部分と連携して、第三の導電部分118、反射層120、選択的オーバーコート122および電気光学媒体110から実質的に電気的に絶縁された第四の導電部分187(存在する場合)を画定する。この構成は、第二の電気クリップ184が導電材料148、第一のスペクトルフィルター部分124、第一の導電部分108および電気光学媒体110と電気通信するように、導電材料148をプライマリシール178に隣接して配置することを可能にする。導電材料148および第一の導電部分108を形成する材料、または材料の組成物は、クリップ184と電気光学媒体110につながる材料との間に持続的な電気通信を促進するように選択されることが好ましい。
【0019】
本開示の一態様によると、第一の表面104、およびその上に配置された複数の導電部分108、130を含む第二の表面106を含む第一の基材102を含む図2Aおよび2Bの例示的形態に示された電気光学素子100a、100bが提供されている。特定の態様では、部分108、130は、分離エリア140によってお互いに実質的に分離されている。分離エリア140は、特定の態様では、導電材料が実質的に欠けている。素子100a、100bは、第三の表面116、第四の表面114、および少なくとも第三の表面116上に配置された導電部分118を持つ第二の基材112も含む。導電部分187は、一部の実施では、第三の表面116上にも配置することができる。電気光学素子100a、100bは、それぞれ第二および第三の表面106、116の間にプライマリシール175、178部分も含み、シール175、178ならびに第二および第三の表面106、116は空洞を画定する。素子100a、100bは、空洞内に配置された電気光学媒体110をさらに含む。さらに第二の表面106は、その上の、プライマリシール175、178の部分と第二の表面106との間に配置されたスペクトルフィルターをさらに含む。特定の態様では、スペクトルフィルターは、分離エリア140によって互いに実質的に分離された第一および第二のスペクトルフィルター124、136、ならびにプライマリシール178上方のスペクトルフィルター部分196を含むことができる。第二の表面106は、その上の電気光学媒体110と第二の表面106との間に配置された少なくとも一つの印101も含む。
【0020】
図2Aおよび2Bに示される電気光学素子100a、100bのこれらの態様では、スペクトルフィルター部分124、136は、少なくともプライマリシール175および導電材料148の部分を(目のシンボルで示される)観察者から見えなくするまたはマスクするような材料から成る、および/またはそのような寸法に構成される。同様に、スペクトルフィルター部分196は、少なくともプライマリシール178および導電材料148の部分を観察者から見えなくするまたはマスクするような材料から成る、および/またはそのような寸法に構成される。従って、スペクトルフィルター部分124、136および196は、光透過率が低い不透明または鏡のような成分(例えば、クロム含有コーティング、光沢のある金属またはその他の鏡のようなコーティング)で作製されるかまたはそうでなければそのような成分を含むことができる。
【0021】
またさらに、これらの態様による例示的電気光学素子100a、100bは、第二の表面106上に配置された一つ以上の印101も含む。より具体的には、印101は第二の表面106と電気光学媒体110との間に位置する。スペクトルフィルター部分124、136および196と同様に、印101は光透過率が低い不透明または鏡のような成分で作製されるかまたはそうでなければそのような成分を含む。一部の実施では、印101を形成するために用いられる材料は、スペクトルフィルター部分124、136および196に用いられる材料と類似しているかまたは同じである可能性がある。特定実施形態によると、印101は、印101を含まない素子100a、100bの領域、およびスペクトルフィルター部分124、136および196が照射されるか、そうでなければ観察者に向かって可視光を通過させる時、観察者に見える一つ以上の形状(例えば、星、アイコンおよびその他のシンボル)に構成される場合がある。印101は、素子100a、100bにバックライトが付いていないかまたはそうでなければ照射されていない時にも見ることができる。印101は、電気光学素子100a、100bに関連するデータ(例えば、部品番号、ロット番号、部品タイプ、製造業者、モデル)を示す一つ以上の識別子(例えば、1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)、その他の形態の機械可読コード、ロゴタイプ、グラフィック、エンブレム、またはテキスト)として構成することもできる。識別子実施形態の印101は、識別子印101が人間の目には見えないか簡単に気付かないほど小さいまたは薄い場合がある。電気光学媒体110と第一の導電部分108との間に位置するように示されているが、さまざまな実施形態でスペクトルフィルター部分124、136および196の印101は、第二の表面106上に直接、第二の表面106と第一の導電部分108との間に配置することができる。
【0022】
本開示のさらなる態様によると、分離エリアおよび印を画定するための、スペクトルフィルターの部分および導電部分(例えば、導電コーティングまたは電極)のパターン化のためのレーザーアブレーション工程を含むプロセスによって準備できる電気光学素子100a、100bが提供されている。このような一方法では、素子100a、100bは、(a)第一の表面104および第二の表面106を含む第一の基材102を提供する工程と、(b)第三の表面116および第四の表面114を含む第二の基材112を提供する工程と、(c)第二の表面106の少なくとも一部分上に例えば部分108(および存在する場合は部分130)などの第一の導電部分を形成する工程と、(d)第三の表面116の少なくとも一部分の上方に例えば部分118(および存在する場合は部分187)などの第二の導電部分を形成する工程とによって作製することができる。電気光学素子100a、100bのプロセスには、(e)第二の表面106の少なくとも一部分の上方にスペクトルフィルターを形成する工程と、(f)スペクトルフィルターの部分をレーザーでアブレーションして、電気光学素子の可視部分および可視部分に少なくとも一つの印101を画定する工程と、(g)第二の表面106と第三の表面116との間にプライマリシール175、178の部分を提供して空洞を画定する(例えば、シール175、178を第二の表面106および第三の表面116に貼り付けることによって空洞を画定する)工程と、(h)空洞に電気光学媒体110を充填して電気光学素子100a、100bを形成する工程も含む。方法には、スペクトルフィルターおよび第一の導電部分の部分をレーザーでアブレーションして、互いに実質的に電気的に分離された第一の導電部分108、130およびスペクトルフィルター124、136のそれぞれ第一および第二の部分を画定する分離エリア140を形成する工程を随意に含んでもよい。
【0023】
特に図2Aに示される電気光学素子100aに関しては、この素子は、スペクトルフィルターが第一の導電部分の上方に配置されるように、第一の導電部分108を形成する工程が、スペクトルフィルターを形成する工程の前に実施されるプロセスによって準備することができる。従って、第一の導電部分は、第一の基材102の第二の表面106上に直接またはその上方の、第二の表面106とスペクトルフィルター部分124、136、196および印101との間に配置される。一つ以上のレーザーアブレーション工程は、第一の導電部分およびスペクトルフィルター部分を形成して、スペクトルフィルター部分124、136、196、印101および導電部分108、130を形成および画定する工程の後に用いることができる。このように、第一の導電部分およびスペクトルフィルターを形成する工程で、後にアブレーションして、スペクトルフィルター部分124、136、196、印101、および導電部分108、130を形成するかまたはそうでなければ画定する、連続的または実質的に連続的コーティング、フィルムまたは層を形成することができる。
【0024】
図2Bを参照すると、電気光学素子100bは、第一の導電部分がスペクトルフィルター部分124、136、196の一つの少なくとも一部分を第一の導電部分が被包するように、第一の導電部分がスペクトルフィルターの上方に配置されるように、第一の導電部分を形成する工程が、スペクトルフィルターを形成する工程の後に実施されるプロセスによって準備することができる。従って、スペクトルフィルター部分124、136、196および印101は、第一の基材102の第二の表面106上に直接またはその上方に、第二の表面106と導電部分108、130との間に配置される。一つ以上のレーザーアブレーション工程を用いて、スペクトルフィルターをアブレーションし、印101およびスペクトルフィルター部分196を形成することができる。次に、第一の導電部分108を印101、スペクトルフィルター部分196、およびスペクトルフィルターの残りの非アブレーション部分(例えば、後でスペクトルフィルター124、136となるスペクトルフィルターの部分)に適用することができる。この時点で、一部の態様によると、別のレーザーアブレーション工程を実施して、分離エリア140を形成し、それぞれのスペクトルフィルター部分124、136および導電部分108、130を画定し電気的に分離することができる。
【0025】
図2Aおよび2Bに示される電気光学素子100a、100bを作製するために用いられる上述の方法は、特定の利点を有する。図2Aに示される素子100aおよびその特定の構成を作製するために用いられる方法の利点は、スペクトルフィルター(例えば、スペクトルフィルター部分124、136、196)、印101および分離エリア140(存在する場合)を形成するために、一つのアブレーション工程のみが必要となることである。さらに、第二の表面106の上方に暫定的スペクトルフィルターおよび第一の導電部分(複数可)を形成する比較的シンプルな工程は、パターン化なしで、または限定されたパターン化工程で実施できる。従って、素子100aは、低コスト製造アプローチに従った構成を有する。
【0026】
図2Bに示される電気光学素子100b、およびその特定構成を作る前述の方法に関して、方法は、スペクトルフィルター部分と電気光学媒体110との間の材料適合性の問題の管理について利点を提供する。特に、スペクトルフィルター部分124、136、196および印101は、導電部分108、130によって電気光学媒体110から効率的に分離される。このように、特定の材料を、(例えば、耐食性、半農産物を生成する傾向、電気光学媒体110の原因分離などに関して)電気光学媒体110とそうでなければ適合しないであろうスペクトルフィルター部分および/または印に用いることができる。当然のことながら、印101およびスペクトルフィルター部分124、136および196が第二の表面106上に直接配置されている実施形態では、アブレーションによる印101の形成は、第一の導電層108の堆積前に起こる場合がある。
【0027】
本明細書に記述された特定の配置および順序にかかわらず、本開示に従って用いられるレーザーアブレーション機器および技術は、当業者の理解内である。同様に、スペクトルフィルター部分、印および導電部分に用いられる特定の材料は、電気光学素子100a、100bの指定用途に対してカスタマイズされる。例えば、透明電極材料(例えば、酸化インジウムスズ組成物を含むがこれに限られない透明導電性酸化物)を、後方視野光学装置での使用のために構成された電気光学素子100a、100bの導電部分に用いることができる。スペクトルフィルター部分124、136、196および印101は、単一コーティング材料、複数コーティングならびにその他のスタック構造および組立品を含むことができることも理解すべきである。このように、さまざまなコーティング材料および構造を選択して、第一の基材101第二の表面106および/または第一の導電部分(例えば、部分108、130)へのコーティングの接着を考慮して、(例えば、スペクトルフィルター部分124、136および/または196に対する)望ましい光学マスキング特徴および(例えば、印101に対する)審美性を最適化することができる。スペクトルフィルター部分および印に対して選択される特定構成に影響を与えうるその他の考慮事項には、大きなエリアへの従順性、レーザーアブレーション製造プロセスを含む。
【0028】
当然のことながら、当業者であれば、電気光学素子100a、100bならびにそうでなければそれらを組み込んだ装置および組立品は、追加的または代替的利点を持つ可能性があることを理解する。同様に、当然のことながら当業者であれば、電気光学素子および組立品を作るための本明細書に記述された方法は、同じように追加的または代替え的利点を持つことも理解する。さらに当然のことながら当業者であれば、上述の構成要素は、本明細書に明示的に記述されていない追加的または代替え的方法で組み合わせることができることを理解する。
【0029】
当業者および本発明を実施または利用しようとする者は、本発明の改良を想起できる。したがって、図面および上記の説明に示した実施形態は、単に説明を目的にしたものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。本発明の範囲は、均等論を含む特許法の原則に従って解釈される以下の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2A
図2B